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2014 年度イギリス文学史(2 丹治 竜郎

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  • 2014年度イギリス文学史(2)

    丹治 竜郎

  • 10分ぐらいでわかる18世紀までの

    イギリス文学

  • Geoffrey Chaucer (1340?-1400) ワイン商人の息子

    宮廷に仕え、外交官として働く

    Middle Englishで作品を書いた

    Troilus and Criseyde (c1385)

    The Canterbury Tales (1387-1400) 騎士(the Knight)の話

    粉屋(the Miller)の話

    バースの女房(the Wife of Bath)の話

  • William Shakespeare (1564-1616) Stratford-upon-Avon生まれ

    裕福な商人の息子

    18歳の時に8歳年上のAnne Hathawayと結婚

    ロンドンに出てthe Globe Theatreを中心に劇作家として活躍

    四代悲劇(Hamlet、Macbeth、King Lear、 Othello)のほかMidsummer Night’s Dream、Romeo and Juliet、Tempestなど37本の戯曲を残した

  • SHAKESPEARE’S BIRTHPLACE IN STRATFORD-UPON-AVON

  • John Milton (1608-74) London生まれ

    Cambridge大学のChrist’s Collegeで学ぶ

    政治的・宗教的激動の時代を議会派の論客として過ごした

    30代のころから盲目だった

    晩年は詩作に専念した

    Paradise Lost (1667)

  • John Dryden (1631-1700) Northamptonshire生まれ

    Cambridge大学のTrinity Collegeで学ぶ

    桂冠詩人(Poet Laureate)の称号を授けられた最初の詩人

    批評家としてもすぐれていた

    Annus Mirabilis (1667)

    Essay of Dramatic Poesy (1668)

    All for Love (1678)

    Absalom and Achitophel (1681)

    MacFlecknoe (1682)

  • 新古典主義の時代

    (18世紀前中期)

    イギリス社会の特徴

    ①政治的な安定

    Hanover家の王の下での政党政治(WhigとToryによる二大政党制)の発展

    Thomas Hobbesを批判したEarl of Shaftesburyの思想は時代を反映していた

  • ②宗教的な寛容

    宗教的な熱狂がうすれる

    カトリックや非国教徒に対する暴力的な迫害はほとんどなくなったが差別は残る

    ユダヤ人や無神論者も容認されるようになる

    ③植民地の拡大

    “Rule, Britannia! Britannia, rule the waves

    Britons never never never shall be slaves.”

    (James Thomson, “Rule Britannia” (1740))

    バブル経済をもたらす(South Sea Bubble)

  • BRITANNIA

  • ④都市の急速な発展

    “When a man is tired of London, he is tired of life” (Samuel Johnson)(James Boswell, Life of Johnson, 1791)

    消費文化の出現

    coffee houseが社交の場となる

    ⑤科学の進歩

    Royal Societyを中心にした組織的な科学研究

    産業革命や農業革命をもたらす

  • ⑥理性や良識への信頼←社会の安定

    the Enlightenmentという思想が生まれる

    理性に対する信頼→世界は理性によって完全に説明される

    Isaac Newton (1642-1727)の功績 “Nature and nature's law lay hid in the night / God said, Let Newton be, and all was light.”

    (Alexander PopeがNewtonの墓碑銘とするために書いた対句)

    百科事典による世界の合理的な説明 Encyclopaedia Britannica の出版(1768-71)←フランスのDiderotやD'AlembertによるEncyclopedie (1751-72)

  • ISSAC NEWTON’S MONUMENT IN WESTMINSTER ABBEY

  • イギリス文学の特徴

    ①The Augustan ageと呼ばれる時代

    新古典主義(neoclassicism)の時代とも呼ばれる

    最盛期ローマ帝国の文学作品を範例とする

    Augustus (27BC-AD14) ローマ帝国の初代皇帝

    Augustusが統治していた時代にはVirgil, Horace, Ovidらのすぐれた詩人たちが活躍した

    新古典主義の特徴

    • 技術や形式を重視

    • originalityに大きな価値はあたえられない

    • 娯楽性と教訓性の両立

    • golden mean (via media)を理想とする

    • 風刺(satire)の多用

  • ②読者層の拡大

    余暇の増大、教育の普及

    文学作品の読者が貴族階級から中産階級に拡大した

    貴族のパトロンの影響力が衰え出版業者の影響力が増す

    出版業、雑誌、サロン、図書館などを通じて文学作品が階級や地域を越えて普及する

  • ③文学および文学者の地位の向上

    Alexander Popeは劇作家以外で書くことによって生活できた最初の文学者

    Joseph AddisonやSamuel Johnsonは絶大な権威をもっていた

    Laurence Sterne (Tristram Shandy)やJames Macpherson (Ossian詩)などのベストセラー作家の出現

    ④小説の勃興

    巨大化・複雑化する社会の中で流動化する個人を描く

    小説は下品で雑種的で商業的なジャンルとみなされた