24Hシートを使ってスムーズな記録をしよう

社会福祉法人 瑞祥会特別養護老人ホーム 湊荘

サークル名：24Hサポート隊発表者 ：眞鍋 彩機械操作：小島江里加

香川県

定員：100名（内ショートステイ20名）開所：昭和50年（東かがわ市白鳥）場所：東かがわ市湊併設事業所：訪問介護、通所介護（定員30名）、

居宅介護支援事業所

【施設長より】平成26年9月1日に20床増床し、新しくユニッ

ト型特別養護老人ホームとして生まれ変わりました。移築に伴い、よりよいユニットケアサービスを提供するため、24Hシートを用いて個別ケアに取り組んでいます。

構成人員 7名 活動歴 8ヶ月（H27.9～H28.4）

平均年令 42歳 構成メンバーの職種

介護職員6人（副主任全員）生活相談員１人

最高年齢最低年齢

56歳26歳

主な活動時間 日勤、夜勤の記録時（業務時間内）

ミーティング回数ミーティング時間

15回（月２回）10：30～11；30

施設の「福祉」QC活動年数

28年

サークル名の由来：「24時間を通して、皆で入居者をサポートしたい！」という思いから生まれた。

１．サークル紹介

24時間シートとは？

【起床】 目覚めの時間は？目覚めの方法は？

【着替え】 着替えの時間は？着替えの選択はいつ？着替えたい衣服は？

【朝食】 朝食の時間は？・・・

【就寝】 就寝の時間は？

24時間シート聞き取り項目 24時間シート

時間 日課意向好み

自分でできること

サポートの必要なこと

7：30目覚める

朝はゆっくり寝たい

目覚まし時計で起きる

目覚めているかどうか訪室する

8：00 着替え明るい服が好き

衣類を選ぶ衣類の着脱を手伝う

・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・

22：00 就寝テレビを観ながら寝たい

横になるテレビのタイマーをかける

個別ケア暮らしの継続

馴染みの関係

終の棲家

【入居者にとってのメリット】

【職員にとってのメリット】

情報の共有化・一元化

ケアの標準化

ケア量の把握

職員の教育

「24Hシート」「個別ケア」って本当にいいの？

第１期：24Hシートを作成しよう【課題達成型】…ユニットケア方針を学び、24Hシートを作成する。

第2期：24Hシートを活用しよう【課題達成型】…移築後、実際に24Hシートを使用する。

第３期：24Hシートを使ってスムーズな記録をしよう【問題解決型】…H27年7月より、記録媒体を紙からPCに切り替え、24Hシートに基づいた記録を実施。

２．テーマの選定平成25年9月から、24Hシートに関するQC活動を３期に渡って実施してきた。

・入居者把握をより具体的に行うために正確な記録が必要なため・業務が記録に集中しがちな現状を解消する必要があるため・負担を減らし、前向きに記録に取り組めるようにするため

選定理由

３．活動計画担当者 ９月 10月 11月 12月 １月 ２月 ３月 ４月

テーマの選定 山本

現状把握 山下

要因分析・対策立案 東

対策実施 和田

効果の確認 中川

歯止め 網野

反省と今後の課題 眞鍋

計画実施

４．現状把握① 入力時間調査調査日：平成27年 9月18日～ 9月30日 介護職員 50名）

入居者１人分の入力時間を測定（12の日課のみ測定）

ユニット 平均（秒） 一番遅い人（秒） 一番速い人（秒）

1.2 294.9 386.3 122

3.4 212.5 331.8 113.9

5.6 355.4 447.2 193

7.8 229.7 571.9 55.5

9.10 268.6 448.6 135

全体 272.2

■入居者１人分の記録に一番遅い人と早い人で

約 ５分 差がある

■1ユニット10人分の記録に

約45分かかる※実際は早出・日勤・遅出・パートと役割分担している。

約４分半

４．現状把握②-1 入力漏れ・間違え調査（調査日：平成27年9月１6日～9月17日 介護職員 50名）

ユニット 漏れ・間違い数/全項目数

割合

1.2 15／534 2.8％

3.4 48／523 9.2％

5.6 34／493 6.9％

7.8 31／564 5.5％

9.10 62／594 11.4％

平均 38／542 7％ ■ユニット全体で190個漏れ・間違いがある

相談員が厳しくチェック！

【1.2.7.8ユニット担当】堀井ケアマネ

空欄66%担当者に関して

13%

状況記載欄に関して8%

提供時間に関して6%その他

7%

（２）入力漏れ・間違え方（１）日課別入力漏れ・間違い

４．現状把握②-2 入力漏れ・間違え調査（調査日：平成27年9月１6日～9月17日 介護職員 50名）

■空欄はただ単なる記入忘れなのかケアを忘れているのかが分からない。

排泄21％

リハビリ13%

服薬5%

おやつ5% その他11%

入浴10%

レク15%

水分補給20%

■項目が多い、「排泄」、「水分補給」は入力漏れ・間違いが多い。

ユニット 評価値

1.2 3.4

3.4 3.6

5.6 3.85

7.8 4.2

9.10 4.1

平均 3.83

評価が低い人

①年齢が高い人

②パソコンが苦手な人

③タイピングはできるが、入力漏れが多い人

４．現状把握③ ユニットリーダー評価（調査日：平成27年9月１8日～9月30日 介護職員 50名）

■個人能力の差が出ている。

ユニットリーダー５点満点評価 ※リーダー分は隣ユニットリーダーが評価

■マニュアルは簡易的なものであり、ばらつき、迷いがあって当然。

４．現状把握④ 現在のマニュアル（調査日：平成27年9月１8日～9月30日 介護職員 50名）

４．現状把握⑤ 疑問点（調査日：平成27年9月１8日～9月30日 介護職員 50名 複数回答可）

内容 分野 人数 内容 分野 人数

「夜間」のタブを使用するのか 入力方法 1 介護経過の文章の書き方は統一しなくてもいいのか 入力方法 4

排泄の記載方法が不明確 入力方法 6 回線速度が遅いのはどうにかならないのか システム 7

手洗いの項目は24Hシートに入れるのか 入力方法 2 見守りが出来ないので無線にはならないのか システム 6

排便なしの時は「なし」を入力するのか 入力方法 1 ２ユニット分表示できるようにはならないのか システム 1

レクは内容も入力するのか 入力方法 1 担当者の設定方法がもっとスムーズにならいのか 入力方法 1

水分補給はどこまで記録するのか 入力方法 3 選択リストの内容は変更できないのか 入力方法 5

必須日課が不明確 入力方法 2 体位変換は紙とパソコンを両方するのか 入力方法 2

申し送り記載担当者がバラバラ 入力方法 1 入力漏れを減らす方法はないのか 入力漏れ 5

水分とおやつのタブは一緒にできないのか 入力方法 7 負担が大きいので、入力数を減らせられないのか 職員負担 12

朝食時の水分名は記載するのか 入力方法 2 中止時の担当者は設定するのか 入力方法 3

実施「△」はいつ使用するのか 入力方法 2 記録時間は全体で設定してくれないのか 職員負担 3

排泄は紙やPCかどちらかにしないのか 入力方法 2 喫茶の時はどういう風に記載したらいいか 入力方法 2

喫茶も24Hシートに挿入しないのか 入力方法 1 24Hシートの日課名の表示は同一にならないのか システム 1

■入力方法・漏れ、負担、システムに関するマイナスの意見が83個あった。

①正確さ ②入力時間

５．目標の設定

190個 95個

ユニット全体で190個あった入力漏れ、間違いを50％減の95個にします。

120秒272.2秒

利用者１人当たりにかかる記録時間を２分として設定。

現状把握で出てきた疑問点を全て消化する。

③疑問点

83個 0個

現状 目標 現状 目標 現状 目標

■24Hシートに基づいた、スムーズな記録ができること目指します！

入力漏れ・間違いが多い

職員環境

1回1回入力している

まとめて記録していない

マニュアル化が最適ではない

責任の所在が不明確

マニュアルに書いていない

マニュアル検討していない

最終確認が不十分

実績で確認できていない

研修が不十分

入力回数が多い

必要ないことまで入力しなければならない

必要・不必要の判断ができていない

同系統のものも分けて入力している

マニュアルがわかりにくい

マニュアルが簡易的である

問題が出て来ることを想定しなかった

改定できていない

議論する場を持っていない

SRでないと入力できない

有線のため

無線LANの検討ができていない

必要・不必要の判断ができていない

方法６．要因分析① 作成日：平成27年10月19日

作成者：眞鍋彩

入力途中で回線が切れる

回線が切れているとは思わない

確認を誰がするか決まっていないから

回線調査ができていない

入力時間が長い

職員環境

1回1回入力している

まとめて記録していない

マニュアルが最適ではない

入力が遅い

ショートカットキーを使えていない

方法を教えていない

マニュアルにない

いっぱい文字を打たなくてはならない

予測変換機能を使っていない

導入方法がわからない タイピングが遅い

個人能力に問題がある

研修を行っていない

入力回数が多い

必要ないことまで入力しなければならない

必要・不必要の判断ができていない

同系統のものも分けて入力している

回線速度が遅い

システム変更の検討ができていない

原因調査できていない

入力途中で回線が切れる

原因不明

調査していない

SRでないと入力できない

有線のため

無線LANの検討ができていない

必要・不必要の判断ができていない

24Hシートと記録用紙に差異がある

システム変更の検討ができていない

依頼できてない

方法６．要因分析② 作成日：平成27年10月19日

作成者：眞鍋彩

疑問点が多い

職員環境

上司や他ユニット職員と話し合いができていない

必要性が理解できていない

解決の術が分からなかった

分かる人に聞こうとしなかった

意欲不足

マニュアルが分かりにくい

マニュアルが簡易的である

問題が出てくることを想定していなかった

どの時間で話し合いができるか調べていない

調査できていない

方法６．要因分析③ 作成日：平成27年10月19日

作成者：眞鍋彩

話し合いの場が設けられていない

マニュアルが改訂できていない

議論する場を持っていない

話し合いの場が設けられていない

研修が不十分

②入力時間：マニュアルが最適ではない

①正確さ：システム変更、無線LAN導入の検討ができていない

③疑問点：研修が不十分である

６．要因分析まとめ

重要要因 対策案 いつ どこ 誰が 何をどのようにするか

①正確さ

システム変更、無線LAN導入の検討ができていない

回線速度調査 10月末まで 各ユニット＋医務室

眞鍋 １、回線速度を調べて、必要があればハブを交換をする

無線LAN導入検討 2月末まで 各ユニット QCメンバー ２、無線LANを導入の検討をする

表示方法変更 10月末まで 各ユニット＋医務室

眞鍋 ３、業者にシステム内容を変更してもらう

②入力時間

マニュアルが最適ではない

マニュアル改訂 3月末まで 各ユニット＋医務室

ＱCメンバー ４、疑問点をなくし、マニュアル化する５、責任の所在を明確にする６、早打ちテクニックをマニュアルに記載する

入力数減 3月末まで 各ユニット＋医務室

QCメンバー ７、予測変換を導入する８、タブ数を最小化する９、ドロップダウンリストを見直す10、24Hシートを更新する

③疑問点

研修が不十分である 研修実施 2月中に 5.6ユニット ユニットリーダー

11、職員に全員に対してステップアップ研修を行う

随時 各ユニット＋事務所

眞鍋 12、入力が遅い職員に対して個別研修を行う

７．対策立案

８．対策の実施（①正確さ）

２，無線LAN導入

１，回線速度調査有線回線を使用している箇所で、やはり回線速度が遅かったため、無線を使用していない箇所のハブを速度が早いものに交換しました。→医務室＋リハビリ室

①入居者と話しながら記録が出来る ②見守りしながら入力ができる③すぐに入力できるので正確な記録ができる

同じ表示に

24Hシートと介護経過のサービス内容が同じ表示になるようシステム変更

３,システム内容変更

■介護内容が分かりやすくなった

８．対策の実施（②入力時間）４,疑問点やばらつきに対して検討・決定しマニュアルに記載する

意見 回答 実施 意見 回答 実施

「夜間」のタブを使用するのか 使用しない ◯ 介護経過の文章の書き方は統一しなくてもいいのか マニュアル記載 ◯

排泄の記載方法が不明確 マニュアル記載 ◯ 回線速度が遅いのはどうにかならないのか ハブを交換する ◯

手洗いの項目は24Hシートに入れるのか 入れない ◯ 見守りが出来ないので無線にはならないのか 無線にする ◯

排便なしの時は「なし」を入力するのか 入力しない ◯ ２ユニット分表示できるようにはならないのか システム上不可能 ×

レクは内容も入力するのか 入力する ◯ 担当者の設定方法がもっとスムーズにならいのか 慣れてもらう ×

水分補給はどこまで記録するのか マニュアル記載 ◯ 選択リストの内容は変更できないのか 検討・変更済み ◯

必須日課が不明確 マニュアル記載 ◯ 体位変換は紙とパソコンを両方するのか 紙のみ ◯

申し送り記載担当者がバラバラ 夜勤者が記載 ◯ 入力漏れを減らす方法はないのか 確認方法を見直す ◯

水分とおやつのタブは一緒にできないのか

一緒にする ◯ 負担が大きいので、入力数を減らせられないのか 入力量を減らす ◯

朝食時の水分名は記載するのか マニュアル記載 ◯ 中止時の担当者は設定するのか マニュアル記載 ◯

実施「△」はいつ使用するのか 「△」は使用しない ◯ 記録時間は全体で設定してくれないのか ユニット内で決める ◯

排泄は紙やPCかどちらかにしないのか 両方 ◯ 喫茶の時はどういう風に記載したらいいか マニュアル記載 ◯

喫茶も24Hシートに挿入しないのか 挿入する ◯ 24Hシートの日課名の表示は同一にならないのか 完了 ◯

⑤責任の所在を明確にする

⑥早打ちテクニックを記載する

⑦予測変換を導入する

⑧タブを最小化する・「おやつ」＋「水分補給」のタブを１本化・「バイタル」を看護、介護で分けずに１本化・「手洗い」のタブを削除する

⑨ドロップダウンリストを見直し、入力数を激減！

⑩24Hシートを更新する

24時間シートの日課部分に細かくケア内容を記載しておくことで「◯」か「×」で実施記録がつけられるようする。

24Hシート部分 記録部分

８．対策の実施（③疑問点）

⑪ ステップアップ ⑫個別研修

目標達成率 118.8％

９．効果の確認①正確さ

入力漏れ・間違い

対策前

190個対策後

80個

目標は95個

９．効果の確認②入力時間

対策前

272.2秒対策後

232.7秒

目標達成率… 51.6％

※１日10名分の記録６分減 ※実際は早出・日勤・遅出・パートと 役割分担しています。

目標は120秒

10．効果の確認③疑問点

対策前

83個

対策後

１個

目標達成率…100％疑問点を１つを残して全て解消しため、納得して記録をしていることが分かります。残った１つの疑問点は「『排泄』に関しては紙ベースにできないのか」でした。

目標は0個

記録率は？（５段階自己評価）

対策前

3.26対策後

3.64理解度は？（５段階自己評価）

対策前

3.66ユニットリーダー評価（５段階）

対策後

4.18

対策後

3.74

対策前

3.83

①誰でもどこでもケア記録の確認、状況把握ができるので、急に担当以外の入居者家族・ケアマネ等に尋ねられた時でも、状態を伝える事ができる②入力に慣れてきたので、より細かい情報を入力することができるようになり、入居者に関する情報量が増えた③記録量が減ったので、負担が減った④マニュアル化したので、入力時に迷いが減った

無形の効果

①半年前よりは確実に入力に慣れ、タイピングも速くなった②分からないことを聞き合う事で職員同士の会話が増えた③入居者の正確な把握をするために、関わろうとする意欲が向上した

波及の効果

10．効果の確認

項目 なぜ 何を 誰が いつ どこで どのように

教育正確な記録

研修 眞鍋 4月末まで 事務所ユニットリーダーとリーダー補助職員に、マニュアル最終研修を行う

研修ユニットリーダーとリーダー補助職員

5月中旬まで 各ユニット各ユニット職員にマニュアル最終研修を行う

研修眞鍋・各ユニットリーダー

新採・異動時 事務所記録に関する研修を行う（24Hシート研修は矢野補佐が担当）

教育PC入力技術向上

研修 眞鍋 月に１回 事務所入力に不安がある人を対象に研修を行う

標準化

正確な記録

記録 相談員 ケアの翌日 事務所 記録の確認を行う

記録 遅出または夜勤職員 勤務時間帯 各ユニット 記録の確認を行う

管理正確な記録

マニュアル 眞鍋 ５月中旬まで 各ユニット マニュアル最終版を配布する

11．歯止め

QCSTEP 良かった点 反省点

テーマ選定最初に決めたテーマと実施内容に食い違いが生まれ、実施途中にテーマ内容を変更することになってしまった。

活動計画標準化に時間がかかったため、もっと計画的に活動を進める必要があった。

現状把握今まで個々で思っていた不安な思いをさらけ出し、じっくりと現状に向き合う事ができた。

パソコン入力する事に後ろ向きな態度を見せる職員がいた。（紙ベースに戻して欲しいという意見があった）

目標の設定 テーマが達成できるような目標を立てることができた。

対策立案色々な面から時間短縮・入力漏れ減を達成するために必要な案を立てることができた。

対策の実施１番いい方法で記録ができるように、たくさんの意見交換をすることができた。

活動中に１つ１つ決めた事を掘り返して、前に進まなかった時があった。

効果の確認24Hのケア記録ができ、入力漏れをここまで減らせた事は以前に比べてすごいことだと思う。

入力時間に関しては文字の量にもよるので、入力時間が減ったという効果が分かりにくい。

歯止めマニュアルで細かいところまで決めたので、入居者状態が変わっても記録に困ることがない。

パソコン技術が高い人からすれば、マニュアルが細かくなりすぎて余計面倒になった。

１2．反省とまとめ

今後の課題：①記録の漏れ・間違いをゼロに！ ②必要な情報を簡潔に記録する！③介護だけでなく、看護やリハビリ部門も交えて挑戦！