平成28年度石油製品需給適正化調査 (石油製品価格...

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平成28年度石油製品需給適正化調査 (石油製品価格モニタリング事業) 石油製品価格変動要因分析、スポット取引活性化及び 取引慣行の公正・透明化に関する実態調査 調査報告書 2017 年 3 月 株式会社野村総合研究所

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  • 平成28年度石油製品需給適正化調査

    (石油製品価格モニタリング事業)

    石油製品価格変動要因分析、スポット取引活性化及び

    取引慣行の公正・透明化に関する実態調査

    調査報告書

    2017 年 3 月

    株式会社野村総合研究所

  • 0

    石油製品価格変動要因分析、スポット取引活性化及び

    取引慣行の公正・透明化に関する実態調査

    目 次

    調査の背景と目的 1

    1.国内における石油製品市場の現状

    1.1 石油製品の卸価格 2

    1.2 石油製品スポット市場の構造と流動性 5

    1.3 石油製品先物市場の現状 22

    1.4 石油製品先物市場の活用メリット 27

    2.石油製品の卸価格水準 35

    3.国内における石油製品の取引慣行の実態

    3.1 石油製品の取引慣行に関するアンケート調査の手法と回答者属性 98

    3.2 卸価格の事後的な修正の実態(アンケート調査結果) 100

    3.3 事後修正に対する SS側の認識(アンケート調査結果) 106

    3.4 今後の望ましい報告性についての考察 108

    4.英国における石油製品市場と石油製品の取引慣行の現状

    4.1 石油製品供給の現状 115

    4.2 石油流通業界の現状 120

    4.2 石油製品の卸価格と価格指標 124

    4.4 石油製品の取引慣行 129

    5.ドイツにおける石油製品市場と石油製品の取引慣行の現状

    5.1 石油製品供給の現状 136

    5.2 石油流通業界の現状 141

    5.2 石油製品の卸価格と価格指標 143

    5.4 石油製品の取引慣行 149

    6.シンガポールにおける石油製品市場の現状

    6.1 石油製品スポット市場の構造と流動性 153

    6.2 石油製品の物流インフラ 157

    6.3 石油製品の価格指標 161

  • 1

    調査の背景と目的

    2014 年以降の石油元売から元売系列SSへの系列玉の仕切価格(卸価格)の推移を見

    ると、原油コストより高値よりに推移する傾向が見られるため、元売と販売業者の間では仕切

    価格について事後的な調整(事後調整)がなされているものと考えられる。こうして仕切価格

    が事実上の「建値」となり、基準が不明確なまま「事後調整」が行われる場合、またそれが常

    態化する場合、販売業者間での不公平感が生まれるのみならず、販売業者側のコスト意識

    に根ざした経営改善努力を曇らせ、また、本来は価格をシグナルとして取引が柔軟に調整

    される市場メカニズムを歪めてしまうおそれがある。

    上記の背景認識に基づき本プロジェクトでは、このため、①石油製品価格(卸価格、小売

    価格)の推移・傾向の要因分析(原油コスト等のコスト変動要因や、需給・競争環境による要

    因等への寄与の分析等)を実施し、過去の傾向や諸外国(シンガポールや欧米の状況)と

    の比較を統計的手法含めて実施する。 また、②価格をシグナルとして取引が柔軟に調整

    される市場すなわち現物スポット市場や先物市場、輸出入の活性化のために、現在の取引

    の実態(商流上のプレーヤーの実態・推移、物流設備や取引ルール上のボトルネックの有

    無等)について調査を行うとともに、市場の活性化等に必要な政策的対応について提言を

    行う。 加えて、③特に 2014 年以降、建値と事後調整の傾向が顕在化しているところ、石油

    元売と特約店間、特約店と販売店間をはじめとする市場参加者間の取引慣行の実態につ

    いてアンケート調査等を実施し、より透明・公正な市場の形に向かうために、取引に関する

    望ましい行為・問題となる行為を整理する。

    注)本報告書では、野村総合研究所を NRI と表記した。

  • 2

    1.国内における石油製品市場の現状

    1.1 石油製品の卸価格

    1)石油元売の卸価格決定方法

    石油元売の卸価格決定方法はコスト連動→市場連動→コスト連動へと変遷してきた。

    1991 年の湾岸戦争以降、石油製品の卸価格決定においては供給コスト(原油価格+精製

    コスト)を考慮した月決め方式が採用されてきた。その後 2008 年 10 月に、石油元売各社

    は卸価格決定のスタンスを従来のコスト連動から市場価格連動に大きく転換し、TOCOM

    先物価格や製品スポット価格等の市場価格を参照する週決め市場連動方式を採用するに

    至った。この方針転換は、「石油製品の価格は、コストではなく市場が決める」ことを決定づ

    ける画期的なものであった。

    しかし 2010 年度以降、卸価格決定は再び供給コストを意識した方式へと逆戻りしてい

    る。2014 年度からは国内製品スポット価格(RIM 価格等)は卸価格決定の価格指標として

    参照されなくなっている(ただし、国内製品スポット価格は依然として、業者間取引価格の交

    渉における重要な価格指標として参照されている)。

    石油元売の卸価格決定方式の変遷

    出所)NRI

    移行期日

    対象油種

    価格指標

    コスト連動卸価格

    湾岸戦争以降

    ガソリン/灯油/軽油/A重油

    原油価格

    精製コスト等

    月次価格改定タイミング

    市場連動卸価格

    2008年10月出荷分より

    ガソリン/灯油/軽油/A重油

    TOCOM石油製品先物価格

    国内製品スポット市場価格

    週次

    市場+コスト連動卸価格

    2010年度中より

    ガソリン/灯油/軽油/A重油

    国内製品スポット価格

    原油価格

    海外石油製品スポット価格

    週次

    2014年度中より

    ガソリン/灯油/軽油/A重油

    原油価格

    海外製品スポット価格

    コスト連動卸価格

    週次

  • 3

    2)石油製品卸価格の当初の通知価格の建値化

    2013 年度中は元売卸価格と原油価格・スポット価格 (RIM 海上/陸上)はほぼ連動して推

    移し、それらの変動幅に大きな差は見られないが、元売の卸価格決定方式がコスト連動に

    逆戻りした 2014 年度以降は卸価格と原油価格・スポット価格の変動幅が乖離し、卸価格が

    原油・スポット価格と比較して高くなっていることがわかる。卸価格の原油・スポット価格から

    の乖離幅は石油元売各社によって大きく異なっている。

    ここで示している卸価格は、石油元売が系列特約店に週次で通知する値引き交渉前価

    格であることを考慮すると、卸価格の当初の通知価格と原油価格の乖離幅が大きい元売ほ

    ど、仕切値が値引きありきの通知価格となっており、SS にとって仕入コストが分からない、最

    終的なコストの予見性がない等の問題を生み出している。

  • 4

    元売卸価格・原油価格・スポット価格の変動幅(2013 年 1 月を起点とした変動幅)

    注)原油価格:貿易統計(財務省)

    海上 RIM 価格:ジャパン石油製品(リム情報開発)

    陸上 RIM 価格:ローリーラック(リム情報開発)

    元売卸価格:元売各社の加重平均

    小売価格:石油製品小売価格調査(資源エネルギー庁)

    出所)各種資料より NRI 作成

    -50

    -40

    -30

    -20

    -10

    0

    10

    20

    30

    20

    13

    /1

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    13

    /4

    20

    13

    /7

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    14

    /1

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    /1

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    15

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    16

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    16

    /4

    20

    16

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    20

    16

    /10

    価格

    変動

    幅(円

    /ℓ)

    原油価格 海上RIM価格 陸上RIM価格 元売卸価格 小売価格

    -50

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    -20

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    0

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    30

    40

    50

    2013/1

    2013/4

    2013/7

    2013/10

    2014/1

    2014/4

    2014/7

    2014/10

    2015/1

    2015/4

    2015/7

    2015/10

    2016/1

    2016/4

    2016/7

    2016/10

    価格

    変動

    幅(円

    /ℓ)

    A社卸価格 B社卸価格 C社卸価格 D社卸価格 原油価格 RIM海上 RIM陸上

  • 5

    1.2 石油製品スポット市場の構造と流動性

    1)石油製品スポット市場の取引構造

    国内で生産される石油製品(ガソリン/灯油/軽油)の約 90%が国内市場に供給されてい

    る。そのうち約 80%が系列特約店・販売店を通じて販売される系列玉である。残りの 20%が

    非系列取引を通じて供給されている。非系列取引は、元売が業転価格で流通させる元売

    業転価格出し、京浜・阪神等での海上マーケット取引、中京等での陸上マーケット取引があ

    る。

    海上マーケットの参加者は元売 7 社と商社 20 社、取引数量は月間 30~40 万 kℓ程度

    (国内供給の 4%程度)、1 日あたりの取引成約数は 50~60 件程度と言われている。基本的

    に、外資系元売が売りポジション、民族系元売が買いポジションである。また、現物は元売

    の製油所から元売の油槽所へデリバリーされるため、現物受渡場所の確保は取引の制約

    になっていない。

    陸上マーケットには、海上マーケットの参加者に加えて、地場販売業者 30~40 社が参

    加している。取引数量は月間 40~50 万 kℓ程度(国内供給の 5%程度)、1 日あたりの取引

    成約数は 700~800 件程度と非常に多い。基本的に、元売・商社が売りポジション、地場販

    売業者や大口の最終需要家が買いポジションである。また、現物の受渡しは元売持ち届

    け、または蔵取りで行われるため、現物受渡場所の確保は取引の制約になっていない。

  • 6

    石油製品の取引構造(2015 年度)

    出所)資源・エネルギー統計年報(資源エネルギー庁)、業界ヒアリング等より NRI 作成

    石油製品の非系列取引の特徴

    出所)業界ヒアリング等より NRI 作成

    国内生産(100%)

    ガソリン:5,500万kℓ

    灯油: 1,600万kℓ

    軽油: 4,200万kℓ

    輸入(2.3%)

    ガソリン:120万kℓ

    灯油: 85万kℓ

    軽油: 56万kℓ

    輸出(12.3%)

    ガソリン:400万kℓ

    灯油: 50万kℓ

    軽油: 940万kℓ

    国内供給(90%)

    ガソリン:5,200万kℓ

    灯油: 1,600万kℓ

    軽油: 3,300万kℓ

    市場取引玉(海上)

    市場取引玉(陸上)

    系列玉

    元売業転価格出し玉

    国内供給の約4%

    国内供給の約5%

    国内供給の約80%系列SS

    系列・非系列SS

    海上マーケット

    元売7社 商社20社程度 市場規模:30~40万kℓ/月

    陸上マーケット

    元売7社 商社20社程度 地場販売業者30~40社 市場規模:40~50万kℓ/月

    非系列取引(国内供給の約20%)

    海上マーケット 陸上マーケット 元売業転価格出し

    取引参加者数 元売7社、商社20社程度 元売7社、商社20社程度

    地場販売業者30~40社程度(中小を含む)

    元売、販売業者

    取引規模

    取引数量 30~40万kℓ/月(国内供給の約4%)

    推定取引成約数 50~60件/日

    取引数量 40~50万kℓ/月(国内供給の約5%)

    推定取引成約数 700~800件/日

    ガソリン出荷数量は不明

    海上・陸上取引玉を含めると国内供給の約20%

    ガソリン・灯油が多い取引油種 ガソリン・灯油が多い ガソリン

    基本的に、東燃G・昭シェルが売りポジション、JX・出光・コスモ・太陽が買いポジション

    商社が元売に対する売り手・買い手となり、取引に参加

    取引の特徴

    基本的に、元売・商社が売りポジション、地場販売業者・最終需要家が買いポジション

    大手販売業者と中小販売業者の取引もある(クレジットの問題から)

    元売が業転価格で販売業者に卸売

    卸売された玉が転売されない(市場取引化していない)

    陸上マーケットでの仕向地指定取引(転売不可)はこれに分類される

    現物は元売製油所から元売油槽所にデリバリーされるケースが多いため、タンク確保は取引の障害になっていない

    現物受渡場所 現物は元売持ち届け/蔵取りでデリ

    バリーされるため、タンク確保は取引の障害になっていない

    現物は元売持ち届け/蔵取りでデリバリーされるため、タンク確保は卸売の障害になっていない

  • 7

    2)現物スポット市場の特徴

    海上マーケットでは、外資系元売(東燃 G・昭和シェル)が売りポジション、民族系元売

    (JX・出光・コスモ・太陽)が買いポジションであり、商社がその間に入り取引が成立してい

    る。その市場価格は元売市中買いの影響を受けやすいとの指摘もある。市場価格が買いポ

    ジションにある元売の買いに敏感に反応して上昇する傾向がある。

    海上マーケットに比べて、陸上マーケットは参加者数・取引成約数が多く、高い市場流動

    性が確保されていると考えられる。その市場価格は製品需給を反映して、近年軟化傾向で

    ある(前述 4 ページのグラフ参照)。

    海上・陸上マーケットの取引構造

    出所)業界ヒアリング等より NRI 作成

    海上マーケット価格と元売市中購入量の推移

    出所)リム情報開発データより NRI 作成

    陸上マーケット

    元売

    商社 商社

    販売業者 販売業者

    販売業者最終需要家

    海上マーケット

    元売(売りポジション)

    元売(買いポジション)

    商社元売市中買い

    0

    10,000

    20,000

    30,000

    40,000

    50,000

    60,000

    70,000

    80,000

    90,000

    100,000

    -14,000

    -12,000

    -10,000

    -8,000

    -6,000

    -4,000

    -2,000

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    8,000月

    間元

    売市

    中購

    入量

    (kℓ)

    対前

    月価

    格変

    動幅

    (円

    /kℓ

    価格変動 市中購入量

  • 8

    3)石油製品の輸出入採算

    石油製品のスポット価格は各地域の需給を反映して変動するため、国内・海外のスポット

    市場で同じ製品に価格差が生じることがある。その石油製品の輸出入採算がプラスであれ

    ば、輸出入が可能になる。

    ガソリンについて、国内スポット価格(RIM 海上)とシンガポールスポット価格(RIM スポッ

    ト、MOPS と同等)にフレート(2.0 円/ℓとした)、石油石炭税(2.29 円/ℓ:2014 年 3 月まで、

    2.54 円/ℓ:2016 年 3 月まで、2.80 円/ℓ:2016 年 4 月以降)、輸入関税(0.934 円/ℓ)を考

    慮し輸出入採算を試算した。

    輸出採算=シンガポールスポット価格-(国内スポット価格+フレート)

    輸入採算=国内スポット価格

    -(シンガポールスポット価格+フレート+石油石炭税+輸入関税)

    2013 年 1 月~2016 年 8 年の輸出入採算を以下に示す。製品の輸出入に関する諸経

    費も考慮し、輸出入採算が+1 円/ℓ以上になる日を輸出入可能日とすると、輸出可能日数

    に比べて輸入可能日数が非常に多いことがわかる。輸入可能日数は、2013 年に 100 日

    (全取引日数の 38%)、2014 年に 218 日(全取引日数の 84%)、2015 年に 53 日(全取引日

    数の 20%)あり、原油価格が高水準の時期に輸入の機会が多かったと言える。また、輸入採

    算は 2013 年には+1 円~+3 円/ℓとなった日数が最も多く(72 日)、2014 年には+3 円~

    +5 円/ℓとなった日数が最も多く(83 日)、採算水準は非常に高い。一方、同期間における

    輸入可能日数はほぼゼロであった。

    上記の輸出入採算を考慮すると、価格面で見た日本への石油製品の輸入機会は非常

    に多い。

  • 9

    ガソリンの輸出入採算(日本-シンガポール)

    出所)リム情報開発データ等より NRI 作成

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    2013/01/01 2014/01/01 2015/01/01 2016/01/01輸入

    採算

    (円

    /ℓ)

    ガソリン輸入採算

    -20

    -15

    -10

    -5

    0

    5

    2013/01/01 2014/01/01 2015/01/01 2016/01/01

    輸出

    採算

    (円

    /ℓ)

    ガソリン輸出採算

  • 10

    ガソリンの輸出入採算日数(日本-シンガポール)

    出所)リム情報開発データ等より NRI 作成

    0

    20

    40

    60

    80

    -15円

    未満

    -15~

    -13円

    -13~

    -11円

    -11~

    -9円

    -9~

    -7円

    -7~

    -5円

    -5~

    -3円

    -3~

    -1円

    -1~

    +1円

    +1~

    +3円

    +3~

    +5円

    +5~

    +7円

    +7~

    +9円

    +9~

    +11円

    +11~

    +13円

    +13~

    +15円

    +15円

    日数

    (日

    2013年

    輸出 輸入

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    -15円

    未満

    -15~

    -13円

    -13~

    -11円

    -11~

    -9円

    -9~

    -7円

    -7~

    -5円

    -5~

    -3円

    -3~

    -1円

    -1~

    +1円

    +1~

    +3円

    +3~

    +5円

    +5~

    +7円

    +7~

    +9円

    +9~

    +11円

    +11~

    +13円

    +13~

    +15円

    +15円

    日数

    (日

    2014年

    輸出 輸入

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    -15円

    未満

    -15~

    -13円

    -13~

    -11円

    -11~

    -9円

    -9~

    -7円

    -7~

    -5円

    -5~

    -3円

    -3~

    -1円

    -1~

    +1円

    +1~

    +3円

    +3~

    +5円

    +5~

    +7円

    +7~

    +9円

    +9~

    +11円

    +11~

    +13円

    +13~

    +15円

    +15円

    日数

    (日

    2015年

    輸出 輸入

    0

    10

    20

    30

    40

    -15円

    未満

    -15~

    -13円

    -13~

    -11円

    -11~

    -9円

    -9~

    -7円

    -7~

    -5円

    -5~

    -3円

    -3~

    -1円

    -1~

    +1円

    +1~

    +3円

    +3~

    +5円

    +5~

    +7円

    +7~

    +9円

    +9~

    +11円

    +11~

    +13円

    +13~

    +15円

    +15円

    日数

    (日

    2016年

    輸出 輸入

  • 11

    ガソリンの輸出入可能日数(日本-シンガポール)

    出所)リム情報開発データ等より NRI 作成

    ガソリン輸入採算と実際のガソリン輸入量を比較すると、両者に一定の関連性が認められ

    る。輸入採算が拡大している 2013 年後半、2014 年中盤、2015 年後半にガソリン輸入量が

    拡大している。輸入採算の程度に関わらず、輸入量は概ね月間 25 万kℓ前後で頭打ちとな

    っていることから、タンク等の第三者利用や、国内の需給環境に与える影響、元売と競合す

    ることへの懸念等、有形無形のボトルネックが存在すると思われる。

    一方、ガソリン輸出採算と実際のガソリン輸出量には関連性が認められない。2013 年1月

    ~2016 年 5 月(月次)、2015 年 1 月第 1 週~2016 年 6 月第 2 週(週次)で見ると、これら

    の期間中の輸出採算はマイナスであるが、ガソリン輸出は行われている。同期間中の月間

    最大輸出量は、2016 年 2 月の 68.4 万 kl、週間最大輸出量は、2016 年 2 月 6 日週の

    20.0 万 kl に及ぶ。輸出採算がマイナスにもかかわらず輸出が行われるのは、国内製品市

    場が供給過剰であることに起因している。石油元売は余剰となったガソリンを限界費用(原

    油コスト+その他変動費)を回収できるぎりぎりの価格で輸出しているのではないかと考えら

    れる。そもそも輸出採算が成り立つ時期が全体として少ないことから、国内で高値で売れて

    おり、輸出するインセンティブが全体として低いことが見て取れる。また、輸出する時期と価

    格の採算性の関係がそれほど強く見られないため、製油所の定期修理等の稼働状況や、

    輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入

    -15円未満 0 0 22 0 2 0 0 0

    -15~-13円 8 0 35 0 11 0 1 0

    -13~-11円 14 0 80 0 15 0 2 0

    -11~-9円 46 0 61 0 20 0 6 0

    -9~-7円 73 0 40 0 49 0 16 13

    -7~-5円 48 17 16 0 97 9 31 18

    -5~-3円 41 33 7 2 53 39 22 18

    -3~-1円 31 51 0 16 14 93 18 37

    -1~+1円 0 60 0 25 0 67 17 18

    +1~+3円 0 72 0 64 0 22 1 7

    +3~+5円 0 10 0 83 0 16 0 2

    +5~+7円 0 18 0 42 0 11 0 1

    +7~+9円 0 0 0 14 0 4 0 0

    +9~+11円 0 0 0 12 0 0 0 0

    +11~+13円 0 0 0 3 0 0 0 0

    +13~+15円 0 0 0 0 0 0 0 0

    +15円超 0 0 0 0 0 0 0 0

    日数合計 261 261 261 261 261 261 114 114

    輸出入可能日数合計 0 100 0 218 0 53 1 10

    輸出入可能日数比率 0% 38% 0% 84% 0% 20% 1% 9%

    2013 2014 2015 2016

  • 12

    国内需給・価格への影響を総合的に考慮して、輸出するかどうか意志決定していると推測

    される。

    ガソリンの輸入採算と輸出量の推移(月次)

    出所)資源・エネルギー統計年報等より NRI 作成

    -8

    -6

    -4

    -2

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    輸入

    採算

    (円

    /ℓ)

    ガソリン輸入採算(月次)

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    輸入

    量(千

    kℓ)

    ガソリン輸入量(月次)

  • 13

    ガソリンの輸出採算と輸出量の推移(月次)

    出所)資源・エネルギー統計年報等より NRI 作成

    -18

    -16

    -14

    -12

    -10

    -8

    -6

    -4

    -2

    0

    輸出

    採算

    (円

    /ℓ)

    ガソリン輸出採算(月次)

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    輸出

    量(千

    kℓ)

    ガソリン輸出量(月次)

  • 14

    ガソリンの輸出採算と輸出量の推移(週次)

    出所)リム情報開発データ等より NRI 作成

    -14

    -12

    -10

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    -4

    -2

    0

    20

    15

    /1

    20

    15

    /2

    20

    15

    /3

    20

    15

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    20

    15

    /5

    20

    15

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    20

    15

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    20

    15

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    20

    15

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    20

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    /1

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    16

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    20

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    20

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    /5

    20

    16

    /6

    輸出

    採算

    (円

    /ℓ)

    ガソリン輸出採算(週次)

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    180

    200

    20

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    /1

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    16

    /6

    輸出

    量(千

    kℓ)

    ガソリン輸出量(週次)

  • 15

    4)石油物流インフラの現状

    ①油槽所・貯蔵タンク

    国内における石油製品タンクの貯蔵能力は 4,107 基・2,622 万 kl(2016 年 3 月末時点)

    であり、その 7 割以上は石油元売の製油所・社有油槽所の貯蔵能力である。JX エネルギ

    ーとコスモ石油が折半出資する東西オイルターミナル(TOT)、昭和シェル石油が 49%・物流

    企業の上野トランステックが 51%を出資するジャパンオイルネットワーク(JONET)も元売系の

    共同油槽所である。北海道の物流企業である苫小牧埠頭が運営する苫小牧ターミナル・石

    狩ターミナルもほとんどの石油元売や商社が利用する共同油槽所となっている。

    その他の共同油槽所として、岩手県・釜石市・石油元売 4 社・LP ガス元売・全農などが

    出資する岩手県オイルターミナル(IOT)、静岡県・富士市・鈴与・日本通運・日本製紙など

    が出資する田子の浦埠頭が所有・運営する田子の浦石油基地がある。また、内陸型共同

    油槽所として、JR 貨物・石油元売 6 社などが出資する日本オイルターミナル(OT)がある。

    臨海型油槽所に比べると規模は小さいがタンク回転率は高い。

    上記以外の油槽所として、総合商社とそのエネルギー販売子会社、全農、石油流通業

    者、大手ディーラー、物流業者が所有・運営する独立系油槽所があり、その貯蔵能力は全

    体の約 2 割に及ぶ。

    ②内航タンカー

    製油所から臨海油槽所への輸送を担うのが内航タンカーである。元売間のバーター取引

    拡大、製油所からのローリー出荷の増加、油槽所の統廃合により内航タンカー輸送量は減

    少傾向であり、その船腹量も減少している。2015 年 3 月末時点で白油タンカー船腹数は

    303 隻であり、JX 系の昭和日タンが 38 隻、鶴見サンマリンが 40 隻、商船三井系の旭タン

    カーグループが 51 隻、上野トランステックが 29 隻、浪速タンカーが 14 隻、コスモ石油系の

    コスモ海運が 22 隻を運航している。

    ③鉄道タンク車

    製油所から内陸油槽所への輸送を担うのが鉄道タンク車である。油槽所の集約化、製油

    所からのローリー直送増加により内陸油槽所の廃止が相次ぎ、鉄道タンク輸送量は減少傾

    向である。鉄道タンク車数も大きく減少しており、2015 年 3 月末時点での鉄道タンク車数は

    1,301 両である。鉄道タンク輸送の最大手 JX ホールディングスが出資する日本石油輸送が

    鉄道タンク車を保有し、JR 貨物がタンク車を運行している。

    ④タンクローリー

    製油所・油槽所から SS への輸送を担うのがタンクローリーである。タンクローリー輸送は

    過去大幅に増加している。石油元売間のバーター取引拡大に伴う製油所直送が飛躍的に

  • 16

    増加していることがその背景にある。また、輸送量の増加とともに輸送距離も伸びており、製

    油所から 100~200km の遠隔地への輸送も行われている。

    内航タンカー、鉄道タンク車と同様に、タンクローリーの保有台数も減少傾向であるが、車

    体の大型化が進み輸送効率は上昇している。2014 年 3 月末時点のタンクローリー保有台

    数は 6,814 台であり、その 8 割以上は白油ローリーである。

    国内の石油物流インフラの状況

    出所)ガソリンガイドブック(リム情報開発)等より NRI 作成

    数 容量 時点

    製品タンク 元売製油所 926基 1,360万kl 2016年3月末現在

    元売社有油槽所 1,652基 549万kl

    共同油槽所 893基 237万kl

    独立系油槽所等 636基 476万kl

    合計 4,107基 2,622万kl

    (うちガソリンタンク) 667基 160万kl

    内航タンカー 白油タンカー 303隻 86万kl 2015年3月末現在

    黒油タンカー 309隻 49万kl

    合計 612隻 135万kl

    タンク車(鉄道) 1,301両 6.6万t 2015年3月末現在

    タンクローリー 白油ローリー 5,651台 10.4万kl 2014年3月末現在

    黒油ローリー 1,163台 1.7万kl

    合計 6,814台 12.1万kl

    種別

  • 17

    所在地 タンク基数 容量(kl)東西オイルターミナル 北海道 釧路油槽所 A地区 15 67,800 (TOT) 苫小牧油槽所 A地区 12 52,000

    B地区 3 15,480青森県 青森油槽所 A地区 11 35,971

    B地区 19 68,000青森県 八戸油槽所 A地区 16 80,700

    B地区 13 17,890C地区 9 8,466

    秋田県 秋田油槽所 9 9,000山形県 酒田油槽所 A地区 5 15,810

    B地区 7 22,818宮城県 塩釜油槽所 26 37,000福島県 小名浜事業所 A地区 13 23,870

    B地区 3 8,490神奈川県 川崎油槽所 28 31,000新潟県 東新潟油槽所 21 120,530静岡県 大井川油槽所 10 27,000石川県 金沢油槽所 A地区 19 76,648

    B地区 8 29,571福井県 福井油槽所 10 36,000兵庫県 姫路油槽所 14 11,000広島県 広島油槽所 16 9,000鳥取県 境港油槽所 A地区 16 39,068

    B地区 8 28,000福岡県 北九州油槽所 16 91,539

    小倉油槽所 20 35,000福岡事業所 24 28,313

    長崎県 佐世保油槽所 11 12,340長崎油槽所 14 19,103

    熊本県 八代油槽所 A地区 20 37,000B地区 15 18,000

    宮崎県 日向油槽所 8 22,480宮崎油槽所 19 26,582

    鹿児島県 鹿児島油槽所 12 32,680合計 25カ所 470 1,194,149

    日本オイルターミナル 北海道 札幌営業所 16 17,930 (OT) 岩手県 盛岡営業所 13 14,883

    福島県 郡山営業所 19 20,050群馬県 高崎営業所 24 13,900栃木県 宇都宮営業所 10 25,910東京都 八王子営業所 11 12,200長野県 松本営業所 9 15,340高知県 高知営業所 27 21,560合計 8カ所 129 141,773

    ジヤパンオイルネットワーク 北海道 苫小牧油槽所 17 75,240 (JONET) 青森県 青森油槽所 13 30,033

    青森県 八戸油槽所 12 28,849長野県 松本油槽所 13 13,194静岡県 清水油槽所 17 38,918福井県 福井油槽所 13 32,500福岡県 小倉油槽所 10 18,135福岡県 福岡油槽所 23 97,430熊本県 八代油槽所 15 22,972合計 9カ所 133 357,271

    苫小牧埠頭 北海道 苫小牧ターミナル 55 299,264石狩ターミナル 25 206,840

    合計 2カ所 80 506,104岩手県オイルターミナル(I0T) 岩手県(釜石) 岩手県オイルターミナル 8 24,035オイルターミナル直江津 新潟県 オイルターミナル直江津 16 73,600田子の浦埠頭 静岡県 田子の浦石油基地 44 53,540宮崎石油基地 宮崎県 宮崎石油基地 13 23,580合計 893 2,374,052出所)ガソリンガイドブック(リム情報開発)

    油槽所名

    共同油槽所

  • 18

    油槽所 所在地 タンク基数 容量(千kl)商社系

    小名浜石油 小名浜油槽所 福島県 42 1,546鹿川ターミナル 鹿川ターミナル 広島県 16 758波方ターミナル 波方ターミナル 愛媛県 7 234丸紅工ネックス 千葉ターミナル 千葉県 15 154丸紅エネルギー 名古屋ターミナル 愛知県 10 49

    堺ターミナル 大阪府 15 275門司ターミナル 福岡県 7 20

    共立商事 函館油槽所 北海道 10 7伊藤忠工ネクス 七尾油槽所 石川県 11 22

    江田島輸送基地 広島県 8 144大井川油槽所 静岡県 10 15長崎ガス石油基地 長崎県 6 5

    東京油槽 東京油槽 神奈川県 5 34兼松油槽 名古屋油槽所 愛知県 20 54

    小倉油槽所 福岡県 21 79卜一ヨーエナジー 福岡油槽所 福岡県 5 27

    ディーラー・流通系大東ターミナル 横浜油槽所 神奈川県 34 117(大東通商) 六連油槽所 山口県 19 176

    長崎油槽所 長崎県 12 33中川物産(丸中興産) 名古屋油槽所 愛知県 23 57

    第二名古屋油槽所 愛知県 3 45大阪桜島油槽所 大阪府 8 31

    カメイ 塩釜貞山油槽所 宮城県 22 48橋本産業 横浜油槽所 神奈川県 11 44日立八イテクマテリアルズ 日立オイルターミナル 茨城県 8 7三愛石油 東京オイルターミナル 埼玉県 8 7ヤマサ総業 小台油槽所 東京都 6 6朝田商会 東京油槽所 東京都 16 6鈴与 袖師油槽所 静岡県 8 10マルシメ 明海油槽所 愛知県 6 5(ペトロトランス) 明海第2油槽所 愛知県 4 10豊通エネルギー 名古屋油槽所 愛知県 12 45谷口石油 四日市 三重県 6 43アズマ荷役サービス 小樽油槽所 北海道 18 18歴世磧油 新潟西港オイルターミナル 新潟県 6 36横山石油 岡山港油槽所 岡山県 12 6総合工ナジー 坂オイルセンター 広島県 10 9新出光 福岡総合油槽所 福岡県 10 14

    佐世保油槽所 長崎県 2 1対馬油槽所 長崎県 4 5

    農協系ホクレン 苫小牧石油貯蔵施設 北海道 13 35

    釧路石油貯蔵施設 北海道 7 15留萌石油出荷ターミナル 北海道 23 60

    全農エネルギー 仙台石油基地 宮城県 9 78新潟石油基地 新潟県 12 23金沢石油基地 石川県 10 68西日本石油基地 愛媛県 6 17唐津石油基地 佐賀県 9 8有明石油基地 福岡県 9 52

    JA宮崎経済連 宮崎石油基地 宮崎県 13 24物流系

    辰巳商会 名古屋ケミカルターミナル 愛知県 9 65桜島埠頭 桜島埠頭 大阪府 40 110

    合計 636 4,757注)タンク容量1万kl以上のものを記載出所)ガソリンガイドブック(リム情報開発)

    運営会社

    独立系油槽所

  • 19

    5)石油タンクの第三者利用によるスポット市場の流動性向上

    スポット市場の流動性向上のために、タンク等のボトルネック性の高い設備の第三者利用

    の一層の促進に向けた不断の見直しのための努力が不可欠である。石油業界はLNG等の

    他の国内のエネルギーに比べて、既にある程度取組が進んでおり、例えば、「適正なガス取

    引についての指針(改定案)」の検討過程では、石油業界の先進的な取組・ノウハウが、ガ

    ス業界に提供・共有された。そして、同指針においては、LNG 基地の第三者利用に当たり、

    活用できる余力の大きい「消費寄託方式」による受託が「望ましい行為」と位置付けられる

    等、石油業界の意見を反映したとりまとめがなされた。こうした石油業界の望ましい取組が、

    石油業界の中でも、より一層進められるべきである。

    LNG 基地の第三者利用に関する要望

    出所)ガスシステム改革に関する意見(2014 年 7 月石油連盟)

    石油製品の世界的な現物取引市場(ロッテルダム港、ニューヨーク港、シンガポール等)

    には大規模な石油貯蔵能力が整備されている。これらの地域では、石油取引に参加しない

    独立系タンク業者が保有・賃借する石油タンクも多く、現物の受渡しが容易な市場環境が

    整っている。通常は大規模な石油貯蔵タンクを持たない流通業者や金融機関も現物受渡

    場所としての石油貯蔵能力を容易に確保することができる。

    金融機関等の非当業者が貯蔵能力を確保し現物スポット取引を行うメリットとして、以下

    の3点をあげることができる。

    現物受渡がボトルネックとなって生じる取引価格の歪みを回避できる。

    現物取引を行わなければ知りえない情報を得ることができる(流通業者が買い増した

    いのか、買い控えようとしているかなど)。

  • 20

    現物取引に参加できると、同業他社や投資家等の非当業者だけでなく、市場に対す

    る見通しが違う様々な市場参加者との取引が可能になり、現物・デリバティブを組み合

    わせてより有利な投資ポートフォリオを構築できる。

    現状の国内石油製品市場では、石油タンクの確保は取引の制約になっていないが、十

    分な石油貯蔵能力は現物スポット市場へのより多くのプレーヤーの参加を促し、石油市場

    の流動性に寄与すると考えられる。例えば、欧州の石油取引の中心地(アムステルダム・ロッ

    テルダム・アントワープ:ARA 地域)に位置するロッテルダム港の石油製品貯蔵能力は

    2,800 万 kℓ(日本国内の総石油貯蔵能力は 2,622 万 kℓ)にも及ぶ。そのうち、独立系タン

    ク業者(Vopak、Odifjell、Petroplus、Oiltanking など)の貯蔵能力が全体の 34%を占める。

    国内では製品タンクの大半は石油元売が所有・利用している。その他の製品タンクはそ

    れらを所有している商社・流通業者・農協等が自社の製品取引や販売に使用しており、第

    三者が賃借可能な製品タンク能力は多くない。

    第三者が賃借可能な石油タンクを提供しているのは、苫小牧埠頭、ジャパンオイルネット

    ワーク、丸紅エネックス等であり、通油量に応じて使用料を支払うスループット契約が可能な

    石油タンクの貯蔵能力は 136 万 kℓ(国内の総貯蔵能力の約 5%)にとどまる。しかも、重油タ

    ンクや既契約中のタンク能力も考慮すると、タンクを保有しない現物市場参加者が新たに賃

    借可能なタンク能力は現時点では極めて限定的である。今後、国内需要の減少が中長期

    的に見込まれることから、元売・商社・特約店ともに余剰タンク容量が増加する。これら既存

    資産を有効活用する新たなビジネスモデルが実践されることで、石油市場の流動性はより

    向上すると考えられる。

  • 21

    国内石油製品タンク能力

    出所)石油設備調査(資源エネルギー庁)、ガソリンガイドブック(リム情報開発)等より NRI 作成

    スループット契約により第三者が賃借可能な石油タンク能力

    出所)ガソリンガイドブック(リム情報開発)等より NRI 作成

    0 5,000 10,000 15,000 20,000

    元売油槽所

    元売共同油槽所

    商社系油槽所

    流通業者系油槽所

    農協系油槽所

    貯蔵能力(千kℓ)

    73%

    9%

    13%

    4%

    1%

    <石油製品タンク能力(2015年度)>

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    1,400

    1,600

    貯蔵

    能力

    (千

    kℓ)

    <元売共同/商社系/流通業者系/農協系油槽所のタンク能力(2015年度)>

    大半は自社取引・販売に使用されている

    元売共同 商社系 流通業者系 農協系

    会社名 所在地

    ジャパンオイルネットワーク 苫小牧 75,240 N.A.

    青森 30,033 N.A.

    八戸 28,849 N.A.

    松本 13,194

    清水 38,918 357,271 N.A.

    福井 32,500 N.A.

    小倉 18,135 N.A.

    福岡 97,430 N.A.

    八代 22,972 N.A.

    苫小牧埠頭 苫小牧 299,264 2,000 ~ 6,000

    石狩 206,840 5,000 ~ 6,000

    丸紅エネックス 千葉 153,756 6,000 ~ 85,000

    名古屋 49,044 9,970 ~ 37,282

    堺 274,770 9,500 ~ 113,000

    門司 19,925 1,300 ~ 30,000

    合計 1,360,870

    着桟能力(DWT)

    -

    貯蔵能力(kℓ)

    506,104

    497,495

  • 22

    1.3 石油製品先物市場の現状

    1)国内先物市場における流動性低下要因

    現物スポット市場の流動性が欠如していると、先物契約の満期前建玉決済が発生し、期

    近ほど先物取引の流動性が低下することが指摘されている。

    一般に、先物価格は最終取引日(納会日)が近づくにつれて、現物価格に収斂してい

    く。ところが、現物スポット市場の流動性が欠如していると、現物の買い占め・バキュームや

    現物受渡不履行の懸念から現物と直近限月先物の価値に乖離が生じて、現物スポット価

    格が先物価格に収斂しなくなる。それを懸念する市場参加者が先物を満期前に決済する

    と、直近月の先物取引の流動性は低下する。その流動性低下を嫌う市場参加者が満期前

    に先物を決済することで、市場の流動性はさらに低下する(満期前建玉決済)。

    海上マーケット(東京ガソリン、東京灯油等)では、市場の流動性が不十分であるため、こ

    うした満期前建玉決済が発生し、直近月に向かって先物市場の流動性が低下していく傾向

    がある。一方、陸上マーケット(中京ガソリン、中京灯油等)では、市場に一定の流動性があ

    るため、先物市場の流動性は海上マーケットほど低下していない。国内先物市場の流動性

    を高めるには、現物スポット市場の流動性向上が重要である。

    満期前建玉決済(プリコンバージェンス)の発生メカニズム

    出所)「国内石油先物市場に関する調査報告書(平成 20 年度資源エネルギー庁委託調査)」

  • 23

    2)先物市場の流動性向上のためのメニューの多様性確保

    諸外国の先物市場では、多様なユーザーのニーズに応えられるように最終決済価格の

    決定方法の選択肢を確保する等の工夫がなされている。例えば、NYMEX 石油先物の最終

    決済価格の決定方法には、主に3つのパターン(+それらの組み合わせ)がある。

    ① NYMEX の先物取引仕様に沿った現物受渡が可能な WTI 原油、RBOB ガソリン、超

    低硫黄ディーゼルについては、取引最終日(納会日)の 14:00~14:30 に NYMEX に

    て成約した価格を取引数量で加重平均した価格が採用されている。

    ② NYMEX に上場されている石油を原資産とする現金決済型先物については、直近月・

    各営業日の NYMEX での決済価格を単純平均した価格が採用されている。

    ③ NYMEX に上場されていない石油を原資産とする現金決済型先物については、直近

    月・各営業日の当該石油の価格指標(Platts や Argus 等)の最高/最低価格を単純

    平均した価格が採用されている。

    NYMEX 原油・石油製品先物の最終決済価格方法

    注)建玉数が多い原油・石油製品先物の上位 20 品目を掲載

    出所)NYMEX 資料より NRI 作成

    No. 先物契約名 現物受渡 最終決済価格

    1 Crude Oil Future 可

    2 RBOB Gasoline Future 可 直近月・最終日14:00-14:30の成約価格の加重平均値

    3 NY Harbor ULSD Future 可

    4 Brent Last Day Financial Future なし 直近月・最終日の翌日の公表価格

    5 WTI Financial Future なし

    7 WTI-Brent Financial Future なし 直近月・各営業日の決済価格の単純平均値

    12 RBOB Gasoline Brent Crack Spread Future なし

    6 Gulf Coast HSFO (Platts) Futures なし

    13 Gulf Coast HSFO (Platts) vs. European 3.5% Fuel Oil Barges FOB Rdam (Platts) Futures なし 直近月・各営業日の最高/最低価格の単純平均値

    19 Singapore Gasoil (Platts) Future なし

    8 Gulf Coast ULSD (Platts) Up-Down Future なし

    10 Gulf Coast Jet (Platts) Up-Down Future なし

    18 3.5% Fuel Oil Barges FOB Rdam (Platts) Crack Spread Future なし

    20 Brent Crude Oil vs. Dubai Crude Oil (Platts) Future なし

    9 WTI Midland (Argus) vs. WTI Financial Future なし

    11 LLS (Argus) vs. WTI Financial Future なし

    15 Gasoline Euro-bob Oxy NWE Barges (Argus) Crack Spread Future なし直近月・各営業日の最高/最低価格の単純平均値(Argus)と直近月・各営業日の決済価格の単純平均値(Brent Future)の差

    14 Mars (Argus) vs. WTI Trade Month Future なし

    16 WTI Midland (Argus) vs. WTI Trade Month Future なし

    17 LOOP Crude Oil Storage Future 現物のみ -

    直近月・各営業日の最高/最低価格の単純平均値(Platts)と直近月・各営業日の決済価格の単純平均値(NY Habor ULSD)の差

    直近月・各営業日の最高/最低価格の単純平均値(Platts)と直近月・各営業日の決済価格の単純平均値(Brent Future)の差

    直近月・各営業日の加重平均価格の単純平均値(Argus)と直近月・各営業日の決済価格の単純平均値(WTI Future)の差

    直近月・各営業日の加重平均価格の単純平均値(Argus)と直近月の前月のWTIフォーミュラ価格の差

    ① 当月最終日のNYMEXでの成約価格平均

    ② 当月中のNYMEXでの決済価格平均

    ③ 当月中の各価格指標の平均

    ②と③の組み合わせ

  • 24

    3)先物市場の流動性向上のための参加者の多様性拡大

    先物市場において、石油当業者の中では需給の状況に応じて、ポジションの方向(売り

    or 買い)が揃ってしまう傾向がある。幅広いヘッジニーズを持った需要家を先物市場に巻き

    込むと同時に、石油を投資対象として位置づける非当業者(具体的には投資家)の市場参

    加も促すことにより、先物市場の流動性はより向上すると考えられる。

    海外の先物市場では、市場参加者数のおよそ 1/3 がファンド(投資家)であり、こうした参

    加者が当業者と逆のポジションを大量に保有することで、市場の流動性が確保されている。

  • 25

    参加者タイプ別 WTI原油・RBOB ガソリン先物市場参加者数の推移

    注)当業者=原油生産者、精製会社、販売会社、大口ユーザー

    スワップディーラー=当業者等とスワップ取引を行う金融機関等

    ファンド=コモディティ取引により顧客の資産運用を行うファンド・CTA 等

    その他大口=CFTC に報告義務があるその他の大口取引者

    その他=その他の小口取引者

    出所)CFTC データより NRI 作成

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    2016/1 2016/2 2016/3 2016/4 2016/5 2016/6 2016/7 2016/8 2016/9 2016/10

    参加

    者数

    当業者 スワップディーラー ファンド その他大口

    WTI原油

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    2016/1 2016/2 2016/3 2016/4 2016/5 2016/6 2016/7 2016/8 2016/9 2016/10

    参加

    者数

    当業者 スワップディーラー ファンド その他大口

    RBOBガソリン

  • 26

    参加者タイプ別 WTI原油・RBOB ガソリン先物ネットポジションの推移

    注)当業者=原油生産者、精製会社、販売会社、大口ユーザー

    スワップディーラー=当業者等とスワップ取引を行う金融機関等

    ファンド=コモディティ取引により顧客の資産運用を行うファンド・CTA 等

    その他大口=CFTC に報告義務があるその他の大口取引者

    その他=その他の小口取引者

    出所)CFTC データより NRI 作成

    -400,000

    -300,000

    -200,000

    -100,000

    0

    100,000

    200,000

    300,000

    2016/1 2016/2 2016/3 2016/4 2016/5 2016/6 2016/7 2016/8 2016/9 2016/10

    ネッ

    トポ

    ジシ

    ョン

    (枚

    当業者 スワップディーラー ファンド その他大口 その他

    WTI原油

    1枚=1,000 bbl

    -200,000

    -150,000

    -100,000

    -50,000

    0

    50,000

    100,000

    2016/1 2016/2 2016/3 2016/4 2016/5 2016/6 2016/7 2016/8 2016/9 2016/10

    ネッ

    トポ

    ジシ

    ョン

    (枚

    当業者 スワップディーラー ファンド その他大口 その他

    RBOBガソリン

    1枚=42,000 gallon

  • 27

    1.4 石油製品先物市場の活用メリット

    1)先物取引を活用した価格リスクヘッジ

    石油製品は連産品であり、製品毎に需要の季節性が異なるため、生産から消費まで時

    間的なギャップが生じることがある。入札や掛売りなどの顧客ニーズに伴う契約関係によって

    時間的ギャップが生じるケースもある。したがって、石油取引では先物を活用して売値・買

    値・利幅というフローの価値を固定しないとギャンブルになってしまう側面がある。一般に、先

    物=ギャンブルという印象論もあるが、先物を使わずリスクを放置する方がギャンブルである

    と言える。

    先物を活用してフロー・ストックの価値変動を固定するメリット

    出所)NRI

    10月に販売価格が確定した石油製品を、12月に仕入・納入する場合、12月時点の仕

    入コストが販売価格を上回り損失が発生するリスクがある(入札で四半期後の石油製品納

    入を指値で落札したケースなど)。10月にあらかじめ、先物市場で12月の買い価格を固定

    することによって、10月の現時点で利益を確定することができる。現金決済型の先物を用い

    ても、灯油仕入するという物理的な取引には影響を及ぼすことなく、同様のリスク回避効果

    を得ることができる。

    ①将来の売値を固定(例)灯油の夏季在庫を冬に販売する

    ②将来の買値を固定(例)掛売客や入札への応札で

    販売価格が先に決定

    ③将来の利幅を固定(例)クラックスプレッドを固定する

    SS・商社等

    冬の灯油販売

    収入の下振れリスク※先物市場で固定してリスク回避

    夏の灯油仕入れ

    仕入れコストは固定

    SS・商社等

    収入は落札価格で事前に固定

    3か月後の仕入れ

    3か月後の仕入れコスト上昇リスク※先物市場で固定してリスク回避

    元売

    石油製品の販売

    収入の下振れリスク※先物市場で固定してリスク回避

    原油調達

    仕入れコストの上昇リスク※先物市場で固定してリスク回避

    ④将来の資産価値を固定(例)在庫評価損のリスクを回避する

    3か月後の納品

    在庫評価損

    先物での利益

    資産価値の維持

  • 28

    「将来の仕入コスト」を固定するケース (現物決済型の先物を活用する場合)

    出所)NRI

    現金決済でも同じリスク回避が可能 (「将来の仕入コスト」を固定するケース)

    出所)NRI

    現物取引の収入

    売値が4500円で先に固定された状況

    12月に4000円程度で仕入れると楽観的に予想して、ヘッジしない場合

    Aさんから灯油仕入買値が5000円に上がっていたので500円の損が出た

    先物市場での収入

    買いポジション20枚

    12月に灯油を買うコストを4000円で買う権利を10月の時点であらかじめ予約・固定。利益を500円で確定できる。

    500円の損失

    500円の利益

    買値5000円(時価)

    Aさんでなく、先物市場で権利を持つBさんから灯油仕入-4000円

    10月(現在) 12月

    現物販売価格(12月渡し)=4.5万円/kl 現物スポット価格=5万円/kl先物価格(12月限)=4万円/kl 先物価格(当月)=5万円/kl

    油価高騰=コスト増の危機

    現物取引での収入

    売値5000円(12月の時価)

    売値が4500円で先に固定された状況

    Aさんから灯油仕入コストが5000円に増えて、500円の損。

    先物市場での収入

    買いポジション20枚=12月に灯油をBさんから受ける権利+4000円を払う義務

    売りポジション20枚=灯油を渡す義務+5000円貰う権利=「5000円私が貰うので、

    私の代わりに灯油をBさんから受けとって下さい」

    =先物市場のポジションを解消先物市場で1000円の利益

    500円の損失

    トータルで500円の利益が、10月時点で確約されていた

    -4000円(10月時点の予約価格)

    +5000円(12月の時価)

    反対売買でポジション解消

    10月(現在) 12月

    現物販売価格(12月渡し)=4.5万円/kl 現物スポット価格=5万円/kl先物価格(12月限)=4万円/kl 先物価格(当月)=5万円/kl

    相殺

    10月時点であらかじめコスト固定

  • 29

    2)先物に先渡・スワップを組み合わせた価格リスクヘッジ

    石油製品の価格リスクは時間差だけでなく、品目間や地域間にも発生する。石油精製業

    者の典型的な品目間価格リスクは精製マージン(クラックスプレッド)のリスクである。精製マ

    ージンは原油価格と石油製品価格により変動する。精製マージンのリスクを回避するために

    は、原油価格と石油製品価格のリスクをヘッジする必要がある。これらを先物取引でヘッジ

    する場合、原油先物を買い、石油製品先物を売ることになる。

    石油製品の購入場所と販売場所が異なる場合は、地域間価格リスクが発生する。販売マ

    ージンは購入場所の石油製品価格と販売場所の石油製品価格により変動する。販売マー

    ジンのリスクを回避するためには、購入場所での石油製品先物を買い、販売場所での石油

    製品先物を売ることになる。

    ところが、先物が上場されている石油の品目や地域は極めて限定的である。例えば、米

    国 NYMEX に上場されている現物受渡が可能な石油先物は、WTI 原油(Crude Oil

    Future)、RBOB ガソリン(RBOB Gasoline Future)、超低硫黄ディーゼル(NY Harbor

    ULSD Future)の 3 銘柄のみである。現金決済型先物として、ブレント原油(Brent Last Day

    Financial Future)やガルフコースト・高硫黄重油先物(Gulf Coast HSFO(Platts) Future)が

    上場されているが、すべての油種や地域をカバーする先物が上場されているわけではな

    い。これらの価格リスクをヘッジするためには、先物取引以外のデリバティブ取引(先渡取引

    やスワップ取引)が活用されている。先物と先渡・スワップを組み合わせた価格リスクヘッジが

    行われることも多い。

    先物・スワップ取引を活用した石油製品の価格リスクヘッジタイプ

    出所)NRI

    品目間価格リスクヘッジ

    原油と特定の石油製品間の価格差変動(クラックスプレッド)は典型的な品目間価格リスク。

    ある限月の原油先物を買い、同一限月の石油製品先物を売れば、クラックスプレッドが固定される。

    先物が上場されていない品目間のスプレッドを固定するためには、OTCスワップ取引が利用される。

    原油・石油製品については、汎用的な品目の先物しか上場されていないので、品目間スプレッドの固定には、先物取引に OTCスワップ取引が組み合わされることも多い。

    時間差価格リスクヘッジ

    原油や石油製品の在庫・輸送により販売・購入時点に差があるときは、この時間差価格リスク が発生。

    原油や石油製品の購入時点と販売時点の価格を固定することで、時間差によるスプレッドが固定される。

    購入時点の限月の先物を買い、販売時点の限月の先物を売れば、両者のスプレッドが固定される。

    先物が上場されていない品目のスプレッドを固定するためには、OTCスワップ取引が利用される。

    地域間価格リスクヘッジ

    同一石油製品の購入・販売場所が異なると、地域間価格リスクが発生。

    購入・販売場所の異なる品目の価格を同時に固定することで、地域間価格差が固定される。

    受渡場所の異なる同一品目が先物市場に上場されていることはないので、リスクヘッジにおいては、先物取引と OTCスワップ取引の組み合わせ、またはOTCスワップ取引が利用される。

  • 30

    3)スプレッド先物による価格リスクヘッジ

    石油先物市場では、代表的な少数の銘柄が圧倒的な市場規模・流動性を持つ。

    NYMEX では WTI 原油、RBOB ガソリン、超低硫黄ディーゼルが代表的な石油先物であ

    る。上場されていない品目・地域の価格リスクをヘッジするには、これらの上場先物と先渡・

    スワップを組み合わせた取引が行われるが、多用される組合せについては、その組み合わ

    せを原資産とする先物が上場されていることがある。

    NYMEX 原油・石油製品先物の取引数・建玉数(2016.10.25)

    注)建玉数が多い原油・石油製品先物の上位 20 品目を掲載

    出所)NYMEX データより NRI 作成

    例えば、ニューヨーク港で購入したガソリンをガルフコーストで販売する際の販売マージン

    の価格リスクをヘッジするためには、ニューヨーク港・ガソリン先物を買い、ガルフコースト・ガ

    ソリンスポット(Platts)をスワップで固定する必要がある。一方、ニューヨーク港・RBOB ガソリ

    ン先物(RBOB Gasoline Future)とガルフコースト・ガソリンスポット(Gulf Coast Unl 87

    Gasoline M2(Platts))の価格差(油種間スプレッド)の先物が NYMEX に上場されている。こ

    の先物を活用すれば、一つの先物取引で同様のヘッジ効果を得ることができる。

    他にも、以下のようなクラックスプレッドや油種間スプレッドの先物が上場されており、様々

    な石油製品取引に対応した価格リスクヘッジが可能になっている。

    ・WTI 原油-ブレント原油

    ・ブレント原油と RBOB ガソリン

    ・ニューヨーク港・超低硫黄ディーゼル-ガルフコースト・超低硫黄ディーゼル

    No. 先物契約名 取引数 建玉数 現物受渡

    1 Crude Oil Future 874,343 1,836,401 可

    2 RBOB Gasoline Future 132,433 422,204 可

    3 NY Harbor ULSD Future 143,635 412,466 可

    4 Brent Last Day Financial Future 89,707 124,972 なし

    5 WTI Financial Future 1,621 116,205 なし

    6 Gulf Coast HSFO (Platts) Futures 2,906 54,690 なし

    7 WTI-Brent Financial Future 0 50,843 なし

    8 Gulf Coast ULSD (Platts) Up-Down Future 4,290 48,252 なし

    9 WTI Midland (Argus) vs. WTI Financial Future 0 41,490 なし

    10 Gulf Coast Jet (Platts) Up-Down Future 1,675 36,431 なし

    11 LLS (Argus) vs. WTI Financial Future 0 31,621 なし

    12 RBOB Gasoline Brent Crack Spread Future 696 23,856 なし

    13 Gulf Coast HSFO (Platts) vs. European 3.5% Fuel Oil Barges FOB Rdam (Platts) Futures 165 23,106 なし

    14 Mars (Argus) vs. WTI Trade Month Future 916 23,019 なし

    15 Gasoline Euro-bob Oxy NWE Barges (Argus) Crack Spread Future 545 21,533 なし

    16 WTI Midland (Argus) vs. WTI Trade Month Future 1,905 21,165 なし

    17 LOOP Crude Oil Storage Future 0 20,474 現物のみ

    18 3.5% Fuel Oil Barges FOB Rdam (Platts) Crack Spread Future 38 20,158 なし

    19 Singapore Gasoil (Platts) Future 3,336 15,583 なし

    20 Brent Crude Oil vs. Dubai Crude Oil (Platts) Future 0 15,273 なし

    8.7億b/dに相当(WTI生産量は数十万b/d)

  • 31

    ・ニューヨーク港・超低硫黄ディーゼル-ガルフコースト・ジェット燃料

    ・ガルフコースト・高硫黄重油-ロッテルダム・高硫黄重油

    NYMEX に上場されている代表的な油種間スプレッド

    出所)NYMEX 資料より NRI 作成

    ベースとなる石油製品

    油種間スプレッド

    様々な石油製品

    原油

    RBOB Gasoline

    Crude Oil (WTI)

    Brent Last Day Financial

    NY Harbor ULSD

    Gulf Coast HSFO (Platts)

    Gulf Coast ULSD (Platts) Up-Down

    Gulf Coast Jet (Platts) Up-Down

    RBOB Gasoline Brent Crack Spread

    Gulf Coast Unl 87 Gasoline M2 (Platts) vs. RBOB Gasoline

    Gulf Coast Jet (Platts)

    Gulf Coast ULSD (Platts)

    Gulf Coast Unl 87 Gasoline M2 (Platts)

    Gulf Coast HSFO (Platts)

    vs. European 3.5% Fuel Oil Barges FOB Rdam (Platts)European 3.5% Fuel Oil Barges FOB Rdam (Platts)

    WTI-Brent Financial

    : 先物(現金決済)

    : 現物価格指標

    : 先物(現物受渡可)

  • 32

    4)ジョバーによる先物市場の具体的活用状況

    米国では、ジョバーと呼ばれる石油流通業者が石油製品の流通の重要な担い手となって

    いる。ジョバーは、タンク事業者から賃借(リース契約、またはスループット契約による賃借)し

    たタンクあるいは自社所有の油槽所を出荷拠点として、石油製品の販売を行っている。米

    国のジョバー業界団体 Society of Independent Gasoline Marketers of America(SIGMA)に

    は 263 社が参加し、それら業者の石油製品取扱量は全米での流通量のおよそ 5 割を占め

    ている。

    大手ジョバーの Duncan Oil Company は Valero Energy や Marathon Petroleum など

    から石油製品の供給を受け、PBSS、スーパーマーケット併設 SS、独立系 SS に製品を供給

    する他、SS の設計、建築、運営管理等の SS 事業支援も行っている。また、SS 事業者の要

    望に応じて、先物市場を活用した製品価格の固定化、価格変動リスクのヘッジ等のサービ

    スも行っている。

    Duncan Oil Company が提供する価格リスクヘッジサービス

    Fixed Forward Contracts

    2 年以内の契約期間における製品売買価格を固定

    Maximum Price Contracts

    2 年以内の契約期間における製品売買価格の上限を設定し、市場価格が上限価

    格を下回る場合は、その変動幅を取引価格に反映

    Collar Contracts

    2 年以内の契約期間における製品売買価格に上下限を設け、その価格帯で取引

    を行う

    石油価格情報を提供している OPIS 社(Oil Price Information Service)はジョバー向けに

    石油価格リスクヘッジに関するセミナー「OPIS Jobber University」を開催している。2日間に

    わたるこのセミナーでは、価格リスクが石油流通業に及ぼす影響、価格に関する顧客の期

    待、価格リスクの実態、価格リスク管理に関する具体的な事項などが説明されている。

  • 33

    OPIS が開催しているジョバー向け石油価格リスクヘッジセミナー

    出所)OPIS 資料

    価格リスクヘッジに関するセミナーのアジェンダ

    <リスクパート 1:リスクとは何か>

    石油製品現物を購入する際の価格リスク

    ジョバー/石油流通業者としてのリスクプロファイル

    価格が激変した際のリスク

    以下の項目に関する説明

    ベーシスリスク

    価格・市場の特徴

    供給安定性

    カウンターパーティ(取引相手)の信用リスク

    ラック価格の日中変動

  • 34

    アンブランデッド価格における逆ザヤ

    <リスクパート 2:顧客が期待するもの>

    石油製品現物の価格リスク管理方法

    顧客に固定/上限価格を提供する場合に必要となるリスク管理

    以下の項目に関する説明

    価格リスクのヘッジ

    先物価格とオプション価格(その違いと適用方法)

    顧客に提示する固定価格の仕組み

    固定価格を実現するためのヘッジ戦略

    ブローカーに支払う手数料/顧客から得る手数料

    ブローカーの選定/管理

    マージンコール(証拠金追加)

    企業内でのリスク管理業務

    出所)OPIS 資料

  • 35

    2.石油製品の卸価格水準

    1)原油価格と石油製品価格の関連性

    石油製品コストの大半は原油コストであるため、原油価格と石油製品の卸売・小売価格

    の間には一定の相関がある。一方で、石油製品の卸売・小売価格は需給や事業者の競争

    環境の影響も受けるため、原油コストに完全に連動しない。

    国内と海外(米国/英国/ドイツ/フランス/シンガポール)における原油価格と石油製品

    (ガソリン/軽油)価格の関連性を分析した結果を以下に示す。分析に使用した価格データ

    の出所は以下のとおりである。

    日本

    原油価格: 貿易統計(財務省)

    製品価格: 石油製品卸売価格調査(資源エネルギー庁)

    石油製品小売価格調査(資源エネルギー庁)

    米国

    原油価格: Refiner Acquisition Cost of Crude Oil(EIA-DOE)

    製品価格: Short-Term Energy Outlook Real and Nominal Prices(EIA-DOE)

    Refiner Gasoline Prices by Grade and Sales Type(EIA-DOE)

    Monthly oil price(IEA)

    英国/ドイツ/フランス

    原油価格: Monthly oil price(IEA)

    製品価格: Short-Term Energy Outlook Real and Nominal Prices(EIA-DOE)

    Zusammensetzung des Verbraucherpreises für Superbenzin(MWV)

    Monthly oil price(IEA)

    シンガポール

    原油価格: リムマーケットニュース(リム情報開発)

    製品価格: リムマーケットニュース(リム情報開発)

    各国において、原油価格と石油製品価格には高い相関があることがわかる。一方で、原

    油価格の変動がどのように卸売・小売価格に反映されるかには違いがある。

  • 36

    原油価格とガソリン卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    日本 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

    小売

    y = 0.9485x + 20.941R² = 0.9591

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    卸売

    価格

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    原油価格(円/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(日本)

    y = 0.8758x + 34.403R² = 0.9429

    0

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    小売

    価格

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    原油価格(円/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(日本)

  • 37

    原油価格とガソリン卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    マー

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    価格

    (円

    /¢)

    米国 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

    小売

    y = 0.9525x + 13.813R² = 0.9568

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(米国)

    y = 0.9605x + 21.69R² = 0.9612

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    小売

    価格

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(米国)

  • 38

    原油価格とガソリン卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    英国 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

    小売

    y = 0.9186x + 10.291R² = 0.9726

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    卸売

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(英国)

    y = 0.9114x + 21.32R² = 0.9748

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    小売

    価格

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(英国)

  • 39

    原油価格とガソリン卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    価格

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    /¢)

    ドイツ 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

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    y = 0.9128x + 11.202R² = 0.9723

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    /¢)

    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(ドイツ)

    y = 0.9718x + 24.355R² = 0.9748

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    小売

    価格

    (円

    /¢)

    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(ドイツ)

  • 40

    原油価格とガソリン卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    フランス 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

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    y = 0.9196x + 10.604R² = 0.971

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    卸売

    価格

    (円

    /¢)

    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(フランス)

    y = 0.9529x + 23.402R² = 0.9827

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    小売

    価格

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(フランス)

  • 41

    原油価格とガソリン卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    シンガポール精製マージン

    ドバイ原油

    Gasoline 92RON

    y = 0.9551x + 10.002R² = 0.9859

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    卸売

    価格

    (円

    /¢)

    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(シンガポール)

  • 42

    原油価格と軽油卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

    0

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    日本 小売マージン精製マージン

    原油

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    y = 0.9479x + 19.974R² = 0.9728

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    価格

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    /ℓ)

    原油価格(円/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(日本)

    y = 0.8173x + 40.581R² = 0.9585

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    小売

    価格

    (円

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    原油価格(円/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(日本)

  • 43

    原油価格と軽油卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    マー

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    価格

    (円

    /¢)

    米国 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

    小売

    y = 1.1336x + 8.6089R² = 0.9852

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    卸売

    価格

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(米国)

    y = 1.0797x + 23.551R² = 0.9569

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    小売

    価格

    (円

    /¢)

    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(米国)

  • 44

    原油価格と軽油卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    英国 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

    小売

    y = 1.0516x + 5.1632R² = 0.9933

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    価格

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(英国)

    y = 1.0514x + 20.413R² = 0.9842

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    小売

    価格

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(英国)

  • 45

    原油価格と軽油卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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    ドイツ 小売マージン精製マージン

    原油

    卸売

    小売

    y = 1.046x + 6.1563R² = 0.9949

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と卸売価格の関係(ドイツ)

    y = 1.1075x + 20.058R² = 0.9943

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    原油価格(¢/ℓ)

    原油価格と小売価格の関係(ドイツ)

  • 46

    原油価格と軽油卸売・小売価格の関係

    出所)各種資料より NRI 作成

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