20160321 東工大博物館イベント:研究・観測データを拓く

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研究・観測データを拓く ~国立極地研究所の取組み 情報・システム研究機構 国立極地研究所 南山 泰之 [email protected] 2016.3.21 東京工業大学博物館・百年記念館 「博物館をひらく 東京工業大学博物館編」

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研究・観測データを拓く~国立極地研究所の取組み

情報・システム研究機構 国立極地研究所南山 泰之

[email protected]

2016.3.21 東京工業大学博物館・百年記念館「博物館をひらく –東京工業大学博物館編」

目次・自己紹介

・研究・観測データとは

・データをひらく

極地研の活動

国立極地研究所学術情報リポジトリ

2014.10.24 正式公開●コンテンツ:約10,000件紀要論文、南極・北極の観測データ報告書が中心

トピック:2015.1 紀要論文等への

CCライセンス付与(原則 CC-BY)

2015.4 OpenDOAR登録2016.1~ 対象コンテンツの拡大

研究・観測データとは

データの取得方法

海外事例:研究データ管理への取り組み

報告書「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について:サイエンスの新たな飛躍の時代の幕開け」(平27.3.30)各省庁、資金配分機関、大学・研究機関等

◦ 実施方針及びオープンサイエンスの推進計画を策定

公的研究資金による研究成果◦ 論文及び論文のエビデンスとなる研究データ=原則公開

◦ その他研究開発成果としての研究データ=可能な範囲で公開

公的研究資金◦ 競争的研究資金及び公募型の研究資金

◦ 国費が投入されている独立行政法人及び国立大学法人等の運営費交付金等

ステークホルダーに求められる役割

図書館=研究成果等の収集、オープンアクセスの推進、共有されるデータの保存・管理を行う基本機能

参考:国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/

社会的制約

個人情報の保護(被験者、犯罪歴、etc…)

国家安全保障など

知的財産の保護

その他、特に配慮を必要とするもの(ex. 絶滅危惧種の生息地情報)

参考:”Research Data Management” by Carly Strasserhttp://www.niso.org/apps/group_public/download.php/15375/PrimerRDM-2015-0727.pdf

論文との違い①データの著作物性著作物の定義:

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいう(著作権法第 2 条第 1 項第 1 号)。単なる客観的事実やデータは、著作物としての保護対象にならない

データを得るために高度の知識や多大な労力、資金を必要としたとしても、保護対象にならない

もっとも、

一定の考え方のもとにデータを整理・分析した場合などは、「創作性」が認められる場合も

ex. 論文の根拠データ?

参考:著作権法の基本的な枠組みについて(オープンデータ関連)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/rwg/dai1/siryou09.pdf

論文との違い②メタデータ標準

左は一般的な研究データの例

メタデータ標準だけで10、拡張用は4つが登録

このほか、分野ごとのメタデータ標準も多数

http://www.dcc.ac.uk/resources/subject-areas/general-research-data

図書館としてのモチベーションリポジトリの可能性を試すサイエンスへの貢献?

これまでの知識基盤を活かす目録や著作権の知識、全国的なネットワークの存在

レガシーな資料との連続性担保

義務を果たす学術情報の保存、共有、公開への社会的責任

データをひらく法的側面

→ ライセンスの明示

技術的側面

→ 機械可読性の向上

流通面

→ 可視性の向上

法的側面

http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150116.html

実務上の対応と変化投稿規程の整備原則CC-BYとする旨の規定を盛り込む

投稿時にライセンスを記述するように

啓発活動ライセンスに関する資料の公開

説明会開催

問い合わせ対応

変化OAやライセンスに関する問い合わせの増加

法や規則に関する調べもの相談の増加

技術的側面

ファイル形式は投稿者に委ねる(.doc~.xml まで様々)

流通面

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所外からのアクセス

WEKOトップページ

アイテム詳細

ファイルダウンロード

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件数

2015.11 Googleへハーベスト依頼

2016.1 JAXAリポジトリからハーベスト申請

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件数

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中国

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フランス

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ウクライナ

その他

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件数

詳細画面へのアクセス

南極資料

観測データ報告書

観測隊報告

紀要類

英文誌

シンポジウム

Polar Science

その他

月━年

ログ 3/3

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1,500

2,000

2,500件数

コンテンツのダウンロード数

南極資料

観測データ報告書

観測隊報告

紀要類

英文誌

シンポジウム

その他

月━年

ログの暫定評価流通面の改善は明確に効果が現れている

(アイテムダウンロード数が伸びているが、詳細画面へのアクセスがない

→ CiNii、Google等から直接ダウンロードされている回数が多い)

法的側面の効果は(まだ)アクセス数から見えづらい

→ 海外からのアクセス(特に日本語文献への)件数上昇を期待していたが。。。

→ もっとも、外部からの許諾依頼件数は減少。

→ 所内へのインパクトはかなり大きかった。著作権に対する意識向上。

技術面については、リンク先のデータに関する統計があるか不明