平成28年度石油精製業保安対策事業 石油精製業等...

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平成28年度石油精製業保安対策事業 石油精製業等の保安に係る制度等の国際調査 最終報告資料(法令集編) デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 2017127

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平成28年度石油精製業保安対策事業

石油精製業等の保安に係る制度等の国際調査最終報告資料(法令集編)デロイト トーマツ コンサルティング合同会社2017年1月27日

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目次

1. ルール特定のためのフレームワーク 3

2. 海外保安制度の基本理解 8

3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度 10

3.1. 米国ルール(regulation)の把握 10

3.2. 米国における規格(standards)の把握 79

3.3. その他関連組織の把握 93

4. EU(ドイツ)の保安制度 96

4.1. EU・ドイツルール(regulation)の把握 96

4.2. EU・ドイツにおける関連組織の把握 177

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1. ルール特定のためのフレームワーク

3

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石油精製・石油化学等のプラントの運転開始後の業務の基本的な流れは、以下のとおり。これを基に関連ルール抽出のフレームワークを検討する(次頁)

プラントの運転開始後の業務における各機能

O&M対象

内部要素

外部

要素

設備・機器

組織・人材

環境影響

4

原料・

生成物

• O&Mを考

えた

現場設計(設備調達・配

置を含む)

• 環境影響評価(建設時)

• 販売計画

(月・週・日次)

• 生産計画

• 原油処理

運転計画

• 2次装置

運転計画

• ブレンド・

出荷計画

等の策定

• 運転監視

• 不具合監

• 予兆管理

• 設備性能

管理等の

実行

• 運転制御

• 人材育成・OJTによる技術継承

• 人材配置計画・実行(例:経営人材・主任技術者など技術人材の適正配置)

• 環境監視• 事故等の対応計画の策定

• プラント運

営(高圧ガス

等の製造)の

許可等の

取得

• 原油購買/

貯蔵

• タンカー計

画等の策

• 原油購入

計画

• 原料貯蔵

庫管理

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

• メンテナン

ス管理

計画(設備

点検計画)策

• 設備診断(例)腐食等

の劣化診断

• 工事計画

策定- 日常メンテナ

ンス、

- 定期点検、

- 個別件名

工事

• 工事実行

• 確認

• 工事計画

策定

(種類)

-日常メンテナ

ンス

- 定期点検、

- 個別件名

工事

• 工事実行

• 確認

• 災害時の

各種計画

の策定(例)

- 防災計画

策定

- 事業継続性(BCP)計画

- セキュリティ

計画策定

• 事案発生

時の災害

復旧

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

• 生産工程における原料管理

• 貯蔵庫の

管理・監視

• 生産物管

• 販売計画

• 生産計画

運転開始後運転開始前

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石油精製・石油化学等のプラントは、設備・機器、原料・生成物、組織・人材、環境影響等の観点から規制されている。以下のフレームワークに沿って関連ルールを抽出する

産業保安関連ルール抽出のフレームワーク

O&M対象

• O&Mを

考えた

現場設計(設備調達・配

置を含む)

内部要素

外部

要素

設備・機器

組織・人材

環境影響 • 環境影響評価(建設時)

5

• プラント

運営(高圧

ガス等の製造

)の許可

等の取得

原料・

生成物

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

運転開始後

製造許可等に関するルール

環境影響評価に関するルール

• 販売計画

(月次・週次・日

次)

• 生産計画

• 原油処理

運転計画

• 2次装置

運転計画

• ブレンド・

出荷計画

等の策定

• 運転監視

• 不具合監

• 予兆管理

• 設備性能

管理等の

実行

• 運転制御

• 人材育成・OJTによる技術継承

• 人材配置計画・実行(例:経営人材・主任技術者など技術人材の適正配置)

• 環境監視• 事故等の対応計画の策定

• 原油購買/

貯蔵

• タンカー計

画等の策

• 原油購入

計画

• 原料貯蔵

庫管理

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

• メンテナン

ス管理

計画(設備

点検計画)

策定

• 設備診断(例)腐食等

の劣化診断

• 工事計画

策定- 日常メンテナ

ンス、

- 定期点検、

- 個別件名

工事

• 工事実行

• 確認

• 工事計画

策定

(種類)

-日常メンテナ

ンス

- 定期点検、

- 個別件名

工事

• 工事実行

• 確認

• 災害時の

各種計画

の策定(例)

- 防災計画

策定

- 事業継続性

(BCP)計画

- セキュリティ

計画策定

• 事案発生

時の災害

復旧

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

• 生産工程における原料管理

• 貯蔵庫の

管理・監

• 生産物管

• 販売計画

• 生産計画

事故等による外部影響に関するルール

事業者の保安体制に関するルール

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

人材育成・配置等に関するルール

運転開始前

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日本の保安四法については、以下のとおりにマッピングされる。本事業では、特に高圧ガス保安法と関連性の高い海外ルールを詳細に調査していくこととする

産業保安関連ルール抽出:日本のルール

O&M対象

• O&Mを

考えた

現場設計(設備調達・配

置を含む)

内部要素

外部要素

設備・機器

組織・人材

環境影響 • 環境影響評価(建設時)

6

原料・

生成物

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

運転開始後

高圧ガス保安法(第3章の2 ) ・認定制度による取組促進

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

石油化学コンビナート等災害防止法

高圧ガス保安法(第2章・4章・4の2)・ 高圧ガスを製造し、製造設備等を設置する場合の施設等の変更の許可(第2章)

・ 高圧ガスを充てんするための容器の製造・所有等の方法・検査等(第4章) ・ 高圧ガスを製造する施設・設備等の検査(第4の2)

消防法(第3章)・ 危険物を取り扱う設備の技術基準(第10条他) ・危険物を貯蔵し、または取り扱う施設に対する許可(第11条他)

高圧ガス保安法(第2章) ・ 高圧ガスの貯蔵・移動等(第2章)

労働安全衛生法 ・ ボイラー及び第一種圧力容器等の検査等

消防法(第3章) ・ 保安人材の配置・要件・資格 等

高圧ガス保安法(第3章・4章の2) ・ 保安人材の配置・要件・資格等(第3章)

労働安全衛生法 ・ 有害な化学物質のリスクアセスメント

消防法 ・地域との連携等による安全確保

高圧ガス保安法(第2章)

高圧ガスの製造等の事業に対する許可

運転開始前

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保安強化へ向けた論点

自主保安に

関する規定

加えて、我が国における産業保安の強化へ向けて、ルール調査にあたっては、特に自主保安、 リスクアセスメント、 第三者機関、 罰則に関する規定に着目する

7

我が国の保安強化へ向けた論点及び本事業での調査事項

現行制度 本事業での調査事項

出所:「高圧ガス保安のスマート化の検討について」(産業構造審議会、平成28年3月)等

議論の方向性

自主保安の強化

リスク

アセスメントの強化

第三者機関の活用

認定(完成・保安)検査実施者に対して、「危険源の特定」を要求することでリスクアセスメントを促進

• 「認定完成検査実施者及び認定保安検査実施者の認定に係る事業所の体制の基準を定める告示(2005年3月)」によって、「危険源の特定」*を求めることで促進

• 高圧ガス保安協会(KHK)がガイドライン(version2)を策定(2016年)

認定事業者制度を通じ、自主検査・連続運転へのインセンティブを付与することで、自主保安を促進

• 経済産業大臣が認定した高圧ガス製造事業者については、施設を停止することなく自ら完成・保安検査が可能である者として認定

• 認定基準として、本社の体制及び認定(完成・保安)検査の実施(省令別表)、事業所の保安管理組織・体制・保安管理計画等の整備(告示)なども含む

*: 「危険源の特定」は、危険源の存在を認識し、かつその特性を明確にするための一連の措置

第三者機関として、法定の事前調査や検査等を実施• 認定事業者制度において認定(完成・保安)事業者の事前調査

(第39条の7)

• 完成検査・保安検査(第20条、第35条等)

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

現行制度の利用拡大※1による自主保安の浸透

リスクアセスメントを含む

自主保安の高度化

第三者機関の利用促進

※2:新技術活用・リスクアセスメントの高度化等

「スーパー認定事業所制度※2」

※1:バッチ処理をする事業所等への拡大

A B C

B

C

執行の仕組みの強化

当局による検査など各種検査等を通じて「事故を起こさない」ことを前提とした軽微な罰則を設定

• 100万円以下の罰金または1年以下の懲役のみ罰則規定

不十分な自主保安の抑止力としての

罰則強化

D

D

事業許可に関する規定

行政検査に関する規定

A A1

A2

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2. 海外保安制度の基本理解

8

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欧米のプラント安全は、システム・セーフティの流れを汲む安全設計思想(Safety through design)に基づく、リスクベースのプロセス安全・品質管理の考え方(Layers of protection for plant)を基本としている

9

欧米ルールが制定されるまでの経緯

契約・調達基準化の流れ

国際標準化の流れ 法規制化の流れ

※Seveso l 指令は1982年に発令。当該指令には安全管理システムの内容は含まない出所:「プラントのプロセス安全―OSHA/PSM・ISO・IEC・APIによるマネジメント」

安全管理

安全管理

品質管理

米国

欧州

EN 292「機器類の安全性」 (1991) EN1050「機器類の安全性‐リスクアセスメント(R/A)原則」(1977)

安全管理

品質管理国際

API RP 750 プロセス危機管理(1990) OSHAプロセス安全管理

(PSM)(1992)

40CFR EPA リスク管理計画(RMP)(1996)

連邦法制化

Seveso ll 指令(1996)※

EU法制化

品質管理

国防総省MILQ-9858A

「品質プログラムの要求」(1959) NASAハンドブックNHB5300.4

「品質プログラムの規定」(1969)

英国国防省 MIL Q-9858Aを導入 BS5750「品質システム」 (1979)

ISO 12100「機器類の安全性」 (2003) ISO 14121「R/Aの原則」(1999) IEC 61508「制御系機能安全性」(1998)

ISO 9000s「品質システム」(1987)

NASAハンドブック「システム・セーフティ」(1970)

国防総省MIL-STD-8821「システム・セーフティ・プログラム」(1979)

BS5304「機器類の安全性」 (1988)

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3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度

3.1. 米国ルール(regulation)の把握

3.1.1. 米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ

3.1.2. 連邦法

3.1.3. カリフォルニア州法

3.2. 米国における規格(standards)の把握

3.2.1. 民間団体が策定する規格

3.2.2. 民間団体の詳細

3.3. その他関連組織の把握

3.3.1. 保険会社

3.3.2. コンサルティング会社

10

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産業保安関連ルール:米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ(1/2)

11

【総論】

米国の産業保安ルール体系は、プロセス安全管理(PSM: Process Safety Management)の仕組みをルール化し運用している。労働安全衛生庁(OSHA)と環境保護庁(EPA)が夫々運用を所管しており、いずれも、事業者に当該仕組みの構築・運用を義務付け、自主保安を基本としている点に特徴がある

このため、米国(加州)においては、事業者がPSMに係わる産業保安の必要事項(リスクアセスメントを含む)を一義的に実行しなければならず、検査・監査まで自らの責任で実行しなければならない

各法令においては、民間団体(CCPS、API等)が作成するガイドラインの活用にも多数言及があることから、事業者は、産業保安に係る専門的な事項を実施するために、これらガイドラインに則って必要なプロセスを実施している

また、産業保安に関する知見・サービスを提供する外部専門家を活用し、保安の実施・高度化を図っているケースもある

自主保安の担保を図る仕組みとして、州・労働安全衛生局(Cal/OSHA)や州統合プログラム機関(CUPA)による検査・監査が存在しており、事業者は、メンテナンス・保安を法令に則って実行しているか確認を受けなければならない

Cal/OSHAは運転前のPSM検査やPSM順守検査(PQV検査)を実施し、EPAはリスク管理計画書(RMP)の定期監査等を実施する

自主保安の高度化に向けた施策として、OSHAが策定した自主保安認定プログラムであるVPP(Voluntary Protection Program)が存在している

VPP認定企業はCal/OSHAやCUPAの検査や監査の対象外となる等のメリットがある

更に、保険会社との関係では保険料の減額が受けられるメリットもある

更に、近年の大規模事故の発生等を受け、石油精製所に特化したPSMプログラムの法制化が進行しており、自主保安の基本的な考え方に変更はないものの、段階的危険コントロールや事故調査時の根本原因の分析の義務づけなど、安全管理体制の仕組みが強化されている

【各論】

<法律に定めのある事項>

連邦OSHAは事業者による内部管理(主に労働安全衛生)に係る事項を所管している。「連邦労働安全衛生法」において、労働安全衛生基準の策定と執行責任を負うことを希望する州に対し、基準の策定と執行の州計画を提出を行うことを条件に、州OSHAに権限を委任している(加州は州計画を策定済み)。

Cal/OSHAは「加州労働法」を州法上の根拠に役割や権限が規定されており、行政命令である「特別危険物質のプロセス安全管理」を基にPSM関連事項を管轄し、同行政命令において事業者のPSM実施・自主監査等を義務付けている。さらにはVPPの認可等も実施している

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産業保安関連ルール:米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ(2/2)

12

【各論】

<法律に定めのある事項(続き)>

そのうえで、Cal/OSHAは、 「加州労働法」「特別危険物質のプロセス安全管理」に基づき、運転前PSM検査やPQV検査等を実施する権限を有し、これら検査を実施している。但し、VPPの認定があればPQV検査は免除される

なお、これら検査は、定期的に実施されているもの(programmed inspection)に加え、苦情等により不定期で実施されるもの(unprogrammed inspection)も存在する

容器等の改修時検査に関しては、Cal/OSHAの内部規定に基づいてNBBI(ボイラー圧力容器検査官協議会)及びASME(米国機器学会)を認定機関として定めており、NBBI及びASMEは認定した機関(AIA)に実質的な検査を権限を与えている(NBBIは事業者に自主検査機関認定を与えており、認定された事業者は自己の責任でもって容器等の検査を実施することができる)

連邦EPAは外部影響管理(主に環境リスク管理)に係る事項を所管している。実質的には各州のEPAに執行権限等を委譲している

Cal/EPAは加州安全衛生法の「危険物質漏えい対応計画及び目録」を管轄する一方、これに基づく行政命令である「危険物質漏えい報告・目録、対応計画」及び「加州事故による漏えい防止プログラム 」 を管轄している(実際の法執行はCUPAに委任)。これら法令に基づき、事業者及びCUPAには、監査・検査を行う義務が発生している

事業者は、RMPの策定に伴う予防プログラムの自主監査を行わなければならない

CUPAはRMP定期監査・検査の実施しなければならない

連邦CSB(化学物質安全委員会)は化学施設の危機管理に関わる事項を所管し、連邦「大気浄化法」に基づいて化学施設に対する事故防止を実現するよう連邦OSHA及び連邦EPAに対して勧告できる。また、事故発生時には事故調査を実施する権限を有する

上記各種法令において、CCPS(化学プロセス安全センター)や米国石油協会API等の規格・ガイドラインが引用され、これらを参照することが奨励されている

<法律に定めのない事項>

保険会社は保険料算定の際にVPPの有無を勘案しており、VPP認定事業者に対して保険料減額等の優遇措置を取ることがある

事業者は、民間団体の策定するガイドラインの更新プロセスに参画している(自社のベストプラクティスを紹介する等)

また、事業者は産業保安の実施に際して外部専門家を活用している場合もある

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米国(加州)の保安制度は、自主監査・検査が基本で、当局による監査・検査を併用する仕組み。事故時の賠償責任の重さなどが実行を担保している

13

加州におけるプラントに対する規制と産業保安確保の仕組み

事業者

連邦政府機関

労働省・労働安全衛生庁(OSHA)

内部管理の仕組み

加州政府機関

第三者機関(検査・認証機関)

関連組織

認定検査機関(AIA)

NBBI※2

規制対象

政府

執行委任機関

補完機関

ASME※3

連邦レベルでの産業保安の確保

環境保護庁(EPA)

連邦レベルでの環境リスク管理

化学物質安全委員会(CSB)

化学施設における事故調査

法的拘束力のあるアクション(対象法令)

法的拘束力のないアクション

組織名

産業保安に関する主な役割

凡例

州産業関係局(DIR)労働安全衛生局(Cal/OSHA)

加州の産業保安の確保

州環境保護庁(Cal/EPA)

加州の環境リスク管理

州統合プログラム機関(CUPA)

加州の危険物管理や廃棄に関する法令の運用にあたる機関

民間団体(CCPS、API、ASME、NBBI、NFPA、UL)

ガイドライン/規格の策定、更新

外部専門家

PSM/RMP策定、検査、監査事業

ボイラー、圧力容器の修理改造時検査

AIA申請(NB-369)

AIA認定(NB-369)

AIA申請(ASME QAI-1)

AIA認定(ASME

QAI-1)

自主検査事業者認定(NB-371)

自主検査事業者申請(NB-371)

ボイラー・圧力容器の修理・改造時の検査機関の認定許可(加州Circular Letter)

ボイラー圧力容器の検査(NBIC、ASME BPVC)

保険料提示 検査・監査結果の提示 サービスの提供 サービスの利用ガイドライン/規格策定プロセスへの参加

委任( 労働安全衛生法

委任

CUPA申請(統合危険廃棄物及び物質管理規制プログラム)

• RMPに関する必要書類提出( 事故漏えい防止プログラム

• VPP提示( 事故漏えい防止プログラム)

• 運転前PSM検査( プロセス安全管理)

• 立入検査(製油所のみ)(加州労働法)

• PSM順守計画検査(VPP認定企業は対象外)(執行マニュアル)

州計画の提出( 労働安全衛生法)

• CUPA認定(統合危険廃棄物及び物質管理規制プログラム)

• RMP、緊急対応計画検査の委任( 危険物質漏えい対応計画)

• VPP※1

申請(VPP)

• リスクアセスメント結果提出(5年毎)(

プロセス安全管理)

事故防止勧告(危険大気汚染物質※6)

検査実施

※1:VPP:自主保安プログラム、※2:NBBI: ボイラー圧力容器検査官協議会、※3:ASME:米国機器学会、※4:検査時点でRMPに基づいた運営ができているか検査、※5:RMP全体の順法性を監査、※5: 27CCR 1510-15620、※6:42 USC 7412

外部影響管理の仕組み 危機管理の仕組み

• RMP以外の法令順守検査※4(3年毎)( 事故漏えい防止プログラム)

• RMP定期監査※5(3年毎)(VPP認定により一部監査除外)( 事故漏えい防止プログラム)

プラントオーナー・運営者

• PSM/予防プログラムの自主監査(3年)( プロセス安全管理、 事故漏えい防止プログラム)

• RMPの策定、更新(5年毎)( 事故漏えい防止プログラム)

• リスクアセスメントの実施(5年毎)( プロセス安全管理、 事故漏えい防止プグラム)

• 有資格者による機器類の運転前点検( プロセス安全管理)

• (新法令施工後、製油所のみ対象)段階的危険コントロール分析、破壊メカニズムレビュー、プロセス安全文化アセスメント実施(5年毎)( 製油所向けプロセス安全管理、 事故漏えい防止プログラム)

CA-4-2

US-1 US-1

CA-4-2

CA-4-2

CA-4-2

CA-4

CA-2

CA-2

CA-4-2

CA-2

CA-4-2

CA-2 CA-4-2

ガイドライン/規格の参照( プロセス安全管理、

事故漏えい防止プログラム)

CA-3

CA-2

CA-4-2

ガイドライン/規格の参照 ( プロセス安全管理

事故漏えい防止プログラム)CA-2

CA-4-2

事故調査及び事故防止勧告(危険大気汚染物質※6)

保険会社

検査・監査結果等に基づく保険料算出

CA-4-2

CA-2

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3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度

3.1. 米国ルール(regulation)の把握

3.1.1. 米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ

3.1.2. 連邦法

3.1.3. カリフォルニア州法

3.2. 米国における規格(standards)の把握

3.2.1. 民間団体が策定する規格

3.2.2. 民間団体の詳細

3.3. その他関連組織の把握

3.3.1. 保険会社

3.3.2. コンサルティング会社

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産業保安に関連するルールは、労働安全衛生庁(OSHA)所管の労働安全衛生法及び環境保護庁(EPA)所管の大気浄化法に基づく法令群である

15

産業保安関連ルール:米国連邦法(所管別)

USC(合衆国法律集※1)

法律集第29編 15章セクション651-678

労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act of 1970)

( 労働安全衛生法(29USC 651-678))

*1: United States Code、政府発行の現行法律集であり、全分野の現行法令を1つの法典に再編集し、タイトル・チャプター等を付与したもの(6年ごとに改訂)、*2:Code of Federal Regulations、公示された連邦機関の規則を機関別に編纂した現行規則集出所:連邦・加州政府ウェブサイト

労働省・労働安全衛生庁(OSHA) 環境保護庁(EPA)

US-1

CFR(連邦行政命令/現行規則集

※2)

連邦規則第42編:環境保護 Part 1 組織の声明及び一般情報

Part 68 化学事故防止策( 化学事故防止策 (40 CFR 68) )

Part 300 石油及び危険物質汚染国家危機管理計画( 石油及び危険物質汚染国家危機管理計画(40 CFR part 300))

Part 302 指定物質、報告対象量及び届出( 危険有害性化学品の指定・報告すべき数量・報告(40 CFR302) )

Part 355 緊急計画及び届出( 緊急計画及び届出 (40 CFR 355) )

Part 370 危険有害性化学品報告:地域社会の知る権利( 危険有害性化学品報告:地域社会の知る権利 (40 CFR 370) )

US-5

US-6

US-3

……

……

US-4

US-11

US-8

US-9

US-10

法律集第42編 85章セクション7401-7671

大気浄化法(Clean Air Act Amendments (CAAA) of 1990)

( 大気浄化法(42 USC 85 7401-7671))US-2

所管法令

所管事項

職場における労働安全衛生の確保 連邦レベルの産業保安政策の策定・運用

州独自の労働安全衛生計画(州計画)を定める場合は州OSHAが主導し、それ以外をOSHAが管轄

人間と環境の保護 連邦レベルでの環境リスク管理 化学安全管理や汚染防止は、OCSPP(Office of Chemical Safety

and Pollution Prevention)が担当 州は実施計画(SIP)を策定

US-7

連邦規則第29編:労働 Part 0 労働省職員の倫理と行動

Part 1910 労働安全衛生規則

• Subpart A 1910.1-9 – 総則

• Subpart H 1910.101-126 危険物質

1910.106 引火性、可燃性液体( 引火性、可燃性液体 (29 CFR 1910.106) )

1910.110 液化石油ガスの貯蔵および取り扱い( 液化石油ガスの貯蔵および取り扱い (29 CFR 1910.110) )

1910.119 高危険度化学物質のプロセス安全管理( 高危険度化学物質のプロセス安全管理 (29 CFR 1910.119))

‒ 付録C 工程安全管理のコンプライアンスガイドライン

1910.1200 危険有害性周知基準( 有害危険性周知基準(29 CFR 1919.1200)))

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米国では、OSHAの所管である29 CFR1910及びEPAの所管である40 CFR 68、300、302、355、370が施設のO&M及び、施設内の危険物の取扱いについて規定している

産業保安関連ルール:米国連邦法

O&M対象

内部要素

外部要素

設備・機器

組織・人材

環境影響

• 人材育成・OJTによる技術継承

• 人材配置計画・実行(例:経営人材・主任技術者など技術人材の適正配置)

16

原料・

生成物 • 原油購買

/貯蔵

• タンカー

計画等の

策定

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行

計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

• 生産工程における原料管理• 生産物管

高危険度化学物質のプロセス安全管理 (29 CFR 1910.119 (a)-(f)、(i)-(p))Process safety management of highly hazardous chemicals

• リスクアセスメントの方法や記載内容等(第e条)• 施設の運営手順に関するマニュアル作成義務(第f条)

化学事故防止策 (40 CFR 68) Chemical accident prevention provisions

• リスクアセスメントの方法等規定

危険有害性化学品の指定・報告すべき数量・報告(40 CFR302) Designation, Reportable Quantities, and notification ・ 報告すべき化学物質漏えい時の数量と通知要件等

緊急計画及び届出 (40 CFR 355) Emergency planning and notification ・ 有害物質放出時を想定した緊急計画策定等

危険有害性化学品報告:地域社会の知る権利 (40 CFR 370) Hazardous chemical reporting: community right-to-know ・ 保有する有害物質の数量等の住民への報告等

US-3

US-4

引火性、可燃性液体 (29 CFR 1910.106) Flammable liquids ・引火性可燃液体の貯蔵・取扱い

液化石油ガスの貯蔵および取り扱い (29 CFR 1910.110)Storage and handling of liquefied petroleum gases ・液化石油ガスの貯蔵・取扱い

危険有害性周知基準(29 CFR 1910.1200) Hazard communication ・化学物質製造・輸入時の取扱い

(再掲)高危険度化学物質のプロセス安全管理 (29 CFR 1910.119 (g)-(h)Process safety management of highly hazardous chemicals

• 社員・コントラクターの育成

(再掲)化学事故防止策 (40 CFR 68) Chemical accident prevention provisions

• 社員・コントラクターの育成

US-5

US-4

運転開始後運転開始前

US-3

石油及び危険物質汚染

国家危機管理計画(

40CF

R

300)

(Natio

na

l oil a

nd

ha

zard

ou

s

su

bs

tan

ces p

ollu

tion

co

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ge

ncy P

lan

)

US-11

有害物質放出に備えた

組織や手続き作成

US-6

US-8

US-10

大気浄化法(

42US

C

85)

(Cle

an A

ir Act)

US-1労働安全衛生法(29USC 651-678)(Occupational Safety and Health Act of 1970)

• 当局による立ち入り検査の権限、労働安全衛生に関する州計画の作成 等大気浄化法(42 USC 85) (Clean Air Act)

• 施設の建設・操業許可 等

・・・本資料にてサマリ提示

US-2

US-9

US-7

出所:連邦政府ウェブサイト

US-2

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労働安全衛生法では、プラント内のプロセス安全管理(PSM)の確保をはじめとする一連のOSHAによるCFR

(連邦行政命令)の制定根拠が定められている

労働安全衛生法 (29USC 651-678 Occupational Safety and Health Act of 1970 )

出所:OSHA ウェブサイト

O&M対象

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

事業者の保安体制に関するルール

• 雇用者による労働安全衛生を向上させるプログラムの作成等を奨励する【セクション2】

• 必要に応じて、当局(OSHA)が立ち入り検査に入る権限を有する

自主保安に関する規定

(労働安全衛生の基準が

別途定められることを規定

【セクション6】)

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

• 違反によって労働者の死亡が発生

した事業者は、有罪となった場合に

は、罰金1万ドル又は6ヶ月未満の

禁固又はその両方が課される

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

概要

各州の安全で衛生的な労働環境作りを支援・促進し、労働安全衛生の分野における

研究、情報、教育、訓練を実施することで、安全で衛生的な労働環境の実現目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

制定根拠

29 CFR 119

VPP VPP(Voluntary Protection Program)認定事業者は、OSHAによるPQV検査対象リストから除外される

労働安全衛生法を執行するため、プロセス安全管理(PSM)に関する規則等の一連の規則が定められている

原料・

生成物

セクション2 議会の所見と目的(b)(1)事業者及び労働者の、雇用の場における労働安全衛生事故の数を減らす努力を

促進し、事業者及び労働者が安全で衛生的な労働条件を提供するための新しいプログラムを作成し、既存のプログラムを向上させる努力を奨励する (以下略)

セクション3(定義)、セクション4(本法律の適用)、セクション5 (事業者の義務)、セクション6 (労働安全衛生の基準)、セクション7(諮問委員会:運営): (略)セクション8: 検査、調査及び記録保持(a)長官は本法の目的を遂行するため、所有者、使用者、又は有責代理人に適切な

証明書を提示することにより、以下の事項を行う権限を有する(1)ある事業者の労働者が作業を行っているあらゆる施設、プラント、施設、建設現場、その他地域・作業場・環境に、遅滞なく、妥当な時間に立ち入る

(2)(略)セクション9-16: (略)セクション17:罰則(a)-(d)、(f)-(l): (略)(e) 第6条に基づくあらゆる基準、規定、命令、又は本法に基づいて制定されたあらゆる

規則に故意に違反し、その違反によって労働者の死亡をもたらした事業者は、有罪となった場合には、罰金1万ドル又は6ヶ月未満の禁固、又はその両方に処せられる。ただし、その者が最初の有罪の後に再び違反を犯した場合には、罰金2万ドル又は6ヶ月未満の禁固、又はその両方に処せられる

セクション18:州の法的管轄権、州の計画一覧(a)、(c)-(h): (略)(b) 第6条に基づく連邦基準が公布されている労働安全衛生問題に関連して、労働

安全衛生基準の策定と執行責任を負うことを希望する州は、かかる基準の策定と

執行の州計画を提出するものとする(注:カリフォルニア州は提出済)

セクション19-34: (略)

米国(連邦)ルール:労働安全衛生法

US-1

A

A

A

D D

US-3

17

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(参考)州計画がOSHAの定めと同等以上に効果的と認められた場合、州に執行権限が移管し、OSHAが執行の年次評価を実施。加州はPSMの実施について目標達成との評価を受けている

労働安全衛生法に基づく州計画の性質 加州の州計画に対するOSHAの評価

州計画の

位置づけ

OSHAの定めと同等以上に効果的と

認められた場合、州に執行権限が移管• 雇用者は、基本州計画に従い、州計画に定

めがない場合、連邦法に従う

現在、22州が州計画を策定• カリフォルニア州、ミシガン州、オレゴン州、

ワシントン州は連邦より厳しい要件を規定

• 5つの州は公共部門など一部のみ策定

米国(連邦)ルール:労働安全衛生法

州計画策定

の理由

主な理由は以下のとおり• 労働安全の法的権限は州に属すると考える

から

• 州計画の実施費用の50%まで(上限)を

連邦政府が補助してくれるから

• OSHAによる定めが設けられる以前から、州

が労働安全に関するプログラムを実施してい

たから

• 一部の労働環境については、当該州特有の

ものであると考えるから

州計画への

連邦政府

の関与

OSHAが州計画策定・更新時に承認

OSHAが年次モニタリング評価を実施(FAME; Federal Annual Monitoring Evaluation)

• 毎年、評価報告書(FAME報告書)を発行

2015年度FAME報告書(抜粋・抄訳)

業績目標1.3:

PSMの要件に該当する精製所や施設における死亡、

外傷や病気の削減

実施指標(Activity Measures):

• 当初目標の44を超える40の検査を実施

• 業界・専門家グループに対するコンプライアンス支援活動を

5回実施

• PSMユニットによって、石油精製所の包括検査を4つ実施

• 石油精製所以外の施設について、フォローアップ検査を実施

結果指標(Outcome Measures):

• 2015年度中に認められた深刻な

危険の100%の軽減を達成

• 2015年中(CY2015)、PSM基準

違反による死亡や重大事故は

未発生

分析

全ての目標について達成またはそれ

以上の成果であった(後段略)

18 出所:OSHA ウェブサイト及びFAME報告書

事業者の保安体制に関するルール

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加州の州計画の概要

米国(連邦)ルール:労働安全衛生法

概要

策定 初期承認: 1973年5月1日(38FR※1 10717)

州計画の承認: 1977年8月19日(42FR※1 41858)

範囲(Coverage)

• 加州の州計画は、以下を除く(略)、全ての民間セクターを対象とする

• 加州の州計画は、事業者としての州や地方政府にも適用される(後段略)

• 施設が州計画に基づく立ち入り検査等を拒否したりする場合、連邦OSHAが、事業者に知らせることなく、施設への立入

検査を行い、適切な執行のためのアクションを取る権限を保持する。・・・(中段略)・・・OSHA地域事務所は、適切な連邦

アクションについて決定し、当該計画及びアクションについて書面で州計画に基づき通知する

• 州計画が十分にまたは効果的に執行できない場合など異常な場合には連邦OSHAが適切な執行のためのアクションを

取り、施設に立ち入り検査を行う権限を保持する

• (後段略)

州計画の基準(State Plan Standards)

• Cal/OSHAは、少なくとも連邦OSHA基準と同等以上の労働安全衛生基準を採択するほか、以下の固有基準を採択する

毒性化学の取扱い及び暴露、農業、繰り返し動作による損傷、児童労働、熱への暴露、騒音への暴露、損傷及び

病気防止プログラム(IIPP)、エアロゾル伝導性の病気、石油採掘及び製造、石油精製・輸送・取扱い

執行プログラム(Enforcement Programs)

• Cal/OSHAは、加州の州計画の執行及びコンサルテーションを実施する。Cal/OSHAは、労働基準執行局(DSLE)の

政策・解釈マニュアルを使用する。また、コンプライアンスオフィサーは、危険な状況にないか作業環境を検査し、召喚状

(citation)や命令(order)を行う。検査は、定期検査、緊急報告書、事故や労働者の通報等に基づき実施される。(略)

任意及び協力のためのプログラム(Voluntary and Cooperative Programs)

• Cal/OSHAは、外傷、病気、死亡事故軽減のための任意・協力プログラムを提供する。・・オンサイトのコンサルテーション

サービスも提供する。(後段略)

非公式会議及び不服申し立て(Informal Conferences and Appeals) (略)

(参考)加州の州計画では、連邦OSHAの水準の規定に加え、石油精製・輸送・取扱いを含む 幾つかの固有基準が定められている

19 ※1:FR: 連邦官報(Federal Register)出所:OSHA ウェブサイト掲載の加州の州計画

事業者の保安体制に関するルール

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(参考)加州の州計画の実施については、Cal/OSHAが年次報告書を発行している。2015年度は、PSM

関連では、エクソンモービルの石油精製での爆発事故に対する措置が記載されている

Cal/OSHAによる年次報告書 エクソンモービル製油所・供給会社に対する命令について(抜粋)

米国(連邦)ルール:労働安全衛生法

Citations in Explosion at Oil Refinery Exxon Mobil Refining

& Supply Company (#1042440)

• On August 13, 2015, the Cal/OSHA Process Safety Management

South issued 19 citations including six willful serious citations to

Exxon Mobil Refining & Supply Company. Of the remaining 13

citations, 12 were classified as serious. Total penalties were

$566,600(約5800万円). The citations were issued after an

investigation into the February 18, 2015 explosion of an electrostatic

precipitator in the Torrance, CA refinery’s fluid catalytic cracking

(FCC) unit. Cal/OSHA found that the explosion resulted when a

decrease in steam pressure in one part of the FCC unit allowed

flammable vapors to travel from process equipment further upstream

through the FCC and into the electrostatic precipitator, which

remained energized. An electrical discharge in the precipitator ignited

the flammable vapors and the resulting explosion blew apart large

sections of the six-story air-pollution control device. Powdery catalyst

was blown into the air in residential neighborhoods adjacent to the

refinery, eventually settling on cars, lawns and streets. Four contract

employees received minor injuries in the explosion from flying

shrapnel. The ESP unit is not expected to be back online until early

2016, about one year after the explosion. The 19 citations

addressed failures to maintain and properly operate process

safety equipment; the use of defective equipment; a lack of

written temporary procedures; failure to conduct an adequate

process hazard analysis on the electrostatic precipitator

operating without safety equipment; failure to activate the

employee alarm system in an emergency and failure to properly

manage flammable vapors and ignition sources.

20 出所:State OSHA Annual Report (SOAR) Federal FY 2015

事業者の保安体制に関するルール

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大気浄化法では、1990年改正によって環境保護庁(EPA)が実施することになった危険汚染物質の排出管理が定めらており、これが40CFRなどの連邦行政命令の制定根拠となっている

大気浄化法 (42 USC 85 the Clean Air Act)

出所:OSHA ウェブサイト

O&M対象

事業者の保安体制に関するルール

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

(関連個所であるセクション112について)毒性・可燃性物質等の流出を防止

するため目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

40 CFR 68

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

化学事故防止規定等大気浄化法を執行するため、リスク管理計画(RMP)に関する規則等の一連の規則が定められて

いる

制定根拠

B

米国(連邦)ルール:大気浄化法

US-4

US-2

21

A

タイトルI 大気汚染防止と規則1.1.1 Part A- 大気質と排出制限セクション112 危険汚染物質(Hazardous air pollutants)(a)定義、(b)汚染物質のリスト、(c)ソースカテゴリのリスト、(d)排出基準、(e)標準と評価のスケジュール、(f)健康と環境を保護する標準 (略)(g)修正(1990年改正によって)、EPAは、118の危険汚染物質を排出する大規模産業施設(major industrial facilities)について、規制する権限を付与されるとともに、主な発生源(major sources)のカテゴリー別に基準を設定する

ことが要求され、一定以上の排出量の場合、施設管理者に対して、より厳しい規制を課すとともにMACT(最大限達成可能な管理技術(maximum

achievable control technology))を用いることを求めることとなった1.1.2 Part B- オゾン層保護1.1.3 Part C- 顕著な大気質悪化の防止1.1.4 Part D- 国家環境大気質基準未達成地域における計画要請タイトルII 移動発生源の排出基準

1.2.1 Part A 車両排気と燃料基準1.2.2 Part B 航空機排出基準1.2.3 Part C 無公害燃料車両タイトルIII 一般規定タイトルIV 酸性雨規制タイトルV 許可

一定の事業者は施設建設前に許可を取得しなければならない。また、5年毎に操業許可を更新しなければならない

タイトルVI 成層圏オゾン保護

自主保安に関する規定

• 最大限達成可能な管理技術

(MACT)を用いなければならない

【セクション112】

リスクアセスメントに関する規定

• 一定の事業者は施設の建設・操業許

可を取得しなければならない

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

B

A

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CFR 1910.119は、プラント内の安全管理(PSM: Process Safety Management)を事業者に義務付けている

高危険度化学物質のプロセス安全管理 (29 CFR 1910. 119 Process safety management of highly hazardous chemicals)

出所:OSHA ウェブサイト

規定内容

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

有害物質や爆発物等の大量放出を防ぐ若しくは最小化し、安全管理を実施す

ること

CCPS(化学プロセス安全センター)作成のPSMガイドラインは、OSHA 1910.119に規定される要件を全て包含している

その他、ASME・API等が当該法令順守の上で参考となる規格やガイドラインを策定しているCCPS等ガイドライン

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

罰則規定

規定無し

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

実質参照

US-3

米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

A

• プロセス危険分析から監査に至るまで

事業者が行う義務がある【第c-p条】 なお、附属書において参照すべきレポ

ート等を紹介し、事業者の理解を助け

ている【付属書C】

自主保安に関する規定A

B

A B

• リスクアセスメントは決まった方法(例

:HAZOP/EVA)にて実施しなければならな

い【第e条】

なお、附属書において事業者が中小事

業者の対応方法を定め事業者の理解

を助けている【付属書C】

B

【本文】第a条 対象とする工程、施設第b条 定義第c条 従業員の参加

事業者は、従業員と相談の上、プロセス危険分析に係る行動規範を策定しなければならない

第d条 プロセス安全情報リスクアセスメントの際に必要な情報を事前にまとめなければならない。またその際に最低限記載すべき情報を記載している

第e条 プロセス危険分析リスクアセスメントを実施しなければならない。また、その際に一定の手法を用い報告書に一定事項を記載せねばならない

第f条 操作手順の文書化施設の運営について分かり易い指示書(マニュアル)を作成しなければならない。マニュアルに書くべき内容等も含まれる

第i条 試運転前安全性レビュー第j条 機器の健全性(メンテナンス規定)

施設内の特定の設備につき、メンテナンスマニュアルを策定し、定期検査を実行しなければならない

第k条 火器使用許可第l条 変更管理第m条事故調査

重大事故に繋がる施設の出来事を調査・報告せねばならない第n条 緊急時対応プラン第o条 法令順守監査第p条 企業秘密

【附属書C】 プロセス安全管理に関する指針及び勧告上記条文履行時に有用な行動指針(非強制)を定めている

22

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(参考)OSHA PSMは14の要素から構成され、それぞれに対して事業者の対応内容を定めている

23

PSMの主要な14要素と事業者の対応内容(組織・人材関連を除く)(1/3)

#連邦OSHA PSMの該当条項※

(29 CFR 1910.119: Process Safety

Management of highly hazardous chemicals)

対象となる事業者の対応

1(c) 従業員の参加

(Employee Participation)

プロセス安全管理に従業員が参加するプログラムを策定する プロセス危険分析の開発、及びプロセス安全管理の策定には従業員に助言を求める 従業員がプロセス危険分析、プロセス安全情報などを利用できるようにする

2(d) プロセス安全情報

(Process Safety Information)

プロセス安全に関する以下の情報をまとめる 暴露限界、反応性など化学物質の物性情報 プロセスパラメータの安全管理限界値などプロセス危険分析に基づく技術情報 採用した準拠規格など機器・設備情報

3(e) プロセス危険分析

(Process Hazard Analysis)

What-if、チェックリスト法、HAZOP、FMEA、FTAまたは同等のプロセス分析手法によるプロセス危険分析を実施し、最低5年以内に見直しする

4(f) 操作手順の文書化

(Operating Procedures)

操作手順に関する以下のような情報を文書化する 通常運転、緊急運転(緊急シャットダウン・緊急操作)などの手順 定常状態からの逸脱時の修正・回避に要する手順 暴露防止・身体保護具などの安全衛生上考慮すべき事項

7(i) 試運転前安全レビュー

(Pre-startup Safety Review)

プロセスへの危険物質投入前に以下事項を確認する 機器および施行の設計仕様への準拠 安全・操作・保全・緊急時の手順の妥当性 危険分析の実施と推奨事項の判断または実施(施設新設時) プロセス操作関係者の訓練の完了

出所:「プラントのプロセス安全―OSHA/PSM・ISO・IEC・APIによるマネジメント」

※:#5訓練及び、#6:コントラクター管理はp42において詳細紹介

事業者の保安体制に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

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(参考) OSHA PSMは14の要素から構成され、それぞれに対して事業者の対応内容を定めている

24

PSMの主要な14要素と事業者の対応内容(組織・人材関連を除く)(2/3)

#連邦OSHA PSMの該当条項

(29 CFR 1910.119: Process Safety

Management of highly hazardous chemicals)

対象となる事業者の対応

8(j) 機器の健全性

(Mechanical Integrity)

プロセス機器の健全性を保つために手順書を策定・実施する プロセス機器に対して試験検査を実施する (d)のプロセス安全情報に基づく使用限界を逸脱しているプロセス機器の不適格事項を修復する

新設プラント及び機器の施行時に、制作された機器がプロセスの用途に適するための品質を保証する

9(k) 火気使用許可

(Hot Work Permit)

プロセス内または近傍の火気使用に対しては、使用許可証を発行する 許可書には許可日・目的を記載する

10(l) 変更管理

(Management of Change)

プロセス上の化学物質・技術・機器及び手順に対する変更並びにプロセスに影響する施設に対する変更を管理する手順書の策定とその実施する

上記変更の前に下記事項を確実にする 提案されている変更の論拠となる技術 安全衛生に及ぼす影響 操作手順の修正 変更に要する期間 提案されている変更に関する法的要求事項

変更が(d)のプロセス安全情報に影響をもたらす場合にはプロセス安全情報を更新する

変更が(f)の操作手順に影響をもたらす場合には、操作手順分を改定する

出所:「プラントのプロセス安全―OSHA/PSM・ISO・IEC・APIによるマネジメント」

事業者の保安体制に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

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(参考) OSHA PSMは14の要素から構成され、それぞれに対して事業者の対応内容を定めている

25

PSMの主要な14要素と事業者の対応内容(組織・人材関連を除く)(3/3)

#連邦OSHA PSMの該当条項

(29 CFR 1910.119: Process Safety

Management of highly hazardous chemicals)

対象となる事業者の対応

11(m) 事故調査

(Incident Investigation)

危険物の漏えいに起因する事故を調査する 事故後48時間以内に可及的速やかに調査を開始する 下記のものから構成される調査チームを結成する 最低1名の当該プロセスに精通している者 事故と関係がある場合は、工事関係者 事故調査と分析に精通している経験者

事故調査報告書には以下の事項等を最低限記載する 事故の実態 事故の一因となったファクター 調査から得られた勧告

事故の調査の成果及び勧告を即時に特定し解明するシステムを確立する 事故調査報告書は、必要であれば工事業者も含めて、その勧告に関わる全ての関係者に吟味させる

事故調査報告書は5年間保管する

12(n) 緊急時対応プラン

(Emergency Planning and Response) 緊急事態への対応プランを策定する

13(o) 法令順守監査

(Compliance Audit)

本条規定のPSMを順守していることを検証するため、最低3年毎に評価・確認する 法令順守の監査は、最低1名の当該プロセスに精通している者が実施する 監査による勧告報告の書式を策定する

14(p) 企業秘密

(Trade Secrets)

事業者はPSMの規定業務を実施する責任者に必要なプロセス情報を利用させる プロセス情報の機密保持契約の締結を認める

出所:「プラントのプロセス安全―OSHA/PSM・ISO・IEC・APIによるマネジメント」

事業者の保安体制に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

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(参考)OSHAは自主保安認定プログラムを用意。当該プログラムが自主保安の品質向上に寄与している

26

VPP制度概要

VPP認定企業となった場合のメリットとしてOSHAによる立ち入り検査の一部免除があげられる

認定ステータス名称• Voluntary Protection Program(自主保安プログラム)

(OSHAが策定)

Star

Merit

Demons

- tration

目的• 事業者及び雇用者の自助努力を通じて、作業場にお

ける安全性・衛生環境の向上を達成する

設立

根拠

• 米国労働安全衛生法sec2 (b).(1)

本条文にて、作業場における労働安全衛生の向上は、

事業者及び雇用者の責任で行うことが奨励される

認定

プロセス

• 事業者は安全性の程度によって以下3つのラン

クにOSHAが格付け

• VPPが規定する全ての基準を満たし、事故や怪

我の発生率が国内業界標準の平均を下回る企

業はStarランクに認定

• OSHAによる再評価は3~5年以内に実施

• VPPが規定する基準を概ね満たし、3年以内に

Starランクになれる可能性がある企業はMeritラ

ンクに認定

• OSHAによる再評価は1年半~2年内に実施

• 現状、安全性・衛生環境の向上に向けて様々な

管理手法に挑戦し、近い将来VPPの基準を満た

せそうな企業はDemonstrationランクに認定

• OSHAによる再評価は1~1年半以内に実施

出所:OSHA ウェブサイト

事業者の保安体制に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

• 事業者は雇用者と合意の上、OSHAにVPP取得の申

請を実施

• 申請に際し、事業者は作業場がOSHAが規定するチェ

ックリスト項目に合致しているかを事前に自己診断・報

マネジメント層及び従業員の関与

作業場の分析

危険からの保護及びコントロール

安全衛生

• 自己報告を参照しつつ、OSHAの職員が施設を訪問

し、VPP認定企業に相応しいかを4日間かけて評価

(OSHAが法的に各業態ごとに定める最低限の法規制

をクリアしているのは認定の大前提となる)

• 認定企業は一定期間の後、継続して認定企業として

相応しいかにつき、OSHAの再評価を受ける必要

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(参考)VPPは、2008年時点で16の州で導入されており、うち、加州を含む7州では独自のプログラムを策定するなど、州レベルでも自主保安の取組みが進められている

27

各州におけるVPPの導入状況(2008年)

HI

AK

ME

TX

AR

LA

MN

WI MI

SC

VA

PA

MT

MO

IN

OH

KY

TN

FL

WVNV UT

WY

CO

AZ NM

ND

SD

NE

KS

OK

IA

IL

WA

OR

CA

IO

MS ALGA

NC

NY

MD

DE

NJ

CT

RI

MA

NH

VT

凡例

:州独自のVPPプログラムを導入

:連邦政府のVPPプログラムを導入

:VPP未導入

:情報なし

出所:OSHA ウェブサイト

事業者の保安体制に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

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(参考)米国では、製油所の大規模事故を受け、2007年に製油所向け国家重点プログラム(製油所NEP)を施行し、OSHA PSMの順守評価を実施した

28

製油所向け国家重点プログラム(NEP)の概要

名称

対象

Petroleum Refinery Process Safety Management

National Emphasis Program

OSHA管理下にあるすべての製油所及び協力会社

実施時期 2007~2011年

検査チーム 約3-4名

所要時間 1000時間/検査(通常の全業種平均OSHA監査の

40倍)

検査

プロセス

質問事項を用いた二段階の検査ステップ

ステップ1:約100項目の固定質問(Static List)

ステップ2:定期的に変更される質問事項

(Dynamic List)

検査結果

労働者の安全に大きな効果あり

違反内容:機器の健全性、プロセス安全情報、運

転要領書、プロセス危険分析

違反件数:平均11.2件/検査、

罰金:平均76,800USD/検査

製油所向け国家重点プログラムの実施

事故発生前の評価体制の中で事故が発生したこ

とを受け、2007年に製油所向け国家重点プログ

ラム(製油所NEP)などを開始し、OSHA PSMコ

ンプライアンス評価ツールを使った監査を実施し

PSM順守評価の流れ

2005年

テキサスシティ

製油所

爆発事故

事故

発生後

自主監査及びOSHAによる監査

プロセス産業に該当する企業は、3年毎に自主

監査を実施

OSHAの計画的な監査や抜き打ち検査を実施

(しかし、PQV検査は、年間で対象施設の0.2%

しか計画できていなかった)

プロセス安全管理に関する問題の指摘

BPのテキサス州の製油所において、大規模な爆

発事故が発生。事後報告書では、プロセス安全

が軽視され、さまざまな安全管理上の問題があ

ったことが指摘された

出所:大坂システム計画株式会社「施設マネジメントからみたプロセス安全管理の動向」、各種公開資料

2005年

以前(現在も

継続)

事業者の保安体制に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

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化学事故防止策は、事業者の分類に応じて、RMPや各種プログラム等、保安に関して事業者が順守すべき事項を定めている

化学事故防止策 (40 CFR part 68 Chemical Accident Prevention Provision)

規定内容

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

化学物質の放出を予防するための事業者の義務・プログラム及び規制対

象物質の追加と削除方法を定める

第h条に定める監査は、OSHAが認定するVPPのStar若しくはMeritランクを取得していると一部免除される

監査の結果、RMPの方法を一定水準以上に改善することを要請可能だが、その際の改善の基準としてASMEやAPIの規

定、CCPSのガイドラインが例示的に示されている(第h項:68.220.e)(詳細はP.42詳細)各種規定・ガイドライン

VPP

規定無し

• 事業者のプログラムに応じて、リスク

の蓋然性を分類し、対応すべき事業

者のリスクアセスメント内容をランク

付けしている【第a-e、g条】

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

罰則規定

規定無し

出所:EPA ウェブサイト

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

参照

• 各プログラムは、監査も含めて全て事

業者が主体となって対応しなければな

らない【第a-e、g条】

• 事業者はRMPにつき、監査の対象と

なる【第h条】

自主保安に関する規定

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

US-4

【本文】第a条 一般規定

・一定量以上の規制物質を保有する事業者は本法律の適用を受ける(一般要件)・直近RMP提出の5年以内に死亡事故等を起こしていない等の要件を満たすものはProgram1が適用される(同様に、一定の条件を満たすものがProgram2、3の適用に分類される)・その他、Program1-3に分類される事業者は分類に応じて対応すべき内容が規定される

第b条 危険分析・本条に規定されるワーストケースシナリオ分析はProgram1-3の事業者が、その他全ての分析はProgram2-3の事業者に課せられる

第c条 プログラム2予防・Program2の事業者は本条の予防方策を課せられる(29CFR1910.119と内容は似ているが、軽微)

第d条 プログラム3予防・Program3の事業者は本条の予防方策を課せられる(29CFR1910.119と内容はほぼ同様)

第e条 緊急事態対応第f条 偶発的放出防止規制対象物質第g条 リスク管理計画(RMP)

・対象業者は所定事項を含むRMPを策定し、EPAに提出する第h条 その他要件

・RMPについて、行政機関が監査できる

A

A B

B

A B

A B

A B

A

詳細

詳細

詳細

詳細

詳細

29

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一般規定においては事業者の事故履歴等によって対応すべき要求事項を区分した上で、事業者に重みの異なるリスク対応を義務付けている

30

第a項セクション68.10:適用対象

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

第a項:一般事項(セクション68.1-15)

セクション 68.10:適用対象

a. 本法はセクション68.115で定める危険物質を取り扱うプロセスを1つ以上所有する事業者に適用される(略)

b. プログラム1該当条件

対象となるプロセスが次のすべての条件に当てはまる場合、セクション68.12に定めるプログラム1の要求に応じることが求められる:

1. RMP提出以前の5年間、このプロセスでは次のような結果を招いた事故的な規制物質の漏えいが起こっていないこと

A) 死亡

B) 怪我

C) 国立公園等、特殊地域での対応や復元活動が必要な事態

2. 想定される最悪の事態でも、有害もしくは引火性のポイントまでの距離が、公共の受容体(Public Receptor:住宅、学校、病院、公園、商工業施設などの公共の場)よりも遠いこと

3. 緊急事態の対応手順について、既に地域の緊急事態計画・対応団体と合意されていること

c. プログラム2該当条件対象となるプロセスが本セクションのbやdに該当しない場合は、プログラム2の要求に応じることが求められる:

d. プログラム3該当条件対象となるプロセスが本セクションbにあてはまらず、また次の条件のどれかひとつにでも該当した場合、プログラム3の要求に応じることが求められる:

1. プロセスがNAICS(北米産業分類)コード32211, 32411(石油精製業), 32511(石油化学), 325181(有機化学), 325188,

325192, 325199, 325211, 325311, 32532.に当てはまる

2. プロセスが連邦OSHA(29 CFR 1910.119)の適用対象である

<次ページに続く>

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

出所:EPA ウェブサイト

事業者の保安体制に関するルール

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(続き)一般規定においては事業者の事故履歴等によって対応すべき要求事項を区分した上で、事業者に重みの異なるリスク対応を義務付けている

31

第a項セクション68.12:一般要求事項

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

<前ページからの続き>

第a項:一般事項(セクション68.1-15)

セクション 68.12:一般要求事項

a. 一般要求事項本法の対象となる事業者は本法はセクション68.150-185で定めるRMP (リスク管理計画)を提出しなければならない

b. プログラム1要求事項セクションaの要求を満たすと同時に、プログラム1に分類された事業者は以下の対応が求められる:

1. プロセスにおける最悪の事態の漏えいシナリオ分析を実施して、文書化し、提出すること

2. プロセスにおける過去5年間の事故の全履歴を記録すること

3. 地域の緊急事態計画・対応団体と緊急対応について調整すること

c. プログラム2要求事項セクションaの要求を満たすと同時に、プログラム2に分類された事業者は以下の対応が求められる:

1. 施設マネジメントシステムの策定と履行

2. 第b項に定める危険分析の実行

3. プログラム2予防プログラム若しくはプログラム3予防プログラムの履行

4. 緊急事態対応プログラムの策定と履行

5. RMPの一部として予防プログラム2事業者向けの情報の提出

d. プログラム3要求事項セクションaの要求を満たすと同時に、プログラム3に分類された事業者は以下の対応が求められる:

1. 施設マネジメントシステムの策定と履行

2. 第b項に定める危険分析の実行

3. プログラム3予防プログラムの履行

4. 緊急事態対応プログラムの策定と履行

5. RMPの一部として予防プログラム3事業者向けの情報の提出

出所:EPA ウェブサイト

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危険分析は、起こりうる事故とその外部への影響を物質・量で具体的に想定し、対策を講じるための取組みであり、前項のランク付けに応じた対応が求められる

32

第b項危険分析

b. 考えるべきシナリオ:1. 以下を考慮してシナリオを選択する

A) 最悪の事態より起こりやすいB) 施設外の最終着地点に届きうる

2. 漏えいシナリオは最低限次の事柄を含むべきであるA) 輸送ホースの裂傷や詰まりによる漏えいB) フランジ、継ぎ目、バルブの故障によるパイプからの漏えいC) 容器やポンプのひび、隙間、接続失敗による漏えいD) 容器の過剰充填による漏えいE) 輸送の際のコンテナの取り扱い不注意

c. 使用すべき指標 (略)d. 対策の考慮:想定事態に対応する受動的/積極的な対策システムe. シナリオ選択の際に考慮すべき要因

1. 過去5年間に起きた事故2. 過去の失敗例

68.30 施設外の人口に対して与える影響の定義a. 事業者はRMPにおいて、漏えいの発生源から最終着地点までの円の中に存在する人口に関して考慮しなければならない

b. 「人口」には住民を含めるべきであり、近隣の学校、病院、介護施設、幼稚園、刑務所などを明記すること

c. 影響を受ける人口の算出にデータを用いる際は、近年のデータを用いるd. 人口は百人単位で正確に見積もらなければならない

68.33 施設外の環境に対して与える影響の定義a. (上記68.30 a. の対象を環境に変換、概要同旨)b. 地図データは、地元のUS地理調査局のデータベースを使用するとよい

S2750.7 施設外への影響分析の見直し・更新a. 事業者は、施設外への影響分析を少なくとも5年に1度は見直し、更新し、実施を記録しなければならない

(以下略)

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

68.20 適用対象a. プログラム1に該当する事業者は68.25に定める最悪の事態を想定したシナリオを策定し、プログラム2,3に該当する事業者はこのセクションで規定されたすべての内容に対応しなければならない

68.22 施設外への影響分析指標a. 最終着地点b. 風速と大気中の安定性レベルc. 周囲の温度/湿度d. 漏えいの高度e. 表面粗さ

(事業者は、施設の地理的特徴を都市もしくは郊外にあてはめる。都市部は近隣に木々や建物があり、郊外は近隣に建物がない場合をいう)

f. 高濃度もしくは自然浮遊気体g. 想定される漏えいの際の物質の温度

68.25 最悪の事態の漏えいシナリオ分析a. 事業者は次の内容をRMPの中に含めなければならない

1. プログラム1のプロセスに対して、1つの最悪の事態シナリオ2. プログラム2、3のプロセスに対しては、3つの異なったシナリオ(詳細

略)b. 最悪の事態に想定される漏えいの量 (略)c. 有害な気体に関する最悪の事態のシナリオ (略)d. 有害な液体に関する最悪の事態のシナリオ (略)e. 引火性のガスに関する最悪の事態のシナリオ (略)f. 引火性の液体に関する最悪の事態のシナリオ (略)g. 使用すべき指針 (略)h. 考えうる受動的な緩和策 (略)i. 最悪の事態シナリオ選択にあたって考慮すべき要素(略)

S2750.4 代替漏えいシナリオ分析

a. シナリオの数:事業者は使用する危険物質に対して最低ひとつの代替漏えいシナリオを策定し、分析しなければならない

出所:EPA ウェブサイト

事業者の保安体制に関するルール

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プログラム2に認定された事業者はOSHA PSMに比して若干軽微な災害予防プログラムの策定が必要となり、自主監査の実施も求められる

33

第c項 プログラム2 予防プログラム

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

68.48 安全に関する情報事業者は、MSDS(マテリアル安全データシート)、規制対象の物質の最大保

管量、安全な最低・最高温度、圧力、フロー、構成、設備検査、使用されている基準やコードに関する情報を集約しておかなければならない

68.50 危険レビュー

a. 事業者は、規制物質や物質を取り扱うプロセス、手順によって起こりうる危険のレビューを行わなければならない。レビューは次の内容を含む

1. プロセスや規制物質に紐づく危険2. 設備の故障や不具合、人的ミスによって起こりうる危険の可能性3. 必要な安全措置や危険コントロールの手段4. 使用されているまたは必要な漏えい検知の方法

b. 事業者は行政機関など知見のある機関によって作成されたチェックリストを用いるとよい。業界水準や連邦・州政府の決定を満たすため、危険レビューは適切な規格やルールに則ってプロセスが決定されなければならない

c. 事業者は危険レビューの結果を記録しなければならないd. 危険レビューは最低5年毎に実施しなければならない。また、プロセスに重要な変更があった場合にも実施しなければならない

68.52 運用手順

a. 事業者は、各関連プロセスの安全な操業のため、明確な指示を与える運用マニュアルを文書化しなければならない(以下略)

68.54 教育・訓練

a. 事業者は、プロセスに携わるすべての従業員が、運用手順に沿って適切に教育され、テストされていることを確実にしなければならない

b. 再教育:再教育はプロセスに関わる従業員に対して最低3年毎(必要であれ

ばより頻繁に)に実施され、従業員が最新の運用手順を理解し、忠実であること確実にしなければならない。事業者はプロセスに関わる従業員と相談のもと、再教育の頻度を定めなければならない

c. 事業者は、この条項の要求に応えるために、連邦や州政府、または業界特有の基準のもとに行われる企業の教育プログラムを活用することもできる

d. 事業者は、従業員がプロセスで運用にあたる前に、新規または変更のあったプロセスについて手順教育を受けることを確実にしなければならない

出所:EPA ウェブサイト

68.56 メンテナンス

a. 事業者は、機器の健全性を維持するための文書での手順書を策定し、実施しなければならない。その際、機器販売者から与えられたか、連邦や州政府が定めた、もしくは業界で使われている基準に従って手順を策定するとよい

b. 事業者は、設備のメンテナンスに関わる従業員への教育を実施するかもしくは教育機会を提供しなければならない。安全に作業を実施できるよう、すべての従業員はプロセスにおける災害の可能性、災害をさけるための正しい方法、作業を行うための手順に関する教育を受けなければならない

c. メンテナンスを行うコントラクターはすべての従業員に、正しい手順に関する教育を行わなければならない

d. 事業者は、プロセス設備に対して検査・試験を行わなければならない。試験・検査は一般的に認められている手順に従うこと。頻度や手順に関しては、機器製造社の推奨や業界における基準に従うこと

68.58 順守監査a. 事業者は、最低3年に1度、本法令に沿って策定された手順や履行の適切な

実施・運用を評価したことを証明しなければならない

b. 法令順守監査は、最低1名のプロセスに詳しい者によって行われなければならない

c. 事業者は、順守監査の結果を報告書にまとめなければならない

d. 事業者は、監査の結果に対する対応を判断し、記録しなければならない。また、監査書類の誤りは修正しなければならない

e. 事業者は、最新の2回分の監査報告書を保持しておかなければならない68.60 事故調査

a. 事業者は危険物の漏えいに起因する事故を調査しなければならない(以下略)

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プログラム3に認定された事業者(石油化学業者含む)はOSHA PSMとほぼ同様の災害予防プログラムの策定が必要となり、自主監査の実施も求められる

34

第d項 プログラム3 予防プログラム

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

68.65 プロセス安全に関する情報(プログラム2(68.48)と概要同旨)68.67 プロセス危険分析(PHA)

a. 事業者は、本法で対象となるプロセスに対して、初期的なPHAを実施しなければならない。PHAはプロセスの複雑性に応じて行われなければならず、各プロセスが含む危険の特定、評価しなければならない

b. 事業者は、次のような方法を最低一つ採用しPHAを実施しなければならないWhat-if、チェックリスト、HAZOP(Hazard and Operability Study)、FMEA

(Failure Mode and Effects Analysis)、フォルトツリー解析c. 危険分析は次の情報を含まなければならない

1. プロセスの中で起り得る災害2. 以前起こった事故で、職場での大災害に繋がる可能性があったもの3. 災害防止に有効と思われる技術的対策や運営上のコントロール4. 上記対策が失敗した場合の結果5. 施設の場所状況6. 人的要因7. 従業員に及ぼす安全衛生上の影響の定性的評価

d. 危険分析はエンジニアリングやプロセスオペレーションへの専門性のあるメンバー、該当プロセスにおいて知識のある従業員を含むチームで実施しなければならない

e. 事業者は上記チームの発見や推薦に素早く対応できるようにシステムを構築しなければならない

f. プロセス危険分析は最低5年毎に実施しなければならない。また、プロセスに重要な変更があった場合にも実施しなければならない

68.69 オペレーション手順(プログラム2と概要同旨)68.71 教育・訓練(プログラム2と概要同旨)68.73 整備(プログラム2と概要同旨)

出所:EPA ウェブサイト

68.75 変更管理

a. 事業者は、プロセス上の化学物質・技術・機器及び手順に対する変更並びにプロセスに影響する施設に対する変更を管理する手順書の策定し、実行しなければならない

b. 手順書は以下の内容を含まなければならない1. 提案された変更の技術的な基礎2. 変更による安全衛生上の影響3. 運用手順の修正内容4. 変更による必要期間5. 提案された変更の許可要件

c. 事業者は、変更によって影響を受けるプロセスに携わる従業員及びメンテナンス関係者、工事に影響のあるコントラクターに対して事前に通知し、訓練しなければならない

68.77 運転再開前の安全確認

a. 事業者は、プロセス安全情報に変更が生じるような施設の新設や変更があった場合には、運転開始前に安全確認を行わなければならない

b. 運転開始前の安全確認は、危険物がプロセス内に持ち込まれる前に行わなければならず、次の事項を確認すること

1. 建設や設備は設計通りに配置されているか

2. 安全、運転、メンテナンス、緊急時の手順は十分に用意されてあり、運用できる状態にあるか

3. 新たな施設に関してはプロセス危険分析を行い、推奨事項がすでに実行・解決されているか、また必要なマネジメントの変更が完了しているか

4. 運転、メンテナンスをする従業員の教育が完了しているか68.79 監査(プログラム2と概要同旨)68.81 事故調査 (プログラム2と概要同旨)68.83 従業員の参画(略)68.85 火気使用許可(略)68.87 コントラクター(略)

事業者の保安体制に関するルール

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第g項リスク管理計画の構成と提出要求事項

リスク管理計画はすべての対象事業者に策定・提出義務があり、規制対象の物質に対して、想定される事故のシナリオを詳細に作成しなければならない

35

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

2. プログラム2、3プロセス:規制対象のすべての有害物質に対して1つの最悪ケースシナリオと、それぞれの引火性物質に対して1

つの最悪ケースシナリオ (以下略)

b. 事業者は次の情報を提出しなければならない

1. 化学物質名

2. 混合物質の中の有害物質の割合

3. 物質の状態

4. 事故で想定される結果

5. シナリオ(爆発、火災、ガス漏えい、液体漏えい、蒸発など)

6. 漏えいの量

7. 漏えいの速度

8. 漏えいの期間

9. 風速と大気中の安定性(有害物質のみ)

10.地形(有害物質のみ)

11.最終着地点までの距離

12.最終着地点までで影響を受ける公共・環境の受容体

13.考えうる受動的な緩和策

14.考えうる積極的な緩和策

68.168 RMP 5年間の事故履歴<次ページに続く>

出所:EPA ウェブサイト

第g項 リスク管理計画(RMP)68.150 提出

a. 一定基準以上の危険物質を取り扱う事業者は、 68.155-185で定められた情報を含んだ、RMP(リスク管理計画)を提出しなければならない(略)

68.151 秘密情報に関するクレーム表明(略)68.152 秘密情報に関するクレームの立証(略)68.155 RMPエグゼクティブサマリーの内容

事業者はRMPの中に以下内容を含むエグゼクティブサマリーを提供しなければならない

a. プラントの突発的な漏えい防止及び緊急時の対応に関する方針b. プラントにて取り扱う規制物質c. 一般的な漏えい防止策d. 過去5年の事故の履歴e. 緊急時対応プログラムf. 安全性を向上するための計画的な変更

68.160 登録a. 事業者は所定の登録書に必要事項を記入してRMPに含めなければ

ならないb. (以下略)

68.165 RMP 施設外への影響分析の内容 (略)a. 事業者は次の情報をRMPに含めなければならない

1. プログラム1プロセス:それぞれのプログラム1プロセスに対して1

つの最悪ケースシナリオ

事業者の保安体制に関するルール

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更に事業者が認定されたプログラムに応じ、より詳細なプログラム作成が求められる

36

第g項リスク管理計画の構成と提出要求事項

リスクアセスメントに関する規定BUS-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

<前ページからの続き>68.170 RMP プログラム2予防プログラムの内容

a. すべてのプログラム2プロセスに対して、事業者はRMPの中に次のb~k に挙げる情報を含めなければならない

b. NAICS(北米産業分類)コードc. 使用化学物質d. 安全情報の更新日e. 危険レビューの最新実施日

1. 危険レビューによって生じた変更の完了予定日2. 認識された重大な危険3. 使用されているプロセスやコントロール方法4. 使用されている危険対策方法5. 使用されているモニタリングや検知システム6. 最後の危険レビューからの変更点

f. オペレーション手順の最新の見直し日g. 教育プログラムの最新の見直しもしくは変更日

1. 実施されている教育の種類(座学か、実地研修か、両方か)2. 実施されている技能テストの種類

h. メンテナンス手順の最新の見直し・変更日、設備点検もしくはテストの最新実施日と対象の設備名

i. 監査の最新実施日と、監査で生じた変更の完了予定日j. 最新の事故調査実施日と、調査で生じた変更の完了予定日k. 安全情報、危険レビュー、オペレーションやメンテナンス手順、

教育方法に変化をもたらした最新の変更事項の日付

68.175 RMP プログラム3予防プログラムの内容a. すべてのプログラム3プロセスに対して、事業者はRMPの中に次のb~pに挙げる情報を含めなければならない

b. ~h. にかけて左記68.170と概要同旨i. 最新変更管理をもたらした変更と、変更管理の見直し・変更日j. 最新のスタートアップ前安全確認を行った日付k. 監査の最新実施日と、監査で生じた変更の完了予定日l. 最新の事故調査実施日と、調査で生じた変更の完了予定日m. 従業員参加計画の最新の見直し・変更日n. 火気使用許可の最新の見直し・変更日o. コントラクター安全手順の最新の見直し・変更日p. コントラクターの安全パフォーマンス評価の最新の実施日

68.180 RMP 緊急対応プログラムa. 事業者はRMPの中に、次に挙げる情報を含めなければならない

1. 書面の緊急事態への対応計画があるか2. 計画は事故の際の対応行動を詳しく定めているか3. 計画は公や地域機関に事故情報を伝えるための手順を含むか4. 計画は緊急時の健康管理に関する情報を含むか5. 緊急事態への対応計画の最新の見直し日6. 従業員による緊急事態への対応訓練の最新実施日

(以下略)68.185 RMPの認定 (略)68.190 RMPの更新:

a. 事業者は、RMPを以下bにて定められた通り見直し、提出しなければならない

b. 事業者は以下の必要事項を満たした上でRMPを更新しなければならない1. 前回の提出から少なくとも5年に1度はRMPを更新する2. (以下略)

68.195 修正の要求 (略)

出所:EPA ウェブサイト

事業者の保安体制に関するルール

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RMPの実施に関しては、行政機関は順守状況の監査ができる。但し、OSHA VPP認定を受けている事業者は監査対象から一定程度除外されるメリットがある

第h項その他の要求事項:検査、監査 (抜粋)

US-4 自主保安に関する規定A

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

第h項 その他の要求事項68.220 監査

a. 大気浄化法にて定める規制目的の検査とは別に、行政機関は、本法令第g

項に定めるRMPに関して、定期的に事業所の監査を行わなければならないb. 行政機関は、次の基準によって監査対象とする事業者を選定する

1. 事故の履歴2. 同じ業界で起きた他の事業者の事故3. 規制対象物質の保管量4. 外部の影響を受ける可能性のある公共物に対する事業所の位置5. 特定の規制対象物質の有無6. RMPで認識された災害7. 中立的で無作為な監査のための計画

c. 例外:OSHA VPPプログラムに準拠している事業所は、上記(b)の2と7の基準による監査対象からは除外される

d. HSC25534.5の権限により、行政機関は事業所や事故による漏えいが起こりうる場所へのへのアクセス、文書への閲覧権を持つ

e. 監査の結果により、行政機関は事業者に対してRMPへの必要な変更を文

書にて通知する可能性がある。暫定的な判断は、適応しうる範囲において、業界のスタンダード(AlChE/CCPS/ ASME/APIスタンダード等)を反映した変更の基礎に関する説明を含まなければならない。

f. 暫定的な判断への書面での返答(略)g. 行政機関による最終判断(略)h. ~j. 事業者による対応、記録(以下略)

37 出所:EPA ウェブサイト

事業者の保安体制に関するルール

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第f項 偶発的放出防止規制対象物質

CFR 68は、監査における見直し方法や可燃性物質の危険度の証明に民間のガイドライン・規格(CCPS、ASME、API、NFPA)を参照するよう義務づけている

38

化学事故防止策(40 CFR 68)における民間ガイドライン/規格に関する言及

出所: OSHA ウェブサイト

第h項 その他の要求事項:検査、監査(抜粋)

第h項 その他の要求事項68.220 監査

a. 大気浄化法にて定める規制目的の検査とは別に、行政機関は、本法令第g項に定めるRMPに関して、定期的に事業所の監査を行わなければならない

b. 行政機関は、次の基準によって監査対象とする事業者を選定する1. 事故の履歴2. 同じ業界で起きた他の事業者の事故3. 規制対象物質の保管量4. 外部の影響を受ける可能性のある公共物に対する事業所の位置5. 特定の規制対象物質の有無6. RMPで認識された災害7. 中立的で無作為な監査のための計画

c. 例外:OSHA VPPプログラムに準拠している事業所は、上記(b)の2と7

の基準による監査対象からは除外されるd. HSC25534.5の権限により、行政機関は事業所や事故による漏えいが

起こりうる場所へのへのアクセス、文書への閲覧権を持つe. 監査の結果により、行政機関は事業者に対してRMPへの必要な変更を

文書にて通知する可能性がある。暫定的な判断は、適応しうる範囲において、業界のスタンダード(AlChE/CCPS/ ASME/APIスタンダード等)を反映した変更の基礎に関する説明を含まなければならない。

f. 暫定的な判断への書面での返答(略)g. 行政機関による最終判断(略)h. ~j. 事業者による対応、記録(以下略)

米国(連邦)ルール:化学事故防止策

68.115 閾値の決定

b.2. 規制対象可燃物質の混合物濃度

ⅰ総則

規制対象となる可燃性物質が混合物を構成し、濃度が重量ベースで1%以

下の場合、固定発生源における規制物質の閾値を決定する際に規制対象

物質を含む混合物の量は考慮されない。本項のb.2. ⅱ、ⅲの場合を除い

て、規制対象となる可燃性物質の濃度が混合物の重量の1%以上である

場合、固定発生源において閾値の規制対象物質が存在するかを判定する

ため、所有者または運営者が混合物がNFPAの可燃性危険度4を持たな

いことを証明しない限り、すべての重量の混合物を規制対象の物質と取り

扱われる。可燃性危険度4の証明は、全米防火協会(NFPA)704(1996年

)「緊急対応における物質の危険度特定のための標準システム」に従わな

ければならない

事業者の保安体制に関するルール

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引火性、可燃性液体(29 CFR 1910.106)は、引火性可燃性液体の貯蔵・移動等を含めた取扱いについて各種規格を参照しつつ規定している

引火性、可燃性液体 (29 CFR 1910.106 Flammable liquids)

出所:OSHA ウェブサイト

規定内容

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

他法令・規

格との関係

米国(連邦)ルール: 引火性、可燃性液体

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

貯蔵・移動における引火性可燃液体の安全な取り扱い( 条文上の規定はない)

コンテナやタンクの製造要件等について各種団体の規格を引用ASME・UL・NFPA規格

US-5

【本文】第a条 用語の定義第b条 基本ルール(1)項 液化石油ガスに匂いをつけなければならない(2)項 コンテナ設備とシステムについて基本要件を守る必要がある(3)項、(4)項、(5)項

コンテナ製造時には各種要件を順守しなければならない(基本的な構造及びコンテナ表面に記載すべき事項等) 一定の場合を除き、ASME規格に従わなければならない

(6)項 コンテナを設置・保管すべき箇所を守らなければならない(7)項~(11)項

コンテナの細かいパーツ、即ちバルブ及びその付属品、パイプ、ホース、安全装置、気化器の仕様・規格・使用すべき材料等は規定を順守しなければならない

(12)項 コンテナに充填するガスの濃度の要件は規定を下回らなければならない(14)項、(15)項

コンテナ輸送時、荷積み/荷卸し時には定められた方法及び順守事項を守らなければならない

(17)項 電気機器等、発火の可能性がある器具は要件を順守して扱わなければならない

※ 第c条以降は特殊な貯蔵箇所・内容物の場合に関する例外規定

施設の設置基準や設備の技術基準/高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

規定無し

第三者機関に関する規定

罰則規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

参照

39

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液化石油ガスの貯蔵及び取扱い(29 CFR 1910.110)は該当物の貯蔵及び取扱いについて各種規格を参照しつつ規定している

液化石油ガスの貯蔵および取り扱い (29 CFR 1910.110 Storage and handling of liquefied petroleum gases )

規定内容

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

他法令・規

格との関係

米国(連邦)ルール:液化石油ガスの貯蔵および取り扱い

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

コンテナやタンクの製造要件等について各種団体の規格を引用

US-6

【本文】第a条 用語の定義第b条 タンクへの貯蔵

タンクへの貯蔵の際は、一定の素材を使用し、屋内/外にタンクを製造・設置する際の条件(設置位置、基本設計等)を満たし、タンク使用前のテストを実施した上で使用しなければならない ASME認可済みのもの低圧力タンクは製造要件を満たしていると見做され

る第c条 パイプ、バルブ

引火性・可燃性液体が使用されるパイプ・バルブを製造する際には一定の材料や仕様に基づかなければならない

第d条 コンテナ、移動式タンク引火性・可燃性液体を貯蔵するドラムや移動式タンクを使用する際には一定の仕様や製造要件を満たさなければならない

第h条 処理施設引火性・可燃性液体を製造過程にて使用するプラントにおいては以下の事項を満たさなければならない- 施設建屋建設に際し満たすべき条件(備えるべき設備等)- 機器設置に際し満たすべき条件- 使用過程における引火性・可燃性液体の取扱い方法- 防火のために満たすべき条件(消火器の設置義務等)

施設の設置基準や設備の技術基準/高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

規定無し

第三者機関に関する規定

罰則規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

参照

ASME・UL・NFPA規格

40

貯蔵・移動等における液化石油ガスの安全な取扱い(条文上の規定はない)

出所:OSHA ウェブサイト

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高危険度化学物質のプロセス安全管理は、プラント内の安全管理の確保のため、人材育成についても規定している

高危険度化学物質のプロセス安全管理 (29 CFR 1910. 119 Process safety management of highly hazardous chemicals)

規定内容

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

他法令・規

格との関係

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

有害物質や爆発物等の大量漏えいの防止若しくは最小化のための、安全管理の実施

US-3

【本文】第e条 プロセス危険分析

(4)項リスクアセスメントはチームを編成して実施しなければならない。メンバーには評価対象のプロセスに固有の経験及び知識を持った者、リスクアセスメント方式に精通した者を含めなければならない

第g条 訓練初めて経験する工程に就く前に、必ず訓練を受けさせなければならない。また、3年に一回は改めて研修を実施しなければならない

第h条 コントラクターメンテナンスや修理を行うコントラクターを対象に、雇用者は、事前に契約社員に業務に付随する危険性を説明しなければならないまた、コントラクターは、事前に工程に関する知識を身に付けなければならない。また、作業の危険性を認識して従事しなければならない

第j条 機器の健全性(メンテナンス規定)(3)項メンテナンスに関わる従業員に対し訓練をしなければならない第l条 変更管理

(3)項変更管理で影響を受けるプロセスに従事する従業員に対し訓練を実施しなければならない

【附属書C】 工程安全管理に関する指針及び勧告上記条文履行時に有用な行動指針(非強制)を定めている

規定無し

第三者機関に関する規定

罰則規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

人材育成・配置等に関するルール

詳細は次ページ参照

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

41

米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

出所:OSHA ウェブサイト

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(参考)OSHA PSMは14の要素から構成され、それぞれに対して事業者の対応内容を定めている

42

PSMの主要な14要素と事業者の対応内容(組織・人材関連を除く)(1/3)

#連邦OSHA PSMの該当条項

(29 CFR 1910.119: Process Safety

Management of highly hazardous chemicals)

対象となる事業者の対応

3(e) プロセス危険分析

(Process Safety Information)

• リスクアセスメントはチームを編成して実施する• メンバーには評価対象のプロセスに固有の経験及び知識を持った者、リスクアセスメント方式に精通した者を含める

5(g) 訓練

(Training)

• プロセス操作に関する教育・訓練を実施する• 初めてプロセスに従事する者の訓練の他に、3年毎に訓練を定期的に実施する• 訓練の実施と成果に関する記録を管理する

6(h) コントラクター管理

(Contractors)

• 事業者は以下の事項等を実施する

コントラクター選定時、コントラクターの安全プログラムと実績に関する情報を入手し、評価する

工事作業に関連する潜在的な危険の存在を通知する 緊急事態対応プランを説明する

• コントラクターは以下事項を実施する 工事施行の安全確保に関する被雇用者の教育を達成する 潜在的な危険に関する被雇用者への指示の徹底 教育の実施し、成果を記録・管理する

8(j) 機器の健全性

(Mechanical Integrity)• プロセス機器の健全性を保つための保全要員を訓練する

10(l) 変更管理

(Management of Change)• 操作及び保全関係者、工事に影響のあるコントラクターに対して事前に通知し、訓練する

出所:「プラントのプロセス安全―OSHA/PSM・ISO・IEC・APIによるマネジメント」

人材育成・配置等に関するルール米国(連邦)ルール:高危険度化学物質のプロセス安全管理

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危険有害性化学品の指定・報告すべき数量・報告(40 CFR 302)は漏えい時の化学物質の報告要件を定めると同時に、報告義務を怠った際の処罰規定も設けている

危険有害性化学品の指定・報告すべき数量・報告(40 CFR302 Designation, Reportable Quantities, and notification)

規定内容

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

他法令・規

格との関係

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

包括的環境対策・補償・責任法(CERCLA)で定められた放出時の化学物

質の報告すべき数量と通知要件を定める

103(b)にて具体的な罰則規定が定められている(罰金刑 及び/あるいは 3年以内の懲役刑)

US-8

米国(連邦)ルール: 危険有害性化学品の指定・報告すべき数量・報告 事故等の外部影響に関するルール

CERCLA

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

• 報告義務を怠った人間を処罰可能と

している【第7条】

罰則規定

規定無し

規定無し

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

参照

【本文】第1条 適用範囲第3条 定義第4条 指定化学物質

・本条項のテーブルで定められた化学物質はCERCLAで指定された物質である

第5条 報告すべき数量の決定・第4条記載のテーブル記載の数量が報告すべき最少数量となる

第6条 通知要件・船や施設に責任を持つ誰もが、最少数量を超えた化学物質の放出に気付いた場合、直ちにNational Response Centerに報告しなければならない(一定の例外を除く)

第7条 罰則・施設に責任を持つ人間が、第6条に定める通知を実施しなかった場合若しくは誤った報告をした場合はCERCLAに従って、刑事罰をも含む制裁を受ける

第8条 継続放出・一定の例外を除き、化学物質の安定・継続した放出に関しては報告義務が免除される

43

D

D

出所:EPA ウェブサイト

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緊急計画及び届出 (40 CFR 355)は政府の緊急時計画の策定等の際に施設が提供する情報及び実際に化学物質が放出された際の通知の要件を定める

緊急計画及び届出 (40 CFR 355 Emergency planning and notification)

規定内容

O&M対象

他法令・規

格との関係

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

政府が緊急時プランを策定・遂行する際に施設が提供すべき情報と実際

の化学物質放出時通知要件を定める

放出を報告すべき化学物質の範疇を定めるために引用

US-9

米国(連邦)ルール: 緊急計画及び届出 事故等の外部影響に関するルール

CERCLA

目的

構成及び主要関連規定

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

• 地域緊急時対応計画委員会(LEPC)

や州緊急対応委員会(SERC)を報告

すべき第三者機関として定義してい

る (第b・c条)

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

参照

44

C

C

C

C

第a条 一般規定

第b条 緊急時プラン

• 附属書掲載の物質が一定数以上施設内に存在する場合等は 緊急時プランを策定のために地域緊急時対応計画委員会(LEPC)や州緊急対応委員会(SERC)に必要事項を提出しなければならない

第c条 化学物質放出通知

• 化学物質を生産・使用・貯蓄している場合かつ附属書掲載の化学物質及びCERCLA(Comprehensive Environment Response, Compensation and

Liability Act)に定められた有害物質を一定数量以上放出した場合は、(1)緊急通知及び(2)フォローアップ通知の2種を提出しなければならない

緊急通知は必要事項を口頭で、LEPC及びSERCに必要事項を通知しなければならない

フォローアップ通知は書面でLEPC及びSERCに必要事項を通知しなければならない

第d条 追加条項

• CERCLAに定められた有害物質を放出した場合、CERCLAに定められた通知手続き(40 CFR 302)も順守しなければならない

出所:EPA ウェブサイト

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危険有害性化学品報告:地域社会の知る権利 (40 CFR 370)は有害物質を保有している場合の住民への報告要件を定める

目的

構成及び主要関連規定

US-10

O&M対象

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

他法令・規

格との関係

危険有害性化学品報告:地域社会の知る権利 (40 CFR 370 Hazardous chemical reporting: community right-to-know )

規定内容

有害物質を保有する施設の地域住民への報告要件を確立する

概要

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

• 地域緊急時対応計画委員会(LEPC)

や州緊急対応委員会(SERC)・消防

署を報告すべき第三者機関として定

義している (第c・d条)

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

有害物質を”any chemical which is classified as a physical hazard or a health hazard, a simple asphyxiant,

combustible dust, pyrophoric gas, or hazard not otherwise classified”と定義

MSDS(or SDS)の内容を定義

29CFR

1910.1200

事故等の外部影響に関するルール米国(連邦)ルール: 危険有害性化学品報告:地域社会の知る権利

高圧ガス保安法改正

に向けた調査事項

参照

45

C

US-7

出所:EPA ウェブサイト

C

C

C

第a条 一般規定

第b条 順守対象者

• OHSAのHazard Communication Standard(HCS)の要件に掛かる場合や自社施設内に一定以上の有害物質が存在する場合等は報告する義務がある

• 有害物質の定義は29CFR1910.1200(C)による

第c条 報告すべき事項

• 自社施設が報告要件に掛かる場合、マテリアル安全データシート(MSDS)若しくは安全データシート (SDS)及び在庫報告を地域緊急時対応計画委員会(LEPC)や州緊急対応委員会(SERC)・消防署に提出しなければならない

• 自社施設内に一定値以上の化学物質がある場合はMSDS(or SDS)を提出しなければならない

• 毎年、施設内の化学物質で、報告レベルを超えたものに関しては決められた在庫情報をLEPC・SERC・消防署に提出しなければならない

第d条 地域住民の情報アクセス等

• 誰もがMSDS(または、SDS)をLEPCへ請求することによって閲覧することができる

• MSDS(または、 SDS)は29CFR1910.1200(g)の定義に従う

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3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度

3.1. 米国ルール(regulation)の把握

3.1.1. 米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ

3.1.2. 連邦法

3.1.3. カリフォルニア州法

3.2. 米国における規格(standards)の把握

3.2.1. 民間団体が策定する規格

3.2.2. 民間団体の詳細

3.3. その他関連組織の把握

3.3.1. 保険会社

3.3.2. コンサルティング会社

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関連する産業保安ルールは、州労働安全衛生庁(Cal/OSHA)及び環境保護庁(Cal/EPA)所管の州法令及びそれに基づく規則群である

47

産業保安関連ルール:カリフォルニア州法(所管別)

Cal.

Stats(州法律集※1)

州労働安全衛生庁(Cal/OSHA) 州環境保護庁(Cal/EPA)

CA-1

CCR(州行政命令/行政規則集

※2)

CA-4

所管法令

所管事項

職場における労働安全衛生の確保 州レベルの産業保安政策の策定・運用 各種産業からの労働安全衛生に関する申請許可・ライセンス発行及び登録等を担当

人間と環境の保護 州レベルでの環境リスク管理 州レベルでの空気・水・土壌の質を維持・向上するための法律の施行

※1: California Statutes、州の制定法律、※2:California Code of Regulations(CCR)

CA-5

労働法(Labor Code) 第5目: 従業員の安全(Safety in Employment)

第1編:労働安全衛生(Occupation Safety and Health)

第1章:権限及び義務( 加州労働法(§6300-6332 ))

第7.5編. 化学プラント・精製所 第2章 PSM基準

( 加州労働法(§7855-§7873))

CA-6

CA-7

CA-2

CA-3

CA-8

CA-9

第8編:産業関係 第1目: 産業関連部門 第4章:産業安全部門 Subchapter 1:火気なし圧力容器安全令

( 火器なし圧力容器安全令(8 CCR S450-560) )

Subchapter 2:ボイラー及び圧力容器の安全令( ボイラー及び圧力容器の安全令(8 CCR S750-797))

Subchapter 7: 一般産業安全規則 Group 16: 危険物質コントロール

• Article 109. 危険物質及びプロセス−§5189:特別危険物質のプロセス安全管理( 特別危険物質のプロセス安全管理(8 CCR S5189))

−§5189.1: 製油所向けプロセス安全管理( <策定段階>製油所向けプロセス安全管理(8 CCR S5189.1))

Group 20:引火性液体、ガス、蒸気( 引火性液体、ガス、蒸気(8 CCR S5415-5629))

Subchapter 15: 石油安全令( 石油安全令(8 CCR S6750-6894 ))

CA-4-1

CA-4-2

第19編:公共安全 第2目:加州政府緊急サービス Chapter 4: 危険物質漏えい報告・目録、対応計画

( 危険物質漏えい報告・目録、対応計画(19 CCR S2620-2671))

Chapter 4.5: 加州事故による漏えい防止プログラム( 加州事故による漏えい防止プログラム(19 CCR S2735.1-

2785.1))

CA-10

安全衛生法(Health and Safety Code)

第20目:雑則(Miscellaneous Health and Safety Provision)

第6.95編:危険物質放出対応計画及び目録( 危険物質放出対応計画及び目録)

第1項:ビジネス及び地域計画(§25500-25519)第2項:危険物質の取扱い(§25531-25543.3)

第4項:加州有害物質漏えい目録法(§25546 - 25546.5)( 加州有害物質漏えい目録法)

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• O&Mを

考えた

現場設計

(設備調

達・配置

を含む)

加州労働法(Labor Code 6300-6332) California Occupational Safety and Health Act of 1973

カリフォルニア州では連邦法同様、Cal/OSHA、Cal/EPAの両者が中心となって施設設備のO&M

及び、施設内の危険物の取扱いについて規定している

産業保安関連ルール:加州法

O&M対象

• 環境監視• 事故等の対応計画の策定

48

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行

計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

• 生産工程における原料管理• 生産物管

労働法(Labor Code 7855-7873)Process Safety Management Standards ・製油所の点検予定申告、行政の受入義務

特別危険物質のプロセス安全管理 (8 CCR S5189) Process Safety Management of Acutely Hazardous Materials

• プロセス危険分析の内容を定義し、プラントのPSMのしくみ構築を規定

<策定段階>製油所向けプロセス安全管理 (8 CCR S5189.1) PSM for Petroleum Refineries

• 精油事業に特化したPSM

危険物質漏えい対応計画及び目録(第1・2項) (HSC 25500-25547.8) Hazardous Material Release Response Plans and Inventory ・緊急事態対策計画とリスク管理計画(RMP)

危険物質漏えい報告・目録、対応計画 (19 CCR S2620-2671)Hazardous Material Release Reporting, Inventory, and Response Plans ・緊急事態計画や漏えいの際の報告内容

加州事故による漏えい防止プログラム (19 CCR S2735.1- 2785.1)Cal. Accidental Release Prevention Program

• RMPの策定と実施を事業者に義務付ける具体的なプログラム(Cal ARP)

加州有害物質漏えい目録法 (第4項)(HSC25546 - 25546.5) California Toxic Release Inventory Program Act of 2007

• 使用有害物質の外部環境への漏えい量の報告

CA-2

CA-3

火気なし圧力容器安全令 (8 CCR S450-560) Unfired Pressure Vessel Safety Orders ・ 圧力容器に関する規則ボイラー及び圧力容器の安全令 (8 CCR S750-797) Boiler and Fired Pressure Vessel Safety Orders

• 圧力容器・検査員の定義

引火性液体、ガス、蒸気 (8 CCR S5415-5629) Flammable Liquids, Gases and Vapor

• 引火性可燃液体の貯蔵・取扱い

石油安全令 (8 CCR S6750-6894) Petroleum Safety Orders ・ 圧力容器の改造・修繕

加州事故漏えい防止プログラム (19 CCR S2735.1- 2785.1)California Accidental Release Prevention Program ・ 社員・コントラクターの育成

急性危険物質のプロセス安全管理 (8 CCR S5189) Process Safety Management of Acutely Hazardous Materials

• 社員・コントラクターの育成

CA-7

運転開始後運転開始前

CA-2

CA-6

CA-10

CA-5

政府法

8574.1

-8670.9

5 G

overn

men

t Co

de 8

574.1

-8670.9

5

有害物質漏えいに備えた組織や手続き作成

• 環境影響評価(建設時)

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

加州安全衛生法

Health

an

d S

afe

ty C

od

e•

施設建設・操業許可の取得・更新

CA-8

CA-9

CA-4

CA-4-2

CA-4-1

・・・本資料にてサマリ提示

CA-1

CA-4-2

出所:加州政府ウェブサイト

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加州労働法(6300-6332)は、労働環境の調査・検査方法や罰則の制定方法など、労働安全衛生実現のための産業関連部門(DIR)やCal/OSHAの役割や権限について規定している

加州労働法 (Labor Code 6300-6332 California Occupational Safety and Health Act of 1973)

O&M対象

事業者の保安体制に関するルール

• 調査・検査実施のため、Cal/OSHAの担当者は事業所内に自由に立入可能

• 労働災害が生じた場合に、Cal/OSHAが調査しなければならない

自主保安に関する規定

規定なし

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

・DIRの部門長は、(1)対象事業者の事

業規模、(2)違反の重大さ、(3)事業者

の信頼性、(4)過去の違反に関して罰則

の妥当性を考慮し規制を公布しなけれ

ばならない

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

効果的な基準の承認や、安全で健康的な労働環境維持の支援・促進、労働安全衛生

の分野における調査・情報・教育・訓練・施行を提供することによるカリフォルニアにお

けるすべての労働者の安全で健康的な労働環境の実現

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

加州ルール:労働法 (Labor Code 6300-6332)

LaborCode 7872 Cal/OSHAの運転停止総点検時検査の根拠法令となる

セクション6301-6301(定義)、セクション6307(OSHAの役割)セクション6308(OSHAの労働安全衛生基準や命令の公布手続き)セクション6309

(a)OSHAが労働条件や労働環境が安全ではないまたは労働者の福祉にとって有害であると知る、または、確信する理由がある場合、自主的に、または告発に基づいて即座に事前通知の有無にかかわらず、労働条件や労働環境を調査することができる(以下略)(b)-(e)略

セクション6310-6312(略)セクション6313

(a)OSHAは、1名以上の労働者が致死的、または重大なけがや病気を発症した労働災害について、調査不必要との決定がされない限り、原因を調査しなければならない(以下略) (b)略

セクション6314

(a)調査や検査実施のため、OSHAの局長及び局長から権限を委譲された調査官や検査官は、証明書を提示することにより、通常の労働時間内や安全衛生保護のために必要な場合は他の合理的な時間内に、合理的な期限及び方法で事業所内のいかなる場所にも自由に立ち入ることができる (以下略)(b)-(e)略

セクション6315-6318(略)、セクション6319(a)(b)略(c)DIRの部門長は、(1)対象事業者の事業規模、(2)違反の重大さ、(3)事業者の信頼

性、(4)過去の違反に関して罰則の妥当性を考慮し規制を公布しなければならない(d)(c)の規定にもかかわらず、重大かつ故意、または違反が繰り返される場合、また是

正の猶予期間内に実施しなかった場合、罰則は、事業規模以外の理由で減額されてはならない

8 CCR 5189 運転開始前のCal/OSHA立ち入り検査実施の根拠となる

調査事項

CA-2

CA-5

CA-1

A

A

D

A

D

出所:加州労働法(6300-6359)49

Manual C-17 Cal/OSHAのPQV検査の根拠法令となる

制定根拠

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特別危険物質のプロセス安全管理(8 CCR S5189)は、加州のプラントにおけるプロセス危険分析の実施と、安全管理方法を規定する行政令である

特別危険物質のプロセス安全管理 (8 CCR S5189 Process safety management of acutely hazardous chemicals)

O&M対象

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理 事業者の保安体制に関するルール

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

有害物質や爆発物等の大量漏えいを防ぐ若しくは最小化し、プロセス安全体制を確立

することで、製油所や化学プラントでの従業員への危険を大幅に減らすこと目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

連邦法のPSM規定であり、本法令の基本的な内容を定めている

加州におけるRMPのプロセス危険分析の内容を規定しており、これによって本法(e)のPHAの実施条項を満たす

VPP(Voluntary Protection Program)認定事業者は、OSHAによる立ち入り検査対象リストから除外される

HSC 25531

Cal VPP

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

• OSHAは運転開始前の確認時に立

ち入り検査を行う(i)

• 機器の点検は一般的に認められた

方法で行う(j)

自主保安に関する規定

• 事業者は5年に1度プロセス危険分析

を実施すること(e)

(または、HSC S25531に規定される

リスクマネジメントプログラム中の

PHAを実施することで、必要事項を網

羅できる)

リスクアセスメントに関する規定

29 CFR 1910.119

50

(b) 適用範囲とする工程、施設適応対象である工程、業種、温度基準などを細かく指定

(d) プロセス安全情報

連邦法に加え、リスクアセスメントの際に必要な情報がすべての従業員にとってアクセス可能であることが必要

(e) プロセス危険分析事業者は最低5年に1度はプロセス危険分析を行う。加州のリスク管理計画に沿って実施することで必要な分析を満たすことも可能

(g) 教育訓練(h) コントラクター(i) 運転開始前の確認

事業者は、運転前レビューを行い、各種安全基準が適切に設定されていることを証明しなくてはならない

(j) 機器の健全性機器の点検は一般的に認められた方法で行い、記録を残すこと

(m) 事故調査

事故や重大な出来事を調査し、報告書を施設の全員に報告、調査で推奨された再発防止処置を速やかに実施するよう規定

(n) 緊急時の対応計画緊急時の対応計画は、S25503,25505で策定する計画を使用できる

(o) 怪我・疾病防止プログラム(p) 従業員の参加

調査事項

US-3

CA-4

制定根拠

A

B詳細B

詳細A

詳細A

CA-2

出所:特別危険物質のプロセス安全管理

参照

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(i)運転開始前の安全確認

1. 事業者は、新たな施設や変更のあった施設に対して運転開始前に安全確認を行い、事業者は、プロセス安全情報への要変更箇所を確かめる

2. 運転開始前の安全確認では、危険物がプロセス内に持ち込まれる前に、次の事項の確認、証明を行わなければならない

A) 建設や設備は設計通りに配置されているか

B) 安全、運転、メンテナンス、緊急時の手順は十分に用意されてあり、運用できる状態にあるか

C) 新たな施設に関しては、プロセス安全分析を行い、推奨事項がすでに実行・解決されているか

D) 運転、メンテナンスをする従業員の教育が完了しているか

3. 運転開始前の安全確認は、エンジニアリングやプロセスオペレーションへの専門性のある従業員を巻き込んで行わなければならない。その従業員は経験と評価対象のプロセスシステムへの理解によって選ばれるべきである

51

(j)機器の健全性

1. 文書化された手順書

事業者は、プロセス用機器の現行の健全性を維持するための文書化された手順書を策定及び実施しなければならない (以下略)

2. 検査及び試験

A) プロセス用機器に対して、検査及び試験を実施しなければならない

B) 検査及び試験手順は、広く認められ、一般に受け入れられた工学慣行基準に従ったものでなければな らない

C) プロセス用機器の検査及び試験の頻度は、製造業者の提案及び工学実施基準と一致したものとし、過去の作業経験によって必要と判断される場合はより頻繁に行うものとする

D) 事業者は、プロセス用機器に対して実施された 各検査及び試験を証明す

る記録をしなければならない。記録には、検査又は試験の日付、検査又は試験を実施した者の名前、検査又は試験を実施した機器の製造番号又はその他の識別情報、実施された検査又は試験の内容、及び検査又は試験の結果を残すこと

3. 機器の故障(略)

4. 品質保証

A) 新規プラント及び機器の製造において、事業者は、製造された機器が、その機器を使用するプロセスの用途に適したものであることを保証しなければならない

B) 適切な点検及び検査を実施することによって、 機器が正しく設置され、設計仕様及び製造業者の指示 と一致したものであることを保証しなければならない

C) 事業者は、メンテナンス材料、予備部品及び機器が、設計要求に見合っており、適応される基準に適合していることを保証しなければならない

事業者は運転開始前のプロセス安全の確認、及び一般的に認められた工学慣行に従った機器の健全性検査を実施しなければならない

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理

CA-2 自主保安に関する規定A

出所:特別危険物質のプロセス安全管理

事業者の保安体制に関するルール

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(e)プロセス危険分析

3.

1. 事業者は、プロセス危険分析を行い、プロセス内で発生可能な災害を認識、評価、コントロールする手段を講じなければならない具体的には、次のような方法を最低一つ採用する:もしもの場合の想定、チェックリスト、HAZOP、FMEA(Failure Mode and

Effects Analysis)、フォルトツリー解析

2. 危険分析は次の情報を含まなければならない

A) プロセスの中で起り得る災害

B) 災害防止に有効と思われる技術的対策や運営上のコントロール

C) 上記対策が失敗した場合の結果

D) 施設の場所状況

E) 人的要因

F) 従業員に及ぼす安全衛生上の影響の定性的評価

G) 以前起こった事故で、職場での大災害に繋がる可能性があったもの

※上記1、2について、HSC 25531に定めるリスク管理計画を策定している場合は、上記要求を満足することができる

A) 危険分析はエンジニアリングやプロセスオペレーションへの専門性のあるメンバー、該当プロセスにおいて知識のある従業員を含むチームで実施しなければならない

B) 事業者は、プロセスの中で影響をうける従業員との話し合いのもとでプロセス危険分析を実施しなければならない

4. 事業者は、チームによる分析結果や推奨事項に対処できるしくみを整え、推奨事項を実施するためのスケジュールを文書にて立案し、対応した記録を文書にて残すこと

5. 事業者は最低5年に一度はプロセス危険の分析を更新し、現行のプロセスとの間に齟齬がないかを再確認しなければならない

6. 従業員への通知(略)

7. 従業員や組合の知る権利(略)

CA-2 リスクアセスメントに関する規定B

プロセス危険分析(PHA)では、 運転開始前及びその後5年に1回、起こりうる危険を分析し、防止策を講じなければならない

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理

出所:特別危険物質のプロセス安全管理

事業者の保安体制に関するルール

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PSMの教育・訓練ではプロセス安全に関する初期教育と3年に1度の再教育の実施が規定されており、コントラクターに対しても同じ基準での安全教育の実施が求められる

特別危険物質のプロセス安全管理 (8 CCR S5189 Process safety management of acutely hazardous chemicals)

O&M対象

調査事項

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

有害物質や爆発物等の大量漏えいを防ぐ若しくは最小化し、プロセス安全体制を確立

することで、製油所や化学プラントでの従業員への危険を大幅に減らすこと目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

• 事業者は従業員へ初期教育と最低3

年に1度は再教育を行う(g)

• コントラクターの安全教育も、同じ水

準で実施されていなければならない

(h)

自主保安に関する規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

53

連邦法のPSM規定であり、本法令の基本的な内容を定めている29 CFR 1910.119

US-3

制定根拠

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理

CA-2

A

出所:特別危険物質のプロセス安全管理

人材育成・配置等に関するルール

A

A

(b) 適用範囲とする工程、施設(d) プロセス安全情報(e) プロセス危険分析プロセス危険分析(PHA)実行を義務付けて、必要な情報を規定。加州のリスク管理計画に沿って実施することで必要な分析を満足することも可能

(g) 教育訓練新入教育と定期教育を終えた者に関しては修了証明書を与え、3年毎の教育と証明書の更新を行わなければならない

(h) コントラクターコントラクターの教育プログラムは、(g)で求められる条項に準じていなければならない

(i) 運転開始前の確認事業者は、運転前レビューを行い、OSHAに各種安全基準が適切に設定されていることを証明しなくてはならない

(j) 機器の健全性

マニュアルを策定の上、教育を受けて免許を持った者が点検を実施し、不安全な状況を書き留めて記録する必要

(m) 事故調査(n) 緊急時の対応計画(o) 怪我・疾病防止プログラム(p) 従業員の参加

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(h)コントラクター(g)教育・訓練

1. 初期教育訓練プロセスの運用に現在従事している各従業員、及び新たに割り当てられたプロセスの運用に従事する前の各従業員は、プロセスの概要及び、本項の段落(f) に定められる作業手順に関する教育訓練を受けなければならない。教育訓練には、安全及び健康に関する具体的な危険有害性、手順、及び従業員の業務に適用される安全作業慣行を重視した内容を含めなければならない

2. 再教育訓練プロセスの運用に従事している各従業員に対し、少なくとも 3 年に1 度、また必要に応じてより頻繁に再教育訓練を実施し、従業員がプロセスの最新の作業手順について理解し、従っているよう保証しなければならない。事業者は、プロセスの運用に従事している従業員と協議して、再教育訓練の適切な頻度を決定しなければならない

3. 教育訓練の文書化事業者は、プロセスの運用に従事している各従業員が、本段落によって義務付けられる教育訓練を受けており、理解していることを確認しなければならない。事業者は、初期または再教育訓練ののち、従業員の識別情報、教育訓練の日付、教育を実施した者の署名を含む修了証明書を作成しなければならない

4. 事業者は試験手順を策定し、それぞれの従業員の仕事レベルに応じた能力と、安全衛生の慣行を知っていることを確実にしなければならない

1. 事業者は、コントラクターに対し、コントラクターの作業及びプロセスに関連した、既知の潜在的な火災、爆発、又は有害物質漏えいの危険有害性について通知し、コントラクターが従業員に対して、業務を安全に遂行できるレベルに適当な教育を行っていることを要求しなければならない。また、事業者は、コントラクターに対して施設に適用される安全規則を通知し、従業員へも情報伝達が行われていることを確実にしなければならない

2. 事業者は、コントラクターに対し、緊急時の対応計画について説明しなければならない

3. コントラクターは、各従業員が安全に仕事を遂行できるよう安全教育を受けていることや、コントラクターが施設の安全慣行・規則に従うことを確実にしなければならない

4. コントラクターの教育プログラムは、(g)で求められる条項に準じていなければならない

5. 事業者は、コントラクターを選定する際、コントラクターの安全プログラムに関する情報を入手し、評価しなければならない

6. 事業者は、本項の段落(h)(3)に定められる義務の遂行におけるコントラクターの実績について、定期的に評価を行わなければならない

7. 事業者は、プロセス領域におけるコントラクターの作業に関連した、請負従業員の怪我や疾病の記録を維持しなければならない

CA-2 自主保安に関する規定A

教育・訓練では従業員に対する初期の安全教育と3年に1度の再教育の実施が規定されており、コントラクターに対しても同じ基準での安全教育の実施が求められる

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理

出所:特別危険物質のプロセス安全管理

人材育成・配置等に関するルール

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(参考)OSHAによるPSMの順守検査であるプログラム適合(PQV)検査は、 1回あたり、延べ約1,500時間(製油所)、約200時間(製油所以外)かけて実施される

加州におけるPSM順守検査予定回数・所要時間(2015年)

出所:Division of Occupational Safety and Health Policy and Procedures Manual C-17 ”Process Safety Management”、California Department of Industrial Relations “Status Report Process Safety Management Regulatory Oversight

PSMの順守検査の種類

プログラム

適合

(PQV)検査

PSMの順守状況を評価する主な執行方法(primary enforcement method )

毎年、OSHAが対象施設を選定し実施する

‒ OSHAによるPSMに関する訓練を受けた産業衛生士と安全エンジニアの2名で実施される

計画外

検査

苦情・

照会検査

事故調査

地域事務局が、PSMに関する危険についての苦情や照会を受けた際に実施される検査

地方事務局が事故に関する報告を受け、順守担当者がPSMに関するものであると判断した場合に実施される調査

運転停止

総点検時

検査(製油所のみ、

2015年度

から開始)

製油所における定期運転停止総点検時に実施される検査

‒ 事業者は、毎年9月15日に当年における総点検のスケジュールを提出しなければならない

‒ 事業者は点検60日前からCal/OSHA担当者の施設への立入を許可しなければならない

加州のPSMの順守検査は4種類存在し、そのうち、PSM対象全事業者を対象とする包括的な検査がPQV検査

計画

検査

PQV検査1回あたりの所要時間は製油所で延べ約1,500時間、製油所以外で延べ約200時間にのぼる

【製油所】

検査の種類予定

検査回数(A)

予定検査所要時間

(B)

検査1回あたりの平均所要時間

(B/A)

PQV検査 4 6,555 1,639

運転停止総点検時検査 4 4,370 1,093

計画外検査(苦情・照会、事故検査)

25 6,194 248

【製油所以外】

検査の種類予定

検査回数(A)

予定検査所要時間

(B)

検査1回あたりの平均所要時間

(B/A)

PQV検査 40 8166 204

計画外検査(苦情・照会、事故検査)

25 3,064 123

55

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理 人材育成・配置等に関するルール

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(参考)PQV検査は、事業者により提出されたリスク管理計画書(RMP)に基づき作成された対象施設リストから選定され、開会式、情報アクセス要求、現場検査の順で実施される

PQV検査(PSMの順守検査)の対象施設の選定方法

対象施設の

選定方法*1

1. 事業者から提出されたRMPに基づき対象施設リストを作成(RMP以外にも公開情報が利用される場合がある)

2. 毎年7月31日までに、PSMの各地域マネージャーがRegion 6 (有害物質unit及び労働執行タスクフォース)に各地域のPQV検査の候補リストを送付。リスト作成の際に、地域マネージャーは、以下の点について考慮

a. 施設の従業員b. 施設の築年数c. 施設のプロセスで利用される化学物質の毒性d. 電子及び印刷メディアにより報告された施設の漏え

い、放出及び有害事故の頻度及び重大性e. 検査済/未検査の苦情、調査を受けた事故、計画・

フォローアップ検査を含む施設の過去の順守状況履歴

f. 連邦、またはCal/EPA、地方当局、地域大気・水品質地区、消防部門からの情報

3. リストは、Region6と地域のPSMマネージャーによって再検討され、検査スケジュールの優先順位づけされ、当年度のPQV対象リストが作成される

1. 過去3年以内にPQV検査を受けている

2. 施設がプロセス安全に関する適切な管理システムを必要

とする部門との和解合意に含まれている

3. Cal VPPに参加している

4. 施設は本部であり、プロセス安全に関する危険がない

5. 閾値や規定上の例外とされておりPSMの対象でない

6. 前年の計画・事故・苦情・参照検査の対象となっている

除外条件

出所:Division of Occupational Safety and Health Policy and Procedures Manual C-17 ”Process Safety Management”、California Department of Industrial Relations “Status Report Process Safety Management Regulatory Oversight

PQV検査の流れ

開会式

施設の安全マネージャーの出席(必要に応じてコントラクターの代表者の出席も求められる)

事業者によるプロセス概要の説明‒ ブロック図を含む施設の化学プロセスの詳細に関する説明

事業者によるPSMの説明‒ PSMの各要素の実施担当者及びPSMの基準順守を証明するための記録についての説明

情報への

アクセス

要求

検査官へのプロセス関連情報の提供要求‒ PSMに関する情報(労災・傷病記録、リスクアセスメント結果、緊急時対応計画等)、及びコントラクターに関する情報(コントラクターの安全プログラム、能力評価)に対する検査官へのアクセスが要求される

現場検査

初期簡易検査(Initial walk-around)‒ 施設の運営の概要や危険可能性の把握、PSM

プログラムの欠陥に関するインプットを集めるための簡易検査を実施

大規模検査(Extensive walk-around)‒ 初期簡易検査や過去の事故、施設・プロセスの特徴等の要因に照らし、PSMの順守評価を実施するプロセスを1か所以上選択する

56

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理 人材育成・配置等に関するルール

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(参考)加州は米国におけるVPP設立のきっかけになった州で、現在も独自のプログラムを展開・運用するなどして普及を奨励している

57

VPPプログラムの加州での発祥~設立経緯 Cal VPPの概要

名称

事業者の

メリット

• California Voluntary Protection Program (Cal VPP)

申し込み

資格

• Cal/OSHA

連邦VPP

との違い

所管省庁

• Phillips66サンフランシスコ製油所、Valeroウィリントン

製油所、ThyssenKrupp Valeroベニシア製油所

実施

プラント例

• 実施プログラム(認定ランク)の運用

• Cal/OSHA職員以外をVPP審査員として認

定するプログラムの運用• 他の先行VPP施設との指導関係構築の要求

1970年代

自主保安を

提案

1979年~

実験プロジェ

クト開始

1982年

連邦OSHAに

よりVPP設立

2016年

認定機関

の拡大

連邦OSHAは加州が1年間限定でプログラムを実施することを承諾• San Onofreの建築現場で、建設大手のベクテル社が日・週・月次での安全確認を行うなど優れた取組みを発揮

1985年まで認証施設数は41と少なく、その後も施設数

の成長は遅かったが、1993年のクリントン政権で、OSHAによる施設数増加への取組みが開始

実際に1992~94年の間は認定施設数が104から208に増加し、その後も年間100施設の増加が目標に

2016年現在連邦では2195の施設がVPP認定を受けており、加州では68施設がStar認定

加州では2008年に全国VPP参加者協会の全国大会が開かれたほか、直近2016年9月にもCal/OSHAによる事業者向けワークショップを開催

1990年代

VPPの広がり

加州建築業界協議会と建築業界連合が、San Onofre

原発建築にあたって、自主保安を提案 Cal OSHAは提案を受け入れ、連邦OSHAへ交渉

• 業種に関わらず申請可能

• 休業災害日数(Days Away From Work)と事故発生率

(Total Case Incident Rates)が最新の業界水準の

90%以下であること

• VPP審査対象である6つの要素を満たしていること

• Cal/OSHAによる立ち入り検査によって6つの項目

の有効性を証明できること

次頁掲載

ドナルド・レーガン政権のもと建設業界出身のソーン・アウター氏がOHSAの次官補に就任すると、実験プログラムに注目し、本格的なプログラム立ち上げを命令

連邦OSHAが牽引してVPP制度を設立• 加州は独自のプログラムを採用・展開

次頁掲載

出所:Cal VPPウェブサイト、公開資料等

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理

• 労災の減少によるコストや保険料減

• Cal/OSHAによるPQV検査の免除• 政府機関との良好な関係構築

• 好例を示すことによる業界のリーダー的地位の確立

人材育成・配置等に関するルール

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(参考) Cal VPPでは6つの主な要素への適合性の審査が行われる。連邦VPPとは、実際のプログラムや審査員を補充する制度、先行するVPP事業所からの指導制度の確立などで異なる

58

認証に必要な6つの要素における適合条件

従業員の

参加

最低1年の安全衛生の経験がある従業員が、安全衛生

委員会に関わっており、現場検査を行っている

最低月に1度は現場検査を行っている

災害の

予防とコン

トロール

資格のある者による定期的な安全分析が行われている

職場の評価、分析に国家的に認められたガイドラインを提

供している団体を利用している

緊急事態への計画が十分である

安全衛生の手順や災害への対応が策定され、実施され

ている

職場の

分析

継続的

改善

監督者が安全衛生の重要性を認識し、労働者が教育・実

施について果たす役割を認識し、実行している

導入時や定期的な安全衛生教育が行われており、従業

員全員が安全の手順や緊急時の対応を把握している

職場の安全衛生のしくみを毎年評価しており、効果の改

善のために変化を起こしている

改善のための推奨事項やフォローアップアクションを含む

報告書が作成されている

安全衛生

教育

連邦VPPと異なるポイント

VPP認定を受ける施設の規模に応じて1~3名程度、

外部審査員の認定プロセスへの参加を義務づける

連邦VPPでは任意でVPP認定事業所の従業員を

現場審査員として参加させている

既存のVPP認定企業の従業員のうち、2年以上の

実務経験等の要件をクリアした者が資格取得可能

認定を受けたメンバーは、VPPへ申請した施設へ

の事前訪問や、OSHAの現場審査での評価を行う

Cal/OSHA

職員以外の

外部審査員

の参加

連邦VPPではStar, Merit, Demonstrationの3ランク

でのプログラム認定が行われているが、加州では

StarとReachの2段階のみ運用 Starレベルに届いていない施設であっても、レベルア

ップが可能と判断されれば、Reachレベルとして認定

を受けることが可能

Reach認定によりStar認定へ向けたCal/OSHA

の支援を受けることができる

実施

プログラム

(認証ランク)

の違い

加州では既存のVPP企業をメンターとし、学習するこ

とをVPP申請の必須条件としている

連邦VPPでは、既存VPP企業をメンターとして学

習することを申請前の推奨事項としているのみ

メンター関係を構築できる企業が見当たらない場

合、Cal/OSHAがメンターの選定を手助けする

既存VPP

施設からの学

習を義務化

要素 適合条件 ポイント 具体的な違い

トップマネジメントが現場の安全衛生に関わっている

業界の先行指標や数値での安全指標が用いられている

従業員の安全衛生活動を評価する仕組みが運用されて

いる

マネジメン

トの関与

出所:Cal VPPウェブサイト、公開資料等

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理 人材育成・配置等に関するルール

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(参考)産業として危険性の高い大規模製油所・化学工業におけるCal VPP認定施設は少ない

加州内の製油所Cal VPP Star Status施設(65か所)の分類

※1:NAICS3桁コードに基づいて分類、※2:車両機器製造、電気製品製造、電気部品製造を含む出所:Cal/OSHA ウェブサイト、California Energy Commissionウェブサイト

2333

6

88

101111

0

2

4

6

8

10

12

コントラクター

廃棄物処理

金属製造・製紙

石油・石炭製品製造

化学工業

電力機械類製造※2

サービス

食品・飲料製造

流通・輸送

(件)

従業員数別認定件数

(件)

57

1919

15

0

5

10

15

20

1~20 21~100 501~1,000101~500 1,001~

本質的に危険性の高い石油・化学工業の認定は

難しい(元Cal/OSHA担当者)

業種別認定件数※1

大規模企業の認定数は少ない

製油所名 管轄CUPA (参考)管轄OSHA

Chevron Richmond

Contra Costa County

Hazardous Materials Programs

Northern

California

PSM Unit

Phillips 66 Rodeo

Tesoro Rodeo

Shell Martinez

Valero Benicia

Chevron El Segundo City of El Segundo Fire

Southern

California

PSM Unit

Phillips 66 Wilmington

City of Los Angeles FireTesoro Wilmington

Valero-Ultramar Wilmington

Valero Wilmington Asphalt

ExxonMobil Torrance LA County Fire/ Torrance Fire

Paramount Oil Paramount Los Angeles County

Fire, Health Hazardous

Materials Division

Tesoro Carson

Lunday-Thagard South Gate

ALON Bakersfield

Kern County

Environmental HealthKern Oil Bakersfield

San Joaquin Oil Bakersfield

Phillips 66 Santa Maria San Luis Obispo County

Environmental HealthGreka Energy Santa Maria

加州内の19製油所のうち、VPP認定を受けているのは、Valero社の2施設とPhillips66社1施設の合計3施設のみ

(人)

59

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理 人材育成・配置等に関するルール

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(参考)2012年のChevronの大規模事故を受け、加州政府は、製油所タスクフォースを発足。製油所の総点検時の立入検査、製油所向けプロセス安全管理(PSM)の策定を実施している

Chevron事故以降の加州の法改正動向

時系列 主な動き 法改正の動向

Chevron

事故発生

州知事による対策検討

報告書公表

立入検査の義務化

製油所特化のPSM検討

自主保安に加え当局の関与が一定強化される方向で制度改正が進んでいる

2012年8月Chevronのリッチモンド製油所で火災発生• 巨大な黒煙が立ち上がり、1万5千人以上が呼吸困難を訴えて治療を受けた

• 火災の原因は36年間使用して老朽化した配管の腐食によるもので、Chevronは事前に把握していたが対策を怠っていた

2014年2月、ワーキンググループの活動結果として、製油所の安全強化のためのGovernor's reportを発行

2014年9月、州知事がSenate Bill(上院法案)1300を承認しLabor Code7872、7873が成立

同年にテキサスのShell出資会社で運転トラブルが発生した

ことや米各地で多数の事故が発生したことを受け、製油所の安全強化の機運が高まる

複数の州政府所管やステークホルダーが集まって、従来の法的仕組みの問題点を検証

Task Forceの継続的な活動、事故予防、緊急時の対応強化、地域との連携強化などを推奨事項として報告

州知事の主導により、州政府所管、地元行政、ローカルコミュニティ、環境団体らによるワーキンググループを設置

ワーキンググループによる製油所の安全強化の報告書の中で主要な州政府所管によるInteragency Refinery Task

Forceの形成が提言

製油所に特化したSection 5189.1は、更なるリスク分析の実施や事業所運営上での安全対策を強化する、合計7

項目ほどを一般PSMに追加して規定する予定

上記Task Forceが中心となり、製油所や危険プラントに特化したPSMを検討

2016年7月、製油所特化のPSM 5189.1の最終ドラフトが発表され、9月中旬までコメント受付期間となっている

出所:Cal/OSHAウェブサイト、製油所の安全強化のためのGovernor’s report等60

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理

Labor Code 7872は、製油所のオーナーに毎年9月、1年間の総点検実施の計画を申告し、実施期間中は行政の立入検査を受け入れるよう義務付け

人材育成・配置等に関するルール

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(参考)Chevron事故後、加州政府は、PSMに関わる検査数を増加させ、検査に必要なCal/OSHA内の法規制順守担当職員数も倍増させた

※1:コントラクター検査は、上院法案54に基づくコントラクターの労働者に関する検査出所:California Department of Industrial Relations “Status Report Process Safety Management Regulatory Oversight

製油所のPSMに関わる行政費用(検査、職員の訓練費用)は、州内事業者が年間生産量比に応じて負担

製油所の検査数

(件)

21

25

14

30

4

4

0

10

20

30

40

50

60

70

2015年(予定)

63

2

2014年(実績)

0

37

運転停止総点検時立入検査(製油所のみ)

コントラクター労働環境検査※1

PQV検査

苦情・照会時検査

25

40

12

25

5

0

10

20

30

40

50

60

70

2015年(予定)

39

70

2014年(実績)

2

(件)

Cal/OSHA PSM Unitの職員数の変化

検査数の増加に伴い、PSM Unitを独立させ、職員数を倍増(10人→26人)させた

10

7

0

2 22

19

12

0

5

10

15

20

法規制順守担当官

マネジメントサービス担当官

管理部門担当者

シニア安全エンジニア

地域マネージャー

2015年

2012年

(人)

検査担当者数を大幅に増加

製油所以外の検査数

61

加州ルール:特別危険物質のプロセス安全管理 人材育成・配置等に関するルール

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加州労働法(7872)は、製油所事業者に対し、運転停止総点検計画提出と、運転停止総点検期間中の当局の立入検査受け入れを義務づける政令である

加州労働法 (Labor Code §7855-7873)

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

加州ルール: 労働法 (Labor Code 7872) 事業者の保安体制に関するルール

概要

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

危険物質を扱う製油所の安全管理スタンダードを確立すること

製油所への検査権限を高めるために、本規定を求める加州上院法案1300が成立したことで、本法令が制定されたSenate Bill

1300

• 事業者は、毎年運転停止総点検の

計画を提出する(b)

• 運転停止総点検期間中に、行政は

立ち入り検査を行う(c)

自主保安に関する規定

規定なし

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定なし

罰則規定

他法令・規

格との関係

規定内容

62

調査事項

CA-5

A

制定根拠

出所:労働法 (Labor Code 7872)

A

A

§7872

a. 運転停止総点検とは計画された運転を停止し、製油所のメンテナンス、オーバーホール、修繕を行うとともに、設備の検査やテスト、交換を行うこと

b. 毎年9月15日に、すべての製油所の事業者は、次年度予定している、すべてのユニットに関する運転停止総点検の計画を提出せねばならない

c. 事業者は、行政からの要請を受けて行政の立ち入りを受け入れるとともに、各種記録文書を提示しなければならない

d. 行政は必要に応じて追加の情報を要請することができる

e. 運転停止総点検の30日前までの行政の要請を受けて、第c条で定めた内容

に変更がある場合には、行政の立ち入りを受け入れ、証拠文書とともに変更箇所のレビューを受けなければならない

f. 製油所の事業者は行政に上記c~eに定義された文書の電子もしくは紙面でのコピーを提供しなければならない

g. 製油所の事業者との話し合いのもと、行政はレポーティング期間を調整することができる

h. この法律は製油所の設備を制限するためのものではない

i. この法律は州が製油所へ立ち入り検査を実施するための権限を高めるためのものである

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製油所向けPSMは、特に高リスクなプラントの安全管理体制を強化するために、規定内容を追加した行政令で、2016年7月に最終ドラフトが発表され、近く発効する見込み

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

概要

事業者の保安体制に関するルール

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

8 CCR5189

製油所における有害物質や爆発物等の大量漏えいを防ぐ若しくは最小化

し、プロセス安全体制を確立すること

調査事項

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

• 事故や不安全な出来事については根

本原因の調査を行い、再発防止策を

講じなければならない(o)

自主保安に関する規定

• 事業者は、破壊メカニズムレビューを5

年に1回は実施する(k)

• 事業者は、段階的な危険コントロール

分析を5年に1度は実施する(l)

• プロセス安全文化分析を5年に1回は

実施する(r)

リスクアセスメントに関する規定

本法令は、加州の全業界向けのプロセス安全規定である5189と並列する形で策定される

他法令・規

格との関係

規定内容

63

CA-3 <策定段階>製油所向けプロセス安全管理 (8 CCR S5189.1 Process safety management Petroleum Refineries)

加州ルール:<策定段階>製油所向けプロセス安全管理

CA-2

A

B

B

B

B

A

※「8 CCR 5189」と同旨であるが、以下の項目について製油所・化学プラント向け追加的に求められる要件として規定:

(k) 破壊メカニズムレビュー

各プロセスにおいて、専門家と従業員を巻き込んで、破壊(ダメージ)メカニズムの分析を発効日から5年以内に実施し、以後5年に1回は実施しなければならない

(l) 段階的危険コントロール分析(HCA)

危険コントロールの手段をレベル分けし、可能な限り高いレベルの手段が取られているかのHCAを発効日から5年以内に実施し、以後5年に1回は実施しなければならない

(o) 事故調査における根本原因の分析

事故や不安全な出来事の調査においては根本原因を調査し、再発防止策を盛り込んだ報告書を作成し、防止策を実施しなければならない

(r) プロセス安全文化アセスメント(PSCA)組織のコアバリューに安全意識が根付いていることを確実にするために、PSCAを発効日から1年半以内に実施し、以後5年に1回は実施しなければならない。また、アセスメント結果に対して有効な是正策をとること

(s) 人的要因スタッフの経験値などが安全管理に影響するプロセスを見極め、PHAの対象として盛り込まなければならない

(t) 組織変更のマネジメント

組織変更や人員移動が事故リスクに及ぼす影響について分析し、組織改編の際には、事故リスクが高まらないことを確実にし、プラントマネージャーの承認を得なければならない

出所:製油所向けプロセス安全管理

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危険物質漏えい対応計画及び目録 (HSC25500-25547.8)は、事業や地域における緊急事態の対応計画策定や、危険物漏えいの際の報告の義務を課す政令である

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

危険物質漏えい対応計画及び目録 (HSC 25500-25547.8 Hazardous Materials Release Response Plans and Inventories)

規定内容

公共の安全衛生と環境を守るために、危険物の取扱いや漏えいに関する事業や地域の

計画の策定方法・内容を定める

概要

自主保安に関する規定

規定なし

リスクアセスメントに関する規定

• 事業者は緊急対応の事業計画を策

定し、電子情報システムを通して毎

年提出する(§25508)

• CUPAは最低3年に1度は立ち入り検

査を行う(§25511 )

規定なし

第三者機関に関する規定

• 違反の種類によって、法に反した日

数あたり$2,000~50,000の罰金が科

される(§25515.1~4)

• 法令違反を通報した者にも報酬が支

払われる(§25516)

罰則規定

連邦のEPA規則355:緊急計画と地域社会の知る権利法を受けて、本法令が制定されている

連邦のEPA規則370:有害物質の報告と地域の知る権利を受けて、本法令が制定されている40 CFR 370

64

Article 1 事業と地域の計画

§25501(用語の定義):危険物、漏えい、その他法令に使われる用語の州における定義を記載。“当局”とはOES(Office of Emergency Service)を指す

§25502:この法令の履行を担当するのは、CUPA(California Unified Program Agency)である(地域にCUPAがない場合は他の定義を参照)

§25503:CUPAは地域の緊急事態対応機関と相談の上、地域の緊急事態対応計画を定めなければならない

§25505:事業計画には事業所の危険地点や避難所を記したマップ、緊急時対応計画、緊急連絡先、対応手順、避難計画、必要な訓練などを記載すること

§25507:事業者は、緊急事態や漏えいへの事業計画を策定・実施しなければならない

§25508:事業者は、緊急事態対応の事業計画を電子情報システムを利用して毎年提出しなければならない

§25509:CUPAは取扱者から提出された情報を公共にとって利用可能にしなければならない(危険物保管場所や事業所内地図などの極秘情報を除く)

§25510:取扱者は、漏えいを発見次第直ちにCUPAや関連機関に報告せねばならない

§25511:RMPの要求事項とは別に、CUPAは最低3年に1度は事業者が計画を実施しているかについて立ち入り検査を行う

§25515.1~4:本法令に違反する取扱者には、違反の種類によって、法に反した日数あたり$2,000~5,000の罰金が科される

§25516:本法令への違反発見に貢献する者には、最高$5,000まで報酬が支払われる

Article 2:危険物の管理 (略)(後述)Article 3:緊急事態計画と地域の“知る権利”法施行令 (略)Article 4: 加州鉄道における漏えい防止と対策 (略)

調査事項

US-9

制定根拠

40 CFR 355

US-8

CA-4

加州ルール:危険物質漏えい対応計画及び目録

A

D

D

D

A

A

出所:危険物質漏えい対応計画及び目録

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危険物質漏えい報告・目録、対応計画は、危険物質漏えい対応計画及び目録の第一項を受けて、具体的な緊急事態への計画や漏えいの際の報告内容を定義する行政令である

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

危険物質漏えい報告・目録、対応計画 (19 CCR 2620-2671 Hazardous Material Release Reporting, Inventory, and Response Plans)

規定内容

行政機関(CUPAもしくはその他該当機関)が策定する地域の緊急事態計画や、事業者が

策定する緊急事態への事業計画の内容詳細を定める

概要

連邦規則40 CFRの355:緊急事態の計画・報告、377:有害物質の報告と地域の知る権利などの規定を含む

HSC 25500~は、本政令の上位にあたり、緊急事態計画の策定や報告の義務を課す政令であるHSC25500-25819

内部要素

Article 1. 用語の定義 (略)

Article 2. 報告要項取扱者は漏えいを発見次第直ちにCUPAや関連行政機関に報告し、必要と

判断された場合は事故後のフォローアップ内容を書面で報告しなければならない

Article 3. 地域計画の最低要求基準

該当行政機関は、地域の緊急事態計画、救出手順、緊急事態に備えた他機関との連携計画、通知、必要人員の訓練、事故後の分析・フォローアップなどについて計画し、実施しなければならない

Article 4. 事業計画の最低要求基準

• 一定量を超える危険物を取り扱う事業者は、緊急事態に備えるための事業計画を策定し、実施しなければならない

• 事業者は、CUPAもしくはその他の該当機関へと、組織に関する基本情報、危険物質の一覧、施設マップなどを提出しなければならない

• 提出された情報は、企業秘密として申請・承認された情報を除き、「緊急計画とコミュニティの“知る権利”令」に準拠する

• 事業者は、緊急事態対応手順に、通知すべき組織や行政機関、医療機関、外部への影響を阻止するための予防・対策などを含めなければならない

• 事業者は、事業計画の中で事業の規模に適当な教育プログラムを策定し、危険物の正しい取扱い方、地域の緊急事態組織との連携方法、緊急対応のための機器の使い方などを従業員に教育せねばならない

Article 5. 農業での危険物取扱者への危険表示 (略)

65

調査事項

規定なし

リスクアセスメントに関する規定

• 緊急時への計画策定と、緊急時対応

の教育プログラムの策定・実施(

Article 4)

規定なし

規定なし

第三者機関に関する規定

罰則規定

自主保安に関する規定

CA-4

制定根拠

US-8,940 CFR355,370

A

A

加州ルール:危険物質漏えい報告・目録、対応計画

CA-4-1

出所:危険物質漏えい報告・目録、対応計画

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危険物質漏えい対応計画及び目録 第2項「危険物の管理」は連邦法を受けて加州の事業者にRMPの策定を義務付ける政令である

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

40 CFR 68 連邦EPAの化学事故防止策が規定するRMPを加州で実行するために、本法令が制定されている

危険物質漏えい対応計画及び目録 (HSC 25500-25547.8 Hazardous Materials Release Response Plans and Inventories)

規定内容

プラント災害を防止し、地域コミュニティの安全衛生と環境を守るとともに、災害時には適

切な対応を取ることで、その悪影響を最小化すること

概要

自主保安に関する規定

• 危険物取扱事業者はプロセス危険分

析を行わなければならない(

§25531.2 )

リスクアセスメントに関する規定

• OESはプログラムの監査の規則を定

める( §25534.05)

• CUPAは事業者業者の立ち入り検査

を実施する(§25537)

規定なし

第三者機関に関する規定

• 違反の種類によって、法に反した日

数あたり$2,000~50,000の罰金が科

される(§25541~25541.3)

罰則規定

66

調査事項

CA-4

加州ルール:危険物質漏えい対応計画及び目録

A

制定根拠

D

D

D

B

B

B

出所:危険物質漏えい対応計画及び目録

US-2

Article 2 危険物の管理§25531:連邦法に従い、加州でのリスク管理計画の実施を宣言する§25531.1:市民は安全衛生に影響をもたらす可能性のある危険物が取り扱われ

ていることを知る権利があり、この権利は危険分析の結果などの情報へのタイムリーかつ制限のないアクセスを含む

§25531.2:危険物を取り扱う事業者は、プロセス危険分析を実施し、起こりうる災害を把握しなければならない

§25532:”行政機関”とはCUPAのことを指す§25534 :

• CUPAが必要であると判断する事業者は、RMPと予防プログラムを実施しなければならない

• 連邦法が各種プログラム対象企業をNAICS(北米産業分類)コードで定めて

いるのに対し、加州では所管行政の判断によって、より厳格なプログラムを適用することができる(また、危険が少なければ反対の判断を下すことも可能)

§25534.05:OESは、プログラムの受付、レビュー、監査を行う規則を定めなければならない

§25535.05:CUPAは、プラントが地元行政と連携し、プロセス危険分析において最も適切な方法を選択するよう要求しなければならない

§25536.7:石油精製事業者( NAICS324110、325110 )は、プラントで作業を実

施するすべての委託先や再委託先の従業員が危険物の取扱いに関して教育・訓練されていることを要求しなければならない

§25537:CUPAは、登録が求められるすべての事業者に対して立ち入り検査を実施しなければならない

§25541~25541.3:違反の種類・程度によって、法に反した日数あたり$2,000~

50,000の罰金が科される

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加州事故漏えい防止プログラム(Cal APR)は、危険物質漏えい対応計画及び目録の第二項を受けて、RMP

の策定と実施の具体的なプログラムを定める行政令である

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

• 事業者は3年に一度は順法性に関す

る自主監査を行う(Article 5,6)

• 事業者は緊急事態対応プログラムを

策定・運用する(Article 7)

• 行政機関はRMPの定期監査や、3年

に一度は事業所への立ち入り検査を

実施する(Article 9)

自主保安に関する規定

• 事業者はリスク管理計画を策定、5年

に1度は見直し、連邦EPA並びに行政

機関に提出する(Article3)

• 事業者は危険分析を5年に1度は実

施する (Article 4)

リスクアセスメントに関する規定

規定なし

第三者機関に関する規定

規定なし

罰則規定

規定内容

規制対象となっている物質が、事故や災害によって環境中に漏えいされることを防止する

概要

連邦EPAの化学事故防止策が規定するRMPを加州で実行するために、本法令が制定されている

HSC 25531~は本法令の上位にあたり、緊急事態計画の策定や報告の義務を課す政令である

8 CCR 5189は本法令Article 6で定める危険分析の初期的内容を満たすことができる、プロセス危険分析の規定を含んで

いる法令である8 CCR5189

HSC25531-25543.3

加州事故による漏えい防止プログラム(19 CCR S2735.1- 2785.1 California Accidental Release Prevention (Cal ARP) Program)

67

調査事項

A

B

Article 1 一般事項• S2735.1:目的

本Cal ARPプログラムは連邦法40CFR 68に加え、加州安全衛生法Chapter 6.95

Article 2で制定された加州独特の条項を盛り込む• S2725.3:用語の定義

(a) 行政機関とはCal ARPプログラムの実行責任をもつ地域行政のことであり、多くの場合CUPAを指す

• S2735.4:適用範囲事業者は、事故の履歴や業種によって、プログラム1~3に分類される

Article 3 リスク管理計画(RMP)の構成と提出内容• S2745.10規制対象となる危険物質を一定以上の量取り扱う事業者は、RMPを作成、

提出し、少なくとも5年に1度は見直し、更新しなければならないArticle 4 危険分析• S2750.7:事業者は危険分析を少なくとも5年に1度は見直し、更新し、実施を記録しな

ければならないArticle 5 プログラム2 予防プログラム• S2755.6:事業者は最低3年に1度、本法令に沿って策定された手順や履行の適切な

実施・運用を評価したことを証明しなければならないArticle 6 プログラム3 予防プログラム• S2560.8:事業者は最低3年に1度、本法令に沿って策定された手順や履行の適切な

実施・運用を評価したことを証明しなければならないArticle 7 緊急事態対応プログラムArticle 8 事故による漏えい防止対象である物質の一覧Article 9 その他の要求事項• S2775.2:行政機関はRMPの実施状況を定期的に監査する• S2775.3:行政機関は各事業者に対して、3年に一度は立ち入り検査を実施するArticle 11 技術的な支援

詳細B

詳細B

詳細A

詳細A

詳細A

詳細A

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

CA-4-2

制定根拠

CA-2

40 CFR 68US-2

CA-4

詳細A

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Article 1 Section 2735.4:適用対象

Table 1. 連邦規制対象物質一覧と事故による漏えい防止における規制対象の物質量閾値

(参考)Section 2770.5 規制物質と一定量の定義一覧 (一部例)

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

Cal ARP(加州事故漏えい防止プログラム)の規定は事業の複雑さ、事故の履歴、災害時に想定される環境影響の大きさによって、プログラム対象企業を1~3に分けて定義している

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

自主保安に関する規定A

Article 1:一般事項

Section 2735.4:適用対象

a. 本法はセクション2770.5で定める危険物質を取り扱うプロセスを1つ以上所有する事業者に適用される(略)

b. Cal ARPプログラムは事業の複雑さ、事故の履歴、想定される漏えいの際の影響の甚大さによって、3つのプログラムのレベル分けを定義し、それぞれのプログラムによって異なるレベルの要求を設けている

c. プログラム1該当条件対象となるプロセスが次のすべての条件に当てはまる場合、プログラム1の要求に応じることが求められる:

1. RMP提出以前の5年間、このプロセスでは次のような結果を招いた事故的な規制物質の漏えいが起こっていないこと

A) 死亡

B) 怪我

C) 環境や公に対して、対応や復元活動が必要な事態

2. 想定される最悪の事態でも、有害もしくは引火性のポイントまでの距離が、公共の受容体(Public Receptor:住宅、学校、病院、公園、商工業施設などの公共の場)よりも遠いこと

3. 緊急事態の対応手順について、既に地域の緊急事態計画・対応団体と合意されていること

d. プログラム2該当条件対象となるプロセスが本セクションのcやeに該当しない場合は、プログラム2の要求に応じることが求められる:

e. プログラム3該当条件対象となるプロセスが本セクションcにあてはまらず、また次の条件のどれかひとつにでも該当した場合、プログラム3の要求に応じることが求められる:

1. プロセスがNAICS(北米産業分類)コード32211, 32411(石油精製業), 32511(石油化学), 325181(有機化学), 325188,

325192, 325199, 325211, 325311, 32532.に当てはまる

2. プロセスが連邦OSHAもしくは加州OSHAのプロセス安全マネジメントスタンダード(Section 1910.119 of Title 29 CFR もしくはSection 5189 of Title 8 of CCR)の適用対象である

3. HSC25534によって与えられた権限により、行政機関(CUPA)が、セクション2770.5で定められた一定の基準を超える危険物質による事故のリスクに対して、プログラム3による対策を講じる必要があると判断した場合(以下略)

事業者の保安体制に関するルール

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Article 5 プログラム2 予防プログラム

CA-4-2 自主保安に関する規定A

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

災害予防プログラムはプログラム2、3の該当企業を対象とし、プログラム2では、5年毎の危険分析を含めたPSMに比べて軽微な災害予防プログラムを実施しなければならない

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

S2755.1 安全に関する情報事業者は、MSDS(マテリアル安全データシート、規制対象の物質の最大保

管量、安全な最低・最高温度、圧力、フロー、構成、設備検査、使用されている基準やコードに関する情報を集約しておかなければならない

S2755.2 危険分析

a. 事業者は、規制物質や物質を取り扱うプロセス、手順によって起こりうる危険のレビューを行わなければならない。レビューは次の内容を含む

1. プロセスや規制物質に紐づく危険2. 設備の故障や不具合、人的ミスによって起こりうる危険の可能性3. 必要な安全措置や危険コントロールの手段4. 使用されているまたは必要な漏えい検知の方法

b. 事業者は、対象プロセスへの危険分析の評価・判断方法が最適であるかを行政機関と相談しなければならない

c. 事業者は行政機関など知見のある機関によって作成されたチェックリストを用いるとよい。危険分析は、該当プロセスにおける作業経験と知識のある従業員を最低1名含むチームで実施しなければならない

d. 危険分析は天災を含む外部的要因を考慮しなければならない

e. 事業者は危険分析の結果を記録し、問題が発覚した場合には行政機関と解決に向けたスケジュールについて合意しなければならない。2015年1月1日

以降に実施されたレビューについて、行政との合意がない場合は、解決策は実施日から2.5年以内に完了させなければならない

f. 危険分析は最低5年毎に実施しなければならない。また、プロセスに重要な変更があった場合にも実施しなければならない (以下略)

S2755.3 運用手順(略)S2755.4 教育・訓練

a. 事業者は、プロセスに携わるすべての従業員が、運用手順に沿って適切に教育され、テストされていることを確実にしなければならない

b. 再教育:再教育はプロセスに関わる従業員に対して最低3年毎(必要であれ

ばより頻繁に)に実施され、従業員が最新の運用手順を理解し、忠実であること確実にしなければならない。事業者はプロセスに関わる従業員と相談のもと、再教育の頻度を定めること。

c. 事業者は、この条項の要求に応えるために、連邦や州政府、または業界特有の基準のもとに行われる機器販売者の教育を活用することもできる

d. 事業者は、従業員がプロセスで運用にあたる前に、新規または変更のあったプロセスについて手順教育を受けることを確実にしなければならない

e. 事業者は、すべての従業員に関する新入・再教育を文書で記録することS2755.5 メンテナンス

a. 事業者は、機器の健全性を維持するための文書での手順書を策定し、実施しなければならない。その際、機器販売者から与えられたか、連邦や州政府が定めた、もしくは業界で使われている基準に従って手順を策定するとよい

b. 事業者は、設備のメンテナンスに関わる従業員への教育を実施するかもしくは教育機会を提供しなければならない。安全に作業を実施できるよう、すべての従業員はプロセスにおける災害の可能性、災害をさけるための正しい方法、作業を行うための手順に関する教育を受けなければならない。

c. 事業者は、メンテナンスを行うすべてのコントラクターの従業員が、正しい手順に関する教育を受けていることを書面で証明できることを確実にしなければならない

d. 事業者は、プロセス設備に対して検査・試験を行わなければならない。試験・検査は一般的に認められている手順に従うこと。頻度や手順に関しては、機器製造社の推奨や業界における基準に従うこと

S2755.6 監査a. 事業者は、最低3年に1度、本法令に沿って策定された手順や履行の適切な

実施・運用を評価したことを証明しなければならないb. 監査は、最低1名のプロセスに詳しい者によって行われなければならないc. 事業者は監査の結果を報告書にまとめなければならない

d. 事業者は、監査の結果に対する対応を判断し、記録しなければならない。事業者は監査結果を解決するにあたって、行政機関とスケジュールについて合意しなければならず、もし合意がない場合は監査後1年半以内に対応を完了すること。

e. 事業者は、最新の2回分の監査報告書を保持しておくことS2755.7 事故調査 (略)

事業者の保安体制に関するルール

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Article 6 プログラム3 予防プログラム

自主保安に関する規定A

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

製油所・化学プラント向けであるプログラム3は、PSMとほぼ同内容の災害予防プログラムの実施が必要であり、プログラム2より詳細な分析・対策が求められる

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

S2760.3 オペレーション手順(プログラム2と概要同旨)S2760.4 教育・訓練(プログラム2と概要同旨)S2760.5 整備(プログラム2と概要同旨)S2760.6 変更のマネジメント (略)S2760.7 運転再開前の安全確認

a. 事業者は、プロセス安全情報に変更が生じるような施設の新設や変更があった場合には、運転開始前に安全確認を行いわなければならない

b. 運転開始前の安全確認は、危険物がプロセス内に持ち込まれる前に行わなければならならず、次の事項を確認すること

1. 建設や設備は設計通りに配置されているか

2. 安全、運転、メンテナンス、緊急時の手順は十分に用意されてあり、運用できる状態にあるか

3. 新たな施設に関してはプロセス安全分析を行い、推奨事項がすでに実行・解決されているか、また必要なマネジメントの変更が完了しているか

4. 運転、メンテナンスをする従業員の教育が完了しているかS2760.8 監査

事業者は、最低3年に1度、本法令に沿って策定された手順や履行の適切な実施・運用を評価したことを証明しなければならない(以下、プログラム2と概要同旨)

S2760.9 事故調査 (略)S2760.10~12 従業員の参画、火気使用許可、コントラクター (略)

S2760.1 プロセス安全に関する情報(プログラム2と概要同旨)S2760.2 プロセス危険分析(PHA)

a. 事業者は、本法で対象となるプロセスに対して、初期的なPHAを実施しなければならない。PHAは本法への対応の中で可及的速やかに実施すべきであり、リ

スク管理計画の提出より先でなければならない。本セクションで定めた規定があるものの、8 CCR 5189 の定めによって実施されたPHAも本法の初期的PHAとして認められる。

b. 事業者は、対象プロセスへの危険分析の評価・判断方法が最適であるかを行政機関と相談し、PHAを実施しなければならない具体的には、次のような方法を最低一つ採用する:もしもの場合の想定、チェックリスト、HAZOP、FMEA(Failure Mode and

Effects Analysis)、フォルトツリー解析c. 危険分析は次の情報を含まなければならない

1. プロセスの中で起り得る災害2. 以前起こった事故で、職場での大災害に繋がる可能性があったもの3. 災害防止に有効と思われる技術的対策や運営上のコントロール4. 上記対策が失敗した場合の結果5. 施設の場所状況6. 人的要因7. 従業員に及ぼす安全衛生上の影響の定性的評価8. 以前起こった事故で、職場での大災害に繋がる可能性があったもの

d. 危険分析はエンジニアリングやプロセスオペレーションへの専門性のあるメンバー、該当プロセスにおいて知識のある従業員を含むチームで実施しなければならない

e. 事業者は危険分析の結果を記録し、問題が発覚した場合には行政機関と解決に向けたスケジュールについて合意しなければならない。2015年1月1日以降

に実施されたレビューについて、行政との合意がない場合は、解決策は実施日から2.5年以内に完了させなければならない。

f. 危険分析は最低5年毎に実施しなければならない。また、プロセスに重要な変更があった場合にも実施しなければならない

事業者の保安体制に関するルール

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Article 9. その他の要求事項:監査、検査 (抜粋)Article 7. 緊急事態対応プログラム

Article 9 その他の要求事項S2775.2 監査

a. 行政機関は、本法令Article 3に定めるRMPに関して、定期的に事業所の監査を行わなければならない可能な限り、監査は事業所における他のUnified Programの要素と完全に調和が取られなければならない

b. 行政機関は、次の基準によって監査対象とする事業者を選定する1. 事故の履歴2. 同じ業界で起きた他の事業者の事故3. 規制対象物質の保管量4. 外部の影響を受ける可能性のある公共物に対する事業所の位置5. 特定の規制対象物質の有無6. RMPで認識された災害7. 中立的で無作為な監査のための計画

c. 例外:OSHA VPPプログラムに準拠している事業所は、上記(b)の2と7の基準による監査対象からは除外される

d. HSC25534.5の権限により、行政機関は事業所や事故による漏えいが起こりうる場所へのアクセス、文書への閲覧権を持つ

e. 監査の結果により、行政機関は事業者に対してRMPへの必要な変更を文

書にて通知する可能性がある。暫定的な判断は、適応しうる範囲において、業界のスタンダード(AlChE/CCPS/ ASME/APIスタンダード等)を反映した変更の基礎に関する説明を含まなければならない

f. 暫定的な判断への書面での返答(略)g. 行政機関による最終判断(略)h. ~j. 事業者による対応、記録(以下略)

S2775.3 検査行政機関は登録されているすべての事業者に対して、最低3年に1回の立ち

入り検査を行う。事業者は、これを政府法の規定によって免れることはできない。 尚、Cal ARPプログラムの検査は可能な限りUnified Programと調整して行われなければならない。

Article 7.緊急事態対応プログラムS2765.1 適用範囲

プログラム2、3に該当する事業者は、緊急事態対応プログラムの策定、運用を行わなければならない(以下略)

S2755.2 緊急事態対応プログラム

a. 事業者は、公共の安全と環境を保護することを目的とした緊急事態対応プログラムを策定、運用しなければならない。プログラムは下記を含む

1. 事故による漏えいの際の地域の緊急事態対応組織への連絡手順、緊急事態対応計画

2. 必要な応急処置や緊急の医療処置に関する文書

3. すべての従業員に対する、緊急時の指示系統を含めた緊急事態対応訓練

4. 緊急事態計画のレビュー、変更の手順b. HSC25503.4に定めるフォーマットで策定された緊急事態対策は、事業者が(c) にあてはまる場合、(a)に定める内容を含まなければならない。緊急事態対策のフォーマットはCal/OESより入手可能である

c. (a)(1)の内容は、42 USC section 11003で定める地域の緊急事態対応計画との調和がとれていなければならない

d. もしこのセクションで作成した緊急事態対応プログラムが19 CCR 2731や2732の要求事項を満たすようであれば、事業者は別途緊急事態に対する事業計画を策定する必要はない

自主保安に関する規定A

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

緊急事態対応プログラムはプログラム2、3に対して計画・実施が求められる。これらを含めたCal ARPに対して、CUPAは順守状況の監査や立ち入り検査を行っている

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

事業者の保安体制に関するルール

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Article 3. リスク管理計画の構成と提出要求事項

72

リスクアセスメントに関する規定B

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

RMPはすべての対象事業者に策定・提出義務があり、規制対象の物質に対して、想定される事故のシナリオを詳細に作成しなければならない

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

2. プログラム2、3プロセス:規制対象のすべての有害物質に対して1つの最悪ケースシナリオと、それぞれの引火性物質に対して1

つの最悪ケースシナリオ (以下略)

b. 事業者は次の情報を提出しなければならない

1. 化学物質名

2. 混合物質の中の有害物質の割合

3. 物質の状態

4. 事故で想定される結果

5. シナリオ(爆発、火災、ガス漏えい、液体漏えい、蒸発など)

6. 漏えいの量

7. 漏えいの速度

8. 漏えいの期間

9. 風速と大気中の安定性(有害物質のみ)

10.地形(有害物質のみ)

11.最終着地点までの距離

12.最終着地点までで影響を受ける公共・環境の受容体

13.考えうる受動的な緩和策

14.考えうる積極的な緩和策

S2745.5 RMP 5年間の事故履歴の内容 (略)<次ページに続く>

Article 3:リスク管理計画(RMP)S2745.1 提出

a. 一定基準以上の危険物質を取り扱う事業者は、 Section 2735.4で定められる定義に従ってプログラム分類を判断し、RMP(リスク管理計画)を提出しなければならない(略)

S2745.2 RMPレビュープロセスa. コンサルテーションとレビューb. 欠陥通知

行政機関はRMPの内容に欠落があった場合、通知書にて事業者に必要情報の提供を求める(1) 行政機関はRMPの技術的側面のレビューをAPCD: Air Pollution

Control DistrictもしくはAQMD: Air Quality Management District)に委任できる(略)

c. パブリックレビュー行政機関は新聞やインターネットを通じてRMPの公開を通知し、45日間の正式な公開期間中は公からのコメントを受け付ける

d. 評価レビューe. 評価レビューの視点f. 検査もしくは監査g. 公共からのアクセス

S2745.3 RMP エグゼクティブサマリーの内容 (略)S2745.4 RMP 施設外への影響分析の内容 (略)

a. 事業者は次の情報をRMPに含めなければならない1. プログラム1プロセス:それぞれのプログラム1プロセスに対して1

つの最悪ケースシナリオ

事業者の保安体制に関するルール

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Article 3. リスク管理計画の構成と提出要求事項

リスクアセスメントに関する規定B

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

RMPの策定においては、プログラムのレベルが上がるにつれて、より詳細なプログラム策定が求められる

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

<前ページからの続き>S2745.6 RMP プログラム2予防プログラムの内容

a. すべてのプログラム2プロセスに対して、事業者はRMPの中に次のb~l に挙げる情報を含めなければならない

b. NAICS(北米産業分類)コードc. 使用化学物質d. 安全情報の更新日e. 危険分析の最新実施日

1. 危険分析によって生じた変更の完了予定日2. 認識された重大な危険3. 使用されているプロセスやコントロール方法4. 使用されている危険対策方法5. 使用されているモニタリングや検知システム6. 最後の危険分析からの変更点

f. オペレーション手順の最新の見直し日g. 教育プログラムの最新の見直しもしくは変更日

1. 実施されている教育の種類(座学か、実地研修か、両方か)2. 実施されている技能テストの種類

h. メンテナンス手順の最新の見直し・変更日、設備点検もしくはテストの最新実施日と対象の設備名

i. 監査の最新実施日と、監査で生じた変更の完了予定日j. 最新の事故調査実施日と、調査で生じた変更の完了予定日k. 安全情報、危険分析、オペレーションやメンテナンス手順、

教育方法に変化をもたらした最新の変更事項の日付l. 次に挙げる行事や分析に関する情報

1. PHAで考慮されている人・自然に起因する災害の種類2. 想定されている外部的要因の範囲と深刻度3. 規制物質の漏えいを起こしうる外部要因についてe.1~e.6の情報4. 設備の適切な設置・整備を実地調査した最新の日付

S2745.7 RMP プログラム3予防プログラムの内容a. すべてのプログラム3プロセスに対して、事業者はRMPの中に次のb~qに挙げる情報を含めなければならない

b. ~h. にかけて左記S2745.6と概要同旨

i. 最新の“マネジメントの変更”をもたらした変更と、“マネジメントの変更”の見直し・変更日

j. 最新の“運転前安全確認”を行った日付k. 監査の最新実施日と、監査で生じた変更の完了予定日l. 最新の事故調査実施日と、調査で生じた変更の完了予定日m. 従業員参加計画の最新の見直し・変更日n. 火気使用許可の最新の見直し・変更日o. コントラクター安全手順の最新の見直し・変更日p. コントラクターの安全パフォーマンス評価の最新の実施日q. 左記S2745.6 l. と概要同旨

S2745.8 RMP 緊急対応プログラムの内容a. 事業者はRMPの中に、次 に挙げる情報を含めなければならない

1. 書面の緊急事態への対応計画があるか2. 計画は事故の際の対応行動を詳しく定めているか3. 計画は公や地域機関に事故情報を伝えるための手順を含むか4. 計画は緊急時の健康管理に関する情報を含むか5. 緊急事態への対応計画の最新の見直し日6. 従業員による緊急事態への対応訓練の最新実施日

(以下略)S2745.9 RMPの認定 (略)S2745.10 RMPの更新:

a. (1)事業者は、少なくとも5年に1度はリスク管理計画を見直し、更新し、連邦EPA並びに行政機関へ提出しなければならない

S2745.11 対象となるプロセスの変更 (略)S2745.12 占有の認定 (略)

事業者の保安体制に関するルール

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Article 4. 危険分析

b. 考えるべきシナリオ:1. より起こりやすい事態の想定として、次のシナリオを考慮する

A) 最悪の事態より起こりやすいB) 施設外の最終着地点に届きうるC) 公共の受容体に届きうる

2. 漏えいシナリオは最低限次の事柄を含むべきであるA) 輸送ホースの裂傷や詰まりによる漏えいB) フランジ、継ぎ目、バルブの故障によるパイプからの漏えいC) 容器やポンプのひび、隙間、接続失敗による漏えいD) 容器の過剰充填による漏えいE) 輸送の際のコンテナの取り扱い不注意

c. 使用すべき指標 (略)d. 想定対策の考慮:想定事態に対応する受動的/積極的な対策システムe. シナリオ選択の際に考慮すべき要因

1. 過去5年間に起きた事故

2. 業界情報誌や業界団体、その他公開資料で入手可能な、業界の事故の内容 (以下略)

S2750.5 施設外の人口に対して与える影響の定義a. 事業者はRMPにおいて、漏えいの発生源から最終着地点までの円の中に存在する人口に関して考慮しなければならない

b. 「人口」には住民を含めるべきであり、近隣の学校、病院、介護施設、幼稚園、刑務所などを明記すること

c. 影響を受ける人口の算出にデータを用いる際は、近年のデータを用いるd. 人口は百人単位で正確に見積もらなければならない

S2750.6 施設外の環境に対して与える影響の定義a. (上記2750.5 a. の対象を環境に変換、概要同旨)b. 地図データは、地域の地理調査局のデータベースを使用するとよい

S2750.7 施設外への影響分析の見直し・更新a. 事業者は危険分析を少なくとも5年に1度は見直し、更新し、実施を記録しなければならない

(以下略)

リスクアセスメントに関する規定B

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

危険分析は、起こりうる事故とその外部への影響を物質・量で具体的に想定し、対策を講じるための取組みである

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

S2750.1 危険分析適用対象a. プログラム1に該当する事業者は2750.3に定める最悪の事態を想定したシナリオを策定し、プログラム2,3に該当する事業者はこのセクションで規定されたすべての内容に対応しなければならない

S2750.2 施設外への影響分析指標a. 最終着地点b. 風速と大気中の安定性レベルc. 周囲の温度/湿度d. 漏えいの高度e. 地面粗度

(事業者は、施設の地理的特徴を都市もしくは郊外にあてはめる。都市部は近隣に木々や建物があり、郊外は近隣に建物がない場合をいう)

f. 高濃度もしくは自然浮遊気体g. 想定される漏えいの際の物質の温度

S2750.3 最悪の事態の漏えいシナリオ分析a. 事業者は次の内容をRMPの中に含めなければならない

1. プログラム1のプロセスに対して、上記2750.2の指標を使った最悪の事態シナリオ

2. プログラム2,3のプロセスに対しては、有害物質/引火性物質の漏えいによって引き起こされる最も広範囲な影響のある事態のシナリオ

b. 最悪の事態に想定される漏えいの量 (略)c. 有害な気体に関する最悪の事態のシナリオ (略)d. 有害な液体に関する最悪の事態のシナリオ (略)e. 引火性のガスに関する最悪の事態のシナリオ (略)f. 引火性の液体に関する最悪の事態のシナリオ (略)g. 使用すべき指針 (略)h. 考えうる受動的な緩和策 (略)i. 最悪の事態シナリオ選択にあたって考慮すべき要素(以下略)

S2750.4 より起こりやすい事態のシナリオ分析

a. シナリオの数:事業者は使用する危険物質に対して最低ひとつの、より起こりやすい事態を分析しなければならない

事業者の保安体制に関するルール

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Program 4に関する記述(抜粋)

S2762.14 プロセス安全文化アセスメント(PSCA)a. 事業者は効果的なPSCAの手順を策定し、実施し、維持しなければならないb. PSCAは本法令の発効から18か月以内の実施する必要があり、その後少なく

とも5年に1度は実施すること(以下略)

S2762.15 人為的要因プログラムa. 事業者は、本法令の発効より18か月以内に効果的な人為的要因プログラム

の手順を策定し、実施し、維持しなければならない(以下略)

S2762.16 ARPのマネジメント

a. 事業者は、文書化された事故による漏えい防止プログラムのマネジメントシステムを構築し、実施し、3年毎に見直し・更新を行わなければならない(以下略)

S2762.17 文書・情報へのアクセス事業者は、CUPAからの要請に応じて、本項の規定により策定された文書を開示しなければならない

Article 9:その他の要求事項

S2775.2.5:プログラム4の施設に対する独立したアセスメントいかなるプログラム4該当施設に対しても、CUPAは大規模な事故の後には、独立してプロセス安全文化アセスメント(PSCA)、事故調査、ARPマネジメントシステムの評価、人為的要因の分析を行うことができる

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

製油事業者に特化したプロセス安全規定の8 CCR 5189.1の策定によるリスク分析の追加に伴い、Cal ARP

にも製油事業者に特化したプログラム4が追加される

CA-4-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

Article 1:一般事項Section 2735.4:適用対象

f. プログラム4 該当条件:プロセスがNAICS(北米産業分類)コード32411(石油精製業)に当てはまる場合、プログラム4の対象となる

Article 3:リスク管理計画S2745.7.5 RMP 予防プログラムの構成と提出要求事項

a. ~p. にかけて既存プログラム3 (現S2745.7)と概要同旨q. 段階的危険コントロール分析を行った最新の日付r. プロセス安全文化アセスメントを行った最新の日付s. 事故による漏えいの際の対応計画のマネジメント方針の最終更新日t. 人為的要因プログラムの評価を行った最新の日付u. セーフガード保護分析を行った最新の日付v. 破壊メカニズムレビューを行ったもしくは更新した最新の日付w. (以下既存プログラムと概要同旨のため、略)

Article 6.5:プログラム4 予防プログラム (既存プログラム3への追加事項を抜粋)S2762.0.2 目的:プログラム4の実施目的は、製油所での大事故を防ぎ、地域コ

ミュニティと環境の安全衛生を保護することであるS2762.2.1 セーフガードプロテクション分析(SPA)

a. 事業者は、PHAによって大規模は災害が想定されたシナリオに対して、次の項目に関するSPAチームの書面の分析結果を保持しなければならない(1) 現在の安全措置の有効性、(2) PHAのシナリオに対するすべての安全措置の組み合わせた有効性、(3)PHAで推奨された安全措置の個々の、また組み合わせた有効性 (4) 追加で必要と思われる代替の安全措置の個々の、また組み合わせた有効性(以下略)

S2762.13 段階的危険コントロール分析(HCA)a. 事業者は、すべてのプロセスに対してHCAを行わなければならない。HCA

はPHA実施時に行うとよい。また、HCAは本法令の発効より3年以内に50%

を完了することとし、残りは発効より5年以内に完了すること。c. HCAは少なくとも5年毎に更新、検証されなければならない

(以下略)

事業者の保安体制に関するルール

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Cal ARP(加州事故漏えい防止プログラム)では、プログラム2,3の予防プログラムの一環として、安全に関する教育・訓練の実施が規定されている

目的

構成及び主要関連規定

O&M対象

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

他法令・規

格との関係

事業者の保安体制に関するルール

規定内容

規制対象となっている物質が、事故や災害によって環境中に漏えいされることを防止する

概要

連邦EPAの化学事故防止策が規定するRMPを加州で実行するために、本法令が制定されている

HSC 25531~は本法令の上位にあたり、緊急事態計画の策定や報告の義務を課す政令であるHSC25531-25543.3

自主保安に関する規定

規定なし

リスクアセスメントに関する規定

• プログラム2,3に該当する事業者は

、初期教育と3年毎の再教育を実施

し、従業員の理解を確実にした上で

教育・訓練記録を残さなければならな

い (S2755.4, S2760.4)

規定なし

第三者機関に関する規定

規定なし

罰則規定

76

調査事項

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム

CA-4-2 加州事故による漏えい防止プログラム(19 CCR S2735.1- 2785.1 California Accidental Release Prevention (Cal ARP) Program)

A

A

A

Article 5 プログラム2 予防プログラム

• S2755.4 教育・訓練

a. 事業者は、プロセスに携わるすべての従業員が、運用手順に沿って適切に教育され、テストされていることを確実にしなければならない

b. 再教育:再教育はプロセスに関わる従業員に対して最低3年毎(必要であ

ればより頻繁に)に実施し、従業員が最新の運用手順を理解し、忠実であること確実にしなければならない。事業者はプロセスに関わる従業員と相談のもと、再教育の頻度を定めること。

c. 事業者は、この条項の要求に応えるために、連邦や州政府、または業界特有の基準のもとに行われる機器販売者の教育を活用することもできる

d. 事業者は、従業員がプロセスで運用にあたる前に、新規または変更のあったプロセスについて手順教育を受けることを確実にしなければならない

e. 事業者は、すべての従業員に関する新入・再教育を文書で記録することArticle 6 プログラム3 予防プログラム

• S2760.4 教育・訓練

a. 初期教育:事業者は、プロセスに携わるすべての従業員が、運用手順に沿って適切に教育されていることを確実にしなければならない

b. 再教育: (プログラム2の再教育と同様)

c. 教育・訓練結果の文書化:事業者は、プロセスに従事するすべての従業員が教育・訓練を受け、内容を理解したことを確実にしなければならない。

また、従業員の氏名、教育実施日、内容の理解の検証方法を記載した記録を残すこと。

CA-4

制定根拠

40 CFR68

US-2

出所:加州事故による漏えい防止プログラム

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(参考)CUPAは、行政による検査・許可・規制の重複の解消等を目的に設立され、Cal ARPを含む加州の安全衛生や環境保全を目的とした7つのプログラムの執行を実施している

CUPAが執行を委任されているプログラムCUPAの概要

出所:Cal/EPA” Improving Public and Worker Safety at Oil Refineries”、California Senate Bill 1082、Cal/EPA ウェブサイト、 City of Glendaleウェブサイト

正式名称 Certified Unified Program Agencies

(州統合プログラム機関)

行政による検査・許可・規制の重複の解消、及び

それらに伴う費用の請求書の統合‒ 当時の法律では、州環境保護局(Cal/EPA)内に

多くの委員会や部署が設立されていた

設立目的

83

‒ 加州内の郡や市、地域の行政機関がCUPA当局と

なるための申請をし、Cal/EPAにより許可を受ける

‒ CUPA設立以前には同様の業務を実施するのに

約1,300の異なる州・地域政府が携わっていた

設立数

1996年‒ 1993年の上院法案1082によりCUPAプログラムの

設立が決定

認定

開始年

環境・緊急管理に関する7つのプログラムにおける

管理・許可・検査・執行の実施

プログラムの実施における地域の規制・規則・ガイ

ドラインとの統合・調整・整合性確認

主な役割

# プログラム名プログラムにおける

協力機関

1 危険物質緊急事態に対する地域計画

州危機管理庁(Cal/OES)

2 危険物質放出対応計画及び目録

3加州事故による漏えい防止計画プログラム

(Cal ARP)州危機管理庁(Cal/OES)

4

危険物質管理プラン (HMMP)及び危険物質目録ステートメント (HMIS)

(加州消防法)州天然資源庁森林保護防火局

消防庁(Cal/FIRE-OSFM)5 地上石油貯蔵法 (APSA)プログラム

6危険廃棄物排出及びオンサイト危険廃棄

物処理プログラム州環境保護庁(Cal/EPA)有害物質規制局 (DTSC)

7 地下貯蔵タンクプログラム州環境保護庁(Cal/EPA)

州水資源委員会(SWRCB)

77

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム 事業者の保安体制に関するルール

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(参考)各CUPAは管轄プログラムの検査・執行計画を作成しており、計画に従って検査対象施設の決定・検査・違反時の対応を実施する

サクラメント郡CUPA検査・執行計画 CUPA検査実施の流れ(サクラメント郡)

出所:Sacramento County Environmental Management Department (EMD) ”Inspection & Enforcement Plan – CUPA Program”、California CUPA Forum “Guidance Document for Inspection and Enforcement”

検査前

対象施設の検討(四半期ごと)

‒ 対象施設リストは各担当(税評価員、消防署)等で施設の情報共有し作成されなければならない

施設情報の調査

‒ 施設の運営、検査に関する過去の情報調査‒ 提出済の緊急対応計画等の調査 等

有害物質申請分類フォーム(HAPP)の作成

検査

施設立入前の関連活動検査(例:駐車場内の配管の不適切な排出等)

検査への同意取得

施設の実地検査及び報告書の記入・写真撮影

‒ 許可が必要な特定の施設(例:産業廃棄物排出許可)の許可証・文書のチェック

‒ [違反があった場合]タブレット機器を利用した順守通知の作成、印刷

事業者への適切な教育プログラムや参考資料の提供

検査後

HAPP及び違反データベースの更新

[違反がある場合] 重大な違反がある場合は、執行方法に関する上席への相談

事業者により提出された違反対応策の確認

各CUPAは、検査・執行計画の作成、及び年1回の見直しが義務付けられている

78

加州ルール:加州事故による漏えい防止プログラム 事業者の保安体制に関するルール

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3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度

3.1. 米国ルール(regulation)の把握

3.1.1. 米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ

3.1.2. 連邦法

3.1.3. カリフォルニア州法

3.2. 米国における規格(standards)の把握

3.2.1. 民間団体が策定する規格

3.2.2. 民間団体の詳細

3.3. その他関連組織の把握

3.3.1. 保険会社

3.3.2. コンサルティング会社

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民間団体が産業保安に関するガイドラインや規格を策定し、関連ルールの実務面を支えている

80

関連団体の概要と主な策定ガイドライン/規格

組織名 組織の目的 設立年 主な策定ガイドライン/規格

CCPS(化学プロセス安全センター)

NFPA(全米防火協会)

API(米国石油協会)

NBBI(ボイラー圧力容器検査官協議会)

UL(保険業者安全試験所)

• 産業プロセス保安の改善

1985年• Guidelines for Risk Based Process Safety(2007)• Guidelines for Process Safety Metrics(2009)

• 米国の石油、天然ガス産業の支援

1919年• API RP-754 Measuring Process Safety

• API 579-1/ASME FFS-1- Fitness-for Service

• 圧力容器の規格の統一を通じた生命と資産の安全性の向上

1919年 • NBIC(National Bode Inspection Code)

• 火事や電気に関わる死亡・けが、資産・経済的損失の削減

1896年• NFPA 400 Hazardous Materials Code

• NFPA 30 Flammable and Combustible Liquids Code

• 安全に関するソリューションの提供

1894年• UL 58-61 Steel Underground Tanks for Flammable and

Combustible Liquids, 5th Ed

非営利団体

民間企業

ASME(米国機器学会)

• エンジニアリングの発展、普及、適用による、グローバル社会への貢献

1880年• Inspection Planning Using Risk-Based Methods PCC-3

(2007)学会

出所:各種団体ウェブサイト

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民間団体が策定しているガイドライン/規格は、産業保安に関するあらゆる要素をカバーしている

産業保安に関する民間団体の主なガイドライン/規格

• 原油購買

/貯蔵

• タンカー

計画等の

策定

• 生産工程における原料管理• 生産物管

Guidelines for Risk Based Process Safety(2007) ・ リスクベースのプロセス安全ガイドライン

Guidelines for Process Safety Metrics(2009) ・ プロセス安全のパフォーマンス測定指標のガイドライン

API RP-754 Measuring Process Safety ・ プロセス安全のパフォーマンス測定指標のガイドライン

Practical Compliance with the EPA Risk Management Program(2009) ・ RMPのガイドライン

Guidelines for Hazards Evaluation Procedures(2008) ・ プロセス安全のための危険評価技術

Guidelines for Auditing Process Safety Management Systems (2003) ・ プロセス安全管理の監査ガイドライン

CCPS

全体

原料・

生成物

組織

・人材

O&M対象

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行

計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

運転開始後運転開始前

設備

・機器

Conduct of Operations and Operational Discipline: For Improving Process Safety in Industry (2011)

・ PSMの効果的な実行を目的としたオペレーションと統制の設計と実施

Contractor and Client Relations to Assure Process Safety(1996)

・ コントラクターとクライアントの関係におけるプロセス安全に関する問題及び解決策

Inspection Planning Using Risk-Based Methods PCC-3 (2007) ・ 検査計画基準

API 579-1/ASME FFS-1- Fitness-for Service ・ 機器の健全性や寿命の評価に関する基準

National Bode Inspection Code ・ 圧力容器の健全性を維持するための設置、検査、改修に関するルール

NFPA 400 Hazardous Materials Code ・ 危険物質の貯蔵・使用・取扱いに関する規範

CCPS

CCPS

CCPS

API ASME

NBBI

API

CCPS

環境

影響

CCPS

ASME

NFPA

CCPS

Guidelines for Incident Investigation (2003) ・事故管理及び調査方法のガイドラインCCPS

81 出所:各団体ウェブサイト

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連邦法においても、多くの民間ガイドライン/規格が直接参照されている

プロセス安全に関連する民間団体のガイドライン/規格(1/3)

民間団体名 ガイドライン/規格名 対象O&M 参照元条文

CCPS

Guidelines for Risk Based Process Safety(2007) 全体 -

Guidelines for Process Safety Metrics(2009) 全体 -

Practical Compliance with the EPA Risk Management Program(2009) 全体 -

Guidelines for Hazards Evaluation Procedures(2008) 全体 -

Guidelines for Auditing Process Safety Management Systems (2003) 全体 -

Guidelines for Process Safety Documentation(1995) 全体 -

Guidelines for Improving Plant Reliability through Data Collection and Analysis (1998) 全体 -

Guidelines for Performing Effective Pre-Startup Safety Reviews(2007) 全体 -

CCPS Layer of Protection Analysis(2001) 全体 -

A Practical Approach to Hazard Identification for Operators and Maintenance Workers (2010) 全体 -

Guidelines for Effective Operating and Maintenance Procedures(1996) 全体 -

Guidelines for Technical Planning for On-Site Emergencies(1995) 全体 -

Guidelines for the Management of Change for Process Safety(2008) 全体 -

Guidelines for Mechanical Integrity Systems (2006) 全体 -

Guidelines for Managing Process Safety Risks During Organizational Change(2013) 組織・人材 -

Conduct of Operations and Operational Discipline: For Improving Process Safety in Industry 組織・人材 -

Contractor and Client Relations to Assure Process Safety(1996) 組織・人材 -

Guidelines for Incident Investigation 環境影響 -

CCPS

CCPS

CCPS

CCPS

CCPS

CCPS

CCPS

CCPS

凡例

p81に記載しているガイドライン/規格組織名

82 出所:各団体ウェブサイト

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連邦法においても、多くの民間ガイドライン/規格が直接参照されている

プロセス安全に関連する民間団体のガイドライン/規格(2/3)

民間団体名 ガイドライン/規格名 対象O&M 参照元条文

API

API RP-754 Measuring Process Safety 全体 -

API 12B (May 1958) Specification for Bolted Production Tanks, 11th Ed., With Supplement No. 1, Mar. 1962

設備・機器 §1910.106(b)(1)(i)(a)(3).

API 12D (Aug. 1957) Specification for Large Welded Production Tanks, 7th Ed. 設備・機器 §1910.106(b)(1)(i)(a)(3)

API 12F (Mar. 1961) Specification for Small Welded Production Tanks, 5th Ed. 設備・機器 §1910.106(b)(1)(i)(a)(3)

API 650 (1966) Welded Steel Tanks for Oil Storage, 3rd Ed. 設備・機器 §1910.106(b)(1)(iii)(a)(2).

API 2000 (1968) Venting Atmospheric and Low Pressure Storage Tanks 設備・機器 §1910.106(b)(2)(iv)(b)(1)

API/ASMECode for D Pressure Vessels for Petroleum Liquids and Gases of the API and the ASME, 1951 Ed. 設備・機器 §1910.110(b)(3)(iii);

API 579-1/ASME FFS-1- Fitness-for Service 設備・機器 -

ASME

Inspection Planning Using Risk-Based Methods PCC-3 (2007) 設備・機器 -

ASME Boiler and Pressure Vessel Code, Sec. VIII, 1949, 1950, 1952, 1956, 1959, and 1962 Ed 設備・機器 §1910.110 (b)(10)(iii) (Table H-26)

ASME Boiler and Pressure Vessel Code, Sec. VIII, 1968 設備・機器§1910.106 (b)(1)(iv)(b)(2) and

(i)(3)(ii)1910.110(b)(11) (i)(b) and (iii)(a)(1)

NBBI

NBIC (National Bode Inspection Code) 設備・機器 -

NB-263 (RULES FOR COMMISSIONED INSPECTORS) 設備・機器 -

NB-369(Qualifications and Duties for Authorized Inspection Agencies PerformingInservice Inspection Activities and Qualifications for Inspectors of Boilers and Pressure Vessels)

設備・機器 -

NB-371(Accreditation of Owner-User Inspection Organization) 設備・機器 -

NFPA

NFPA 56: Standard for Fire and Explosion Prevention During Cleaning and Purging of Flammable Gas Piping Systems

設備・機器 -

NFPA 101 Life Safety Code 組織・人材 -

NFPA 400 Hazardous Materials Code 原材料 -

API

API ASME

ASME

NBBI

NFPA

83 出所:各団体ウェブサイト

凡例

p81に記載しているガイドライン/規格組織名

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連邦法においても、多くの民間ガイドライン/規格が直接参照されている

プロセス安全に関連する民間団体のガイドライン/規格(3/3)

民間団体名 ガイドライン/規格名 対象O&M 参照元条文

NFPA

NFPA 32-1970 Standard for Dry Cleaning Plants 設備・機器 §1910.106(j)(6)(i)

NFPA 35-1970 Standard for the Manufacture of Organic Coatings 設備・機器 §1910.106(j)(6)(ii)

NFPA 36-1967 Standard for Solvent Extraction Plants 設備・機器 §1910.106(j)(6)(iii)

NFPA 37-1970 Standard for the Installation and Use of Stationary Combustion Engines and Gas Turbines 設備・機器§1910.106(j)(6)(iv) and 1910.110

(b)(20)(iv)(c) and (e)(11).

NFPA 54-1969 Standard for the Installation of Gas Appliances and Gas Piping 設備・機器 §1910.110(b)(20)(iv)(a)

NFPA 54A-1969 Standard for the Installation of Gas Piping and Gas Equipment on Industrial Premises and Certain Other Premises

設備・機器 §1910.110(b)(20)(iv)(b)

NFPA 58-1969 Standard for the Storage and Handling of Liquefied Petroleum Gases (ANSI Z106.1-1970) 原材料 §1910.110 (b)(3)(iv) and (i)(3) (i) and (ii)

NFPA 59-1968 Standard for the Storage and Handling of Liquefied Petroleum Gases at Utility Gas Plants 原材料 §1910.110 (b)(3)(iv) and (i)(2)(iv).

NFPA 80-1968 Standard for Fire Doors and Windows 設備・機器 §1910.106(d)(4)(i)

NFPA 96-1970 Standard for the Installation of Equipment for the Removal of Smoke and Grease Laden Vapors from Commercial Cooking Equipment

設備・機器 §1910.110(b)(20)(iv)(d)

NFPA 251-1969 Standard Methods of Fire Tests of Building Construction and Materials 設備・機器 §1910.106 (d)(3)(ii)

NFPA 385-1966 Recommended Regulatory Standard for Tank Vehicles for Flammable and Combustible Liquids

設備・機器 §1910.106(g)(1)(i)(e)(1)

NFPA 505-1969 Standard for Type Designations, Areas of Use, Maintenance, and Operation of Powered Industrial Trucks

設備・機器 §1910.110(e)(2)(iv)

NFPA 30 Flammable and Combustible Liquids Code, 1996 Edition 原材料 §68.115(2)(i)

NFPA 704 Standard System for the Identification of the Hazards of Materials for Emergency Response, 1996 Edition

設備・機器 §68.115(2)(i)

UL

UL 58-61 Steel Underground Tanks for Flammable and Combustible Liquids, 5th Ed 設備・機器 §1910.106(b)(1)(iii)(a)(1).

UL 80-63 Steel Inside Tanks for Oil-Burner Fuel, 設備・機器 §1910.106(b)(1)(iii)(a)(1)

UL 142-68 Steel Above Ground Tanks for Flammable and Combustible Liquid 設備・機器 §1910.106(b)(1)(iii)(a)(1)

84 出所:各団体ウェブサイト

凡例

p81に記載しているガイドライン/規格組織名

© 2017. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.85

3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度

3.1. 米国ルール(regulation)の把握

3.1.1. 米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ

3.1.2. 連邦法

3.1.3. カリフォルニア州法

3.2. 米国における規格(standards)の把握

3.2.1. 民間団体が策定する規格

3.2.2. 民間団体の詳細

3.3. その他関連組織の把握

3.3.1. 保険会社

3.3.2. コンサルティング会社

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API(米国石油協会)は、OSHA PSMの基礎となる推奨プラクティスを策定した石油・石油化学関連の業界団体で、多くの策定規格が州法・連邦法に取り入れられている

86

API(米国石油協会)概要 連邦法におけるAPI規格に関する言及例

正式名称

組織規模

(主な会員)

American Petroleum Institute

目的

1919年に設立された石油及び天然ガス業界に関

連するすべての企業(製造、精製、サプライヤ、

販売、運営、海洋輸送等)を代表する業界団体

主な活動

議会や州議会での発言や、規制当局との交渉

シンポジウム、会議の運営、訓練実施 等

調査・認証

‒ 石油や石油化学の機器や運営に関する685の

規格や推奨プラクティスを策定しており、多くが

州法や連邦法に取り込まれている

‒ API RP 750は、OSHA PSMの基礎となっている

【主な規格】

• 754 Process Safety Performance Indicators

for the Refining and Petrochemical Industries

強力で発展力のある米国のオイル、天然ガス産業

の意見の政策への反映

出所:API ウェブサイト、OSHA ウェブサイト

位置づけ

会員企業650社(米国、カナダまたはメキシコで

事業を行う企業)

(会員企業例:Exxon Mobil、Chevron、Royal

Dutch Shell、Alcoa 等)

引火性、可燃性液体 (29 CFR 1910.106)Flammable liquids

引火性、可燃性液体(29 CFR 1910.116)における大気タンクや通気口の規格としてAPI規格が言及されている

(仮訳)§1910.106(b)(1)(iii) Atmospheric tanks. 大気タンク• 大気タンクは、許容設計基準に基づいて設計されなければならない。大気タンクは、下記の合意規格に基づいて設計されることができる

• API規格 No.650石油貯蔵用溶接鋼タンク 1966年第3版(略)

(仮訳)§1910.106(b)(2)(iv) 地上タンク用一般通気口• 通常の通気口は、API規格2000(1968年):大気・低圧貯蔵タンクの通気口、その他の許容される標準(中略)等に従って計測されなければならない

§1910.106(b)(1)(iii) Atmospheric tanks.• Atmospheric tanks shall be built in accordance with acceptable good

standards of design. Atmospheric tanks may be built in accordance

with the following consensus standards (略)

• American Petroleum Institute Standards No. 650, Welded Steel

Tanks for Oil Storage, Third Edition, 1966. (略)

§ 1910.106(b)(2)(iv) Normal venting for aboveground tanks.• Normal vents shall be sized either in accordance with:

• The American Petroleum Institute Standard 2000 (1968),

Venting Atmospheric and Low-Pressure Storage Tanks (略)

or other accepted standard; or (略)

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CCPS(化学プロセス安全センター)は、世界の主要なプロセス関連企業から構成され、産業の安全に関する100以上ものガイドラインを策定している

87

CCPS(化学プロセス安全センター)概要 連邦法におけるCCPS策定ガイドラインに関する言及例

正式名称

組織規模

(主な会員)

Center for Chemical Process Safety

目的

1985年にアメリカ化学工学技術者協会(American

Institute of Chemical Engineers, AIChE)により

設置された企業を会員とする非営利団体

主な活動

産業の安全に関するガイドラインの策定等を中心

としたプロジェクト活動

‒ 複数の分科委員会に分かれて活動し、可燃性、

爆発性、反応物質の製造、貯蔵、取扱いに関

する100種類以上のガイドラインを作成

【主な策定ガイドライン】

• Guidelines for Risk Based Process Safety

• Guidelines for Process Safety Metrics

産業プロセス保安の改善を主導するための、製造

業・政府・コンサルタント・大学/研究機関・保険会社

のとりまとめ

出所:CCPS ウェブサイト、EPA ウェブサイト

位置づけ

会員企業数160社以上

(会員企業例: Exxon Mobil、Chevron、Royal

Dutch Shell、BP、Dow、Du Pont、BASF)

化学事故防止策 (40 CFR part 68)Chemical accident prevention provisions

化学事故防止策(40 CFR 68)の監査に関する条文におけるRMPの見直しの方法のベースとして反映しうるガイドラインのひとつとして、CCPSガイドラインが言及されている

§68.220 Audits (e)• Based on the audit, the implementing agency may issue the owner

or operator of a stationary source a written preliminary determination

of necessary revisions to the stationary source's RMP to ensure that

the RMP meets the criteria of subpart G of this part. The preliminary

determination shall include an explanation for the basis for the

revisions, reflecting industry standards and guidelines (such as

AIChE/CCPS guidelines and ASME and API standards) to the extent

that such standards and guidelines are applicable, and shall include

a timetable for their implementation.

(仮訳)§68.220 監査)• 監査の結果に基づき、実施当局は、固定発生源の所有者または運営者に対して、書面でRMPが本パートのサブパートGの基準を満たすために必要な固定発生源のRMPに対する見直しの暫定判断を発行することができる。暫定判断は、適用可能な範囲において(AIChE/CCPSガイドラインやASME、API規格のような)産業標準やガイドラインを反映した見直し方法の基礎に関する説明及び実施のタイムテーブルを含まなければならない

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(参考)CCPSによるPSMメトリクスは、OECDやHSEの動向など、プロセス安全に関する世界の潮流を汲みながら発展した

88

PSMメトリクス発展の過程 CCPS プロセス安全メトリクス

国際機関

2003-2004 OECD(2008年改定)安全パフォーマンス指標:

科学事故ワーキンググループで作成された安全の指標化に向けたガイドライン

国家機関

2006 HSE

(英国労働安全衛生局)安全衛生ガイドライン254:

安全パフォーマンス指標化とリスクコントロールをサポートするガイドライン

(参考)

API

CCPS

2007 CCPS

RBPSガイドライン:

適切なPSM活動と有効な監視の仕組み作りのガイドライン

2007/12 CCPS(2011年第二版発行)プロセス安全メトリクス:

PSMの達成状況を計測する指標の枠組み

2010/04 ANSI/API

プロセス安全基準RP754:

APIが定めた石油・製油産業用のプロセス安全メトリクスの規格

目的

構成

共通のプロセス安全測定基準の開発 安全実績改善の推進 有意義なトレンドデータの提供 比較統合可能なフォーマットの確立 PSMの活動の現況

【Tier1・Tier2】遅行基準(事故及び小事故)

• 過去の実績を振り返るためのメトリクス(測定基準)のセット。業界全体のプロセス安全メトリクスの一部として報告されるべき重大さの閾値に達する事故をベースとしたもの

【Tier3】ニアミスその他社内の遅行指標• 軽微な事故、あるいは1つまたは複数の防護層を作動させたよ

うな不安全状態を示すもの。これら出来事は実際に起こるものであるが、最終的に重大事故につながるような状態を示す良い指標になると広く考えられている

【Tier4】 先行基準(不安全行為や作業規律不徹底)

• キーとなる作業プロセス、作業規律、事故防止対策層の成績を示す先行きの予測メトリクスのセット

【Tier1】Process safety incident

【Tier2】Process Safety Events

【Tier3】 Near Miss

【Tier 4】 Unsafe behavior or

insufficient operating discipline

事故防止の観点で重要

出所:CCPS「プロセス安全先行および遅行測定基準」

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NBBI(ボイラー圧力容器検査官協議会)は、州・市の規制当局の主任検査員で構成され、多くの州・市で採用されている検査規格の策定や、検査員/組織の認定を実施している

89

NBBI(ボイラー圧力容器検査官協議会)概要 加州法等におけるNBBIに関する言及例

正式名称

組織規模

(主な会員)

The National Board of Boiler and Pressure

Vessel

目的

1919年に設立された米国・カナダの州、市の規制

当局の主任検査員で構成される非営利団体

主な活動

設置・検査・修理・改造に関する基準の策定

‒ 供用中検査規格(NBIC)は、米国及びカナダの

多くの州・市で採用されている

検査官の認定

修理・改造企業、AIA(認定検査機関)やOUIO

(所有者-使用者検査組織)の認定

圧力機器事故の調査等

【主な規格】

• 供用中検査規格(The National Board Inspection

Code (NBIC))

圧力容器の建設・設置・修理・メンテナンス・検査の

統一性を通じた生命と資産の安全性の向上

出所:NBBI ウェブサイト、経済産業省ウェブサイト、カリフォルニア州産業関連部ウェブサイト

位置づけ

米国・カナダの州・市の規制当局の主任検査員

66人

ボイラー及び圧力容器の修理・改造(Circular Letter PV-2006-2)Repairs and Alterations to Boilers and Pressure Vessels

ボイラー及び火付き圧力容器の安全命令Sub Ch2. Boiler and Fired Pressure Vessel Safety Orders

Article 5. Inspection

加州のCircular Letterにおいて、ボイラーの修理・改造の準拠規格としてNBICが、加州のボイラー・圧力容器検査員の一部受験免除要件としてNBBIの検査員の任命書の保持について言及されている

(仮訳)• すべてのボイラーパイプ及び圧力容器の修理・改造は、

最新のNBICに従って実施されなければならない

(仮訳)§779. 検査員の認定• NBBIが発効した検査員の任命書を過去または現在も保持している

応募者は、(略)面接を受けることで筆記試験が免除される

§779. Certification of Inspectors• Any applicant, who has previously obtained and continues to

hold a commission as a boiler inspector issued by the National

Board of Boiler and Pressure Vessel Inspectors, may be exempted

from the written portion of the prescribed examination provided

such applicant appears for an interview

(略)

• All repairs and alterations to boilers, boiler piping and pressure

vessels shall be done in accordance with the current issue of the

National Board Inspection Code (NBIC).

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NFPA(全米防火協会)は、火事や電気に関わる損失の削減を目的とした非営利団体で、火事のリスクや影響低減のための規格・基準を策定している

90

NFPA(全米防火協会)概要 連邦法におけるNFPAに関する言及例

正式名称

組織規模

(主な会員)

National Fire Protection Association

目的

1896年に設立された個人会員から構成される

グローバルな非営利団体

主な活動

規格・標準の策定

‒ 火事のリスクや影響を最小限にするための建設、

処理、設計、サービス及び設置関する約300の

規格・基準を策定

‒ 策定には6,000人以上が関与

その他、アドボカシーや啓蒙活動、訓練、

リサーチ等

【主な規格】• NFPA 400 Hazardous Materials Code

情報や知見提供を通じた火事や電気に関わる

死亡・けが、資産・経済的損失の削減

出所:NFPA ウェブサイト、EPA ウェブサイト

位置づけ

100か国以上6万人以上

‒ メンバーの主な所属業界は、建築・エンジニア

リング(22%)、消防関連 (20%)、安全器具製造

販売 (12%)、医療施設 (12%)

化学事故防止策 (40 CFR 68)Chemical accident prevention provisions

化学事故防止策(40 CFR 68)において、混合物における規制対象物質の可燃性危険度を示す指標として、NFPAの指標が用いられている

(仮訳)§68.115 基準値の決定• (略)を除き、規制対象となる可燃性物質の濃度が混合物の重量の

1%以上である場合、固定発生源において閾値の規制対象物質が存在するかを判定するため、所有者または運営者が、混合物がNFPA

の可燃性危険度4を持たないことを証明しない限り、すべての重量の混合物を規制対象の物質と取り扱わなければならない。可燃性危険度4の証明は、NFPA704 (1996年)「緊急対応における物質の危険度特定のための標準システム」に従わなければならない

§68.115 Threshold determination.• Except as (略), if the concentration of the substance is one

percent or greater by weight of the mixture, then, for

purposes of determining whether a threshold quantity is

present at the stationary source, the entire weight of the

mixture shall be treated as the regulated substance unless

the owner or operator can demonstrate that the mixture itself

does not have a National Fire Protection Association

flammability hazard rating of 4. The demonstration shall be in

accordance with the definition of flammability hazard rating 4

in the NFPA 704, Standard System for the Identification of

the Hazards of Materials for Emergency Response, National

Fire Protection Association, Quincy, MA, 1996.

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ASME(米国機器学会)は、13万人の会員を擁するエンジニア領域における学会・職能団体で、圧力機器やパイプライン等に関する約600の規格を策定している

91

ASME(米国機器学会)概要 連邦法におけるASME規格に関する言及例

正式名称

組織規模

(主な会員)

The American Society of Mechanical Engineers

目的

1880年に設立されたエンジニア領域における協力、

知識の共有、能力開発のための学会・職能団体

主な活動

規格化や標準化およびそれに基づく認定等の活動

‒ 圧力機器、原子力プラント部品、パイプライン等

に関する約600の規格を策定

‒ 策定には、4,700人を超えるメンバーが参加

その他、学会活動、エンジニアリングに関する啓蒙

活動や、学生のキャリア支援等を実施

【主な規格】

• ASME Boiler and Pressure Vessel Code

生活の質の向上へのエンジニアリングの発展、

普及、適用やエンジニアリングの面白さを伝える

ことによる、グローバル社会への貢献

出所:ASME ウェブサイト、経済産業省ウェブサイト、日本学術会議ウェブサイト

位置づけ

151か国13万人(うち、3万2,000人は学生、その

他科学者や技術者から構成)

液化石油ガスの貯蔵および取り扱い (29 CFR 1910.110)Storage and handling of liquefied petroleum gases

液化石油ガスの貯蔵および取り扱い(29 CFR 1910.110)におけるボイラ及び圧力容器の規格として、ASME規格が言及されている

(仮訳)§1910.110(b)(3) 容器の建設及び初期テストに関する要件• (中略)に引用されているシステムに利用される容器は、§1910.6に参照されているASMEボイラー及び圧力容器規格(1968年)§Ⅷ不燃焼圧力容器の建設ルールに従って、設計・建設・試験されなければならない

• 1949年またはそれ以前版のASME規格に従って建築された容器はU-2からU-10項、また、U-19項に従う必要はない。これらのU-70項に基づいて建設された容器は認可されない

§1910.110(b)(3) Requirements for construction and

original test of containers• Containers used with systems embodied in (中略), shall be

designed, constructed, and tested in accordance with the Rules for

Construction of Unfired Pressure Vessels, section VIII, Division 1,

American Society of Mechanical Engineers (ASME) Boiler and

Pressure Vessel Code, 1968 edition, which is incorporated by

reference as specified in Sec. 1910.6.

• Containers constructed according to the 1949 and earlier editions of

the ASME Code do not have to comply with paragraphs U-2 through

U-10 and U-19 thereof. Containers constructed according to

paragraph U-70 in the 1949 and earlier editions are not authorized.

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UL(保険業者安全試験所)は、製品の機能や安全性に関する規格を策定する民間機関で、UL規格の約60%が米国の国家規格(ANSI)に採用されている

92

UL(保険業者安全試験所)概要 連邦法におけるUL規格に関する言及例

正式名称

組織規模

(主な会員)

Underwriters Laboratories Inc.

目的

1894年に設立された認証、検証、試験、検査、

監査、情報等のサービスを提供する民間機関

主な活動

UL規格の策定

‒ 製品の機能や安全性に関する約1,490の規格を

策定。約60%がANSI米国国家規格に採用

認証・試験・検査・監査・検証サービス

その他、アドバイザリー、教育、試験ツールの提供

【主な規格】

• UL 58-61 Steel Underground Tanks for

Flammable and Combustible Liquids, 5th Ed

安全な生活・職場環境の促進

出所:UL ウェブサイト、JETRO ウェブサイト、OSHA ウェブサイト

位置づけ

従業員数(関連会社含む)約10,387人

(39か国で従業員を雇用)

引火性、可燃性液体 (29 CFR 1910.106)Flammable liquids

引火性、可燃性液体 (29 CFR 1910.116)における大気タンクの規格としてUL規格が言及されている

(仮訳)§1910.106(b)(1)(iii) 大気タンク• 大気タンクは、許容設計基準に基づいて設計されなければならない。

大気タンクは(中略)参照されている下記の合意規格に基づいて設計されることができる (略)

• UL142 (1968年)可燃性液体用地上鋼製タンクに関する規格、UL58 (1961年12月第5版)可燃性液体用地下鋼製タンク規格、または、UL80(1963年9月)石油バーナー燃料用内部タンク規格

§1910.106(b)(1)(iii) Atmospheric tanks.• Atmospheric tanks shall be built in accordance with acceptable good

standards of design. Atmospheric tanks may be built in accordance

with the following consensus standards that are incorporated by

reference (略)

• Underwriters‘ Laboratories, Inc., Subjects No. 142, Standard for

Steel Aboveground Tanks for Flammable and Combustible

Liquids, 1968; No. 58, Standard for Steel Underground Tanks

for Flammable and Combustible Liquids, Fifth Edition,

December 1961; or No. 80, Standard for Steel Inside Tanks

for Oil-Burner Fuel, September 1963.

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3. 米国(カリフォルニア州)の保安制度

3.1. 米国ルール(regulation)の把握

3.1.1. 米国(カリフォルニア州)の保安制度サマリ

3.1.2. 連邦法

3.1.3. カリフォルニア州法

3.2. 米国における規格(standards)の把握

3.2.1. 民間団体が策定する規格

3.2.2. 民間団体の詳細

3.3. その他関連組織の把握

3.3.1. 保険会社

3.3.2. コンサルティング会社

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保険会社は、保険料の算定の際に勘案するプラントの安全性評価の指標としてPSMの作成状況や監査結果を利用している

保険会社のPSMの利用に関する言及例

組織名 保険会社とPSMに関する言及内容

VPP認定企業X社

CCPS(化学プロセス安全

センター)

Industrial

Refrigeration

Consortium(ウィスコンシン大学と

産業界のコンソーシアム)

出所:CCPS ウェブサイト、OSHA ウェブサイト、ウィスコンシン大学ウェブサイト94

• 保険業者は、被保険資産を守るため、機能的なPSMプログラムを持つプラントを探している。PSMを作成していない場合はプラントや貯蔵製品は保険の対象外となる可能性がある。健全なPSMがプラント内で作用している場合は、保険リスクが低いため、保険業者に保険料削減を要求できる(A Manager’s Guide to Process

Safety Management)

• 自社の施設において、VPPのイニシアチブの一環として実施した施設のPSMプログラムや手続きの変更により、年間100万ドルのビジネスリスクに関する保険料が削減された。また、従業員に対する補償保険も年間25万ドルの削減を実現した(OSHA Evaluation of the Voluntary Protection Program Findings Report

September 2005)

• 保険業者の役割は資産の保護であるため、彼らの目的はPSMプログラムの目的と異なる。一方、PSMプログラムは火事や爆発のような大規模な事故を防ぐためのものであるため、プロセス安全と損失防止において重複する部分が存在する。したがって、保険会社はPSMプログラムの要素に関心を持っており、PSMの監査結果の提示を求める場合がある(Guidelines for Auditing Process Safety Management Systems(2011))

なお、OSHAはPQV検査対象を選定する際、保険会社の事故レポートを参考にすることを推奨している

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• 1987年に設立されたプロセス関連企業に対

するプロセス安全やリスク管理に関するコンサルティング企業

• OSHAのPSM検査時に使用される事業者の順守評価するツールを提供

認証機関やコンサルティング会社等の民間企業が広汎なサービスを提供し、事業者のPSM・RMPの策定・実施・監査をサポートしている

民間企業が提供するPSM・RMP関連サービス

企業名 企業概要

出所:OSHA ウェブサイト、ABS Group ウェブサイト、Prima Tech ウェブサイト、Safety Pro Resources ウェブサイト

• 1862年に米国船長協会として設立された安全・リスク管理関連サービスを提供する企業

• 1977年よりプロセス安全関連事業を開始

• 米国におけるISO第三者認証機関としての資格を持つ

• 1885年に設立された検査、試験、認証等の品質保証サービスを提供する英国企業

• OSHAが認定した機器に関する国家認定試験機関

• 2005年に設立された監査を中心とした安全に関するコンサルティング企業

PSM・RMP関連サービス

策定 実施 監査 訓練 備考

○* ○ ○* Cal/OSHAの精油事業に特化したPSMのように、

州における特定の産業に対する法令にも対応

* 一般的に受け入れられた工業慣行に基づいた、プロセス危険分析や防護層分析

○ ○ ○ ×

○ ○ ○ ○

△* × ○ ○

95

Intertek

ABS Group

Prima Tech

Safety Pro

Resources

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4. EU(ドイツ)の保安制度

4.1. EU・ドイツルール(regulation)の把握

4.1.1. ドイツの保安制度サマリ

4.1.2. EU法

4.1.3. ドイツ法

4.2. EU・ドイツにおける関連組織の把握

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産業保安関連ルール:ドイツの保安制度サマリ(1/2)

97

【総論】

ドイツの産業保安ルール体系は、労働社会省(BMAS)が所管する機器及び危険物質の管理と、環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)が所管するプロセス安全管理(PSM: Process Safety Management)の2系統から成る

機器の検査は製品安全局(ZLS)に認定された第三者認証機関若しくは検査可能事業者(PvU)による、プロセスの検査は行政機関による検査が義務付けられている点が特徴的である(危険物質に関する検査は存在しない)

これらの法的義務の順守のため、事業者は、機器のリスクアセスメントや大事故防止ポリシーの策定等の義務を負っており、第三者認証機関、安全専門家等のステークホルダーの協力を得ながら運用している。これら事業者を取り巻くステークホルダーが保安品質の維持・向上に貢献しているものと考えられる

第三者認証機関は、機器の検査を行う一方で、プロセス安全管理のリスクアセスメント補助サービス等を展開しており顧客の獲得・維持を目指した競争原理が働き、保安品質が維持されている

安全専門家は、保安体制の不定期検査の実施や定期検査における行政機関の補助を実施する。安全専門家は、高いレベルの知識と豊富な経験を保持しており、専門性の維持が求められるため、保安検査の質が維持されている

職業保険組合は、労働災害防止の観点から、労働安全衛生に関する検査・監査や事業者への助言を実施し、事業者の保安体制の強化を促している

【各論】

<法律に定めのある事項>

BMASは、事業者による内部管理(主に労働安全確保)に係る事項として、機器及び危険物質の管理を所管している。EU法の「労働安全衛生枠組み指令」、「作業用機器の使用に関する指令」、「ATEX職場指令」、「職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令」等のドイツ国内での執行を担当しており、機器の検査やリスクアセスメントを定める「産業安全衛生規則」、危険有害物質に起因する労働者へのリスクアセスメントを定める「危険有害物質規則」を所管している。

「産業安全衛生規則」及び「危険物質有害規則」に基づいて、BMASに対する諮問機関である「産業安全委員会」と「危険物質委員会」が設置されている。両諮問機関は、機器のメンテナンスや検査、危険有害物質の取扱いに関する技術規則(TRBS・TRGS)を策定し、「産業安全衛生規則」や「危険物質有害規則」の事業者による履行を補助している

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産業保安関連ルール:ドイツの保安制度サマリ(2/2)

98

【各論】

<法律に定めのある事項(続き)>

「産業安全衛生規則」においては、機器の検査について第三者認証機関による検査の実施が定められている。この第三者認証機関は、州政府間の合意によって設立した製品安全局(ZLS)が認定する認証機関を指し、認可を受けた当該機関が機器の検査を実施することができる

また、ZLSは「産業安全衛生規則」に基づきPvUの認定も実施している。PvUに認定された事業者は、機器の自主検査が可能となる

一方、BMUBは保安体制に係る事項として、プロセス安全管理(PSM)の仕組みを所管している。EU法の「セベッソll指令」のドイツ国内での執行を担当しており、PSMに基づいた安全管理について定める「重大事故対策規則」を所管している

「重大事故対策規則」において、BMUBは、当該規則の順守を担保すべく、検査システムの構築を義務付けられており、安全報告書を作成している一定の事業者に対しては原則、毎年立ち入り検査を実施することが義務づけられている

プロセス安全委員会(KAS)は、「重大事故対策規則」の上位法である「汚染防止法」に基づいてBUMBに対する諮問機関として設置されている。KASは、「重大事故対策規則」法定事項の順守のためのガイドライン等を作成しており、事業者が活用している

職業保険組合は、社会法第7典において労災防止の観点から労働安全衛生に関する規制やガイドラインの作成や監査・検査・助言、保安関連の研修等を実施し、事業者の保安体制強化に貢献している

安全専門家は、「産業安全衛生規則」 に基づく保安体制の定期検査の補助や、「汚染防止法」に基づく保安体制の不定期検査を実施できる、汚染防止法第41規則おいて定められている要件を満たして州政府に登録された専門家であり、第三者認証機関や民間のコンサルティング会社に所属している

<法律に定めのない事項>

第三者認証機関は、機器・危険物質・プロセスに関するリスクアセスメントの実施支援サービスを事業者に対して提供している。民間のコンサルティング会社やフリーランスの専門家も、第三者認証機関と同様、リスクアセスメントの実施支援サービスを事業者に提供しており、第三者認証機関と競合関係にある

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ドイツでは、自主検査・監査を法的に義務付ける仕組みはなく、保安管理に関する一部検査を政府機関が実施し、機器の検査を第三者認証機関が実施する

ドイツにおける産業保安確保の仕組み

事業者

欧州委員会

州政府

第三者機関(検査・認証機関)

関連組織

規制対象

ドイツ政府

執行委任機関

補完機関

労働社会省(BMAS)

連邦レベルの労働安全確保

環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)

連邦レベルの事故及び環境リスクの管理

産業安全委員会(ABS)/危険物質委員会(AGS)

技術基準(TRBS※1、TRGS※2)の策定

第三者検査機関

機器の検査

内部管理の仕組み 外部影響管理の仕組み 危機管理の仕組み

連邦政府

雇用・社会問題・機会均等総局

EUにおける労働安全衛生管理

機器の検査( 産業安全衛生規則第14条)

技術基準の参照

• セベッソⅡ順守状況報告(3年毎)( 重大事故対策規則14条)

• 事故状況報告( 重大事故対策規則19条)

• 規則順守検査( 重大事故対策規則第16条)

• 立入検査(毎年)(安全報告書を作成している事業者のみ)( 重大事故対策規則第16条)

• 大事故防止ポリシーの策定( 重大事故対策規則第8条、付属書Ⅲ)

• 安全報告書の策定、見直し(5年に1回)( 重大事故対策規則第9条)

• 事故発生時計画の策定・見直し(3年に1回)( 重大事故対策規則第10条)

• 不定期検査の実施(安全専門家により実施)( 汚染防止法29条)

助言( 産業安全衛生規則第21条/ 危険有害物質規則第20条)

• 機器のリスクアセスメント( 産業安全衛生規則第3条)

• 機器検査(検査可能事業者のみ)( 産業安全衛生規則第14条)

• 労働者の労働安全確保( 危険有害物質規則第7条)

• 危険物質のリスクアセスメント( 危険有害物質規則第7条)

法定労災保険組合(DGUV/BG-RCI)

保険料の算定、規則・ガイドラインの策定

リスクアセスメント実施支援

サービスの提供 サービスの利用

検査実施

機器検査実施

プラントオーナー・事業者

環境総局

EUにおける環境リスク管理

執行の委任

執行の委任(セベッソⅡ指令)

執行の委任( 労働安全枠組指令、 作業用機器指令、 ATEX職場指令、 化学物質のリスクに関する指令)

州労働担当省 州環境担当省

• 保険料の提示• 規則・ガイドラインの策定• 労働環境監視(社会法第7典)

• 保安関連記録の提示• 規則ガイドラインの参照

※1:TRBS(Technische Regeln für Betriebssicherheit: Technical regulations on Industrial Safety)はABSが策定、※2:TRGS(Technische Regeln für Gefahrstoffe: Technical regulations on hazardous substances)は、AGSが策定※3:州政府内部に存在する法規制の監督を専門とする組織

DE-4 DE-4

DE-5DE-6

DE-5

DE-5 DE-6 DE-4 DE-4

DE-4

EU

DE-4

EU-5 EU-8EU-2 EU-3

営業監督局※3

労働保護法や環境法の順守

順守状況の報告(3年毎)( 重大事故対策規則14条)

DE-4

外部専門家

リスクアセスメントの実施支援

DE-6DE-5

製品安全局(ZLS)

認定検査機関の認定・評価

執行の委任

監督の委任監督の委任

プロセス安全委員会(KAS)

ガイドラインの策定

ガイドラインの参照

助言( 汚染防止法第51条a)DE-1

検査機関指名の委任(各州の規則)

検査可能事業者の認定( 産業安全衛生規則付属書Ⅱ)

DE-5

各州の検査機関の指名( 製品安全法第37条)

DE-3

検査機関の認定( 産業安全衛生規則付属書Ⅱ)DE-5

• 不定期検査の指示( 汚染防止法第29条a)

DE-2

DE-4 DE-1

安全検査の結果提出( 汚染防止法第29条a)

DE-1

法的拘束力のあるアクション(対象法令)

法的拘束力のないアクション組織名

産業保安に関する主な役割

凡例

専 安全専門家が存在する組織

99

© 2017. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.100

4. EU(ドイツ)の保安制度

4.1. EU・ドイツルール(regulation)の把握

4.1.1. ドイツの保安制度サマリ

4.1.2. EU法

4.1.3. ドイツ法

4.2. EU・ドイツにおける関連組織の把握

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産業保安関連ルール:EU法サマリ

101

【全体】

EU関連規制は、雇用・社会問題・機会均等総局、域内市場・産業・起業・中小企業総局、環境総局、等が実施している

米国と同様、保安については、高圧ガス・危険物を問わず、一定数量以上の危険物・有害物質を取り扱う事業者に保安に関するマネジメントシステムの構築・運用を義務付けている点に特徴がある

【個別ルール】

製造許可等に関するルールには、REACH規則があり、一定数量以上の製造者の届出等の義務が定められている

事業者の保安体制に関するルールに付随する法令は以下のとおり

①セベッソIII指令

• 危険物の取扱いにおける大事故防止等の実施や、危険物を取り扱う施設の設置における土地利用計画及び関連情報の公開等が規定されている。なかでも、大事故防止に向けて、事業者は適切な措置を講じていることを実証するとともに、当局による定期的な検査が求められるほか、提出する安全報告書では、リスクを特定し記載すべき旨が定められている

②労働安全衛生枠組み指令

• 作業用機器や化学物質等の選択の際の労働者の安全に関するリスクアセスメントの実施が定めれられている

③作業用機器の使用に関する指令

• 作業用機器の設置後、運転前、定期、異常時における資格能力を持つ人材による検査の実施が定められている

施設の設置基準や設備・機器の技術基準に関するルールに付随する主たる法令は以下のとおり

①圧力容器指令(PED)

• 高温・高圧あるいは危険な気体を格納・貯蔵・処理する容器や機器の製造、設置等が定められている

② ATEX機器指令

• 爆発性雰囲気で使用される機器や防護システムについて必須安全衛生要件を定められている

高圧ガス等の危険物の取扱等に関するルールは、CLP規則により定められている

• CLP規則は人体の健康・環境保護を目的として化学品の分類・表示・包装(安全データシートの作成・貼付)を定められている

人材育成・配置等に関するルールに付随する主たる法令は以下のとおり

① ATEX職場指令

• 事業者が爆発リスクアセスメントを実施する義務を負うほか、労働者の訓練の実施、防爆資料の策定等について定められている

②職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令

• 職場における化学リスクから従業員を保護するために、事業者がリスクアセスメントを実施し、保護措置を講じなければならない

事故等による外部影響に関するルールについては、セベッソIII指令のほか、EIA指令がある

• EIA指令は予防原則に基づき、特定の公共・民間事業の認可の前に環境への環境を評価する環境アセスメントの手順を規定している

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EUにおいては、セベッソIII指令が大事故防止に向けた措置の実施を義務付けた上で、労働安全衛生枠組み指令、作業用機器指令等が、機器や人の保護について定めている

産業保安関連ルール抽出: EUのルール

102

運転開始後運転開始前

O&M対象

内部要素

外部要素

設備・機器

環境影響• 環境影響評価(建設時)

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

セベッソ(Seveso)III指令・危険物の取り扱いにおける大事故防止措置の実施(第8条)、・より危険度の高い危険物を取り扱う事業者の安全報告書の作成(第10条)

EU-1

EIA指令・環境影響評価の実施

EU-9

産業排出指令(IED)・産業排出を伴う事業者の操業許可、行政による定期検査の実施

EU-10

・・・本資料にてサマリ提示

労働安全衛生枠組み指令 ・ 職場のリスクアセスメントについて規定

作業用機器の使用に関する指令 ・ 作業用機器の検査について規定

組織・人材

原料・

生成物

ATEX職場指令爆発性雰囲気における防爆・保護の対策(第3条)

職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令危険化学物質のリスクアセスメント及びリスク回避の対策(第4-5条)

ATEX機器指令・爆発性雰囲気にある機器の要件

EU-7

EU-8

圧力機器指令(PED)・圧力機器の技術要件

CLP規則・化学品の分類、表示等の要件

EU-6

RE

AC

H

規制(1907/

2006)

(注:一定数量以上の製造者の届出等の義務)

EU-4

EU-2

EU-3

EU-5

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セベッソ III指令は、危険物質に起因する大災害の予防と、災害発生時の危害を最小限に抑えることを目的とし、保有する危険物質の量に応じて施設を分類し、対策を講じることを定めている

セベッソ III指令 (Directive 2012/18/EU on the control of major-accident hazards involving dangerous substances)

出所:セベッソ III指令

EU-1

O&M対象

調査事項

欧州ルール: セベッソ III指令

• 安全管理システムの有効性などを自主監査しなければならない【附属書III】

• 事業者は適切な措置を講じていることを実証し、当局は定期的な検査を実施しなければならない【第20条】

自主保安に関する規定

• 事業者はリスクアセスメント考慮した

安全管理システムを基に安全報告書

を策定するとともに、事故発生時計画

を策定しなければならない

【第10・12条、附属書II・III・IV】

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

詳細

詳細

詳細

詳細

103

CLP規制 人体の健康・環境保護を目的とした化学品の分類・表示・包装を規定するCLP規定(Regulation (EC) No. 1272/2008)を参照

参照

EU-6

A

B

A

B

B

B

危険物質に起因する大災害を予防し、災害が発生した際の人間や環境への危害

を最小限に抑えるための制度(保有する危険物質の量に応じて施設を分類)

第8条 大事故防止措置の実施加盟国は、事業者が安全管理システムを基に、大事故防止ポリシーを策定し、当該ポリシー沿って適切な措置をとることを確かなものとしなければならない

第10条安全報告書の策定加盟国は、より危険な施設(Upper tier establishment)の事業者が附属書IIに沿って、安全報告書を策定することを確かなものとしなければならない

第12条事故発生時計画の策定加盟国は、より危険な施設の事業者が事故発生時計画を策定することを確かなものとしなければならない

第13条土地利用計画の策定加盟国は、当局が施設承認の意思決定をするために、事業者は十分な情報を当局に提供することを確かなものとしなければならない

第15条意思決定における市民参加加盟国は、施設建設に関して、市民は当局に意見を述べる権利があることを確かなものとしなければならない

第20条検査加盟国は、事業者が適切な措置を講じていることを実証し、当局が定期的な検査を実施することを確かなものとしなければならない

第23条司法制度の利用加盟国は、情報提供や参加機会が適切に得られない市民が司法制度を利用できることを確かにしなければならない

【附属書II】第10条における安全報告書に最低限記載すべきデータ・情報

【附属書III】第8条(5)及び第10条における大事故防止に向けた安全管理システム及び組織的な運用管理

【附属書IV】第12条の事故発生時計画に含めるべきデータ・情報

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

B

A

A

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欧州ルール: セベッソ III指令

第20条 検査

セベッソ III指令の検査に関する規定(第20条)において、事業者による適切な措置及び当局による定期的な検査を義務付けている(1/2)

EU-1

1. 加盟国は、権限のある当局が検査のシステムを体系化すること確実なものとしなければならない

2. 検査は施設のタイプに応じたものでなければならない。検査は安全報告書やその他提出された報告書に依拠してはならない。検査は、技術的、組織的および管理的にどうなっているのかを確かめ、計画的かつ体系的なものでなければならない特に下記について確実なものとする必要がある

a. 事業者が、大事故を防ぐために施設に関連する様々な作業活動において適切な措置を講じていることを実証

b. 事業者が、大事故を防ぐために施設内・外において適切な措置を講じられていることを実証

c. 安全報告書またはその他提出した報告書に記載されているデータや情報が十分に施設の状況を反映したものであること

d. 第14条に基づき、市民に情報を公開していること

3. 加盟国は、国、地域、もしくはローカルレベルでの検査計画が策定されており、その計画は定期的にレビューされ、適切に更新されていることを確実なものとしなければならない各検査計画には下記を含む必要がある

a. 安全性の問題に関する一般的アセスメント

b. 検査計画がカバーしている地理的エリア

c. 検査計画がカバーしている施設リスト

d. 第9条に基づきドミノ効果の可能性がある施設グループのリスト

e. 特定の外部リスクや危険の原因が大事故のリスク又は結果をもたらしそうな施設のリスト

104

自主保安に関する規定A

f. 第4項に基づく、定期検査の手順

g. 第6項に基づく、非定期検査の手順

h. 異なる検査当局間の協力

4. 第3項の検査計画に基づき、権限のある当局は、施設の種類ごとの訪問頻度を含め、全ての施設の定期的検査に関するプログラムを策定しなければならない。権限のある当局が大事故の危険性に関して体系的な評価に基づいてプログラムを策定しない限りは、より危険な施設(upper-tier establishment)への訪問については1年以上の期間をあけるべきではなく、危険な施設(lower-tier establishment)への訪問は3年以上の期間をあけるべきではない

5. 施設の危険性の体系的な評価は、少なくとも以下の基準に基づいてなければならない

a. 人間の健康や環境への潜在的影響

b. 当該指令の要求事項の順守記録

適切である場合、他の加盟国の規定の下で行われる検査に関する結果も考慮に入れる必要がある

6. 不定期検査は、深刻な苦情や、重大事故、ニアミス、軽微な事故、不順守状況の発生を調査するために早急に実施されなければならない

7. 検査によって、当該指令に準拠していない重大なケースが特定された場合、6ヵ月以内に追加的検査が実施されなければならない

8. 検査は可能な限り、他の加盟国の規定と調整し適切に組み合わせたものでなければならない

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

出所:セベッソ III指令

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欧州ルール: セベッソ III指令

第20条 検査

セベッソ III指令の検査に関する規定(第20条)において、事業者による適切な措置及び当局による定期的な検査を義務付けている(2/2)

EU-1

105

自主保安に関する規定A

9. 加盟国は、権限のある当局が経験を共有し、知識を統合するためのメカニズムとツールを提供するとともに、EUレベルでこのようなメカニズムに参加することを奨励しなければならない

10.加盟国は、権限のある当局が当該指令に基づき検査を実行し、必要情報を収集できるように、事業者が権限のある当局に全て必要な支援を提供していることを確実なものとしなければならない。特に、大事故の可能性に関する評価や大事故の可能性を高める範囲を決定するために、外部事故発生時計画を作成し、当局に提出しなければならない

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

出所:セベッソ III指令

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附属書II 第10条における安全報告書に最低限記載すべきデータ・情報

欧州ルール: セベッソ III指令

1. 大事故防止に向けた管理システム及び組織体制に関する情報当該情報には附属書IIIにある要素を含めなければならない

2. 施設の周辺環境

a. 地理的位置、気象、地質、海象や、必要に応じて歴史的背景を含め、施設及びその周辺環境に関する説明

b. 大事故の危険性を表示するための装置及びその他活動の特定

c. 入手可能な情報の下、近隣施設、当該指令の範囲外の施設、大事故の原因となりうるもしくはリスクを増加させドミノ効果の結果をもたらすような地域・開発を特定

d. 大事故が発生する可能性があるエリアの説明

3. 装置に関する説明

a. 安全性、大事故リスクの原因や大事故リスクが発生した場合の状況の観点から、施設の主な作業内容や装置に関する説明。大事故の予防策についても記載すべき。

b. 特に操作方法における工程の説明や適用可能なベストプラクティス

c. 危険物質の説明

4. 事故リスクの特定、リスク分析と予防対策

a. 大事故発生のシナリオや確率、または各シナリオにおいて大事故が発生した場合に起こりそうな状況、事故原因となりそうな外部・内部装置

b. 地図や画像、もしくは事故の影響を受けるエリアがわかるような同等の説明を含め、事故が起こった場合の影響度や深刻度のアセスメント

c. 同じ危険物質や工程を使用した過去の事故のレビュー、そこから得られる教訓、事故を防止するための具体的な対策

d. 安全装置に関する技術的パラメータ及び機器の説明

5. 大事故が発生した場合の影響を最小限に抑えるための対策

a. 大事故による人間の健康や環境への影響を最小化するために導入された機器の説明。たとえば、検出/保護システム、水噴霧や蒸気スクリーン、緊急時密閉容器、回収容器、密閉バルブ、不活性化システム、火災保水のような事故時の影響を抑える技術装置等

b. 警告の組織体制

c. 内部・外部で移動可能なリソース

d. 大事故の影響を低減するための技術的・非技術的な対策の説明

EU-1

セベッソ III指令の安全報告書に関する規定(附属書II)において、事業者にリスクアセスメントの策定や大事故の影響を最小限に抑えるための対策を講じることを義務付けている

106

リスクアセスメントに関する規定B

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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欧州ルール: セベッソ III指令

附属書III 第8条(5)及び第10条における大事故防止に向けた安全管理システム及び組織的な運用管理

セベッソ III指令の安全管理システムの規定(附属書III)において、事業者が構築すべき安全管理の仕組み(安全管理システム)の要件を定めており、リスクアセスメントのほか、監査及びレビューの実施を定めている

EU-1

iv. 変更管理新しい装置や手順、貯蔵施設の設計や変更計画の適用・実行

v. 事故発生時の計画

体系的な分析による予知可能な緊急事態を特定、緊急事態に対応するための事故発生時計画の準備・テスト・レビュー、関連社員への具体的な訓練の提供に関する手順を適用・実行。訓練は関連するコントラクターを含めた全ての労働者に対する実施

vi. パフォーマンスの監視事業者のMAPPの下設定された目的及び安全管理システムに

基づく継続的なコンプライアンス評価及びコンプライアンスに反する場合の調査方法及び是正処置に関する手順の適用・実行。当該手順には、特に防護対策の失敗による大事故やニアミスを報告するシステム、調査内容、フォローアップで学んだ教訓も含む。また、当該手順には安全性能指標(Safety

Performance Indicators: SPIs)及び/または他の関連指標を含むことも可能

vii. 監査及びレビューMAPPと安全管理システムの有効性と適合性における定期的

かつシ体系的なアセスメントの手順の適用・実行、方針や安全管理システムのパフォーマンスの文書化や監査やレビューによって指摘の下、上級管理職による必要箇所の更新

107

リスクアセスメントに関する規定B自主保安に関する規定A

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

a. 事業者の安全管理システムを実施するにあたり、以下の要素を考慮しなければならない。安全管理システムは、危険性、産業活動や組織の複雑性に比例するものとし、リスクアセスメントに基づくものでなければならない。安全管理システムには、大事故防止ポリシー(MAPP)を実行するための組織体制、責任の所在、慣行、手順、プロセス、リソースを含めた一般的な管理体制を含める必要がある

b. 安全管理システムは、以下の点について対応しなければならない

i. 組織と人材組織内の全てのレベルで主要な危険物質の管理に関わる担当者の役割と責任の明確化、及び継続的な改善の必要性や意識を高めるための措置。担当者の訓練の必要性を特定し、訓練を提供。安全性の観点から社員及びコントラクターへの関与

ii. 危険性の特定・評価コントラクターも含め、正常動作及び異常動作に起因する主要な危険性を体系的に特定するための手順を適用・実行

iii. 運用管理施設やプロセス及び設備機器のメンテナンス、アラームマネジメント及び一時停止を含め、安全操作のための手順や指示の適用・実行。システム障害のリスクを低減する観点から、監視や制御のベストプラクティスに関する入手可能な情報を入手。設備機器の老朽化や腐食に伴うリスク管理と制御。設備機器の状態を監視及び管理するための在庫確認・管理方法を計画策定。適切なフォローアップ活動及び必要な対策の実施

出所:セベッソ III指令

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欧州ルール: セベッソ III指令

附属書IV 第12条の事故発生時計画に含めるべきデータ・情報

セベッソ III指令の事故発生時計画に関する規定(附属書IV)において、事業者に事故が発生した場合の対応策を講じることを義務付けている

EU-1

2. 外部非常時計画(External emergency plan)

a. 非常時の実施手順を設定する権限を有する担当者の氏名または職位、および施設外緩和措置の責任者

b. 事故の初期警報を受け取る方法、および警報・召集の手順

c. 外部非常時計画実施に必要なリソース調整の方法

d. 施設内緩和措置に対する支援方法

e. 施設外緩和措置の実施方法および安全報告書にて設定された重大事故シナリオへの対応、発生しうるドミノ効果に対する検討。環境に対する影響を与えるものも記述

f. 公衆および指令の対象外となる近隣施設ないし施設に対する、事故情報および実施してもらう必要がある対応事項を連絡する方法

g. 他国にも影響を与える重大事故の発生時に、他の加盟国の非常時サービスに対する情報提供の方法

1. 内部非常時計画(Internal emergency plan)

a. 非常時の実施手順を設定する権限を有する担当者の氏名または職位、および施設内の緩和措置の責任者

b. 外部非常時計画を所管する規制機関との連絡窓口となる担当者の氏名または職位

c. 重大事故を発生させる可能性が予見される条件、または出来事に関し、その条件または出来事を管理し、その影響を制限するために実施すべき措置の内容。安全装置および利用可能なリソースに関する記述

d. 施設内の人々に対するリスクの影響を制限するための措置。警報の実施方法および警報発信時に実施すべき行動に関する記述

e. 外部非常時計画を管轄する規制機関に対する初期警報連絡の実施方法、初期警報に含める情報の種類、より詳細情報が得られた際にその情報を連絡する方法

f. 必要に応じ、職員が実施すべき対応に関する教育。また、施設外部の非常時サービスの調整についても適宜記述

g. 施設外緩和措置に対する支援方法

108

リスクアセスメントに関する規定B

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

出所:セベッソ III指令

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(参考)ドイツのセベッソ指令の対象施設はEU全体の約1/4(約2,400施設)とEU域内では圧倒的に多い

109

EU内におけるセベッソ指令の対象となる施設数上位10ヵ国(2011年)

1,104

622533

388 332

1,301

574568

698

435

129113166189249182194

175192167

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

フランス

2,405

767

イタリア

1,101

ドイツ オランダスペイン英国

1,086

1,196

381

ベルギー

416

スウェーデン ルーマニアポーランド

341 311307

危険な施設(Lower tier establishment)

より危険な施設(Upper tier establishment)

(EU全体の23%)

出所:European Commission (DG Environment) “Analysis and Summary of Member State’s Reports on the Implementation of Directive 96/82/EC on the Control of Major

Accident Hazards Involving Dangerous Substances” 2013、Cefic “The European Chemical Industry Facts & Figures 2016”

欧州ルール: セベッソ III指令 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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該当法令

EUにおける労働者安全衛生関連のルール体系は、枠組み指令(89/391/EEC)を中心に整備されている

(参考)労働安全衛生関連のEUルール体系

出所:EU法令データベース、欧州委員会ウェブサイト、国際安全衛生センター資料

労働安全衛生の改善を促進するための施策導入に関する指令(89/391/EEC)

妊娠中の労働者の安全及び健康の改善に関する指令(92/58/EEC)

若年労働者の保護に関する最低要件を定める指令(94/33/EC)

有期または臨時雇用の労働者の健康と安全の向上のための施策を補足する指令(91/383/EC)

鉱物採掘産業労働者の安全及び健康の改善に関する指令(92/91/EEC)

職場での労働者による作業機器の使用についての最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(2009/104/EC)

職場での労働者による保護具の使用についての最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(89/656/EEC)

労働者によるディスプレー・スクリーン機器の使用についての最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(89//656/EEC)

手動での荷扱いについての最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(90/269/EEC)

職場についての最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(89/654/EEC)

仮設または移動式建設現場での最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(92/57/EEC)

船舶上での医療の改善のための最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(92/29/EEC)

漁船に乗船しての作業についての最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(93/103/EEC)

職場における物理的・化学的・生物学的因子に暴露される危険からの労働者保護に関する指令(80/1107/EEC)

職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令(98/24/EEC)

物理学的因子(振動)に暴露される危険に対する最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(2002/44/EC)

物理学的因子(騒音)に暴露される危険に対する最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(2003/10/EC)

生物学的因子に暴露される危険からの労働者の保護に関する指令(2000/54/EC)

地上及び地下の鉱物採掘産業労働者の最低限の健康及び安全要求事項に関する指令(92/104/EEC)

爆発性雰囲気における労働者安全衛生指令(ATEX職場指令)(1999/92/EC)

職場における発がん性物質暴露の危険からの労働者の保護に関する指令(90/394/EEC)

金属鉛、アスベスト、騒音等に関する個別指令(82/605/EEC、83/477/EEC、86/188/EEC)

保護の対象

労働者全般

特定労働者

規律の対象

雇用者全般

作業機器

個人用保護具

ディスプレイ・スクリーン機器

手作業

作業場一般

建設現場

船舶/漁船

船舶/漁船

物理・化学・生物学的因子

化学的因子

物理的因子

物理的因子

生物学的因子

爆発性雰囲気

生物学的因子

化学的因子

作業条件(機器使用/未使用時)

作業場所

作業環境(物理・化学・生物学的リスク)

規律の主眼規律の目的

労働者の安全・衛生の確保

基本原則を定める枠組み指令

枠組み指令に基づく個別指令

個別指令

個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別事例

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

個別指令

個別指令

個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

個別指令

枠組み指令に基づく個別指令

個別指令

位置づけ 法令名

110

EU-8

EU-7

EU-2

EU-3

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労働安全衛生枠組み指令は、事業者に対して労働者の安全衛生に関するリスクアセスメントと保護対策の実施を定めている

労働安全衛生枠組み指令(89/391/EEC on the introduction of measures to encourage improvements in the safety and health of workers at work )

出所:労働安全衛生枠組み指令

EU-2

O&M対象

調査事項

欧州ルール: 労働安全衛生枠組み指令

• 事業者は、労働者の安全衛生の保護のため、必要な措置をとらなければならない【第6、9条】

自主保安に関する規定

• 事業者は、安全衛生に関するリスク

評価を実施しなければならない

【第6条、第9条】

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

111

作業用機器指令

本枠組み指令に基づく個別指令EU-3

A

B

職場における労働者の安全衛生の向上を促すための施策の導入を目的とした、労働関連リ

スクの抑制、安全衛生の保護、リスク及び事故要因の削減等の原則を示す指令

事業者の保安体制に関するルール

A

BA

第5条 一般規定事業者は、職場におけるあらゆる側面における労働者の安全衛生の実現に関する義務を負う

相当な注意を払っていたにもかかわらず、異常事態や予測不能な状況、事業者の制御不能な状況等の結果に対して、加盟国が事業者の責任を除外や制限することを規制しない

第6条 事業者の一般義務

事業者は、労働関連リスクの抑制や情報や訓練の提供、必要な組織や手法の提供を含む労働者の安全衛生の保護に必要な措置をとらなければならない

事業者は、労働者の安全衛生に関わるリスク、とりわけ、作業用機器、化学物質・製剤、作業用設備の選択にあたり、労働者の安全及び健康に対するリスクの評価を実施しなければならない

第7条 保護及び防止

事業者は、1人以上、労働関連リスクの保護及び防止の担当者を指名しなければならない

加盟国は、指名された担当者に必要な能力を定義しなければならない

第9条 事業者の種々の義務

事業者は、職場の安全衛生関連リスクアセスメントの保持、保護措置の決定、労働者の事故記録の保持、事故報告をしなければならない

第12条労働者の訓練

事業者は、各労働者が十分な労働安全衛生に関する訓練を受けていることを確かにしなければならない

第14条健康監視

国内法や実行により、労働者の健康監視の措置が導入されなければならない

B

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働安全衛生枠組み指令の国内法

DE-2

ATEX職場指令

EU-7

職場の化学物質リスクに関する指令

EU-8

制定根拠

国内法化

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作業用機器の使用に関する指令は、事業者に対する作業用機器の設置後、運転後、定期、異常時の検査について定めている

作業用機器の使用に関する指令(Directive 2009/104/EC concerning the minimum safety and health requirements for the use of work equipment by workers at work )

出所:労働安全衛生枠組み指令

EU-3

O&M対象

調査事項

欧州ルール: 作業用機器の利用に関する指令

• 事業者に資格能力のある者による設置後、運転前、定期、異常時の作業用機器の検査を義務付け【第5条】

自主保安に関する規定

規定なし

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

112

産業安全衛生規則

産業安全衛生規則は、作業用機器の検査の実施部分に関する国内法

DE-5

A 職場での作業用機器の使用における最低限の安全衛生要件を定める指令

第3条 事業者の一般的義務事業者は、作業用機器が目的に適して利用され、労働者の健康を損なわないようにするための措置を取らなければならない労働者の安全衛生に関するリスクなしでは作業用機器の利用ができない場合、事業者は、リスクを最小限にする措置をとらなければならない

第4条 作業用機器に関するルール

事業者は、作業用機器の保持及び使用において、本指令の付属書Iに示された最低限の要求を満たしていなければならない。また、メンテナンスによってその水準が維持されていなければならない

加盟国は、付属書IIの目的に対応する安全レベルに達するための手続きを構築しなければならない

第5条 作業用機器の検査

事業者は、機器の設置後と運転前に、国内法における資格能力のある者によって機器の検査が実施されることを確かなものとしなければならない

安全衛生環境が維持され、危険な状況を感知・回復するため、事業者は、国内法における資格能力のある者による定期検査の実施や事故や作業機器の安全性を損なう恐れのある環境における検査の実施を確かなものとしなければならない

検査の結果は、記録され、当局が利用できるような状態にしておかなければならない

加盟国は、このような検査をいかなる条件で実施するかを決めなければならない

第9条 事業者は、労働者が利用に関するリスクを含む作業用機器に関する十分な訓練を受けていることを確かにしなければならない

【附属書I】 作業用機器の安全に関する要求事項【附属書II】作業用機器に関する規則

事業者の保安体制に関するルール

安全衛生枠組み指令

本指令は労働安全衛生枠組み指令に基づいて制定されている

EU-2

A

制定根拠

国内法化

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圧力機器指令は、高温・高圧あるいは危険な気体・液体を格納・貯蔵・処理する容器や機器について定める

圧力機器指令(Directive 2014/68/EU on the harmonisation of the laws of the Member States relating to the making available on the market of pressure equipment )

出所:PED(圧力機器)指令

EU-4

O&M対象

欧州ルール: 圧力機器指令(PED)

規定無し

(製品に関し、必須要件の適合性を評価

する機関として第三者認証機関及び

User Inspectorate(ユーザー監査官)を

規定【第16条】)

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

高温・高圧あるいは危険な気体・液体を格納・貯蔵・処理する圧力容器につ

いてEU全体で統一性を確保するための指令(主な対象は圧力機器の製造者)目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

第1条対象

0.5 bar以上の圧力機器

第4条技術要件

圧力機器は付属書Iにある要件を満たさなければならない

第6条製造者の義務

製造者は技術文書を作成し、適切に適合性評価手続きを踏まなければならない

第14条適合性評価の手続き

圧力機器の危険度に応じて、満たすべき適合性評価の適合評価項目(モジュールA~H)に応じてEU指令への適合性を証明しなければならない

第16条通知

EU加盟国は製品が指令で定めた必須要件を満たしているか、その適合性を評価する第三者認証機関及びUser inspectorateを欧州委員会に通知しなければならない

【附属書I】圧力機器の必須安全要求事項

設計(耐久性、測定方法、安全装置)、製造(トレーサビリティ、最終検査)、圧力機器の原材料、許容応力度、等

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

調査事項

113

参考

参考

制定根拠

適合性評価機関の認定に係る規則、市場監視のための枠組み及び第三国からの製品に関する管理を規定し、CEマーキングの一般原則を規定する枠組み規則が制定根拠適合性評価手続きに関しては、関連する決定(Decision No.768/2008)等に詳細を規定

製品の上市のための共通枠組み規則

(Regulation No. 768/2008/EC)

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ATEX機器指令は、爆発性雰囲気において使用される機器や防護システムについて定める

ATEX機器指令Directive 2014/34/EU on the harmonisation of the laws of the Member States relating to equipment and protective systems intended for use in potentially explosive atmospheres)

EU-5

O&M対象

欧州ルール: ATEX機器指令

規定無し(製品に関し、必須要件の適合性を評価する

機関として第三者認証機関を規定【第20条】)

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

爆発性雰囲気で使用される機器や防護システムについてEU全体で統一

性を確保するための指令(主な対象は爆発性雰囲気で使用される機器や防護

システムの製造者)

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

第4条必須安全衛生要件

爆発性雰囲気で使用される機器や防護システムは附属書IIにある要件を満たさなければならない

第6条製造者の義務

製造者は技術文書を作成し、適切に適合性評価手続きを踏まなければならない

第13条適合性評価の手続き

製造者はCEマーキングを貼付するための適合性評価を受け、附属書II

の要件を満たしていることを証明しなければならない

第16条CEマーキングとその他マーキングの貼付に関する規定

CEマーキング及び防護マーキングを貼付しなければならない

第20条通知

EU加盟国は、第三者機関の立場で製品が指令で定めた必須要件を満

たしているか、その適合性を評価する第三者認証機関を通知しなければならない

【附属書II】爆発性雰囲気で使用される機器や防護システムの設計・製造に関する必須安全要件

一般要件(点検・維持管理の計画)や機器の技術要件(着火源となることの防止、表面温度の制限、粉塵の侵入防止)等

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

出所:ATEX機器指令

調査事項

114

参考参考

適合性評価機関の認定に係る規則、市場監視のための枠組み及び第三国からの製品に関する管理を規定し、CEマーキングの一般原則を規定している枠組み規則が制定根拠(適合性評価手続きに関しては、関連する決定(Decision No.768/2008)等に詳細を規定)

製品の上市のための共通枠組み規則

(Regulation No. 768/2008/EC)

ATEX 職場指令(Directive1999/92/EC)

爆発性雰囲気からの労働者の保護を目的として、労働者の安全・健康を確保する最低基準を定める指令を参照本指令で定める各ゾーンで使用可能な機器・防護システムのカテゴリは、94/9/EC(旧ATEX職場指令)を参照している

参照

制定根拠

EU-5

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CLP規則は、人体の健康・環境保護を目的として化学品の分類・表示・包装について定める

CLP規則(Regulation (EC) No 1272/2008 on classification, labeling and packaging of substances and mixtures, amending and repealing)

EU-4

O&M対象

欧州ルール: CLP規則

規定無し

第三者機関に関する規定

加盟国は、本規則を順守していない場

合、罰則を導入しなければならない

【第47条】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

化学品等の分類・表示・包装に関する欧州内基準を統一し、人の健康・環境保護を

高レベルで実現するとともに、物質、混合物、成形品の流通を促進するための指令目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

規定無し

自主保安に関する規定

規定無し

リスクアセスメントに関する規定

REACH

規制 EU域内の化学物質の評価、登録、認可制限など化学物質管理規制を統一するEU規則(Regulation No.1970/2006)を参照

出所:ATEX機器指令

調査事項

115

参照

高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

第1条 目的と対象本規則の目的を下記により実現(a)危険物質・混合物の分類・表示・包装の調和(b)(i)製造者、輸入者、川下ユーザによる分類の義務化

(ii)サプライヤーによる分類・表示・包装の義務化

第4条 分類・表示・包装のための一般義務製造者、輸出者、川下ユーザは、製品の上市前に物質・混合物の分類を行わなければならない

危険物質に分類された場合は、サプライヤーは、当該物に対し、適切な表示・包装を行わなければならない

流通業者や川下ユーザは、サプライチェーンの上流の者が付した分類を活用することができる

第17条一般ルール危険物質と分類された場合は、ラベルに以下の情報を含まなければならない・サプライヤーの名称、住所、電話番号、物質の量、ピクトグラム、危険ステートメント等

第35条包装で気をつけるべきこと危険物質・混合物を含む包装は、以下の要件を満たさなければならない

・包装は、化学物質・混合物が漏れないように設計されなければならない

・包装材は、中身によって損害を受けるものであってはならない、等

第47条罰則加盟国は本規則を順守していない場合、罰則を導入し、本規則が適用されるよう必要な全ての措置を講じなければならない

【附属書I】危険物質・混合物の分類・表示要件

D

D

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ATEX職場指令は、爆発性雰囲気に曝される労働者を防護するため最低限順守すべき必須要件を定める

ATEX職場指令( Directive 1999/92/EC on minimum requirements for improving the safety and health protection of workers potentially at risk from explosive atmospheres )

EU-5

O&M対象

欧州ルール: ATEX職場指令

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

爆発性雰囲気に曝される労働者を防護するための指令目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

規定無し

自主保安に関する規定

• 事業者は、爆発リスクアセスメントを

行い、防爆文書を策定しなければな

らない【第4・8条】

リスクアセスメントに関する規定

人材育成・配置等に関するルール

出所:ATEX職場指令

労働安全衛生枠組指令

労働安全衛生の改善を促進するための施策導入に関する理事会指令(Directive 89/391/EEC)が制定根拠 各個別指令を包括する労働者保護のための枠組み指令

ATEX機器指令

潜在的な爆発性雰囲気で使用される機器及び防護システムの規制統一化に関する指令を参照(旧指令Directive 94/9/EC 現在はDirective 2014/34/ECが施行)

第3条 防爆・保護の対策

事業者は下記の基本原則に沿って技術的及び/又は組織的な対策をとらなければならない

・ 爆発性雰囲気の発生の低減・防止・ 点火源を除去・ 潜在的な爆発による被害を許容可能な程度に制限

第4条 爆発リスクアセスメント

事業者は爆発性雰囲気のリスクアセスメントをしなければならない

第7条 爆発性雰囲気において最低限順守すべき必須要件

事業者は、附属書Iに沿って危険性ごとに爆発性雰囲気(ゾーン)を分類し、附属書IIの必須要件を満たし、附属書IIIの警告標識をおかなければならない

第8条 防爆文書

事業者は、操業開始前、もしくは職場環境に変更があった場合に防爆文書を策定しなければならない

【附属書I】爆発性雰囲気(ゾーン)の分類

【附属書II】労働者の安全・健康を守るための最低要件

労働者の訓練、防爆資料の策定、リスクアセスメント、ATEX機器指令を順守する機器・防護システムの使用、等

【附属書III】潜在的爆発性雰囲気における警告標識

詳細

詳細

調査事項

116

参照

制定根拠

EU-5

B

B

B

EU-2

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欧州ルール: ATEX職場指令

第4条 爆発リスクアセスメント

ATEX職場指令のリスクアセスメントに関する規定(第4・8条)において、事業者によるリスクの特定・評価や適切な措置の実施を義務付けている

EU-5

出所:ATEX職場指令

第8条 防爆文書

1. Directive 89/391/EEC(労働安全衛生の改善と促進するための施策)の第6条(3)及び第9条(1)の義務を果たすために、事業者は下記の点を考慮しながら、爆発性雰囲気に起因する具体的リスクアセスメントを実施しなければならない。

a. 爆発性雰囲気が発生する可能性及び持続性

b. 静電放電など点火源が持続し、活発化かつ効果的になる可能性

c. 装置や使用している物質、工程、及び潜在的な相互作用

d. 予想される影響の範囲

e. 爆発リスクの全体的評価

2. 開口部を介して接続される箇所から、爆発性雰囲気が起こりそうな箇所までリスクアセスメントを実施しなければならない

第4条に定める義務を実施する際には、事業者は「防護文書」と呼ばれる文書を策定し、最新の状態で保管しなければならない。

防爆文書は具体的に以下のことを実証しなければならない

• 爆発リスクが特定され、評価されていること

• 当該指令の目的を達成するために、適切な措置が取られていること

• 附属書Iに応じて爆発性雰囲気がゾーンに分類されていること

• 附属書IIにある最低限の必須要件を満たしていること

• 警報装置を含め作業場及び作業用機器が安全に配慮した上で、設計、操業、維持されていること

• Directive 89/655/EECに基づき、作業用機器が安全に使用されるように配置されていること

防爆文書は、作業開始前に策定し、作業場や作業機器または拡張や変換等の作業体制に著しい変更があった場合に改訂しなければならない

事業者は、地域の条例の下、既存の爆発リスクアセスメント、文書もしくはその他同等の報告書を組み合わせることができる

人材育成・配置等に関するルール

117

リスクアセスメントに関する規定A

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職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令は、職場における化学物質のリスクから労働者を保護するために危険化学物質のアセスメントの実施など、事業者の義務を定める

職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令(Directive 98/24/EC on the protection of the health and safety of workers from the risks related to chemical agents at work amended by Directive 2014/27/EU)

EU-6

O&M対象

欧州ルール: 職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

他法令・規

格との関係

規定内容

規定無し

自主保安に関する規定

• 事業者は、リスクアセスメントを実施

し、保護措置を講じなければならな

い【第4・5条】

• 事業者は、事故発生時の安全計画

を策定しなければならない【第7条】

リスクアセスメントに関する規定

人材育成・配置等に関するルール

出所:職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令

労働安全衛生枠組指令

労働安全衛生の改善を促進するための施策導入に関する理事会指令(Directive 89/391/EEC)が制定根拠 各個別指令を包括する労働者保護のための枠組み指令

職場における化学物質のリスクから従業員を保護するために事業者の義務を規定

構成及び主要関連規定

調査事項

制定根拠

B

B

B

B

第4条 危険化学物質のアセスメント事業者は職場の危険化学物質の存在を判定し、存在が認められる場合はリスクアセスメントを実施しなければならない

第5条 危険化学物質に関連するリスクを回避するための基本的考え方及びリスクアセスメントの適用事業者は危険化学物質のリスクを低減し、従業員の健康と安全を保護するために、必要な保護措置を講じなければならない

第6条 特定の保護措置事業者はなるべく危険化学物質の使用を危険度の低い代替物質やプロセスを適用することでリスクを回避しなければならない

第7条 緊急事故発生時の対応事業者は危険化学物質に係る事故発生時の対処に向けた安全計画を策定し、事故発生時には即時に事故の影響を低減する対応を取れるよう従業員に周知しておかなければならない

第8条 従業員へ情報提供及び訓練事業者は従業員らに危険化学物質に関連する情報を提供し、適切な対応・保護措置がとれるように訓練をしなければならない

第10条健康監視加盟国は、第4条のリスクアセスメントの結果に基づき、適切な従業員の健康監視を行えるような仕組みを導入しなければならない

第12条附属書の適合、技術的ガイドラインの準備と採用

【附属書I】 拘束力のある職業暴露限界値のリスト

【附属書II】拘束力のある生物学的限界値と健康調査監視

参考

118

EU-2

© 2017. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.出所:欧州委員会「Practical Guidelines of a Non-binding Nature on the Protection of the Health and Safety of Workers from the Risk related to Chemical Agents at Work」

リスク リスク要素

1 火災及び又は爆発のリスク• 圧力、気温、状態(ガス、蒸気、細塵 等)、

危険化学物質の可燃性 等

2 危険な化学反応によるリスク• 化学物資巣の反応度・安定度、

不適切な冷却システム 等3 物質吸引によるリスク • 危険化学物質の毒性、暴露時間 等4 皮膚からの吸収によるリスク • 危険化学物質(皮膚へ)の毒性、接触時間及び頻度等5 非経口経路を通じたリスク • 危険化学物資の毒性、皮膚へのダメージ等6 摂取によるリスク • 危険化学物質の毒性、誤飲・誤食の可能性等

7皮膚又は目と化学物質の接触によるリスク

• 防御装置のご使用、不適切な作業プロセス等

8従業員の健康・安全へ影響し得る設備による化学的リスク

• 物質・施設の腐敗、施設の防漏等統制、予防メンテナンスの不在 等

暴露リスクに係る分類 事故リスクに係る分類

【評価要素】• 固有の危険、環境へと影響する傾向、危険化学物質の量

【手法】上記要素を組み合わせ、使用量、揮発性/発塵性の観点からリスクを1(低)~4(高)にて総合的に評価

【評価要素】• リスクの影響、暴露レベル、事故の影響レベル

【手法】上記各要素を点数化し、独自のマトリクスに基づき算出したリスク度合いを1(低)~4(高)まで総合的に評価

*1 簡易リスク評価ではなく、詳細リスク評価として、暴露リスクに関してはEN規格689-1995に基づく環境評価、事故リスクであればHAZOP、Fault Tree等を行うことも可能

リスク評価対象となる項目

欧州ルール: 職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令

第4条 危険化学物質に関するリスク評価の実施

EU-6

1. 事業者は、職場における危険化学物質の存在を判定し、存在が認められる場合はリスクアセスメントを実施しなければならない

リスクアセスメントの際には、当該物質の性質、当該物質を含む作業・暴露関連情報、サプライヤによる安全衛生情報、当該国の暴露・生物学的限界値、リスク予防措置の効果を考慮しなければならない

2-6 (略)

リスクアセスメントに関する規定B

第12条 危険化学物質に関するリスク評価の実施

「職場の化学物質リスクからの労働者の健康・安全保護に

係る法的拘束力のない実践ガイドライン(2006年)」( Practical Guidelines of a Non-binding Nature on the Protection of the Health and

Safety of Workers from the Risk related to Chemical Agents at Work)

リスクアセスメントの対象には、化学物質の存在により従業員の安全性・健康等影響を与える計8項目が含まれる

リスクアセスメントの手法として、暴露・事故リスク各々のレベルを評価する簡易リスクアセスメント※1を使用することができる

1. (略)

2. 欧州委員会は第3~6条、附属書Ⅱ第1章の内容に関し法的拘束力のないガイドラインを策定しなければならない(後段略)

参考

危険物質に関するリスク評価の実施のため、欧州委員会は、法的拘束力のない実践ガイドラインを策定し、リスク評価対象・方法について規定している

119

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EIA指令は、事業認可の前に当該事業の環境への影響を特定して評価を行う環境影響アセスメントの手順を定める

EIA指令 (Directive 2014/52/EU on the assessment of the effects of certain public and private projects on the environment)

EU-7

O&M対象

欧州ルール: EIA指令

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

対症療法よりも未然防止に重点を置くという予防原則に基づき、環境に重大な影

響を及ぼす恐れのある事業に関し、事業認可の前に環境の影響を特定・評価を行

う手順を規定

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

規定無し

自主保安に関する規定

• 事業者は事業認可を取得する前に

環境影響アセスメントを実施しなけれ

ばならない【前文】

リスクアセスメントに関する規定

出所:ATEX職場指令

【前文】

(7) 環境に重大な影響を及ぼす恐れのある公共・民間事業の認可は、環境影響アセスメントを実施してからのみ取得できるものとする環境アセスメントは、事業者・開発者からの適切な情報に基づいて実施されなければならない

【本文】

第2条 加盟国は、事業認可を出す前に、重大な影響を及ぼす恐れのある事業の性質、規模や場所についても要件に含めた上で、全ての必要な対策を適用されていることを確かなものとしなければならない

第3条 環境影響アセスメントは適切な方法で、直接的・間接的な影響を特定し、評価されなければならない

第6条 加盟国は、当局が事業者から提供される情報に対し見解を表明する機会が与えられていることを確かなものとしなければならない

市民は、電子媒体のような適切な手段によって事業に関する情報を通知されなければならず、意思決定がなされる早い段階にて少なくとも情報共有が行われていなければならない

懸念を持つ市民は、意思決定のプロセスに早期の段階から参加する機会を有するとともに、自らのコメントや意見を表明する機会を有する

第7条 加盟国は、事業認可が下りる前に、懸念を持つ市民に適切なタイミングで情報が共有され、市民が意見を表明する機会があることを確かなものとしなければならない

事故等による外部影響に関するルール

調査事項

120

B

B

EIA法 EIA法はEIA指令の国内法

DE-8

国内法化

© 2017. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.121

4. EU(ドイツ)の保安制度

4.1. EU・ドイツルール(regulation)の把握

4.1.1. ドイツの保安制度サマリ

4.1.2. EU法

4.1.3. ドイツ法

4.2. EU・ドイツにおける関連組織の把握

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産業保安関連ルール:ドイツ法サマリ

122

【全体】

ドイツ関連規制は、連邦労働社会省(BMAS)、環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)等が実施している

保安については、セベッソII指令を国内法に適用し、高圧ガス・危険物を問わず、一定数量以上の危険物・有害物質を取り扱う事業者に保安に関するマネジメントシステムの構築・運用を義務付けている

【個別ルール】

建設・操業許可に関するルールは、汚染防止法により定められている

製造許可等に関するルールには、EUのREACH規則が適用されており、ドイツ独自の規制はない

事業者の保安体制に関するルールに関する主たる法令は以下のとおり

①重大事故対策規則(Störfall V)

• セベッソII指令を適用した国内法で、大事故防止と事故発生時の影響を最小限に抑えるために、事業者に必要な保護措置を講じることを最低限の義務としているほか、事業者には安全管理システムに基づく安全報告書及び事故発生時計画の策定を義務付けている

②産業安全衛生規則(BetrSichV)

• 労働安全衛生枠組み指令及び作業用機器の使用に関する指令を適用した国内法ではあり、作業用機器の運用前、運用開始後のメンテナンス管理や検査を規定しているほか、雇用者の基本義務としてリスクアセスメントの策定やそれに基づく措置を講じなければならない旨を規定している

高圧ガス等の危険物の取扱等に関するルールには、CLP規則が適用されており、ドイツ独自の規制はない

施設の設置基準や設備・機器の技術基準に関するルールは、製品安全法により定められている

• 産業安全衛生規則と同様に、圧力機器指令やATEX機器指令を適用した国内法であり、高温・高圧あるいは危険な気体を格納・貯蔵・処理する容器や機器、ならびに爆発性雰囲気で使用される機器の製造、設置等を定めるとともに、適合性評価の手続きを経なければならない旨を規定している

人材育成・配置等に関するルールは、危険有害物質規則により定められている

• ATEX職場指令を適用した国内法で、爆発性危険物を含む危険有害物質から労働者の安全衛生や健康を保護するために、事業者に従業員の安全衛生を確保することを義務付けているほか、リスクアセスメントの策定及び適切な保護措置の実行を規定し、リスクアセスメントに準拠して運用マニュアルの作成を求めている

事故等による外部影響に関するルールについては、上記の重大事故対策規則がある

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指令(Directive)は国内法として適用されなければならず、セベッソII指令・労働安全衛生枠組指令・作業用機器指令・ATEX職場指令等は全てドイツの国内法に導入されている

(再掲)EU法体系の全体像と調査対象法令(規則・指令)の位置づけ

法規範の種類 具体例法的性質

一次法(Primary Legislation)

二次法(Secondary Legislation)

判例(Case-Law)

EU条約

共同体立法

規則(Regulation)

指令(Directive)

決定(Decision)

意見(Opinion)

勧告(Recommendation)

欧州司法裁判所や欧州第一審裁判所による判例/加盟国共通の法の一般原則

• EU条約

• 加盟国の国内法に優先し、直接適用(self-executing)

• 一定期間内に国内法制定義務あり• 国内法制定後、国内法として適用

• 特定の国・企業・個人などに直接適用

• 特定の国・企業・個人などに対し、一定の行為や処置の採用を期待する旨の表明

• 特定のテーマに対する欧州委員会の意思の表明

• EU条約• EUの機能に関する条約*1 等

• REACH規則• CLP規則 等

• セベッソII指令• 労働安全衛生枠組指令• 作業用機器指令• ATEX職場指令• REACH規則に基づく認可を付与する

委員会決定(Decision on authorization for the placing on the market for

the use and/or for use of substances listed in Annex XIV to

REACH)

• 欧州化学品庁(ECHA)による勧告(Recommendation for the ECHA of 1 June 2009 for the

inclusion of substances in Annex XIV of REACH)

• XXに所在するxxの放射性廃棄物の処理計画に関する委員会意見(Commission Opinion of xx 2016 relaring to the plan xxx)

• -

ドイツ国内法化し適用

強制

非強制

123

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TRBS(Technische Regeln für Betriebssicherheit)

TRBS 1111

TRBS 1112 ( TRBS1112)

• TRBS 1112 part1 ( TRBS1112 part1)

TRBS 1201 ( TRBS1201)

• TRBS 1201 part1 ( TRBS1201 part1)

• TRBS 1201 part2 ( TRBS1201 part2)

• TRBS 1201 part3 ( TRBS1201 part3)

TRGS(Technische Regeln für Gefahrstoffe)

TRGS 400 ( TRGS400)

TRGS 510 ( TRGS510)

TRGS 555 ( TRGS555)

セベッソ指令、圧力機器指令(PED)、ATEX機器・職場指令等のEU指令は、産業安全衛生規則、危険有害物質規則や重大事故対策規則等に展開される

124

産業保安関連ルール:ドイツ法(所管別)

法律(Act)

※技術基準を満たしていれば、上位規制の要件を満たすものと見做される出所:ドイツ連邦政府ウェブサイト

DE-2

DE-1

所管法令

所管事項

雇用促進及び労働者の保護 一義的には雇用促進や社会保障関連が主要な所管事項

労働者保護の一つとして、職場における労働者の安全保護が所管事項として規定

有害物質からの国民の保護及び環境の有効活用 大気・水質・土壌等の環境保護が主要な所管事項 事故等が人と環境に与える影響の最小化も所管 更に、原子力の使用・利用方針策定も所管

連邦労働社会省(BMAS) 連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)

規則(ordinance)

DE-3

汚染防止法(Bundes-Immissionsschutzgesetz)

( 汚染防止法(BImSchG))

労働安全衛生法(Arbeitsschutzgesetz)

( 労働安全衛生法(ArbSchG))

製品安全法(ProdSG: Produktsicherheitsgesetz)

( 製品安全法(ProdSG))

技術

基準※

(TRBS・TRGS)

セベッソⅡ指令を国内法化

PED/ATEX機器指令を国内法化

DE-5

DE-6

DE-7

DE-4

産業安全衛生規則(Betriebssicherheitsverordnung)

( 産業安全衛生規則(BetrSichV))

危険有害物質規則(Gefahrstoffverordnung)

( 危険有害物質規則(GefStoffV))

製品安全法第14規則(Fourteen Ordinance to ProdSG)

( 製品安全法第14規則(14. ProdSG))

重大事故対策規則(Störfall-Verordnung )

( 重大事故対策規則(Störfall V))

DE-5(b)

作業用機器指令を国内法化

ATEX職場指令等を国内法化

PEDを国内法化

強制

非強制

DE-5(d)

DE-6(a)

DE-6(b)

DE-6(c)

DE-5(c)

DE-5(e)

DE-5(f)

DE-5(g)

労働安全衛生枠組指令を国内法化

DE-5(a) TRBS1111

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汚染防止法 (BImSchG) ・ 不定期検査の実施 労働安全衛生法(ArbSchG) ・リスクアセスメントの実施

(BImSchG)

重大事故対策規則 (Störfall V) ・安全管理システムに基づく安全報告書の策定

ドイツの産業保安関連ルールは下記のとおりにマッピングされる

産業保安関連ルール抽出: ドイツのルール

125

運転開始後運転開始前

O&M対象

内部要素

外部要素

設備・機器

組織・人材

環境影響

原料・

生成物

設計・設備調達・建設

免許等申請・取得

オペレーション

制御

全体計画

監視

運転計画

運転実行

メンテナンス

計画工事計画外工事

メンテナンス計画

メンテナンス実行計画・対策

復旧

保安

調達・貯蔵 貯蔵・

移動

生産

産業安全衛生規則 (BetrSichV)・ リスクに基づく保護措置、運転前及び定期検査、メンテナンス管理の実施

危険有害物質規則 (GefStoffV)・ 危険物が存在する職場環境における従業員の安全性確保

・ 危険物が存在する場合の安全措置及び労働環境の整備

汚染防止法(B

iSch

G)

・建設・操業許可

DE-1

TRGS510・危険有害物質の貯蔵施設に関する技術規則

製品安全法 (ProdSG)・ 圧力機器や爆発性雰囲気で使用される機器の整合規格

TRBS1112・ メンテナンスに関する技術規則

TRBS1112 Part1・ 爆発性危険物質を取り扱う作業場のメンテナンスに関する技術規則

TRBS1201・検査に関する技術規則

TRBS1201 Part1・爆発性雰囲気での機器や防護システムの検査に関する技術規則

TRBS1201 Part2・圧力機器や水蒸気装置の検査に関する技術規則

TRBS1201 Part3・爆発性雰囲気における機器や防護システムの修理に関する技術規則

DE-5(b)

製品安全法第14規則 (14Ordinance to ProdSG)・ 圧力機器指令の技術要件を満たす義務

TRGS555・危険有害物質に関連する労働環境における労働者の安全衛生確保に関する技術規則

(再掲)CLP規則・ 化学品の分類、ラベル表示、梱包・包装に関する要件

EIA法(UVPG)・環境影響評価の実施

DE-2

DE-4

DE-5

DE-6

DE-3

DE-7

DE-5(c)

DE-6(b)

DE-6(c)

DE-5(d)

DE-5(e)

DE-5(f)

DE-5(g)

・・・本資料にてサマリ提示

DE-8

TRGS400・ 危険有害物質のリスクアセスメントに関する技術規則

DE-6(a)

TRBS1111・ 機器のリスクアセスメントに関する技術規則

DE-5(a)

EU-5

DE-1

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汚染防止法(BImSchG)は、設備の建設・操業の許可及び環境に悪影響を及ぼす排出物の発生・削減を抑えるための当局及び事業者の義務や権限について定めている

汚染防止法 (Bundes-Immissionsschutzgesetz - BImSchG)

出所:汚染防止法

DE-1

O&M対象

ドイツルール:汚染防止法

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

人体、動物、植物、土壌、大気等の環境の悪影響からの保護及び悪影響の発生防止

設備の排出管理による環境への悪影響防止・低減、危険や公害の予防

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

調査事項

126

重大事故対策規則

DE-4

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

• 施設の建設・操業にあたっては、許

可を得なければならない【第4条】

• 事業者は、当局の指示により、専門

家による安全検査・監査を実施しな

ければならない【第7、29条】

規定無し

• 環境への悪影響やその他の危険、

公害等を防ぐため、利用可能な最善

の技術(Standes der Technik)を用

いた予防策がとられなければならな

い【第5条】

規定なし

罰則規定

A

重大事故対策規則における設備の検査に関する根拠法令

B

制定根拠

A

B

参考 詳細

詳細

A

参考

A第4条 許可

環境に悪影響を及ぼしたり、公共に有害な施設建設・操業にあたっては、許可を得なければならない

第5条 許可が必要な設備の事業者の義務

2. 環境への悪影響やその他の危険、公害等を防ぐため、利用可能な最善の技術(Standes der Technik)を用いた予防策がとられなければならない

第7条許可が必要な設備の要件4. 設備の運営者は、a) 建設中/施設の運転前、b) 運転後及び変更実施時、c) 一定間隔ごと、d) 停止時/停止後、のような規則により特定された時点で、安全検査及び安全関連文書の監査の実施を専門家により実施しなければならない

第29条安全検査当局は、事業者に対して安全検査や安全監査の実施を命じることができる。安全検査は安全専門家により実施されなければならない

第30条安全検査の費用及び方法

安全検査や排出・拡散量測定に伴う費用は設備の運営者によって負担されなければならない

第51条プロセス安全委員会省内に、施設の安全の実現方法の議論の場として学会、環境団体、業界団体の代表から構成する危険インシデント委員会を設立する

付属書 利用可能な最善の技術の判断基準

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付属書

(参考)付属書において、事業者が用いる必要がある利用可能な最善の技術(Standes der Technik)の判断基準を定めている

出所:汚染防止法、高度情報科学技術研究機構ウェブサイト

利用可能な最善の技術を判断する基準を決める際、(中略)下記項目について取り入れなければならない

1. 低廃棄物技術の利用

2. 低危険物質の利用

3. 廃棄プロセスにおいて生成される物質の回収及びリサイクルの促進

4. 産業規模で成功している方法と同等のプロセス、設備及び運営方法

5. 技術的進歩及び科学的知見の変化

6. 関連する排出物の特性、影響、量

7. 新規または既存の設備の運転開始日

8. 最新技術を導入するまでに必要な時間

9. プロセスやエネルギー効率に利用される原料の消費量と特性

10.排出物が人体や環境に与える影響やリスクを防止または最小限に抑える必要性

11.事故や人体及び環境への影響を最小限に抑える必要性

12.国際機関から出版される情報

13. BAT参照文書*1に含まれる情報

127

ドイツルール:汚染防止法 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

DE-1 参考

*1:欧州委員会内のEIPPCB(European Integrated Pollution Prevention and Control Bureau)が軸となって作成され、EU加盟国政府が企業に対して操業許認可条件を設定する際の基準として考慮することを求められる文書

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(参考)ドイツはセベッソⅢ指令の国内法制化が未完了。今後、セベッソⅢで新たに定められた意思決定における市民参加や司法制度の利用を中心に、汚染防止法を含む3つの法が改正される予定

セベッソⅢ指令施行法案 主な改正点及び改正対象法

B. 対応方法

法案の適用

本法案は、セベッソⅢ指令、特にその15条及び23条を実施するための汚染防止法(BImSchG)、環境影響評価法(UVPG)、環境救済法(UmwRG)の改正を含む

128 出所:セベッソⅢ指令、BMUB ウェブサイト

【セベッソⅢ指令】

§15 意思決定における市民の参加1項 加盟国は、新規建設計画や施設の改修、リスクが高まると

考えられる既存施設周辺の新規建設に関するプロジェクトについて、関係する市民が意見を述べる機会を早い段階を与えることを確かにしなければならない

2項 関連する市民は、プロジェクトに関する詳細な情報を、手続きの早い段階で適切な方法で知らされなければならない

4項 加盟国は、関連する市民がプロジェクトに関する決定がされる前に意見を述べる権利が与えられることを確かにしなければならない。また、コンサルテーションの結果を決定の際に考慮しなければならない

5項 加盟国は、関連する決定がなされる際に当局が決定内容及びその理由、コンサルテーションの結果、及びそれらが決定にどのように考慮されたかを公表しなければならない

§23 司法制度の利用加盟国は、情報提供や参加機会が適切に得られない市民が司法制度を利用できることを確かにしなければならない

ドイツルール:汚染防止法 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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(参考)プロセス安全委員会(KAS)は、プロセス安全に関する担当省への諮問機関として設置されており、プロセス安全に関するガイドラインの策定を実施し、保安実務をリードしている

129

プロセス安全委員会(KAS) 概要

正式名称 Kommission für Anlagensicherheit

(プロセス安全委員会)

連邦汚染防止法第51条に基づいて(後述)設立さ

れたプロセス安全に関する連邦環境・自然保護・

建設・原子炉安全省(BMUB)に対する諮問機関

従前の危険委員会(SFK)と技術委員会(TAA)が

合併して2005年に誕生

一部の技術規則(TRAS)や重大事故対策規則に

関するガイドライン等を作成

出所:KAS ウェブサイト

組織概要

1999 SFK-GS-23

セベッソ ll 指令第7条のガイドライン:

セベッソⅡ指令第7条及び附属書3に定める大事故防止ポリシー策定に関わるガイドライン

2001 SFK-GS-31

重大事故対策規則附属書3のガイドライン:

重大事故対策規則附属書3に定める安全管理システム構築に関するガイドライン

1999 SFK-GS-24

セベッソ ll 指令第9条のガイドライン:

セベッソⅡ指令第9条及び附属書3に定める安全管理システム構築に関わるガイドライン

設立根拠

(仮訳)汚染防止法第51条(a) プロセス安全委員会• 連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省の元に、連邦政府及び主管行政組織に対する諮問機関として、プラント安全に関する委員会を設立しなければならない

BImSchG §51(a) Kommission für

Anlagensicherheit• Beim Bundesministerium für Umwelt, Naturschutz,

Bau und Reaktorsicherheit wird zur Beratung der

Bundesregierung oder des zuständigen

Bundesministeriums eine Kommission für

Anlagensicherheit gebildet.

2008 KAS-8

重大事故対策規則附属書3のガイドライン:

重大事故対策規則附属書3に定める安全管理システム構築に関するガイドライン

(”組織と人材”部分に特化)

プロセス安全に関する主要なガイドライン

KAS

作成

(前身の

SFK作成

分含む)

2004 Vollzugshilfe zur Störfall-Verordnung

重大事故対策規則実施ガイドライン:

重大事故対策規則に関する逐条解釈及び説明(同ガイドライン内にて上記SFK作成のガイドラインが引用されている)

(参考)

BMUB

作成

ドイツルール:汚染防止法 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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(参考)保安体制の不定期安全検査は、州に登録された高度な知識・経験を持つ少数の安全専門家により実施される

不定期安全検査の概要

要件

専門性‒ エンジニアリング、化学、物理等の高等教育を修了していること

‒ 3年以上担当分野に関する実地経験があること‒ プロセス安全及び危険分析手法や関連‒ ルールの知識を保持していること

独立性‒ プラントの開発・建設・運営に関与しておらず、安全関連企業等からの影響を受けていないこと

信頼性‒ 性格、行動、能力に適正があり、メンタル・フィジカル面において安定して信頼性を保てること

年1回の監査報告書の作成‒ 報告書には、実施概要、欠陥及び対応策、プラントの安全改善のための示唆、検査の改善策等の情報を記載しなければならない

専門性の維持‒ 2年に1回、BMUBとの意見交換への参加が求められる

安全専門家の概要

出所:41 BImSchV、 「汚染防止法29条a安全専門家監査レポート」

義務

検査概要

州環境担当省の指示により不定期に実施される保安体制の検査‒ 2013年は、1,064事業者に対して実施‒ 2013年は、約40%の検査が施設の運転前(ソフト面の検査の対象外)に実施

‒ 検査費用は事業者が負担‒ 検査結果は事業者が州環境担当省に提出

検査内容

施設の安全検査及び安全に関する文書の監査。特に、下記10の分野で検査・監査を実施

1. プラント及びプラント部品の設計2. 品質保証及びメンテナンス・点検3. エネルギー及び供給4. プロセス制御技術・電気エンジニアリング5. システム分析6. 危険物質の管理7. 事故影響評価、計測8. 防火9. 施設内の防爆10.組織管理

286人(2016年12月時点)

人数安全専門家の多くはTÜV等の

認証機関に高給で雇用されている(認証機関元担当者)

検査員 州政府により認定された安全専門家が実施する‒ 事業者は安全専門家を自由に選定可能

130

ドイツルール:汚染防止法 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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(参考)安全専門家の情報はウェブサイト上で公開されており、事業者は自由に自社の検査を実施する専門家を選択することができる

安全専門家データベース 安全専門家の専門分野

出所:41 BImSchV、ReSyMeSaウェブサイト

# 専門分野

1 施設及び施設の構成要素の設計

2 施設及び施設の構成要素の建設

2.1 施設内の施設の構成要素の検査

2.2 品質保証及び適合性試験

3 プロセス・エンジニアリング

4 施設のメンテナンス

5 施設の構成要素の検査

6 マテリアル

6.1 マテリアル試験

6.2 マテリアル・アセスメント

7 エネルギー及び媒体物の供給

8 環境への有害性

9 電気工学

10 プロセス制御技術(MSR)

11 危険分析

12 物質(物質、混合物、廃棄物)

12.1 物質評価

12.2 物質定義

12.3 毒物対応

13 影響(事故や運用中断の影響の定義、算定、評価)

14 業務緊急計画

15 防火

15.1 消火用水を含む防火に関する技術

15.2 防火実験調査

16 防爆

16.1 防爆関連技術試験

16.2 防爆関連実験

17 安全管理及び組織

18 その他

29条専門家の情報はデータベース(ReSyMeSa)に登録されており、専門家の所属企業や連絡先、専門分野まで見ることが可能

131

ドイツルール:汚染防止法 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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(参考)保安体制に欠陥のある化学プラント数は少ないものの、欠陥の約半数がソフト面に関するものとなっている

保安体制に欠陥数のある施設の割合(2013年) 化学プラントの欠陥の種類

※1:95事業所については、従業員数の情報なし 出所:「汚染防止法29条a安全専門家監査レポート」

76%

35% 32%

24%

65% 68%

100

60

80

40

0

20

375 163

6~250人

431

251人以上5人以下

(%)

74%

23% 20% 20%

85%

40%

26%

77% 80% 80%

15%

60%

40

60

80

0

20

100

発電所

81 254

その他

53

アンモニア冷凍

70

廃棄物処理

443

バイオガス

163

化学プラント

プラント別欠陥のある企業の割合

従業員数別欠陥のある企業の割合※1

欠陥あり

欠陥なし

品質保証及び保守・点検

3% システム分析

13%

13%

防火 危険物質管理

1%

組織管理

19%

35%

プロセス制御技術・電気エンジニアリング

施設内防爆

13%

2%

プラント及び部品設計

検査において指摘された化学・石油化学プラントの保安体制の欠陥のうち、半数以上がソフト面に関するもの

小規模事業者では、欠陥のある事業者が多い

化学プラントの欠陥のある事業者数は少ない

ソフト面に関する分野

ハード面に関する分野

(%)

132

ドイツルール:汚染防止法 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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労働安全衛生法(ArbSchG)は、事業者に対するリスクアセスメントの実施義務と、当局の事業設備や機器に関する検査権限を定めている

労働安全衛生法 (Arbeitsschutzgesetz, ArbSchG)

出所:労働安全衛生法

DE-2

O&M対象

ドイツルール:労働安全衛生法

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

• 監督の元に委任された者に事業設

備の立ち入り及び機器の検査の権

限を付与 【§22】

• 事業者は、活動の特徴に合わせて

リスクアセスメントを実施し、必要な

労働安全衛生対策をとらなければ

ならない【§5】

• 州政府は、労働安全衛生の監視に

おいて労災保険組合と協力するこ

とが求められる【§21】

• 違反内容により、2万5千ユーロ以下

の罰金、1年以下の禁錮刑を規定

【§25、26】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

労働安全衛生を測定することによる就労時の労働者の安全衛生の保護と向上

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

調査事項

133

国内法化

産業安全衛生規則

DE-5

A

事業者へのリスクアセスメント実施義務の根拠法令

D

危険有害物質規制

DE-6

労働安全衛生枠組み指令

EU-2

労働安全衛生に関する枠組み指令の国内法化

制定根拠

B

D

D

A

B

C

C

§3 事業者の基本的義務(1) 事業者は、労働者の安全衛生に影響を与えるため労働安全衛生に必要な手段

をとる義務がある。対応策効果を調査し、必要に応じて変化する環境に合わせて適用させなければならない

§5 労働環境評価(1) 事業者は、活動の特徴に合わせてリスクアセスメントを実施し、必要な労働安全

衛生対策をとらなければならない

§21 当局及び労災保険組合との関係

本法令に基づく労働安全衛生の監視は州政府のタスクである。また、州政府は共同監視戦略に基づき、労災保険組合と密に協力することが求められる

§22 当局の権限

(2)監督の元で委任された者には、(中略)事業設備、事務所及び作業区域への立入り、検査、調査、及び(中略)ビジネス情報を検査する権限が付与されなければならない。加えて、運転中の機器や作業機器、防護機器の検査及び作業手順やプロセスの検査、計測、また職場における事故の発生や職業病、損害賠償がどの程度労働衛生に関わるかを測定及び調査する権限が付与されなければならない

§25 行政罰規定

(2)違反法令に応じて 、5千ユーロ以下、または、2万5千ユーロの罰金を科すことができる

§26 刑事規定

違反法令に応じて1年以下の禁錮刑を科すことができる

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製品安全法(ProdSG)は、圧力機器や爆発性雰囲気で使用される機器等をドイツ市場で販売するための認証手続き、製造時検査を定めている

製品安全法 (ProdSG: Produktsicherheitsgesetz)

出所:製品安全法

DE-3

O&M対象

ドイツルール: 製品安全法 施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し(製品について必須要件の適合性を評価

する機関として、Notified Body

(第三者認証機関)を規定【第16条】)

第三者機関に関する規定

規定無し

• 認可検査機関は、州当局によって、

連邦労働社会省に対して指名された

検査組織でなければならない

【第37条】

• 違反内容に応じて10万ユーロもしく

は1万ユーロの罰金が課せられる

【第39条】

• 違反が繰り返された場合は1年間の

実刑が課せられる【第40条】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

圧力機器や爆発性雰囲気で使用される機器をドイツ市場で販売するための規定

圧力機器指令やATEX機器指令を実施するための国内法

調査事項

134

参考

D

A

D

参考

EUで販売される製品に関する規定

CEマーキングの定義や一般原則等に関する規定(Regulation (EC) No. 765/2008)の国内法化適合性評価の手続き等に関する規定(Decision No.768/2008)の国内法化

国内法化

高温・高圧あるいは危険な気体・液体を格納・貯蔵・処理する容器や機器の規制統一化に関する指令 (Directive 2014/68/EU)の国内法化潜在的な爆発性雰囲気で使用される機器及び防護システムの規制統一化に関する指令(Directive 2014/34/EU)の国内法化

機器に関するEU指令

EU-3

EU-2

D

第1条 適用範囲本法令は製品をドイツ市場で販売するために必要な認証検査や手続きを規定

第4条 整合規格製品はEU指令の整合規格に準拠したものでなければならない

第16条第三者認証機関(Notified body)の義務第三者認証機関は適切な適合性評価の手続きに沿って、適合性評価を実施しなければならない

第22条生産者及び輸入業者の義務生産者及び輸入業者は市場で製品を展開するにあたり、製品が認証済みであることを証明するGSマーキングの貼付を確かなものとしなければならない

第36条認証検査機関へのアクセス権機器の所有者の要求に応じて、当局による法的指令によって認証検査機関は機器装置の製造における検査や機器のパフォーマンスに関する情報を入手することができる

第37条検査と監視の履行と規則発行の権限認可検査機関は、州当局によって、連邦労働社会省に指名され、かつ官報にて連邦労働社会省に任命が報告された検査組織でなければならない

第39条規制違反の罰金本法令を準拠していない場合、違反内容に応じて10万ユーロもしくは1万ユーロの罰金が課せられる

第40条罰則本法令違反が持続的に繰り返し行われた場合、1年間の実刑もしくは罰金が課せられる

A

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重大事故対策規則(Störfall V)は、セベッソ II指令を受け、事故防止と事故発生時の影響を最小限に抑えるために事業者の義務を定めている

重大事故対策規則 (Störfall V:Störfall-Verordnung)

出所:重大事故対策規則

DE-4

O&M対象

ドイツルール: 重大事故対策規則

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

• 事業者は必要な保護措置を講じる必

要があり、当局は検査システムを構

築しなければならない【§3・16】

• 当局は順守状況をBMUBに報告しな

ければならない【§14】

規定無し

• 事業者は安全管理システムを基に

大事故防止ポリシー、安全報告書及

び事故発生時計画を策定しなければ

ならない

【§8・9・10・附属書III】

• 違反があった場合、汚染防止法に基

づき、違反内容により1万ユーロまた

は最大5万ユーロの罰金が課せられ

る【§21】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

事故の防止と危険有害物質の影響の最小化に向けた保護措置に関する規定

セベッソ II指令を実施するための国内法

危険物質を伴う大災害の予防と災害発生時の危害を最小限に抑えるためのEU指令の国内法化

汚染防止法 立入検査実施の根拠法令

事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

調査事項

135

国内法化

セベッソ II

指令

A

B

C

A

制定根拠

DE-1

B

A

A

C

B

B

§3 基本的な義務事業者は事故防止のために潜在的リスクを回避するのに必要な保護措置を講じなければならない

§4 重大事故の保護対策事業者は、火災や爆発の他施設への影響を抑え、十分な警報装置や管理装置を設置し、信頼性の高い測定装置や制御装置を装備し、不正な改ざんが行われないように対策をとらなければならない

§8 大事故防止のための基本的概念附属書IIIにある安全管理システム沿って、事業者は大事故防止ポリシーを策定しなければならない

§9 安全報告書一定の危険物を保有する事業者は安全管理システムに基づき、安全報告書を策定し、少なくとも5年に1回定期的な見直しを行わなければならない

§10 事故発生時計画一定の危険物を保有する事業者は事故発生時の影響を特定し、対応策をまとめた事故発生時計画を策定し、少なくとも3年に1回見直しを行わなければならない

§14 報告

当局は、3年毎に担当領域において環境に関する指令の順守状況を環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)に報告しなければならない

§16 検査システム権限のある当局は検査システムを構築しなければならない

§21 罰則本法令を違反した場合には汚染防止法に基づき、違反内容によって1万ユーロまたは最大5万ユーロの罰金が課せられる

【附属書III】重大事故を防止するための安全管理システムの概念

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第16条 検査システム

重大事故対策規則第16条において、当局による事業者の保安体制に関する検査システムの構築が定められている

出所:重大事故対策規則136

自主保安に関する規定A

ドイツルール: 重大事故対策規則 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

DE-4

1. 当局は、適切な検査システムを構築しなければならない。検査システムは、技術的、組織的および管理的にどうなっているのかを確かめ、計画的かつ体系的なものでなければならない特に当局は下記について確実なものとする必要がある

a. 事業者が、大事故を防ぐために施設に関連する様々な作業活動において必要な措置を講じていることを示す

b. 事業者が、施設内外における大事故の影響を制限するために適切な措置を講じていることを示す

c. 安全報告書またはその他提出した報告書に記載されている情報が十分に施設の状況を記載

d. 第11条に基づき、市民に情報を公開していること

2. 第1項に定めた検査システムは以下の要件を満たす必要がある

a. 全ての事業者についてモニタリングプログラムを策定しなければならない。第9条に従って安全報告書を作成している各事業者に

対しては、当局が体系的な検査を実施できない限り、少なくとも年に1回は当局によるオンサイトでの検査を実施しなければならない

b. 検査の後、当局はレポートを作成しなければならない

c. 必要に応じ、検査の実証を行うため、当局は事業者の協力を得つつ、一定期間内に追加的検査を実施する

3. 汚染法第29条a(不定期安全検査)に影響を与えない限りにおいて、当局は、適切な専門家に検査の実施を委任することができる

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附属書II 安全報告書に最低限記載すべきデータ・情報

I. 大事故防止に向けた管理システム及び組織体制に関する情報当該情報には附属書IIIにある要素を含めなければならない

II. 施設の周辺環境

1. 地理的位置、気象、地質、海象や、必要に応じて歴史的背景を含め、施設及びその周辺環境に関する説明

2. 大事故の危険性を表示するための装置及びその他活動の特定

3. 大事故が発生する可能性があるエリアの説明

III. 装置に関する説明

1. 施設の主な作業内容や事故を起こしかねない危険をはらむ装置に関する説明、失敗が起きうる状況についての説明、さらに大事故の予防策に関する記載

2. 工程の説明。特にフローチャートを用いた操作方法の説明

3. 危険物質の説明

IV. 事故リスクの特定、リスク分析と予防対策

1. 大事故発生のシナリオや確率、または各シナリオにおいて大事故が発生した場合に起こりそうな状況、事故原因となりそうな外部・内部装置

2. 地図や画像、もしくは事故の影響を受けるエリアがわかるような同等の説明を含め、事故が起こった場合の影響度や深刻度のアセスメント

3. 安全装置に関する技術的パラメータ及び機器の説明

V. 大事故が発生した場合の影響を最小限に抑えるための対策

1. 大事故による影響を最小化するために導入された機器の説明

2. 警告計画及び組織体制、緊急時計画

3. 緊急時に内部または外部で利用可能な手段

4. 第10条に合致した内部警告及び危険コントロール計画

重大事故対策規則の附属書IIにおいて、安全報告書に記載すべき内容を定めている。具体的には、事業者にリスクアセスメントの策定や大事故の影響を最小限に抑えるための対策を講じることを義務付けている

137

リスクアセスメントに関する規定B

ドイツルール: 重大事故対策規則 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

DE-4

出所:重大事故対策規則

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附属書III 大事故防止に向けた原則と安全管理システム

重大事故対策規則の附属書IIIにおいて、事業者が構築すべき安全管理システムの仕組み及びその要件を定めており、リスクアセスメントのほか、監査及びレビューの実施を定めている

138

リスクアセスメントに関する規定B自主保安に関する規定A

ドイツルール: 重大事故対策規則 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

DE-4

e. 事故発生時の計画体系的な分析による予見可能な緊急事態を特定、緊急事態に対応するための事故発生時計画の準備・テスト・レビュー、関連社員への具体的な訓練の提供に関する手順を適用・実行。訓練は関連するコントラクターを含め全ての労働者に対する実施

f. 安全管理システムのパフォーマンス監視事業者のMAPPの下設定された目的及び安全管理システムに基づく継続的なコンプライアンス評価及びコンプライアンスに反する場合の調査方法及び是正処置に関する手順の適用・実行。当該手順には、特に防護対策の失敗による大事故やニアミスを報告するシステム、調査内容、フォローアップで学んだ教訓も含む

g. 計画的なレビューと評価MAPPと安全管理システムの有効性と適合性における定期的かつ体系的なアセスメントの手順の適用・実行。文書のパフォーマンスレビューによって、安全管理システムを更新する

1. 大事故防止ポリシーは書面で作成されなければならない。大事故防止ポリシーには、全体的な目的と事故のリスクを最小化するための事業者の行動原則を含まなければならない

2. 安全管理システムには、大事故防止ポリシー(MAPP)を実行するための組織体制、責任の所在、慣行、手順、プロセス、リソースを含めた一般的な管理体制を含める必要がある

3. 安全管理システムは、以下の点について対応しなければならない

a. 組織と人材大事故の予防に関わる担当者の役割と責任を明確化し、全ての組織レベルにおける個人がもたらすインパクトを制限。担当者の訓練の必要性を特定し、訓練を提供。社員及び下請け労働者の関与

b. 危険性の特定・評価

正常動作及び異常動作に起因する主要な危険性を体系的に特定するための手順を適用・実行。こうした事故が起きる可能性と重大度を評価

c. 運用監視施設やプロセス及び設備機器のメンテナンス、一時停止を含めた安全操作のための手順や指示の適用・実行

d. 変更管理新しい装置や手順、施設の設計や現行システムからの変更計画の適用・実行

出所:重大事故対策規則

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附属書IV 内部非常時計画に含めるべき情報

重大事故対策規則の附属書IVにおいて、事業者に事故が発生した場合の対応策(内部非常時計画)の内容を定めている

1. 非常時の実施手順を設定する権限を有する担当者の氏名または職位、および施設内の緩和措置の責任者

2. 外部非常時計画を所管する規制機関との連絡窓口となる担当者の氏名または職位

3. 重大事故を発生させる可能性が予見される条件、または出来事に関し、その条件または出来事を管理し、その影響を制限するために実施すべき措置の内容。安全装置および利用可能なリソースに関する記述

4. 警報の実施方法および警報発信時に実施すべき行動を含む、施設内の人々に対するリスクの影響を制限するための措置

5. 外部非常時計画を管轄する規制機関に対する初期警報連絡の実施方法、初期警報に含める情報の種類、より詳細情報が得られた際にその情報を連絡する方法

6. 職員が実施すべき対応に関する教育。また、必要に応じ施設外部の非常時サービスとの連携の教育

7. 施設外緩和措置に対する支援方法

139

リスクアセスメントに関する規定B

ドイツルール: 重大事故対策規則 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

DE-4

出所:重大事故対策規則

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(参考)各州は、保安体制の定期検査システムを構築しており、検査システムに従い、体系的に検査を実施している

検査の流れ(ヘッセン州の場合)ヘッセン州のソフト面の検査システム

※1:労働安全衛生に関わるBSI規格出所:41 BImSchV、平成26年度経済産業省委託調査研究報告書

検査頻度

の決定

施設の危険度に応じた検査頻度の決定

‒ 事業者が提出した施設の資料に基づき、当局の危険評価基準に沿って検査頻度を決定(ヘッセン州では、施設の危険度に応じて検査頻度が①毎年(安全報告書を作成している施設を含む)、②2年に1回、③5年に1回に設定される

‒ 検査頻度の決定には、事業者との非公式なヒアリングの内容(廃棄の予定や中長期の改築の予定等)を反映

フォロー

アップ

検査結果に応じたフォローアップ

‒ 検査の結果、事業者に対応が求められる場合、実施確認のためのフォローアップを実施

検査

技術、組織、管理に関する監査・検査の実施

‒ 提出された施設に関する資料を安全管理システムの基準(ISO14001やOHSAS18001※1等)に照らして監査を実施

‒ 監査結果に基づいて欠陥が生じる可能性の高い箇所を中心にオンサイトでの検査を実施

‒ 検査結果について事業者と議論したうえで検査報告書を作成

‒ 必要に応じて、当局は、安全専門家にオンサイト検査・報告書の作成を委任することも可能

各州は重大事故対策規則の順守検査システムの構築が求められる

140

ドイツルール: 重大事故対策規則 事業者の保安体制に関するルール/事故等による外部影響に関するルール

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産業安全衛生規則(BetrSichV)は、労働者の健康と安全を確保するために、圧力機器や爆発性雰囲気で使用される機器を含む作業用機器の導入や運用、検査について定めている

産業安全衛生規則 (BetrSichV:Betriebssicherheitsverordnung)

出所:産業安全衛生規則

DE-5

O&M対象

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

• 事業者は作業用機器のメンテナンス・

改良及び運用前検査・定期検査を実

施しなければならない【§10、§14、

§15、§16、附属書II、

付属書Ⅲ】

自主保安に関する規定

• 事業者は危険アセスメントを策定し、

適切な保護措置を実施しなければな

らない

【§3】

リスクアセスメントに関する規定

• 認証検査機関として最低限満たすべ

き要件が定められている

【附属書II】

第三者機関に関する規定

• 必要措置を怠った場合に、一年以内

の実刑又は罰金、もしくは1万ユーロ

程度の罰金が課せられる

【§23 】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

職場における健康と安全の持続的な改善を達成するために、事業者による適切な

作業用機器の設計や運用、検査及び労働者の訓練を規定

機器の定義に圧力機器指令及びATEX機器指令を参照

事業者の労働安全体制の構築についての責任等、広く労働安全衛生全般について、労働安全衛生法が制定根拠

調査事項

141

A

B

C

D

機器に関するEU指令

労働安全衛生法

EU-5

EU-4

国内法化

詳細B

詳細A

詳細A

A

詳細A

D

参考 詳細

A

詳細A

参照

事業者の作業用機器の検査に関する国内法作業用機器指令EU-3

制定根拠

DE-2

詳細BA

§3 リスクアセスメント事業者は、危険アセスメントを策定し、適切な保護措置を実施しなければならない

§4 事業者の基本義務事業者はリスクアセスメント、保護措置、 §14の検査を実施をしなければならない

§10 作業用機器のメンテナンス・改良事業者はリスクアセスメントの下作業用機器のメンテナンスをしなければならない

§13 他の事業者(コントラクター)との協力事業者は、コントラクターに対して作業機器に関わるリスクや関連するルールについて知らせなければならない。コントラクターも事業者に対して作業に関わるリスクを知らせなければならない

§14 作業用機器運用時点での検査事業者は適切な運用条件の確認のために認証機関ZÜSによる定期検査を実施しなければならない。プラント設備・機器に基づき、定期検査の間隔が決定される

§15 作業用機器の運用前検査初期運転及び設計からの大幅な変更があった場合、 ZÜSによる適正運用(建設、設置、設置条件、安全運転)に関する運用前検査を実施しなければならない

§16 定期検査事業者は、監視が必要な設備は安全な状態であるかを検査しなければならない

§21 産業安全委員会労働社会省は、産業安全委員会を設立しなければならない

§23 違反必要措置を怠った場合、労働安全衛生法または、(1年以内の実刑または罰金)。または、製品安全法に基づき罰せられる(1万ユーロ)

【附属書II】監視が必要な設備の検査

【付属書Ⅲ】作業用機器の検査

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産業安全衛生規則の検査に関する規定(§4 )において、事業者によるリスクアセスメントの作成や検査の実施、及び事業者自らで保護手段を講じることを義務付けている

DE-5

1. 作業用機器は、事業者がリスクアセスメントを策定し、保護手段が講じられ、機器の使用が安全であることを確認してからのみ、使用可能となる

2. 技術的保護手段によって危険性が十分に回避できないという観点から策定したリスクアセスメントの下、事業者は組織体制の確立や個人の保護措置を適切に提供する必要がある

3. 保護措置を決定する際には、附属書を含め本規定に準拠しなければならない

4. 事業者は本規定の§14の下、検査の実施及び文書化を確かなものとしなければならない

5. 事業者は§14及び§15の下、運用前に機器の検査を実施しなければならない

6. 事業者は作業用機器の運用において労働者の健康と安全に関心を持ち、必要に応じて財務や人員の提供に取り組まなければならない。特に労働者の組織設計や作業方法、作業場だけでなく、精神的な要因を含め労働者の健康と安全を確認する必要がある

§4 事業者の基本義務

142

自主保安に関する規定A リスクアセスメントに関する規定B

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:産業安全衛生規則

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§10 作業用機器のメンテナンス・改良

産業安全衛生規則§10及び§14)において、事業者によるメンテナンス作業及び検査の実施を義務付けている。但し、第三者機関による検査の必要性については機器ごとに附属書IIIで規定

DE-5

§14 作業用機器運用時点での検査

143

自主保安に関する規定A

出所:産業安全衛生規則

1. 事業者は、機器の設置状況に基づいて、運用前に機器の安全性検査を実施しなければならない。

2. 事業者は、労働者を危険に曝す可能性がある作業用機器について、繰り返し検査員による検査を実施しなければならない。事業者は、§3のリスクアセスメントに基づき、検査の頻度を決定する。

3. 機器の変更にて労働者を危険に曝す可能性がある場合は、資格者による臨時の検査を実施する必要がある

4. 附属書IIIに記載されている作業用機器において、事業者は安全性を確認するために、運用開始前の検査、変更があった際の検査、定期的な検査を実施しなければはらない。

5. 定期検査の期日は月及び年、それぞれの場合で定められている

6. 事業者は、検査員の検査業務において、処罰を与えてはならない

7. 事業者は検査結果が記録されていること及び次の検査までの少なくとも1年間その結果を保管しなければならない。

1. 事業者は安全衛生の要件を適用し、常に作業機器の運用が安全な状態であることを確かなものとしなければならない。機器の製造業者は必要なメンテナンス措置や即時に保護措置が実行されるように、マニュアルの作成が必要である

2. 事業者は、製造業者のマニュアルを考慮しながら、リスクアセスメントや安全な行動の基本に基づき、メンテナンス措置を講じなければならない。メンテナンス作業は熟練した責任のある、訓練を受けた者、または同等の作業資格を備えているコントラクターによって実施されなければならない

3. 事業者はメンテナンス作業を安全に行うために必要な全ての措置を講じなければならない

4. 作業用機器のメンテナンス作業時に全体的に又は部分的に動作不能や作業場の危険性が見受けられた場合、労働者の安全のために適切な措置を保証する必要がある

5. 作業用機器の運用において変更があった場合、事業者は安全衛生要件の見直しを行い、変更の承認が必要か否かを確認しなければならない

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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附属書II 監視が必要な設備の検査(1/2)

産業安全衛生規則の検査に関する規定(附属書II)において、設備ごとに検査の実施者の要件や定期検査の間隔が定められている

DE-5

Section 1:認証検査機関(ZÜS)

1. 認証検査機関本附属書もしく製品安全法にて規定されている検査については、認証検査機関によって実施されなければならない。認証検査機関は以下の要件を満たさなければならない

a. 第三者保険を最低総額2.5百万ユーロ確保しなければならない

b. 少なくとも要求される検査を全て実施する能力を有しなければならない

c. 経営陣は、法に従って行った検査業務の実効性について全面的に責任を有しなければならない

d. 定期的な内部監査を含め、適切で有効な品質管理システムを適用すること

e. 検査を実施する者には中立的に検査業務を課すことf. 検査を実施する者の報酬は、検査を実施した数は検査結果によ

らないこと2. 検査実施の認定を与えられた企業・グループ(PvU)

認証検査機関としての検査業務を実施するために、製品安全法に基づき、下記の要件を満たさなければならない

a. 組織的な面で独立性を有していなければならないb. 社内での公平性を確保しなければならない

c. 設計、生産、販売、運用、メンテナンス等の業務に従事してはならない

d. コンフリクトが生じるような判断とならないよう、独立性かつ整合性をもって活動に従事しなければならない

e. 企業及びグループ内からは排他的な業務でないといけない

144

自主保安に関する規定A

Section 3:爆発性危険物

1. 適用範囲本セクションは、有害物質法の§2に基づく作業用機器の検査に適用さ

れる。検査は少なくとも次回の検査までの間、爆発や火災から生じるリスクに対応するために実施することを目的としている。

3. 検査を実施する者検査の実行者は以下の要件を満たす必要がある

a. 特別な技術訓練を受講もしくは技術試験に合格b. 少なくとも1年間の生産、組立、運用もしくはメンテナンス作業に

て経験を有する

c. 爆発性危険物に関する知識を有し、常に研修等で知見を更新している

5. 定期検査の頻度

5.1 危険エリアのシステムは少なくとも6年ごとに検査を実施

5.2 ATEX機器指令(2014/34/EU)の機器は少なくとも3年ごとに検査を実施

5.3 換気装置やガス警報装置は少なくとも1年ごとに検査を実施

5.4 リスクアセスメントの下、メンテナンス作業を実施し、安全性が確認されている場合は5.2及び5.3の検査は免除

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:産業安全衛生規則

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附属書II監視が必要な設備の検査(2/2)

産業安全衛生規則の検査に関する規定(附属書II)において、例えば圧力機器に関しては機器性能ごとに検査の実施者が定められている

DE-5

Section 4:圧力機器

1. 適用範囲本セクションは、圧力機器の検査に適用される。検査は次回の検査までの間、機器運用の安全性を確認することを目的としている。

3. 検査を行う者検査を実施する検査員は以下の要件を満たす必要がある

a. 特別な技術訓練を受講b. 少なくとも1年間の生産、組立、運用もしくはメンテナンス作業に

て経験を有するc. 圧力の危険性に関する知識を有し、以下に関する研修を受講

設計・製造プロセス/機器・安全性コンセプト/組立・機器設置/運用/リスクアセスメント/検査方法/ダメージのパターン

145

自主保安に関する規定A

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:産業安全衛生規則

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§3 リスクアセスメント

産業安全衛生規則の検査に関する規定(§3 )において、事業者によるリスクアセスメントの策定を義務付けている

DE-5

146

リスクアセスメントに関する規定B

c. 安全対策の有効性の検査の結果、安全対策が十分でないと判明した場合

8. 事業者は運転前にリスクアセスメントの結果を文書化しなければならない。

1. 事業者は、必要な保護対策を講じるために、作業用機器の運用前に危険アセスメントを策定しなければならない。CEマーキングの表示はリスクアセスメントの実施義務を除外するものではない。

2. リスクアセスメントには、作業用機器を運用する上での全ての危険、すなわち、機器の危険、作業環境の危険、機器を利用して実施される作業の危険が記載されてなければならない。

3. 作業用機器の選択や調達の前にリスクアセスメントを開始する必要がある。特に作動媒体の妥当性、手順及び運用体制の検討が必要である。リスクアセスメントは資格要件の満たした者のみによって実施されるべきである。

4. 事業者はリスクアセスメントに必要な情報を入手し、産業医学や事故予防の観点に基づき、運用上の適切な基準や状況が記載されたマニュアルを策定しなければならない。機器の製造業者は、機器の情報を使用者に提供する必要がある。

5. 事業者は、機器の製造業者又は販売者が提供した使用条件等に基づき、リスクアセスメントに保護措置について示さなければならない。

6. 事業者は、§14及び§16に基づき、作業用機器の必要な検査や検査期限を決めておく必要がある

7. リスクアセスメントは定期的に見直され、必要に応じて保護措置の調整が必要である。事業者は、以下の際、リスクアセスメントを更新しなければならない

a. 機器の修理等作業環境における安全に関する変更が生じた場合

b. 事故や労働安全衛生に関する新たな情報が入手可能になった場合

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:産業安全衛生規則

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(参考)圧力容器の検査は、基本的に認定認証機関(第三者認証機関)、LPGシステムの検査は知識・経験の要件を満たした検査員により実施される

設備・作業機器の検査の頻度及び検査実施者

※1:改修後の検査は、安全専門家により実施されなければならない※2:毎年、専門的な訓練を受講し、専門的な知識及び経験を保持している検査員による検査か必要出所:産業安全衛生規則、TRBS1203

装備・機器名 検査頻度カテゴリ

監視が

必要な

設備

昇降機 認定認証機関2年に1回 認定認証機関 -

爆発性雰囲気

にある設備

認定認証機関

または、検査員1~6年に1回

(設備により異なる)

認定認証機関

または、検査員※1

• 防爆に関する教育・訓練の修了

• 関連ルールを含む防爆に関する知識・経験

• 防爆知識の更新、定期的な意見交換の実施

特定

作業

機器

クレーン検査員

※一部、検査が不要

の機器もあり

毎年 検査員

• 技師実習の完了または関連知識の保持

• 3年以上のクレーンの設計・メンテナンス・点

検等に関する経験及び半年以上の監査経験

ボイラー

及び圧力容器認定認証機関

1~10年に1回(設備により異なる)

認証機関※一部検査員が可

能な設備もあり

• 関連技術訓練の修了及び継続的受講

• 検査対象設備の製造・運転・メンテナンス等

の1年以上の経験

LPGシステム 検査員1~4年に1回(システムにより

異なる)

検査員

• 専門的な訓練の受講

• 試験対象機器に関連する専門的な知識及び

経験の保持

イベント用

機器検査員4年に1回※2 検査員

• 技師実習の完了または関連知識の保持

• 3年以上の対象機器の設計・メンテナンス・点

検等に関する経験及び半年以上の検査経験

その他の作業機器担当者

(専門知識は不要)

リスクアセスメント

の結果に基づく担当者

(専門知識は不要)-

検査実施者運転前 運転後 検査員の要件

設備

機器

高圧ガス保安法に関連する設備・機器

凡例

147

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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(参考)ZLSは、ドイツ全州の協定により設立された検査機関認定機関で、検査機関(ZÜS)の認定を各州から委任されている

148

ZLS概要 ZLSに対する指名の委任状況

正式名称 Zentralstelle der Länder für Sicherheitstechnik

(製品安全局)

1996年にドイツの全16州の協定により設立された

検査機関の認定組織

バイエルン州労働社会省内に設置

組織概要

主な役割

検査・認証機関の認定・指名

‒ 製品安全法、医療器具安全法、輸送・危険物

法、船舶安全法に基づく検査・認証機関の認

定・指名

‒ 相互承認協定(MRA)の枠組みにおける適合

性認証機関の認定

‒ GSマーク(ドイツの機器・製品安全法基づき、

安全性が認証された製品に付与されるマーク)

の適合性認証機関の認定

EU指令に基づく適合性認証を実施するNB

(Notified Body:第三者認証機関)の監督

欧州におけるNB関連フォーラムへの参加

ハンブルグ州、ブランデンブルグ州以外は、ZÜSの指名をZLS

に委任している

ZLSに

指名を

委任

バーデン=ヴュルテンベルク州

バイエルン州

ベルリン

ブレーメン州

ヘッセン州

メクレンブルク=フォアポンメルン州

ニーダーザクセン州

ノルトライン=ヴェストファーレン州

ラインラント=プファルツ州

ザールラント州

ザクセン州

ザクセン=アンハルト州

シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州

テューリンゲン州

一部指名を

委任 ブランデンブルグ州

州で指名を

実施 ハンブルグ州

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:ZLSウェブサイト等

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(参考)州や機器により、検査可能な機関が異なる(1/3)

149 出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

各州で指定されている第三者検査機関と検査対象

第三者検査機関

Ba

de

n-W

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tem

berg

Ba

ye

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Be

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Bra

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Bre

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Hesse

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Nord

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Rhe

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Sa

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nd

Sa

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n

Sa

ch

se

n-A

nhalt

Sch

lesw

ig-H

ols

tein

Th

ürin

ge

n

DEKRA Automobil GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

DEKRA EXAM GmbH

圧力容器

昇降機

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GTÜ Anlagensicherheit GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

Lloyd´s Register Quality Assurance GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

検査対象

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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第三者検査機関

Ba

de

n-W

ürt

tem

berg

Ba

ye

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Be

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Bra

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Bre

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Ham

bu

rg

Hesse

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urg

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Nie

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Nord

rhe

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Rhe

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Sa

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se

n

Sa

ch

se

n-A

nhalt

Sch

lesw

ig-H

ols

tein

Th

ürin

ge

n

SGS-TÜV Saar GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

TÜV Austria Services GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備

TÜV NORD Systems GmbH & Co. KG

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

TÜV Rheinland Industrie Service GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

(参考)州や機器により、検査可能な機関が異なる(2/3)

150

各州で指定されている第三者検査機関と検査対象

検査対象

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

© 2017. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.

第三者検査機関

Ba

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Ba

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Ham

bu

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Hesse

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ckle

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urg

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rpo

mm

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Nie

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rsachsen

Nord

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Rhe

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Sa

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Sa

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n

Sa

ch

se

n-A

nhalt

Sch

lesw

ig-H

ols

tein

Th

ürin

ge

n

TÜV SÜD Chemie Service GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

TÜV SÜD Industrie Service GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

TÜV Technische Überwachung Hessen GmbH

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

TÜV Thüringen e.V.

圧力容器 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

昇降機 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

(参考)州や機器により、検査可能な機関が異なる(3/3)

151

各州で指定されている第三者検査機関と検査対象

検査対象

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

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(参考) Dekra Automobil、Dekra Examはドイツ最大の認証機関Dekraの子会社で、車両や機器の安全検査を主要事業としている

152

Dekra Automobil 概要 Dekra Exam概要

正式名称 Dekra Automobil GmbH

1925年に設立されたドイツ最大の認証機関Dekra

のAutomotive Unit下の子会社

欧州における車検の最大手で、ドイツ国内に

約490の拠点を持つ

主な事業

車両の排出量試験や検査、返却されたリース車の

評価やディーラーによる再販のサポートを実施

運送市場に関するオンライン情報プラットフォーム

「DEKRA.net」を運営

‒ 法律・税務、車両に関する技術、教育、市場動向

に関する情報を提供

出所:Dekra ウェブサイト、Dekra Exam ウェブサイト

企業概要

1995年に設立されたドイツ最大の認証機関Dekra

のIndustrial Unit下の子会社

ボーフム、エッセン、ミュンヘンに拠点を持つ

従業員約125人

企業概要

主な事業

安全システムの試験・評価を実施

ATEX 指令(2014/34/EU)、PPE 指令 (89/686/

EEC)、機械指令(2006/42/EC)に従った試験・

認証を実施

公平性を担保する観点から製造者、運営者、

ユーザ、科学者、調査員、市場監視の代表から

構成される委員会がモニタリングしており、定期的

にアドバイスを行う

正式名称 Dekra Exam GmbH

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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(参考) 車両検査協会であるGTÜやマネジメントシステムの認証を主要事業とするLRQAも安全機器に関する事業を展開しており、ZÜS認定されている

153

GTÜ Anlagensicherheit 概要 Lloyd´s Register Quality Assurance概要

正式名称 GTÜ Anlagensicherheit GmbH

2006年に設立されたGTÜ(1977年に設立された

フリーランスの車両検査員協会)グループのプラント

安全部門

プラント安全部門の従業員は205人

欧州昇降機指令(2014/33/EU)、水質汚染物質

取扱いに関する設備規則(VAwS)の認証機関

主な事業

スチームボイラー、圧力容器、昇降機、爆発性

雰囲気(ガソリンスタンド)で使用される設備の検査

昇降機の適合性評価

水質汚染物質の取り扱い設備の検査

出所:GTÜ ウェブサイト、 Lloyd´s Register Quality Assurance ウェブサイト

企業概要

正式名称 Lloyd´s Register Quality Assurance GmbH

1985年に設立され、世界で50を超える認定機関

から認められている英国の認証機関

従業員は、グローバルで1,500人

欧州昇降機指令(2014/33/EU)、圧力機器指令

(97/23/EC)等の認証機関

主な事業

マネジメントシステムに関するISOやBSI等の規格

の認証

監査やビジネス改善の訓練

環境データの第三者検証

マネジメントシステムの標準とのギャップ分析

企業概要

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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(参考)蒸気ボイラー協会として発足したTÜVは、ドイツ各地に存在し、それぞれプラント設備やマネジメントシステム等さまざまな製品・システムの認証・検査を実施している

154

ZÜS認定されているTÜV*の概要

出所:各TÜV ウェブサイト

SGS-TÜV Saar GmbH

TÜV Rheinland Industrie

Service GmbH

TÜV SÜD Industrie

Service GmbH

TÜV Austria Services

GmbH

TÜV SÜD Chemie Service

GmbH

TÜV NORD Systems

GmbH & Co. KG

TÜV Technische

Überwachung Hessen

GmbH

TÜV Thüringen e.V.

企業名 企業概要 主な事業

• ドイツに本拠を置く第三者試験認証機関。19世紀にドイツ各地で蒸気ボイラー検査協会として発足し、1900年には、ドイツ全体で28組織存在した。1900年代前半に、技術検査機関に組織変更し、その後、1900年代後半から企業化していった

*TÜVとは

• SGS GermanyとSGS-TÜV Saarland(南西部のTÜVから設立)のジョイントベンチャー

• 産業、環境、消費財・小売り・自動車、航空宇宙に関する技術検査・認証

• 1948年に設立されたTÜV AUSTRIAのドイツ支社

• マネジメントシステムの認証、エレベータ、圧力機器の検査、プラント安全管理、製品試験

• 圧力機器システム、システム技術、制御技術、運搬装置、タンクシステム、損傷評価等に関する試験

• TÜV NORD AG(北部のTÜVから2004年に設立)の子会社

• 安全関連アプリケーションに適用されている電機・電子、プログラム電子部品及びシステムの試験

• 1998年に西部のTÜVから設立されたTÜV

Rheinland Groupの企業

• 法令や規制に従ったプラントや化学・プロセス産業の設備の試験及び検査

• Bayerの試験・検査セクションからスピンアウトしたTÜV SÜD AG(南部のTÜV から2005

年に設立)の子会社

• プラントやシステム、設備や建物の安全性、コスト効率性、サステナビリティの実現のためのエンジニアリング、試験及びサポートサービスの提供

• TÜV SÜD AG (南部のTÜV から2005年に設立)の子会社

• 東部のTUVから1990年に設立した企業• 計測、試験、分析、検査、認証等を通じた施設や

車両のシステム・製品の安全性、信頼性、及び品質に関する技術要件適合のサポート

• TÜV SÜDとHessen州のジョイントベンチャー

• あらゆる産業における技術的安全性、品質管理、環境観点での適合性、国際安全基準の順守、経済的効率性に関する試験、評価、アドバイス

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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(参考)検査可能事業者の認定要件を満たす企業は、売上高100億ユーロ、従業員数1万人以上の大規模事業者が過半を占めている

検査可能事業者(PvU)8社の事業規模及び事業概要

BASF SE

Boehringer Ingelheim Pharma GmbH &

Co. KG

INOVYN Deutschland GmbH

Ruhr Oel GmbH

Wacker Chemie AG

BASF Schwarzheide GmbH

Evonik Degussa GmbH

Merck KGaA

• グローバルに化学薬品、農薬の製造・販売に従事

出所:ドイツ連邦労働社会省ウェブサイト及び各社ウェブサイト

• ドイツを中心にインフラ、環境関連事業、プラントメンテナンスサービス、教育などの事業を展開

• 世界20位内にランクインするグローバル製薬企業であり、バイオ医薬品を強みとする企業

• グローバルに工業用の化学製品の製造・販売を行う企業

• ヨーロッパを中心に展開し、化学薬品や農薬、特殊化学素材の製造・販売を行う企業

• グローバルに薬品やマテリアル化学品の製造・販売を行う企業

• 石油精製の英BPと露ロスネフチによる、石油精製のジョイントベンチャー企業(2016年初め、ジョイント解消を発表)

売上高(百万€)

従業員数

70,449 111,456

1,006 1,500

73,497 41,300

10,931 33,847

3,500 4,300

12,845 50,259

― ―

5,296 17,081• ドイツを中心に、グローバルにシリコン素材、製品の製造・販売を行う企業

事業規模PvU企業 事業概要

155

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

© 2017. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.156

各州で指定されている検査可能事業者と検査対象

州検査可能事業者

Ba

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Ba

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BASF SE

圧力容器 1 ○ ○

圧力容器 2 ○ ○

圧力容器 3 ○

圧力容器 4 ○

防爆設備 1 ○ ○

防爆設備 2 ○ ○

BASF Schwarzheide GmbH

圧力容器 1 ○

圧力容器 2 ○

圧力容器 3

圧力容器 4

防爆設備 1 ○

防爆設備 2 ○

Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG 圧力容器 1 ○ ○

検査対象

圧力容器 1:内部用の輸送可能な簡易容器 2:危険性の高いプラント、蒸気発生器内の圧力容器 3:外殻ボイラー(温水ボイラーを除く) 4:温水ボイラー・廃熱ボイラー

防爆機器 1:危険地域の設備、機器、防御システム、または

ATEX指令にて対象とされている機器 2:1万ℓ以上容量の貯蔵設備、1000ℓ/時以上取り扱え

る給油所、飛行場の給油機器等

凡例

出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

(参考)州や機器により、検査可能な事業者が異なる(1/4)ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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検査可能事業者

Ba

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berg

Ba

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Bra

nd

enburg

He

sse

n

Nord

rhe

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Rhe

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falz

Sa

ch

se

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Sa

ch

se

n-A

nhalt

Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG

圧力容器 2 ○ ○

圧力容器 3 ○ ○

圧力容器 4

防爆設備 1

防爆設備 2

Evonik Degussa GmbH

圧力容器 1 ○ ○ ○ ○ ○

圧力容器 2 ○ ○ ○ ○ ○

圧力容器 3 ○ ○ ○ ○ ○

圧力容器 4 ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 1 ○ ○ ○ ○ ○

防爆設備 2 ○ ○ ○ ○ ○

INOVYN Deutschland GmbH圧力容器 1 ○

圧力容器 2 ○

(参考)州や機器により、検査可能な事業者が異なる(2/4)

157

各州で指定されている検査可能事業者と検査対象

検査対象

圧力容器 1:内部用の輸送可能な簡易容器 2:危険性の高いプラント、蒸気発生器内の圧力容器 3:外殻ボイラー(温水ボイラーを除く) 4:温水ボイラー・廃熱ボイラー

防爆機器 1:危険地域の設備、機器、防御システム、または

ATEX指令にて対象とされている機器 2:1万ℓ以上容量の貯蔵設備、1000ℓ/時以上取り扱え

る給油所、飛行場の給油機器等

凡例

出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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検査可能事業者

Ba

de

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berg

Ba

ye

rn

Bra

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He

sse

n

Nord

rhe

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n

Rhe

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nd-P

falz

Sa

ch

se

n

Sa

ch

se

n-A

nhalt

INOVYN Deutschland GmbH

圧力容器 3

圧力容器 4

防爆設備 1

防爆設備 2

Merck KGaA

圧力容器 1 ○

圧力容器 2 ○

圧力容器 3

圧力容器 4

防爆設備 1 ○

防爆設備 2 ○

Ruhr Oel GmbH

圧力容器 1 ○

圧力容器 2 ○

圧力容器 3

(参考)州や機器により、検査可能な事業者が異なる(3/4)

158

検査対象

各州で指定されている検査可能事業者と検査対象

圧力容器 1:内部用の輸送可能な簡易容器 2:危険性の高いプラント、蒸気発生器内の圧力容器 3:外殻ボイラー(温水ボイラーを除く) 4:温水ボイラー・廃熱ボイラー

防爆機器 1:危険地域の設備、機器、防御システム、または

ATEX指令にて対象とされている機器 2:1万ℓ以上容量の貯蔵設備、1000ℓ/時以上取り扱え

る給油所、飛行場の給油機器等

凡例

出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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検査可能事業者

Ba

de

n-W

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Ba

ye

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Bra

nd

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He

sse

n

Nord

rhe

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Rhe

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nd-P

falz

Sa

ch

se

n

Sa

ch

se

n-A

nhalt

Ruhr Oel GmbH

圧力容器 4

防爆設備 1 ○

防爆設備 2 ○

Wacker Chemie AG

圧力容器 1 ○ ○ ○

圧力容器 2 ○ ○ ○

圧力容器 3

圧力容器 4

防爆設備 1 ○ ○ ○

防爆設備 2 ○ ○ ○

(参考)州や機器により、検査可能な事業者が異なる(4/4)

159 出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト

各州で指定されている検査可能事業者と検査対象

検査対象

圧力容器 1:内部用の輸送可能な簡易容器 2:危険性の高いプラント、蒸気発生器内の圧力容器 3:外殻ボイラー(温水ボイラーを除く) 4:温水ボイラー・廃熱ボイラー

防爆機器 1:危険地域の設備、機器、防御システム、または

ATEX指令にて対象とされている機器 2:1万ℓ以上容量の貯蔵設備、1000ℓ/時以上取り扱え

る給油所、飛行場の給油機器等

凡例

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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(参考)労働社会省の諮問機関である産業安全委員会(ABS)・危険物質委員会(AGS)は、それぞれ技術基準(TRBS、TRGS)を策定し、自主保安の実務面をサポートしている

160

産業安全委員会(ABS) 概要

正式名称 Ausschuss für Betriebssicherheit

(産業安全委員会)

産業安全衛生規則第21条に基づいて設立された

産業安全に関する労働社会省(BMAS)の諮問

機関

業界団体や州当局、職業保険組合、認証機関、ア

カデミックの代表者から構成され、BMASに対する

助言や技術基準(TRBS)の策定を実施

出所:労働安全衛生研究所ウェブサイト、産業安全衛生規則、危険有害物質規則

組織概要

設立根拠

(仮訳)産業安全衛生規則第21条産業安全委員会• 労働社会省は、産業安全関する委員会を設立しなければならない。委員は、労働者の代表(略)等から構成され、人数は、21人を超えてはならない

BetrSichV§21Ausschuss für Betriebssicherheit

• (1) Beim Bundesministerium für Arbeit und

Soziales wird ein Ausschuss für

Betriebssicherheit gebildet.

Dieser Ausschuss soll aus fachkundigen

Vertretern der Arbeitgeber, (略). Die Gesamtzahl

der Mitglieder soll 21 Personen nicht überschrei

-ten.

危険物質委員会(AGS)概要

正式名称 Ausschuss für Gefahrstoffe

(危険物質委員会)

危険有害物質規則第20条に基づいて設立された

危険物質に関する労働社会省(BMAS)の諮問

機関

業界団体や州当局、職業保険組合、認証機関、ア

カデミックの代表者から構成され、BMASに対する

助言や技術基準(TRGS)の策定を実施

組織概要

設立根拠

(仮訳)危険有害物質規則第20条危険物質委員会• 労働社会省は、危険有害物質に関する委員会を設立しなければならない。委員は、労働者の代表(略)等から構成され、人数は、21人を超えてはならない

GefstoffV§20 Ausschuss für Gefahrstoffe

• (1) Beim Bundesministerium für Arbeit und

Soziales wird ein Ausschuss für Gefahrstoffe

(AGS) gebildet, in dem geeignete Personen

vonseiten der Arbeitgeber, (略). Die Gesamtzahl

der Mitglieder soll 21 Personen nicht überschrei

-ten.

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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ドイツではコントラクター管理に関する法令による定めはないが、事業者が自主的にコントラクター管理の仕組みを構築し、安全性を維持している

コントラクターに関するルール

コントラクター

選定後

コントラクター

選定

※1:1994年にオランダの石油化学企業に関するコントラクターの認証として開発されたチェックリスト方式の労働安全衛生に関する認証。ドイツでは、DGMK(石油・石炭科学技術協会)が基準を策定し、第三者認証機関が認定する※2:RWE社のコントラクター(サプライヤー)管理システムについては、p165を参照出所:産業安全衛生規則、EU OSHAウェブサイト

161

法令は、作業に適するコントラクターの選定を

義務付けるのみ

産業安全衛生規則が、事業者に対し、作業に必要な

専門性を持つコントラクターを選定するよう義務付け

るのみ

法令は、事業者及びコントラクターに対するリス

ク情報の提供及びリスク不可避時のコントラク

ターとの協力を義務付けるのみ

産業安全衛生規則が、事業者に対してコントラクター

への作業用機器の危険や作業ルールに関する情報

の提供、コントラクターに対する事業者への作業に関

する危険の情報提供が義務付けられている

同規則は、事業者に対して、コントラクターに対する

危険が避けられない場合のリスクアセスメント及び保

護策における協力も義務付けている

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

法令による規定 事業者による取組み

事業者は自主的に労働安全衛生の内容を含む

コントラクター選定基準を保持

事業者は、労働安全衛生当局(EU OSHA)の勧告

や企業評価、CSRの観点から、企業は自主的に選

定基準を保持

大企業を中心とした多くの企業が、コントラクターの

選定基準として労働安全衛生管理に関する民間認

証「Safety Contractor Certificate」を導入※1

自主的にコントラクター管理システムを構築して

いる事業者も存在

EU OSHAが、作業実施時の密なコミュニケーション

や監督、契約終了時のレビュー及び記録の実施を推

奨しており、独RWE社のようにサプライヤー管理シ

ステムを構築している企業も存在※2

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(参考)EU企業における保守のコントラクターの選定指標には、安全衛生システムやサブコンの監査システムの保持が含まれている

一般的な保守のコントラクターの選定基準(EU 安全衛生庁レポート)

出所:EU-OSHA ”Procurement of Maintenance services and health and safety at work”

企業の主要事業

類似事業の経験

作業用機器の保持

品質管理システム

従業員の資格・能力

特定の資格(例:溶接業の場合、ISO9606)

技術的能力

企業のウェブサイト

入札者のポートフォリオ

認証の取得状況

品質管理システムに関する文書

他のクライアントからのレファレンス

安全衛生ポリシー

作業の安全システム

労働安全衛生訓練

労働安全衛生に関する実績

作業機器及び防護機器

安全衛生管理

安全関連ルール

安全な作業に関するステートメント

下記に関する認証

安全管理 (例:ベルギーコントラクター安全基

準(BeSaCC)、企業の安全改善マニュアル

(MASE)、SCC安全チェックリスト)

品質管理(例:ISO9000)

安全衛生管理(例:OHSAS 18001)

環境管理 (例:ISO 14001) 等

調達管理

サブコンの監督システム

サブコン選定・

管理

サブコン選定の際の文書

監査文書やその他サブコンとのコミュニケーションの

内容

基準 指標 情報ソース

162

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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(参考)独RWEは、サプライヤーにプラントの安全を義務付け、評価指標の一つに保安の状況を含めることで、安全性の低いサプライヤーとの契約を防いでいる

独RWE※1のサプライヤー管理の仕組み

※1 ドイツの電力・ガス企業。石油精製業者をサプライヤーとする1出所:RWEウェブサイト

サプライヤー選定

サプライヤー評価

サプライヤー分類

サプライヤー教育

プラント安全の向上を義務付け

保安の状況を評価対象に含む

サプライヤーも遵守が求められる行動規範(Code of Conduct)にプラントの安全について明記‒ 労働環境、プラント安全の継続的な向上を宣言したRWE社の行動規範の遵守をサプライヤーにも義務付けている

サプライヤーの評価基準の一つに産業保安・環境保護を含む‒ 今後のサプライヤーとの契約継続を検討するための6つの評価基準の一つに、産業保安及び環境保護が含まれている(その他の基準は品質、物流、契約条件、リスク、技術・イノベーション)

163

ドイツルール: 産業安全衛生規則 事業者の保安体制に関するルール

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技術規則TRBS1112は、メンテナンスに関する技術規則。産業安全衛生規制のより詳細なガイドラインとして、一般的なメンテナンスの作業内容及び手続を説明している

技術規則TRBS1112 (Technical Regulations on Industrial Safety and Health: Maintenance)

出所:TRBS1112

DE-5(b)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRBS1112

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

産業安全衛生規則

事業者によって準備されるべき職務、労働者が使用する設備、及び監視が必要なシステムの運用に関する規制(BetrSichV)の要件具体化

• 事業者は、リスクアセスメントに基づ

き、メンテナンスを実施しなければな

らない【第3・4条】

【前文】TRBS1112は産業安全衛生規則(BetrSichV)の要件を具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、産業安全衛生規則の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第3条 メンテナンスの準備事業者は従業員の安全衛生に責任をもち、リスクアセスメントに基づき、必要な措置を講じなければならない

事業者はメンテナンスの責任を負い、メンテナンスは訓練を受け十分な知見のある労働者によって行われなければならない

メンテナンス機器やその他の作業用機器は作業場の状況を踏まえ、適宜用途に応じて使用されなければならない

第4条 リスクアセスメント最新のリスクアセスメント結果に基づき、メンテナンス作業は繰り返す行われるべきであり、従業員の安全衛生を確保するために設備機器が破損していないか否かを調査する

【附属書1】メンテナンスのフローチャート

【附属書2】潜在的な危険性と模範的な対応

調査事項

164

DE-5

A

A

A

要件具体化

メンテナンスの実行は事業者の責任であることを義務付け、メンテナンスの作業内

容や手続きについて規定

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

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技術規則TRBS1112 Part1は、爆発性危険物質を取り扱う作業場のメンテナンスに関する技術規則。産業安全衛生規制のより詳細なガイドラインとして、労働者保護のためのメンテナンス方法を説明している

技術規則TRBS1112 Part1 (Technical Regulations on Industrial Safety and Health: Explosion hazards in maintenance – procedure and safeguards)

出所:TRBS1112 Part1

DE-5(c)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRBS1112 Part1

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

• 事業者は、危険性を特定した上で、

メンテナンス中の危険性を低減させ

なければならない【第3条】

【前文】TRBS1112 Part1は、産業安全衛生規則(BetrSichV)に示されている危険性の特定と適切な保護措置の導入に関して具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、産業安全衛生規則の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第1条 適用範囲以下の環境において従業員を保護するための保護措置を特定・危険な作業場でのメンテナンス業務・爆発性雰囲気もしくはより危険性の高い場所でのメンテナンス業務

第3条 リスクアセスメント着火源や爆発性雰囲気等の危険性の特定した上で、事業者は可能な限り、メンテナンス中の危険性を低減させなければならない

第4条 一般的な保護措置メンテナンス中の危険性や爆発性雰囲気を回避する方法として以下の方法が取りうる・可燃性液体の洗浄や可燃性ガスの除去等燃焼性の物質を作業場から取り除く・爆発性雰囲気の形成を抑制するための換気対策・着火源の回避

第5条 組織的な措置事業者は、リスクアセスメントに基づき、メンテナンス作業に関連する従業員に対し必要な保護措置を準備しなければならない

調査事項

165

A

A

産業安全衛生規則

事業者によって準備されるべき職務、労働者が使用する設備、及び監視が必要なシステムの運用に関する規制(BetrSichV)の要件具体化

DE-5

制根拠

メンテナンスの実行は事業者の責任であることを義務付け、メンテナンスの作業内

容や手続きについて規定

要件具体化

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

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技術規則TRBS1201は、作業用機器及び監視が必要な設備の検査に関する技術規則。産業安全衛生規制のより詳細なガイドラインとして、機器の検査タイプごとの手順等を定めている

技術規則TRBS1201 (Technical Regulations on Industrial Safety and Health: Inspection of working equipment)

出所:TRBS1112 Part1

DE-5(d)

O&M対象

自主保安に関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

• 事業者・事業者は、産業安全衛生規

則に沿って、検査内容・検査実施者・

検査の間隔を特定し、モニタリングや

検査を実施しなければならない

【第3条】

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

【前文】TRBS1201は、産業安全衛生規則(BetrSichV)に示されている危険性の特定と適切な保護措置の導入に関して具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、産業安全衛生規則の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第3条 必要な検査の特定3.1 一般作業用機器は常に資格能力のある者により常に監視されることが求められる

3.3 検査実施者の決定産業安全衛生規制に基づき、事業者や事業者は検査に際し、防爆領域に関する専門知識を有する検査員もしくは認定検査機関を適用するかを決定しなければならない

企業は認証検査機関を指定することができ、その検査結果に同意・不同意の判断を下すことができる

検査は産業安全衛生規制に準拠しなければならず、検査では産業安全衛生規制に照らして検査内容の可否が判断される

3.5 検査の頻度産業安全衛生規制には最大の検査頻度が定められており、事業者はこの期間を超えないよう検査計画を策定して、検査を行わなければならない

ドイツルール: 技術規則TRBS1201

調査事項

166

A

A

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

産業安全衛生規則

事業者によって準備されるべき職務、労働者が使用する設備、及び監視が必要なシステムの運用に関する規制(BetrSichV)の要件具体化

DE-5

要件具体化

作業用機器及び監視が必要な設備の検査に関する規定

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

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技術規則TRBS1201 Part1は、爆発性雰囲気で使用される機器や防護システムの検査に関する技術規則。産業安全衛生規制のより詳細なガイドラインとして、当該機器や防護システムの検査手続きを説明している

技術規則TRBS1201 Part1 (Technical Regulations on Industrial Safety and Health: Inspection of equipment in hazardous areas and review of employment in hazardous area)

出所:TRBS1201 Part1

DE-5(e)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRBS1201 Part1

自主保安に関する規定

第三者機関に関する規定

• 事業者は、機器使用前にリスクアセ

スメントを実施し、その結果を文書化

しなければならない【第3・6条】

• 定期検査の範囲については、必要に

応じて第三者機関の助言が求めら

れる【第3条】

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

潜在的な爆発性雰囲気で使用される機器及び防護システムの規制統一化に関する指令(Directive 2014/34/EU)の国内法化

【前文】TRBS1201 Part1は、産業安全衛生規則(BetrSichV)を具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、産業安全衛生規則の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第3条 危険な作業場における機器装置の検査手続き事業者は、機器の設置・組立にあたり、機器の使用前にリスクアセスメントを実施し、安全機能の確認をしなければならない

電気機器、保護システムや安全装置、制御装置といった作業用機器は、ATEX機器指令に準拠して適切な状態で設置されるべきである

作業用機器が適切に動作しているかを確認するために、定期的な検査が必要である。検査範囲については、必要に応じて第三者機関の助言を得つつ、事業者のリスクマネジメントに基づき確定する

必須検査が適切な状態で行われるために、資質能力を満たした検査員によるメンテナンス作業の結果を参照しながら、検査を行うこと

第4条 検査の実施方法基本的に検査は文書等の監査検査と機器設備の技術検査とのセットで実施する

第5条 認可従業員が危険な場所で機器を使用する前に、全てのシステムに防爆検査を実施されるべきである

第6条 文書化事業者はリスクアセスメントの結果を文書化しなければならない

【附属書】リスクアセスメントのチェックポイント

調査事項

167

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

A

A

A

事業者によって準備されるべき職務、労働者が使用する設備、及び監視が必要なシステムの運用に関する規制(BetrSichV)の要件具体化

国内法化

圧力機器指令

EU-2

産業安全衛生規則

DE-5

爆発性雰囲気で使用される機器や防護システムの検査に関する規定

要件具体化

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

C

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技術規則TRBS1201 Part2は、圧力機器や水蒸気装置の検査に関する技術規則。産業安全衛生規制のより詳細なガイドラインとして、当該機器の検査手順を説明している

技術規則TRBS1201 Part2 (Technical Regulations on Industrial Safety and Health: Inspection of steam and pressure equipment)

出所:TRBS1201 Part2

DE-5(f)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRBS1201 Part2

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

【前文】TRBS1201 Part2は、産業安全衛生規則(BetrSichV)を具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、産業安全衛生規則の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第3 条 必須検査の特定事業を継続するにあたり、技術機器装置のアセスメントやシステムが適切であるかを評価するために、定期的に検査を実施しなければならない

外部検査:外部検査は機器の部品を取り外すことなく、機器の外観を検査することを指し、当該検査は通常のメンテナンス業務として訓練された従業員によって実施される

内部検査:内部検査は機器の部品を含め機器内部を検査することを指し、当該検査は資格保持者によって実施され監査(Audit)の機能を果たすものである

第4条 検査の実施認定認証機関は、特にパイプラインの検査に関する産業安全衛生規則の要求事項や最新技術を満たしているかどうか検査しなければならない

パイプラインの検査は、TRBS1203 3.2 (圧力による危険性に関する検査員)の要件を満たしている必要があり、パイプライン関連の強度試験や非破壊検査等のメンテナンス検査を実施できる

• ZÜS及び検査員の役割が示されて

いる【第4条】

• 事業者は、定期的に検査を実施しな

ければならない。但し、自主検査か

第三者機関による検査かについては

明確な記載がない【第3・4条】

調査事項

168

A

B

A

B

高温・高圧あるいは危険な気体・液体を格納・貯蔵・処理する容器や機器の規制統一化に関する指令 (Directive 2014/68/EU)の国内法化

事業者によって準備されるべき職務、労働者が使用する設備、及び監視が必要なシステムの運用に関する規制(BetrSichV)の要件具体化

国内法化

ATEX

機器指令

EU-3

産業安全衛生規則

DE-5

メンテナンスの実行は事業者の責任であることを義務付け、メンテナンスの作業内

容や手続きについて規定

要件具体化

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

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技術規則TRBS1201 Part3は、ATEX機器指令関連の機器や防護システムの修理に関する技術規則。産業安全衛生規制のより詳細なガイドラインとして、事業者に当該機器の修理を義務付けている

技術規則TRBS1201 Part3 (Technical Regulations on Industrial Safety and Health: Repair of equipment, protective systems, safety, controlling and control devices for purpose of Directive 94/9/EC)

出所:TRBS1203 Part3

DE-5(g)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRBS1201 Part3

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

• 事業者は、防護機器や部品の修理

についてアセスメントを実行しなけれ

ばならない【第4条】

【前文】TRBS1201 Part3は、産業安全衛生規則(BetrSichV)を具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、産業安全衛生規則の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第3条 基本的な要件事業者は、産業安全衛生規則に沿って、責任をもって機器、保護システム、安全装置、制御装置等の機器設備の監視を行い、適切に修理をしなければならない

事業者は、ATEX機器指令に定義されているような機器類が防爆用のものであることを認識し、それらを設置・修理する者たちが特別な訓練を受け、専門的なスキルや経験を備えていることを確かなものとしなければならない

第4条 適切に修理されているかのアセスメント事業者は、ATEX機器指令にある爆発性雰囲気のカテゴリーに沿って、防爆機器や部品の修理についてアセスメントを実行しなければならない

第5条 修理要件専門的知識を備えた者による適切な設置・修理が行われた上で、組織的な体制として、責任者の明確化、必要な訓練・教育・経験の提供、適切な規制・ルールへのアクセス、マニュアルや取扱説明書といった製造者の文書の存在を確かなものとしなければならない

【附属書I】運用・改良・修理のフローチャート

【附属書II】防護機器・システムにおける通常の修理及び特別な修理の相違例

• 事業者は、責任をもって機器・装置

の監視を行い、適切に修理を行わな

ければならない【第3条】

調査事項

169

A

B

A

B

潜在的な爆発性雰囲気で使用される機器及び防護システムの規制統一化に関する指令(Directive 2014/34/EU)の国内法化

事業者によって準備されるべき職務、労働者が使用する設備、及び監視が必要なシステムの運用に関する規制(BetrSichV)の要件具体化

国内法化

圧力機器指令

EU-2

産業安全衛生規則

DE-5

労働者を爆発や災害から保護するために、ATEX機器指令にある機器、保護シス

テム、安全装置、制御装置の修理について規定

要件具体化

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

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危険有害物質規則(GefstoffV)は、危険有害物質から労働者の安全衛生及び健康を保護するために、危険有害物質の取扱を定めている

危険有害物質規則 (Gefahrstoffverordnung: GefStoffV)

出所: 危険有害物質規則

DE-6

O&M対象

ドイツルール: 危険有害物質規制

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

• 事業者はリスクアセスメントを

策定し、適切な保護措置を実施

しなければならない

【§6】

規定無し(検査に関する記載はないものの、

事業者に従業員を保護するための保護措置・

安全対策の実施を義務付けている【§7・8】)

• 違反内容に応じて10万ユーロもしく

は1万ユーロの罰金が課せられる

【§21〜23】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

物質に起因する環境への被害を保護するとともに、危険物の安全や健康に及ぼす

被害から労働者を保護するために、市場に流通する物質及び製品を規定

調査事項

170

B

A

参考

職場の化学物質リスクからの労働者の保護に関する指令(98/24/EC)の国内法化

国内法化

爆発性雰囲気に曝される労働者を防護するための規定 (Directive 1996/92/EC)の国内法化

労働者保護に関する指令

ATEX職場指令EU-7

労働安全衛生法

REACH規則 EU域内の化学物質の評価、登録、認可制限など化学物質管理規制を統一するEU規則(Regulation No.1970/2006)の国内法化

制定根拠

DE-2

高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

EU-5

事業者の労働安全体制の構築についての責任を始め、広く労働安全衛生全般について規定(ArbSchG)が制定根拠

詳細

B

B

B

A

参考 詳細

参考 詳細

参考 詳細

§5 物質安全取扱の届出生産者、輸入業者及び販売業者は、規制の対象となる物質や商品情報を記した書類を作成し、届け出なければならない(この書類の作成はREACH指令で義務付けられている)

§6 情報収集及びリスクアセスメント事業者は、企業内において規制の対象となる全ての物質について、リスクアセスメントを策定し、リスクの程度に関する適切な情報を収集しなければならない

§7 最低限の義務事業者は労働安全衛生法(ArbSchG)に基づき、従業員の安全衛生を確保するために必要な全ての措置を講じなければならない

§8 一般的な安全対策事業者は職場環境に危険物が存在する場合には、安全対策を講じなければならない。特に問題となる労働環境及び作業を適切に調整及び整備することが求められる

§14 雇用者への情報共有及びマニュアル事業者は、従業員が§6に基づくリスクアセスメントの要件に準拠した作業指示書にアクセスがあることを確かなものとしなければならない

§21 危険物質委員会

危険有害物質に関する委員会を設立しなければならない

§21 危険な物質から保護する法律(Chemicals Act)-通知

§22 危険な物質から保護する法律(Chemicals Act)-活動

§23 危険な物質から保護する法律(Chemicals Act)-製造・使用Chemicals Actの下、違反内容によって5万もしくは20万ユーロの罰金が課せられる

【附属書I】特定の危険有害物質及びその取扱い

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ドイツルール: 危険有害物質規制

§6 情報収集及びリスクアセスメント

危険有害物質規制のリスクアセスメントに関する規定(§6)において、事業者によるリスクの特定ならびに対応策の策定を義務付けている

DE-6

171

自主保安に関する規定A

高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

1. 事業者は、労働安全衛生法に基づき、労働者が危険有害物質に関連する活動について情報を収集し、規制の対象となる全ての物質について、リスクアセスメントを策定しなければならない

2. 事業者は、リスクアセスメントに必要な全ての情報を収集しなければならない

3. 事業者は、法的に分類されていない物質については、自身で危険性を分類し、リスクを評価しなければならない

4. 事業者は、作業用機器、作業プロセス、作業場にて火災や爆発の危険をもたらす可能性があるか否かを検討しなければならない

5. リスクアセスメント実施において、全て可能な技術的措置を講じた後に依然として残るリスクの可能性を検討し、メンテナンス管理やモニタリングのような対策を講じなければならない

6. 吸入や皮膚接触等作業に伴う危険性については、独立したリスクアセスメントが必要となる。また複数の有害物質が同時に反応した場合に、労働者の健康や安全衛生にどのような影響を及ぼすのかについてもリスクアセスメントが必要である

7. 事業者は、製造者や販売業者によって提供された情報やリスクアセスメントに基づき、作業状況や作業プロセスにおいて取れるべき保護措置を講じなければならない

8. 事業者は、運用開始前にリスクアセスメントを実施し、文書化しなければならない

9. リスクアセスメント文書には、特に爆発の危険性について記載しておく必要がある

10. リスクアセスメントは定期的に見直され、必要に応じて更新されなければならない。本規制に関する変更や必要となる情報が追加された際、労働安全衛生関連規制に基づき、必要になった際は更新しなければならない

11. リスクアセスメントは、資格能力のある者によって実施されなければならない。事業者がそのような知識を持っていない場合は、特に、労働安全衛生専門家や産業医専門家の助言を受けなければならない

12.事業者は、運用上で使用される全ての危険有害物質について、安全データシートにて登録が必要である

13. リスクアセスメントでは、使用される危険有害物質の量や労働者が危険有害物質に曝される時間、作業状況等が明確にされていなければならない

14. リスクアセスメントでは、正確な毒性や繰り返し危険有害物質に曝されることによる危険性等の情報が記載されていなければならない

出所: 危険有害物質規則

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ドイツルール: 危険有害物質規制

§7 最低限の義務

危険有害物質規制は事業者が最低限準拠すべき義務及び安全対策(§7・8)を義務付け、事業者自らでリスクを軽減するために必要な保護措置を検討し、実行することを定めている

DE-6

1. 事業者は、危険有害物質に関連する作業において、リスクアセスメントの策定し、必要な保護措置を実施した後にのみに作業を開始することができる

2. 危険有害物質に携わる労働者の健康と安全を確保するために、雇用者は労働安全衛生法の下、全ての必要な措置を講じなければならない

3. 事業者は、危険有害物質を危険ではないもの、もしくは危険性の低いものに代替することが好ましい

4. 事業者は、危険有害物質に関連する作業従事者のリスクを回避しなければならない。リスクの回避が不可能である場合、リスクを最小化するために適切な保護措置を講じなければならない

5. リスクが存在する限りにおいて、労働者は個人用保護具を使用しなければならない

6. 事業者は、個人用保護具を適切に保管し、使用前に個人用保護具をチェックし、破損している場合は修理しなければならない

7. 事業者は、技術的な保護措置が機能しているか、効果的であるかを定期的に(少なくとも3年に1回)チェックしなければならない

8. 雇用者は、職業暴露限度を順守していることを確かなものとしなければならない

9. 危険有害物質に関する作業で職業暴露限度が実行されていない活動において、事業者は定期的に技術的保護措置の有効性を確認しなければならない

10.有害物質を測定する労働者は適切な知識を備えており、自由に使用できる機器を備えておかなければならない

§8 一般的な安全対策

1. 事業者は、危険有害物質に関する作業の保護措置として、次の対応を取らなければならない

① 職場の適切な設計と作業体制の構築

② 適切な作業用機器の提供及び適切なメンテナンス管理

③ 危険有害物質に曝される作業人数の制限

④ 暴露機関及びレベルの制限

⑤ 適切な衛生対策、汚染をさけるための定期的な清掃

⑥ 危険有害物質を活動を継続するために必要な数量に制限

⑦ 労働者の健康や安全を損なわない適切な作業方法・プロセスを適用

2. 事業者は、閉鎖されたシステムにて危険有害物質が取り扱われていることを確実なものとしなければならない

3. 事業者は、職業暴露制限を超えた場合に即時に報告し、追加的に適切な保護措置を実行しなければならない

4. 技術的かつ組織的な保護措置を全て講じたとしても、皮膚や目にダメージを及ぼす可能性がある場合は、事業者は個人用保護具を提供しなければならない

5. 事業者は、作業用保護服と私用服が保管できる場所を分けなければならない

6. 事業者は、労働者が適切な措置にアクセスできることを確実なものとしなければならない

7. 労働者が一人で危険有害物質の作業に従事している場合、事業者は追加的な措置の実行もしくは十分な監視をつけなければならない

172

参考

高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

出所: 危険有害物質規則

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技術規則TRGS400は、危険有害物質のリスクアセスメントに関する技術規則。危険有害物質規制のより詳細なガイドラインとして、リスクアセスメントの原則や手順を説明している

技術規則TRGS400 (Technical Rules for Hazardous Substances: Risk Assessment for Activities involving Hazardous Substances)

出所:TRGS400

DE-6(a)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRGS400

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

REACH

規則 EU域内の化学物質の評価、登録、認可制限など化学物質管理規制を統一するEU規則(Regulation No.1970/2006)の国内法化

危険有害物質規則

危険有害物質から労働者の安全衛生及び健康を保護するための規制 (GefstoffV)の要件具体化

• リスクアセスメントの全責任は事業者

にある【第3条】

【前文】TRGS400は危険有害物質規制(GefstoffV)の要件を具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、危険有害物質規制の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第1条 範囲TRGS400は危険有害物質規制の§6の下、情報収集及びリスクアセスメントの手順を説明したものである

第3条 リスクアセスメント実施のための原則事業者は運用開始前及び定期的にリスクアセスメントを策定しなければならず、リスクアセスメントの全ての責任は事業者にある

第7条 保護措置の有効性確認換気装置や抽出装置等の技術的保護措置は、十分であるか、機能しているか、有効であるかを定期的に検査されなければならない

第8条 文書化事業者は危険有害物質を取り扱っている場合、従業員数に関係なく、リスクアセスメントの文書化をしなければならない

【附属書1】危険有害物質に関するリスクアセスメントの手順提案

【附属書2】危険有害物質規制の§6の下、標準化された作業手順のチェックリスト

調査事項

173

DE-6

A

A

国内法化

危険有害物質に関するリスクアセスメントにおいて記載すべき情報やリスクアセス

メントの手順を規定

要件具体化

高圧ガス等の危険物の取扱い等に関するルール

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技術規則TRGS510は、危険有害物質の貯蔵施設に関する技術規則。危険有害物質規制のより詳細なガイドラインとして、貯蔵施設の安全衛生措置の対応方法を説明している

技術規則TRGS510 (Technical Rules for Hazardous Substances: Storage of Hazardous Substances in Non-stationary Containers)

出所:TRGS510

DE-6(b)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRGS510

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

• 事業者は、従業員や第三者が危険

有害物質の貯蔵施設によるリスクに

曝されていないかを確認しなければ

ならない【第3条】

【前文】TRGS510は危険有害物質規制(GefstoffV)の要件を具体化したものである事業者は、技術規則を順守すれば、危険有害物質規制の関連要件を満たしていると見做される事業者が異なる対応を選択した場合、労働者の安全と健康を保護するために同程度の対応を取らなければならない

【本文】

第1条 範囲TRGS510は、貯蔵施設からの除去作業、施設内での輸送、危険有害物質の排気等非定常時における危険有害物質の貯蔵に適用される規則である

第3条 リスクアセスメント事業者は、労働安全労働法のリスクアセスメントの枠組みにおいて、従業員や第三者が危険有害物質の貯蔵施設が原因のリスクに曝されていないかを確認しなければならない

第4条 一般的な安全衛生措置危険有害物質の貯蔵に関連する従業員や第三者の健康と安全への被害を最小限に抑えるために倉庫や貯蔵施設の設計、適切な機器装置の提供等の措置を講じなければならない

第6条 特殊な防火対策/第7条複数物質の貯蔵/第12条可燃性液体の貯蔵施設危険有害物質の量に応じた対策や複数の物質を同じ貯蔵施設に保管する場合の危険性について示されている

【附属書1】リスクアセスメントに関する追加情報

【附属書3】作業室の安全キャビネット内における可燃性液体の貯蔵施設

【附属書5】防爆対策

調査事項

174

A

A

危険有害物質から労働者の安全衛生及び健康を保護するための規制 (GefstoffV)の要件具体化

要件具体化

危険有害物質規則

DE-6

施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

危険有害物質の貯蔵施設に関する安全衛生措置や物質の性質や分量ごとの対策

を規定

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技術規則TRGS555は、危険有害物質の規制のより詳細なガイドラインとして、危険物質を取り扱う労働者の安全衛生を守るための方法や手続きを説明している

技術規則TRGS555 (Technical Rules for Hazardous Substances: Working instruction and information for workers

出所:TRGS555

DE-6(c)

O&M対象

ドイツルール: 技術規則TRGS555

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

• リスクアセスメントの結果が、作業指

示の基本となる

【第2条】

調査事項

175

B

危険有害物質から労働者の安全衛生及び健康を保護するための規制 (GefstoffV)の要件具体化

要件具体化

危険有害物質規則

DE-6

人材育成・配置等に関するルール

【本文】

第1条 範囲本技術規則は、危険有害物質規則第14条に照らし、危険有害物質を取り扱う労働者のための情報に適用される

第2条 作業指示書事業者は、労働者が彼らの活動開始前に、文書にてリスクアセスメントを考慮した作業指示書にアクセスできることを確かなものとしなければならない

作業指示書の作成は事業者の責任である。事業者は作業指示書の作成を委任することや、労働安全衛生の専門家や産業医、その他の専門家(労働安全衛生当局、災害保険機関、コンサルタント)からアドバイスを求めることができる

リスクアセスメントの結果が、作業指示書の基本となる

作業指示書の作成にあたり、下記について考慮しなければならない1. 作業場に特有の環境2. 危険有害物質規則および付属書3. 安全データシート4. 本ルール及び労働安全、職業病や衛生に関する一般的に認められたルール

第4条 指示の進め方事業主は、労働者が、活動開始前、またその後1年に1回以上、作業指示書に基づいた作業場や活動に関する口頭での指示を受けることを確かなものとしなければならない

【附属書】安全データシートから作業指示書への落とし込み方

C

B • 作業指示書の作成にあたり、外部専

門家のアドバイスを受けることができ

る【第2条】

危険物質を取り扱う労働者の安全衛生を守るための方法や手続きに関する技術

規則

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製品安全法第14規則(Fourteen Ordinance to ProdSG)は、圧力機器指令を実施するためのドイツ国内法令である

製品安全法第14規則 (Fourteen Ordinance to ProdSG)

出所: 製品安全法第14規則

DE-7

O&M対象

ドイツルール: 製品安全法第14条 施設の設置基準や設備の技術基準に関するルール

自主保安に関する規定

リスクアセスメントに関する規定

規定無し(製品について必須要件の適合性を評価

する機関として、第三者認証機関と

ユーザー監査官を規定【第16・17条】)

第三者機関に関する規定

規定無し

規定無し

• 違反が繰り返された場合は1年間の

実刑が課せられる【第40条】

罰則規定

内部要素

外部

要素

設備・

機器

組織・

人材

環境

影響

原料・

生成物

概要

目的

構成及び主要関連規定

他法令・規

格との関係

規定内容

製品安全法(ProdSG)の細則で、圧力機器に特化した規定

圧力機器指令を実施するための国内法

圧力機器指令

高温・高圧あるいは危険な気体・液体を格納・貯蔵・処理する容器や機器の規制統一化に関する指令 (Directive 2014/68/EU)の国内法化

製品安全法 圧力機器や爆発性雰囲気で使用される機器や防護システム等の製品をEU市場で販売するための規定(ProdSG)が制定根拠

§1 適用範囲本法令は0.5 bar以上の圧力機器をドイツ市場で販売するための規定圧力機器指令(Directive 2014/68/EU)の下、EU加盟国内での技術規格の統一化を図るためのもの

§5 生産者の基本的義務生産者は製品が圧力機器指令の技術要件を満たしたものであることを確かなものとしなければならない

§16 第三者認証機関第三者認証機関は製品安全法に沿って整合性評価を実施しなければならない

§17 ユーザー監査官ユーザー監査官は企業及びグループ内から排外的な立場であり、製品安全法に沿って整合性評価を実施しなければならない

§22 犯罪行為本法令違反が持続的に繰り返し行われた場合、製品安全法に沿って1年間の実刑もしくは罰金が課せられる

調査事項

176

EU-2

参考

参考

参考

参考

A

A

DE-3

国内法化

制定根拠

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4. EU(ドイツ)の保安制度

4.1. EU・ドイツルール(regulation)の把握

4.1.1. ドイツの保安制度サマリ

4.1.2. EU法

4.1.3. ドイツ法

4.2. EU・ドイツにおける関連組織の把握

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• BG RCI(他、ドイツエンジニア協会やドイツ化学技術バイオテクノロジー協会)との合同で安全研修を開催

• 標準規格の策定を手掛け、標準化機関に技術面で協力• 当局や非会員企業も参加可能な保安に関するセミナー・訓練を開催

産業保安におけるEU・ドイツの業界団体・組合の主な役割は政策形成過程への参画であり、実務に大きな影響は与えていない

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産業保安に関連するEU・ドイツの業界団体・組合概要

地域 団体名種類

EU

ドイツ

業界団体

労働組合

参加企業数

欧州化学工業連盟(Cefic)

欧州産業ガス協会(EIGA)

欧州石油環境保全連盟(CONCAWE)

ドイツ機械工業連盟(VDMA)

ドイツ石油工業会(MWV)

ドイツ化学工業会(VCI)

産業ガス連盟(IGV)

欧州プロセス安全センター(EPSC)

鉱業・化学・エネルギー労働組合(IG BCE)

欧州鉱業化学エネルギー労連(EMCEF)

労働組合

業界団体

約2万9,000社

約130社(欧州ガス業界の90%)

約42社(欧州石油生産の100%)

41社

128組合

約3,100社

約1,600社

約50社

22社

約4,000社

産業保安に関する活動内容

• 地域や各国、国際的な当局・機関に対して情報や提言を提供• リスクアセスメントを研究し、ガイドラインや報告書を一般公開

• 化学業界に向けたリスクアセスメントに関する報告書を一般公開

• EUの通商、環境、機械工業の教育などの政策への提言を行っているほか、企業間の企業運営上のベストプラクティス共有を支援

• 毎年主催する欧州最大の石油鉱業業界のカンファレンスでリスクマネジメント/アセスメント関連について議論理解を深めるコンテンツを発信

出所:安達亜紀(2015)「化学物質規制の形成過程 EU・ドイツ・日本の比較政策論」、経済産業省「平成26年高圧ガス取扱施設におけるリスクアセスメント手法及び保安教育プログラム調査研究」 及び各団体ウェブサイト

• 欧州で活動する化学企業に影響を及ぼす問題に対し、産業の代表として政策形成過程に貢献(最もよく組織化された欧州レベルの圧力団体)

• 繊維、金属産業など他業界の労連と連携して政策委員会への提言、交渉、議論など実施

• REACH規則を含め化学物質政策に対し、政策形成過程でドイツ政府やCeficにロビイングを実施

• 化学物質政策に関連する労働者の安全や環境保護/経済政策/研究・技術政策の領域にて規制当局に見解を提示

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法定労災保険組合(DGUV)は、保険料の減額や事故防止に関わる規則・ガイドラインの策定及び労働環境の監督、研修の実施により事業者の保安向上を後押ししている

ドイツ法定労災保険組合(DGUV)概要 DGUV(BG RCI)の主な活動

正式名称 Deutsche Gesetzliche Unfallversicherung

(ドイツ法定労災保険組合)

規模

社会法第7典により定められた労働災害保険組合

‒ 全ての労働者、学生等が強制的に保険対象

公的組織であるが、独立した運営を行う

被保険者数:約7000万人

加盟組織数:357万社・機関

位置づけ

目的 労働災害の防止

労働災害後の回復及び金銭的保証

組織

同業者保険組合(BG)と公共部門の保険組合

(UK)から構成される(石油産業・化学産業は

BG-RCIに所属)

事業者等による保険料を運営費用とする

【参考:保険料の計算方法】

DGUV ウェブサイト、Seventh book of Social Code

規則・

ガイドラインの

策定

労働安全

衛生環境の

監督

給与総額職業組合別ベースレート

業種別ベースレート

労働安全衛生

パフォーマンス× × ×

1事業者当たりの支払額

=

事故率や導入している労働安全衛生技術に応じて最大-25%減額になる一方、労働安全関連指標が悪い場合、

最大+25%の増額となる(DGUV担当者)

研修の実施

DGUVは、事故防止に関する法的拘束力を持つ

独自の規則やガイドラインの策定

‒ BGに統一的な基準として作業条件のリスク

アセスメントを義務付ける「DGUV規則1:予防

原則」と労働安全専門家等の要件を規定する

「DGUV規則2:産業医及び労働安全衛生

専門職」がある(規則の順守状況は要確認)

労災や健康被害に関する施策が実施されているか

を監督

‒ 監督者は、監督の一環として、検査結果の提示

を求めたり、緊急の場合はその場での是正対応

を求める場合もある

‒ DGUVには、監督員が約2,200人所属しており、

そのうち2~300人がBG-RCIに所属している

労働災害防止に関する業界別、分野横断の研修を

無料で実施

‒ 年間約35万人が参加

‒ 石油・化学産業対象には、リスクアセスメントの

方法論や、メンテナンスに関する研修を開催

中小企業は研修に人を出す余裕がないため、

大企業からの参加者が多い (DGUV担当者)

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