平成27年度 トラフグ日本海・東シナ海・瀬戸内海 …...2015/11/16 1 平成27年度...

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平成27年度 トラフグ日本海・東シナ海・瀬戸内海系群の 資源評価 瀬戸内海区水産研究所 片町太輔、平井慈恵 小畑泰弘 漁獲量の推移 漁期年(4〜翌3月) 漁獲量は2002年の361トンから減少傾向で2014年は219トン。 0 100 200 300 400 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 漁獲量(トン) 漁期年 料1-1

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2015/11/16

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平成27年度トラフグ日本海・東シナ海・瀬戸内海系群の

資源評価

瀬戸内海区水産研究所片町太輔、平井慈恵小畑泰弘

漁獲量の推移

漁期年(4〜翌3月)

漁獲量は2002年の361トンから減少傾向で2014年は219トン。

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2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

漁獲

量(ト

ン)

漁期年

資 料1-1

2015/11/16

2

年齢別漁獲尾数の推移0・1歳魚の漁獲尾数が減少傾向であるのに対して3歳魚以上の親魚の漁獲尾数の変化は少ない。特に瀬戸内海における2014年漁期の0歳魚の漁獲尾数は大幅に減少した(前年の約1/3)。

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2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

漁獲

尾数

(千

尾)

0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳 6歳+

資源量と漁獲割合の推移資源量は、2002年漁期〜2013年漁期まで924〜1,106トンの間で横ばいで推移したが、2014年漁期は790トンに減少した。資源動向は減少と判断した。

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2002 2007 2012

漁獲

割合

(%)

資源

量(ト

ン)

漁期年

資源量

漁獲割合

2015/11/16

3

再生産関係(親の量と子の数の関係)同程度の親魚量でも加入量が大きく変動し、明瞭な関係は認められなかった。Blimit(親魚量)の算定は行うことができなかった。

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0 100 200 300 400 500 600

0歳

資源

尾数

(千

尾)

親魚量(トン)

天然 天然+放流

2014

2002

親魚量と再生産成功率(親魚量あたりの子の数)の推移

親魚量は2002年漁期以降、増加傾向であったが、再生産成功率は2006年漁期に大きく低下し、その後も低下傾向にある。

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2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

再生

産成

功率

(尾

/kg

親魚

量(ト

ン)

漁期年

親魚量 再生産成功率

2015/11/16

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資源の水準

0

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1,200取

扱量

(ト

ン)

漁期年

高位

中位

低位

長期間の取り扱い量の推移から現在の資源水準は低位と判断した。

下関唐戸魚市場(株)内海産トラフグの取扱量の推移

※2005年漁期以降、東海地方産を含む

種苗放流効果0歳魚資源尾数の天然魚と放流魚の内訳

0歳時点の混入率は平均で28%、2014年漁期は36%。添加効率(0歳資源尾数×混入率/放流尾数)は2010年漁期、2012年漁期を除き、0.02〜0.06で推移し、2014年漁期は0.04であった。

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2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

0歳

資源

尾数

(千

尾)

放流

天然

0歳魚では天然魚の減少をカバーできていない

2015/11/16

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種苗放流効果有明海の親魚漁獲尾数の天然魚と放流魚の

内訳親魚に占める放流魚の混入率は増加傾向で、2014年は31%。

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2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

親魚

漁獲

尾数

(千

尾)

放流

天然

放流魚は親魚としてはある程度の貢献

2016年のABC算定

●再生産成功率:2011〜2013の平均値:0.38●放流尾数:2012〜2014年の平均値:166万尾●添加効率:2012〜2013年の平均値:0.07

●ABC算定のための基本規則:1-3)-(3)Flimit = (基準値かFcurrent)× β2、Ftarget = Flimit × α

●基準値はFcurrent(2014年漁期のF)●β2は2020年漁期の資源量が九州・山口北西海域の資源管理指針・計画の下で中長期的な回復目標とされている1,106トン(2006年漁期の資源量)を達成する値である0.27とし、Ftargetの安全率αは標準値0.8とした。

Limit/ 漁獲割合 2016年漁期

Target (%) ABC(トン)

Limit 0.10 9 50Target 0.08 7 41

F値は全年齢の平均値、漁獲割合はABC/資源量。

管理基準 F値

0.27Fcurrent

2015/11/16

6

資源評価のまとめ各種条件での資源量、親魚量の将来予測

資源水準は低位、資源動向は減少であり、現状の漁獲と放流が継続された場合、資源量、親魚量は減少していくと予測される。

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800

1,000

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2014 2016 2018 2020

資源

量(ト

ン)

現状の漁獲+

放流ABC管理+放

流現状の漁獲+

放流なし0

100

200

300

400

500

600

700

2014 2016 2018 2020

親魚

量(ト

ン)

現状の漁獲+

放流ABC管理+放

流現状の漁獲+

放流なし

ABC管理以外の管理方策の提言

0・1歳の漁獲係数のみを削減し、有効放流尾数を170万尾にした場合の2025年漁期の資源量の将来予測

※有効放流尾数は九州海域栽培漁業推進協議会及び瀬戸内海海域栽培漁業推進協議会が策定したトラフグ栽培漁業広域プランの目標である170万尾とした。資源回復の期間を10年とし、有効放流尾数に対する添加効率を用いてABC算定と同様な条件及び手法で将来予測を行った。

資 料1-2

九州・山口北西海域トラフグ広域資源管理方針に基づく平成27年度の取組状況(平成27年10月末現在)

1.広域資源管理方針の実施措置

措 置 平成27年度の実施状況

(1)漁獲努力量の削減措置①休漁期間の設定 A海域 浮縄:3/21~12/ 9、底縄:4/ 1~ 8/31

B海域 浮縄:3/21~11/30、底縄:4/ 1~ 8/31C海域 浮縄:3/21~ 9/30、底縄:4/ 1~ 9/30D海域 浮縄:4/ 1~10/31、底縄:4/ 1~10/31E海域 浮縄:4/ 6~11/ 5、底縄:4/ 6~11/ 5※海域の定義は、別表のとおり。

②全長制限(小型魚の再放流) 関係県においては、資源保護対策として、規制海域において全長25cm以下の小型魚を再放流。

③操業の承認及び届出 日本海・九州西広域漁業調整委員会指示第42号に基づき、総トン数5トン以上のとらふぐはえ縄漁船は県ごとに承認隻数の上限を設定及び同委員会の承認、また、5トン未満のとらふぐはえ縄漁船は、同委員会に届出を実施。

(2)資源の積極的培養措置 関係県によるトラフグの種苗放流を実施。(3)漁場環境の保全措置 佐賀県においては、生育場の環境を改善するため、

水産環境整備事業(補助事業)による海底耕うん・清掃を実施。また、山口県、福岡県及び長崎県と佐賀県におい

ては、漁場機能の維持管理を図るため、漁場機能維持管理事業(補助事業)による海底清掃(投棄漁具等の回収)を実施。

2 その他①トラフグ親魚の標識放流

山口県では、平成19年度から、資源回復措置の一環として、確実に産卵させること、産卵回帰性、回遊範囲把握を目的として、定置網(萩市、長門市)に入ったメス親魚を山口県延縄協議会が買上げ、標識を付けて放流を実施しており、これまでに517尾(平成27年度は40尾)放流している。これらの放流したメス親魚は、これまでに31尾の再捕報告があり、うち19尾につい

ては産卵済みであることを確認している。

②平成26年度漁期の漁模様関係県によるトラフグの外海産漁獲量は、前年度漁期の87%となった。

単位:kg

区 分 平成24年度 平成25年度 平成26年度 対前年度比

9 月 892 532 860 161%

10 月 780 670 2,397 357%

11 月 3,356 1,194 3,873 324%

12 月 12,761 12,028 9,994 83%

1 月 29,995 37,433 20,108 53%

2 月 42,677 37,340 36,547 97%

3 月 18,985 24,656 25,625 103%

計 109,446 113,853 99,402 87%

資料:瀬戸内海水産研究所作成

(参考1)とらふぐはえ縄漁業の承認及び届出状況(実隻数)平成27年11月現在 単位:隻

区 分 承認隻 承 認 隻 数 届 出 隻 数合 計

県 名 数上限 計 10トン以上 5~10トン 計 3~5トン 3トン未満山 口 県 58 39 28 11 15 12 3 54福 岡 県 86 77 44 33 6 6 0 83佐 賀 県 22 18 4 14 4 4 0 22長 崎 県 95 28 4 24 39 38 1 67熊 本 県 1 1 0 1 0 0 0 1広 島 県 9 6 5 1 0 0 0 6計 271 169 85 84 64 59 4 233

平成26年度 271 175 87 88 64 60 4 239平成25年度 271 185 89 96 69 65 4 254平成24年度 271 191 91 100 93 86 7 284平成23年度 271 206 88 118 98 88 10 304平成22年度 271 216 98 118 113 104 9 329平成21年度 271 232 100 132 133 121 12 365平成20年度 271 257 105 152 148 137 11 405平成19年度 - - 107 164 - 146 14 431平成18年度 - - 114 155 - 145 15 429平成17年度 - - 118 166 - 156 16 456

(参考2)【平成27年度のトラフグ種苗放流状況(10月末現在)】 単位:千尾区 分 放流尾数 放流サイズ 放 流 場 所 放流時期 備 考

(mm)

山口県 543 68.5~100 山口県地先(内海) 6~7月 ALC+鰭カット(イベント144.1mm)

福岡県 490 72.2~83.8 豊前海、有明海 7~8月 ALC+鰭カット佐賀県 68 70 有明海、馬渡島地先 6~7月 ALC+鰭カット長崎県 499 70.4-77.1 有明海 6~7月 ALC+鰭カット熊本県 36 70 有明海、八代海 6月 ALC+鰭カット広島県 - - - -計 1,636

【平成21~26年度の放流尾数】 単位:千尾区 分 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度

山口県 377 403 561 495 610 508福岡県 302 445 694 317 252 489佐賀県 130 126 68 69 63 66長崎県 821 719 695 625 695 392熊本県 40 52 45 50 31 32広島県 4 - - - - -計 1,674 1,745 2,063 1,556 1,651 1,485

資料:各県からの報告による

別表

A海域 最大高潮時海岸線上島根山口両県界から北西の線以東の規

制海域。

B海域 長崎県壱岐市以北の東経129度40分以東及び長崎県壱

岐市筒城埼突端から佐賀県唐津市神集島北端を経て佐賀県

唐津市浜崎の最大高潮時海岸線に至る線以東の規制海域。

ただし、A海域を除く。

C海域 長崎県壱岐市以北の東経129度40分以西及び長崎県壱

岐市筒城埼突端から佐賀県唐津市神集島北端を経て佐賀県

唐津市浜崎の最大高潮時海岸線に至る線以西の規制海域。

ただし、D海域及びE海域を除く。

D海域 北緯33度04分の線、北緯33度30分の線、東経12

9度10分の線及び東経129度20分の線により囲まれ

た規制海域。

E海域 長崎県長崎市大立神灯台より熊本県天草市魚貫埼を結ぶ線

以東の規制海域。

規制海域:熊本県天草市魚貫埼と長崎県五島市富江町笠山鼻を結ぶ線及び長崎県

五島市富江町笠山鼻正西の線以北、最大高潮時海岸線上島根山口両県

界から正北の線以西の日本海及び東シナ海の海域のうち我が国の排他

的経済水域、領海及び内水(内水面を除く)。ただし、漁業法施行令

(昭和25年政令第30号)第27条に規定する瀬戸内海、有明海及

び八代海等を再生するための特別措置に関する法律(平成14年法律

第120号)第2条に規定する有明海及び八代海を除く。

130゚E

34゚N

131゚E

128゚E 129゚E 130゚E

33゚N

32゚N

36゚N

35゚N

トラフグ広域資源管理方針に係る

34゚N

33゚N

32゚N

131゚E

A海域

B海域

C海域

D海域

E海域

浮縄:3月21日~12月9日

底縄:4月1日~8月31日

浮縄:3月21日~11月30日

底縄:4月1日~8月31日

浮縄:3月21日~9月30日

底縄:4月1日~9月30日

浮縄:4月1日~10月31日

底縄:4月1日~10月31日

浮縄:4月6日~11月5日

底縄:4月6日~11月5日

(概念図)

3.九州・山口北西海域トラフグ広域資源管理方針に係る広域資源管理検討会議及び漁業者協議会等の開催実績(平成27年4月~平成27年10月)

開催年月日 会 議 名 参 加 機 関 内 容

H27.5.13 第1回トラフグ資源管理漁業者 漁業者(延縄協議会正副会 ○第25回日本海・九州西広域漁業調整委員会の結果について協議会(長崎県) 長)、漁連、県 ○西日本延縄漁業連合協議会(4県漁労長会議)確認事項の見直し

○その他

H27.7.3 第2回トラフグ資源管理漁業者 漁業者(延縄協議会正副会 ○第25回日本海・九州西広域漁業調整委員会の結果について協議会(長崎県) 長)、漁連、県 、水産庁(管 ○西日本はえ縄漁業連絡協議会確認事項の見直しについて

理課、九調) ○その他

H27.7.27 トラフグ資源管理漁業者協議会 関係漁業者、漁協、県 ○トラフグ資源管理検討会の協議状況の説明(福岡県) ○トラフグ資源管理の新たな取組に関する協議

H27.8.11 トラフグ資源管理に係る漁業者 漁業者代表、県漁連、山口 ○平成27年度トラフグ種苗放流計画(実績)について協議会(山口県) 県、水産庁(管理課、九調) ○トラフグ広域資源管理方針について

○トラフグ資源管理について(水産庁浜回り)

H27.9.8 トラフグ資源管理漁業者協議会 関係漁業者、漁協、県 ○トラフグ資源管理の新たな取組に関する協議(福岡県)

H27.9.24 福岡県ふぐ延縄漁業連絡協議 関係漁業者、漁協、県 ○トラフグ資源管理検討会の協議状況の説明会総会(福岡県) ○トラフグ資源管理の新たな取組に関する協議

H27.9.24 西日本延縄漁業連合協議会 山口県、福岡県、佐賀県、 ○平成26年度漁期の反省平成27年度漁労長会議 長崎県の関係漁業者及び ○九州・山口北西海域トラフグ広域資源管理について

県、瀬戸内海区水研、水産 ○平成27年度漁期の確認事項について庁(九調) ○トラフグ資源動向について

○その他

H27.11.6 トラフグ広域資源管理検討会 漁業者代表、山口県、福岡 ○資源動向について議(平成27年度第1回) 県、佐賀県、長崎県、熊本 ○平成27年度における広域資源管理の取組について

県、島根県、全漁連、瀬戸 ○その他内海区水研、西海区水研、九調

 

10トン以上 5~10トン 計 3~5トン 3トン未満 計

承認及び届出隻数 29 12 41 14 3 17 58

操業実績隻数 22 7 29 3 1 4 33

承認及び届出隻数 45 31 76 6 0 6 82

操業実績隻数 32 20 52 3 0 3 55

承認及び届出隻数 4 15 19 4 0 4 23

操業実績隻数 0 7 7 4 0 4 11

承認及び届出隻数 4 29 33 36 1 37 70

操業実績隻数 2 10 12 9 0 9 21

承認及び届出隻数 0 1 1 0 0 0 1

操業実績隻数 0 1 1 0 0 0 1

承認及び届出隻数 5 1 6 0 0 0 6

操業実績隻数 5 1 6 0 0 0 6

承認及び届出隻数 87 89 176 60 4 64 240

操業実績隻数 61 46 107 19 1 20 127

漁獲成績報告書より

山口県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

広島県

資 料1-3

区     分 合  計

承     認 届     出

平成26年度漁期とらふぐはえ縄漁業操業実績(委員会指示第38号)

10トン以上 5~10トン 計 3~5トン 3トン未満 計 10トン以上 5~10トン 計 3~5トン 3トン未満 計

操業隻数 22隻 7隻 29隻 3隻 1隻 4隻 33隻

大 3,942 788 4,730 404 3 407 5,137 179 113 163 135 3 102

中 2,402 518 2,920 224 0 224 3,144 109 74 101 75 0 56

小 1,150 51 1,201 21 0 21 1,222 52 7 41 7 0 5

計 7,494 1,357 8,851 649 3 652 9,503 341 194 305 216 3 163

19.5% 78.9% 14.3% 93.1% 6.8% 0.0% 6.9%

操業隻数 32隻 20隻 52隻 3隻 0隻 3隻 55隻

大 9,957 1,436 11,393 384 0 384 11,777 311 72 219 128 - 128

中 17,581 1,489 19,070 71 0 71 19,141 549 74 367 24 - 24

小 1,228 1,403 2,631 12 0 12 2,643 38 70 51 4 - 4

計 28,766 4,328 33,094 467 0 467 33,561 899 216 636 156 - 156

68.9% 85.7% 12.9% 98.6% 1.4% 0.0% 1.4%

操業隻数 0隻 7隻 7隻 4隻 0隻 4隻 11隻

大 0 707 707 1 0 1 708 - 101 101 0 - 0

中 0 439 439 4 0 4 443 - 63 63 1 - 1

小 0 1 1 0 0 0 1 - 0 0 0 - 0

計 0 1,147 1,147 5 0 5 1,152 - 164 164 1 - 1

2.4% 0.0% 99.6% 99.6% 0.4% 0.0% 0.4%

操業隻数 2隻 10隻 12隻 9隻 0隻 9隻 21隻

大 269 637 906 1,521 0 1,521 2,427 135 64 76 169 - 169

中 69 372 441 1,079 0 1,079 1,520 35 37 37 120 - 120

小 7 63 70 277 0 277 347 4 6 6 31 - 31

計 345 1,072 1,417 2,297 0 2,877 4,294 173 107 118 255 - 320

8.8% 8.0% 25.0% 33.0% 53.5% 0.0% 67.0%

操業隻数 0隻 1隻 1隻 0隻 0隻 0隻 1隻

大 0 25 25 0 0 0 25 - 25 25 - - -

中 0 4 4 0 0 0 4 - 4 4 - - -

小 0 0 0 0 0 0 0 - 0 0 - - -

計 0 29 29 0 0 0 29 - 29 29 - - -

0.1% 0.0% 100.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0%

操業隻数 5隻 1隻 6隻 0隻 0隻 0隻 6隻

大 85 15 100 0 0 0 100 17 15 17 - - -

中 33 5 38 0 0 0 38 7 5 6 - - -

小 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 - - -

計 118 20 138 0 0 0 138 24 20 23 - - -

0.3% 85.5% 14.5% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0%

操業隻数 61隻 46隻 107隻 19隻 1隻 20隻 127隻

大 14,253 3,608 17,861 2,310 3 2,313 20,174 234 78 167 122 3 116

中 20,085 2,827 22,912 1,378 0 1,378 24,290 329 61 214 73 0 69

小 2,385 1,518 3,903 310 0 310 4,213 39 33 36 16 0 16

計 36,723 7,953 44,676 3,998 3 4,001 48,677 602 173 418 210 3 200

100.0% 75.4% 16.3% 91.8% 8.2% 0.0% 8.2%

銘柄 大:45cm以上(1.5kg以上)

   中:35cm以上45cm未満(700g以上1.5kg未満)

   小:35cm未満(700g未満)

平成26年度漁期とらふぐはえ縄漁業漁獲実績

漁   獲   尾   数 漁 獲 尾 数 / 隻

合計

山口県

福岡県

承     認

佐賀県

長崎県

熊本県

広島県

届     出 承     認 届     出区     分

平成26年度漁期とらふぐはえ縄漁業 月別漁獲尾数 【承認船】(単位:尾) 

平成26年9月 10月 11月 12月 平成27年1月 2月 3月 合  計山 口 県 280 315 567 768 3,338 2,426 1,157 8,851福 岡 県 61 608 1,116 3,513 5,808 13,786 8,202 33,094佐 賀 県 0 126 63 244 205 172 337 1,147長 崎 県 233 192 363 0 136 248 245 1,417熊 本 県 0 0 0 0 0 6 23 29広 島 県 0 0 0 0 0 48 90 138

計 574 1,241 2,109 4,525 9,487 16,686 10,054 44,676

平成26年度漁期とらふぐはえ縄漁業 月別漁獲尾数 【届出船】(単位:尾) 

平成26年9月 10月 11月 12月 平成27年1月 2月 3月 合  計山 口 県 15 5 12 32 228 248 113 653福 岡 県 0 0 18 36 65 186 162 467佐 賀 県 0 0 0 0 0 2 3 5長 崎 県 0 0 8 147 235 675 1,812 2,877熊 本 県 0 0 0 0 0 0 0 0広 島 県 0 0 0 0 0 0 0 0

計 15 5 38 215 528 1,111 2,090 4,002

平成26年度漁期とらふぐはえ縄漁業 月別漁獲尾数 【合 計】(単位:尾) 

平成26年9月 10月 11月 12月 平成27年1月 2月 3月 合  計山 口 県 295 320 579 800 3,566 2,674 1,270 9,504福 岡 県 61 608 1,134 3,549 5,873 13,972 8,364 33,561佐 賀 県 0 126 63 244 205 174 340 1,152長 崎 県 233 192 371 147 371 923 2,057 4,294熊 本 県 0 0 0 0 0 6 23 29広 島 県 0 0 0 0 0 48 90 138

計 589 1,246 2,147 4,740 10,015 17,797 12,144 48,678月 別 割 合 1.2% 2.6% 4.4% 9.7% 20.6% 36.6% 24.9% 100.0%

年度別 ・月別とらふぐはえ縄漁業漁獲尾数 【承認船+届出船】(単位:尾) 

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合  計

平成20年度 334 1,290 950 3,789 9,786 13,395 4,364 33,908

平成21年度 852 2,367 2,627 5,590 18,340 18,476 6,758 55,010

平成22年度 726 856 941 4,508 20,355 24,304 12,387 64,077

平成23年度 480 1,351 1,631 9,599 14,384 25,276 13,498 66,219

平成24年度 480 462 1,727 6,413 19,343 18,706 9,275 56,406

平成25年度 182 425 552 6,465 20,445 19,687 12,658 60,414

平成26年度 589 1,246 2,147 4,740 10,015 17,797 12,144 48,678

漁績集計結果より 

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合 計

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

平成25年度

平成26年度

Top >資源評価> 平成27年度資源評価 > ダイジェスト版マチ類

アオダイ Paracaesio caerulea

ヒメダイ Pristipomoides sieboldii

オオヒメ Pristipomoides filamentosus

ハマダイ Etelis coruscans

系群名(海域) (奄美諸島・沖縄諸島・先島諸島)

担当水研 西海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 不明成熟開始年齢: アオダイは2歳(30%)、6歳(100%)、ヒメダイは0歳(40%)、4歳(100%)、オオヒ

メは2歳(40%)、5歳(100%)、ハマダイは9歳(69%)、19歳以上(100%)産卵期・産卵場: アオダイは4~8月、ヒメダイとオオヒメは5~7月(盛期)、ハマダイは4~11月索餌期・索餌場: 不明食性: アオダイは大型動物プランクトン、ヒメダイとオオヒメは魚類、ヒカリボヤ類、浮遊

性甲殻類、イカ類、ハマダイはイカ類、魚類捕食者: サメ類など

漁業の特徴

水深100m以深で操業する深海一本釣や底建はえ縄により漁獲される。一本釣でマチ類をねらい周年操業する専業者が多いが、ソデイカ漁などと兼業する漁業者も存在する。1航海あたりの操業日数は5トン未満の小型船で日帰り~3日、5トン以上の船では1週間程度である。

漁獲の動向

鹿児島市中央卸売市場のマチ類4種の水揚げ量は、1988年まで800トン前後で推移したが、1989年以降減少し2014年には122トンとなった。沖 縄農林水産統計年報によれば、マチ類水揚げ量は1980年の2,308トンを最大としてその後減少傾向に転じ、1985~1989年に 1,065~1,564トン、2006年には238トンとなった。沖縄県集計による2014年の4種合計水揚げ量は、410トンであった。

資 料2-1

資源評価法

鹿児島県と沖縄県の主要港に水揚げされたマチ類の漁獲統計を用いて、魚種別漁獲量の経年変動傾向を検討した。沖縄県泊漁港に水揚げされる大型標本船および 八重山漁協所属船の漁獲量と漁獲努力量の情報を収集し、過去26年間の漁獲状況を検討した。魚種別漁獲量と体長組成から年齢別漁獲尾数を推定し、それらを 用いて大型船と八重山船のCPUE相乗平均でチューニングしたコホート解析を試行し、資源動向の参考とした。

資源状態

マチ類の資源水準は、鹿児島市中央卸売市場の1960年以降の水揚げ量をもとに、動向は魚種ごとに判断した。最高値と最低値の間を3等分して高位、中位、 低位とした。2014年の水揚げ量は122トンで、水準は低位と判断した。アオダイ、ヒメダイ、オオヒメの資源動向は、近年5年の漁獲量とCPUEが一定 レベルを維持していること、資源量が安定していることから横ばいと判断した。ハマダイの資源動向は、大型船の漁獲量、CPUEが増加傾向で、資源量も近年 増加傾向と試算されたことから、増加と判断した。

アオダイ ヒメダイ オオヒメ ハマダイ

管理方策

2005年に第1期資源回復計画が公表され、5年間の期限付きで18の保護区が設置された。2010年より第2期資源回復計画が開始され、2012年から は広域資源管理方針となって保護区の拡大(18から22区へ)、漁獲サイズ制限による小型魚保護も導入され、海域全体での漁獲努力の削減が実施されてい る。2014年4月には保護区を24に拡大する等、近年の取り組みは強化されており、地域によっては資源保護・回復の効果が認められたケースもあるが、海 域全体での資源回復には至っていない。マチ類では漁獲による資源への影響が少なくないと見られるため、保護区の設置と共に、小型魚保護等による長期的な管 理措置を実施する必要があると考えられる。

資源評価のまとめ

1960年以降の鹿児島市中央卸売市場のマチ類4種合計水揚げ量をもとに資源水準を判断過去5年間の漁獲量、CPUEの推移に加え、チューニングVPAによる資源量試算値を参考として資源動向を判断水準は低位、動向はアオダイ、ヒメダイ、オオヒメは横ばい、ハマダイは増加

管理方策のまとめ

海域全体での資源回復を図るためには、長期的な管理措置の実施が必要2010年4月より魚種ごとに漁獲サイズ制限を設定し、保護区以外でも小型魚の保護を実施保護区の拡大を実施(18→22→24)

執筆者:田邉智唯・青沼佳方

資源評価は毎年更新されます。

資 料2-2

南西諸島海域マチ類広域資源管理方針に基づく平成27年度の取組状況(平成27年10月現在)

1.広域資源管理方針の実施措置

措 置 平成27年度の実施状況

漁獲努力量の削減措置(1)鹿児島県①保護区の設定 周年保護区3区及び期間保護区16区の計19

区を設定。

②小型魚の保護 鹿児島海域(熊毛海域・奄美海域)において、小型のハマダイが漁獲された場合の漁場移動を実施。

③その他 鹿児島海域(熊毛海域・奄美海域)の期間保護区内において、マチ類4魚種の中でも特に資源の減少が懸念されるハマダイを保護するため、漁獲可能な時期においてもハマダイの専獲を抑制。

(2)沖縄県①保護区の設定 周年保護区1区及び期間保護区4区の計5

区を設定。

②小型魚の保護 沖縄海域では尾叉長30cm未満のハマダイ、20cm未満のアオダイ、ヒメダイ及びオオヒメが釣れた場合、漁場を移動あるいは釣針の水深を変更。

③公的担保措置 保護区を実効性のあるものとするため、沖縄海区漁業調整委員会指示による公的規制を実施。

南西諸島海域マチ類広域資源管理方針対象海域図(①~㉔は保護区)

番 号 名 称 保護期間① 田之脇曽根 2 ~ 6月

熊 ② ベンタイ曽根(浅り) 2 ~ 6月

毛 ③ 下のダントウ 2 ~ 6月

鹿 海 ④ サガリ曽根 2 ~ 6月

域 ⑤ 口永良部島 2 ~ 6月

⑥ オジカ瀬 5 ~ 12月

児 ⑦ サンゴ曽根 1 ~ 7月,12月

⑧ 屋久新曽根(オオアサリ) 1 ~ 4月

⑨ 屋久新曽根(南東側) 1 ~ 4月

⑩ 大島新曽根 5 ~ 8月

⑪ アッタ曽根 周 年

島 ⑫ 喜界新ゾネ 5 ~ 10月

奄 ⑬ シモノソネ 5 ~ 11月

美 ⑭ 沖ウンバル 5 ~ 11月

県 海 ⑮ ゴンジュウ 周 年

域 ⑯ ファーゾネ(和泊町) 2 ~ 11月

⑰ 黒石沖(和泊町) 2 ~ 11月

⑱ 屋者沖(知名町) 5 ~ 11月

⑲ 与論島北西沖 周 年

⑳ 北タイキュウソネ 5 ~ 11月

沖 ㉑ イチャビラー(東村沖) 7 ~ 9月

縄 ㉒ 沖ノ中ノソネ 3 ~ 7月

県 ㉓ 水納北 1 ~ 6月

㉔ 第2多良間堆 周 年

沖縄海区漁業調整委員会指示27第2号

沖縄海区におけるマチ類資源の保護培養を図るため、漁業法(昭和24年法律第267号)第67条第1項の規

定に基づき、次のとおり指示する。

平成27年3月24日

沖縄海区漁業調整委員会

会長 山 川 義 昭

(定義)

1 この指示において「ひき縄づり」とは、釣糸及び釣針を有する漁具を船舶によってひきまわして行う釣

漁法をいう。

(保護区の設定)

2 次の表の保護区の欄に掲げる保護区域内をそれぞれ同表の区域の欄に掲げる区域のとおり設定し、当

該保護区においては、それぞれ同表の保護期間の欄に掲げる期間中は、ひき縄づり以外の漁法により水

産動植物を採捕してはならない。ただし、試験研究機関が試験研究のため採捕する場合は、この限りで

ない。

保護区 区域 保護期間

イチャビラー 地点A、地点B、地点C、地点D及び地 7月1日から9月30日まで

点Aを順次結ぶ線により囲まれた区域

(世界測地系)

地点A 北緯26度37.0分、東経128度18.0分

地点B 北緯26度35.5分、東経128度20.0分

地点C 北緯26度32.5分、東経128度17.0分

地点D 北緯26度34.0分、東経128度15.0分

北タイキュウ 地点A、地点B、地点C、地点D及び地点Aを 5月1日から11月30日までソネ 順次結ぶ線により囲まれた区域

(世界測地系)地点A 北緯25度55.0分、東経126度35.0分地点B 北緯25度55.0分、東経126度49.0分地点C 北緯25度47.0分、東経126度49.0分地点D 北緯25度47.0分、東経126度35.0分

水納北 地点A、地点B、地点C、地点D、地点E及び 1月1日から6月30日まで地点Aを順次結ぶ線により囲まれた区域(世界測地系)地点A 北緯24度57.5分、東経124度42.0分地点B 北緯24度57.5分、東経124度50.0分地点C 北緯24度50.0分、東経124度50.0分地点D 北緯24度50.0分、東経124度46.0分地点E 北緯24度52.5分、東経124度42.0分

第2多良間堆 地点A、地点B、地点C、地点D及び地点Aを 4月1日から3月31日まで順次結ぶ線により囲まれた区域(世界測地系)地点A 北緯24度40.0分、東経124度57.5分地点B 北緯24度40.0分、東経125度02.5分地点C 北緯24度32.0分、東経125度02.5分地点D 北緯24度32.0分、東経124度57.5分

沖ノ中ノソネ 地点A、地点B、地点C、地点D及び地点Aを 3月1日から7月31日まで

順次結ぶ線により囲まれた区域

(世界測地系)

地点A 北緯24度09.0分、東経123度04.0分

地点B 北緯24度09.0分、東経123度21.0分

地点C 北緯24度00.0分、東経123度21.0分

地点D 北緯24度00.0分、東経123度04.0分

(指示の有効期間)

3 この指示の有効期間は、平成27年4月1日から平成30年3月31日までとする。

2.南西諸島海域マチ類広域資源管理方針に係る広域資源管理検討会議及び漁業者協議会等の開催実績

(平成27年4月~平成27年10月)

開催年月日 会 議 名 参 加 機 関 内 容

H27.10.27 マチ類広域資源管理検討会議 漁業者代表、鹿児島県、沖 ○資源動向について

(平成27年度第1回) 縄県、熊本県、長崎県、沖 ○平成 27年度の広域資源管理方針に基づく取組状況等について縄総合事務局、西海区水研、 ○その他

水産庁(九調)

資料3-1

平成26年度 資源評価調査報告書(資源動向調査)

都道府県名

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

担当機関名

福岡県水産海洋技術センター

有明海研究所

佐賀県有明水産振興センター

長崎県総合水産試験場

熊本県水産研究センター

種名 ガザミ 対象水域 有明海

1 調査の概要

1)漁業の概要に関する調査

各県で、市場調査、操業船または標本船日誌調査、聞き取り調査などを行い、

漁場や漁獲量などの漁業の実態を把握した。

2)生物学的特性に関する調査

各県で、漁獲物調査を実施し、全甲幅長、性比、抱卵、成熟、軟甲の状況など

を把握した。

3)資源状態に関する調査

各県で、農林水産統計年報等により、有明海の過去の漁獲量データを整理し、

近年の資源動向、資源水準を分析した。

2 漁業の概要

1)漁法と漁期

福岡県:主にかご(2~5 月)および固定式刺網(5~11 月)

佐賀県:過去 10 年間のガザミ漁は 60~90%が固定式刺網(5~12 月の漁期)

長崎県:湾奥部では主に刺網(主漁期 6~11 月)、かご(主漁期 10~12 月、3~

5 月)、湾央部ではたもすくい網(主漁期 5~8 月)、小型底曳網(主漁期

5~8 月)、刺網(主漁期 6~11 月)、橘湾では刺網(主漁期 5~11 月)、小

型底曳網(主漁期 5~11 月)

熊本県:主にたもすくい網(5~8 月)と固定式刺網(7~10 月)

2)漁獲動向

福岡県:前年の推定漁獲量が 44.4 トンと近年では豊漁だったため、今年も豊漁

が期待されたが、2 月の操業から各月の漁獲量は前年を下回り、推定漁獲

量は 20.2 トンと、ほぼ平年並みの漁獲量であったと推測された。

佐賀県:操業船日誌調査によると、平成 26 年の 1 日・1 隻あたりの漁獲量は、

11.1kg/日・隻であり、漁期の全体を通して低調であった。推定漁獲量は

12.8 トンであり、過去 5 カ年の 4 割程度であり、好調であった昨年の 2

割程度となった。

長崎県:平成 26 年は本格的な操業開始前の 1-2 月漁獲は昨年を上回ったもの

の、3 月以降は概ね昨年を下回る漁獲が続いた。平成 26 年の長崎県有明

海域 4 漁協におけるガザミ合計取扱数量は前年比 53%、過去 5 年比では

99%であった。

熊本県:昨年に比べ漁獲量は少なく、全体で 29.8 トン(前年度比 34%)と前年

より不漁であった。平成 26 年の 1 日・1 隻あたりの漁獲重量(kg/日/隻)

は、たもすくい網漁業が 14.2kg/日/隻(前年比 41.8%)、刺網漁業が 7.8kg/

日/隻(前年比 33.7%)であった。特に、刺網漁業は網を入れてもガザミ

がかからない等不漁が目立った(図2)。

図2 熊本県におけるガザミの推定漁獲量及び延べ操業隻数

3 生物学的特性

1)抱卵期

福岡県:平成 26 年における抱卵雌の出現月は 4~8 月であり、ピークは 6 月前

半と推定された。

佐賀県:抱卵ガザミは 5~9 月まで確認され、5 月に最も多く出現する傾向で

あった。

熊本県:5 月後半~ 9 月前半まで抱卵個体が確認され、5 月後半~6 月後半は漁

獲された個体の 40%近くが抱卵していたことから、従来の知見どおり 5

~6 月が主な産卵期と推察された(図3)。

図3 熊本県の標本船調査によるガザミ雌個体の卵色状況の推移

2)産卵場所

長崎県:産卵期は 5~10 月で、数回に分けて水深 5~15m で産卵するといわれ

ている。

熊本県:有明海では、5 月中旬から本県湾央部で抱卵した雌が多く出現し始め

る。その後、本県湾奥部で放卵後の個体が刺網漁業で漁獲されることか

ら、産卵場所は有明海湾央部から湾奥部であると考えられる。八代海に

おいても同時期の水深 10~20m の海域において、刺網漁業で抱卵ガザミ

が漁獲される。

3)成熟年齢

熊本県:5 月下旬に全甲幅長 14cm の放卵個体が確認され、前年生まれである

と仮定すると 1 年未満で成熟する可能性が示唆された。

♀702 ♂10 ♀ ♂ ♀84 ♂17 ♀165 ♂127 ♀322 ♂373 ♀51 ♂60 ♀166 ♂147 ♀85 ♂167 ♀125 ♂91 ♀57 ♂865月後半 6月前半 6月後半 7月前半 7月後半 8月前半 8月後半 9月前半 9月後半 10月前半

11

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全甲幅長(cm)

委員会指示期間中

4)性比

福岡県:漁期当初は雄より雌が多く見られたが、 6 月以降は雄の割合が高く、

年間を通しての割合は雄が 2.8 倍と、多く漁獲された。

熊本県:例年ど おり 、漁期 前半は雌個 体 の割合が高く、漁 期 後半は雄個

体の割合が高く なる 傾向が見られた (表 1、図4 、図5 )。

表1 熊本県の 標本 船調査 による雌 雄別 全甲幅長(単位 :cm)

全体 雌 雄

5 月後半 18.46±1.40(n=712) 18.49±1.36(n=702) 15.81±1.72(n=10)

6 月前半 委員会指示期間中

6 月後半 17.56±1.67(n=101) 17.64±1.59(n=84) 17.14±2.05(n=17)

7 月前半 15.51±2.45(n=292) 16.20±2.30(n=165) 14.61±2.34(n=127)

7 月後半 14.64±2.56(n=695) 15.20±2.55(n=322) 14.17±2.49(n=373)

8 月前半 17.87±1.61(n=111) 17.92±1.79(n=51) 17.83±1.45(n=60)

8 月後半 16.08±2.09(n=313) 16.43±2.15(n=166) 15.68±1.95(n=147)

9 月前半 17.89±1.61(n=252) 18.23±1.58(n=85) 17.72±1.61(n=167)

9 月後半 18.35±1.70(n=216) 18.83±1.82(n=125) 17.70±1.25(n=91)

10 月前半 18.31±1.99(n=143) 19.17±2.18(n=57) 17.74±1.63(n=86)

図4 熊本県の標本船調査による雌雄別全甲幅長頻度組成(単位: cm)

図5 熊本県の 標本 船調査 による雌 雄別 出現割合

5)分布海域

有明海、また、それに続く八代海及び橘湾。一部は天草西海にも分布している。

6)移動

福岡県:平成 26 年についても引き続き、漁獲したガザミの甲羅にペイント標

識を施した個体を柳川沖から放流し、放流直後から放流地点付近の再捕

報告が寄せられた。また、平成 25 年に放流した標識個体が有明海湾央

部から湾口部で再捕されたほか、鹿児島県阿久根市と長崎県佐世保市で

も再捕された。

長崎県:有明海及び橘湾で 2003~2007 年に行った漁獲実態調査と 2005~2007

年に実施した漁獲ガザミの雌雄別標識放流試験から、有明海湾奥部で放

流した群は湾奥部から湾央部で再捕される事例が多いが、橘湾で再捕さ

れた事例も確認された。有明海湾口部で放流した群では湾奥、湾央、湾

口部、橘湾で再捕された。橘湾で放流した群は橘湾で再捕され、有明海

での再捕は確認されなかった。これらのことから、有明海のガザミは有

明海湾奥から橘湾まで広い範囲で移動するものが多くいることがわか

った(移動距離が 80km を超える事例も多かった)。

7)寿命

一般的に 2~3 年程度と考えられている。文献等によると、雄が 1 年半から 2

年、雌は 3 年程度である。

長崎県:有明海及び橘湾で 2003~2007 年に行った漁獲実態調査と 2005~2007

年に実施した雌雄別の標識放流試験から、雌は 3 年以上、雄は 1 年 3~

7 ヶ月と考えられた。

8)軟甲ガザミの出現

福岡県:軟甲ガザミ(硬:カタ、寸:チョイ、ヤワ:ヤワラの 3 銘柄のうち、

寸とヤワの 2 銘柄)は、漁期を通して出現した。軟甲ガザミの漁獲ピー

クは 9 月に現れ、9 月から 11 月まで漁獲物の 5 割以上を軟甲ガザミが

占めた。

佐賀県:軟甲ガザミは 7~10 月まで出現し、ピークは 8 月で、漁獲物中の 20%

程度を占めた。

9)成長

熊本県:平成 25 年に実施した標本船調査の結果から、全甲幅長 290mm 程度ま

で成長すると考えられた(平成 26 年に調査した個体の最大全甲幅長は

233mm)。

4 資源状態

農林水産統計年報によると、有明海のガザミの漁獲量は年変動が大きく、昭和48

年以降、増減を繰り返しながら昭和60年には最高の1,781トンとなった。その後徐

々に減少し、平成12年には過去最低の142トンとなっている。平成14年には338トン

まで回復したものの、その後は200トン前後で推移し、平成 22年は99トンと昭和49

年以降、過去最低となった後、平成23~25年はやや増加に転じている。

なお、平成26年の農林水産統計年報のデータは現時点で得られていないため、平

成26年に各県が行った漁獲量調査の結果を示すと、4県の漁獲量は合計110トンとな

り、有明海におけるガザミの資源水準及び資源動向は、低位で横ばい傾向であると

考えられた。

図6 有明海におけるガザミ類漁獲量の推移

(出典:~H25農林水産統計年報)

福岡県:福岡県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移を図 7に示した。ガザ

ミ類の漁獲量は平成3年の75トンをピークに、以後減少傾向にあり、平

成12年以降は20トン台と低水準で推移している。農林統計における平成

25年値は37トンであった。福岡県漁場における資源水準としては、低位

横ばいで推移していると推測される。

図7 福岡県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移

佐賀県:佐賀県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移を図 8に示した。ガザ

ミ類の漁獲量は、昭和50年代には100トン前後で変動していたが、昭和6

0年に急増して717トンを記録した。しかし、その後は徐々に減り続け、

平成12年には23トンまで減少した。平成13年に130トンに増加したもの

の、平成14年~25年までは20~66トンの範囲を推移し、徐々に減少して

いる。以上のことから、漁獲量は過去20年間中水準から低水準となり、

近年は減少傾向で推移しているものと考えられる。

図8 佐賀県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移

長崎県:長崎県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移を図9に示した。ガザ

ミ類の漁獲量は、昭和60年には過去最高の762トンを記録したが、その

後は減少傾向を示し、平成22年は過去最低の18トンと落ち込んだ。しか

し、長崎県有明海域主要4漁協におけるガザミ合計取扱数量の変動は、

平成23~26年まで平成22年よりは全て高い数量であり、持ち直している

ように見える。これらのことから平成26年におけるガザミ類の資源水準

は低位で横ばいと推察される。

図9 長崎県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移

熊本県: 漁獲量 は昭 和 62年の約 2 8 4 tを ピ ー ク と し て 減 少 傾 向 と な

り 、 平 成 1 5年 に 3 1 tを 記 録 し た 後 、 8 6 tを 記 録 し た 平 成 2 5

年 を 除 き 、 概 ね 3 0t台で推移して い る 。本県のガザミ 資源 水

準は、過去 2 0年の 平 均漁獲量( 6 5 . 2 t)や過去 5年の平均漁 獲量

( 4 5 . 5 t)から、低 位で横ばい 傾向 にあ る と考えられた 。

図 10 熊本県有明海域におけるガザミ類漁獲量の推移

5 資源回復に関するコメント

有明海ガザミ広域資源管理方針に基づき、有明海沿岸に位置する福岡県、佐賀県、

長崎県、熊本県では資源回復のために講じる措置として、抱卵個体の保護(再放流

又は一時蓄養による放卵後の出荷)、小型個体(全甲幅長12cm以下)の再放流、休漁

期間の設定(たも網及びその他のすくい網について6月1日~6月15日までの15日間禁

漁)などの漁獲努力量の削減、種苗放流による資源の積極的培養措置、海底耕うん

などの漁場環境の保全措置に取り組んできた。

なお、生物学的特性については不明な点が多いため、今後の調査の充実が期待さ

れる。

福岡県:抱卵個体(黒デコ)の保護、小型個体(全甲幅長12cm以下)の再放流等

の資源回復計画に関する取り組みについては、主幹漁業者にほぼ定着して

いる。たもすくい網については、福岡県海域での操業は行われていない。

佐賀県:佐賀県有明海海域においては、自主的な資源管理の取組として、抱卵ガ

ザミ、小型ガザミ(15cm以下)および軟甲ガザミの再放流並びに休漁日の

設定の措置が講じられている。現在、資源が低水準であることから、資源

回復のためには引き続きこれらの資源管理への取組が必要である。

長崎県:広域資源管理方針に基づく取組を確実に実施するとともに、4県で連携し

て、放流効果の解明に取り組み、より効果的な放流事業の実施を推進する

とともに、資源動向の把握精度の向上に努める必要がある。

熊本県:資源回復 の 措置として 人工 種苗 の放流、抱卵ガザ ミ 及び小型ガザ

ミの保護が有効 であ る と考える が、今 後 、各対策の効果を 定 量的に

把握し、資源回 復手 法の 選択集中 も 必要 である。

資 料3-2

有明海ガザミ広域資源管理方針に基づく平成27年度の取組状況

(平成27年10月)1.広域資源管理方針の実施措置

措 置 平成27年度の実施状況

(1)漁獲努力量の削減措置① 抱卵ガザミ(黒デコ)の保護 関係県において、採捕された抱卵ガザミ(黒デコ)

の再放流又は一時蓄養により抱卵ガザミの産卵機会の確保を実施。

② 小型ガザミの再放流 関係県において、小型ガザミの保護のため、採捕された全甲幅長12cm以下のガザミの再放流を実施。

③ 採捕禁止期間の設定 日本海・九州西広域漁業調整委員会指示第44号に基づき、有明海において、平成27年6月1日から6月15日までの間、たも網その他のすくい網によるガザミの採捕を禁止し、抱卵ガザミの保護を実施。

(2)資源の積極的培養措置 関係県によるガザミ種苗放流を実施。(3)漁場環境の保護 福岡県において、漁場の環境を改善するため覆砂

を実施。佐賀県及び長崎県において、漁場の環境を改善するため、モガイ殻散布及びカキ殻散布耕耘を実施。。

(4)その他 関係県において、マリーナ、フィッシャリーナ、釣具店、関係漁協等に対してリーフレットによる広域資源管理方針の取り組みの周知を実施。

(参考)【平成27年度のガザミ種苗放流状況】

単位:千尾区 分 放 流 尾 数 放流サイズ 放流場所 放 流 時 期 備 考福 岡 県 399 C3 有明海 6月~8月 DNAマーカー佐 賀 県 980 C3 有明海 7月~8月 DNAマーカー長 崎 県 481 C3、C4 有明海 7月~8月 DNAマーカー熊 本 県 727 C3 有明海 6月~7月 DNAマーカー

計 2,587※放流サイズの「C1~C5」は、脱皮の回数(C1:5mm、C3:10mm、C5:20mm)。

【平成23~26年度の放流尾数】単位:千尾

区 分 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 備 考福 岡 県 438 856 1,017 701佐 賀 県 3,923 2,686 1,990 1,866長 崎 県 632 610 700 659熊 本 県 855 696 710 702計 5,848 4,848 4,417 3,928

2.有明海ガザミ広域資源管理方針に係る広域資源管理検討会議及び漁業者協議会等の開催実績

(平成27年4月~平成27年10月)

開催年月日 会 議 名 参 加 機 関 内 容

H27.4.23 有明海ガザミの資源評価に向け 福岡県、佐賀県、長崎県、 ○有明海ガザミの資源評価に向けた検討について

た打合せ(研究者間) 熊本県、西海区水研、水産 ○その他

庁(九調)

H27.4.24 有明海ガザミ資源管理漁業者協 有明海沿岸漁協(組合長、 ○第25回日本海・九州西広域漁業調整委員会の結果について

議会(長崎県) 漁業者代表 、九調、長崎 ○その他)

県、南北高海区漁協長会、

長崎県漁連

H27.5.15 ガザミ育成会総会(福岡県) 福岡有明海ガザミ育成会、 ○平成27年度ガザミ広域資源管理方針について

福岡有明海漁連 沖端漁協 ○平成27年度ガザミ育成会資源管理の取組方針について、 、

柳川市、有明海研究所 ○その他

H27.5.30 第1回ガザミ中間育成準備会 福岡有明海ガザミ育成会、 ○平成27年度ガザミ広域資源管理方針について(確認)

(福岡県) 柳川地区ガザミ漁業者、 ○平成27年度ガザミ育成会資源管理の取組方針について(確認)

福岡有明海漁連、有明海 ○その他

研究所

H27.11.12 広域資源管理検討会議 漁業者代表、福岡県、佐賀 ○資源動向について

平成27年度第1回 県、長崎県、熊本県、西海 ○平成27年度の取組状況について( )

区水研、水産庁(九調) ○その他