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1 経済産業省 委託調査 平成26年度製造基盤技術実態等調査事業 (日本製テキスタイルの巨大市場である欧州バイヤーニーズ調査) 報告書 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 JFWテキスタイル事務局 150-0002 東京都渋谷区渋谷3-26-16 第五叶ビル 2015313

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経済産業省 委託調査

平成26年度製造基盤技術実態等調査事業 (日本製テキスタイルの巨大市場である欧州バイヤーニーズ調査) 報告書

一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 JFWテキスタイル事務局 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-26-16 第五叶ビル

2015年3月13日

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本事業の背景と目的

◆事業の背景 ●日本国内で製造されるテキスタイルの魅力は、原糸の開発力に代表されるハイ・テクノロ ジーの要素と、職人の高い技術力、感性に裏打ちされたロー・テクノロジーの要素が共存 し、更にその複合技術を有する、世界的にも稀な国である。近年、海外の高級メゾンにも 多く採用されている事が話題になる一方で、その輸出量及び金額は未だ僅かである。 ●日本テキスタイルの更なる高付加価値化を実現する為には、実際にテキスタイルを調達 するバイヤーの求める要素、つまり消費者ニーズを、テキスタイル開発に反映させることが 不可欠とされる状況である。

◆事業の目的 ●こうした日本製テキスタイルの認知度を高め、更なる高付加価値化を実現させるために、 日本製テキスタイルの巨大市場である欧州をメインターゲットとし、欧州バイヤーの求める 要素を把握し、日本製テキスタイルの目指すべき具体的価値を提案する。 ●その結果、日本製テキスタイルの有する優位な要素を更に明確にし、その要素を日本 のテキスタイルメーカーが商品開発に活かすことで、市場の活性化と拡大、繊維関連 企業の利益の増加をもたらし、更には繊維産地が大いに飛躍する事を目的に置く。

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1.日本のテキスタイル輸出状況

日本のテキスタイルの輸出の現状を把握し、今後の市場展開についての検討を行う。

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1-1.日本のテキスタイル輸出状況

通関統計:単位千平方メートル

① ① ① ①

② ② ② ②

② ③ ③ ③ ③

④ ④ ④ ④ ④

⑤ ⑤ ⑤ ⑤ ⑤

絹織物 毛織物 綿織物 麻織物 化合繊織物 合計

2010 6,302 30,837 172,786 2,503 594,467 806,895

2011 6,229 30,661 170,824 2,128 622,042 831,884

2012 5,545 27,472 150,314 2,142 599,556 785,029

2013 5,431 25,108 149,545 2,077 580,698 762,859

2014 4,697 22,104 130,036 1,758 526,134 684,729

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1-2.欧州主要国の海外製テキスタイル輸入量

UN Comtrade Database:単位千KG

絹織物 毛織物 綿織物 麻織物 化合繊織物 合計

イギリス 4,018 6,872 49,823 5,202 109,910 175,825

イタリア 6,466 11,360 109,221 9,387 174,492 310,926

ドイツ 1,283 11,776 123,629 6,978 265,036 408,702

フランス 1,865 5,513 57,101 4,953 101,327 170,759

② ③

④ ⑤

① ②

④ ④

④ ⑤ ⑤ ⑤

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1-3.欧州主要国の日本製テキスタイル輸入量

5,796 76,802 11,184 73,950

59,046

626,234

169,776 222,150

499,344

1,511,114

760,848 700,256

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

イギリス イタリア ドイツ フランス

2013年日本製テキスタイルの欧州主要国輸入量

①化合繊織物

②麻織物

③綿織物

④毛織物

⑤絹織物

絹織物 毛織物 綿織物 麻織物 化合繊織物 合計

イギリス 64 5,796 59,046 0 499,344 564,250

イタリア 1,714 76,802 626,234 5,994 1,511,114 2,221,858

ドイツ 388 11,184 169,776 6,226 760,848 948,422

フランス 3,676 73,950 222,150 10,534 700,256 1,010,566

UN Comtrade Database:単位KG 本データのみ、単位を「kg」としていることに注意

① ①

③ ③

④ ④ ④

※上記3素材のみグラフに 数値掲載

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1-4.欧州主要国の日本製テキスタイル輸入量比率

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

イギリス イタリア ドイツ フランス

%

2013年日本製テキスタイルの

欧州主要国輸入比率

絹織物

毛織物

綿織物

麻織物

化合繊織物

絹織物 毛織物 綿織物 麻織物 化合繊織物

イギリス 0.00 0.08 0.12 0.00 0.45

イタリア 0.03 0.68 0.57 0.06 0.87

ドイツ 0.03 0.09 0.14 0.09 0.29

フランス 0.20 1.34 0.39 0.21 0.69

UN Comtrade Database:単位%

0

10

20

30

40

50

60

イギリス イタリア ドイツ フランス

%

2013年中国製テキスタイルの欧州

主要国輸入比率

絹織物

毛織物

綿織物

麻織物

化合繊織物

絹織物 毛織物 綿織物 麻織物 化合繊織物

イギリス 5 5 14 10 39

イタリア 54 8 39 34 50

ドイツ 22 5 20 11 44

フランス 24 2 7 9 20

*各国の原料別総輸入量に対して、日本製テキスタイルの占める割合

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1-5.日本製テキスタイルの欧州主要国への輸出量動向

◆日本の対世界へのテキスタイル輸出の推移は減少傾向にあり、産地の縮小や海外事業展開 を実施する企業の特性が根底にあると思われる。 ◆欧州主要国(イギリス、イタリア、ドイツ、フランス)へのテキスタイル2013年の輸出量は、ドイツが 多く、各国ともに化合繊織物の輸入が多くなっている。しかし、ドイツも2000年時に比べ総量で 70%以上も減り、化合繊織物に限っても80%減。 ◆2013年の欧州主要国の輸入量の日本製テキスタイルが占める割合は非常に低く、全量の僅か 0.4%に留まっている。そのような中ではあるが、化合繊の輸出量は全量の73.2%を占め、 イタリアにおいては、毛織物の輸入量が20%を占めている。一方で、中国からの輸出は全量の 33%を占めている。 ◆イタリアは2004年以降、欧州の中では最も日本からの買い付けは増えている(EU全体の40%) 2004年に綿織物の輸出が増え、それ以降コンスタントに輸出されている。 ◆この状況からも、日本からの輸出の伸びしろは大きくなる可能性を有するが、可能性を最大限 活用する取引方法、流通方法、価格、顧客ニーズに沿った製品などマーケティングも含め、海外 市場拡大の戦略を立てる上で、根本的に考える時期に来ている。

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1-6.日本の欧州主要国へのテキスタイル輸入量等参考HSコード

HSコード 品名・内容 HSコード 品名・内容

5007 絹織物 5309 5310 5311

亜麻織物

第53.03項のジュートその他の紡織用靱皮繊維の織物 その他の植物性紡織用繊維の織物及び紙糸の繊維

5111 5112 5113

紡毛織物(羊毛製又は繊獣毛製のものに限る) 梳毛織物(羊毛製又は繊獣毛製のものに限る) 毛織物(粗獣毛製又は馬毛製のものに限る)

5407 5408

合成繊維の長繊維の糸の織物(第54.04項の材料の織物を含む。)

再生繊維又は半合成繊維の長繊維の糸の織物(第54.05項の材料の織物を含む。)

5208 5209 5210 5211 5212

綿織物(綿の重量が全重量の85%以上で、重量が1平方メートルにつき200グラム以下のものに限る。)

綿織物(綿の重量が全重量の85%以上で、重量が1平方メートルにつき200グラムを超えるものに限る。)

綿織物(綿の重量が全重量の85%未満のもので、混用繊維の全部又は大部分が人造繊維のもののうち、重量が1平方メートルにつき200グラム以下のものに限る。)

綿織物(綿の重量が全重量の85%未満のもので、混用繊維の全部又は大部分が人造繊維のもののうち、重量が1平方メートルにつき200グラム超えるものに限る。) その他の綿織物

5512 5513 5514 5515 5516

合成繊維の短繊維の織物(合成繊維の短繊維の重量が全重量の85%以上のものに限る。)

合成繊維の短繊維の織物(合成繊維の短繊維の重量が全重量の85%未満のうち混用繊維の全部又は大部分が綿のもので、重量が1平方メートルにつき170グラム以下のものに限る。)

合成繊維の短繊維の織物(合成繊維の短繊維の重量が全重量の85%未満のうち混用繊維の全部又は大部分が綿のもので、重量が1平方メートルにつき170グラムを超えるものに限る。) 合成繊維の短繊維のその他の織物 再生繊維又は半合成繊維の短繊維の織物

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2.ミラノウニカ・テキスタイル展示会2015AW/2016SS

Milano Unica(MU)展示会を活用し、欧州等バイヤーのニーズについての情報収集を実施し、今後の日本テキスタイル産業の改革を検討する。

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2-1.”The Japan Observatory” at Milano Unica 2015AW

1.第19回Milano Unica(MU):イタリアテキスタイル見本市 ◆開催日時:2014年9月9日(火)~11日(木) ◆開催場所:イタリアミラノ フィエラ・ミラノシティ ◆出展者数:410社(うち74社はイタリア以外のEU諸国) ◆来場者数:21,800名(前年AW対比6.55%増) ◆顕著な増加国:日本+44%、インド+38%、トルコ+28% 等 ※当該展示会は、今までEU域内諸国の展示参加に限られていたが、今回初めてEU域外 から日本の参加が認められ、日本パビリオン「The Japan Observatory」を出展した。 ※「The Japan Observatory」は「日本を俯瞰する」の意味

2. 「The Japan Observatory」at MU 2015AW ◆開催日時:2014年9月9日(火)~11日(木) ◆開催場所:Milano Unica会場内特設エリア(Hall 2) ◆開催概要:企業ブース+JAPAN TEXTILE PRブース (計470㎡) ◆出展者数:29社・団体 ◆来場者数:4,026名

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2-1.”The Japan Observatory” at Milano Unica 2015AW

JAPAN TREND & INDEXコーナー 大胆で繊細な空間を演出。 ●日本的伝統や「詫び・寂び」にも通じる精神性を表した「時空詩魂」① ●現代日本を象徴する「Japan Pop Culture」を表した「渋カワイイ エッセンス」②

来場者風景 ①

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2-3.”The Japan Observatory” at Milano Unica 2016SS

1.第20回Milano Unica(MU):イタリアテキスタイル見本市 ◆開催日時:2015年2月4日(水)~6日(金) ◆開催場所:イタリアミラノ フィエラ・ミラノシティ ◆出展者数:353社(うち64社はイタリア以外のEU諸国) ◆来場者数:18,000名強(海外バイヤーは前年SS対比2.5%増) ◆顕著な増加国:日本+29%、USA+10%、フランス+12% 等 ※当該展示会は、今までEU域内諸国の展示参加に限られていたが、今回EU域外から日本 の参加が認められた2回目の展示。前回同様に、日本パビリオン「The Japan Observatory」 を出展した。 2. 「The Japan Observatory」at MU 2016SS ◆開催日時:2015年2月4日(水)~6日(金) ◆開催場所:Milano Unica会場内特設エリア(Hall 2) ◆開催概要:企業ブース+JAPAN TEXTILE PRブース (計519㎡) ◆出展者数:34社・団体 ◆来場者数:3,061名

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2-4.”The Japan Observatory” at Milano Unica 2016SS

JAPAN TREND & INDEXコーナー

•春夏シーズンらしく、通る風が感じられるオープンな雰囲気を大切にしながら、“障子”からヒントを得た「格子」の造作で和ティストを表現。京都の若手クリエーター集団「だるま商店」による舞子さんの画像が日本らしさを強調。

●ファッションにおけるクール&エレガンスの両面を表した「男前・女前の流儀」① ●グローバル都市東京の今をポップな色に乗せて和モダンを表した「東京・ポップ クルーズ」②

来場者風景 ①

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2-5.”The Japan Observatory” at Milano Unica 2015AW・2016SSの来場者国別内訳

開催期間中の来場者は開催地イタリアが多い。次いで日本、中国となっている。2015AWではMU初出展と いう事も有り、日本の出展関係者等が多数来場していたため。 ※来場者数はバーコード及びQRコードをスキャンしてカウントしているため出展者もカウントされている可能性あり。

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

3,110

85 42 58 78 21 19 31 45

734

257

12

247

2,179

45 40 58 19 2 15 0 29 185

64 27

405

2015AW

2016SS

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3.日本製テキスタイルに関する欧州バイヤー等ヒアリング

ミラノウニカ・テキスタイル展示会において欧州バイヤー等に対し、日本製テキスタイルに関するヒアリングを実施した。

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3-1.①ヒアリング企業 2015AW

MU展に来場したイタリアを中心とするアパレル企業は、①大中規模のアパレル、②1~2名の小規模アパレル企業、デザインハウスに2分される。80%以上は②に属するアパレル企業である。

ヒアリング企業 国 企業職種

AD Angoro-Moon Italy Bag maker

Judith de Jong Fashion Design Italy Design studio/ladies

Italian Essentials Italy Design studio/ladies

Spencer Hart UK Apparel/Mens

CHILD Italy Apparel & Design studio/Mens

Selectibe Italy Design studio/Mens

INFINITY Italy Apparel & accessary/Ladies & Mens

Massimo Monteforte S.r.l Italy Designer/ Mens shoes

Label under Construction Italy Designer/Mans apparel

DAKS UK Apparel/Ladies

Norse Projects Denmark Apparel/Mens & Ladies

Beali Homme UK apparel/Mens

Ciasmo Italy Shop Designer/Mens

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3-1.②ヒアリング企業 2016SS

ヒアリング企業 国 企業職種

MISSONI Italy apparel/Mens

MD. ANGORO - MUUN Italy 雑貨、Ladies bag

CIASMO Italy design studio/designer/Ladies

DAKS England apparel

NORSE PROJECTS Denmark apparel/Ladies

BEALI England Apparel/Mens

HERMES France Apparel/Mens

ATHENA CALZE SRL Italy Apparel/Ladies & Mens sports

SWITCH HEMPWEAR Slovenia apparel/ladies & Mens

RETOSUPERFUTURE Italy apparel/ladies & Mens

CHILD SRL Italy accessories

MELANIA FUMIKO Italy apparel/Ladies

DIANA ALBRIGHU Italy apparel/Ladies & KIds

VA VAKKORAMA Turkey Apparel/Mens

Plus90Atelier Turkey apparel/ladies & Mens

CLOTHAHOLICS.COM England Textile wholesaler

MARILITA BORGESE Italy accessories

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3-1.③ヒアリング企業 2016SS

ヒアリング企業 国 企業職種

JUDITH de FASHION DESIGN Italy Design office /Ladies

MICHELA FASANELLA Italy design consultant/Ladies & Mens

ALEX FEA Italy design house/designer

BALMAIN France apparel/Mens

GIORGIO ARMAN Italy apparel/ladies & Mens

GAVINA SRL Italy designer house/Ladies

CHRISTIAN DIOR France Apparel/Mens

G.C DESOGN UNIPERSONALE Italy Designer/Mens

Twenty two fashion Creative Studio Italy Design studio

DIESEL Italy apparel/ladies & Mens

CHILD SRL Italy Design studio/ladies & Mens

SRL srl Italy Design studio/Mens

MASSIMO MONTEFORTE srl Italy Designer/Shoes(Ladies & Mens)

SAMMY VOIGT STUDIO UG Germany Design studio Germent/Ladies & Mens

RICOMINCIO CON Italy Design house /Mens

SPENCER HASRT England Design studio /Mens

ITALIAN ESSENTIALS LLC Italy Design office/Ladies

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3-2.①ヒアリング概要 【取引関係】

◆サンプルセレクション及び買付時期

AW SS

大半を占めた小規模アパレル企業は、MUから素

材セレクトを始めるが、大中規模のアパレル企業は6月後半からスタートしており、日本企業としては、どちらをターゲットとするかにより対応時期・価格帯・提案素材が異なってくる。(大中規模は、9月には素材調達の90%が終了しており、小規模アパレルは9月開催のMU・AWを起点とする場合が多い。) ・MUでのセレクションスタートが多数派 ・素材決定は、12月末 ・一般的に大中規模アパレル企業は、6月~ 9月中にセレクション

大半を占めた小規模アパレル企業は、MUから素

材セレクトを始めるが、大中規模のアパレル企業は11月後半からスタートしており、日本企業としては、どちらをターゲットとするかにより対応時期・価格帯・提案素材が異なってくる。(大中規模は、2月には素材調達の90%が終了しており、小規模アパレルは2月開催のMU・SSを起点とする場合が多い) ・クライアントの素材決定時期に合わせる。 ・2月末~3月中に決定するとしたアパレル企業が 多い。 ・その都度、一年中 ・特になし

◆日本からの買付経験 ・大手デザイナーメゾンの一部は、エージェント経由で毎シーズンかつ長期的・継続的に扱っているとしている。 ・小規模アパレル企業は、ほとんど経験がなく、イタリア素材の買付を中心に小回りを利かせ期近対応、小ロッ ト生産が基本であった。

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3-2.②ヒアリング概要 【取引関係】

◆取引条件での問題

①大手デザイナーメゾンも含め、発注ミニマムは500mは量的に厳しく、300mを希望し、中には50m、 100mのロットで十分とする企業も存在。 ②価格については、高価格であり、市場に合った価格になっていない点を問題とする企業が多い。 一方で小規模アパレル、企画会社は問題としておらず、如何に小ロットで買付が出来るかが大きなポイン トとなっていた。しかしながら、どのような方法(サプライチェーンを利用し)で日本から輸入するか。決済の 方法など解決する必要がある。 ③過去に日本と直接買付経験のある企業は、輸入関税(高関税による価格は150%増)、輸送費を加味 すると、最終価格が予想以上に高くなることを問題としていた。 ④日本との取引の場合、前払い条件など取引条件が厳しい。 ⑤発注から納品までのリードタイムが2~3カ月と長すぎる。また、船積輸送期間は、60~70日と長期 間過ぎる。 ⑥ストックビジネスが出来ていないことから、クイックな対応が出来ない。 ⑦ある大手デザイナーメゾンは、「コミュニケーションがスムーズにいかない」。また「自社のコンセプトを 理解して貰い辛い」としている。 ※ 特に③⑤⑥に関しては、日本から欧州素材を仕入れる際も同様の為、日本特有の問題ではないが、 近年はバイヤーが求めてくる傾向にある。

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3-3.①ヒアリング概要 【素材関係】

◆日本テキスタイルの印象と魅力 日本に求めるものは、①化合繊、②天然素材に二分化される。 ①化合繊: 加工によるクリエイティビティとイノベーション力のある日本の技術力。特に大中アパ レル企業は、日本の先端技術を高く評価。 ②天然素材: 特殊技術によるクラフトマンシップ。特に、各産地で生産されるファンシー素材を中心 に評価が高い。コンテンポラリーや日本のインデペンデント性なども評価されている。 【日本素材の魅力】 ・クリエイティビティ(創造性) / ・センステビティ(感度) / ・スタビリティ(安定性) ・特殊加工、仕上げ加工等の凝ったものが多い / ・ 手触り感(微妙な素材の風合い感) ・ハンドクラフト感 / ・各社のオリジナリティ / ・シンプルかつクリーン ・ミニマイジィング(余分なデコレーションがない) / ・糸からのオリジナリティ ・クレバーファブリック(非常に研究された品質) / ・キチンとした品質管理 ・フィニッシングにみる高度な加工技術 / ・ニュートラルまたはデリケートな色合い ・日本の伝統的織、柄(イタリア的素材になっている傾向あり) / ・正確な納期管理 ・高技術、丁寧なものづくり、高品質

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3-3.②ヒアリング概要 【素材関係】

◆日本テキスタイルの問題点

日本素材の評価は高いが、ファッショントレンドに関係なく自社の得意な素材のみで構成したり、新たな コレクションを積極的に作らない企業もあるため、商売としての継続性に問題を残している。 ・高価格(輸送賃、関税等も含む) ・生地幅(100/120㎝ではなく140㎝/150㎝以上)必要。 ・大量発注に対応できない。 ・ミニマムが多い。 ・迅速な対応が必要な着分の用意が出来ない。 ・色提案が出来ない。トレンド性の色展開が必要。 ・トレンド性とスタイル特性のバランスが必要。 ・発注後の生産リードタイムが異常に長い。

◆今後の課題

・事前の市場調査/マーケティング、店頭調査など情報収集を徹底し、市場ニーズに合った自社の強みと トレンドを組み入れたものづくりが必要である。自己満足ではなく継続性も重視すべきである。 ・生地幅は、既に以前より要求があるにもかかわらず、依然として100/120㎝幅での生産が実施されて おり、欧米市場でのニーズが少ないことを自覚すべきである。(そのための設備投資も重要である。) ・色提案についても取引先は求めていることから、意識的に改革する必要がある。 ・日本の良さを発揮し、日本の伝統美を大切にした提案が必要である。 ・合繊は新しい開発が必要。新しい開発がなければ中国素材で十分である。 ・クイックレスポンスができるような体制を社内に構築する必要がある。 ・ミニマムロットの改善が必要である。 ・新規取引先については難しいとは思うが、代金支払い条件の緩和(後払いの検討等)

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4.MU出展日本企業アンケート結果

ミラノウニカ・テキスタイル展示会に出展した日本テキスタイル企業に欧州バイヤー等の反応などに対しアンケート調査を実施した。

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4-1.The Japan Observartory at MILANO UNICA 出展日本企業

企業・団体名 団体参加企業名 都道府県

米沢織物工業組合

青文テキスタイル株式会社(SS) 山形県

株式会社安部吉(SS) 山形県

嵐田絹織株式会社(SS) 山形県

齋栄織物株式会社(SS) ----- 福島県

東レ株式会社(AW&SS) ----- 東京都

東レ合繊クラスター

小松精練株式会社(AW&SS) 石川県

テックワン株式会社(SS) 石川県

丸井織物株式会社(AW&SS) 石川県

サカイオーベックス株式会社(SS)

福井県

福井経編興業株式会社(AW&SS) 福井県

一村産業株式会社(SS) 大阪府

株式会社SHINDO(AW&SS) ----- 福井県

一般社団法人福井県 繊維卸商協会

旭化成インターテキスタイルズ株式会社(AW&SS)

福井県

冨田商亊株式会社(AW&SS) 福井県

株式会社中健商店(SS) 福井県

畑岡株式会社(AW&SS) 福井県

ひかり商亊株式会社(AW&SS) 福井県

山梨県絹人繊織物 工業組合

糸の音(AW) 山梨県

株式会社川栄(AW) 山梨県

株式会社前田源商店(AW) 山梨県

有限会社福田織物(AW&SS) ----- 静岡県

企業・団体名 団体参加企業名 都道府県

古橋織布有限会社(AW&SS) ----- 静岡県

公益財団法人 一宮地場産業 ファッションデザイン センター

TEAM GIFU(AW) 岐阜県

株式会社日興テキスタイル(AW&SS)

岐阜県

石慶毛織株式会社(AW) 愛知県

長大株式会社(AW&SS) 愛知県

遠山産業株式会社(AW&SS) 愛知県

中伝毛織株式会社(AW&SS) 愛知県

林実業株式会社(SS) 愛知県

株式会社ヒラノ(AW) 愛知県

宮田毛織工業株式会社(AW&SS) 愛知県

瀧定名古屋株式会社(SS) ----- 愛知県

株式会社林与(AW) ----- 滋賀県

伊藤忠商事株式会社 北陸テキスタイル課(SS)

----- 大阪府

宇仁繊維株式会社(AW&SS) ----- 大阪府

スタイレム株式会社(AW&SS) ----- 大阪府

株式会社辰巳織布(SS) ----- 大阪府

東光商事株式会社(SS) ----- 大阪府

八木通商株式会社(AW&SS) ----- 大阪府

株式会社カゲヤマ(AW&SS) ----- 兵庫県

株式会社エイガールズ(AW&SS) ----- 和歌山県

※ 企業名後のマーク説明・・・ (AW) 2015AW出展者、(SS) 2016SS出展者、(AW&SS) 2015AW&2016SS出展者

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4-2.アンケート調査項目

基本情報 質問1. MU出展品(製造品、応用分野、特徴) 質問2. 会期中の商談成果(商談件数、成約件数、成約見込件数) 質問3. 主な来場バイヤー情報 質問4. バイヤーから受けた質問 質問5. バイヤーが関心を示したテキスタイル、関心のあったポイント 質問6. バイヤーニーズ、自社の受入態勢 質問7. カスタマイズ化の要求、ポイント 質問8. 欧米バイヤーと商談しての自社問題点・改善点の洗い出し 質問9. 海外開拓展開をする上で、考慮している形態 質問10.自社人気素材

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4-3.①アンケート調査結果:MU出展品(製造品、応用分野)

※出展社からの回答に基づく。複数回答があるため回答社数より多い。

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4

6

2

19

10

5

8

1

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5

10

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出展応用分野

2015AW

2016SS

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4-3.②アンケート調査結果(会期中の商談結果)

サンプル依頼を受けた企業の件数別内訳は、上図のとおりであり2015AWにおいて3000アイテムの依頼を受けた企業が1件

2

4

6

4

1 1 1

0

2

0

2

1 1

5

4

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1

3

2

1

0

1 1 1 1

0 0

1

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3

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6

7

1-99 100-199 200-299 300-399 400-499 500-599 600-699 700-799 800-899 1200- 1500- 2000- 3000-

サンプル依頼件数別内訳

2015AW

2016SS

〇2015AWでのサンプリ依頼件数は、全体で15,067アイテムとなっており、そのうち着分・ 原反オーダーは821アイテム、成約見込みが45件であった。そのうち、1社で着分100件、原反500件、成約見込み20件であった。 〇2016SSでのサンプル依頼件数は、全体で10,290アイテムとなっており、そのうち着分・原反オーダーは157アイテム、成約見込みが63件であった。 ※回答のあった企業の集計であり、無回答企業分は除く

2015AW 2016SS

サンプル依頼 15,067 10,290

着分オーダー 291 143

原反オーダー 530 14

成約見込み 45 63

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4-3.③アンケート調査結果(主な来場バイヤー)

◆各企業の来場バイヤー数は、2015AWは、4,026社 / ブランド、ミニマム36ブランド~マックス220ブランド。 2016SSは、3,061社 / ブランド、ミニマム43ブランド~マックス210ブランド。

※ミニマム及びマックスは、各日本出展企業からのアンケートによる届出情報による

◆主な来場バイヤー名

イタリア イタリア フランス ドイツ 120%LINO KITON BALENCIAGA BERNER ALEXANDER MQEEN LIU・JO BALMAIN ESCADA ANTONIO MARRAS LORO PIANA CELIO CLUB HUGO BOSS ASPESI NEIL BARRETT Christian DIOR AUTHER MARNI GIVENCHY イギリス BENETTON MAURO GRIFONI HERMES AQUASCUTUM BIOMNEUMA MAX MARA Karl Lagerfeld BURBERRY BOTTEGA VENETA MISSONI LANVIN DUNHILL CoSTUME NATIONAL OTTO LOUIS VUITTON MACKINTOSH DIESEL PRADA MAISON MARTIN MARGIELA PAUL SMITH Dolce & JABBANA RAFFAELLA MONCLER SPENCER HART Dsquared2 ROBERTO CAVALLI SAINT LAURET DUVETICA SALVADORE FERRAGAMO 米国 EMILIO PUCCI TOD'S スペイン AIMTEES ERMENEGILDO ZEGNA TOMBOLINI LOEWE Brooks Brother ETRO VALENTINO RALPH LAUREN F&F SRL VERSACE イタリア(韓国) TOMMY HILFIGER FENDI WAXMAX FILA G.F.Service WINSAS 中国・香港 GIORGIO ARMANI WOOLRICH 欧布の家 GOLDEN GOOSE ZEGNA/Z ZEGNA GUCCI ZEGNA SPORT INCOTEX JIL SANDER

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4-3.④アンケート調査結果(主な来場バイヤーの取り扱い分野・業態)

分野 2015AW 2016SS

メンズ 43 31

レディース 46 48

スポーツ 1 2

キッズ 0 0

雑貨 2 1

その他 1 0

業態 2015AW 2016SS

デザイナーメゾン 49 51

SPA 12 5

GMS 0 0

セレクトショップ 1 0

小売店 2 0

その他 2 0

取り扱い分野 業態

※季節的比較は難しいが、主なバイヤーはメンズ・レディースを扱うデザイナーメゾンが多い。

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4-3.⑤アンケート調査結果(バイヤーから受けた質問)

◆価格 ◆ミニマムロット ◆納期(即納期の要求もある) ◆サンプル納期(着分納期) ◆注文からのリードタイム ◆ミラノ・エージェントや代理店の有無(コンタクト方法) ◆加工方法 ◆在庫 ◆柄の変化、素材の変更の可能性 ◆機能性 ◆素材の特徴 ◆見え方・風合い ◆会社・組織概要、他社での採用実績 ◆商品開発 ◆カラーバリエーション ◆別注条件

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4-3.⑥アンケート調査結果(バイヤーが関心を示したテキスタイル)

◆和柄のプリント生地 ◆プリント ◆ボンディング ◆凹凸感のある素材 ◆風合いが優れている素材 ◆デニム及びデニム加工品、開発合繊商品 ◆表面加工、プリントによる表面変化素材 ◆スポーツ用高機能素材 ◆ポリエステル高密度タフタ、ナチュラル加工 ◆金糸銀糸の使用素材 ◆高密度素材 ◆オーガニックコットン ◆二重織の素材 ◆後加工素材(普ロッキー、箔、ラミネート等) ◆ダブルフェイス ◆高品質原料素材 ◆ハイゲージウール ◆ボリューム感 ◆起毛素材(有毛商品、シャギー系) ◆ニット(ダンボール、リバーシブル、圧縮) ◆ジャガード織技術(視覚効果のあるものなど) ◆高技術素材 ◆他社にない素材

※季節的比較は難しいが、バイヤーからの生の声をそのまま掲載

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4-3.⑦アンケート調査結果(関心のあったポイント)

◆出展各社は、原材料、加工、組織・柄等にそれぞれの企業

特徴を表現しているため、欧州バイヤーのニーズにフィットしているかを限定することはできないが、参考とは成り得る。

◆カラーについては、ベーシックなカラーが求められる一方で、カラーバリエーションの提示の要請もあった。

風合い

・ソフト ・張りがあって柔らかい ・張感 ・高密度かつ張感 ・凹凸感 ・薄さ、軽さ、ナチュラル感 ・嵩高

・ふくらみ ・ドレープ ・コシ、固く重い ・暖かくしなやか ・形状記憶 ・表面変化 ・ストレッチ

表情(後加工)

・シャギー ・起毛、裏起毛 ・フィブリル ・柄フロッキー ・シンプルな洗い加工 ・しわ加工 ・キルティング ・ダンボールニット

・プリント ・フラット、プレーン ・ボンディング ・見た目の表情が変わった もの ・意匠加工 ・リバーシブル ・光沢サテン ・圧縮

原材料

・ウール ・アルパカ ・綿(綿麻、綿ウール ) ・アンゴラ ・ポリアミド ・ナイロン ・金糸銀糸

・モヘア ・カシミヤ ・麻 ・キュプラ ・ポリエステル ・アセテート ・合繊と天然繊維の交織

組織/柄

・ドビー ・無地 ・梨地 ・プレーン ・カモフラージュ ・ツイル ・シャンブルー ・ダブルジャージー ・ジャカード

・チェック ・ダブルニット ・平二重織 ・幾何学調 ・表情のある柄物 ・平織 ・タフタ ・変わり織

カラー

・ナチュラルカラー ・白 ・オリジナル ・ネイビー、ブルー ・インディコ ・ライトカラー

・黒 ・グレー、ダークグレー ・リバーシブル ・ベーシック ・ダークカラー

その他

・先染め ・オンリーワン素材

・特殊2次加工

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4-3.⑧アンケート調査結果(バイヤーニーズは何か)

◆AW展では、ウール混のものをピックアップされることが多かった。 ◆着分デリバリー、短納期、ミニマムロット、品質の安定 ◆日本の高度な加工技術、生産背景に期待がある。 ◆シーズンぎりぎりの素材探しが多かった。 ◆価格 ◆タイムリー(クイックレスポンス)な対応(在庫リスク) ◆多重構造、表面感、プリント、ジャガードがトレンド ◆スポーティー、機能性 ◆他社で使用していない、イタリア、欧州にない日本の生地 ◆豊富なカラーバリエーション ◆輸出入に慣れているエージェントの確認 ◆高品質なCu素材 ◆ファースト着分の有無で商談のレスポンスに違いが出る。 ◆生地幅

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4-3.⑨アンケート調査結果(バイヤーニーズに対応するための 受入態勢を確保しているか)

◆着分対応を可能なものを展示。着分対応可能な素材/カラーを明示(★印等で明示) ◆素材を絞って展示することにより、その素材についての受入態勢は整備している。 ◆生機リスク、P下リスク商品も多いが、ニーズに合わせたリスク品を増やす努力をする。 ◆受入態勢は確保している。 ◆商品の多様性と開発力が重要であり、ストックサービスの充実とスピードを意識した開発 と営業体制を整備する予定。 ◆エージェント、商社との連携により迅速な対応を可能とする体制を構築している。 ◆在庫、現物商売のためバイヤーニーズには対応している。 ◆品質の安定などに対し、自社で試験を行うなどの対応を取っている。 ◆納期は進捗を報告している。 一方で、受入態勢確保のための今後の検討として、以下があげられている。 ◆価格帯において、値下げは難しいことから、供給にマッチするバイヤーとの出会いが必要。 ◆価格帯について、もう少し引き下げができるよう仕入れから生産を見直し対応する予定。 ◆トレンドにあった商品構造が未完成であり、商品開発の更なる努力が必要。 ◆QRが大切であり、着分を即準備する体制が必要。 ◆客先のリサーチが必要。

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4-3.⑩アンケート調査結果(カスタマイズ化<別注>の要求の有無)

◆色、柄、風合いには要求が多い。 ◆バイヤー独自のデザイン(アレンジ、別注柄)でプリントの可能性の要求。 ◆ソフトな風合いの素材をハードな風合いに変更。 ◆ウールと合繊の交織をウールリッチな素材に変更。 ◆更なる軽量化、機能性付加の可能性。 ◆デニム特殊加工品を柄でExclusiveにしたいとの要求。 ◆カスタムカラーはビビットな色の注文。 ◆自社内にテキスタイルデザイナーがいるため、別注柄の要望が多くあった。 ◆風合い調整、幅調整の要求。 ◆バイヤーオリジナルカラー・デザイン(別注色/別注柄)の対応の可能性。 ◆ムラ感の表現を残したいとの要望。 ◆展示会後にバイヤーが来日し、アレンジしたものを製造したいとの要求あり。 ◆後加工の別注依頼。

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4-3.⑪アンケート調査結果(欧米バイヤーとの商談においての 自社問題点)

①スワッチ、サンプルの対応の遅延。サンプルの見せ方。製品での展示。 ②カラーバリエーションの不足 ③語学力 ④人的ネットワークの不足 ⑤エージェントの確保 ⑥輸出業務、決済方法 ⑦価格の高さ ⑧着分納期の対応の難しさ ⑨サンプル・スワッチ送付後、着分依頼からバルク反への発注スピードが速く 対応の難しさに直面 ⑩客先の情報不足 ⑪マーケットリサーチの不足 ⑫ニーズに合った商品の提案不足 ⑬商社依存によるスピード感と積極性の喪失 ※自社問題点として、語学力、サンプル・スワッチの対応が迅速でないことを 自社の問題点としてあげる企業が多かった。

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4-3.⑫アンケート調査結果(自社問題点に対する改善方法)

①スワッチ、サンプルの対応の遅延。サンプルの見せ方。製品での展示。 ・サンプルの点数を制限する。(着分の多いもので対応) ・顧客ごとのサンプル納期を把握し、十何・迅速な対応をする。 ・プリンターの持ち込みによる提示を検討。 ・サンプル提出のためのシステムの改善による作業効率化を検討する。 ・欧州販売拠点に事前にサンプルを送り、クイックレスポンスを可能とする体制づくり。 ②カラーバリエーションの不足 ・カラーバリエーションを充実させる。 ・少なくとも4~5色はハンガーにつける。更に、各々着分程度のストックを確保する必要がある。 ③語学力 ・英語・伊語・中国語等エージェントの常駐あるいは自社での人材確保。 ・英語表記の販売ツールの充実。 ④人的ネットワークの不足 ⑤エージェントの確保 ・エージェントとの事前を含めた情報交換と戦略的な顧客のセレクトを検討する。 ⑥輸出業務、決済方法 ・ニーズの把握と今後の改善努力。 ⑦価格の高さ

・自社が小ミニマム対応可能な点は利点でもあるが、価格は高くなる。そして、大量受注は難しいのが現状。 ◆その他 ・目標シーズンの傾向を具現化したものづくりが必要である。 ・ITを駆使した展示化分析と迅速なフォーローを行う。 ・継続的なフォロー体制の整備。 ・集客のためにもブランディング化の取り組みが必要性。

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4-2.⑬アンケート調査結果(海外販路開拓展開にあたり考慮する 形態)

商社/エージェントを選ぶ理由 ・為替、輸出手続き、決済方法(代金回収)、語学力。 ・アパレルに精通した情報を有する。 ・欧州市場は、現地に根付いたフォロー拠点が必要と判断するため。 ・エージェント経由は、付加価値を早くメゾンに伝えることが可能。 ・複数販路よりも販売窓口は1社に絞る方が効率的であると判断するため。 自社ダイレクト ・ニーズの情報収集をすると共に素早い対応でものづくりにつなげるため。 ・客層に合わせて臨機応変に対応、小規模ブランド・アパレルは直取引の方が対応しやすい。 ・既にダイレクト販売を実施していることから、今後は販路拡大を目指す予定である。

AW/SSの出展企業複数回答あり。

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商社 エージェント 自社ダイレクト

商談・販売形態/納品形態

商談・販売形態

納品形態

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5.ミラノウニカ・テキスタイル展示会 来場欧州バイヤー等日本のテキスタイルについて

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5-1.The Japan Observatory at MU 2015AW来場バイヤーの 日本テキスタイル全般に対する感想

*日本の合繊は興味深く革新的なものがあり、未来は明るい。 *全体的な印象は良かった。生地は、大変革新的で、新しい、面白い素材があり選択肢 が多く、今後に期待したい。 *どれも素晴らしいテキスタイルであった。クリエイティブで洗練されている。 *ウール、シルク、コットン等のハイクオリティーの生地はMUの中で一番素晴らしかっ た。 *商品がとてもベーシックで興味深かった。 *生地の価格が全体的に高すぎる(予定価格の2倍以上)が、交渉できるなら購入した い。 *在庫がなく、納期(3か月)に問題がある。納期が守れれば日本製品を使っても良い。 *テクニカルなウール、合繊、軽くて新しい素材(上着用)、コットンジャージーに興味を 持った。 *シンプルなものしかなくて残念。もっと日本的で変わったものが欲しかった。 *アセテート生地を探している。 *プロフェッショナルなものへの印象が良い。 *イタリアに来れないような、小規模な会社の製品が見たい。 *クラッシックすぎてイタリアでも手に入るようなテキスタイルもあった。

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5-2.①まとめ

欧州バイヤーのニーズと一言で言っても、シーズン、取扱い分野(メンズ、レディス、スポーツ、雑貨等)、カテゴリー(モード、ストリート等)、アイテム(トップス、ボトムス、インナー等)等によって、ニーズは多種多様である。よって、詳細は前述のバイヤーヒアリングや出展者アンケートを参考にしていただくこととし、「日本製素材全般」という観点で、商材の大きな方向性、取引条件と時期等についてまとめと提言を行うこととする。

■欧米が求める日本製素材

日本に求めるものは、①化合繊、②天然素材に二分化される。 ①化合繊: 加工によるクリエイティビティとイノベーション力のある日本の技術力。特に大中 アパレル企業は、日本の先端技術を高く評価。 ②天然素材: 特殊技術によるクラフトマンシップ。特に、各産地で生産されるファンシー素材・ 高密度織物を中心に評価が高い。コンテンポラリーや日本のインデペンデント性 なども評価されている。 上記原料別以外に以下の日本の技術・感性への評価が高い。 ◇フィニッシングにみる高度な加工技術 / ◇日本ならではの風合い・色彩・柄

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5-2.②まとめ

■欧米が求める取引条件と対応

◇ミニマムロット 日本国内同様に、300m、100m、50mの希望が多く、海外の著名ブランドだからと言って大量発注 が来るとは限らない。

◇生地幅 欧米のファッション文化では、150cmのダブル幅が基本。

◇発注から納品までのリードタイム 世界中のアパレル企業が、QR(クイック&レスポンス)を求めている。2~3か月の納期では、よほ ど惚れ込んだ素材でないと発注には繋がらない。

◇コミュニケーション 日本以外のファッション都市で英語のみでビジネスができるのはグローバルブランドのみで、現地 ドメスティックブランドが大半を占めることを理解して現地母国語での対応が望まれる。 理想は、コミュニケーター(現地ビジネスに精通し、市場も把握している人材)、営業、企画が三位 一体でビジネスに取組む体制

◇細やかな対応 ①事前リサーチ ②商談期間中対応 ③事後フォロー

◇ブランディング ターゲットとなる客先のニーズを把握し、自社の強みを魅力あるものにするために、MAP、ブース 装飾、ハンガー制作等、自社のオリジナリティをわかりやすく視覚からも訴える必要性。

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5-2.③まとめ

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

素材サンプルセールス時期(※1)

着分発注

現物反物発注

商品(素材)納品

素材サンプルセールス時期(※2)

着分発注

現物反物発注

商品(素材)納品

■海外アパレル素材調達年間スケジュール

*注:「※1」、 「※2」ともにスタート時期は一緒であるが、太い矢印は欧米を中心とした大規模アパレル、 細い矢印はトルコや台湾等アジア(欧米の中・小規模ブランドを含む)を中心としたアパレルを指す。

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5-2.④まとめ

■海外販路開拓に挑む具体的なアクションプランへの提言

1)十分な準備(市場調査+トレンドを加えたコレクション作り) 販売競争は世界の繊維企業である。世界ではどのようなコレクションの作成が行われているのか、世界の スタンダードはどのようになっているのかなど確認したうえでのコレクションの作成が必要。 2)Business Channel の明確化(輸出商社、エージェント、Direct 販売等) 基本は自助努力による自社での輸出販売。(これまでのような輸出業者に委託販売では本当の意味での 進歩はない)― 販売相手とFace to Faceで商談することで個人的な信頼関係が継続的な販売につながる。 現状では、輸出商社が相手(アパレル等)にとって販売、交渉窓口の顔になり、産地生産者や素材 企画 者の顔が消え、いつまでも輸出商社が前面にでるケースが多い。 このような輸出ビジネスの業態が産地 の「ブランド化」の妨げになっている。よって、産地の20~30年前の実態とほとんど変わっていない。

3)人材の登用、教育 海外への販売は専任の販売員が必要。(国内販売と併用しないこと) 海外市場においての人脈、知識をもった人材が必要(短期間での販売が可能となる)であり、販売予算を 明確にし、全力で目標に向かう意識が欠けていることが多く見受けられる。 産地ではこの点を意識すれ ば、目に見える形で海外販売の推移をみることが可能となっていくであろう。

4)各産地での地域に合ったサポート機関の設立(専門家による手作り指導) 販売方法、語学研修、貿易業務、 代金回収、クレーム交渉、処理等 絶えず日々起きる問題の丁寧 なサ ポートが必要。 ― この仕事は非常に手間で面倒でありついつい輸出業者に委託してしまい、産地が自立 できない最も大きな原因の一つとなっている。

※上記に列記した内容は、企業としての経費が必要となるが、国や地域の補助制度や専門家派遣制度等を 活用しながら、自社のビジョンを明確化し、自立を目指して欲しい。

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5-2.⑤まとめ

本事業(日本製テキスタイルの巨大市場である欧州バイヤーニーズ調査)を通して、見えてきたこと、それは販売しようとする商材の「シーズとニーズの相違」が海外販路開拓の明暗を分けているということである。 戦後から80年代までは旺盛な需要があり、日本製素材は作れば売れるという時代が何年も続いたが、現

在の国内ビジネスでは海外からの輸入素材に圧されている。自社の強みを出し、オリジナリティを重視したもの作りで国内需要を拡大している企業も昨今では多く見受けされるが、対海外となるとまだまだ“国内での売れ筋や、実績のある素材”をそのまま海外でも販売しようとする傾向がある。しかし、民族的な歴史、現在に根付いた文化の相違があるように「素材のニーズ」は違っているのは当たり前のことであるが、それに気づかない企業も多く、いくら良いもの作りをしても、現地ニーズが無いものでは意味がない。素材のトレンドを把握することも大切である一方で、自社のもの作りと合うターゲットのニーズを把握し、焦点を絞ったビジネス展開が必要であり、そうでなければ海外ビジネスでは生き残ることもできない。

また、日本人特有の「きめ細やかな対応」もビジネスでは重要な成功へのファクターになり得ることも提言したい。中間材料となる素材のビジネス形態はまさに「B to B」であることからも①事前リサーチやアプローチ、

②商談中のスピーディーな対応、③商談で選ばれた素材のフォローアップ、この3つを完璧に行って初めてバイヤーから「商材の良し悪し」を判断してもらう土壌に立つことができる。

本事業を通して、見えてきた欧州バイヤーのニーズ<(素材面)日本のオリジナリティ、高感度・高品質・高技術力、特殊後加工・欧州にはない風合い/(ビジネス面)小ロット対応、クイックな納品・ストック販売、欧州に合った生地幅、コミュニケーション力(語学、エージェント介在を含む)>に対して、どれだけ対応力を付け海外販路開拓で成功への道を開けるかが、今後の日本の繊維輸出の大きな要になるであろう。

総括