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2.7.4.6 市販後データ 2.7.4.6.1 PSUR のまとめ セレコキシブは 1998 12 月に新薬として米国 FDA に承認されて以来,法規制に従い Periodic Safety Update ReportPSUR が作成されている.Core Data SheetCDS PSUR の最新の安全性 データを基に改訂が行われている[1.6.2.3 企業中核データシート(CCDS),添付資料 5.3.6-1 PSUR 要約]. セレコキシブは薬剤療法が広く行われる治療領域での新しいカテゴリーの薬剤であり,セレ コキシブの安全性に関する知見を高め,かつ既存の NSAID に比してセレコキシブの優れた忍容 性を確認する目的で,多くの試験が実施されてきた. 2004 5 31 日までにセレコキシブの投与を受けた患者数は世界中で推定 7060 万例であり, ファイザー社の安全性データベースを検討した結果,臨床試験を除いた検索対象症例とされた セレコキシブの全報告症例は計 47279 例であった.これらのうち,全血栓系に関連する事象報 告症例は 1072 例,心臓系の事象報告症例は 537 例,脳血管系の事象報告症例は 353 例,末梢血 管系の事象報告症例は 195 例,及び心腎系に関連する事象報告症例は 3603 例であった. FDA の有害事象報告システム(AERS)に報告された事象について,COX-2 阻害薬のセレコ キシブ,ロフェコキシブ並びに非選択的 NSAID であるジクロフェナク,イブプロフェン,ナプ ロキセン,ピロキシカムを検索したところ,全般にロフェコキシブで報告症例の割合が高く, セレコキシブとジクロフェナクとでは同程度であった. また,市販後の皮膚事象に関して, 2005 3 15 日までにおけるファイザー社の安全性デー タベースを検討した結果(添付資料 5.3.6-5 セレコキシブ:臨床試験及び自発報告による皮膚 反応データ),適応症によらずヘルスケア専門家により報告されたセレコキシブ症例は 27,052 例であり,このうち 245 例(0.9%)が重度の皮膚関連副作用(SCAR)事象を報告し, 80 例(0.3%SCAR 様事象を報告した. SCAR 事象及び SCAR 様事象の約 60%が女性患者であり,約 40%が高齢患者(>65 歳)であっ た.症例の半数以上はセレコキシブの 1 日投与量が200mg(各々56%及び 55%)と報告され, 治療期間が判明している症例の約 80%において治療開始後 1 カ月以内に事象が発現した.セレ コキシブ投与患者のうち,SCAR 事象又は SCAR 様事象の危険因子となり得る患者特性を有す る症例の割合は,スルホンアミドによるアレルギー歴が SCAR 事象発現症例の約 7%,その他 の薬剤アレルギー歴が約 9%,非薬物アレルギー歴が約 2%であり,SCAR 様事象発現症例では これらのアレルギー歴は約 9%であった(添付資料 5.3.6-5 セレコキシブ:臨床試験及び自発報 告による皮膚反応データ). 臨床試験以外の症例を検討した結果,セレコキシブで治療される可能性が高い患者集団に固 有のリスクとは無関係に,セレコキシブ投与による心臓系,脳血管系,末梢血管系,全血栓系 及び心腎系に関連する有害事象発現のリスクが増加する徴候は認めなかった[添付資料 5.3.6-6 欧州医薬品審査庁(EMEA)からの照会事項 EMEA/ に対するファイザー社の回答: 臨床試験症例以外の症例報告に基づくセレコキシブに関するデータ]. NSAID の主な有害事象である胃腸障害に関する安全性については関節炎患者を対象とした 151

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Page 1: 2.7.4.6.1 PSUR のまとめ - pfizer.co.jp · セレコキシブは1998年12月に新薬として米国FDA に承認されて以来,法規制に従いPeriodic Safety Update Report:PSUR

2.7.4.6 市販後データ 2.7.4.6.1 PSUR のまとめ セレコキシブは 1998 年 12 月に新薬として米国 FDA に承認されて以来,法規制に従い Periodic

Safety Update Report:PSUR が作成されている.Core Data Sheet:CDS は PSUR の 新の安全性

データを基に改訂が行われている[1.6.2.3 企業中核データシート(CCDS),添付資料 5.3.6-1

PSUR 要約].

セレコキシブは薬剤療法が広く行われる治療領域での新しいカテゴリーの薬剤であり,セレ

コキシブの安全性に関する知見を高め,かつ既存の NSAID に比してセレコキシブの優れた忍容

性を確認する目的で,多くの試験が実施されてきた.

2004年 5月 31日までにセレコキシブの投与を受けた患者数は世界中で推定 7060万例であり,

ファイザー社の安全性データベースを検討した結果,臨床試験を除いた検索対象症例とされた

セレコキシブの全報告症例は計 47279 例であった.これらのうち,全血栓系に関連する事象報

告症例は 1072 例,心臓系の事象報告症例は 537 例,脳血管系の事象報告症例は 353 例,末梢血

管系の事象報告症例は 195 例,及び心腎系に関連する事象報告症例は 3603 例であった.

FDA の有害事象報告システム(AERS)に報告された事象について,COX-2 阻害薬のセレコ

キシブ,ロフェコキシブ並びに非選択的 NSAID であるジクロフェナク,イブプロフェン,ナプ

ロキセン,ピロキシカムを検索したところ,全般にロフェコキシブで報告症例の割合が高く,

セレコキシブとジクロフェナクとでは同程度であった.

また,市販後の皮膚事象に関して,2005 年 3 月 15 日までにおけるファイザー社の安全性デー

タベースを検討した結果(添付資料 5.3.6-5 セレコキシブ:臨床試験及び自発報告による皮膚

反応データ),適応症によらずヘルスケア専門家により報告されたセレコキシブ症例は 27,052

例であり,このうち 245 例(0.9%)が重度の皮膚関連副作用(SCAR)事象を報告し,80 例(0.3%)

が SCAR 様事象を報告した.

SCAR 事象及び SCAR 様事象の約 60%が女性患者であり,約 40%が高齢患者(>65 歳)であっ

た.症例の半数以上はセレコキシブの 1 日投与量が≤200mg(各々56%及び 55%)と報告され,

治療期間が判明している症例の約 80%において治療開始後 1 カ月以内に事象が発現した.セレ

コキシブ投与患者のうち,SCAR 事象又は SCAR 様事象の危険因子となり得る患者特性を有す

る症例の割合は,スルホンアミドによるアレルギー歴が SCAR 事象発現症例の約 7%,その他

の薬剤アレルギー歴が約 9%,非薬物アレルギー歴が約 2%であり,SCAR 様事象発現症例では

これらのアレルギー歴は約 9%であった(添付資料 5.3.6-5 セレコキシブ:臨床試験及び自発報

告による皮膚反応データ).

臨床試験以外の症例を検討した結果,セレコキシブで治療される可能性が高い患者集団に固

有のリスクとは無関係に,セレコキシブ投与による心臓系,脳血管系,末梢血管系,全血栓系

及び心腎系に関連する有害事象発現のリスクが増加する徴候は認めなかった[添付資料 5.3.6-6

欧州医薬品審査庁(EMEA)からの照会事項 EMEA/ に対するファイザー社の回答:

臨床試験症例以外の症例報告に基づくセレコキシブに関するデータ].

NSAID の主な有害事象である胃腸障害に関する安全性については関節炎患者を対象とした

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CLASS(セレコキシブを臨床推奨用量を越える用量で,ジクロフェナク及びイブプロフェンを

臨床推奨用量で長期投与した消化管安全性試験)において詳細に検討されている.また,セレ

コキシブの胃腸障害に関する安全性は,米国申請資料に含まれる試験及び OA を対象とした大

規模試験である SUCCESS-1 の症例を含む 3 万人以上の膨大な臨床データにより裏付けられて

いる.

一方,これまでに PSUR に記載されたほとんどの報告は,病歴等に起因する胃腸障害,腎・

肝障害,心血管系障害の危険因子のある高齢患者におけるものであった(関節リウマチ患者の

心血管系障害の罹患率は,一般人口の心血管系障害の罹患率よりも高い). も発現頻度が高い

有害事象は,発疹/蕁麻疹/紅斑/皮膚炎,消化管の潰瘍/出血/穿孔であった.

セレコキシブを服用した患者の死亡率は,相対危険度として 1.72(1.54~1.91)/10 万人年であ

り,WHO 発表の 2000 年の世界総合死亡率 921/10 万人年より,はるかに少ないものであった.

死亡した全報告例の有害事象について解析したところ,胃腸障害が 29.9%,心疾患が 16.3%,肝・

胆管系障害が 7.9%,及び腎障害が 5.6%であった.

また,ワルファリン及びその類似薬との併用による重篤な出血例が報告されており,これら

の症例においてプロトロンビン時間が延長していたことから,セレコキシブとワルファリン等

との併用時には注意が必要である.

承認申請後に発刊された PSUR(添付資料 5.3.6-7 安全性定期報告 第 10 版)に報告された

肝不全,味覚消失,無嗅覚,無菌性髄膜炎,間質性腎炎,月経障害が,企業中核データシート

の有害事象の項目に追加された[1.6.2.3 企業中核データシート(CCDS),添付資料 5.3.6-1

PSUR 要約].

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2.7.4.6.2 外国における安全性情報(参考資料) 2.7.4.6.2.1 消化管潰瘍系有害事象 2.7.4.6.2.1.1 胃・十二指腸潰瘍の内視鏡試験 ··········· 添付資料 5.3.5.4-3,5.3.5.4-5

4500 例を超える RA 及び OA を対象とした外国の比較対照試験 5 試験(021,022,041,062,

071 試験)において内視鏡検査を実施し,セレコキシブ,既存の NSAID 及びプラセボとの間で

上部消化管潰瘍の発現率を比較した.

内視鏡検査を実施した 5 試験のうち,4 試験(021, 022, 062, 071 試験)は 12 週間投与,残り

の 1 試験(041 試験)は 24 週間投与を行った.021 及び 022 試験では 12 週間投与の前後に内視

鏡検査を行い,062 及び 071 試験では投与開始前及び投与後 4,8,12 週後に行った.これら 4

試験では投与開始前の内視鏡検査ですでに潰瘍を合併している症例は除外した.041 試験では

投与開始前の内視鏡検査は行わず,あらかじめ特定していた施設に登録した患者においてのみ

24 週間投与後に内視鏡検査を実施した.

これら 5 試験における内視鏡下の胃・十二指腸潰瘍発現率を表 2.7.4.6.1 に示す.NSAID と

の比較では,セレコキシブはナプロキセン(500mgBID)及びイブプロフェン(800mgTID)に比し

内視鏡下の胃・十二指腸潰瘍発現率が統計学的に有意に低かった.ジクロフェナク(75mgBID)

を対照とした 2 試験のうちの一つでも,ジクロフェナクに比し胃・十二指腸潰瘍の発現率が統

計学的に有意に低かった.セレコキシブと胃・十二指腸潰瘍発現率の間に用量相関性は認めら

れなかった.また,同等性を示すには症例数が十分でないものの,セレコキシブにおける内視

鏡下の胃・十二指腸潰瘍発現率はプラセボと同様であった.一方,NSAID の内視鏡下の胃・十

二指腸潰瘍発現率はプラセボの約 4 倍であった.

表 2.7.4.6.1 被験薬と関連があった内視鏡下の胃・十二指腸潰瘍の発現率

セレコキシブ 試験

100mgBID 200mgBID 400mgBIDNSAID

ナプロキ セン

500mgBID

イブプロ フェン

800mgTID

ジクロ

フェナク

75mgBID

021 3%

(7/227) 6%

(13/221) -

16%* (34/210)

16%* (34/210)

- -

022 4%

(9/223) 3%

(6/219) 4%

(8/197) 18%*

(37/210) 18%*

(37/210) - -

041 - 4%

(8/212) -

15%* (33/218)

- - 15%*

(33/218)

062 - 8%

(20/266) -

35%* (89/257)

35%* (89/257)

- -

071 - 7%

(25/356) -

16%* (114/706)

- 23%*

(78/334) 10%

(36/372)

Cochran-Mantel-Haenszel 検定, *:p<0.05 vs. セレコキシブ群 発現率(発現例数/例数)

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2.7.4.6.2.1.2 消化管安全性試験: CLASS ···················· 2.7.6.49,添付資料 5.3.5.4-4

外国の消化管安全性試験(CLASS)は,米国での承認後に,セレコキシブの消化管に対する

影響に関する承認前臨床試験成績の一般化の可否を検討する目的で実施した.本試験では,セ

レコキシブを関節炎治療の臨床推奨用量域(RA:100-200mgBID,OA:100mgBID)を超える用

量(400mgBID)で関節炎患者に長期投与し,上部消化管に対するセレコキシブの安全性を評価

した.評価は独立した消化管系有害事象判定委員会が事前に定義した基準を基に盲検下で行い,

消化管系有害事象を潰瘍合併症又は症候性潰瘍に分類した(上部消化管出血,穿孔及び幽門狭

窄を「潰瘍合併症(CSUGIs)」とし,これらの有害事象のうち軽度又は中等度の事象を「症候

性潰瘍」とした).

本試験の成績を表 2.7.4.6.2 に示す.関節リウマチ患者(約 2200 例)及び変形性関節症患者

(約 5800 例)に,セレコキシブ 400mgBID 又は非選択的 NSAID(イブプロフェン及びジクロフェ

ナク)を 長 15 カ月投与した(中央値 6~9 カ月).セレコキシブの潰瘍合併症,症候性潰瘍,

及び潰瘍合併症・症候性潰瘍の併合発現率は,非選択的 NSAID(ジクロフェナク,イブプロフェ

ン)に比べて低く,症候性潰瘍及び潰瘍合併症・症候性潰瘍の併合発現率では,統計学的に有

意な差が認められた.

表 2.7.4.6.2 CLASS: 上部消化管に対する安全性(潰瘍合併症・症候性潰瘍)

評価項目 投与群 症例数 人年 発現数100 人年 あたり

Kaplan-Meier 法による累積イベ

ント発現率 (Log-Rank p 値)

セレコキシブ (400mgBID)

3987 2320 43 1.85 1.95

イブプロフェン (800mgTID)

1985 1122 36 3.21 2.84 (0.017)

ジクロフェナク (75mgBID)

1996 1081 26 2.41 1.91 (0.296)

潰瘍合併症・ 症候性潰瘍

NSAID(イブプロフェン

及びジクロフェナク) 3981 2203 62 2.81 2.46 (0.040)

2.7.4.6.2.1.3 関節炎(RA 及び OA)患者を対象とした消化管障害のメタアナリシ

セレコキシブの消化管障害への安全性を評価するため,これまでにファイザーが国内外で実

施した臨床試験のうちから,関節炎(RA/OA)患者を対象として 2 週間以上の実薬投与を行っ

た二重盲検比較試験 31 試験(合計 39605 例)のデータを併合し,メタアナリシスを実施した.

比較対照として,プラセボ,パラセタモール(以下,アセトアミノフェンとする),ロフェ

コキシブ及び非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ロキソプロ

フェンナトリウム)が使用された 3).

評価項目として,投与の中止(すべての理由,有効性の欠如,有害事象,消化管障害に関連

する有害事象),有害事象,被験薬と関連のあった有害事象及び重篤な有害事象等を用いた. 非

選択的 NSAID(上記 4 薬剤)との比較においてはセレコキシブの全用量及び 200-400 mg/日に

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ついて検討し,その他の薬剤との比較にはセレコキシブの全用量に対する検討を行った.また,

各評価項目について,セレコキシブのアセトアミノフェン,ロフェコキシブ,非選択的 NSAID

それぞれの群に対する相対リスクを算出した.

2.7.4.6.2.1.3.1 消化管障害に関連する有害事象及び忍容性に関する検討 セレコキシブの消化管障害に対する忍容性(中等度又は高度な嘔気,消化不良,腹痛の有害

事象)及び消化管障害に関連する有害事象(嘔気,嘔吐,腹痛,消化不良,下痢,潰瘍,出血)

の結果を抜粋し表 2.7.4.6.3 に示す.

セレコキシブ群のプラセボ群に対する相対リスクは,消化管の有害事象,消化不良,下痢に

ついて統学計的に有意に高く,嘔気について統計学的に有意に低かった.また,統計学的に有

意ではないものの,消化管の有害事象による投与中止,嘔吐,腹痛について,セレコキシブ群

のプラセボ群に対する相対リスクが高かった.

セレコキシブ群のアセトアミノフェン群に対する相対リスクは,下痢について統計学的に有

意に低かった.また,統計学的に有意ではないものの,消化管の有害事象による投与中止,嘔

吐,腹痛において,セレコキシブ群のアセトアミノフェン群に対する相対リスクは低く,嘔気,

消化不良について高かった.

セレコキシブ群のロフェコキシブ群に対する相対リスクは,腹痛について統計学的に有意に

低かった.また,統計学的に有意ではないものの,嘔吐を除いたその他の事象について,セレ

コキシブ群のロフェコキシブ群に対する相対リスクは低かった.

セレコキシブ全用量群及び 200-400 mg/日の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,すべ

ての項目で低く,下痢と嘔気を除いたすべての項目について統計学的に有意に低かった.潰瘍

形成及び潰瘍出血の発現率は,セレコキシブ 1 日 200-400mg 群の投与で 0.2%,非選択的 NSAID

群では 0.6%であった(相対リスク 0.35,95%CI: 0.22-0.56).

セレコキシブ群のセレコキシブ以外の全実薬群に対する相対リスクは,すべての評価項目に

おいて低く,下痢を除いたすべての評価項目について統計学的に有意に低かった.

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表 2.7.4.6.3 消化管障害に関連する有害事象におけるセレコキシブの各対照群に対する

相対リスク

対照群 プラセボ アセトアミノ

フェン ロフェコキシブ 非選択的 NSAID 1) 全実薬群

価 項

目 セレコキシブ 全用量

セレコキシブ 全用量

セレコキシブ 全用量

セレコキシブ 全用量

セレコキシブ 200-400 mg/日

セレコキシブ 全用量

消化管の 有害事象

1.2 (1.1-1.4) [9512]*

1.1 (0.8-1.6) [1056]

0.87 (0.74-1.03)

[2671]

0.84 (0.81-0.87) [31171]*

0.84 (0.81-0.87) [30043]*

0.85 (0.82-0.88) [34762)*

消化管の有害

事象による 投与中止

1.2 (0.8-1.7) [5933]

0.6 (0.2-1.6)

[726]

0.7 (0.5-1.2) [2671]

0.75 (0.7-0.8) [27299]*

0.7 (0.6-0.8) [18639]*

0.75 (0.7-0.8) [30560)*

消化管の 忍容性

1.0 (0.82-1.2)

[9919]

1.0 (0.43-2.4)

[1056]

0.72 (0.49-1.06)

[2671]

0.61 (0.55-0.67) [23743]*

0.62 (0.56-0.68) [22615]*

0.63 (0.57-0.69) [27334]*

嘔気 0.76

(0.60-0.97) [9510]*

1.6 (0.73-3.7)

[1056]

0.62 (0.32-1.2)

[1579]

0.80 (0.72-0.89) [31168]*

0.87 (0.74-1.02)

[22072]

0.81 (0.73-0.90) [33667]*

嘔吐 1.4

(0.86-2.4) [9030]

0.73 (0.19-2.7)

[1056]

1.3 (0.29-5.7)

[769]

0.75 (0.62-0.90) [30921]*

0.64 (0.49-0.83) [21825]*

0.76 (0.64-0.91) [32610]*

腹痛 1.2

(0.92-1.5) [9919]

0.45 (0.15-1.3)

[1056]

0.64 (0.42-0.97)

[2671]*

0.76 (0.70-0.82) [31711]*

0.75 (0.68-0.83) [22615]*

0.75 (0.70-0.81) [35302]*

消化不良 1.30

(1.08-1.6) [9919]*

1.34 (0.63-2.9)

[1056]

0.89 (0.63-1.3)

[2671]

0.84 (0.78-0.90) [31711]*

0.79 (0.71-0.88) [22615]*

0.85 (0.79-0.91) [35302]*

下痢 1.45

(1.16-1.82) [9510]*

0.48 (0.24-0.95)

[1056]*

0.93 (0.65-1.3)

[2671]

0.96 (0.88-1.1) [31167]

0.96 (0.85-1.1) [22071]

0.95 (0.87-1.03)

[34758]

潰瘍・出血 NA NA NA 0.61

(0.46-0.81) [31171]*

0.35 (0.22-0.56) [22075]*

0.61 (0.46-0.81) [32508]*

相対リスク(95%信頼区間)[解析症例数],*:p<0.05;固定効果モデルで NA:発現例数が少なく算出しなかった. 1):非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ロキソプロフェンナトリウム)

2.7.4.6.2.1.3.2 ヘモグロビン及びヘマトクリット値低下におけるセレコキシブの

各対照群に対する相対リスクの検討 消化管障害について検討した薬剤群と同じ薬剤を対照群として,ヘモグロビン及びヘマトク

リット値の低下の発現に対し,セレコキシブの各対照群に対する相対リスクを算出し,比較し

た結果を表 2.7.4.6.4 に示す.

ヘモグロビン低下におけるセレコキシブ群のプラセボ群に対する相対リスクは,統計学的に

有意ではなく,セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプ

ロフェン,ロキソプロフェンナトリウム),全実薬群に対する相対リスクは統計学的に有意に低

かった.

ヘマトクリット値低下におけるセレコキシブ群のプラセボ群に対する相対リスクは,統計学

的に有意ではなかったが,セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群,全実薬群に対する相対リスク

156-  -

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では,統計学的に有意に低かった.

表 2.7.4.6.4 ヘモグロビン,ヘマトクリット値低下におけるセレコキシブの各対照群に対する

相対リスク 対照群 プラセボ ロフェコキシブ 非選択的 NSAID# 全実薬群

評価 項目

セレコキシブ 全用量

セレコキシブ

全用量 セレコキシブ

全用量 セレコキシブ 200-400 mg/日

セレコキシブ

全用量

ヘモグロビン低下 (20g/L 以上)

1.5 (0.56-4.0)

[3577] NA

0.72 (0.56-0.92) [16180]*

0.71 (0.55-0.91) [15746]*

0.72 (0.56-0.92) [16990]*

ヘマトクリット値 低下

(5% 以上)

1.2 (0.98-1.5)

[6442]

0.74 (0.54-1.01)

[962]

0.78 (0.69-0.89)

[8038]*

0.77 (0.68-0.88)

[6910]*

0.78 (0.69-0.88)

[8970]* 相対リスク(95%信頼区間)[解析症例数],*:p<0.05;固定効果モデルで NA:発現例数が少なく算出しなかった. #:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ロキソプロフェンナトリウム)

2.7.4.6.2.1.3.3 潰瘍発現におけるセレコキシブの非選択的NSAIDに対する相対リ

スクの検討 内視鏡検査を実施した 8 試験について,潰瘍の発現(3 mm 以上)に対し,セレコキシブのプ

ラセボ及び非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン)に対する相対

リスクを算出し,また,それらをアスピリン(<325 mg/日)使用の有無で比較した結果を表

2.7.4.6.5 に示す.

セレコキシブ群のプラセボ群に対する潰瘍発現の相対リスクは高かったが,統計学的に有意

ではなかった.アスピリン使用の有無別の部分集団別解析についても,同様の結果を示した.

一方,セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,統計学的に有意に低かっ

た.また,アスピリン使用者及びアスピリン非使用者のいずれにおいても,セレコキシブの用

量にかかわらず,この相対リスクは統計学的に有意に低かった.

表 2.7.4.6.5 潰瘍発現におけるセレコキシブのプラセボ及び

非選択的 NSAID に対する相対リスク 対照群 プラセボ 非選択的 NSAID# 評価

項目 セレコキシブ全用量 セレコキシブ全用量 セレコキシブ200-400 mg/日

全対象者 1.8

(0.89-3.6) [1737]

0.29 (0.24-0.36)

[4565] *

0.30 (0.24-0.37)

[4135] *

アスピリン使用者 (<325 mg/日)

1.8 (0.79-3.9)

[1537]

0.28 (0.22-0.36)

[3440] *

0.28 (0.22-0.36)

[3053] *

アスピリン非使用者

1.7 (0.45-6.3)

[200]

0.48 (0.28-0.83)

[387] *

0.47 (0.27-0.83)

[344] * 相対リスク(95%信頼区間)[解析症例数],*:p<0.05;固定効果モデルで #:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン)

157-  -

*:薬事分科会資料提出時に修正

*

*

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2.7.4.6.2.2 心血管系障害 2.7.4.6.2.2.1 慢性疼痛疾患を対象(41 試験)とした重篤な心血管系事象のメタア

ナリシス ····································································· 添付資料 5.3.5.4-7 セレコキシブの心血管系への安全性を評価するため,これまでにファイザーが国内外で実施

した臨床試験より,以下のすべての条件に合致する慢性疾患を対象とした 41 の二重盲検比較試

験のデータを併合し,メタアナリシスを実施した.

無作為化並行群間試験である

予定投与期間が 2 週間以上である

プラセボ,非選択的 NSAID 又はロフェコキシブを投与した対照群を有する

2004 年 月 日時点で試験が完了し,治験総括報告書が完成している

2.7.4.6.2.2.1.1 有害事象の分類 本メタアナリシスに用いたエンドポイントとして,重篤な心血管血栓塞栓性事象の複合エン

ドポイントを表 2.7.4.6.6 に示す.また,追加として,すべての原因による死亡及び APTC-like

複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)についても検討を

行った.

158-  -

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表 2.7.4.6.6 メタアナリシスにおける「重篤な心血管血栓塞栓性事象」の定義 すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象

心筋血栓塞栓* 脳血管* 末梢血管* 狭心症増悪 致死的動脈瘤 a 塞栓症 心停止 卒中発作* 肺塞栓症 循環不全 出血性卒中発作* 末梢性虚血 心筋梗塞* 脳血管発作 下腿血栓性静脈炎 心筋虚血 脳血管障害 下肢深部血栓性静脈炎 心筋断裂(梗塞後) 脳出血 心室性頻脈 虚血性卒中発作* 冠動脈血栓症 原因不明卒中発作* 不安定狭心症 くも膜下出血 突然死,その他の死亡, 致死的な動脈硬化, 発作性心房細動,

硬膜下血腫 一過性脳虚血発作

心不全,うっ血性心疾患, 冠動脈疾患,発作性心室細動 a

* :これらの事象のカテゴリと有害事象は評価項目として選定された. a :これらの事象は複合カテゴリから成るこの表に記載されているほかの事象の致死的なケースも一緒に包括しており,

メタアナリシスの評価項目として選ばれた心血管死亡も包括した.

2.7.4.6.2.2.1.2. 統計解析 セレコキシブ投与による心血管系事象に対するリスク評価の上で解析上重要と考えられる,

RA/OA に対する治療用量域が含まれる 1 日用量 200mg 以上(以降「≧200mgTDD」と表記する)

について,プラセボ又は非選択的 NSAID との比較を行った.また,投与群間の比較に際して,

非選択的 NSAID は,対照薬として用いられたナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,

ケトプロフェン又はロキソプロフェンナトリウムのすべてを統合し,「NSAID 群」として解析

を行った.

また,投与群間の比較及び以下の項目による部分集団別解析も行った.

ベースライン時の低用量アスピリン使用の有無

セレコキシブの 1 日投与量(TDD)

年齢(65 歳未満,65 歳以上)

性別

対象疾患(RA,OA,RA 又は OA)

ベースライン時のリスク因子(高血圧,アテローム硬化性心疾患,糖尿病,高脂血症)

159-  -

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2.7.4.6.2.2.1.3 メタアナリシスの患者背景 各投与群におけるベースライン時の患者背景を表 2.7.4.6.7 に,曝露期間を表 2.7.4.6.8 に示

す.

表 2.7.4.6.7 メタアナリシス解析対象集団のベースライン時の患者背景 薬剤群

患者背景 プラセボ N=4057

セレコキシブ全用量 N=24933

NSAID 全用量 N=13990

年齢(歳) 平均 58.3 60.8 60.0 ≥ 65 n(%) 1447 (35.7) 10452 (41.9) 5357 (38.3) ≥ 75 n(%) 424 (10.5) 3255 (13.1) 1582 (11.3)

性別, n (%) 男 1450 (35.7) 7505 (30.1) 4201 (30.0) 女 2607 (64.3) 17428 (69.9) 9789 (70.0)

対象疾患, n(%) RA /OA 3040 (74.9) 22915 (91.9) 13303 (95.1) 慢性腰痛 632 (15.6) 1333 (5.3) 440 (3.1) 強直性脊椎炎 232 (5.7) 377 (1.5) 247 (1.8) アルツハイマー病 153 (3.8) 308 (1.2) 0 (0.0)

アスピリン使用, n(%) 530 (13.1) 3167 (12.7) 1635 (11.7) OA:変形性関節症; RA:関節リウマチ; NSAID:すべての対照薬群(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロ

フェン,ケトプロフェン,ロキソプロフェンナトリウムを統合)

本メタアナリシスは, 長 1 年間の投与が行われた慢性疾患の患者計 44308 例からなるデー

タであり,セレコキシブ≧200mgTDD が投与された 7462 例とプラセボが投与された 4057 例と

の比較及びセレコキシブ≧200mgTDD が投与された 19773 例と非選択的 NSAID(すべての

NSAID 対照薬を統合)が投与された 13990 例との比較を行った.

160-  -

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表 2.7.4.6.8 曝露期間,セレコキシブとプラセボ又は NSAID との比較

比較 投与期間

セレコキシブ (全用量)

N(%)

対照群 (全用量)

N(%) セレコキシブ vs. プラセボ N 8405 4057 ≥4 Weeks 6654 (79.2) 2758 (68.0) ≥12 Weeks 2584 (30.7) 895 (22.1) ≥24 Weeks 274 (3.3) 131 (3.2) ≥36 Weeks 255 (3.0) 126 (3.1) ≥52 Weeks 199 (2.4) 97 (2.4) ≥60 Weeks 13 (0.2) 6 (0.2)

セレコキシブ vs. NSAID 対照群 Na 20463 13990 ≥4 Weeks 17974 (87.8) 12312 (88.0) ≥12 Weeks 11206 (54.8) 7426 (53.1) ≥24 Weeks 3029 (14.8) 2847 (20.4) ≥36 Weeks 2472 (12.1) 2340 (16.7) ≥52 Weeks 803 (3.9) 780 (5.6) ≥60 Weeks 82 (0.4) 97 (0.7)

セレコキシブ vs. ナプロキセン Na 6311 2953 ≥4 Weeks 5172 (82.0) 2423 (82.1) ≥12 Weeks 2956 (46.8) 1260 (42.7) ≥24 Weeks 2 (0.0) 1 (0.0) ≥36 Weeks 1 (0.0) 0 (0.0) ≥52 Weeks 1 (0.0) 0 (0.0) ≥60 Weeks 0 (0.0) 0 (0.0)

セレコキシブ vs. ジクロフェナク Na 14921 7639 ≥4 Weeks 13504 (90.5) 6992 (91.5) ≥12 Weeks 9227 (61.8) 4724 (61.8) ≥24 Weeks 3028 (20.3) 1777 (23.3) ≥36 Weeks 2471 (16.6) 1421 (18.6) ≥52 Weeks 802 (5.4) 330 (4.3) ≥60 Weeks 82 (0.6) 9 (0.1)

セレコキシブ vs. イブプロフェン Na 4512 2484 ≥4 Weeks 3958 (87.7) 2154 (86.7) ≥12 Weeks 3032 (67.2) 1442 (58.1) ≥24 Weeks 2404 (53.3) 1069 (43.0) ≥36 Weeks 2071 (45.9) 919 (37.0) ≥52 Weeks 536 (11.9) 450 (18.1) ≥60 Weeks 75 (1.7) 88 (3.5)

N :治験薬使用例数; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,

ロキソプロフェンナトリウムを統合)

a :いくつかの試験において複数の NSAID 対照群が使用されているため,セレコキシブを投与された治験薬使用例数を

まとめるとその合計は,NSAID 対照試験において実際にセレコキシブ(全用量)を投与された患者の治験薬使用例数を

上回る.

161-  -

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2.7.4.6.2.2.1.4 メタアナリシスの結果(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボの

比較) セレコキシブ≧200mgTDD が投与された 7462 例とプラセボが投与された 4057 例に関して,

以下の項目について検討を行った(表 2.7.4.6.9~表 2.7.4.6.16).

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象,個別事象(すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗

塞):低用量アスピリン使用,セレコキシブの 1 日投与量(TDD),年齢(65 歳未満,65

歳以上),性別,対象疾患(OA,RA,OA 又は RA)及びベースライン時のリスク因子(高

血圧,アテローム硬化性心疾患,糖尿病,高脂血症)(表 2.7.4.6.9~表 2.7.4.6.14)

APTC-like 複合エンドポイント:セレコキシブの 1 日投与量(TDD),年齢(65 歳未満,

65 歳以上),性別,対象疾患(OA,RA,OA 又は RA)及びベースライン時のリスク因

子(高血圧,アテローム硬化性心疾患,糖尿病,高脂血症),血圧(表 2.7.4.6.10~表

2.7.4.6.12,表 2.7.4.6.15,表 2.7.4.6.16)

ただし,結果の評価にあたっては,プラセボ対照試験において患者の治験薬曝露量が少ない

こと(12 週間又はそれ未満)及び発現した事象数が少ないことを考慮する必要がある.更に,

IQ5-97-02-001 試験ではセレコキシブ群(200mgBID)とプラセボ群間において,心血管系のリ

スク因子と示唆される既往歴の有無について投与群間での不均衡が認められているため(セレ

コキシブ群で当該症例が多かった),心血管系への影響に関する検討において留意する必要があ

る.

以下に結果の要約を示す.

セレコキシブを投与した慢性疼痛患者における重篤な心血管血栓塞栓性事象の相対リス

ク(セレコキシブ群のプラセボ群に対する相対リスク)は 1.14(95%CI:0.57-2.27)であっ

た.また,APTC-like 複合エンドポイントの発現率は,セレコキシブ群で 0.31%,プラセ

ボ群で 0.20%であった(相対リスク 1.26,95%CI: 0.57-2.80)(表 2.7.4.6.10).セレコキ

シブの用量(400mgTDD),年齢(65 歳以上)及び性別(女性)により定義した患者サブ

グループでは,心筋梗塞の発現率について,セレコキシブのプラセボに対する相対リス

クは高かったが,統計学的に有意な差は認められなかった(表 2.7.4.6.13).

APTC-like 複合エンドポイントによるセレコキシブ群のプラセボ群に対する相対リスク

は,ベースライン時に高血圧がなかった患者よりもベースライン時に高血圧があった患

者の方が高く,また,投与期間中に高血圧が認められなかった患者よりも投与期間中に

高血圧が認められた患者の方が高かった.ただし,発現事象数が少ないため,これらの

比較はいずれも信頼区間が非常に広かった(表 2.7.4.6.15).

162-  -

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表 2.7.4.6.9 アスピリン使用の有無別の重篤な心血管血栓塞栓性事象の検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較) 分類 薬剤群

N 曝露

(患者・年)n

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

全患者

セレコキシブ≥200mg TDD 7462 1268 28 1.14 (0.57-2.27) 0.713 プラセボ 4057 585 11 -- --

アスピリン非使用

セレコキシブ≥200mg TDD 6466 1047 14 0.99 (0.40-2.45) 0.977 プラセボ 3527 494 7 -- --

アスピリン使用

セレコキシブ≥200mg TDD 996 221 14 1.29 (0.43-3.88) 0.649 プラセボ 530 91 4 -- --

N :治験薬使用例数; n:事象発生例数; TDD:1 日投与量 a :相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

表 2.7.4.6.10 重篤な心血管血栓塞栓性事象,APTC-like 複合エンドポイントの検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較)

事象分類 又は有害事象 セレコキシブ

N=7462 プラセボ N=4057

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象 28 11 1.14 (0.57-2.27) 0.713

すべての心血管死亡 11 3 1.74 (0.49-6.17) 0.392

すべての心筋血栓塞栓性事象 16 4 1.68 (0.59-4.81) 0.336

心筋梗塞 9 2 1.65 (0.38-7.21) 0.508 非致死的心筋梗塞 7 2 1.24 (0.27-5.76) 0.786 致死的心筋梗塞 2 0 NA 0.348

すべての脳血管事象 11 6 0.87 (0.32-2.33) 0.780

卒中発作 8 4 0.96 (0.29-3.17) 0.942 非致死的卒中発作 5 3 0.80 (0.19-3.31) 0.753 致死的卒中発作 3 1 1.44 (0.15-13.68) 0.751

出血性卒中発作 2 1 1.02 (0.09-11.56) 0.985 虚血性卒中発作 5 1 2.36 (0.29-19.13) 0.420 原因不明卒中発作 1 2 0.24 (0.03-2.04) 0.189

すべての末梢血管事象 2 1 0.95 (0.08-11.38) 0.966

APTC-like 複合エンドポイント 23 8 1.26 (0.57-2.80) 0.574

すべての原因による死亡 17 6 1.37 (0.55-3.46) 0.500

TDD:1 日投与量; N:治験薬使用例数; NA:発現例数が少なく算出しなかった.; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

163-  -

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表 2.7.4.6.11 重篤な心血管血栓塞栓性事象,APTC-like 複合エンドポイントの

年齢,性別,用量,対象疾患別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較)

事象分類 患者サブグループ

セレコキシブ

n/Na プラセボ

n/Na 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 b

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象 全患者 28/7462 11/4057 1.14 (0.57-2.27) 0.713

セレコキシブ 200 mg 6/4834 6/3821 0.64 (0.22-1.87) 0.413 セレコキシブ 400 mg 22/2013 8/1862 1.56 (0.69-3.51) 0.283 セレコキシブ 800 mg 0/615 1/636 NA 0.271

65 歳未満 1/4777 1/2610 0.45 (0.03-6.63) 0.560 65 歳以上 27/2685 10/1447 1.20 (0.57-2.49) 0.633

男性 13/2561 7/1450 0.78(0.32-1.91) 0.587 女性 15/4901 4/2607 1.58(0.55-4.57) 0.395

OA 又は RA を有する患者 12/5885 6/3040 0.81 (0.31-2.12) 0.668 OA を有する患者 10/4366 5/2505 0.88 (0.31-2.54) 0.818 RA を有する患者 2/1519 1/535 0.49 (0.05-5.22) 0.554

APTC-like 複合エンドポイント 全患者 23/7462 8/4057 1.26 (0.57-2.80) 0.574

セレコキシブ 200 mg 4/4834 4/3821 0.59 (0.15-2.28) 0.441 セレコキシブ 400 mg 19/2013 6/1862 1.78 (0.71-4.43) 0.218 セレコキシブ 800 mg 0/615 1/636 NA 0.271

65 歳未満 1/4777 1/2610 0.45 (0.03-6.63) 0.560 65 歳以上 22/2685 7/1447 1.36 (0.57-3.21) 0.486

男性 10/2561 5/1450 0.80(0.28-2.30) 0.681 女性 13/4901 3/2607 1.79(0.54-5.96) 0.340

OA 又は RA を有する患者 9/5885 4/3040 0.84 (0.26-2.73) 0.771 OA を有する患者 7/4366 3/2505 0.97 (0.25-3.81) 0.968 RA を有する患者 2/1519 1/535 0.49 (0.05-5.22) 0.554

TDD:1日投与量; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; NA:発現例数が少なく算出しなかった.; OA:変形性関節症; RA:関節リウマチ; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死

亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作) a:いくつかの試験において複数用量のセレコキシブ(1日投与量200,400又は800mg)が使用されているためプラセボを投

与された治験薬使用例数をまとめると,その合計は実際にプラセボを投与された治験薬使用例数を上回る. b:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

164-  -

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表 2.7.4.6.12 重篤な心血管血栓塞栓性事象,APTC-like 複合エンドポイントのベースライン時に

おけるリスク因子別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較) 事象分類

既往歴 セレコキシブ

n/N プラセボ

n/N 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象 全患者 28/7462 11/4057 1.14 (0.57-2.27) 0.713高血圧あり 15/3385 4/1881 1.31 (0.44-3.88) 0.626高血圧なし 13/4077 7/2176 0.91 (0.38-2.21) 0.842アテローム硬化性心疾患あり 7/1635 4/945 0.74 (0.23-2.44) 0.622アテローム硬化性心疾患なし 21/5827 7/3112 1.35 (0.58-3.19) 0.488糖尿病あり 5/1368 3/783 0.55 (0.14-2.13) 0.384糖尿病なし 23/6094 8/3274 1.35 (0.61-3.00) 0.457高脂血症あり 7/2178 2/1285 1.68 (0.36-7.94) 0.511高脂血症なし 21/5284 9/2772 1.05 (0.48-2.27) 0.909リスク因子なし 5/3326 4/1759 0.63 (0.17-2.30) 0.489リスク因子(1 つ) 13/1879 1/1032 5.88 (1.03-33.65) 0.047

リスク因子(2 つ以上) 10/2257 6/1266 0.64 (0.25-1.65) 0.359 APTC-like 複合エンドポイント

全患者 23/7462 8/4057 1.26 (0.57-2.80) 0.574高血圧あり 12/3385 3/1881 1.37 (0.39-4.77) 0.621高血圧なし 11/4077 5/2176 1.06 (0.38-2.94) 0.906アテローム硬化性心疾患あり 5/1635 4/945 0.50 (0.14-1.79) 0.287アテローム硬化性心疾患なし 18/5827 4/3112 2.03 (0.70-5.95) 0.195糖尿病あり 5/1368 3/783 0.55 (0.14-2.13) 0.384糖尿病なし 18/6094 5/3274 1.67 (0.62-4.48) 0.308高脂血症あり 4/2178 1/1285 1.72 (0.19-15.27) 0.627高脂血症なし 19/5284 7/2772 1.21 (0.51-2.87) 0.661リスク因子なし 5/3326 2/1759 1.30 (0.25-6.71) 0.756リスク因子(1 つ) 10/1879 1/1032 4.46 (0.71-27.86) 0.110リスク因子(2 つ以上) 8/2257 5/1266 0.56 (0.20-1.62) 0.289

TDD :1 日投与量; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンド

ポイント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a :相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

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表 2.7.4.6.13 すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗塞の年齢,性別,用量,アスピリン使用の

有無,対象疾患別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較) 事象分類 有害事象

セレコキシブ

n/Na プラセボ

n/Na 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての心筋血栓塞栓事象 全患者 16/7462 4/4057 1.68 (0.59-4.81) 0.336 セレコキシブ 200 mg 5/4834 4/3821 0.79 (0.24-2.59) 0.696 セレコキシブ 400 mg 11/2013 1/1862 7.07 (1.15-43.42) 0.035 セレコキシブ 800 mg 0/615 1/636 NA 0.271 65 歳未満 1/4777 1/2610 0.45 (0.03-6.63) 0.560 65 歳以上 15/2685 3/1447 2.13 (0.63-7.20) 0.226 男性 6/2561 4/1450 0.65 (0.19-2.14) 0.474 女性 10/4901 0/2607 NA 0.040 アスピリン非使用 7/6466 2/3527 1.56 (0.33-7.42) 0.574 アスピリン使用 9/996 2/530 1.73 (0.40-7.46) 0.464 OA 又は RA を有する患者 10/5885 4/3040 1.00 (0.32-3.12) 0.996 OA を有する患者 8/4366 3/2505 1.20 (0.32-4.43) 0.785 RA を有する患者 2/1519 1/535 0.49 (0.05-5.22) 0.554

心筋梗塞 全患者 9/7462 2/4057 1.65 (0.38-7.21) 0.508 セレコキシブ 200 mg 2/4834 2/3821 0.67 (0.11-4.09) 0.668 セレコキシブ 400 mg 7/2013 1/1862 4.84 (0.71-32.85) 0.107 セレコキシブ 800 mg 0/615 1/636 NA 0.271 65 歳未満 0/4777 1/2610 NA 0.134 65 歳以上 9/2685 1/1447 3.10 (0.47-20.35) 0.238 男性 3/2561 2/1450 0.57 (0.11-3.10) 0.516 女性 6/4901 0/2607 NA 0.145 アスピリン非使用 4/6466 1/3527 1.64 (0.17-15.33) 0.666 アスピリン使用 5/996 1/530 1.63 (0.21-12.48) 0.640 OA 又は RA を有する患者 7/5885 2/3040 1.21 (0.26-5.70) 0.807 OA を有する患者 5/4366 1/2505 2.04 (0.24-17.12) 0.512 RA を有する患者 2/1519 1/535 0.49 (0.05-5.22) 0.554

TDD:1 日投与量; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; NA:発現例数が少なく算出しなかった. a:いくつかの試験において複数用量のセレコキシブ(1日投与量200,400又は800mg)が使用されているためプラセボを投

与された治験薬使用例数をまとめると,その合計は実際にプラセボを投与された治験薬使用例数を上回る. b:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

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表 2.7.4.6.14 すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗塞のベースライン時における

リスク因子別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較) 事象分類又は有害事象

既往歴 セレコキシブ

n/N プラセボ

n/N 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての心筋血栓塞栓事象 全患者 16/7462 4/4057 1.68 (0.59-4.81) 0.336 高血圧あり 8/3385 3/1881 0.93 (0.25-3.47) 0.916 高血圧なし 8/4077 1/2176 3.33 (0.60-18.47) 0.169 アテローム硬化性心疾患あり 5/1635 1/945 2.00 (0.28-14.54) 0.493 アテローム硬化性心疾患なし 11/5827 3/3112 1.53 (0.43-5.49) 0.513 糖尿病あり 4/1368 3/783 0.46 (0.11-1.82) 0.267 糖尿病なし 12/6094 1/3274 5.50 (0.90-33.44) 0.064 高脂血症あり 5/2178 1/1285 2.53 (0.31-20.40) 0.384 高脂血症なし 11/5284 3/2772 1.46 (0.43-5.01) 0.546 リスク因子なし 3/3326 0/1759 NA 0.224 リスク因子(1 つ) 5/1879 0/1032 NA 0.145 リスク因子(2 つ以上) 8/2257 4/1266 0.76 (0.25-2.35) 0.634

心筋梗塞 全患者 9/7462 2/4057 1.65 (0.38-7.21) 0.508 高血圧あり 5/3385 1/1881 1.65 (0.20-13.60) 0.641 高血圧なし 4/4077 1/2176 1.54 (0.23-10.49) 0.658 アテローム硬化性心疾患あり 2/1635 1/945 0.71 (0.07-7.15) 0.772 アテローム硬化性心疾患なし 7/5827 1/3112 2.69 (0.34-21.06) 0.347 糖尿病あり 3/1368 2/783 0.45 (0.08-2.44) 0.355 糖尿病なし 6/6094 0/3274 NA 0.127 高脂血症あり 2/2178 0/1285 NA 0.364 高脂血症なし 7/5284 2/2772 1.28 (0.28-5.92) 0.752 リスク因子なし 2/3326 0/1759 NA 0.335 リスク因子(1 つ) 2/1879 0/1032 NA 0.437 リスク因子(2 つ以上) 5/2257 2/1266 0.84 (0.18-4.05) 0.831

TDD:1 日投与量; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; NA:発現例数が少なく算出しなかった.; a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

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表 2.7.4.6.15 APTC-like 複合エンドポイントのベースライン時における高血圧の有無及び

投与期間中の血圧変化による検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較) セレコキシブ プラセボ

N = 7462 N = 4057

高血圧分類 コホート

n/N 曝露 (患者・年)

n/N 曝露 (患者・年)

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

ベースライン高血圧 b 高血圧を有する患者 17/2376 453 3/1266 207 2.33 (0.74-7.39) 0.149高血圧を有さない患者 6/5073 814 5/2784 376 0.57 (0.17-1.87) 0.354ベースライン時の SBP データなし

0/13 1.7 0/7 0.9 NA NA

ベースラインからの収縮期血圧上昇 上昇した患者 3/3166 558 0/1593 244 NA 0.214上昇しなかった患者 7/3746 650 5/1996 297 0.60 (0.20-1.79) 0.358ベースライン時又は投与 期間中の SBP データなし

13/550 61 3/468 43 NA NA

投与期間中の高血圧 b 高血圧を有する患者 7/2254 445 2/1040 174 1.24 (0.28-5.55) 0.778高血圧を有さない患者 3/4670 764 3/2555 368 0.47 (0.09-2.36) 0.360投与期間中の SBP データなし 13/538 60 3/462 42 NA NA

臨床的に重要な収縮期血圧の変化 c 臨床的に重要な変化のあった患者 0/513 109 0/218 40 NA NA 臨床的に重要な変化のなかった患者 10/6399 1098 5/3371 502 0.85 (0.30-2.41) 0.753ベースライン時又は投与 期間中の SBP データなし

13/550 61 3/468 43 NA NA

TDD:1 日投与量; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; SBP:Systolic blood pressure(収縮期血圧); NA:発現例

数が少なく算出しなかった; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心筋

梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した. b: SBP ≥140 mmHg と定義する. c: SBP ≥140 mmHg かつベースライン時からの SBP の上昇が 20 mmHg 以上と定義する.

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表 2.7.4.6.16 APTC-like 複合エンドポイントのベースライン時,最終来院時及び投与期間中の

血圧値による検討

(セレコキシブ≧200mgTDD とプラセボとの比較) セレコキシブ プラセボ

N = 7462 N = 4057

測定法 血圧コホート

n/N 曝露 (患者・年)

n/N 曝露 (患者・年)

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

ベースライン血圧 SBP ≥160 mmHg 6/487 110 1/246 41 1.85 (0.22-15.22) 0.567 SBP 140-159 mmHg 11/1889 343 2/1020 167 2.29 (0.57-9.23) 0.245 SBP 130-139 mmHg 3/1799 296 4/980 138 0.32 (0.07-1.40) 0.131 SBP 120-129 mmHg 3/1631 261 0/905 115 NA 0.240 SBP <120 mmHg 0/1643 257 1/899 123 NA 0.752 ベースライン時の SBP データなし 0/13 1.7 0/7 0.9 NA NA 終来院時の血圧 SBP ≥160 mmHg 4/477 120 0/184 37 NA 0.202 SBP 140-159 mmHg 3/1676 305 2/815 131 0.54 (0.10-3.00) 0.482 SBP 130-139 mmHg 2/1596 264 0/836 123 NA 0.380 SBP 120-129 mmHg 1/1615 268 2/908 128 0.26 (0.03-2.37) 0.231 SBP <120 mmHg 0/1560 252 1/852 124 NA 0.488 投与期間中の SBP データなし 13/538 60 3/462 42 NA NA

観察中 高血圧 SBP ≥160 mmHg 4/507 124 0/200 39 NA 0.203 SBP 140-159 mmHg 3/1747 320 2/840 135 0.54 (0.10-3.00) 0.483 SBP 130-139 mmHg 2/1621 267 0/870 130 NA 0.380 SBP 120-129 mmHg 1/1585 263 3/894 129 0.18 (0.02-1.47) 0.109 SBP <120 mmHg 0/1464 234 0/791 110 NA NA 投与期間中 SBP データなし 13/538 60 3/462 42 NA NA

TDD:1 日投与量; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; SBP:Systolic blood pressure (収縮期血圧); NA:発現

例数が少なく算出しなかった; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心

筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

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2.7.4.6.2.2.1.5 メタアナリシスの結果(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的

NSAID の比較) セレコキシブ≧200mg TDD が投与された 19773 例と非選択的 NSAID が投与された 13990 例

に関して,以下の項目について検討を行った(表 2.7.4.6.17~表 2.7.4.6.25).

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象,個別事象(すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗

塞):低用量アスピリン使用,セレコキシブの 1 日投与量,年齢(65 歳未満,65 歳以上),

性別,対象疾患(RA,OA,RA 又は OA)及びベースライン時のリスク因子(高血圧,

アテローム硬化性心疾患,糖尿病,高脂血症)(表 2.7.4.6.17~表 2.7.4.6.22)

APTC-like 複合エンドポイント:セレコキシブの 1 日投与量,年齢(65 歳未満,65 歳以

上),性別,対象疾患(RA,OA,RA 又は OA)及びベースライン時のリスク因子(高血

圧,アテローム硬化性心疾患,糖尿病,高脂血症),血圧(表 2.7.4.6.18~表 2.7.4.6.20,

表 2.7.4.6.24,表 2.7.4.6.25)

変形性関節症患者による心筋梗塞:低用量アスピリン使用,セレコキシブの 1 日投与量

(TDD),年齢(65 歳未満,65 歳以上),性別及びベースライン時のリスク因子(高血圧,

アテローム硬化性心疾患,糖尿病,高脂血症)(表 2.7.4.6.23)

以下に結果の要約を示す.

セレコキシブを投与した慢性疼痛患者における重篤な心血管血栓塞栓性有害事象及び

APTC-like 複合エンドポイントを構成する各事象の発現件数は少なく(セレコキシブ投与

患者 19773 例における APTC-like 事象の発現件数は 57 件),非選択的 NSAID 投与患者に

観察された発現件数と同程度であった(非選択的 NSAID 投与患者 13990 例における

APTC-like 事象の発現件数は 54 件).セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群に対する重篤

な心血管血栓塞栓性有害事象の相対リスクは 0.84(95%CI:0.63-1.13)であった.心筋梗

塞に関して,セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,高いものの,

統計学的に有意ではなかった.一方,すべての脳血管事象と卒中発作に関して,セレコ

キシブ群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,統計学的に有意に低かった.(表

2.7.4.6.18).

重篤な心血管血栓塞栓性事象について,セレコキシブの非選択的 NSAID に対する相対リ

スクを,アスピリン使用の有無,セレコキシブの特定の用量群別,各非選択的 NSAID 別

の使用,年齢(65 歳未満又は 65 歳以上),性別,対象疾患(RA,OA,RA 又は OA)を

因子とし,層別解析を行った結果,それらの因子において相対リスクの大きな違いは認

められなかった(表 2.7.4.6.17,表 2.7.4.6.19).

セレコキシブ群の重篤な心血管血栓塞栓性有害事象の発現率は,高血圧,アテローム硬

化性心疾患,糖尿病又は高脂血症等のリスク因子の既往の有無に関わらず,非選択的

NSAID 群と同様であった(表 2.7.4.6.20).しかし,アテローム硬化性心疾患の既往を有

する患者において,セレコキシブ群の心筋梗塞のリスクは,非選択的 NSAID 群よりも高

く(表 2.7.4.6.22),また,APTC-like 複合エンドポイントにおいても,非選択的 NSAID

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群よりも若干高かった(表 2.7.4.6.20).

APTC-like 複合エンドポイントにおける事象の発現率に関しては,ベースライン時に高血

圧があった患者の方がベースライン時に高血圧がなかった患者よりも高かった.200mg

TDD 以上のセレコキシブ投与患者では,高血圧ありで 1.5 件(100 患者・年),高血圧な

しで 0.6 件(100 患者・年)であった.非選択的 NSAID 投与患者では,高血圧ありで 1.7

件(100 患者・年),高血圧なしで 0.9 件(100 患者・年)であった.セレコキシブ群の

非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,ベースライン時の高血圧の有無,投与期間中

の収縮期血圧上昇の有無及び投与期間中の高血圧の有無に関わらず同程度であった(表

2.5.4.7.24).セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,ベースライン

時の血圧, 終来院時の血圧及び観察された血圧が高いほど上昇する傾向が認められた.

ただし,発現事象数が少ないため,これらの比較はいずれも信頼区間が非常に広く,こ

れらの結果により明確な結論を得るに至らなかった(表 2.7.4.6.25).

表 2.7.4.6.17 アスピリン使用の有無別の重篤な心血管血栓塞栓性事象の検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) 分類

薬剤群 N

曝露 (患者・年)

n 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

全患者 セレコキシブ≥200mg TDD 19773 5651 96 0.84 (0.63-1.13) 0.255 NSAID 13990 4386 92 -- --

アスピリン非使用 セレコキシブ≥200mg TDD 17599 4889 50 0.76 (0.52-1.12) 0.171 NSAID 12355 3751 54 -- --

アスピリン使用 セレコキシブ≥200mg TDD 2174 763 46 0.95 (0.61-1.48) 0.827 NSAID 1635 636 38 -- --

N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェ

ナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロキソプロフェンナトリウムを統合)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

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表 2.7.4.6.18 重篤な心血管血栓塞栓性事象,APTC-like 複合エンドポイントの検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較)

事象分類 又は有害事象 セレコキシブ

N = 19773 NSAID

N = 13990 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象 96 92 0.84 (0.63-1.13) 0.255 すべての心血管死亡 15 19 0.72 (0.37-1.39) 0.326 すべての心筋血栓塞栓性事象 62 42 1.24 (0.83-1.86) 0.298 心筋梗塞 43 22 1.63 (0.95-2.79) 0.075 非致死的心筋梗塞 35 19 1.49 (0.82-2.70) 0.186 致死的心筋梗塞 8 3 2.51 (0.69-9.21) 0.164

すべての脳血管事象 15 33 0.33 (0.18-0.60) <0.001卒中発作 8 20 0.31 (0.14-0.68) 0.003 非致死的卒中発作 7 16 0.33 (0.14-0.78) 0.011 致死的卒中発作 1 4 0.23 (0.04-1.50) 0.125 出血性卒中発作 1 4 0.16 (0.02-1.40) 0.097 虚血性卒中発作 5 14 0.27 (0.10-0.71) 0.008 原因不明卒中発作 2 2 0.86 (0.14-5.20) 0.871

すべての末梢血管事象 20 19 0.88 (0.47-1.63) 0.679

APTC-like 複合エンドポイント 57 54 0.86 (0.59-1.26) 0.437 すべての原因による死亡 38 33 1.02 (0.64-1.62) 0.944

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロ

キソプロフェンナトリウムを統合); N:治験薬使用例数; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポ

イント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

172-  -

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表 2.7.4.6.19 重篤な心血管血栓塞栓性事象,APTC-like 複合エンドポイントの年齢,性別,

用量,対象疾患別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) 事象分類

患者サブグループ セレコキシブ

n/Na NSAID

n/Na 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 b

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象 全患者 96/19773 92/13990 0.84 (0.63-1.13) 0.255 セレコキシブ 200 mg 24/8699 37/8681 0.66 (0.40-1.10) 0.113 セレコキシブ 400 mg 24/6653 25/6978 0.97 (0.55-1.72) 0.922 セレコキシブ 800 mg 48/4421 49/4424 0.93 (0.63-1.39) 0.724 ナプロキセン 18/5621 12/2953 0.75 (0.36-1.59) 0.457 ジクロフェナク 54/11100 56/7639 0.81 (0.55-1.18) 0.270 イブプロフェン 24/2515 22/2484 1.03 (0.58-1.83) 0.922 65 歳未満 34/11984 22/8633 1.39 (0.81-2.38) 0.234 65 歳以上 62/7789 70/5357 0.67 (0.47-0.95) 0.025 男性 47/5698 38/4201 1.03 (0.67-1.59) 0.878 女性 49/14075 54/9789 0.71 (0.48-1.05) 0.090 OA 又は RA を有する患者 96/18955 90/13303 0.86 (0.64-1.16) 0.331 OA を有する患者 77/15815 75/10969 0.81 (0.59-1.12) 0.209 RA を有する患者 19/3140 15/2334 1.13 (0.58-2.23) 0.717

APTC-like 複合エンドポイント 全患者 57/19773 54/13990 0.86 (0.59-1.26) 0.437 セレコキシブ 200 mg 21/8699 23/8681 0.93 (0.52-1.68) 0.810 セレコキシブ 400 mg 11/6653 15/6978 0.75 (0.34-1.67) 0.483 セレコキシブ 800 mg 25/4421 26/4424 0.91 (0.53-1.58) 0.745 ナプロキセン 13/5621 6/2953 1.11 (0.41-3.01) 0.844 ジクロフェナク 30/11100 31/7639 0.81 (0.49-1.35) 0.426 イブプロフェン 14/2515 15/2484 0.88 (0.43-1.82) 0.727 65 歳未満 19/11984 9/8633 2.02 (0.89-4.58) 0.091 65 歳以上 38/7789 45/5357 0.64 (0.41-1.00) 0.048 男性 28/5698 23/4201 1.07 (0.61-1.87) 0.819 女性 29/14075 31/9789 0.70 (0.41-1.19) 0.193 OA 又は RA を有する患者 57/18955 53/13303 0.87 (0.60-1.28) 0.495 OA を有する患者 45/15815 46/10969 0.78 (0.51-1.19) 0.247 RA を有する患者 12/3140 7/2334 1.53 (0.59-3.98) 0.379

TDD:1日投与量; NSAID:非選択的NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロ

キソプロフェンナトリウムを統合); N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; OA:変形性関節症; RA:関節リウ

マチ; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒

中発作)

a:いくつかの試験において複数用量のセレコキシブ(1 日投与量 200,400 又は 800mg)が使用されているため NSAID を投

与された治験薬使用例数をまとめると,その合計は実際に NSAID を投与された治験薬使用例数を上回る.

b:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

173-  -

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表 2.7.4.6.20 重篤な心血管血栓塞栓性事象,APTC-like 複合エンドポイントのベースライン

時におけるリスク因子別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) 事象分類

リスク因子 セレコキシブ

n/N NSAID

n/N 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての重篤な心血管血栓塞栓事象

全患者 96/19773 92/13990 0.84 (0.63-1.13) 0.255 高血圧あり 37/4416 43/3882 0.80 (0.51-1.25) 0.325 高血圧なし 59/15357 49/10108 0.87 (0.59-1.28) 0.479 アテローム硬化性心疾患あり 19/1859 18/1495 0.89 (0.47-1.67) 0.711 アテローム硬化性心疾患なし 77/17914 74/12495 0.83 (0.59-1.15) 0.251 糖尿病あり 12/1470 12/1297 0.81 (0.37-1.79) 0.609 糖尿病なし 84/18303 80/12693 0.84 (0.62-1.15) 0.281 高脂血症あり 30/3326 31/2664 0.78 (0.47-1.31) 0.349 高脂血症なし 66/16447 61/11326 0.87 (0.61-1.24) 0.450 リスク因子なし 36/13343 33/8631 0.76 (0.47-1.22) 0.258 リスク因子(1 つ) 30/3686 29/3024 0.92 (0.53-1.57) 0.747 リスク因子(2 つ以上) 30/2744 30/2335 0.85, (0.51-1.40) 0.515

APTC-like 複合エンドポイント 全患者 57/19773 54/13990 0.86 (0.59-1.26) 0.437 高血圧あり 24/4416 26/3882 0.85 (0.48-1.52) 0.587 高血圧なし 33/15357 28/10108 0.85 (0.51-1.42) 0.543 アテローム硬化性心疾患あり 13/1859 8/1495 1.47 (0.61-3.55) 0.396 アテローム硬化性心疾患なし 44/17914 46/12495 0.75 (0.49-1.15) 0.193 糖尿病あり 10/1470 8/1297 1.07 (0.41-2.78) 0.896 糖尿病なし 47/18303 46/12693 0.82 (0.54-1.24) 0.346 高脂血症あり 16/3326 16/2664 0.81 (0.40-1.67) 0.574 高脂血症なし 41/16447 38/11326 0.87 (0.56-1.37) 0.554 リスク因子なし 20/13343 22/8631 0.62 (0.34-1.14) 0.121 リスク因子(1 つ) 17/3686 15/3024 1.07 (0.51-2.26) 0.863 リスク因子(2 つ以上) 20/2744 17/2335 1.00 (0.51-1.94) 0.999

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロ

キソプロフェンナトリウムを統合); N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

174-  -

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表 2.7.4.6.21 すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗塞の年齢,性別,用量,アスピリン使用の

有無,対象疾患別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) 事象分類 又は有害事象

患者サブグループ セレコキシブ

n/Na NSAID

n/Na 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 b

すべての心筋血栓塞栓性事象 全患者 62/19773 42/13990 1.24 (0.83-1.86) 0.298 セレコキシブ 200 mg 18/8699 12/8681 1.53 (0.74-3.16) 0.251 セレコキシブ 400 mg 12/6653 9/6978 1.43 (0.58-3.54) 0.435 セレコキシブ 800 mg 32/4421 26/4424 1.17 (0.70-1.96) 0.555

ナプロキセン 13/5621 4/2953 1.63 (0.52-5.10) 0.397 ジクロフェナク 33/11100 25/7639 1.15 (0.67-1.95) 0.611 イブプロフェン 16/2515 12/2484 1.25 (0.60-2.64) 0.552 65 歳未満 22/11984 10/8633 2.05 (0.97-4.35) 0.060 65 歳以上 40/7789 32/5357 0.97 (0.60-1.58) 0.916 男性 35/5698 21/4201 1.51 (0.87-2.62) 0.145 女性 27/14075 21/9789 0.97 (0.53-1.78) 0.925 アスピリン非使用 26/17599 21/12355 1.05 (0.58-1.91) 0.866 アスピリン使用 36/2174 21/1635 1.42 (0.81-2.49) 0.219 OA 又は RA を有する患者 62/18955 41/13303 1.27 (0.84-1.91) 0.252 OA を有する患者 47/15815 34/10969 1.13 (0.72-1.79) 0.596 RA を有する患者 15/3140 7/2334 1.95 (0.79-4.81) 0.145

心筋梗塞 全患者 43/19773 22/13990 1.63 (0.95-2.79) 0.075 セレコキシブ 200 mg 15/8699 7/8681 2.19 (0.91-5.26) 0.080 セレコキシブ 400 mg 9/6653 3/6978 3.13 (0.86-11.47) 0.084 セレコキシブ 800 mg 19/4421 13/4424 1.39 (0.69-2.80) 0.361 ナプロキセン 12/5621 2/2953 3.17 (0.72-14.01) 0.128 ジクロフェナク 21/11100 9/7639 2.10 (0.95-4.65) 0.068 イブプロフェン 10/2515 10/2484 0.94 (0.39-2.26) 0.896 65 歳未満 14/11984 3/8633 4.34 (1.32-14.26) 0.016 65 歳以上 29/7789 19/5357 1.19 (0.64-2.21) 0.578 男性 23/5698 12/4201 1.75 (0.86-3.56) 0.126 女性 20/14075 10/9789 1.48 (0.65-3.38) 0.349 アスピリン非使用 18/17599 10/12355 1.50 (0.66-3.39) 0.331 アスピリン使用 25/2174 12/1635 1.75 (0.85-3.62) 0.132 OA 又は RA を有する患者 43/18955 21/13303 1.71 (0.99-2.94) 0.054 OA を有する患者 32/15815 16/10969 1.64 (0.87-3.08) 0.127 RA を有する患者 11/3140 5/2334 1.95 (0.67-5.70) 0.221

TDD:1 日投与; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロキソプ

ロフェンナトリウムを統合); N:治験薬使用例数; n:事象発生例数

a:いくつかの試験において複数用量のセレコキシブ(1 日投与量 200,400 又は 800mg)が使用されているため NSAID を投与

された治験薬使用例数をまとめると,その合計は実際に NSAID を投与された治験薬使用例数を上回る.

b:相対リスクとp値は,試験を層としたCochran-Mantel-Haenszel法により算出し,p≤0.05は灰色で表記した.

175-  -

Page 26: 2.7.4.6.1 PSUR のまとめ - pfizer.co.jp · セレコキシブは1998年12月に新薬として米国FDA に承認されて以来,法規制に従いPeriodic Safety Update Report:PSUR

表 2.7.4.6.22 すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗塞のベースライン時における

リスク因子別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) 事象分類 又は有害事象

既往歴 セレコキシブ

n/N NSAID

n/N 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての心筋血栓塞栓性事象 全患者 62/19773 42/13990 1.24 (0.83-1.86) 0.298 高血圧あり 28/4416 24/3882 1.08 (0.61-1.91) 0.802 高血圧なし 34/15357 18/10108 1.40 (0.79-2.50) 0.249 アテローム硬化性心疾患あり 15/1859 9/1495 1.44 (0.64-3.24) 0.375 アテローム硬化性心疾患なし 47/17914 33/12495 1.17 (0.73-1.87) 0.509 糖尿病あり 10/1470 5/1297 1.69 (0.57-5.03) 0.344 糖尿病なし 52/18303 37/12693 1.17 (0.76-1.82) 0.478 高脂血症あり 21/3326 15/2664 1.12 (0.57-2.22) 0.744 高脂血症なし 41/16447 27/11326 1.30 (0.79-2.15) 0.304 リスク因子なし 18/13343 10/8631 1.31 (0.59-2.88) 0.510 リスク因子(1 つ) 22/3686 18/3024 1.08 (0.56-2.08) 0.817 リスク因子(2 つ以上) 22/2744 14/2335 1.34 (0.67-2.65) 0.406

心筋梗塞 全患者 43/19773 22/13990 1.63 (0.95-2.79) 0.075 高血圧あり 18/4416 14/3882 1.12 (0.53-2.36) 0.757 高血圧なし 25/15357 8/10108 2.42 (1.08-5.40) 0.031 アテローム硬化性心疾患あり 11/1859 3/1495 3.28 (0.97-11.12) 0.057 アテローム硬化性心疾患なし 32/17914 19/12495 1.36 (0.74-2.49) 0.325 糖尿病あり 8/1470 5/1297 1.33 (0.42-4.20) 0.628 糖尿病なし 35/18303 17/12693 1.70 (0.93-3.13) 0.086 高脂血症あり 12/3326 10/2664 0.95 (0.40-2.31) 0.917 高脂血症なし 31/16447 12/11326 2.22 (1.12-4.40) 0.023 リスク因子なし 15/13343 5/8631 2.25 (0.81-6.27) 0.120 リスク因子(1 つ) 13/3686 7/3024 1.64 (0.61-4.42) 0.323 リスク因子(2 つ以上) 15/2744 10/2335 1.24 (0.54-2.84) 0.619

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロキ

ソプロフェンナトリウムを統合); N:治験薬使用例数; n:事象発生例数

a :相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

176-  -

Page 27: 2.7.4.6.1 PSUR のまとめ - pfizer.co.jp · セレコキシブは1998年12月に新薬として米国FDA に承認されて以来,法規制に従いPeriodic Safety Update Report:PSUR

表 2.7.4.6.23 心筋梗塞を発現した変形性関節症患者のベースライン時における

リスク因子別検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較)

患者サブグループ又は既往歴 セレコキシブ

n/Na NSAID

n/Na 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 b

全変形性関節症患者 32/15815 16/10969 1.64 (0.87-3.08) 0.127 セレコキシブ 200 mg 14/7375 6/7350 2.39 (0.94-6.07) 0.067 セレコキシブ 400 mg 7/5542 3/5782 2.43 (0.62-9.53) 0.201 セレコキシブ 800 mg 11/2898 8/2887 1.29 (0.52-3.20) 0.583 65 歳未満 9/8832 1/6250 8.35 (1.29-54.13) 0.026 65 歳以上 23/6983 15/4719 1.18 (0.59-2.37) 0.638 男性 16/4342 7/3124 2.05 (0.82-5.14) 0.126 女性 16/11473 9/7845 1.33 (0.55-3.24) 0.524 アスピリン非使用 14/13952 9/9591 1.29 (0.53-3.14) 0.578 アスピリン使用 18/1863 7/1378 2.14 (0.85-5.41) 0.108 高血圧あり 12/3113 11/2898 0.97 (0.41-2.28) 0.937 高血圧なし 20/12702 5/8071 2.88 (1.09-7.64) 0.033 アテローム硬化性心疾患あり 9/1119 1/968 8.01 (1.39-46.22) 0.020 アテローム硬化性心疾患なし 23/14696 15/10001 1.20 (0.59-2.43) 0.612 糖尿病あり 5/1051 3/942 1.42 (0.34-5.91) 0.631 糖尿病なし 27/14764 13/10027 1.67 (0.83-3.37) 0.153 高脂血症あり 9/2431 6/2034 1.13 (0.38-3.37) 0.829 高脂血症なし 23/13384 10/8935 1.97 (0.91-4.26) 0.086 リスク因子なし 11/11007 4/6825 1.85 (0.57-6.05) 0.310 リスク因子(1 つ) 10/2932 5/2421 1.81 (0.57-5.80) 0.317 リスク因子(2 つ以上) 11/1876 7/1723 1.28 (0.48-3.38) 0.623

TDD:1 日投与量; NSAID :非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロキ

ソプロフェンナトリウムを統合); N: 治験薬使用例数; n:事象発生例数;

a :いくつかの試験において複数用量のセレコキシブ(1 日投与量 200,400 又は 800mg)が使用されているため NSAID を投

与された治験薬使用例数をまとめると,その合計は実際に NSAID を投与された治験薬使用例数を上回る.

b :相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

177-  -

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表 2.7.4.6.24 APTC-like 複合エンドポイントのベースライン時における高血圧の有無別及び

投与期間中の血圧変化による検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) セレコキシブ NSAID

N = 19773 N = 13990

高血圧分類 コホート n/N

曝露 (患者・年) n/N

曝露 (患者・年)

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

ベースライン高血圧 b 高血圧を有する患者 36/8301 2375 32/5832 1899 0.93 (0.56-1.53) 0.770高血圧を有さない患者 21/11434 3264 22/8129 2476 0.79 (0.43-1.43) 0.436ベースライン時の SBP データなし 0/38 13 0/29 12 NA NA

ベースラインからの収縮期血圧上昇 上昇した患者 12/7871 2380 15/5804 1940 0.75 (0.35-1.63) 0.472上昇しなかった患者 28/11085 3134 22/7549 2322 1.00 (0.56-1.77) 0.997ベースライン時又は 投与期間中の SBP データなし

17/817 137 17/637 125 NA NA

投与期間中の高血圧 b 高血圧を有する患者 19/7755 2292 18/5622 1904 0.96 (0.50-1.85) 0.907高血圧を有さない患者 21/11234 3235 19/7755 2368 0.86 (0.45-1.65) 0.649フォローアップ SBP データなし 17/784 125 17/613 115 NA NA

臨床的に重要な収縮期血圧の変化 c 臨床的に重要な変化のあった患者 1/1521 492 6/1293 490 0.20 (0.03-1.23) 0.083臨床的に重要な変化のなかった患者 39/17435 5022 31/12060 3772 1.03 (0.63-1.67) 0.913ベースライン時又は 投与期間中の SBP データなし

17/817 137 17/637 125 NA NA

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロキソプ

ロフェンナトリウムを統合); NA:発現例数が少なく算出しなかった.; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; SBP:Systolic blood pressure(収縮期血圧); APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致

死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した. b: SBP ≥140 mmHg と定義する. c: SBP ≥140 mmHg かつベースライン時からの SBP の上昇が 20 mmHg 以上と定義する.

178-  -

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表 2.7.4.6.25 APTC-like 複合エンドポイントのベースライン時,最終来院時及び投与期間中の

血圧値による検討

(セレコキシブ≧200mgTDD と非選択的 NSAID との比較) セレコキシブ NSAID

N = 19773 N = 13990

測定法 血圧コホート n/N

曝露 (患者・年) n/N

曝露 (患者・年)

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

ベースライン高血圧 SBP ≥160 mmHg 9/2240 674 15/1537 505 0.54 (0.24-1.26) 0.155 SBP 140-159 mmHg 27/6061 1701 17/4295 1394 1.26 (0.67-2.37) 0.476 SBP 130-139 mmHg 10/4369 1248 10/3133 984 0.87 (0.38-1.99) 0.736 SBP 120-129 mmHg 7/3906 1146 7/2673 812 0.73 (0.25-2.12) 0.563 SBP <120 mmHg 4/3159 869 5/2323 679 0.75 (0.19-3.02) 0.684 ベースライン時の SBP データなし 0/38 13 0/29 12 NA NA 終来院時の血圧 SBP ≥160 mmHg 3/1880 540 6/1398 473 0.65 (0.17-2.41) 0.515 SBP 140-159 mmHg 15/5662 1639 10/3997 1305 1.23 (0.54-2.78) 0.622 SBP 130-139 mmHg 9/4361 1280 7/3023 939 0.89 (0.32-2.48) 0.831 SBP 120-129 mmHg 5/3915 1164 6/2752 879 0.83 (0.24-2.81) 0.761 SBP <120 mmHg 8/3171 903 8/2207 677 0.78 (0.28-2.18) 0.634 投与期間中の SBP データなし 17/784 125 17/613 115 NA NA

観察中 高血圧 SBP ≥160 mmHg 5/2038 656 10/1549 592 0.59 (0.21-1.67) 0.323 SBP 140-159 mmHg 14/5717 1636 8/4073 1312 1.41 (0.59-3.41) 0.442 SBP 130-139 mmHg 9/4326 1251 6/2966 896 1.00 (0.34-2.97) 0.995 SBP 120-129 mmHg 5/3866 1121 5/2695 833 0.98 (0.27-3.51) 0.972 SBP <120 mmHg 7/3042 862 8/2094 638 0.66 (0.23-1.92) 0.444 投与期間中の SBP データなし 17/784 125 17/613 115 NA NA

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェン,ケトプロフェン,ロキソ

プロフェンナトリウムを統合); NA:発現例数が少なく算出しなかった.; N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; SBP:Systolic blood pressure (収縮期血圧); APTC-like:Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非

致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

179-  -

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2.7.4.6.2.2.1.6 メタアナリシスの結果(投与期間が 52 週間の試験におけるセレコ

キシブと非選択的 NSAID の比較) メタアナリシスに含めたセレコキシブの臨床 41 試験のうち,3 試験の予定投与期間が 52 週

間であった.このうち 2 試験はセレコキシブと非選択的 NSAID を比較した試験であった.セレ

コキシブが投与された 4445 例と非選択的 NSAID が投与された 4439 例に関して,以下の項目に

関してそれぞれ検討を行った(表 2.7.4.6.26~表 2.7.4.6.30).

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象,個別事象(すべての心筋血栓塞栓事象,心筋梗

塞):低用量アスピリン使用,ベースライン時のリスク因子(表 2.7.4.6.2~表 2.7.4.6.30)

APTC-like 複合エンドポイント:ベースライン時のリスク因子(表 2.7.4.6.28,表

2.7.4.6.29)

なお,この 2 試験では,セレコキシブのほとんどの患者に対し承認された用量(800mg TDD:

国外承認用量の 2-4 倍)を超えて投与された(非選択的 NSAID では国外の承認用量を投与).

以下に結果の要約を示す.

セレコキシブ投与患者における重篤な心血管血栓塞栓性事象の発現リスクは,非選択的

NSAID(ジクロフェナク又はイブプロフェン)投与患者と同様であった(セレコキシブ

群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは 0.92,95%CI:0.64-1.32)(表 2.7.4.6.27).

心筋梗塞に関して,セレコキシブ群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,高いも

のの,統計学的に有意ではなかった.一方,すべての脳血管事象に関して,セレコキシ

ブ群の非選択的 NSAID 群に対する相対リスクは,統計学的に有意に低かった(表

2.7.4.6.28).

重篤な心血管血栓塞栓性事象に関して,非選択的 NSAID の種類及びベースライン時のリ

スク因子の数ごとに部分集団別解析を実施した結果では,すべての層において,セレコ

キシブ群の非選択的 NSAID 群に対する統計学的に有意な相対リスクは認められなかっ

た(表 2.7.4.6.29).

180-  -

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表 2.7.4.6.26 投与期間 52 週以上の試験における曝露期間

(セレコキシブと非選択的 NSAID との比較) セレコキシブ:全用量 NSAID:全用量

投与期間 N = 4445 N(%)

N = 4439 N(%)

≥12 Weeks 3335 (75.0) 3211 (72.3) ≥24 Weeks 2819 (63.4) 2657 (59.9) ≥36 Weeks 2470 (55.6) 2339 (52.7) ≥44 Weeks 1885 (42.4) 1799 (40.5) ≥52 Weeks 801 (18.0) 779 (17.6) ≥60 Weeks 81 (1.8) 96 (2.2)

N:治験薬使用例数; NSAID: 非選択的 NSAID (ジクロフェナク,イブプロフェンを統合)

表 2.7.4.6.27 投与期間 52 週以上の試験における重篤な心血管血栓塞栓性事象の発現と

アスピリン使用の有無の検討

(セレコキシブと非選択的 NSAID との比較) 分類

薬剤群 症例数

曝露 (患者・年)

事象発現 例数

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

全患者 セレコキシブ≥200mg TDD 4445 2735 59 0.92 (0.64-1.32) 0.65 NSAID 4439 2635 62 -- --

アスピリン非使用 セレコキシブ≥200mg TDD 3555 2211 32 0.92 (0.57-1.49) 0.73 NSAID 3570 2136 34 -- --

アスピリン使用 セレコキシブ≥200mg TDD 890 524 27 0.94 (0.55-1.61) 0.83 NSAID 869 500 28 -- --

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ジクロフェナク,イブプロフェンを統合)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

181-  -

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表 2.7.4.6.28 投与期間 52 週以上の試験における重篤な心血管血栓塞栓性事象,

APTC-like 複合エンドポイントの検討

(セレコキシブと非選択的 NSAID との比較) セレコキシブ NSAID 事象分類 又は有害事象 N = 4445 N = 4439

相対リスク (95%信頼区間)

p 値 a

すべての重篤な心血管血栓塞栓性事象 59 62 0.92 (0.64-1.32) 0.65 すべての心血管死亡 13 11 1.17 (0.53-2.59) 0.707 すべての心筋血栓塞栓性事象 39 32 1.18 (0.74-1.88) 0.494 心筋梗塞 24 18 1.29 (0.70-2.38) 0.407 非致死的心筋梗塞 17 15 1.1 (0.55-2.20) 0.798 致死的心筋梗塞 7 3 2.29 (0.62-8.52) 0.214

すべての脳血管事象 5 19 0.26 (0.10-0.64) 0.004 卒中発作 5 12 0.41 (0.15-1.12) 0.082 非致死的卒中発作 4 11 0.35 (0.12-1.06) 0.063 致死的卒中発作 1 1 1.04 (0.07-16.6) 0.977 出血性卒中発作 0 2 NA 0.166 虚血性卒中発作 3 9 0.32 (0.09-1.11) 0.073 原因不明卒中発作 2 1 2.04 (0.19-21.9) 0.558

すべての末梢血管事象 16 12 1.29 (0.61-2.71) 0.508 APTC-like 複合エンドポイント 34 37 0.9 (0.56-1.43) 0.642

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ジクロフェナク,イブプロフェンを統合); N:治験薬使用例数; NA:

発現例数が少なく算出しなかった.; APTC-like= Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非

致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a :相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出し,p≤0.05 は灰色で表記した.

表 2.7.4.6.29 投与期間 52 週以上の試験における重篤な心血管血栓塞栓性事象,

APTC-like 複合エンドポイントのリスク因子(ベースライン時)別の検討

(セレコキシブと非選択的 NSAID との比較) セレコキシブ NSAID 事象分類

有害事象 n/N n/N 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての重篤な心血管血栓塞栓事象 全患者 59/4445 62/4439 0.92 (0.64-1.32) 0.65 ジクロフェナク 35/2455 42/2454 0.82 (0.52-1.28) 0.374 イブプロフェン 24/1990 20/1985 1.14 (0.63-2.06) 0.67 リスク因子なし 14/2048 17/2065 0.81 (0.40-1.64) 0.556 リスク因子(1 つ) 20/1443 23/1483 0.85 (0.47-1.55) 0.591 リスク因子(2 つ以上) 25/954 22/891 1.04 (0.59-1.85) 0.883

APTC-like 複合エンドポイント 全患者 34/4445 37/4439 0.9 (0.56-1.43) 0.642 ジクロフェナク 20/2455 24/2454 0.83 (0.46-1.49) 0.527 イブプロフェン 14/1990 13/1985 1.02 (0.48-2.17) 0.958 リスク因子なし 7/2048 11/2065 0.63 (0.24-1.60) 0.33 リスク因子(1 つ) 12/1443 12/1483 0.98 (0.44-2.20) 0.969 リスク因子(2 つ以上) 15/954 14/891 0.99 (0.48-2.05) 0.985

TDD :1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ジクロフェナク,イブプロフェンを統合); N:治験薬使用例数; n :事象発生例数; APTC-like :Antiplatelet Trialists’ Collaboration 複合エンドポイント(心血管死亡,非致死的心筋梗塞,

非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

182-  -

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表 2.7.4.6.30 投与期間 52 週以上の試験におけるすべての心筋血栓塞栓事象,

心筋梗塞リスク因子(ベースライン時)別の検討

(セレコキシブと非選択的 NSAID との比較) 事象分類又は有害事象 セレコキシブ NSAID

患者サブグループ n/N n/N 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

すべての心筋血栓塞栓事象 全患者 39/4445 32/4439 1.18 (0.74-1.88) 0.494

ジクロフェナク 23/2455 22/2454 1.02 (0.57-1.83) 0.945 イブプロフェン 16/1990 10/1985 1.52 (0.69-3.32) 0.298

リスク因子なし 7/2048 6/2065 1.15 (0.39-3.42) 0.802 リスク因子(1 つ) 15/1443 13/1483 1.11 (0.53-2.34) 0.78 リスク因子(2 つ以上) 17/954 13/891 1.2 (0.58-2.46) 0.623

アスピリン非使用 17/3555 13/3570 1.28 (0.62-2.62) 0.504 アスピリン使用 22/890 19/869 1.13 (0.61-2.10) 0.688

心筋梗塞 全患者 24/4445 18/4439 1.29 (0.70-2.38) 0.407

ジクロフェナク 14/2455 9/2454 1.54 (0.67-3.55) 0.309 イブプロフェン 10/1990 9/1985 1.05 (0.43-2.59) 0.91

リスク因子なし 6/2048 3/2065 1.98 (0.51-7.72) 0.327 リスク因子(1 つ) 8/1443 6/1483 1.3 (0.45-3.77) 0.628 リスク因子(2 つ以上) 10/954 9/891 1.02 (0.42-2.51) 0.962

アスピリン非使用 10/3555 7/3570 1.41 (0.54-3.68) 0.488 アスピリン使用 14/890 11/869 1.28 (0.58-2.84) 0.544

TDD:1 日投与量; NSAID:非選択的 NSAID(ジクロフェナク,イブプロフェンを統合); N:治験薬使用例数; n:事象発生例数;

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

2.7.4.6.2.2.1.7 メタアナリシスの結果(長期投与 アルツハイマー病)

アルツハイマー病患者を対象として,セレコキシブ 200mgBID の 長 52 週間投与が行われた

001 試験とその継続延長試験である 002 試験に関しては,セレコキシブ≧200mgTDD が投与さ

れた 308例(273患者・年)とプラセボが投与された 153例(132患者・年)からなり(表 2.7.4.6.32),

セレコキシブ群とプラセボ群の重篤な心血管血栓塞栓性事象に関する相対リスクの検討を行っ

た(表 2.7.4.6.31).

セレコキシブ群において重篤な心血管系事象及び重篤な心血管系事象に伴う死亡例数がプラ

セボ群と比較し多く発現した.なお,001 試験では,ベースラインの病歴に投与群間での不均

衡が認められた(心血管系のリスク因子となる病歴を有する症例がセレコキシブ群に多かった).

また,心血管系リスクの指標となりうるアスピリンの使用に関しても,プラセボ群 26%(40/153

例)に対して,セレコキシブ群 34%(106/308 例)であり,投与群間での不均衡が認められた(表

2.7.4.6.33).

183-  -

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表 2.7.4.6.31 001 試験と 002 試験における重篤な心血管血栓塞栓性事象及び APTC-like

複合エンドポイントの検討 事象分類 又は有害事象 セレコキシブ

N=308 プラセボ

N=153 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

重篤な心血管血栓塞栓事象 16 5 1.56 (0.57, 4.26) 0.383

心血管系死亡 9 2 2.19 (0.49, 9.91) 0.307

心筋血栓塞栓事象 6 0 0.090

心筋梗塞 2 0 NA 0.327 非致死的 1 0 NA 0.488 致死的 1 0 NA 0.488

脳血管事象 10 4 1.22 (0.38, 3.89) 0.74

卒中発作 7 3 1.14 (0.29, 4.44) 0.847 非致死的卒中発作 4 2 0.99 (0.18, 5.46) 0.992 致死的卒中発作 3 1 1.44 (0.15, 13.68) 0.751 出血性卒中発作 2 1 1.02 (0.09, 11.56) 0.985 虚血性卒中発作 4 1 1.92 (0.22, 16.54) 0.552 原因不明卒中発作 1 1 0.48 (0.03, 7.22) 0.596

末梢血管事象 1 1 0.5 (0.03, 7.99) 0.621

APTC-like 複合エンドポイント 14 4 1.71 (0.57, 5.19) 0.34

N:治験薬使用例数; NA:該当せず; APTC(Antiplatelet Trialists’ Collaboration)-like 複合エンドポイント(心血

管系死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的卒中発作)

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

表 2.7.4.6.32 001 試験と 002 試験重篤な心血管血栓塞栓性事象の

アスピリン使用有無別の検討 集団

薬剤群 N

曝露 (患者・年)

n 相対リスク

(95%信頼区間) p 値 a

全患者

セレコキシブ ≥200mg TDD 308 273 16 1.56 (0.57, 4.26) 0.383 プラセボ 153 132 5 -- --

アスピリン非使用

セレコキシブ ≥200mg TDD 202 176 9 1.26 (0.39, 4.04) 0.702 プラセボ 113 99 4 -- --

アスピリン使用

セレコキシブ ≥200mg TDD 106 97 7 2.39 (0.31, 18.2) 0.399 プラセボ 40 33 1 -- --

N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; TDD:1 日投与量

a:相対リスクと p 値は,試験を層とした Cochran-Mantel-Haenszel 法により算出した.

184-  -

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表 2.7.4.6.33 001 試験における心血管関連既往歴の差(群間で>2%の差あり)

既往歴 プラセボ セレコキシブ

200mgBID 症例数 140 285

高血圧 糖尿病 大動脈冠動脈バイパス手術 一過性脳虚血 冠動脈疾患

31 (22.1) 10 (7.1) 1 (0.7) 4 (2.9) 1 (0.7)

91 (31.9) 28 (9.8) 9 (3.2)

15 (5.3) 8 (2.8)

発現例数(発現率)

2.7.4.6.2.2.2 長期投与試験 2.7.4.6.2.2.2.1 長期予防投与 ························································· 添付資料 5.3.5.4-8 外国において,大腸ポリープの再発予防及びアルツハイマー病の予防を対象と長期投与試験

3 試験が実施中であり,安全性情報に関する中間成績が入手されている.大腸ポリープ再発予

防を対象とする 2 試験のうちの 1 試験では,セレコキシブ 200mgBID 群及びセレコキシブ

400mgBID 群の 1 年を超える期間の投与において,プラセボ群と比較し,心血管事象(主に心

筋梗塞)の発現率に用量相関的な増加が認められた 4).APTC 複合エンドポイント(心血管事象

による死亡,心筋梗塞又は卒中発作)のプラセボ群に対するセレコキシブ 400mgBID 群の相対

リスクは 3.4(95%CI 1.4 – 8.5),200mgBID 群の相対リスクは 2.5(95%CI 1.0 – 6.4)であった

(表 2.7.4.6.35).APTC 複合エンドポイントにおける約 3 年間累積の事象発現率は,セレコキシ

ブ 400mgBID 群で 3.0%及び 200mgBID で 2.2%であり,プラセボ群では 0.9%であった(表

2.7.4.6.34).他の大腸ポリープ再発予防を対象とする試験及びアルツハイマー病の予防を対象

とする試験より得られている安全性情報に関する中間成績では,プラセボ群と比較してセレコ

キシブ 400mgQD群,200mgBID群のいずれも心血管系事象の発現率の上昇は認められなかった.

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表 2.7.4.6.34 APTC 複合エンドポイントにおける心血管系イベントの発現率

例数(%) 率/ 1000 患者・年

エンドポイント プラセボN = 679

セレコキ

シブ 200mgBID

N = 685

セレコキ

シブ 400mgBID

N = 671

プラセボN = 679

セレコキ

シブ 200mgBI

D 200mgBID N = 685

セレコキ

シブ 400mgBID

N = 671

心血管系(CV)死亡 1 (0.1) 3 (0.4) 6 (0.9) 0.5 1.4 2.9

CV 死亡又は心筋梗塞 4 (0.6) 12 (1.8) 15 (2.2) 1.9 5.8 7.4

CV 死亡,心筋梗塞 又は卒中発作

6 (0.9) 15 (2.2) 20 (3.0) 2.9 7.3 9.9

CV 死亡,心筋梗塞,卒中発作 又はうっ血性心不全

7 (1.0) 16 (2.3) 23 (3.4) 3.4 7.8 11.4

CV 死亡,心筋梗塞,卒中発作, うっ血性心不全又は狭心症

11 (1.6) 18 (2.6) 25 (3.7) 5.4 8.7 12.5

CV 死亡,心筋梗塞,卒中発作, うっ血性心不全,狭心症又は 心血管系の処置

17 (2.5) 26 (3.8) 31 (4.6) 8.4 12.7 15.5

表 2.7.4.6.35 APTC 複合エンドポイントにおける心血管系イベントのプラセボ群に対する

セレコキシブ群のハザード比 ハザード比 95%CI

エンドポイント セレコキシブ

200mgBID N = 685

セレコキシブ 400mgBID

N = 671

心血管系(CV)死亡 3.0 (0.3-28.6) 6.1 (0.7-50.3)

CV 死亡又は心筋梗塞 3.0 (1.0-9.3) 3.8 (1.3-11.5)

CV 死亡,心筋梗塞又は卒中発作 2.5 (1.0-6.4) 3.4 (1.4-8.5)

CV 死亡,心筋梗塞,卒中発作又はうっ血性心不全 2.3 (0.9-5.5) 3.4 (1.4-7.8)

CV 死亡,心筋梗塞,卒中発作, うっ血性心不全又は狭心症

1.6 (0.8-3.4) 2.3 (1.1-4.7)

CV 死亡,心筋梗塞,卒中発作, うっ血性心不全,狭心症又は心血管系の処置

1.5 (0.8-2.8) 1.9 (1.0-3.3)

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患者数 セレコキシブ 400mgBID 671 669 665 655 651 648 576 セレコキシブ 200mgBID 685 681 676 675 673 670 595 プラセボ 679 677 675 672 668 667 585

図 2.7.4.6.1 セレコキシブ又はプラセボを投与した患者における心血管原因による死亡,心筋

梗塞,脳卒中又は心不全からなる複合評価項目のリスクの Kaplan-Meier 推定値 自由度 2 のログランク統計量 8.73 を用いて P 値を決定した.

2.7.4.6.2.2.2.2 RA/OA を対象とした長期投与試験・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料 5.3.5.4-4 関節リウマチ患者(約 2200 例)及び変形性関節症患者(約 5800 例)に,セレコキシブ 400mgBID

又は既存 NSAID を 長 15 カ月投与した(中央値 6~9 カ月)外国の消化管安全性試験(CLASS)

において,心血管安全性の転帰を評価した.

Kaplan-Meier 法に基づく解析の結果,治験責任医師が報告した重篤な心血管系血栓塞栓事象

(心筋梗塞,肺塞栓症,深部静脈血栓症,不安定狭心症,一過性虚血発作,虚血性脳血管障害等)

の累積発生率に,セレコキシブ,ジクロフェナク,イブプロフェン治療群間で差は認められな

かった.9 カ月の時点で,セレコキシブ,ジクロフェナク,イブプロフェン投与患者の累積発

生率は,それぞれ 1.2%,1.4%,1.1%であり,セレコキシブと非選択的 NSAID との間に統計学

的な有意な差は認められなかった.また,9 カ月の時点で,各群の ASA(アスピリン)非併用

患者の累積発生率は 1%未満であった.9 カ月の時点で,各群の ASA 非併用患者の心筋梗塞の

累積発生率は 0.2%未満であった.CLASS 試験ではプラセボ群を用いなかったため,3 種類の試

験薬によって心血管系有害事象のリスクが上昇しなかったのか,あるいは同程度にリスクが上

昇したのかを判定することは困難である.

初回投与後の月数

累積発現率

(K

apla

n-M

eier

法による推定値)

セレコキシブ 200mgBID

セレコキシブ 400mgBID

プラセボ

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2.7.4.6.2.3 心腎系の有害事象 2.7.4.6.2.3.1 慢性疼痛疾患を対象(41 試験)とした心腎系のメタアナリシス(外

国データ) ··································································· 添付資料 5.3.5.4-7

これまでにファイザーが国内外で実施した 41 試験の二重盲検比較試験のメタアナリシスを

実施し,セレコキシブの心腎系への影響に関する検討を行った.

セレコキシブ全用量における心腎系有害事象の発現率に関して,プラセボ又は NSAID との比

較を行った結果を表 2.7.4.6.36 に示す.

高血圧/高血圧増悪サブカテゴリー,浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫サブカテゴリー及び心

不全/左心不全/右心不全サブカテゴリーに属する心腎系有害事象の発現率は,プラセボ群よ

りもセレコキシブ(全用量)群の方が統計学的に有意に高かった.

また,セレコキシブ群と NSAID 群との比較に関して,高血圧/高血圧増悪サブカテゴリー及

び浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫サブカテゴリーに属する有害事象の発現率は,セレコキシブ

(全用量)群よりも非選択的 NSAID 群の方が統計学的に有意に高かった.

表 2.7.4.6.36 心腎系有害事象の発現率

有害事象サブカテゴリー セレコキシブ 対照群 p 値 a セレコキシブ全用量 vs. プラセボ Nb 8405 4057

高血圧/高血圧増悪 n(%) 91 (1.1) 27 (0.7) 0.023 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 171 (2.0) 35 (0.9) <0.001 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 13 (0.2) 1 (<0.1) 0.046

セレコキシブ全用量 vs. NSAID Nc 20463 13990 高血圧/高血圧増悪 n(%) 317 (1.5) 280 (2.0) 0.002 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 497 (2.4) 420 (3.0) 0.001 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 26 (0.1) 30 (0.2) 0.056

N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; NSAID:すべての対照薬群(ナプロキセン,ジクロフェナク,イブプロフェ

ン,ケトプロフェン,ロキソプロフェンを統合)

a:p 値 は Fisher の直接確率検定より; p-値 ≤ 0.05 は太字で表記した. b:プラセボ対照群の試験データのみを含む c:NSAID 対照群の試験データのみを含む

2.7.4.6.2.3.1.1 セレコキシブ投与量別の検討 心腎系有害事象発現率に関して,セレコキシブの投与量別に集計を行い,プラセボとの比較

を行った解析結果を表 2.7.4.6.37 に示す.

セレコキシブ 400mg TDD 群では,血圧/高血圧増悪サブカテゴリー,浮腫/全身性浮腫/末

梢性浮腫サブカテゴリー及び心不全/左心不全/右心不全サブカテゴリーいずれの発現率につ

いても,プラセボ群に対し統計学的に有意に高かった.

浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫サブカテゴリーの発現率は,セレコキシブ 200mg TDD 群では

プラセボ群に対して,統計学的に有意に高かった.

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表 2.7.4.6.37 心腎系有害事象に関するセレコキシブの用量別検討

(セレコキシブとプラセボとの比較) セレコキシブ 1 日投与量 有害事象サブカテゴリー

セレコキシブ プラセボ p 値 a

セレコキシブ 200mg Nb 4834 3821 高血圧/高血圧増悪 n(%) 45 (0.9) 24 (0.6) 0.144 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 84 (1.7) 34 (0.9) <0.001 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 2 (<0.1) 1 (<0.1) --

セレコキシブ 400mg Nb 2013 1862 高血圧/高血圧増悪 n(%) 37 (1.8) 15 (0.8) 0.005 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 50 (2.5) 15 (0.8) <0.001 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 10 (0.5) 1 (<0.1) 0.012

セレコキシブ 800mg Nb 615 636 高血圧/高血圧増悪 n(%) 7 (1.1) 4 (0.6) -- 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 16 (2.6) 7 (1.1) 0.058 心不全/左心不全/右心不全 n(%) NA NA NA

N:治験薬使用例数; n:事象発生例数

a:p 値 は Fisher の直接確率検定より; p ≤0.05 は太字で表記した; p >0.20 又は計算不可 b:プラセボ対照群の試験データのみを含む

2.7.4.6.2.3.1.2 個々の NSAID との比較検討 心腎系有害事象発現率に関して,セレコキシブの投与量別に集計を行い,個々の非選択的

NSAID(ナプロキセン及びジクロフェナク)との比較を行った解析結果を表 2.7.4.6.38 に示す.

セレコキシブ全用量群を個々の非選択的 NSAID(ナプロキセン及びジクロフェナク)群と比

較した結果,高血圧/高血圧増悪サブカテゴリー及び浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫サブカテ

ゴリーの有害事象発現率に両群間で統計学的に有意な差は認められなかった.しかし,高血圧

カテゴリー及び浮腫カテゴリーに属する有害事象の発現率は,いずれもセレコキシブ群よりも

イブプロフェン群の方が統計学的に有意に高かった(高血圧カテゴリー;セレコキシブ 2.6%,

イブプロフェン 3.5%,浮腫カテゴリー;セレコキシブ 3.8%,イブプロフェン 5.6%).

心不全カテゴリーの有害事象発現率は,セレコキシブ全用量群(すべての比較ともに 0.3%以

下)においても,対照群(ナプロキセン 0.1%,ジクロフェナク 0.2%,イブプロフェン 0.4%)

と同様に低かった.

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表 2.7.4.6.38 心腎系有害事象発現率(セレコキシブと個々の NSAID との比較) 比較 有害事象 セレコキシブ 対照群 p 値 a

セレコキシブ全用量 vs. ナプロキセン Nb 6311 2953 高血圧/高血圧増悪 n(%) 79 (1.3) 39 (1.3) -- 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 169 (2.7) 92 (3.1) -- 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 3 (<0.1) 4 (0.1) --

セレコキシブ全用量 vs. ジクロフェナク Nb 14921 7639 高血圧/高血圧増悪 n(%) 259 (1.7) 150 (2.0) -- 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 385 (2.6) 170 (2.2) 0.112 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 23 (0.2) 16 (0.2) --

セレコキシブ全用量 vs. イブプロフェン Nb 4512 2484 高血圧/高血圧増悪 n(%) 118 (2.6) 88 (3.5) 0.032 浮腫/全身性浮腫/末梢性浮腫 n(%) 172 (3.8) 139 (5.6) <0.001 心不全/左心不全/右心不全 n(%) 13 (0.3) 9 (0.4) --

N:治験薬使用例数; n:事象発生例数; NSAID:非選択的 NSAID

a:p 値 は Fisher の直接確率検定より; p ≤0.05 は太字で表記した.--:p >0.20 又は計算不可 b:NSAID 対照群の試験データのみを含む

2.7.4.6.2.4 重度の皮膚関連副作用(SCAR) ······························ 添付資料 5.3.5.4-9

ファイザー社は,以下のデータを基に重度の皮膚関連副作用(SCAR)の発現率及び報告率を

指標とした安全性解析を実施し,セレコキシブの皮膚への影響に関する安全性の検討を行った.

臨床試験データ:ファイザーの安全性調査データベースに収録されているセレコキシブ

の臨床試験で報告された重篤な皮膚関連有害事象の全症例を対象とした検討

疫学研究データ:米国データについては米国食品医薬品局(FDA)の有害事象報告シス

テム(AERS)と米国以外のデータについては世界保健機関(WHO)のウプサラ(Uppsala)

モニタリングセンターのデータベースに収録されている SCAR を対象とした検討

自発報告データ:ファイザーの安全性調査データベースに収録されている自発報告され

た SCAR を対象とした検討

上記データに基づく重篤な皮膚反応の安全性解析から,セレコキシブによる SCAR の報告率

は,非選択的 NSAID による報告率の範囲内であり,オキシカム系 NSAID による報告率を超え

るものではなかった.

2.7.4.6.2.4.1 セレコキシブによる SCAR:臨床試験及び観察研究

2005 年 月 日までに臨床試験(ファイザー社が介入しない観察研究を含む)で報告され

た重篤な皮膚関連有害事象の全症例を対象に,ファイザーの安全性調査データベースを検索し

て累積調査を行った.

セレコキシブの臨床試験において,セレコキシブを 1 回以上投与された患者のうち 48103

例を特定した.この中の 3 例(0.006%)において SCAR が報告されていた.これらの事

象の内訳は,スティーブンス・ジョンソン症候群が 1 例及び多形紅斑が 2 例であった(表

2.7.4.6.39).又,76 例(0.158%)で重篤な皮膚関連有害事象が発現しており,この中で

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も多く報告された重篤な事象は,発疹(Rash)(0.039%)及び皮膚潰瘍(0.033%)であっ

た.

セレコキシブの観察研究において,セレコキシブを投与された 183468 例を超える患者に

SCAR は報告されていなかった.この 183468 例につき調査した結果,15 例(0.008%)に

重篤な皮膚関連有害事象が発現しており, も多く報告された重篤な皮膚関連有害事象

は,発疹(Exanthem)3 例(0.002%)であった(表 2.7.4.6.40).

表 2.7.4.6.39 臨床試験における重篤な皮膚及び皮下組織有害事象の発現率

有害事象分類 有害事象

セレコキシブ全用量 N = 48103†

重篤な皮膚反応 76 (0.158) 血管神経性浮腫 6 (0.012) 褥瘡性潰瘍 2 (0.004) アレルギー性皮膚炎 1 (0.002) 斑状出血 1 (0.002) 紅斑 3 (0.006) 多形紅斑 2 (0.004) 発疹(Exanthem) 2 (0.004) 顔面浮腫 3 (0.006) 全身紅斑 1 (0.002) 汗腺炎 1 (0.002) 多汗症 2 (0.004) 局所性皮膚反応 1 (0.002) 手掌・足底発赤知覚不全症候群 1 (0.002) 天疱瘡 1 (0.002) 眼窩周囲浮腫 1 (0.002) 光線過敏性反応 1 (0.002) そう痒症 4 (0.008) 乾癬 1 (0.002) 紫斑 1 (0.002) 発疹(Rash) 19 (0.039) 紅斑性皮疹 3 (0.006) 全身性発疹 1 (0.002) 斑状丘疹状皮疹 5 (0.010) 皮膚障害 1 (0.002) 皮膚壊死 1 (0.002) 皮膚反応 1 (0.002) 皮膚潰瘍 16 (0.033) スティーブンス・ジョンソン症候群 1 (0.002) 皮下気腫 1 (0.002) 顔面腫脹 2 (0.004) 中毒性皮疹 1 (0.002) 蕁麻疹 2 (0.004)

N :患者数(%) * :患者が同一有害事象分類の有害事象を2件以上発現した場合,当該分類の総発生率においては1回として数える. † :他社が実施した臨床試験の大半について患者の組み入れ情報を有しておらず,当該試験をセレコキシブ総投与例数

に含めていない.

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表 2.7.4.6.40 観察研究における重篤な皮膚及び皮下組織有害事象の発現率 有害事象分類

有害事象 セレコキシブ全用量

N = 183468† 重篤な皮膚反応 15 (0.008)

血管神経性浮腫 1 (<0.001) アレルギー性皮膚炎 1 (<0.001) 紅斑 1 (<0.001) 結節性紅斑 1 (<0.001) 発疹(Exanthem) 3 (0.002) 顔面浮腫 1 (<0.001) 類天疱瘡 1 (<0.001) 乾癬 1 (<0.001) 発疹(Rash) 2 (0.001) 中毒性皮疹 1 (<0.001) 蕁麻疹 2 (0.001)

N :患者数(%) * :患者が同一有害事象分類の有害事象を2件以上発現した場合,当該分類の総発生率においては1回として数える. † :他社が実施した臨床試験の大半について患者の組み入れ情報を有しておらず,当該試験をセレコキシブ総投与例数

に含めていない.

2.7.4.6.2.4.2 セレコキシブによる SCAR:疫学研究 現在までのところ,従来の人口に基づく情報源を用いて SCAR のリスクに関する疫学研究は

実施できていない.これは利用可能なデータベースで識別するための SCAR の ICD-9(国際疾

病分類)コード(ICD-9 にはスティーブンス・ジョンソン症候群,TEN,695.1[多形紅斑],虹

彩状紅斑,虹彩ヘルペス,熱傷様皮膚症候群等が含まれる)がないこと,SCAR が頻繁に誤診

されている現状,SCAR が稀な疾患のために正確な相対リスク又は絶対リスクを算出するには

個々の薬物における実際の暴露量を調査する必要があること,等の理由による.しかし,ファ

イザー社は疫学研究実施の可能性を探るため,人口に基づくさまざまな情報(主に米国データ

については FDA の AERS,また,米国以外のデータについては WHO のウプサラ(Uppsala)モ

ニタリングセンターのデータベース)を基に評価した.

WHO 及び AERS データベースの調査検討結果より,セレコキシブによる SCAR 発現のリス

クは極めて低く(報告された症例数は,全処方数 100 万件あたり約 1-2 件),現在入手可能な他

の選択的 COX-2 阻害剤及び非選択的 NSAID に関連する SCAR のリスクと同程度であるか,こ

れより低いことが示唆された.

以下に WHO 及び AERS データベースの調査検討結果の詳細を述べる.

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