2020 6 第43 回熊本の消費予報調査-2020 年5 - ' eg...1...

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1 【調査の概要】(定例調査) 1.調査対象:熊本県在住の20歳以上の女性 2.調査期間:2020年5月19日~21日 3.調査方法:調査会社登録モニターへのネット 調査(調査会社:㈱マクロミル) 4.有効回答:520人 実数(人) 構成比(%) 20 104 20.0 30 104 20.0 40 104 20.0 50 104 20.0 60代以上 104 20.0 520 100.0 32 27 22 17 12 7 2 59 54 49 44 39 34 29 24 19 '06.5 '07.5 '08.5 '09.5 '10.5 '11.5 12.5 '13.5 '14.5 '15.5 '16.5 '17.5 '18.5 '19.5 '20.5 支出意欲=「緩める」-「引き締める」 収入見込=「増えそう」-「減りそう」 地震 消費増税 (右軸) 収入見込 支出意欲 (左軸) 消費増税 リーマン 2020年6月 はじめに 当研究所では、毎年5月と11月に熊本県内在住の女性を対象として、「今後半年間」における「収 入」「支出」「暮らし向き」等をたずねるアンケート調査を行っている。これらの調査結果の分析を 通じて、熊本県内の女性の消費マインドの今後の見通しを探りたい。 また、今般の新型コロナウイルス感染症拡大による経済停滞や生活様式の変化等により、消費行 動にも大きな影響が出ていると考えられることから、県内の実態をより正確に調査するため、調査 対象を県内男女に拡大した特別アンケートも同時に実施した。その結果はおもに第Ⅱ章で述べる。 【調査結果の概要】 1.県内女性の収入見通しは急落する一方で、消費マインドはわずかに改善。 ➢コロナ禍での外出自粛の反動から、巣ごもり消費を中心に支出意欲がやや回復。 2.リーマンショック時と比べても収入見通しは低水準。 ➢調査開始以来最大の減少幅。コロナ禍は日常生活にもより深刻な影響を及ぼしている。 3.熊本地震直後よりも支出意欲は高まっている。 ➢前回比+7.7 は 2014 年の消費増税以降最大の増加幅。回復傾向は持続するも依然低水準。 図表1 今後の見通しDIの長期推移(収入見通しと支出意欲) 低水準続く消費マインド、収入見通しはリーマン超の落ち込み ~ 第 43 回熊本の消費予報調査-2020 年 5 月調査- ~

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【調査の概要】(定例調査)

1.調査対象:熊本県在住の20歳以上の女性

2.調査期間:2020年5月19日~21日

3.調査方法:調査会社登録モニターへのネット

      調査(調査会社:㈱マクロミル)

4.有効回答:520人

年 代 実数(人) 構成比(%)

20 代 104 20.0

30 代 104 20.0

40 代 104 20.0

50 代 104 20.0

60代以上 104 20.0

合 計 520 100.0

△32

△27

△22

△17

△12

△7

△2

△59

△54

△49

△44

△39

△34

△29

△24

△19

'06.5 '07.5 '08.5 '09.5 '10.5 '11.5 12.5 '13.5 '14.5 '15.5 '16.5 '17.5 '18.5 '19.5 '20.5

支出意欲=「緩める」-「引き締める」

収入見込=「増えそう」-「減りそう」

地震 消費増税

(右軸)

収入見込

支出意欲(左軸)

消費増税リーマン

2020年6月

はじめに

当研究所では、毎年 5月と 11月に熊本県内在住の女性を対象として、「今後半年間」における「収

入」「支出」「暮らし向き」等をたずねるアンケート調査を行っている。これらの調査結果の分析を

通じて、熊本県内の女性の消費マインドの今後の見通しを探りたい。

また、今般の新型コロナウイルス感染症拡大による経済停滞や生活様式の変化等により、消費行

動にも大きな影響が出ていると考えられることから、県内の実態をより正確に調査するため、調査

対象を県内男女に拡大した特別アンケートも同時に実施した。その結果はおもに第Ⅱ章で述べる。

【調査結果の概要】

1.県内女性の収入見通しは急落する一方で、消費マインドはわずかに改善。

➢コロナ禍での外出自粛の反動から、巣ごもり消費を中心に支出意欲がやや回復。

2.リーマンショック時と比べても収入見通しは低水準。

➢調査開始以来最大の減少幅。コロナ禍は日常生活にもより深刻な影響を及ぼしている。

3.熊本地震直後よりも支出意欲は高まっている。

➢前回比+7.7は 2014年の消費増税以降最大の増加幅。回復傾向は持続するも依然低水準。

図表1 今後の見通しDIの長期推移(収入見通しと支出意欲)

低水準続く消費マインド、収入見通しはリーマン超の落ち込み

~ 第 43回熊本の消費予報調査-2020年 5月調査- ~

2

-9.3

6.8

1.0

-10.7

-18.4

-25.2

-7.8

3.9 6.8

1.0

-16.5

-34.0 -31.2

-22.1

-28.8

-42.3

-47.1

-15.4

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

全 体 20 代 30 代 40 代 50 代 60代以上

2019.5 2019.11 今回(2020.5)

31.3

15.4

18.2

5.6

29.4

31.3

43.6

29.5

38.9

47.1

37.5

41.0

52.3

55.6

23.5

0% 50% 100%

20代

(n=32)

30代

(n=39)

40代

(n=44)

50代

(n=36)

60代以上

(n=34)

0~40% 41~80% 81~99%

第Ⅰ章 定例調査(県内女性を対象に、今後半年間の消費動向を調査)

1.今後の見通しDI

(1)収入の見通し

➢今後半年間の収入の見通しDIは▲31.2と急落。

前回調査から大きく悪化し、調査開始以来最大の減少幅となった(図表2)。自由回答を見ると、

収入減少の要因として、コロナの影響での業績悪化による給与・賞与の減少、労働時間の減少、

自営業の売上減少が目立った。また働き方改革による残業時間の減少も挙げられた。

支出増加の見込みの中には、現在の収入が普段に比べて減少しているため今後は回復する予定

という回答も多かった。

年代別に見ると、「20代」▲26.0、「30代」▲35.6、「40代」▲43.3、「50代」▲30.6と深刻。

唯一改善したのは前回最低だった「60代以上」で前回比+18.6。見通しの厳しさが緩和した要因と

して、年金受給で収入が不変であることや、定年退職により退職金が得られることなどが挙げら

れた。また特別定額給付金を収入に挙げる回答者も多く、リタイア世代の収入見通しが改善する

結果となった。

また、2020年 4月の収入が前年と比べて何パーセント程度まで減少したかを調査したところ、

退職の多い「60代以上」を除き、若い年代ほど減少額が大きいことが分かった(図表3)。

図表2 収入の見通しDI(「増えそう」-「減りそう」)

【収入の見通しに関する主な自由回答】

収入の見通し 年代 コメント

20代 業務が再開したら給与が増えるから

60代以上 特別定額給付金がもらえるから

20代 仕事がコロナの影響を受けにくいものだから

60代以上 年金受給者だから

20代 業績不良によりボーナスが減りそうだから

30代 コロナの影響で就業時間が短くなったため

40代 夫の収入減少

50代 自営の飲食店なので、客足がしばらくは戻らない予想

増えそう

変わらない

減りそう

図表3 4月の収入が減少した回答者

の収入(前年同月を 100として)

3

-16.7 -15.4

-10.6

-23.1

-19.2

-15.4

-17.7

-10.6

-21.2

-15.4

-11.5

-1.5

-3.8

-1.0 -1.9

0.0 -1.0

-25

-20

-15

-10

-5

0

全体 20代 30代 40代 50代 60代以上

収入減少 収入変化なし 収入増加

-46.6

-37.9

-51.5

-56.3

-51.5

-35.9

-48.9

-53.4

-47.6

-54.4 -50.5

-38.8 -41.2 -40.4 -36.5

-57.7

-40.4

-30.8

-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

全 体 20 代 30 代 40 代 50 代 60代以上

2019.5 2019.11 今回(2020.5)

(2)支出意欲の見通し

➢今後半年間の支出意欲の見通しDIは▲41.2とわずかに改善した。

➢若い世代では、収入が減る一方で支出意欲はやや持ち直しの兆し(図表4)。

➢収入が減少した回答者ほど支出意欲は低い傾向(図表5)。

➢収入が増加した回答者の中でも、同一生計の家族がいない回答者の支出意欲が高い(図表6)。

支出意欲は 2014年の消費増税以降低い水準が続いているが、今回の調査ではわずかに改善した。

年代別にみると、前回大きく落ち込んでいた「20代」がやや回復。最も低かったのは前回に引

き続き「40代」で、全年代で唯一前回調査を下回った(図表4)。

また、4月の収入増減と支出意欲の関係をみると、収入に変化がなかった回答者でも支出意欲は

低下し、収入が増加した回答者でもDIはマイナスであり、引き締める人は多い(図表5)。

図表4 支出意欲の見通しDI(「緩める」「少し緩める」-「引き締める」「少し引き締める」)

図表5 4月の収入別支出意欲の見通し(年代別)

4

4月の収入が減少した回答者のうち最も支出を引き締めるのは「なし」(=同一生計の家族がい

ない)の回答者だった(図表6)。一方で「なし」の回答者のうち4月の収入が増加した回答者に

おいては、支出を緩めるという回答者の割合が最も高く、差が激しい結果となった。

支出意欲向上に関しては外出自粛要請の解除が大きな要因となっており、自由回答では、外食や

行楽・レジャー、旅行等を増やしたいという意見が多く挙げられた。またマスク等衛生用品の支

出が今後も多く見込まれるという意見もあった。

低下の理由は、全年代で収入の減少により支出を減らさざるを得ないという意見が多く、貯蓄を

増やしたいという回答者も多く見られた。

図表6 4月の収入増減別支出意欲の見通し(同一生計の家族別)

【支出意欲の見通しに関する主な自由回答】

支出意欲の見通し 年代 コメント

20代 コロナで経営が傾いているお店等に支援したいと考えるため

40代 車を買う予定なので支出はかなり増える

60代以上 経済が低迷しているので、外食、宿泊など増やしたい

20代 旅行などにいけない分、家にいて過ごす時間も楽しめるように

40代 外出自粛してるので、子供のオモチャや食費を増やす

40代 マスク、消毒類を購入すると思うので

40代 旅行に行きたい

60代以上 中止していた旅行などに出かけたい

30代 収入が変わらないから

50代 今までも十分引き締めていたので引き続き

20代 貯蓄を増やそうと思うから

20代 コロナで育休延長のため収入がすくないので

30代 キャッシュレス還元が6月までで終わるから

40代 休校の間食費等の出費がかさんだので、その分少しずつ節制しようと思っています

50代 貯蓄を殖やしたい

40代 学校再開のため教育費が増える

50代 コロナの影響で収入が減るから

60代以上 家計が逼迫しているから

少し緩める

いままでと変わらない

引き締める

緩める

少し引き締める

-26.3

-13.9 -14.6 -14.1

-17.5

-23.7

-13.2 -12.5

-24.4 -22.7

1.3

-2.1 -1.0

-5.1

-1.0

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

なし 配偶者のみ 子(未就学児)がいる 子(小中学生)がいる 子(その他)がいる

収入減少 収入変化なし 収入増加

5

(3)暮らし向きの見通し

➢支出増加への警戒感はわずかに和らぐものの、収入減少の影響は大きく、暮らし向きの見通し

DIについては▲33.1と、前回調査から大きく悪化。

全世代で大きく悪化した。前回調査では全年代が改善していたものの、コロナの影響が長期化

すると見込まれることから見通しは悪くなっている(図表7)。コロナ終息が見込めない中、収入

減少が続くことへの不安や、衛生用品等による家計負担の増加をあげる意見が多く見られた。

「50代」および前回大きく改善していた「40代」に関しては、収入悪化に加え医療費増加や子

供の進学など家庭の支出の節約にも限界があることから再び悪化。収入・支出ともに前回比プラ

スだった「60代以上」に関しても医療費増加への不安などから見通しは悪化した。

就業状態別では「派遣社員・契約社員」および「自営業」の見通しが悪くなっている(図表8)

図表7 暮らし向きの見通しDI(「良くなる」・「やや良くなる」-「悪くなる」・「やや悪くなる」)

図表8 暮らし向きの見通しDI長期推移、今回調査における就業状態別暮らし向きの見通し

20.5(就業状態別)

-53.8

-39.5

-27.4

-7.2

-33.1

-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

06.5 07.5 08.5 09.5 10.5 11.5 12.5 13.5 14.5 15.5 16.7 17.5 18.5 19.5 20.5

暮らし向き

リーマン 消費増税 熊本地震 消費増税

0.0

-23.0-23.1

-27.2

-36.8

-50.0

-58.5

-37.5

経営者・役員

正社員

公務員

パート、アルバイト

就業していない

自営業

契約社員、派遣社員

その他

内訳

-23.1

1.9

-13.6

-35.0

-29.1

-39.8

-7.2

11.7

8.7

-2.9

-27.2 -26.2

-33.1

-23.1 -20.2

-43.3 -46.2

-32.7

-55

-45

-35

-25

-15

-5

5

15

全 体 20 代 30 代 40 代 50 代 60代以上

2019.5 2019.11 今回(2020.5)

6

【暮らし向きの見通しに関する主な自由回答】

2.日常・非日常の支出の状況

(1)日常的な支出の見通し

➢前回比プラスとなったのは巣ごもり消費と医療費。

➢最も低かったのは「外食」の▲44.6で、前回比最も悪化したのは「行楽、レジャー」だった。

今後半年間の日常的な支出の見通しにおいて、前回調査比プラスとなった項目は「日常の食費」

「雑貨・小物、文具」「趣味、習い事」「公共料金、通信費」などの巣ごもり消費および「医療費」

だった(図表9)。「新しい生活様式」での日常は外出自粛期間中と同様に家で過ごす時間が増え

ると考える回答者が多い。

減少幅の大きい「外食」と「行楽・レジャー」に関しては、安心して外出できるようになる見

込みが立たないことから厳しい見通しとなっている。

図表9 日常的な支出の今後の見通しDI(「増やす・増えそう」-「減らす・減りそう」)

暮らし向きの見通し 年代 コメント

20代 収入が増える予感

30代 子どものために良くする

20代 今年4月から就職し、自由に使えるお金も学生の頃に比べて増えたため

40代 緊急事態宣言解除で今までできなかったことができるようになり、暮らしを楽しめる

20代 コロナの影響を受けないから

60代以上 年金生活だから

30代 食費や光熱費が上がりそう

40代 会社の売り上げ減少

60代以上 年金の額は変わらないし、個人年金が終了したので、余裕は全くなくなる

40代 在宅で手取り減、巣ごもりで通販出費かさむ

50代 衛生用品の割合が、ものすごく上がり家計を圧迫してるから

60代以上 定年を迎えるため収入が減る

良くなる

やや良くなる

いままでと変わらない

やや悪くなる

悪くなる

-4.5

-29.9

-32.9 -39.1 -40.1

-19.3

-28.4

-12.4 -18.7

26.8

-15.8

-2.9

6.5

-8.0

-32.2 -31.7

-41.1 -39.5

-22.2

-35.2

-11.6

-22.5

14.7

-18.9

0.0

5.1 0.6

-44.6

-35.6

-42.3 -42.1

-25.0 -26.5

-41.5

-19.8

0.8

-1.7

-7.7

13.7

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

日常の食費

外食

普段着

おしゃれ着

靴、バッグ

化粧品、

美容

雑貨・小物、

文具

行楽、

レジャー※

趣味、習い事

教育費等

公共料金、

通信費

貯蓄

医療費

2019.5 2019.11 2020.5

※「行楽、レジャー」は国内旅行・海外旅行を除く

7

(2)非日常的な支出の見通し

➢「家電製品」のみ微増。

非日常的な支出予定も減少した。購入予定の品目について、「家電製品」では「冷蔵庫」「洗濯

機」が多く挙げられる中で「空気清浄機」という回答が増え、回答者の衛生観念の高まりが見え

る結果となった。

また「国内旅行」の目的地については県内も含め「九州内」を挙げる回答が目立った。

図表10 非日常的な支出品目の今後半年間の支出見通し(購入予定がある回答者の割合)

【購入予定の品目に関する主な回答】

19.6 18.4

14.2

23.9

34.0

15.3 15.0 13.6

20.217.5

15.520.6

33.6

14.0 14.0 13.215.8 16.7

13.8

20.819.6

10.8 12.3 11.0

0

10

20

30

40

インテリア、

家具

情報家電※

1

AV家電※

2

家電製品※

3

国内旅行

海外旅行

車 住宅

2019.5 2019.11 今回(2020.5)(%)

※1 情報家電とは、パソコン、パソコン関連機器、携帯電話(スマートフォン)など。※2 AV家電とは、テレビ、ブルーレイレコーダー、デジタルカメラ、ビデオカメラなど。※3 家電製品とは、冷蔵庫、洗濯機、食洗機、エアコンなど、情報家電とAV家電以外の電気製品。

(%)

※1 情報家電とは、パソコン、パソコン関連機器、携帯電話(スマートフォン)など。※2 AV家電とは、テレビ、ブルーレイレコーダー、デジタルカメラ、ビデオカメラなど。※3 家電製品とは、冷蔵庫、洗濯機、食洗機、エアコンなど、情報家電とAV家電以外の電気製品。

項目 購入予定の品目 回答数 項目 購入予定の品目 回答数

寝具 10 熊本県 7

ソファ 9 九州(熊本県、沖縄県を除く) 29

テーブル、デスク 8 関東 11

カーペット、ラグ 5 関西 16

収納家具 4 その他(京都、沖縄等) 34

スマートフォン 20 台湾 2

パソコン 19 シンガポール 2

タブレット 6 韓国 1

パソコン周辺機器 2 ハワイ 1

テレビ 18 国産普通車(新車) 5

レコーダー 9 国産軽自動車(新車) 5

カメラ 3 中古車 1

プロジェクター 2 新築住宅 2

冷蔵庫 20 マンション購入 2

洗濯機 15 リフォーム 6

エアコン 12

オーブンレンジ 7

掃除機 6

空気清浄機 6

国内旅行

海外旅行

住宅

AV家電

家電製品

インテリア、家具

情報家電

8

3.熊本地震前と比較した現在の生活環境

➢「ほぼ元の生活に戻った」は前回調査比で微減。

➢熊本地震からの生活再建を目指す住民へのコロナの影響は大きい。

元の生活に戻ることができていない回答者は前回調査比でやや増加した(図表11)。自由コメ

ントでは、元の生活に戻ることができていない回答者からの、コロナによる経済的な打撃が大き

いことで生活再建を半ば諦めたような意見もあった。

図表11 熊本地震前と比較した現在の生活環境

【熊本地震前と比較した現在の生活環境に関する主な自由回答】

現在の生活環境 年代 コメント

20代 家を建て替えて住んでいるため

30代 金銭的にも精神的にも戻った

20代 家の中の一部(壁、風呂場)は、まだ改装していない

30代 道路(橋など)と鉄道が完全復旧すれば元に戻ったと言えると思います

40代 生活面では。しかし引っ越したので貯蓄が減った

30代 実家に帰るための道路やJRが復旧していないから

40代 やっと実家を再建。これからです

50代 まだマンションの修繕が、出来ていない

50代 立て直した家のローンが続くから生活負担が大きくなっているから

50代 収入が激減したから

40代 悪くなる一方だから

50代 100%元には戻らないと思う

60代以上地震を境に自分の仕事が減り、家族の勤務状況も変わり、加齢もあって収入増は難しい

元の生活に戻るにはまだ時間がかかる

元の生活に戻る目処が

立たない

元の生活に戻りつつある

ほぼ元の生活に戻った

9

【調査の概要】(特別調査)

1.調査対象:熊本県在住の20歳以上の男女

2.調査期間:2020年5月19日~21日

3.調査方法:調査会社登録モニターへのネット

      調査(調査会社:㈱マクロミル)

4.有効回答:1040人

男性 女性 男性 女性

20代 104 104 10.0 10.0

30代 104 104 10.0 10.0

40代 104 104 10.0 10.0

50代 104 104 10.0 10.0

60代以上 104 104 10.0 10.0

合 計 520 520 50.0 50.0

年 代実数(人) 構成比(%)

41.4

33.9

40.3

56.3

21.6

38.1

73.3

32.7

66.7

54.0

61.6

54.2

36.8

74.5

57.1

23.3

63.6

33.3

4.6

4.6

5.6

6.9

3.9

4.8

3.5

3.6

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

(n=932)

正社員(n=372)

契約、派遣(n=72)

パート、アルバイト

(n=144)

公務員

(n=51)

経営者・役員

(n=21)

自営業

(n=86)

就業していない

(n=165)

その他

(n=21)

収入減少 収入変化なし 収入増加

第Ⅱ章 特別調査(県内男女を対象に、今年4月の消費行動を調査)

調査対象を県内男女に拡大した特別アンケートを実施した。新型コロナウイルス感染症の影響が

出始めて以降、県内在住者の本年4月の「収入」や「支出」等が実際にどう変化したのかについて

調査している。

1.収入と支出について

(1)就業状態別4月の収入増減

➢ 「パート・アルバイト」および「自営業」の収入減少が深刻。

全体で約4割の回答者が、今年4月の収入が前年よりも減少したと回答した(図表12)。減少

した理由として、「働き方改革」やコロナ対策のためのテレワークの導入による時間外勤務の減少

に加え、企業の休業による労働日数の減少が目立った。「自営業」は休業要請や外出自粛要請によ

る客足の低迷が深刻な影響を及ぼし、収入が減少した回答者の割合が最も高かった。

また、収入が増加した人の割合は「パート・アルバイト」が最も高い。

図表12 就業状態別4月の収入増減

10

年代 性別 コメント

20代 男性 年金の納入が始まったため

20代 女性 残業時間の減少

20代 女性 時短勤務になったため

30代 男性 雇用形態の変化

30代 女性 育休中のため

30代 女性 配偶者の退職

40代 男性 配偶者の労働時間減少

40代 女性 新型コロナによる仕事の減少

50代 女性 家賃収入減。コロナで異動がないため新規入居がない

60代以上 男性 売上減少

60代以上 男性 家賃収入が減る

60代以上 男性 パートを辞めた

60代以上 女性 新型コロナウイルスで受注が減ったため

65.3

21.0

8.3 5.7 6.7

0

10

20

30

40

50

60

70

給料減少 休職 退職 転職 その他

収入減少(%)

(2)4月の収入減少の理由

➢ 収入減少の理由は「休職」21.0%、「退職」8.3%。

4月の収入減少について、その理由をたずねたところ、65.3%の回答者が「給料の減少」を選

択した。次いで「休職・休業」21.0%、「退職・失業・廃業」8.3%だった(図表13)。

自由回答から、産休・育休だけでなく新型コロナウイルスによる仕事の減少、労働時間の短縮

等の影響が見られた。

図表13 4月の収入減少理由 【4月の収入減少理由に関するその他の回答】

(複数回答)

(3)就業状態の変化と4月の収入増減

➢ 就業状態に変化があった回答者のうち 71.3%が収入減少。

➢ 就業状態に変化がなくても収入減少した回答者は 38.3%

国内でもコロナの影響が出始めた今年 1月以降で、就業状態に変化があったどうかをたずねた。

就業状態に変化があった回答者のうち 71.3%が収入減少していた。定年退職に加え、図表13

で述べた休職者も多く含まれている。新卒者の就職時期だったこともあり増加は 7.0%いた。

ただし就業状態に変化がなかった人でも、38.3%が収入減少と回答している。(図表14)

図表14 就業状態の変化別4月の収入増減

38.3

71.3

57.2

21.7

4.4

7.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

就業状態変化なし

(n=652)

就業状態変化あり

(n=115)

収入減少 収入変化なし 収入増加

11

49.2 19.6 12.0 8.5 3.8 6.8

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

全体(n=1040)

生活費 貯蓄 家具・家電、住居、自動車 趣味・娯楽 旅行 その他

(%)

-0.8

1.8

32.6

38.6

-40.7

-32.4

39.6

-37.0

16.6

1.0

-3.4

-29.8-27.7

4.0

0.4

27.8

32.2

-32.4

-24.1

35.0

-32.2

7.2

-0.6

-5.4

-22.9

-3.2

4.77.0 9.3

44.2

-27.9

-18.6

30.2

-20.9

7.0

18.6

2.30.0 0.0

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

食費

住居費

水道光熱費

生活用品・雑貨

衣料品

化粧・美容関連

保健・医療

交通費

通信費

教育

教養娯楽

高額商品

貯蓄・投資

収入減少 収入変化なし 収入増加

(4)4月の収入増減別項目別支出増減

➢ 収入増減によらず支出が増加したのは「住居費」「水道光熱費」「生活用品・雑貨」「保健・

医療」「通信費」

収入が増加した回答者で大きくプラスとなったのは「教育」。回答者全体での「教育費等」の今

後の支出見通しは激減した(図表9)一方で、4月の支出が増加したという回答は多かった。

収入が減少した回答者ほど支出が増えていた項目は「水道光熱費」「保健・医療」「通信費」で、

労働時間が減って収入が減少した人ほど家で過ごす時間が増え、支出が増えたと考えられる。

図表15 項目別支出増減(4月の収入増減別)(支出が「増えた」-「減った」)

2.特別定額給付金について(使用目的・使用時期)

➢ 4月の収入増減にかかわらず、多くの回答者が特別定額給付金を 1か月以内に使用予定。

➢使用目的で最も多かったのは「生活費」の 49.2%で、最も少なかったのは「旅行」の 3.8%。

➢「生活費」に充てると回答した人の割合は、収入が減少した回答者で最も高かった。

特別定額給付金の使用目的をたずねたところ、約半数の回答者が「生活費」に充てると回答し

た(図表16)。「生活費」に次いで多いのは「貯蓄」であり、当面の使用予定がない回答者や、

収入減少で貯蓄を切り崩した回答者が多く選択した。また「その他」では税金の支払いに充てる

という回答も多かった。また、「生活費」に充てる人の割合は4月の収入が減少した回答者で高く

なっている。(図表18~20)

図表16 特別定額給付金の使用目的(全体:n=1040)

12

55%26%

18%1%

1か月以内 年内 当面使用予定なし その他

49%

28%

22%1%

1か月以内 年内 当面使用予定なし その他

44%

29%

26%

1%

1か月以内 年内 当面使用予定なし その他

63%

23%

14% 0%

1か月以内 年内 当面使用予定なし その他

59.4

48.8

29.9

9.9

8.3

53.4

50.0

12.2

19.4

2.6

10.0

9.3

8.3

7.3

1.0

9.0

3.8

8.3

6.2

3.0

40.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1か月以内

年内

当面使用予定なし

その他

生活費 貯蓄 家具・家電、住居、自動車 趣味・娯楽 旅行 その他

68.2

56.9

38.2

8.4

5.9

51.5

50.0

7.5

17.6

1.5

7.0

6.9

1.5

0.9

5.9

4.4

7.9

6.9

2.9

50.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1か月以内

年内

当面使用予定なし

その他

生活費 貯蓄 家具・家電、住居、自動車 趣味・娯楽 旅行 その他

48.4

44.6

28.1

13.1

8.8

53.1

33.3

18.1

19.6

2.3

16.7

11.8

10.8

8.6

0.9

10.8

4.7

7.7

5.4

3.1

50.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1か月以内

年内

当面使用予定なし

その他

生活費 貯蓄 家具・家電、住居、自動車 趣味・娯楽 旅行 その他

44.4

30.0

0.0

3.7

20.0

66.7

14.8

30.0

14.8

33.3

3.7

10.0

18.5

10.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1か月以内

年内

当面使用予定なし

その他

生活費 貯蓄 家具・家電、住居、自動車 趣味・娯楽 旅行 その他

図表17 特別定額給付金の使用時期・使用目的(全体:n=932)

図表18 (4月の収入が減少した回答者)特別定額給付金の使用時期・使用目的(n=386)

図表19 (4月の収入が変化なしの回答者)特別定額給付金の使用時期・使用目的(n=503)

図表20 (4月の収入が増加した回答者)特別定額給付金の使用時期・使用目的(n=43)

(研究員 古田 千智)