21世紀の社会構造を考えた 地震防災研究の創造 · 2014-10-03 ·...

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21 21 世紀の社会構造を考えた 世紀の社会構造を考えた 地震防災研究の創造 地震防災研究の創造 人口減少期に襲来する巨大地震への対策について 人口減少期に襲来する巨大地震への対策について ) 名古屋工業大学大学院・教授 ) 立命館大学歴史都市防災研究所・副所長 谷口仁士 平成26年度・中部大学防災講演会 2014年10月1日

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2121世紀の社会構造を考えた世紀の社会構造を考えた

地震防災研究の創造地震防災研究の創造

〜〜人口減少期に襲来する巨大地震への対策について人口減少期に襲来する巨大地震への対策について〜〜

元) 名古屋工業大学大学院・教授

元) 立命館大学歴史都市防災研究所・副所長

谷口仁士

平成26年度・中部大学防災講演会

2014年10月1日

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=地震防災研究の足跡=

1854年安政南海地震直後の土佐の被害の様子(絵本大変記、絵師・金蔵、高知県立図書館蔵)

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19世紀後半

地震学、地震工学、耐震工学などを取り巻く学術環境の変遷(概要)

・1880年横浜地震と地震学会の設立(世界初).ジョン・ミルンなど御雇技術者が中心。主に、地震計の開発が行われる。

・1891年濃尾地震発生。この地震が残した教訓1)ヨーロッパ建築技術の脆さ(日本建築技術の見直し)2)地震研究の重要性(菊池大麗)/震災予防調査會の発足

1892年-1925年まで(地震学や地震防災の基礎)

20世紀前半

震災予防調査会の活動が中心(地震予知と減災)・地質学、地球物理学、建築学など広い視点から「地震と被害発

生メカニズムの研究」。予知と耐震など。・地震学者:大森房吉(ジョン・ミルンの弟子、大森式地震計、関

東地震説をめぐる今村明恒との論争)・佐野利器:世界初の耐震設計。1919年市街地建築物法制定・1923年関東地震→発展的に解消し地震研究所(東大)を設置

・鳥取、東南海、三河、南海、福井地震などで甚大な被害が発生・1950年に福井地震(1948年)の教訓から木造建築物の耐震基

準を改訂

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・2000年鳥取県西部地震をはじめ、M7クラスの地震が多発。ま

た、この頃より「東海・東南海・南海地震」の同時発生が指摘。・1995年阪神・淡路大震災が残した教訓が社会科学の中に浸透。・2011年東日本大震災が発生。この地震が残した多くの教訓とは。1)津波災害からの復興政策(予防を含む)2)原発災害への対応と対策(課題は山積)

・南海トラフ巨大地震による震度と津波(内閣府、2013年)1)M9.1の巨大地震は、今世紀前半ごろまでに発生か?2) 神奈川県から九州まで太平洋沿岸地域に甚大な被害が発生3) 30mを越える津波が徳島県や高知県を襲う4)220兆円の経済被害が発生すると予測されている

・2030年〜2050年に、人口減少や少子高齢化による消滅危機の自治体は、約900にも上っている。(日本創成会議、人口問題

研究所)

21世紀前半

・1962年「地震予知-その現状と推進計画」(地震予知ブループ

リント)が今までの研究成果に基づいてまとめられた。・1965年予知研究計画を開始。現在までの多くの研究は、ブ

ループリントに沿ったものである。(1969年東海地震説)・1995年阪神・淡路大震災は21世紀への新たな課題を提起。

20世紀後半

同時期に発生

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21世紀型の地震防災研究には

←リスク経済工学→

[地震学、地学];地震が発生しそうな場所、規模、時間

[工学];被害予測、耐震技術など

[経済学];直接被害額や間接被害額の算定など

・現在の地震学や地震工学の基礎学理

・南海トラフ巨大地震への対応

・緊急地震速報

「予防(耐震)」を目的とした都市防災やリスク評価

「復興」を目的とした被災地の経済リスク評価また、復興を左右する被災地の経済特性(人口など)

「予防」 「復興」

地震工学

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本日の話題説明に入る前に条件

1. 南海トラフ巨大地震の発生は、2030〜2050年とする

2. 被災者の条件として*現在、20歳の男性および女性

*卒業後、愛知県内の企業に就職*男女とも、30歳前後で結婚もしくは独身

*子供は、1人名*マイホームを購入済み、もしくは計画中*住宅価格は3000万円で、ローン返済期間は30年

3. 春日井市を被災地とする

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21世紀前半ごろまでに発生する社会構造と自然現象

1. 急速に進む人口減少と少子高齢化の到来2. 南海トラフ巨大地震の襲来

21世紀型の地震防災研究(技術)の開発が必要

経済復興は 可能か?

キーワード:経済損失の規模+(人口減少・少子高齢化)=復興戦略(政策)or復興シ

ミュレーション

本日のテーマ

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地震発生から復興までに、何が起こる?

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地震

液状化

斜面崩壊

基盤・増幅

津波

地震動

建築構造物

土木構造物

Lifeline

交通パニック

出火・延焼

死 傷

活動の低下

生活の困難

心理的被害

広域化・長期化

震害連鎖構造の概要

経済復興は震害連鎖の 終章!:主に経済的な被害(21世紀型研究の一つである)

復旧・復興フェーズ被害発生・拡大期( 大3日間)

理学・工学分野でシミュレーション手法が開発 シミュレーション手法は未開発

地盤災害 1次被害 2次被害 3次被害

活動の低下 :被災地の経済活動が低下(経済インフラの崩壊)

生活の困難 :世帯の生活被害(生活復興ポテンシャル)

ハザードマップ 被害想定マップ

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ただし、2000年以前の被害金額は2000年に換算

1995 兵庫県南部地震(兵庫県) 約10兆円

1964 新潟地震(新潟県) 約2.2兆円

1968 十勝沖地震(青森県) 約4368億円

1993 釧路沖地震(北海道) 約537億円

1984 長野県西部地震(長野県) 約754億円

1983 日本海中部地震(青森県) 約890億円

1993 北海道南西沖地震(北海道) 約1257億円

1978 宮城県沖地震(宮城県) 約6467億円

2003 宮城県北部連続地震(宮城県) 約639億円

2003 三陸南地震(岩手県) 約117億円

1997 鹿児島県北西部地震(鹿児島県) 約142億円

2000 鳥取県西部地震(鳥取県) 約576億円

2001 芸予地震(広島県) 約73億円

2003 十勝沖地震(北海道) 約298億円

経済的な視点からの被害

1964 新潟地震(新潟市) 約1.7兆円2004 新潟県中越地震(新潟県) 約1.5兆円

自治体が公表した直接被害総額

(2次被害までの合計値)

これらの地震は震度5以上である。

1948 福井地震(福井県) 約4.6兆円(参考値)

GDP比(1995/該当年)によるデフレーター

0

10

20

30

40

50

60

70

1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

年(西暦)

倍率

1位

東北地方太平洋沖地震(2011)

2位

兵庫県南部地震・兵庫県(1995)

3位 新潟地震・新潟県(1964)4位

新潟地震・新潟市(1964)

5位

新潟県中越地震・新潟県(2004)

6位

宮城県沖地震・宮城県

(1978)

2011東日本大震災(東北3県) 約23兆円

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予防対策 緊急対応 復旧・復興

被害発生の危険度を知る

地震・津波の発生危険度を知る

時間

地震・津波発生の地域特性

都市(地域)の自然環境特性

都市(地域)の社会環境・経済構造や活動(生活)情報の把握

重要施設の確保

人命救助と災害波及阻止 世帯を単位としたくらしの再建へのしくみ

地域経済の復興へのしくみ

地形・地質

地盤構造

地震動・震度

社会基盤施設の耐震性能

建築物の耐震性能評価

二次災害の危険度評価

地震・津波被害危険度の定量評価

人命救助

負傷者のケア

二次災害阻止

社会基盤施設の早期復旧・復興戦略

より耐震的な建築物の建設

「くらし」と「生業」の復旧・復興

病院

運輸・通信

道路の確保

ライフライン

地域産業の早期復旧・復興支援

被災者生活支援

住宅確保

運輸・通信システムなど

産業被害分析と対策

地盤災害の危険度と耐震

早期被害把握

地震

予防と対応・対策

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暮らしの復興、地域の復興に向けて

1995年阪神・淡路大震災

2007年能登半島沖地震2007年新潟県中越沖地震

2004年新潟県中越

地震・小千谷市内

の避難所にて

人口流出による消費 活動の変化と消費機 会損失額の事例解析

(神戸市)震災ありと無しの比較

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北区北区

中央区中央区

長田区長田区

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東灘区東灘区

須磨区須磨区

西区西区

東灘区東灘区

須磨区須磨区

西区西区

神戸市の区別人口の時系列変動(実績値と予測)

1995年

予測値(震災なし)

実績値(震災あり)

人口増加

人口減少

地震発生

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灘区灘区

垂水区垂水区

兵庫区兵庫区

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東灘区 灘区 兵庫区 長田区 須磨区 垂水区 北区 中央区 西区 神戸市

1994~1995年 200 150 100 200 70 ▲10 ▲60 40 ▲70 620

1995~1996年 430 340 230 420 170 ▲10 ▲110 90 ▲150 1410

1996~1997年 400 320 230 440 190 30 ▲70 90 ▲140 1490

1997~1998年 350 280 230 460 210 60 ▲20 80 ▲100 1550

1998~1999年 200 150 170 300 220 130 90 10 ▲10 1260

1999~2000年 40 10 100 140 210 180 200 ▲50 120 950

2000~2001年 ▲20 ▲60 70 130 200 180 300 ▲60 230 970

2001~2002年 ▲70 ▲100 60 100 190 190 350 ▲90 300 930

2002~2003年 ▲100 ▲130 50 70 180 190 390 ▲110 320 860

2003~2004年 ▲130 ▲160 40 40 180 190 420 ▲130 360 810

TOTAL期間 1300 800 1280 2300 1820 1130 1490 ▲130 860 10850

神戸市10年間累積消費機会損失概算額(単位:億円)

▲は震災による需要が増加を意味する▲印は、消費額が震災なしと比較して、増加したことえを意味している

2004年までの10年間の消費機会損失額:1兆850億円、長田区:2300億円

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神戸市の域内総生産額(GRP)の変動による 影響度(間接被害額)の推定

1. 震災が発生しなかったという仮定条件でGRPを推計

自己回帰モデルによって推定(ARモデル)2. 阪神大震災後のGRP変動実績値

震災によるGRP(産業別)変動を定量的に把握

3. その差を「地震による間接被害」と定義する

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神戸市のGRP推移と震災が無かった場合を想定したGRP推移の比較

GRP(地震なし)-GRP(地震あり)=2.5兆円

この2.5兆円および10年間が間接被害額と長期的な影響期間である。

地震なしと仮定した場合のGRPと実際のGRP(地震体験)とを比較する。

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幾度と無く繰り返す巨大地震による被害

既往の被害地震 の特徴

経済損失の規模と特徴

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地形 山、中山 丘陵地 平野 扇状地 沿岸地

人為 山村、里山 都市郊外 市街地 都市郊外 漁村

中心被災地で分類した既往の被害地震

1948福井 1964新潟 1968十勝沖

1984長野県西部 1978宮城県沖 1983日本海中部

1995阪神大震災 2001芸予 1993北海道南西

2000鳥取県西部 2004新潟中越 2007新潟中越沖 2003十勝沖

2008岩手宮城 2007能登半島

2011 東日本大震災

春日井市

:春日井市にとって参考となる被害地震の候補

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直接被害額 内訳分類表

被害項目の分類を

統一すると、被害

を把握しやすくなり、

他の地震との比較

も可能となる。

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既往14地震被害額内訳比較

0%

20%

40%

60%

80%

100%

宮城

県沖

地震

釧路

沖地

三陸

南地

新潟

地震

新潟

地震

兵庫

県南

部地

十勝

沖地

日本

海中

部地

三陸

南地

日本

海中

部地

北海

道南

西沖

地震

鳥取

県西

部地

芸予

地震

十勝

沖地

宮城

県北

部連

続地

鹿児

島県

第2北

西部

地震

北海

道南

西沖

地震

宮城

県北

部連

続地

鹿児

島県

第1北

西部

地震

釧路

沖地

鳥取

県西

部地

長野

県西

部地

芸予

地震

1978 1993 2003 1964 1964 1995 1968 1983 2003 1983 1993 2000 2001 2003 2003 1997 1993 2003 1997 1993 2000 1984 2001

そのほか

医療衛生施設

ライフライン

商工関係

農林水産業

流通関係

都市施設

建物

都市型

災害とい

われる

地震ほ

ど、商工

関係被

害額の

占める

割合が

大きい( 高

36%)

商工関係被害額の割合の高いものから並べ、被害の特徴を見た

宮城県

北海道 新潟市

新潟県

兵庫県

宮城県

被害項目の割

合は社会経済

構造や被災地

の自然環境と

深い関係にあ

る。

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1948福井 1964新潟 1968十勝沖

1984長野県西部 1978宮城県沖 1983日本海中部

1995阪神大震災 2001芸予 1993北海道南西

2000鳥取県西部 2004新潟中越 2007新潟中越沖 2003十勝沖

2008岩手宮城 2007能登半島

2011 東日本大震災

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

地盤災害 一次被害 二次被害 三次被害

中山間部

都市部

沿岸部

被災地域と被害別特徴(概要) 経済被害

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南海トラフ巨大地震(M9.1)の発生は、

=いつ?、どこで?

どのような地震?=

そんな事、知りまへん!

地震鯰を懲らし

める鹿島大明

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南海トラフで発生する海溝型地震(M

8級)と内

陸地震の発生の様子(地震活動期)

南海トラフで地震が発生した後、活発な地震活

動は見られなくなる(静穏期)

1707年宝永地震

1854年安政東海、南海地震

1944,46昭和東南海、南海地震 1995年阪神大震災へ

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27

時間予測モデル(重要)

M8.4

M8.4

M8.0

2200200018001600140012001000800600

地震の規模(M)

M8.25

? M8.0~8.3(1096年に東海沖で地震)

M8.0

M8.0~8.5

M8.2~8.4

M7.9

M8.6

M8.4

684.11

887.8

1099.2 M8.25~8.5

1361.8

1498.9

1605.2

1707.10

1854.12

1946.12

2040~

50年

頃に発生か?

西暦1300年以

降の地震では、

大凡100年間

隔で発生してい

る。しかし、 短

で90年、 長

で147年と、そ

の間隔にはバラ

ツキがある。

地震発生年(西暦)

M8.0に相当

「いつ?」

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「どこで?」「どのような?」

1605年慶長地震

日向

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小千市/ 2004.10.23新潟県中越地震

「南海トラフ巨大地震でどのような被害が発生?」

内閣府推定

32万3000人が死亡静岡県:10万9000人、三重県:4万3000人愛知県:1万5000人

経済被害額:220兆円(全国)

1891年濃尾地震で出現した断

層(高低差:6m、断層記念館

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被害規模の尺度として“経済被害(被害額)

経済的な被害には、

1. 直接被害額・・再調達価格2. 間接被害額・・機会損失額(時間積分値)

直接被害額の軽減:耐震的な構造(予防)間接被害額の軽減:復興時間の短縮

戦略として*人口流出の阻止*流入人口とその定着推進

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直接被害額と民力総合指数の関系

長野県西部地震

新潟地震(新潟市)

兵庫県南部地震

釧路沖地震

ばらつきの原因

1.被災地域の広がり

2.被災地域の震度の相違

3.大規模地盤災害の有無

宮城県沖地震

日本海中部地震(津軽)

Yp=0.0347・Se241.3119

長野県西部地震

新潟地震

阪神大震災

日本海中部地震

(社会資本ストック)

(直接被害額、兆円)

東日本大震災(岩手、

宮城、福島県、3県の

民力総合値は270.2)

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総合指数

(30指標)

基本指数(6指標)

産業活動指数

(6指標)

消費指数(6指標)

1.人口

2.世帯数

3.事業所

4.県民所得

5.国税

6.地方税

7.農業総生産額

8.林業9.水産業

10.工場数11.工業製造品年間出荷額12.就業者

13.商店年間販売額

14.電灯15.預貯金

16.一般公共事業費17.着工住宅

18.自動車

民力データ総合指数の構成(都道府県単位)

Se30

19.教育費

20.書籍雑誌21.新聞

22.図書館

23.ブロー

ドバンド契約数

24.郵便

25. コンビニ数

26.保育所

27.公民館

28.都市公園面積29.病院数

30.1刑法犯認知

文化指数(6指標)

暮らし指数(6指標)

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変化なし現時点での地

域に適用可能

将来の社会経済構造の

把握が必要

I

現時点でのて適用可能式

Yp:直接被害額(兆円)、Se24 :民力総合指数(24指標)、PL:液状化危険度指数、

I:震度補正係数、Si :計測震度

D1:揺れによる被害補正係数=1.0、

D2:大規模な斜面崩壊による被害補正係数=4.5

将来の社会への適用には!

民力総合指数の把握が必要である。その他の変数はハザードの指数であり、将

来も変化なしとする。

(都道府県単位)

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岐阜大学・杉戸研究室提供

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液状化危険度DATAハザ

ー ド (

液 状 化 危

険度)の推定

岐阜大学・杉戸研究室提供

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経済被害(直接被害額)の推定③

ただし、南海トラフ巨大地震の想定ではなく、東海・東南海・南海地震同時発生のモデルを想定した

結果である。

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直接被害額推定式(改良版,2005)

Se10 :民力総合指数(10指標)(市町村別)

Si:震度(計測震度)PL:液状化危険度指数

D1,D3:Hazardに関する補正値

地震動被害が主体: D1=1.00大規模斜面崩壊が発生: D3=4.51

D1Yp=0.000291×Se101.0188×I×(0.03・PL+1)×D3

I=3/(1+4.61×108exp-3.5・Si)

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東海・東南海複合型地震による直接被害額予測結果(津波および大規模斜面崩壊による被害額は含まず)

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複合型地震による商工業関連被害額(平成の合併前)

東海・東南海複合型地震による商工業関連被害額予測結果(津波および大規模斜面崩壊による被害額は含まず)

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経済学では、リスク

:確率で表せる事柄不確実性:確率で表せない事柄

標準モデルとしては、「確率×効用=期待効用論」が大勢的である。事例

1)当たりと外れの景品が同じ確率で箱に入っている場合期待効果=50%×当たりの効用+50%×外れの効用

2)当たりと外れの景品の確率が不明の場合(地震発生や防災対策)

期待効果=X%×当たりの効用+(100-X)×外れの効用

確率を正確に見積もるのは難しい。確率を予測できない現象を「ブ ラックスワン」と称し、未曾有の巨大地震とその後の原発事故、御岳 山の噴火などが該当。その後、人間は“完全無視”か“過剰な反応”へ と極端に振れる。費用対効果を考慮し、「予防的なリスク削減措置」を 講じるべきである。その為にも、21世紀型の防災研究が不可欠。

質問:さて、人間は上記 1)か

2)のどちらを選ぶでしょうか?

答え:上記1)を選ぶ方が多い。理由:2)の場合は、確率分布が不明のための曖昧さを嫌うから。

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コラム

震災後の復興と将来への 予防に尽力した人

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ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)

「公助の例」モデル

浜口梧陵(浜口儀兵衛)

和歌山県・広川町

防災教育読本とし

ての、原点「稲村

の火」

村人を稲に火を

つけて救った、と

される人物。

小泉八雲により

「A

LIVING GOD」

(生神様)

として紹介された

1854年安政南海地震で広村に押し 寄せた津波。1946年昭和南海地震 でも津波襲来。

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広川町(広村)役場の前に立って いる「山口梧陵」の銅像

右の写真は、1854年の津波の後 に築堤された「津波防波堤」。1946

年昭和南海地震で村が守られた。

毎年11月3日には「津波祭り」が挙 行され、今でも市民のアイドル!

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2030年、その時、春日井市の社会経済構造は?

1.人口減少2. 急速な高齢化3. 人口の激減に伴うGDPの減少4. 若年女性(20〜30代)の減少により存続危機に瀕する

自治体(約50%)5. 扶助費(年金、医療保険、生活保護、など)の増大

この5項目は、復興力(復元力)にどのような影響 を及ぼすのか?

復興財源の確保が困難になるのか?

本題にもどります

「全国でも発生する共通課題」

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年代20 世

紀初

21 世

出生率死亡率

出生率

第一段階多産・多死

人口の転換期

死亡率

第二段階多産・中死

第三段階中産・小死

第四段階小産・小死

後・団

第二の人口転換期の到来

(人口減少期)

第一の人口

転換期

南海トラフ巨大地

震の襲来(2030か

ら2050年ごろ)

人口転換第1段階:多産・多死の時代;第一次産業が中心第2段階:多産・中死の時代;幕末〜1950年ごろまで

第3段階:中産・小死の時代;第4段階:小産・小死の時代;第5段階:極小産・中死の時代;人口減少(団塊世代)

人口オーナス期人口ボーナス期

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南海トラフ巨大地震発生!( 短周期に対応) 南海トラフ巨大地震発生!

(100年周期に対応)

2010〜2060年までの人口予測(国立社会保障・人口問題研究所、中 位予測、単位:千人)に加筆。

南海トラフで発生するM8級の巨大地震は、過去、大凡100年周

期で発生している( 短;90年、 長:147年)。 新の発生イベ

ントは、1946年昭和南海地震である。 短周期では2036年、100 年周期であれば2046年、 長周期の場合は2093年に発生する。

南海トラフで

発生する地震

の特徴

南海トラフ巨大地震発生!( 長周期に対応)

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第一次ベビーブーム:1947-1949年いざなぎ景気:1965-1970年第二次ベビーブーム:1971-1074年バブル景気:1987-1991年

500兆円 1987〜1992年:バブル期

2008年リーマン・ショック

2013年のGDPは、478.4兆円(2000年のGDPが、過去 高で509.9兆円)今後は、人口減少・高齢化などにより、500 兆円をキープ出来る否かは不明である。

1968年GDP世界第2位

1955年〜78年GDPの実質成長率10%以上

1985年プラザ合意で円高不況

不況に対し日銀は金融緩和を繰り返す 金融緩和の副作用でバブル崩壊

・1997年消費税5%、

・北海道拓殖銀行綻、・山一証券が自主廃業

2001年戦後初の「デフレ」[将来の国家財力は?]

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GDP(単位;10億円)

1985年

1990年

1973年

GDPと国富の経年変化と相互関係

1977年

1991年

1996年

1999年

国富(単位;10億円)

バブル期

GDP:国富=1:1

GDP:国

富=

1:10

GDP:国富

=1:5 将来的にはGDPの減少

で国富は減少し、その

比率は1:5になると予測

GDP:国

富=

1:8

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2. 被災地の特徴

楽しく太鼓を打つ、子

ども達(2006.8月)

暮らしの復興へ向けて

震災から一年目のお祭・輪島市

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生理的欲求(衣食住)

安全欲求(病気)

社会的欲求

自我欲求

自己実現欲求

自発的創意

経済学的視点からの人間の欲求段階 ( by マズロー)

妻子、住宅購入など

社会的地位

Lever 1 (ほぼ、あなた方の年代では達成されている)

Lever 2

(ほぼ、あなた方の年代では達成されている)

Lever 3

(30代〜40代が中心)、結婚・出産・育児、マイホームの購入)

Lever 4

(50代ごろから気にするようになる)

Lever 5

(Lever4を達成後、60代)〜)

これからの皆さんの欲求は・・・・

:人生で一番多忙な時期

:3030年の皆さん

被災した皆さんは?

2050年に地

震が発生し

た場合は、

孤独死が発生

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年代10 20 30 40 50 60 70 80 90

収入(万円)

支出(万円)

500

1000

1500子供

マイホーム

-500

-1000

-1500

年金生活

大学卒業・社会人

結婚

凡 例

0

世帯の消費支出消費支出の 低ライン

世帯を単位とした経済力の動態(概要) 貯蓄残高(万円)

1000

2000

3000

4000

南海トラフ巨大地震発生(仮定)個人からの提供データ(読売lifeからの引用2014)

[手取り額]同上による支出総額(貯蓄は除く)

修学期間:1500〜

3000万円必要

貯蓄額の経年変化

単身者:年代別男女平均貯蓄額(万円)

2人以上世帯:年代(前半、後半)貯蓄額(万円)

5歳階級別平均年収額(万円)

2030 20502040

:現在、20歳の人が南海トラフ地

震に遭遇した時の年齢

:現在50歳の人が南海トラフ地

震に遭遇した時の年齢

人間の欲求段階 :

Level 3 Level 4 Level 5

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世帯単位の生活力(経済力)を自衛するために

35歳で夫の年収600万円、妻は専業主婦、子供2人で小・中学校のみ公立の場合

単位:万円

子供1人について、全て国公立:大学卒業までに約1000万円+生活支援費用全て私立:大学卒業まで、文系:約2400万円、理系:2500万円

+生活支援費用高校まで国公立、大学は私立:約1200万円(文系)、約1300万円

+生活支援費用

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2030年に「36歳」になった皆さんの生活環境は?

Ⅰ. 単身者の場合1) 年間収入額・・400万円(収入は安定)2) 貯蓄額・・350万円3) 今後の計画は・・「パートナーの募集」「マイ

ホームの購入」

Ⅱ. 2人以上の世帯の場合(夫婦と子供1人)1) 年間収入額・・650万円(2人の収入の合計)2) 貯蓄額・・450万円3) 今後の計画は・・「もう1人子供が欲しい」

「マイホームも購入したい」

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生活復興へのリスク認知と事前対策

Ⅰ. 単身者の場合1) 安全(耐震的)なアパートやマンションに住む事2) 建物や室内での負傷の危険性を低減すること3) 重篤な負傷をすれば、「パートナーの募集計

画」や「マイホームの購入計画」も頓挫する4) 350万円の貯蓄も0(ゼロ)になる可能性大

単身者の場合、怪我と病気は人生計画を根 本から狂わし、欲求段階のLevel 2で終わって しまいます。30代の前半までにはパートナー を見つけ、「リスクの分散」を考える事。

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生活復興へのリスク認知と事前対策

Ⅰ. 2人以上の世帯の場合1) 安全(耐震的)なアパートやマンションに住む事2) 建物や室内での負傷の危険性を低減すること3) 重篤な負傷をすれば、「マイホームの購入計

画」も頓挫する4) マイホームの購入は、安全な場所で耐震的な

建物にすべき(ハザードマップの活用)5) 450万円の貯蓄も0(ゼロ)になる可能性大

家庭内での“自助と共助”の確立が必要

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地域の復興へ向けて

(能登半島の風物詩・御陣所

太鼓、恋が浜・輪島市)

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人口データで見る“春日井市”の特徴

復興のためには、人口流出を防ぐことが大切

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総合指数

基本指数

産業活動指数

消費指数

文化指数

暮らし指数

(指数)

9都市圏における人口1万人当たりの民力指数の比較

:東京23区

消費指数については、刈

谷市と夕張市を除く都市

圏では大きな差は生じて

いない。

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民力による各指数を示した前図から“予想”できるこ とは?

(1万人当たりの各指数に加工)

1. “総合指数”:大きな地域差は発生していない。特に基本指数 の地域差は、殆どない。

2. “消費指数”については、地域の購買力(産業の活発化)を反 映している様子が伺える。例えば、夕張市(財政破綻): も

低く、刈谷市(トヨタ関係企業が多数活動)が も高い3. “産業活動指数”:刈谷市、稲沢市の順。両市とも2次産業と3

次産業が活発。『なぜ、春日井市は低いのか?』4. また、なぜ、春日井市は全ての指数で低いのか?特徴が無

い?住宅都市の特徴?

など・・・・5. 春日井市では、どの指数とも大きな変動はない。何故か?6. 文化指数と暮らし指数が低く、かつ、他の指数も低い「春日井

市」の将来の魅力は何か??

人を引き留める魅力が必要7. 春日井市は「名古屋市の衛星都市(住宅供給地域)である。8. 震災後は、神戸市の西区や北区のようになるかも知れない。

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春日井市を中心に、稲沢市と刈谷市の 人口動態を比較

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春日井市の人口動態(1965〜2013年)、

総人口31.0万人(2014)

社会増減(転入−転出)

自然増減(出生−

死亡) 1965

1975

1985

1990

2000

2010

第1次ベビーブーマの就職と活

動時期に該当

第2次ベビーブーム

第一次ベビーブーム:1947-1949年いざなぎ景気:1965-1970年第二次ベビーブーム:1971-1974年バブル景気:1987-1991年2013

1970

1980

1.自然減は確実に

進行2.社会増減につい

ては、+1000人

〜-500人の範囲で

変動。この揺らぎ幅の原因は?

3.2030年ごろの人

口動向は?

2008

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春日井市・総人口の経年変動(1960〜2040年)

社会増減が大きく変動。自然増

は継続しているが、1975年以降

の増加率は減少している。

社会増減は0、自然増加率の減速が始まる

小規模な社会増減が開始(+1200〜-500人)、

自然減の加速化が見られる

2020年人口のピーク到来

(31.09万人)

軽微な社会増減を繰り返し、自然減

の加速が始まる(予想:谷口、2014)

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春日井市の男女差数の経年変動(男ー女)、人 1965-1975年:第一次

ベビーブーマーが就職

1985-1990年:バブル期

女性の方が多くなる傾向(高齢化が急速に進行か?)住宅地域特有の傾向かも知れない?

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稲沢市の人口動態(1960〜2012年)、総人口13.5万人

社会増減(転入−転出)

自然増減(出生−

死亡)

1960

1970

1980

1990

2000

2010

第1次ベビーブーマの就

職と活動時期に該当

第2次ベビーブーム

第一次ベビーブーム:1947-1949年いざなぎ景気:1965-1970年第二次ベビーブーム:1971-1074年バブル景気:1986-1991年

1966 丙午

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(人)

(西暦)

人口予測値1965-1976年:社会増減幅が(+2500〜

+500人)と急激に変化。自然増がstop

稲沢市の総人口の経年変化

1976〜1988年:社会減と自然減が同時並

行で進行。社会減幅が(-1300〜+500人)

自然減(+1500人から+400人に激減。

今後は、社会増減(+300〜-300人)の幅

で変動。自然減は次第に加速。(谷口)

1989〜2005年:社会増減が出現。自然

減のスピードが鈍化。社会減幅が(+800 〜-500人)自然減(+600人から+400人) に減少。

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男女差数の経年変動(稲沢市)

男−女(人)

1965-1980年:第一次ベビーブーマーが就職。

女性が優位に多いのは、産業(繊維)による原因か?

(一宮市とも関係か?)しかし、男性の流入も加速。

1981-1994年:男性の流入が減少。

自然増の速度が鈍化して来た。

祖父江町と合併。女性人口増加。

2006年頃より、自然増から自然減に

移行する兆候が現れている。

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社会増減(転入−転出)

刈谷市の人口動態(1960〜2013年)、総人口14.1万人(2014)自然増減(出生−

死亡)

1960

1970

1980

2010

第1次ベビーブーマの就職と活動時期に該当

第2次ベビーブーム

第一次ベビーブーム:1947-1949年いざなぎ景気:1965-1970年第二次ベビーブーム:1971-1074年バブル景気:1987-1991年

1966年丙午

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刈谷市総人口の経年変動(人)

(西暦)

2020年人口のピーク到来

(14.9万人)

1965-1975年:第一次

ベビーブーマーが就職

1980-2007年:社会増減(+1000〜-800人)が目まぐるしく変化。

自然増は+1200〜900人程度で落ち着いている期間

今後も、社会増減(+1000〜-1000人の

幅で変動。自然増は次第に“減”になっ

ていくと予想される。(谷口)

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男女差数の経年変動(刈谷市)(男ー女)、人

1965-1975年:第一次ベ

ビープーマーが就職1985-1993年:バブル期

波打ちながらも、男性の方が多くなる傾向が続いている。企業の 活動に影響されているのか?製造業の街の特徴か?

2008年:リーマン・ショック

発生

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現在の春日井市の人口動態から将来を予測!

1. 人口変動について(災害後の人口流動が発生する可能性大)2. 行政基盤(財政規模と特徴)の堅固さ(930億円規模の財政)

*扶助費、地方交付税、市民税、法人税*市債残高

3. 経済構造の特徴(現在の特徴を変えることは難しい)4. 南海とラフ巨大地震から復興できるか?5. 2030, 2040, 2050年の春日井市を予想してみよう

春日井市の社会経済構造に影響を与える要因として、・名古屋市の衛星都市(ベッドタウン)・・名古屋市の地価が下

落すれば、人口流出が発生・加速・高蔵寺や石尾台ニュータウンの高齢化(適正な人口ピラミッ

ド)・・第2世代の定住化が不可欠・地域の産業は?(特徴は何か?)・・よく分からない・高齢化率は?

・・平均的な値より少し大きくなる可能性あり

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春日井市における2010年、2030年、2040年、2050年に 予想される直接被害額推定結果(試算段階)

推定式の開発

Yp=K(2000/(t))×0.0347×(1349.16×N春日井市(t)/N全国(t)

−0.0347)1.311×I×(0.03×PL +1)×D

ここで、K(2000/(t));GDPによるデフレーター2000年を基準t:当該年、

N:人口、

I:震度補正係数でI=3/(1+4.61×108exp(-3.5S

i))

Si : 計測震度PL :液状化危険度指数D:大規模斜面崩壊による割り増し係数で、

崩壊危険度Max;D=4.51(御岳山の崩落長野県西部地震)K:2000年のGDPを基準にした当該年度のデフレーター

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地震発生年(仮定) 直接被害額(億円)

間接被害額(億円)

合計(億円)

2014年 大 3,462 計算中

中位 2,554 計算中

小 1,671 計算中

2030年 大 3,636 計算中

中位 2,683 計算中

小 1,755 計算中

2040年 大 3,745 計算中

中位 2,763 計算中

小 1,808 計算中

2050年 大 3,739 計算中

中位 2,759 計算中

小 1,805 計算中

ハザードは地震発生年に関わらず変動なし。震度:愛知県発表による春日井市の震度:6弱

(計測震度:5.9,5.7,5.5)、液状化危険度PL 値:全市平均20, 15, 10の3ケースを考える。

直接被害額推定結果(暫定値として)、年間予算:約900億円

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2020年以降激変する社会が抱える問題(まとめとして)

1. 労働力不足の慢性化が加速(70歳定年制、高齢者の積極的活動)

2. 2025年以降、「沈む産業、浮かぶ産業」が顕在化する

3. 自動車産業も縮小に転ずる可能性大(産業構造の変化)

4. 損害保険会社に打撃が!(新規加入者より支払い者が増大か?)

5. 家電会社は大丈夫か?(若者が少なくなると買い替えが停滞)

6. 地銀の崩壊が進む(財産相続による預かり高が都市銀行へ流出)

7. 食品の70%が加工品になる時代

8. 躍進するコンビニ、衰退する百貨店!(2677店舗・愛知県全体)

9. 医療・介護産業も2050年まで(皆さんは大変)

10.低下する公的サービス(春日井市は人口減少も少ないので問題ないかも)

11.経済インフラの荒廃時代が来る(公共サービスの低下、財政難)

12.社会保障制度の崩壊による「老後難民」が!(今でも問題)

13.厚生年金の支給開始年齢の引き上げと減額(老後難民になる)

14.コンパクトシティー戦略(春日井市は該当する。人口30万人規模が対象)

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ご清聴ありがとうございました。

今後の皆さんの活躍に期待するとともに、 21世紀の地震防災をお願いします。