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タブレットPCと電子黒板を活用した授業等の実践収録 平成30年3月 秋田市教育委員会 平成29年度 ICT活用推進委員会活動成果

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タブレットPCと電子黒板を活用した授業等の実践収録

平成30年3月秋田市教育委員会

平成29年度

ICT活用推進委員会活動成果

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はじめに

近年、デジタル・ネットワーク社会の進展

に伴い、情報活用能力の育成の重要性や授業

でのICT活用が学校教育に果たす役割は

ますます大きくなっています。また、学習指

導要領の改訂により、情報教育や教科指導に

おけるICT活用など、教育の情報化に関わ

る内容について一層の充実が図られてきて

おります。ICTを活用した授業では、一人

一台のタブレットPCや電子黒板等のIC

T機器を活用して、知識の理解を高める学習

や個に応じた学習、協働的な学習を展開する

ための取組が全国各地で実践されています。 こうした状況を踏まえ、本市では今年度、

平成26年度から順次導入してきた各小・中

学校への一体型電子黒板とタブレットPC

を配備するとともに、データセンターを活用

した教育クラウドの基盤を整備したところ

であります。 本委員会では、授業のねらいを達成すると

ともに、子どもたちの主体的・対話的で深い

学びを促すため、ICTの活用場面とその効

果、課題等が明らかになるよう、タブレット

PCと電子黒板を活用した授業の実践につ

いての提案に取り組んでまいりました。 本実践集録が、各校のICTを活用した情

報教育推進の一助となれば幸いです。 平成30年3月

秋田市教育委員会

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目 次

【小学校における実践報告】

○第2学年 国語 1

○第3学年 理科 6

○第5学年 体育科 10

○第6学年 社会科 15

【中学校における実践報告】

○第1学年 数学科 20

○第1学年 理科 24

○第3学年 技術・家庭科(技術分野) 29

【タブレットPC・電子黒板の活用事例】 32

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- 1 -

小学校 第2学年 国語科 実践事例

~あったらいいな、こんなもの~1 単元名 組み立てを考えて、はっぴょうしよう

2 目標

○テーマについて楽しく想像し、進んで話したり、意欲的に聞いたりしようとし。 ( )ている 関心・意欲・態度

○自分が考えた道具について、相手に分かるように、話す事柄の順序を考え、声、 。( )の大きさや速さなどに気を付けて 丁寧な言葉で話すことができる 話すこと

○大事なことを聞き落とさないように気を付けながら友達の話を聞き、感想を述、 。 ( )べたり 質問をしたりすることができる 話すこと・聞くこと

○事物の形や働きを表す言葉の働きに気付いている。( )伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項

3 全体計画(全9時間)

時 主な学習活動 指導のポイント 評価規準

学習の進め方について見通し ・学習の流れを視覚的にとら ・興味を持って発想し、アイを持ち「あったらいいな、こん えられるように、学習計画 ディアを出している。、なものはっぴょう会」までの学 を掲示する。 【関心・意欲】

習計画を立てる。

「あったらいいな」と思うも ・考えを具体化できるように ・考えたものの中から、一つのを考え、絵にかき、簡単な言 簡単な絵やできること、考 選び、絵と簡単な説明を2葉で表す。 えたわけをかくように伝え かいている。3

る。 【思考・表現】

道具を具体的にするためにあ ・教師の考えた道具の絵を提 ・道具の使い方や働きを書いったらいいと思うわけや使い方 示し、どのような説明が必 ている。

4 など、自分の考えをまとめる。 要か全体で考える場を持つ 【思考・表現】。◎電子黒板、タブレットPC

よい発表にするために発表の ・内容を整理できるように ・話合いによって詳しくなっ仕方を確かめ、話す内容を整理 「考えたわけ「形や色、大き たことを書き足している。」して発表メモに書いたり、絵を さ「はたらき」に分けて書 【知識・理解】5 」撮影したりする。 くようにする。

◎タブレットPC

友達に伝えるために、上手な ・発表するときに気を付ける ・聞き手によく伝わるように

6話し方・聞き方を考え、発表練 ポイントを復習し、よりよ 発表を工夫し、言葉に気を

7習をする。 い伝え方が意識できるよう 付けて話したり、発表練習

にする。 をしたりしている。◎電子黒板、タブレットPC 【思考・表現】

発表会を開き、感想を伝え合 ・活動に見通しが持てるよう ・聞く人に伝わるように、声う。 に、発表会の進め方を確認 の大きさや速さ、姿勢に気8

する。 を付けて発表している。9◎電子黒板、タブレットPC ・発表をよく聞き、感想を述本時

。べたり質問したりしている【関心・意欲・態度】

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- 2 -

4 本時の学習(8・9/9)

(1)ねらい

・声の大きさや速さ、姿勢に気を付けながら、伝えたい内容を聞き手に分かり

やすく発表することができる。

・友達の発表を聞き、進んで質問や感想を述べることができる。

(2)学習の展開(90分)

学 習 活 動 指導のポイント 評 価 ICT活用

1 本時の学習の課題を確認する。 ・前時までの学習を振り返り、本時の学習の課

題を確認する。

自分の「あったらいいな」がよく伝 ・教師の考えた「あったらいいな」を題材にし

わるように発表しよう。 て、発表の仕方を演示する。

電子黒板の画面上で、矢印や囲み線を使っ

◎電子黒板自分が発表する時や友達の発表を聞く て、書き込んでいく。

時に、どのようなことに気を付けたらい

いかな。

2 発表の進め方を確かめる。

発表順を決めておき、タブレットのペンソ

・出席番号順に一人ずつ発表する。 フトに写真データを保存しておく。

◎タブレットPC・どんな時に使うか、どんなことができ

るかを詳しく話す。

・質問や感想を聞く。

、 、・様々な感想が出るように 声の大きさや速さ

、 、発想のおもしろさ 発表の分かりやすさなど

聞く時の視点を示す。

3 発表会を行う。

電子黒板の画面上に書き込みながら説明

◎電子黒板をする。

4 本時の学習を振り返る。 ・聞く人に伝わるように、声の大きさや速

さ、姿勢に気を付けて発表している。

(観察)

・発表をよく聞き、感想を述べたり、質問

したりしている。 (発言・ノート)

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5 本時のICT活用の実践

(1)課題を明確にした見通しを持つ活動(4/9)

「自分が発表する時や友達の発表を聞く時に、どのようなことに気を付けた

らいいかな 」を学習課題として、発表会の準備に取り組んだ。教師の電子黒。

板を使った発表を聞いて、絵を拡大提示できること、画面上にペンで書き込

みながら話すことで、大事な部分をより分かりやすく伝えることができると

いうことを実感することができた(写真1 。)

(2)タブレットを使った発表資料の作成(5/9)

、 「 」 、グループの友達と話合いを行い 自分の考えた あったらいいな について

「どんな時に使うのか 「どんなことができるのか 」ということをより詳し。」 。

く考えることができた。そして、話合いによって詳しくなったことを絵にかき

足して 「あったらいいな」の絵を完成させた。次に、タブレットPCのカメラ、

機能を使い、自分の絵を撮影するという発表準備に取りかかった。

(写真2・写真3)

写真1:電子黒板を使った教師の発表演示

色のペンで矢印を書いたり、線

で囲んだりすると目立つから分か

りやすいね!

写真2:個で自分の絵を撮影 写真3:撮影した写真を友達と見せ合う

大きさや長さを、数字で書き込

むこともできるよ。

算数で習ったmやcmを使う

と、みんなイメージできそう。

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(3)電子黒板を使った発表会

1台のタブレットPCに、全員分の

写真データを読み込み、ペンソフトに

データを保存し、発表用のデータを作

成した。絵を見やすくするために、絵

が小さく撮影されていたものは、トリ

ミングして大きく映し出されるように

した (写真4)。

発表者は、電子黒板の前に立ち「名

前 「考えたわけ 「はたらき 「形や」 」 」

色、大きさ」の順に発表した。実際は

A4サイズの紙にかいた絵を、電子黒

板の画面にいっぱいに拡大したこと

で、細かな部分についても後方の子ど

もによく見えていた (写真5)。

「はたらき」や「大きさ」を説明

する時に、画面上でそのはたらきを

する部分を線で囲んだり、数値を書

き加えたりした。数値を書き加える

ことで、聞き手側もイメージしやす

いようだった (写真6)。

画面にかき込むという動作をしなが

ら説明することで、ゆっくりと一つ一

つの説明をすることができていた。聞

き手は、目と耳で理解することができ

たことで、質問の内容がより具体的に

なった (写真7)。

写真4:全員分の写真データ

写真7:説明を書き込んだ画面

写真5:電子黒板の前に立ち発表

写真6:画面に書き込む様子

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6 ICT活用の成果と課題

(1)成果

学習意欲の高まり

電子黒板を使って、自分のかいた絵を提

示し、文章をかき加えながら発表を進める

ことにより、子どもたちが自分の考えた内

容をより詳しく伝えたいという思いを持つ

ことができた また 友達の発表内容が 見。 、 「

やすく 「分かりやすく」なったことで、」

聞く意欲が高まったことが、子どもたちの

様子や発言から感じられた(写真8 。)

発表の仕方の向上

電子黒板に書き加えるという動作をする

、 、ことにより 発表中に間をとることができ

伝えたい内容を一気に羅列していくような

発表にならなかった。そのため、練習の時

よりも、より詳しく分かりやすい説明をす

る姿が見られ、発表の仕方の向上が感じら

れた(写真9 。)

(2)課題

タブレットPCの本体カメラで撮影した画像は、保存されていない場合が多か

ったため、ジャストスマイルクラスのカメラソフトを使用した。しかし、撮影し

た写真データを、1台のタブレットPCに集約する際に、保存場所を探すこと、

他のフォルダに一端データを移動させてから保存することなどに時間がかかっ

た。また、機器のトラブルも多く、一斉にタブレットを使用した際に、学級担任

一人で対応することが困難だった。

7 実践を終えて

、 、 。子どもたちは ICT機器を活用した学習に対して 意欲的に取り組んでいた

タブレットPCの操作に関しても理解が早く、本時の実践に向けて5時間ほどタ

ブレット学習の時間を設けたが、後半は、本体の起動はほぼ全員ができるように

なった。また、ジャストスマイルクラスの学習ソフトで、自分で学習メニューを

選択し、集中して取り組む姿が見られ、タブレットPCを活用した授業実践は低

学年でも可能であることを実感した。

今後は、他教科でもICT機器を活用する場面を増やし、子どもたちの意欲を

高めながら、効果的な学習展開を検討していきたい。

写真8:友達の発表を聞く様子

写真9:発表の様子

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小学校 第3学年 理科 実践事例

1 単元名 明かりをつけよう

2 目標

○乾電池に豆電球をつないだり回路に物を入れたりしたときの現象に興味・関心

を持ち、進んで電気の回路を調べようとしている。

( )自然事象への関心・意欲・態度

○豆電球が点灯するときとしないときや、回路の一部にいろいろな物を入れたと

きを比較して、それらについて予想や仮説を持ち、表現することができる。

( )科学的な思考・表現

。 ( )○乾電池と豆電球を使って回路をつくることができる 観察・実験の技能

○電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること、電気を通す物と通さない

。 ( )物とがあることを理解している 自然事象についての知識・理解

3 全体計画(全7時間)

時 主な学習活動 教師の主な支援 評価の観点

明かりが暮らしの中で 豆電球と導線を乾電池 豆電球に明かりがつくこと

使われていることを話し のどの部分につけると明 に興味を持ち、進んで明かり

合い、豆電球に明かりが かりがつくかを確認して がつくつなぎ方を調べようと1

。 【 】2

つくつなぎ方を調べる。 から、実験に取り組ませ している 関心・意欲

る。○電子黒板

実験結果を発表し、豆 子どもが書いた記録カ 明かりがつくときとつかな

電球の明かりがつくつな ードを実験結果ごとに分 いときとを比較して、明かり

、3 ぎ方と回路についてまと 類して黒板に掲示し、つ がつくときの電気の通り道を

4 める。 なぎ方の共通点や差異点 豆電球、乾電池、導線のつな

を比較できるようにする。 ぎ方と関連付けて考え、説明

。 【 】している 思考・表現

回路にいろいろな物を 電気を通す物と通さな 回路の途中に身の回りの物

つないで、電気を通す物 い物を例示し、予想をし をつなぎ、豆電球の様子を比5

を探す。 てから実験に取り組み、 較しながら調べ、電気を通す本時

写真でも記録するように 物と通さない物とに分けて、6

させる。 結果を記録している 【技能】。

○電子黒板・タブレット

金属は電気を通すこと 子どもが記録した表と 豆電球と乾電池を導線でつ

をまとめる。 写真から結果を発表し、 なぎ、回路ができると豆電球

豆電球の明かりがつく まとめるようにする。 の明かりがつくことと、物に

7 回路のつなぎ方と、電気 ○電子黒板・タブレット は、電気を通す物と通さない

を通す物について、分か 物があり、金属は電気を通す

ったことをまとめる。 ことを理解している。

【 】知識・理解

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4 本時の学習(5/7)(1)ねらい

回路の途中に身の回りの物をつなぎ、豆電球の様子を比較しながら調べ、電

気を通す物と通さない物とに分けて、結果を記録することができる。

(2)学習の展開

学習活動 教師の支援 評価 ICT活用

1 回路の途中に導線以外の物を ・回路の途中にくぎとつまようじを入れた

つなぎ 電気が通るか話し合う ときの豆電球の様子を実物投影機を用い、 。

て電子黒板に提示し、電気が通る物と通

らない物があることに気付かせることで

学習への意欲を高める。

◎電子黒板、実物投影機

2 問題を把握し めあてを持つ ・教師が準備した物の他にも子どもたちか、 。

どのような物が電気を通すのか ら出た身の回りにある物も調べ、意欲的

調べよう。 に実験に取り組めるようにする。

3 予想をもとに、調べる方法を ・実験を安全に行うことができるように危

考え、実験の進め方を知る。 険な行為を全員で確認する。

・調べるものを表にまとめ、通すか通さな

いかの予想を立ててから実験に取り組む

ことを確認する。

4 電気を通す物と通さない物を ・画像として確認することができるように

調べ、記録する。 にタブレットを使用させる。

◎タブレットPC

回路の途中に身の回りの物をつなぎ、豆

電球の様子を比較しながら調べ、電気を通

す物と通さない物とに分けて、結果を記録

している。 (観察・ノート)

5 学習の振り返りをする。 ・次時では、表や写真を見比べて、結果を

共有することを伝え、見通しを持つこと

ができるようにする。

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5 本時のICT活用の実践(1)導入で意欲を喚起する

学習の導入において、くぎとつまようじを回路の途中に入れたときの豆電球

の様子を、電子黒板に拡大して提示した。予想を立てた上で、教師の手元で行

う作業を大きくして見せることで、どの児童も興味を持って結果を見届け、ま

た実験の手順や方法も確認することができた。

(2)結果を記録する

実際に豆電球の様子を表に記録するだけで

なく、写真として残すようにした。同じ物を

使って実験していても、実験の仕方やどこを

つないだかによって結果が変わってくること

が考えられたので、次時の結果を考察する際

の参考にすることができた。グループ内で役

割分担をし、順番に実験することで、意欲が

途切れることなく協力して記録する姿が見ら

れた。

(3)結果を共有する

教室内にあるものを調べている際に、グル

ープ間で自然に交流するようになった 「何を。

実験してみたの 「それ明かりつかなかった。」

よ 「これ見てみて 」など、お互いのタブレ。」 。

ットで撮った写真を見せ合う児童の様子が見

られた。

6 ICT活用の成果と課題(1)成果

電子黒板で拡大して提示することの有用性を

感じることができた。豆電球と導線を乾電池に

つなぐ実験では、導線の端を出したり導線同士

をつないだりする細かい作業を実物投影機を用

いて電子黒板に写した。それにより、児童が自

分の手元を確認しながら集中して取り組むこと

ができた。

また、タブレットPCを用いて記録すること

は、実験結果が表だけでなく、写真として残るため、予想、実験、記録の流れ

がスムーズになった。実験結果が画像として残ることで、見返したり見比べた

りすることも容易となり、意欲の持続させることができた。

タブレットPCをグループに配布したことで、グループ内での比較検討が容

易にできるだけでなく、他のグループとも交流しながら主体的に学習を進める

ことができた。また、写真を電子黒板に投影することで全体で情報共有するこ

とができた。提示の仕方を工夫することが共通点、相違点を考える上で大きな

手助けとなり、より理解を深めることができると考える。

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(2)課題

コンピュータ室から電子黒板・タブレットPCを教室へ運び、使えるように

するまでに時間がかかってしまった。また、タブレットPCを電子黒板に接続

し、拡大掲示することは容易である。しかし、デジタルカメラから取り込んだ

写真を提示したり、タブレットPCの保存されている写真を共有したりするこ

とが難しかった。どのソフトをどのように活用すればよいのか、学んでいく必

要性を感じた。

また、全体で共有する場では教師が機器を操作していたので、児童が操作し

ながら話合いを進めていけるようになればと思う。

7 実践を終えて調べ学習や動画の再生等には電子黒板・タブレットPCを使用してきた。し

かし、ICT機器を授業の中で有効に活用できていないと感じている。そのた

め、本単元では大きく映してみんなに見せることを第一のねらいとして取り組

んだ。

機器をつないで大きく映すことは容易であり、すぐに実施できる。電子黒板

に提示することで、児童が興味を持ったり、安心して作業に取り組めたりする

など、個に応じた指導にもつながった。

また、何を写真で記録し、何をノートやシー

トへ記録するかを考えて取り組む必要があると

。 、感じた 豆電球に明かりがつく回路については

書くことで定着を図りたいと考え、シートへの

記録とした。今後もICT機器をどの場面で活

用すると効果的かを考え、計画的に取り入れて

いきたい。

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小学校 第5学年 体育科 実践事例

1 単元名 まわって、つないで、組み合わせて(マット運動)

2 目標

○基本的な回転技や倒立技を安定してできるようにするとともに、その発展技を

行ったり、それらを繰り返したり組み合わせたりできるようにする (技能)。

○運動に進んで取り組み、約束を守り助け合って運動をしたり、場や用具の安全

に気を配ったりすることができるようにする (態度)。

○自己の能力に応じて課題解決の仕方や技の組み合わせ方を工夫できるようにす

る (思考・判断)。

3 全体計画(全5時間)

時 学習のねらい 主な学習活動 評価規準

学習の進め方を知 ・基本技について知る。 技に関連したやさしい運動

り、学習の見通しを持 ・学習の流れやきまりを確認する に取り組みながら楽しさにふ1

つことができる。 ・基本技の練習に取り組む。 れ、運動に進んで取り組もう

。 【 】としている 態度

回転技の基本的な技 ・基本技の練習に取り組む。 約束を守り、友達と協力し

発展的な技に取り組む ・発展技について知る。 合いながら、練習をしたり用2

ことができる。 ・基本技や発展技の練習に取り組 具の準備や後片付けをしたり

。【 】む。 しようとしている 態度

回転技や倒立技の基 ・基本技や発展技の練習に取り組 課題の解決の仕方を知り、

本的な技、発展的な技 む。 課題に応じた練習の場を選ん

。 【 】3 に取り組むことができ ・できそうな技に挑戦する。 でいる 思考・判断

。る。 ・技の組み合わせ方について知る

自分のできる技を組 ・できる技をもとに演技構成を考 技をつなぐ方法を知り、自

み合わせて演技構成を える。 分の力に合った技を組み合わ

。 【 】考え、発表することが ・練習に取り組む。 せている 思考・判断

できる。 ・技を組み合わせた演技の発表を 基本的な回転技や倒立技、4

する。 その発展技など、自分のでき本時

・学習の振り返りをする。 る技を繰り返したり組み合わ5

せたりすることができる。

【技能】

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4 本時の学習(4/5)

(1)ねらい

。( )自分のできる技を組み合わせて演技構成を考えることができる 思考・判断

(2)学習の展開(45分)

時 学習活動 教師の支援 評価 活用ICT

、10 1 学習の準備、準備運動を ・安定した技の演技につなげることができるように

行う。 技のポイントに合わせた声かけをする。

2 学習のめあてを確認す7る。

自分のできる技を組み合わせて演技の仕方を考えよう。

・技の組合せ方の幅を広げることができるように、

組合せの例をいくつか提示する。

技の組合せ方について、具体的なイメージを持

つことができるように、模範となる演技の映像を

◎PC、プロジェクター、スクリーン提示する。

3 自分が考えた組合せを試 ・組み合わせ方を試しながら修正していくことがで20す。 きるように、演技する技の順番をあらかじめ記入

したシートを用意しておく。

技の出来映えや組合せ方を考えることができる

ように、タブレットPCを活用し、互いに見合っ

。たりアドバイスし合ったりする活動を取り入れる

◎タブレットPC

・演技の仕方や組合せ方の改善点を見付けることが

できるように、練習していて困った点や組み合わ

せ方で疑問に感じていることなどを共有する場を

設ける。

4 本時の振り返りをして、後 ・本時の感想に加え、友達とやりとりしたアドバイ8片付けをする。 スについて記入することができるように、振り返

りの観点を示す。

自分のできる技を組み合わせて演技構成を考え

ることができたか。

( )観察・演技構成カード・振り返りカード

・次時への意欲を高めるために本時の頑張りを称揚

する。

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5 本時のICT活用の実践

これまで、ICTの活用については、教科の学習や行事に関わる活動などで、

学級や学年の子どもたちに大きく提示するときに電子黒板やプロジェクターを用

いたり 「調べる」ためのツールとしてタブレットPCを使用したりしてきた。特、

に、タブレットPCを使った学習では、ほとんどの子どもが意欲的に取り組み、

扱い方に慣れ、使うとどんなよさがあるのかについても感じてきている。体育科

の学習で活用するにあたり、どの場面でどのように使うかを子どもたちと確認し

ながら使うことによって、どんなよさがあるのかについても考えることができる

ように学習活動を工夫した。

(1)プロジェクターを使った導入

本時では学習のめあてを確認した後に、

中学生が演技している映像を提示した。3

つの技を連続して行っている映像を見なが

ら、スムーズに技をつないだ演技の仕方に

ついて確認した。単元の最後の時間に発表

会をすることを事前に子どもたちに伝え、

手本となる演技の映像を見ながら確かめた

ことにより、技をどのように組み合わせて

演技すればよいか、具体的なイメージを持

つことができたようであった。

【使用した映像 「学校体育実技指導資料 第10集 器械運動指導の手引】

実践事例映像 ~文部科学省」

(2)タブレットPCを使った学び合い

自分が考えた技の組合せを試す時間に

は、演技した映像をすぐに見ることができ

るように、タブレットPCを活用した。グ

ループで互いの演技を撮影し、それを見な

がらアドバイスし合う活動を取り入れ、演

技の仕方や組合せ方の改善点を見付けるこ

とができるようにした。

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①技の行い方についての話合い

子どもたちは、タブレットPCで撮影した

映像を見ながら互いの演技の出来映えを確認

していた。手のつき方や脚の伸び、回るスピ

ードや勢いなど、どこを直すとさらによい演

技になるかを話し合っていた。それぞれの技

の正しい行い方についても話し合い、的確な

アドバイスをしている姿が見られた。気が付

いたことや考えたことを率直に伝え合いなが

ら、よりよい演技や演技構成の仕方を求め、

学び合うことができた。

②技の組合せ方についての話合い

子どもたちは、前時の終わりに自分が演技

する技の組合せを考えあらかじめシートに記

入していた。本時は、シートに書いた技の組

合せを練習したり試したりしながら修正でき

るようにした。選んだ技は自分に合っている

か、技のつなぎ方はこれでよいかなどを映像

で確認しながら友達と話し合っていた。

また、前転と後転など、技を組み合わせる

とき、体の向きを変えればよいか、体の向き

を変えないで戻るように演技するとよいかな

ど、技の種類や数に合わせた演技の仕方やマ

ットの使い方について話し合う姿も見られ

た。演技した後には、タブレットPCを持っ

ている友達のところに自然に子どもたちの輪

ができ、活発な話合いが行われていた。

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- 14 -

6 ICT活用の成果と課題

(1)成果

①イメージを持ち、動きのポイントを意識する

プロジェクターに映し出した映像に合わせて技の組合せや演技の仕方の説明

をしたことで、子どもたちは具体的なイメージを持って活動に取り組むことが

できた。また、タブレットPCで撮影した映像を見ながらアドバイスし合う活

動を設定したことで、互いの演技の仕方を確認し、修正するポイントを意識し

て練習に取り組むことができた。グループの友達とそれぞれの技の行い方を考

え、共有しながら、試す、見る、また試す、という一連の活動を主体的に行う

ことができた。

②積極的な学び合い

タブレットPCを使ってアドバイスし

合う場面を設定したことで、双方向の対

話が生まれていた。技の行い方への認識

が深まり、気付いたことや考えたことを

自分の言葉で伝え合う姿から、グループ

の仲間と共に思考を深めながら学び合っ

ていることを実感できた。

(2)課題

体育の学習でICT活用をさらに進めていくためには、使用するための条件

や環境の整備、他の領域での活用が課題である。また、機器の操作に時間がか

かったり必要でない場面で使用したりすると、運動する時間が短くなってしま

う心配がある。使用するねらいを明確に示すとともに、子どもたちが使う場面

や時間を制限するなどしながら、様々な領域の学習で動きのポイントを確実に

つかむためのツールとして有効に活用することが大切である。

7 実践を終えて

「初めて友達にアドバイスできました 」これまでのマット運動の学習で一度も。

友達にアドバイスをしたことがなかった子どもの振り返りでの記述である。プロ

ジェクターやタブレットPCを活用することは、子どもの学習意欲をかき立て、

主体的な学びへの有効な手段の一つであることを認識した。他の領域においても

活用の仕方を工夫していくことで 「運動をすること」だけでなく、「見ること」や、

「知ること」、そして「友達を支えること」へと活動が広がり、運動が好きな子ども

も苦手な子どもも喜びを感じながら学習を進めることができるのではないかと感

じた。

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小学校 第6学年 社会科 実践事例

1 単元名 わたしたちの生活と政治 ~市民の願いを受けて街づくりをしよう~

2 目標

○地域の公共施設の取組など、地方公共団体の政治の働きに関心を持ち、意欲的に

調べようとしている。 (社会的事象への関心・意欲・態度)

○地方公共団体の政治の働きについて、学習問題や予想を考えたり、市民の願いを

受けた街づくりの工夫について考えたりしたことを表現することができる。

(社会的な思考・判断・表現)

○地方公共団体の政治の働きや、税金の仕組みについて各種資料を活用したり、必

要な情報を集めたりして読み取ることができる (観察・資料活用の技能)。

○政治は国民生活の安定と向上を図るために大切な働きをしていることを理解する

ことができる。 (社会的事象についての知識・理解)

3 全体計画(全7時間)

時 主な学習活動 教師の主な支援 評価の観点

、・地域の公共施設はどのようなもの ・地域の公共施設ではどの ・意欲的に話し合い

があるのか話し合い、どのように ようなイベントなどが行 自分なりの予想を1

してできるのかについて学習問題 われているのか想起させ 立てている。

【 】や予想を考える。 る。 関心・意欲

・市民の願いを実現させるために、 ・図や身近な例を用いて視 ・市役所の役割につ

市役所が行っていることについて 覚的に分かりやすく説明 いて資料から必要

2 調べる。 する。 な情報を読み取っ

ている。

【 】思考・判断

・市民の願いを実現させるために市 ・市民・市役所・市議会の ・市役所と市議会

議会が行っていることについて調 関係について資料を用い の行っていること

べる。 てとらえさせる。 の違いを理解して3

。【 】いる 知識・理解

・税金の集められ方や使われ方につ ・税金がなかった場合を想 ・税金の大切さを考

、 。4 いて調べ、税金の役割について考 定させ、納税の大切さを え 表現している

【 】える。 考えさせる。 思考・表現

・市民の願いを受けて街づくりの計 ・願いや予算に合わせて、 ・願いを受けて必要

画案を予算に合わせて作成する。 必要な公共施設を選ぶよ な公共施設を選ん5

うに促す。 でいる。

【 】思考・判断

・ミニ議会をつくり、持ち寄った計 ・願いを実現できるよう ・意欲的に話し合っ

、6 画案をもとに、街づくりを行い、 に、公共施設等の配置も て街づくりを行い

7 工夫について発表する。 工夫するように促す。 その工夫について

本時 まとめている。

【 】知識・理解

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4 本時の学習(6・7/7)

(1) ねらい

市民の願いを受けた街づくりに必要な公共施設等やその配置について話合

い、その工夫についてまとめることができる。

(2) 学習の展開(90分)

過程 学習活動と予想される児童の反応 教師の主な支援 評価 活用ICT

導入 1 グループごとにどのような願いを ・常に市民の願いを意識して街づく

受けた街づくりなのかを確認する。 りを行うように助言する。

・元気な街にしてほしい。

・子育てしやすい街にしてほしい。

・安全・安心な街にしてほしい。

展開 2 本時のめあてを確認し、街づくり ・本時の見通しを持つことができる

ソフトの操作方法を確認する。 ように、めあてと学習の流れを提

示し、確認する。

3 タブレットPCを使い、話し合い

ながら街づくりを行う。 ・意見がまとまらない場合は、議会

同様に多数決で決めることを助言

する。

・操作に慣れていない子どもやPC

にトラブルがあった子どもに個別

に声をかけながら支援する。

4 つくった街の工夫をノートにまと ・工夫した箇所に印を付けながら発

め 発表会を行い 感想を交換する 表するように助言する。、 、 。

終末 5 本時の振り返りをする。 ・街づくりの感想を計画案や話合

い、税金という観点で書くように

促す。

市民の願いが実現されるような街

づくりをしよう。 操作方法を見せながら一緒に操

作して確認する。

◎電子黒板・タブレットPC

タブレットPCを使って街をつ

◎タブレットPCくる。

電子黒板を活用し、グループご

◎電子黒板とに発表を行う。

市民の願いを受けた街づくりを

。行い、その工夫をまとめている

( )タブレットPC・ノート

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5 本時のICT活用の実践

本単元の1時間目に学習計画を立てた。その際に、タブレットPCを使って実

際に街づくりをしてみるということを話し、電子黒板で街づくりソフトを使用し

ている様子を見せることにした。ゲームに親しんでいる子どもたちにとって非常

に興味深いものであり、本単元に対する学習意欲につながった。

(1) 電子黒板を用いたタブレットPCおよび街づくりソフトの使い方の説明

全員がタブレットPCを使い、街づ

くりのソフトを使って学習ができるよ

うに、電子黒板を使って同じ進度で説

明しながら手順を確認した。実際に同

じ画面を見ながら操作することによっ

て、どの児童にも分かりやすく、効率

よく進めることができた。

写真1:電子黒板を見ながら操作方法の

説明を聞く

(2) 街づくりソフトを使ってグループごとに街づくり

前時に各自で立てた街づくり計画案(写真2)を持ち寄り、3人または4人一

組のグループで話合いをしながら街をつくっていった。その際に国税庁のホー

ムページにある「みんなで話合って街をつくろう!」という学習ゲームを用い

た(写真3)。税金の使い方を議会で議論するという学習をもとにするため、税

金でつくられる公共施設から先に考えていくようにした。

写真2:各自で考えた計画案 写真3:学習ゲーム

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タブレットPCの画面を見せながら、

どのあたりに公共施設を配置するかなど

の話合いが始まった(写真4)。動かして

みることで新たな課題が見付かったり、

よりよい発見があったりして学び合いが

深まった。また、タブレ ットPCでは

やり直すことも簡単に行えるので、子ど

もたちも楽しく活動することができた。

写真4:画面を見せて説明する様子

(3) 電子黒板を用いた発表

、 。 、自分たちの街づくり完成後 ポイントを3点あげてノートにまとめた そして

。 、それぞれのつくった街を電子黒板に映してポイントを発表した 電子黒板上では

ポイントになる場所に印を付けながら分かりやすく発表するようにした(写真

5)。また、細かくて見えないことを考慮し、それぞれのタブレットPCにも電

子黒板と同じ映像を配信した。

写真5:電子黒板での発表

写真6:話合ってつくられた街

ゴミ処理場は街の中心部から離れ

たこの辺りがいいと思う。

僕たちは「安心・安全な街にして

ほしい」という願いを受けて街づく

りをしました。街づくりのポイント

は3つあります。

1つ目はゲームセンターなどの治

安が悪くなりそうな箇所に交番を置

いたことです。

2つ目はゴミを燃やした煙が街に

入ってこないようにゴミ処理施設を

遠ざけたことです。

3つ目は学校などの子どもが集ま

る場所と娯楽施設を離したことです。

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6 ICT活用の成果と課題

(1) 成果

① 学習意欲の向上

タブレットPCを用いた街づくりを最後に行うことで、単元全体を通して

目標を持って意欲的に取り組んでいる様子がうかがえた。ICT機器の活用

は子どもたちを引き付ける魅力があるのだと感じた。

② 確かな学び合い

相手に自分の考えを分かりやすく伝えるためのスキルの一つとして、IC

T機器を使うことは有効であると考える。実際に画面を見せながら説明した

り、動かしながら試行錯誤したりすることで新たな気付きが生まれていた。

③ 分かりやすい発表の工夫

電子黒板上に印を付けながら発表することによって、ただ原稿を読むだけ

ではない分かりやすい発表ができた。聞いている側もどの部分を指している

のかがすぐに分かるので、感想や意見が活発に生まれていた。

(2) 課題

タブレットPCを使いたいときにすぐに使えることが大切だと感じた。実

際に使うときになって「電源が入らない 「ネットワークにつながらない」」

などのトラブルがあると授業どころではなくなってしまう。トラブルの際に

子どもたち自身で解決できるようなスキルを指導しておくことも必要だと感

じた。

また、今回はタブレットPC上の画面を電子黒板に映したり、全児童に配

信したりすることを考えていた。しかし、すべてのタブレットPCに接続し

にくいことや、PC上の名前表記が記号や番号のため授業開始まで時間がか

かってしまった。スムーズな授業進行のために、すべてのタブレットPCと

の接続と名簿の整備を行うことが大切だと感じた。

7 実践を終えて

タブレットPCを使った学習では、お互い

に画面を見せながら考えを話し合ったり、操

作方法について教え合ったりするなど、何度

も試行錯誤しながらと友達と学び合う姿が見

られた。ICT機器の活用は、学習に対する

意欲を高め、より効果的で深い学びにつなが

ると考えられる。しかし、ICT機器の使用

が目的にならないように、機器を用いるのに

有効な場面を考え、適切にICT機器を活用

していきたい。

※学習ゲーム 「みんなで話合って街をつくろう」国税庁ホームページ

http://www.nta.go.jp/osaka/shiraberu/gakushu/machigame/index.htm

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中学校 第1学年 数学科 実践事例

1 単元名 空間図形

2 目標

○空間図形に関心を持ち、見取図、展開図、投影図を用いて空間図形を表そう

としたり、表面積や体積の求め方を考えようとしたりしている。

( )数学への関心・意欲・態度

○空間図形を直線や平面の運動によって構成されているものと見ることができ

たり、実験などをもとに空間図形の表面積と体積の求め方を考えたりするこ

。 ( )とができる 数学的な見方や考え方

○空間図形を図を用いて平面に表したり、立体の表面積と体積を求めたりする

。 ( )ことができる 数学的な技能

、 、 、 、 、○空間における直線や平面の位置関係 見取図 展開図 投影図の意味 柱体

錐体、球の表面積と体積の求め方などを理解することができる。

( )数量や図形などについての知識・理解

-3 全体計画(全16時間)

時 学習のねらい 主な学習活動

1 多面体、角錐や円錐の意味 ・いろいろな立体を比較し、共通点や違いを調

2 やそれらの特徴を理解するこ べ、分類する。

3 とができる。 ・正多面体の辺や頂点について調べる。

4 空間内にある直線や平面の ・空間における直線や平面の位置関係について

5 位置関係などについて理解 具体物を用いて考えたり、分類したりする。

6 することができる。

角柱や円柱、円錐、球など ・柱体を、底面がそれと垂直に動いてできた立7を平面図形の移動によってで 体ととらえる。

8きた立体とみることができ ・円柱や円錐を回転体としてとらえ、見取図を

本時る。 用いて平面上に表す。

9 立体の展開図とその特徴を ・それぞれの立体の展開図の特徴について理解

10 理解することができる。 し、展開図を利用して、辺や弧の長さなどを

11 求める。

立体の投影図を理解し、投 ・投影図について理解する。

影図をかいたり、投影図から ・立体の投影図をかいたり、投影図で表された12

立体を読み取ったりできる。 立体を見取図を用いて、平面上に表したりす

る。

13 立体の体積や表面積を求め ・実験などをもとに、立体の表面積や体積の求

14 ることができる。 め方について考える。

15 ・立体の表面積や体積を求める。

16

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4 本時の学習(8/16)

(1) ねらい

空間図形の見取図をかくことができる。

(2) 学習の展開

学 習 活 動 教師の支援 評価 ICT活用

1 平面図形を回転させた空間図形を予 ○シミュレーションソフトで回転体を提示

、 。想する。 し その見取図を確認できるようにする

2 回転の軸から平面図形が離れたもの 回転体のイメージをつかむことができ

や、平面図形がより複雑なものについ るよう、電子黒板を用いて基本的な回転

◎電子黒板て、どのような空間図形ができるか予 体を確認させる。

想する。

3 本時の学習課題を確認し、解決する

ための見通しを持つ。

回転体の見取図は、どのようなものになるだろうか。

4 グループごとに、相談しながら回転 既習の空間図形の見取図について振り

体の見取図をかく。 返ることができるように、プレゼンテー

ションソフトで動画を作成しておく。

◎タブレットPC

5 全体で「学習活動2」に示した回転 見取図をかく際に気を付ける内容を電

体の見取図について 答えを確認する 子黒板を用いて確認させる 。、 。

◎電子黒板

6 振り返りカードを書き、本時のまと 回転体を想像し、正しく見取図をかく

めをする。 ことができる。

発言・学習シート・振り返りシート)(

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5 本時のICT活用の実践

(1) 回転体の様子をシミュレーションソ

フトで確認する。

平面図形が回転することによって回

転体が形づくられる様子を確認するた

めに、シミュレーションソフトで回転

体を提示した。電子黒板を用いて提示

することで、一斉に同じところに着目

しながら確認をした (写真1)。

写真1

(2) 個に応じた学習を展開する。

見取図をかくために、既習の空間図形の見取図を振り返ることができるよ

う、プレゼンテーションソフトで動画を作成した。見取図がどのようにかか

れているかについて、空間図形の写真と照らし合わせながら個々に確認でき

るようにした (写真2~5)。

写真2 写真3

プレゼンテーションソフトで作成した動画

写真4 写真5

タブレットを操作して既習の見取図を確認しながら回転体を考える様子

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6 ICT活用の成果と課題

(1) 成果

今回の実践では、シミュレーションソフトを用いて回転体を視覚化し、電子

黒板で提示することで生徒の理解を支援することができた。平面図形を回転す

ることによって形づくられる空間図形が画面に映されると生徒からの反応がよ

く、回転体のイメージを印象深くするとともに、より明確にイメージするため

の手助けになったと考えられる。最初は回転体の見取図をかくことが苦手な生

徒も、次時からは正しい見取図をかくことができていた。実際には空間内に残

らない平面の軌跡を視覚化して生徒に提示することが、ICTを用いる利点だ

と感じた。また、個別に学習を支援するためにタブレットを使用し、既習の空

間図形について見取図を確認する実践では、教師が見せたい角度で撮影した空

間図形を提示することによって、分かりやすく見取図をかくための支援ができ

たと考える。

(2) 課題

生徒が普段からICT機器の操作に慣れていないことで、授業を開始するま

でに時間がかかってしまった。この課題に関しては、全校体制で教師が連携を

図り、どの教科においても効果的にICT機器を用いた授業を展開することが

大切だと感じた。様々な事情があるとは思うが、使用したい時間にいつでも使

うことができる環境が実現することを願う。

7 実践を終えて

手元に具体物が無い状態で念頭操作を行い、鉛筆を用いて立体をかくことがで

きる力を身に付けさせることが本時のねらいであった。今回の実践を通して、学

習内容の理解を支援するためにICT機器を用いることの有効性を再確認するこ

とができた。しかし、あくまでもICT機器の利用を手法の1つとらえ、学習活

動のどの段階で、何のためにICT機器を使うのかについて今後も検証していき

たい。

また、機器の使用に関しては他教科との兼ね合いもあるので、日常的に授業で

用いるのは難しいのが現状である。今後は、今まで以上にICT機器を用いた授

業実践を蓄積・共有していくために、教師がICTについてより理解を深めてい

く必要があると感じた。

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中学校 第1学年 理科 実践事例

1 単元名 身のまわりの現象(音の世界)

2 目標

、 、○音に関わる事物・現象に関心を持ち 意欲的に学習活動に取り組むとともに

。 ( )日常生活と結び付けて考えようとする 関心・意欲・態度

○音の性質と日常生活に見られる身近な事物・現象を関連付け、科学的に考え

。 ( )ることができる 科学的な思考・表現

○実験器具を正しく使用し、正確に測定するとともに、その結果を適切な方法

。 ( )で処理することができる 観察・実験の技能

。 ( )○音の性質について理解することができる 知識・理解

3 全体計画(全5時間)

時 学習活動 評価規準

・音を出している音叉やストロー ・意欲的に観察に取り組むことができ

。 【 】笛を観察し、音源がどのように る 関心・意欲・態度

1 して音を出しているか考え、ま ・実験を通して、音源が振動して音を

とめる。 出していることを理解することがで

。 【 】きる 知識・理解

・音を発している音叉を水中に入 ・音は水や空気を振動させながら伝わ

れ、水がどのようになるか観察 っていくことを見出すことができ

。 【 】2 する。また、音叉を並べて鳴ら る 科学的な思考・表現

し、その様子を確認する。 ・共鳴が起こるしくみについて説明す

。 【 】ることができる 知識・理解

・モノコードやギターなどの弦を ・音源の振動の様子と、音の大きさや

はじいたときの様子を観察して 高さの関係についての規則性を見出3

音の大小や高低と音源の振動の すことができる。

【 】関係について考える。 科学的な思考・表現

・オシロスコープを用いて音を測 ・正しい方法でオシロスコープを使い

定する。また、振動数の違いに 波形を測定することができる。4 【 】

本時

よる音の変化についての実験を 観察・実験の技能

行い、波形と音の大きさや高さ ・オシロスコープによって測定した波

5 との関連性について考える。 形から、音の振幅や振動数について

考えることができる。

【 】科学的な思考・表現

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4 本時の学習(4/5)

(1)ねらい

オシロスコープで測定された波形から、音の大小と振幅、音の高低と振動

数の関係について考え、説明することができる。

(2)学習の展開

学習活動 教師の支援 評価 活用ICT1 振動数の異なる音を聞き、 ・生物の違いや個人によって、聞き取ること

人間が聞き取れる音の振動数 ができる音には差があることを伝える。

を確認する。 ・事前に指定した振動数の音を発生できる音

源を準備する。

2 オシロスコープについての 実際にオシロスコープを用いて音を測定

説明を聞く。 し、どのような波形ができるか提示する。

◎実物投影機・電子黒板

。3 本時の学習課題を確認する

4 大きさや高さの異なる音の ・実験は音の大きさを変えた場合と高さを変

波形を観察する。 えた場合を区別して行う。

を利用し、振動数が異なる音の波形Excelを各班で観察させる。

◎タブレットPC・電子黒板

5 実験結果を確認する。 電子黒板を用いて振動数と振幅が波形に

どのように示されるか説明する。

◎電子黒板

6 ミニレポートを作成する。 オシロスコープで測定された波形と、音

の大小や高低の違いがどのように関係して

いるか説明することができる。

必要に応じ、手本となるレポートを提示

する。

◎タブレットPC・電子黒板

音の大小や高低はオシロスコ

ープで測定した波形にどのよう

に示されるか。

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5 本時のICT活用の実践

日頃から大型スクリーンやプロジェクター、実物投影機、PCなどの機器を

活用して授業を行ってきたことから、生徒たちはICT機器を活用した授業に

は比較的慣れている様子でスムーズに課題解決に向かうことができていた。日

頃からICT機器を活用し、生徒たちの機器を扱うスキルを身に付けていくこ

とが大切であると感じた。

(1)資料や課題の拡大提示

本時ではオシロスコープで測定された波形から、その音の特徴を読み取るこ

ことを目標とした。しかし、オシロスコープは台数に限りがあることと、波形

を示す画面が小さいことから、測定結果を十分に観察することが難しかった。

、 、そのため 本時では一斉にオシロスコープの波形を観察することができるよう

PCや実物投影機、電子黒板を活用した。測定のようすや課題解決のポイント

を効率よく確認することができた。

(2)実験装置としての活用

本時ではPCを音源として活用している。エク

セルのマクロ(VBA)を利用し、正弦波出力が

可能なファイルを使用しているが、その際に正弦

波の振動数は任意に変更することができる。資料

提示や学習活動において視覚的な効果が高いIC

T機器であるが、音声機能やマイク機能、録音機

能などを使い、音を発生させて聴覚を刺激し、実

感を伴った学習をすることができる。

本時では当初、各班で使用するタブレットPC

から音声を出す予定であったが、エクセルがイン

ストールされておらず、別のソフトでファイルを

使用した(後述の6(2)参照 。しかし、その)

ソフトではマクロが正常に実行できず、エラーが

、 。発生し 音声出力ができないという状況であった

そのため、各班のタブレットPCでは正弦波の観

察のみ行い、音声出力は別に用意したPCを利用

した。

正弦波出力した画面

活動のようす

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(3)記録等の拡大提示

タブレットPCのカメラ機能や実

物投影機と電子黒板(または大型T

V)を活用することで、小さな資料

を拡大できたり、レポートやノート

などを書いた直後に全体に提示した

りすることができた。電子黒板では

必要な部分を拡大することもできる

ため、大変見やすく表示できた。

(4)機器の切り替え

本時では、ノートPC、タブレットPC、実物投影機を使用して授業を行っ

た。電子黒板にそれらをHDMIケーブルでつなぎ、場面に応じて機器を使い

分けたが、機器の入力切り替えは容易に行うことができた。

6 ICT活用の成果と課題

(1)成果

①観察・実験の結果が分かりやすい

オシロスコープは音を測定するだけでなく、振動数を定めて音波を観察す

ることができるため、振動数や振幅を変えたときの波形の違いが分かりやす

かった。また、測定時の誤差や、他の音に影響を受けなくなることから、比

較が容易になり、レポートの作成もスムーズにできた。

②理解しやすい提示

本時ではタブレットPCを音源として、また電子黒板を提示手段として活

用した。レポートの作成では、カメラ機能を利用して、まわりの生徒のレポ

ートを紹介したり、ポイントとなる事項を拡大して説明したりすることで支

援することができた。

(2)課題

①使用するファイルの確認

本時ではエクセルを使用してオシロスコープの波形を観察しようとした

が、生徒用タブレットPCにはエクセルがインストールされておらず 「JU、

STCalc」というソフトによってファイルを使用した。前述の通り、こ

のファイルにはVBAでのプログラムを利用していたが 「JUST Cal、

c」では正常にマクロが実行されないというエラーが発生し、一部の機能を

使うことができなかった。使用するファイルがタブレットPCでも使用する

ことができるように事前に確認しておく必要がある。

例として拡大掲示したレポートの一部

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②生徒たちのICT機器を活用するスキルアップ

現代の生活では、スマートフォンやPCに触れる機会が多く、生徒たちも

。 、 、このような機器への抵抗がなくなってきている 特に SNSを利用したり

動画を検索して見たりするスキルは非常に高いものがある。しかし、それだ

けでは機器を扱うのに不十分である。また、生徒によってスキルの差が大き

いことから、十分なスキルが身に付くまでは、タブレットPCを個人ではな

く班やペアで使用するようにし、タブレットPCの使用方法を学び合う場面

を設定する必要性を感じた。

7 実践を終えて

ICT機器を活用することは、生徒の理解を促す大きな効果があると考えら

れる。実際に生徒たちのレポートからは理解が深まった様子が見られ、学習活

動を円滑に進めることができた。

ICT機器の活用は、学習を進める上で有効であるが、場合によっては画面

上での学習となってしまい、実感を伴った学習につながらない可能性があるの

ではないかと感じた。機器の活用を重視するのではなく、いつ、どのような目

的、方法で活用すれば、より分かりやすくなるのか、という視点で活用の機会

を考えたい。

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中学校 第3学年 技術・家庭科(技術分野) 実践事例

情報モラル ~著作権について考えよう~1 題材名

2 目標

○情報通信ネットワークの適切な利用法に関心を持ち、進んで課題を解決しよ

うとする。 ( 生活や技術への関心・意欲・態度 )

○情報の表現や発信・受信に関する基礎的・基本的な知識と技能について、理

解することができる。 ( 生活や技術についての知識・理解 )

3 全体計画(全4時間)

時 主な学習活動 指導上の留意点

コンピュータの安全管 ・デジタルデータの特徴や情報の

理について考える。 重要性について、生徒が理解を

深められるような資料を用意す

る。

・情報通信ネットワークに潜む危1

険性や、それらに対する対処法

について、具体的な例を紹介す

る。

著作権について考え ・著作権法の違反について、具体

る。 的な事例を紹介する。2

・著作権保護の内容について、生本時

徒が考えることができる資料を

用意する。

、プライバシーと個人情 ・人権や個人情報の保護について

3 報の保護について考え 実際例を踏まえた資料を用意す

る。 る。

情報ネットワークの適 ・情報通信ネットワークの利用が

切な使用について考え もたらす影響から身を守る方法4

る。 について、具体的な例を紹介す

る。

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4 本時の学習(2/4)(1)ねらい 著作権を保護することの重要性について理解することができる。(2)学習の展開

学 習 活 動 指導の手立て 評価 ICT

1 本時のめあてを確認する ・著作権について知っていることやイメー。

ジについて、数名の生徒に発表させるこ

著作権について考えよう とで、学習への関心を高める。。

2 日常生活で起こりうる4 ・自分の考えを「○ 「×」で答えるよう」

つのケースについて、著作 に、学習シートに準備する。

権の侵害に当たるかどうか

を個人で考える。

3 各個人の意見を持ち寄り ・個の考えをもとにグループで討議し、グ、

。グループで討議し、グルー ループとしての答えを出すよう指示する

プとしての答えを出す。

4 4つのケースの、グルー ・各グループの答えを学級全体で確認でき

プとしての答えを発表する るように 「○ 「×」のプレートで示す。 、 」

よう指示する。

、・理由を明確にして説明をするように促し

全体の理解が深まるようにする。

◎電子黒板

5 著作権法の内容を確認す ・著作権法の概要についてまとめられるよ

る。 うに、学習シートを工夫する。

6 著作権の保護について、 ・実際に起きた著作権法違反の事例を提示

グループで話し合う。 し、著作権を保護することの重要性につ

いて、考えられるようにする。

著作権を保護することの重要性

について理解することができる。

(発表・学習シート)

7 本時の学習を振り返る。 ・本時で得た知識や気付きを含めて記入す

るよう観点を示す。

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5 本時のICTの活用の実践

(1)4つのケースの紹介

授業内容の流れに従って

プレゼンテーションを作成

し、タブレットPCから電

子黒板に映し出して、提示

した。

(2)著作権法について紹介

著作権法に違反した場合の事例や罰則、著作権

保護の重要性などについて、電子黒板に映し出し

て提示した。人気キャラクターの無断使用や、全

国高校野球選手権大会のポスターに使用する原画

の募集要項を例として取り上げた。

6 ICT活用の成果と課題

(1)成果

プレゼンテーションソフトを使用して、4つのケースについてクイズ形式

で進めたことで、生徒の関心を高めることができた。また、著作権法に違反

した場合の事例についても、様々な画像を提示して説明することができた。

(2) 課題

本授業において、生徒は電子黒板と自分の席を何度か移動しなければなら

ず、効率の悪さが感じられた。画面を一斉送信することができれば、その点

。 、 、は改善されると思われる 1クラス30人に対して 電子黒板の画面は小さく

提示する情報が多い場合は、生徒にとって読み取ることが難しくなってしま

う。

また、画面に資料等を提示した場合は、画面が次々と変わるため、遡って

提示することができない。そのため重要な情報は、プレゼンテーションの流

れの中で、複数回提示されるように作成するなどの工夫が必要である。

7 実践を終えて

今回は 「Sky株式会社の学習活動ソフトウェア SKYMENU Pro」を使用し、

画面を一斉転送してみた。解像度が高い動画を転送する場合においても、パ

ソコンやDVDプレイヤー等とプロジェクターを接続して、投影する方法の

有効性を模索していきたい。

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【タブレットPC・電子黒板の活用事例】~ 秋田市立小・中学校における活用事例 ~

(小学校)

学年 教科等 ICT機器 活用方法等

・図画工作科 ・タブレットPC ・お絵かきソフトの活用1

・国語科 ・電子黒板 ・音読や発表の様子を撮影2

タブレットPC ・漢字ドリル練習

・算数科 ・タブレットPC ・計算ドリル練習

・生活科 ・電子黒板 ・幼い頃の写真の提示

・体育科 ・電子黒板 ・マット、跳び箱運動等の撮影

タブレットPC

・国語科 ・タブレットPC ・ローマ字入力練習3

・社会科 ・電子黒板 ・地図の提示と書き込み

・理科 ・電子黒板 ・太陽の観察と記録

タブレットPC

・音楽科 ・電子黒板 ・グループ演奏の撮影

タブレットPC ・シナリオカードの活用

・社会科 ・電子黒板 ・写真やグラフの拡大提示4

タブレットPC ・ くらべる・あつめる」ツールの「

活用

・算数科 ・電子黒板 ・児童のノートの拡大提示

実物投影機

・理科 ・電子黒板 ・NHK for Schoolの視聴

タブレットPC

・図画工作科 ・電子黒板 ・作品鑑賞

タブレットPC

・国語科 ・電子黒板 ・スピーチ活動におけるシナリオ5

タブレットPC カードの活用

・社会科 ・電子黒板 ・パンフレットの作成

タブレットPC

・理科 ・タブレットPC ・シミュレーションサイトの活用

・図画工作科 ・タブレットPC ・お絵かきソフトの活用

・国語科 ・タブレットPC ・パンフレットの作成6

・社会科 ・電子黒板 ・シナリオカードの作成

タブレットPC

・算数科 ・電子黒板 ・デジタル教材の活用

・外国語活動 ・電子黒板 ・デジタル教材の活用

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(中学校)

学年 教科等 ICT機器 活用方法等

・技術・家庭科 ・電子黒板 ・のこぎりびきの例示、撮影1

(技術分野) タブレットPC

・技術・家庭科 ・電子黒板 ・郷土食・行事食の調査とまとめ

(家庭分野) タブレットPC

・理科 ・電子黒板 ・NHK for Schoolの視聴

タブレットPC

・数学科 ・電子黒板 ・平面図形の作図

タブレットPC

・国語科 ・電子黒板 ・パネルディスカッションの様子2

タブレットPC を撮影

・体育科 ・電子黒板 ・創作ダンスの動画撮影

タブレットPC

・数学科 ・電子黒板 ・デジタル教材の活用

タブレットPC ・発表の様子を撮影

・技術・家庭科 ・電子黒板 ・制作物のアイディアスケッチ

(技術分野) タブレットPC ・作品の鑑賞

・理科 ・電子黒板 ・シミュレーションサイトの活用3

タブレットPC

・保健体育科 ・タブレットPC ・創作ダンスの動画撮影

・特別活動 ・タブレットPC ・進路学習に関する調査とまとめ

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平成29年度ICT活用推進委員会

○会 長

林 良雄 秋田大学教育文化学部教授

○副会長

佐々木 哲 秋田市立八橋小学校長

○委 員

佐々木敏昭 秋田市立旭南小学校教諭

鎌田 庸輔 秋田市立牛島小学校教諭

北舘麻衣子 秋田市立広面小学校教諭

渡邉 育子 秋田市立仁井田小学校教諭

遠藤 大輔 秋田市立秋田西中学校教諭

和泉 幸悦 秋田市立城東中学校教諭

南 陽子 秋田市立桜中学校教諭