20160523 jnsa勉強会(電子署名利用法)...

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1 開発者のための PKI/電子署名の利用法 2016年5⽉23⽇ 政本 廣志 JNSA 電子署名WG NTTアドバンステクノロジ

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開発者のための

PKI/電子署名の利用法

2016年5⽉23⽇

政本 廣志JNSA 電子署名WG

NTTアドバンステクノロジ

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略歴紹介政本 廣志 (現:NTTアドバンステクノロジ)

2004年~ ECOM(次世代電子商取引推進協議会)

電子文書の長期保存

電子署名普及に向けた調査検討

長期署名フォーマット相互運用性実験

(2006 CAdES/XAdESプロファイルJIS化作業)

2010.3 ECOM解散(eRAPに移行)

2013年~ JNSA 電子署名WG参加

長期署名プロファイル標準化等

(2014~ PAdES規格原案作業WG、

TBF電子証明基盤検討WG)

1990年代後半~

電子認証・電子公証関連の研究開発に従事

2010.4~ 現所属

チーム I

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背景

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PKI/電子署名は普及しているか

2000年頃から、PKI/電子署名の必要性、重要性が

言われて久しい

欧州では1999年に電子署名指令制定

e-Japan構想(2000)、電子署名法(2001)、e-文書法(2005)、等

「普及は周回遅れ」と言われたこともあった

しかし最近、医療、建築関係など、活用の兆し

マイナンバーカードの普及にも期待

本格的な普及につながるか(正念場?)

そのためには、何が必要か、、、

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PKIのトライアングル(仕組み)

署名者Subscriber

信頼点Trust Point

検証者Relying Party

確認・信頼信頼

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普及のトライアングル

利⽤者

インフラ

サービス提供者

良いサービスなら使う

インフラが整っていればサービス創出利⽤者が多ければ

インフラを整備

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普及を阻む要因

技術・開発

制度・法律

経営視点

開発・導⼊のコストが⼤きい

法的根拠・強制⼒がない難しくて理解され

にくい

必要なの?

儲かるの?やらなきゃいけないの?難しい!

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サービス開発者・システム設計者にとって

PKIとか電子署名って、、、

何に使えるの? ・・・適用領域

どう使ったらいいの? ・・・設計上の留意点

電子署名

電子証明書

電子認証局

公開鍵/秘密鍵

?署

以下、厳密な解説ではありませんので、ご容赦を。

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Ⅰ 適用領域

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おさらい

電子化/ネット社会の“4つの脅威”

脅威 対策技術

盗聴 暗号化

なりすまし 相手認証

改竄 電子署名

否認 電子署名と証明書

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PKI/電子署名の効用

効用1

効用2

電子署名

電子証明書

改竄防止できる

改竄があれば検知できる(つまり抑止になる)

証明書で身許確認できる

(証明書は公開情報)検証すれば(署名者を)確認できる

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よく使われる喩え

署名

手書きサイン

印鑑登録証(印影)

現実の世界

実印

※分かり易いが、違いにも注意。

電子の世界

電子署名

封蝋(Seal)

印 捺印

印 実印

役所

文書データ

署名データ

電子署名

文書データ

署名データ

公開鍵証明書

秘密鍵

認証局

・切り離せる・コピーできる

・中⾝は⾒える

・⽇本特有の制度

紙の発想に縛られないように注意

封緘

・誰のものかは暗黙知

・誰のものかは証明書で確認

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もう少し自由に考えてみよう

改竄検知+身許確認

『何か』

”それ”は本物(非改竄) だ⇒ 実在性、証拠に使える

・完全性(Integrity)

・存在証明(PoE)

“その人”が生成した(承認した)⇒ 否認防止、文責、意思表明に

使える

・説明責任(Accountability)

・透明性(transparency)

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『何か』(デジタルデータ)を証明したい 文書 ⇒ 文書署名

電子署名法、e-文書法、等に基づくもの

プログラム ⇒ コード署名

ウィルス/マルウェア対策

メール ⇒ S/MIME

暗号メール(親展)にも

カルテ ⇒ 電子カルテ

認定書、合格証 ⇒ 資格証明

免許、パスポート ⇒ 許可証

成績書、卒業証書 ⇒ 学歴証明

発明、特許 ⇒ 権利保護(先発明主義)

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“やりとり”の中で『何か』を証明したい 電子契約

両者で署名、合意

送達確認

仲介者が保証

電子公証、内容証明

第三者が証明

電子入札

互いに事後否認防止

例署

署 署

署 署

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『誰』を証明するか 公的資格者 ⇒ 士業証明書、医師等資格証明書

国、自治体の職位者 ⇒ GPKI、LGPKI

個人(住民) ⇒ JPKI(公的個人認証)

属性は証明されていないことに注意

企業内従業員 ⇒ 社員証

学生 ⇒ 学生証

その他、政治家、有名人(スポーツ選手、アイドル等)など社会的責任のある人、ニセモノが懸念される人 ⇒ 政見、公約、メール・ブログ、サイン等

証明する(証明書を持つ)モチベーション

改竄や否認されて困る人が、『相手』に持たせる

改竄や否認していないことを主張したい『本人』が持つ

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証明する内容は、5W1H

誰が(誰に)

何を(モノ、行為、意思)

いつ ・・・ タイムスタンプ技術

どこで ・・・ これは意外と難しい

⇒ 発想を広げて、いろんなことに使おう!

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(よくできた例1)

SSL/TLSサーバ認証の仕組み

通信を暗号化して安全にする

(SSL=暗号化と思っている人も多いが)

サーバの証明書で正当性などを確認できる

(ブラウザに任せ切っているが)

暗号通信路

信頼できるルートから発行された証明書

利用者から見てこの範囲が安心安全になる技術利用者から見てこの範囲が安心安全になる技術

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(よくできた例2)

タイムスタンプ(時刻認証) RFC-3161方式の場合

普遍情報である時刻情報と併せて、署名する

(正しい時刻を扱える機関に限る)

信頼できる時刻供給元

xx:xx

タイムスタンプ

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Ⅱ 設計上の留意点

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設計には、いろいろ留意点がある。。。[技術面]

① 有効期限と失効

- 鍵/暗号の賞味期限、危殆化

⇒ 鍵更新、アルゴリズム移行、長期署名

② 鍵管理(利用者が安全に保持していることが大前提)

- 耐タンパ性、鍵配布・鍵運用

⇒ HSM、サーバ(リモート)署名

③ 検証(有効性と非改竄性)と相互運用性

- 検証手段はいろいろ。他と情報流通するなら相互運用性

⇒ プロファイルの標準化など

1つ1つは重い内容になるので、ここでは紹介に留めます。

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(つづき)[運用面]

① 認証パスとトラストアンカー

- 最後は何を信頼するか

⇒ 欧州ではTSL(Trust Service status List)運用開始

② 登録とID基盤

- 証明対象を確実に登録・管理する基盤が必要

⇒ 対象に応じて適切に

③ 法・制度の整備、認定などによる保証と準拠

- 裁判等での法的根拠、信頼できる第三者機関の運営

⇒ 欧州のeIDASの動きなど注目

1つ1つは重い内容になるので、ここでは紹介に留めます。

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⇒ 留意事項に注意して、いろんなことに使おう!

利⽤者

インフラ

サービス提供者

魅⼒的なサービスの提供

使いやすい技術や環境の確⽴

ユーザ増加・インフラ整備の加速

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ご清聴ありがとうございました。

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参考

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署名利用のガイドラインや解説PKIや電子署名の解説例の(ほんの)一部

『PKIハンドブック』H12.11 S.R.C.発行 小松他著

『電子署名利用者システムの構築・利用ガイドライン』 H13.3 ECOM

『社会システムとしての電子認証と電子署名』

JNSA Press Special Column(松本) 2005 第15号

『電子政府ガイドライン作成検討会 セキュリティ分科会報告書』 H22.2

www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/security_guide_line/siryou2.pdf 『オンライン手続における リスク評価及び電子署名・認証ガイドライン』 2010.8

www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/guide_line/guideline100831.pdf 『もっと使える電子署名・認証』 2012 JIPDEC

『電子署名活用ガイド』第2版 2013 電子認証局会議

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ECOMにおける署名普及の調査と経緯 「電子署名普及に向けた調査検討報告書」 (H17年度)

電子署名の利用が必ずしも進んでいない状況に鑑みて,電子署名の普及における問題点,普及

へ向けた課題をまとめた。

「電子署名普及に向けた調査報告書(2)-海外及び国内金融分野での利用動

向」(H18年度)

普及の要件を調べるため,電子署名の利用状況を中心に海外におけるPKIの利用状況を広く調

査した。

「電子署名の普及に関する活動報告」(H19年度)

電子署名利用環境の再構築に向けて,欧州の先進事例を調査し,わが国の今後の展望を探っ

た。

「電子署名普及に関する活動報告2008 」(H20年度)

電子署名利用に関して,欧州のeIDとの関係や標準化状況を調査した。

「電子署名普及に関する活動報告2009 」(H21年度)

社会基盤としての電子署名や証明書の利用について,官民連携や国民IDをテーマに検討し

た。