2012年肥満学会ポスター
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低炭水化物食を主体にした当院におけるダイエット診療の紹介 低炭水化物食を主体にした当院におけるダイエット診療の紹介
独立行政法人労働者健康福祉機構 新潟労災病院 消化器内科
安 泰善、 野村 亮介、 村瀬 貴之、 麻植ホルム 雅之、 前川 智
独立行政法人労働者健康福祉機構 新潟労災病院 消化器内科
安 泰善、 野村 亮介、 村瀬 貴之、 麻植ホルム 雅之、 前川 智
昨今、メタボリック症候群を中心とした生活習慣病の増加が危惧されている。そのベースにあるのは肥満症であり、当院消化器内科では肥満症改善目的のダイエット入院、外来診療を 2010年 7 月よりスタートし、一定の減量効果があったので報告する。
低炭水化物食の長期予後については不明である。高蛋白は腎機能悪化、尿酸値の悪化に、また高脂質は脂質代謝異常の悪化につながる可能性もあり、注意深いフォローが必要である。
やせなさいというのは簡単だが、実際にやせるのは非常に困難。特にリバウンドは非常に高い確率で起こりうる( 6 ヶ月経過した頃より始まる)。
外来に来なくなることがリバウンドのきっかけになっている。とにかく継続した外来通院が大切。 低炭水化物は短期的には低脂肪よりも体重を減らすが長期的には体重減少効果は変わらないとのレビューもあるしかし初期に体重を減らすことで、患者に自信をつけてもらうことも大切。炭水化物を大好き!!という方もおり、そんな方にはあまりおすすめできない(必ずしも多くはないが・・・ ) 。
若い方( 20~ 30歳代)では 2 ヶ月程度の短期間に 20%近く体重減少がみられる場合も多い。 70歳代以上ではやや効果が劣る印象あり。
体重減少に伴って処方薬を減らすことが、患者のモチベーションにつながる(何人もの方が糖尿病薬の減量に成功している)。
2010年 7 月~ 2012年 9 月のダイエット診療の経過報告
ダイエット入院の流れ入院 1日目(木曜日)10時 入院 オリエンテーション12時 昼食13時 30分 栄養士より集団食事指導14時 30分 医師によるスライド講義、ビデオ学習18時 夕食入院 2日目(金曜日)7時 採血、朝食8時 30分運動、理学療養士による運動指導体操、ウォーキングを音楽にあわせてやっていただく。膝、腰が悪くて歩けない方には個別指導を行っている。12時 昼食18時 夕食入院 3、 4日目(土曜日、日曜日)週末の当たるため、外出、外泊可。入院 5日目(月曜日)基本的な流れは金曜日と同じ。午前 11時頃より、簡単なペーパーテストがあり。入院 6日目(火曜日)基本的な流れは金曜日と同じ。昼の 12時頃より医師、栄養士と食事会があり。入院 7日目(水曜日)水分の影響もありますが、 1週間で平均して2~ 3㎏減量される方が多い。翌日退院。
食事療法(医師、栄養士より説明) この食事指導が肥満症治療のメイン。低炭水化物食での指導運動療法(理学療法士より説明) 軽い体操、ウォーキングの指導。膝痛、腰痛の方もおり、最初はあまり勧めない薬物療法(薬剤師より説明) 漢方の防風通聖散を処方。 BMI 35以上では、 3 ヶ月に限定してマジンドール(商品名サノレックス)の処方行動療法(医師より説明) 咀嚼の指導、グラフ化体重日記への記録、食行動パターンの矯正
ダイエット診療の流れ外来にて問診、診察、採血、腹部エコー、 75gOGTT等にて肥満症と診断
1 週間の入院にて食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法の指導を行う
退院後、 1 ヶ月に 1 回程度外来受診フォロー(最低 6 カ月~ 2 年程度フォロー)
当院における低炭水化物食とは?従来の肥満症に対する食事療法は体格に合わせたカロリー制限での食事療法 低炭水化物食とは、炭水化物を一定以下に制限するが、他の蛋白質、脂質に関しては特に制限を設けない食事療法ただし炭水化物の割合は文献により 20~ 40%と幅があり一定していない。また phase1、 2 、 3 と徐々に炭水化物の割合を上げていく方法もあり(アトキンスダイエット法)。 当院入院中は炭水化物 30%、蛋白質 25%、脂質 45% (炭水化物としては 100g / 日、総摂取カロリーとしては 1300k cal/日)
朝食例 夕食例昼食例
総括
当院で行っているダイエット診療について概説した。肥満症はリバウンドが多く治療困難な病態であり、栄養士、薬剤師、理学療養士などのコメディカルの協力の下、集学的なアプローチが必要である。
結語