20160819夏期大各論
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脈状と病理病証(各論) 高比良 伸哉
証の種類•肝虚証熱証・寒証•脾虚証熱証 ( 陽明経実熱証・胃実熱証・胃虚熱証)・寒証•肺虚証熱証(陽経実熱証)・寒証 •腎虚証熱証・寒証•肝実証脾虚肝実熱証・脾虚肝実証・肺虚肝実証
気血津液の支配肝 血心脾 気・血・津液肺 気腎 津液
(1)肝虚証
① 肝虚熱証
血陰
陽 栄気
津液=
=
×
温める血を巡らせる
冷やす原材料・精力
肝虚熱証の病理
正常 陰虚
肝虚熱証の熱の波及• 経絡 厥陰肝経・少陰腎経• 表裏 胆・少陽胆経・少陽三焦経• 支配部位 目・爪・筋• 熱は上・外へ上焦 ( 心・肺 ) 、肩・頭・胸、皮毛・肌肉• 隣接する部位脾・胃・小腸・大腸・腎・膀胱
肝虚熱証の病証 熱の波及
往来寒熱 頭痛・肩こり・めまい・動悸
血虚 不眠・多夢・イライラ・眼の疾患 筋肉痛・神経痛・腰痛 婦人科疾患
経絡 睾丸痛・肝経の引きつり 耳の疾患・偏頭痛・胆経の引きつり
肝虚熱証の脈証左
尺関寸
右弦で有力
大・虚大・虚
大・虚
弦で有力弦か渋
全体の脈状•浮弦数•浮滑数 熱の程度で変わる
肝虚熱証の治療 肝の精気を補う肝腎の補 陰血を増やす陰谷 (腎水 )・曲泉 (肝水 )
波及した熱を瀉す胆経(臨泣・懸鐘・光明)胃経(足三里)
② 肝虚寒証
血陰
陽 栄気
津液=
=血
陰
陽 栄気
津液=
=●肝虚熱証 ●肝虚寒証
×
×
×
肝虚の病理
正常 寒証 ( 陽虚 )
熱証(陰虚)
寒の波及寒の波及
陽気が巡らない陽気が回ってこない 陽気が停滞する
寒 熱
=
寒の波及 ( 図 )
健康
熱
寒
肝虚寒証の寒の波及• 経絡 厥陰肝経・少陰腎経• 表裏 胆・胆経・三焦経• 支配部位 目・爪・筋• 寒は下へ下焦 ( 腎・膀胱・大腸・女子胞 ) 、足・腰• 隣接する部位脾・胃・小腸・大腸・腎・膀胱• 陽気の停滞 上焦
肝虚寒証の病証•月経中の下痢•無気力•決断力がなく、恐れやすく、ため息ばかり•慢性下痢・潰瘍性大腸炎•上焦 ( 心・肺 ) の症状•しもやけ
肝虚寒証の脈証左
尺関寸
右他より有力
弱か軟弱
弱
他より有力
渋・細全体の脈状
•弱 ( 沈・細・虚 )•芤・軟・散
肝虚寒証の治療 肝の精気を補う肝腎の補 血を増やす太谿 (腎土 )・太衝 (肝土 )・三陰交 (脾) 寒の波及した経を補う胆経(臨泣・丘墟)胃経(足三里)
(2)肺虚証
① 肺虚陽経実熱証
肺
外
内
衛気の発散循環
肺
外
内
「衛気は、その悍気の慓疾に出で、まず四末、分肉、皮膚の間を行りて休まざるものなり」『霊枢』邪客 (71)
肺虚熱証の病理
肺
外
内
肺気が虚す→ 陽気の発散循環がうまくいかない→ 陽気 ( 熱 ) が停滞→ 停滞した部位に病証が現れる
肺虚熱証の病証
太陽陽明
熱
•太陽経 発熱・悪寒・咳・関節痛・頭痛•陽明経 鼻乾・目痛・頭項強痛・咽喉痛
肺虚熱証の脈証左
尺関寸
右浮・緊
浮・緊浮・緊
浮・緊
軽按で浮実全体の脈状•浮・数・実・緊•重按しても虚がわかりにくい
軽按で浮実
肺虚熱証の治療 肺気を補い陽気を循らせる肺脾を補う 経渠 (肺金 )・商丘(脾金) 熱の停滞した経を瀉す小腸 少沢・養老膀胱 通谷・金門大腸 二間・温溜胃 内庭・厲兌
② 肺虚寒証
肺
外
内
肺気が虚す→ 陽気の発散循環がうまくいかない→ 陽気 ( 熱 ) が循らない→ 循らない部位が冷え病証が現れる
肺虚寒証の病証
太陽陽明
寒
•太陽経 発熱・悪寒・咳・関節痛・頭痛
肺虚寒証の脈証左
尺関寸
右浮・虚
浮浮
浮
浮・虚浮・虚
全体の脈状•浮数虚•熱が少なくなると沈細
肺虚寒証の治療 肺気を補い陽気を増やし循らせる肺脾を補う 太淵 (肺土 )・太白(脾土)・列缺(肺絡 )・公孫 (脾絡 ) 熱の行き届かない経を補う小腸 腕骨膀胱 京骨・飛陽・跗陽大腸 曲池胃 衝陽
6,まとめ
精気の虚
病因気血津液の虚 寒熱の発生 臓腑経絡に波及 病症
(1)病理を知る
1. 病証を病理に結びつける、脈状を病理に結びつける2. それぞれの臓の生理病理を理解
診断と治療方針
選穴選経手技 選穴
選経
手技
精気の虚
病因病理の虚 寒熱の発生 臓腑経絡に波及 病症
本治法 標治法
証の細分化熱証肝虚
肺虚
腎虚
病気
脾虚
寒証
熱証寒証熱証
寒証熱証寒証
五臓六腑十二経五華五官
五臓六腑十二経五華五官
精気の虚 寒熱の波及気血津液の虚
(2)イメージ穀道
内
外1.望聞問で身体の状態をイメージ2.脈診で身体の状態をイメージ3.以上を照らしあわせる
(3)脈診の意義 六部定位脈差診 (普通科 )
精気の虚 虚実
祖脈診 (高等科 ) 病位 寒熱
脈状診 (研究科 ) 病理