メディアデザイン論2013 04

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メディアデザイン論④ デモ Les Misérables (2012) Do you hear the people sing(民衆の歌)

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Page 1: メディアデザイン論2013 04

メディアデザイン論④デモ

Les Misérables (2012) Do you hear the people sing(民衆の歌)

Page 2: メディアデザイン論2013 04

急用に付き「演習」は休講

振替日などは追って通知

演習で「映像班」を希望する人は,この講義の終了時に,簡単な「理由書」(形式自由)を提出のこと

「百聞より一見にしかず」なんで,映像での作品は,取材量に比してインパクトは高いよ!

メディアデザイン論演習は休講

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「今の世の中はなにかおかしい」「この問題をなんとかしなければ」と私たちが思い立ったとき,直接路上に出て意思を表示する直接民主主義の表現が「デモ」である

日本国憲法でも「結社」と並び「集会の自由」を表現の自由として,尊重すべき権利に列挙している

直接民主主義

Page 4: メディアデザイン論2013 04

表現の自由の「濫用」は戒められ,「公共の福祉に反しない限り」という制約が付けられている

デモも無条件では実施

できず,所轄警察署への

事前許可申請と立合が義

務づけられる(交通規制が

不可欠なので)

公共の福祉

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手続きさえ(誰かが)済ませれば,路上は一時的な「解放区」になりうる

音楽を演奏しても,アンプ付き楽器を演奏したり,歌をうたっても,詩・文章を拡声器を用いて読み上げても,絵を発表しても,プラカードを掲げても,どんな表現行為をしても構わない空間になる。路上ライブよりもはるかに自由

デモは正当な権利行使である

デモでできること

Page 6: メディアデザイン論2013 04

プロテスターが集団で,何らかのメッセージを社会に向けて訴えかける手段

プロテスター:抗議する人々。匿名で多数。見えづらい「少数派」が集まって示威行為することで,「抗議する少数派がいるのだ」ということを社会に知らしめる

発展型に,メッセージに相応しい場所を制圧する「占拠デモ」がある

デモとは何か

Page 7: メディアデザイン論2013 04

デモに参加することで,「同じことを考えている人はこんなにいるんだ」と確認できる

意見を交換し,理解を深められる

街頭で声を出してもいいのだと知る(意外と快感だったりする)

新しい出会いが期待でき,次の行動へとつなげることができる

デモの効用

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デモ隊がスクラムを組まず,手をつなぎ道路の左右いっぱいに広がって示威行進をするさま

フランス式デモ

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誰かに抗議して何かを「求める集団的行為」。示威行為。示威で成果が得られない場合は,罷業行為(ストライキ)に

ボランティアなどは「与える/助け合う集団的行為」

60~70年代前半は「求める運動」,その後20年間は「与える運動」,90年代半ば以降は「求める運動」が復権

抗議すること

Page 10: メディアデザイン論2013 04

祝祭

非暴力

不服従

不買

行進

ダイイン

ヒューマンチェーン

デモ(=直接行動)

Die-in:参加者が死者になりきって抗議

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デモが目指すのは「特別な場」の創出

志を同じくする人たちが集う,祝祭/共生/自治空間を自分たちの手で創り出すこと

臨時自律空間(Temporary Autonomous Zone)=ハキム・ベイ

「歴史を作るのではなく,歴史から逃れ出るための場」=アジール(避難場所/逃げ込み場所)

非日常的・祝祭空間の創出

ハキム・ベイ(箕輪裕訳)『T・A・Z』インパクト出版会,1997

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持続的な改革を目論む「革命」ではなく,一時的な至高体験を目指す「反乱」

時間と空間の中の特定の領域を一時的に占領し,つかの間のお祭り騒ぎを繰り広げたのち,自ら姿を消し(権力者に排除され),消滅する

しかし,別の時間・空間の中の別の場所に再び立ち現れ,決起する(消滅する媒介:vanishing mediator)

デモの本質(ハキム・ベイ)

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人々が自分たちの生活のさまざまな局面で自律性を主張し,自己決定と自主管理の権利を要求するための異議申立て運動

さまざまな理由で抑圧・歪曲されている自らの生活領域を保全するために,政治・経済の執行主体である行政府・企業などに対して要求する

担い手たち

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攻撃的なシュプレヒコールを繰り返したり,戦闘的なスローガンを仰々しく訴える

親しみやすくくつろいだ雰囲気で,のんびりと遊歩するような調子で行進する(ピースパレード/ピースラリー)

轟音を放つ音楽とともに激しく踊る「サウンドデモ」が派生する(野外レイヴ・パーティー)

デモのスタイル

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「デモは迷惑」という

意識の形成と払拭

デモの四類型 社会運動型

暴動・騒乱

ピースウォーク型

サウンドデモ型

占拠型新たなデモのスタイル

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日露戦争後の賠償に対する

不満から1905年9月5日,東京・

日比谷公園で行われた集会をきっかけに起こった日本の暴動。内務大臣官邸,国民新聞社,交番などを襲って破壊

戒厳令が布告され,死者17名

負傷者500名以上,検挙者は

2000名以上

日比谷焼き討ち事件

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1914(大正3)年夏

問屋の買占め/売惜しみなどが理由で米価が一石(180ℓ)15円が60円まで高騰

富山などで群衆が立ち上がり,一石30円で販売させることを約束させた

騒動は1道3府37県の369箇所に拡大

寺内正毅内閣は騒動拡大の原因は新聞だとして報道統制を拡大

米騒動

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「直接行動によって政府を動かした」という経験は,旧中間層に加え,都市の新中間層(ホワイトカラー),労働者,農民も加わった「大衆の誕生」→民衆文化主義(大山郁夫)・民本主義(吉野作造)

1925(大正14)年に普通選挙法を成立させるまでの民主化運動

第1回メーデー(1920年5月2日)。1936~45年の間が中断

大正デモクラシー

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新宿駅騒乱事件(68/10/21)

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2011.3.11(とくに福島第一原発事故)以来,日本人は「デモ」の意義を再発見した

「原発反対」がイシューのことが多いが,それ以外にもテーマは広がっている

老若男女の参加者が,ソーシャルメディアで情報交換しつつ参加する(その成果もソーシャルメディアで共有される)

ピースウォーク,サウンドデモのような1990年代以降の潮流を反映している

デモの再発見→お祭りデモ

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ベルリンで1989年に

統一機運を祝する

DJらのエレクトロミュー

ジックに合わせて,参加者が平和を掲げて踊る。いわば「無料の路上レイヴ・パーティ」で,カラフルでポップな,悲愴感がないプラカードが揺れる

参加者は最大時で150万人

Love Parade

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World Peace Now (イラク反戦)二〇〇三年一月一八日、ベ平連など市民運動参加者

有志が主催。「もう戦争はいらない」。七〇〇〇人

が日比谷野音から銀座にピースパレード

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自動車利用反対運動。主要道路を「ストリート・パーティ」として占拠した後,サウンドセットを組み上げて音楽を流し,踊り,パフォーマンスをする

いつしか「何かに抗議する」というよりは「市民のパワーをそこに具現化する」という意味を持ち始める

祭りは制度化されるとパワーを削がれてしまう

1996年 イギリス

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Reclaim the Street

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日本でのサウンドデモ

二〇一一年五月七日

原発やめろ!!!!!

渋谷サウンドデモ

主催:

素人の乱

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2011年秋,「Occupy

Wallstreet」がいくつかの

公園を占拠。ズコッティ公

園をリバティ広場と称した

格差是正「We are 99%」

が合言葉。占拠空間で,

ワーキンググループなど

多様なイベントが開催

占拠型

Page 27: メディアデザイン論2013 04

ますます開いていく富裕層と貧困層の格差に怒りをかき立てられ、多数を犠牲にして少数のエリート層にのみ寄与する政府の政策に憤慨し、根元的な経済的不平等に対する支配層の失策にうんざりし、「ウォール街を占拠せよ」は新しい解決策を提案した。我々は、数千の人々に食料を提供するため人民食堂を建設し、人民図書館を開設し、より安全に寝泊まりできる空間を作り、無料の避難所、寝床、医療、その他の必需品を必要とする誰でもに提供した。冷笑家たちが、私たちはリーダーを選び、政治家への要求をまとめるべきだと迫っていた頃、我々はまさしくそれらの機構に替わるものを忙しく創造していたのだった。革命は既に勃発した。誰も我々を止めることはできない。

「ウォール街を占拠せよ - 2011年:革命の年」http://beneverba.exblog.jp/17169167/

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ゼネラル・アセンブリー– 皆で話し合って決議文を作ること。誰もが発話者に

なりうる

人間マイク– 拡声器の使用が禁じられているので,発話者の話

をバケツリレー式に伝言

ワーキング・グループ– さまざまなイシューについて自由に議論する場

占拠型の方法論

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経産省前テント広場二〇一一年九月中旬から形成。退去命令が出ている

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メイヤーとタロウによる概念

デモが散発的に開かれる特異な行動ではなくなり,絶え間なく繰り返される一般的な行動=日常茶飯事として生活や社会構造の中に組み込まれること

多様な主張を持つ人々が,多彩な要求を掲げて多様なデモがひっきりなしに実施される社会

社会運動社会

Page 31: メディアデザイン論2013 04

誰か(個人/集団/団体)が中心になるのではなく,多中心性・脱中心性があること

主催者がいないケースも(届出者は必要)。「参加者全員が主催者」デモは誰かに従って後をついていくものではなく,参加したい人は誰でも,企画段階から関わり,他の参加者とともに練り上げていく直接民主主義の実践へ

脱中心性

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「在日特権を許さない市民の会(在特会)が全国の在日朝鮮人密住地域などで展開する「○○を殺せ!」「出ていけ!」など,人種嫌悪発言(ヘイトスピーチ)を含んだデモをやめさせるべきか否か」を論じよ

分量:600字前後

締切:2013年5月21日(火)23:59:59

[email protected]

評価における割合:10%

第一回小リポート