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1 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する予備的検討(3.2.2.2(3)) 1. はじめに 第 2 次 TRU レポートでは,3.2.2.2(3) 廃棄体発熱影響に関する検討において,最終的に決定 された廃棄体グループ 2 の処分坑道断面に対し熱解析を実施し,廃棄体グループ 2 に関する熱的 制約の観点での坑道離間距離を設定している。この熱解析において設定した坑道断面の形状,処 分坑道の離間距離は,簡略モデル等を用いた予備的な熱解析の結果に基づき設定したものである。 予備的熱解析では,廃棄体定置数,岩種,処分深度等をパラメータとした幅広い条件で解析を実 施しており,それぞれのパラメータが熱解析の結果に及ぼす影響を把握するとともに,処分坑道 形状,離間距離に関する概略検討を実施している。ここでは,その予備的熱解析・検討結果をま とめる。 2. 検討条件 実施した予備的熱解析・検討の条件を以下に整理する。 (1) 処分坑道の温度上限値 処分坑道の温度上限値は,C-S-H ゲルの再結晶化によるセメント系材料の収着性低下の防止の 観点から 80℃とした。 (2) 岩盤及び人工バリアの物性値 熱解析に使用した物性値は,基本的に H12 レポート(核燃料サイクル開発機構,1999)に基づ き決定した。H12 レポートで扱っていない部材(埋め戻し材,構造躯体,廃棄体パッケージ,廃 棄体混合体)については,第 1 次 TRU レポート(共同作業チーム,2000)に基づき設定した。使 用した物性値の一覧を表-1 に示す。

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Page 1: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

1

3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する予備的検討(3.2.2.2(3))

1. はじめに

第 2 次 TRU レポートでは,3.2.2.2(3) 廃棄体発熱影響に関する検討において,最終的に決定

された廃棄体グループ 2の処分坑道断面に対し熱解析を実施し,廃棄体グループ 2に関する熱的

制約の観点での坑道離間距離を設定している。この熱解析において設定した坑道断面の形状,処

分坑道の離間距離は,簡略モデル等を用いた予備的な熱解析の結果に基づき設定したものである。

予備的熱解析では,廃棄体定置数,岩種,処分深度等をパラメータとした幅広い条件で解析を実

施しており,それぞれのパラメータが熱解析の結果に及ぼす影響を把握するとともに,処分坑道

形状,離間距離に関する概略検討を実施している。ここでは,その予備的熱解析・検討結果をま

とめる。 2. 検討条件

実施した予備的熱解析・検討の条件を以下に整理する。

(1) 処分坑道の温度上限値

処分坑道の温度上限値は,C-S-H ゲルの再結晶化によるセメント系材料の収着性低下の防止の

観点から 80℃とした。 (2) 岩盤及び人工バリアの物性値

熱解析に使用した物性値は,基本的に H12 レポート(核燃料サイクル開発機構,1999)に基づ

き決定した。H12 レポートで扱っていない部材(埋め戻し材,構造躯体,廃棄体パッケージ,廃

棄体混合体)については,第 1次 TRU レポート(共同作業チーム,2000)に基づき設定した。使

用した物性値の一覧を表-1 に示す。

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2

使用発熱データ

10

15

20

25

30

0 5 10 15 20 25 30 35

解析時間(年)

発熱

量(W

/m

3)

使用発熱データ

表-1 各構成要素の熱物性データ

構成要素 密度

(Mg/m3) 熱伝導率 (W/m℃)

比熱 (J/kg℃)

軟岩系岩盤 SR-B 2.350 2.40 1,300

軟岩系岩盤 SR-C 2.200 2.20 1,400

軟岩系岩盤 SR-D 1.950 1.90 1,700 岩盤

硬岩系岩盤 HR 2.670 2.80 1,000

支保工*1(円形処分坑道) 2.500 2.56 1,050

鉄筋コンクリート製構造躯体*1(幌型処分坑道) 2.500 2.56 1,050

インバート*1(円形処分坑道) 2.350 2.56 1,050

緩衝材*2 1.712 0.78 590

埋戻し材*2(幌型処分坑道) 1.600 1.69 770

廃棄体パッケージ*3(円形処分坑道) 2.848 3.73 971

廃棄体混合体*3(幌型処分坑道) 2.730 3.53 984 *1:支保工,RC 構造躯体は鉄筋コンクリート,インバートは無筋コンクリート *2:緩衝材はベントナイト 70wt%,砂 30wt%,埋め戻し材はベントナイト 50wt%,砂 20wt%,礫 30wt% *3:廃棄体パッケージはコンクリートと廃棄体キャニスタの体積割合から算定した。

廃棄体混合体は,廃棄体パッケージと充填材の断面割合から算定した。

(3) 地温 熱解析に用いた地表温度,及び岩盤の地温勾配は,H12 レポートを参考に,代表値としてそれ

ぞれ 15℃,3℃/100m を採用した。 (4) 廃棄体の発熱条件 熱解析における廃棄体の発熱は,処分開始までの冷却期間を 25 年と想定し,図-1 に示す発熱

量の経時変化を発熱条件として用いた。

図-1 廃棄体の発熱条件 (5) 解析コード

解析には非定常温度応力解析プログラム(ASTEA MACS for Windows Ver3.3.17:株式会社

計算力学研究センター)を用いた。

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3

3. 熱解析による廃棄体定置数に関する概略検討 廃棄体グループ 2における廃棄体定置数に関して,廃棄体より発生する熱の影響を確認した。

このとき処分坑道内部において 2(1)で示した上限温度を超えるようであれば,廃棄体数を少なく

する必要がある。ここでは簡略モデルを用いた熱解析を実施し,適切な廃棄体定置数について概

略検討した。 (1) 解析ケース

解析ケースを表-2 に示す。なおここで対象とする岩種,処分深度は以下のとおりであり,各物

性は前述の表-1 のとおりである。 対象岩種:軟岩系岩盤(SR-C),硬岩系岩盤(HR) 対象処分深度:軟岩系岩盤 500m,硬岩系岩盤 1,000m

表-2 解析ケース一覧

岩種 軟岩系岩盤(SR-C) 硬岩系岩盤(HR) 坑道径(m) 6 8 10 12 6 8 10 12

廃棄体占有 面積(m2) 12.6 28.3 50.2 78.5 12.6 28.3 50.2 78.5

(廃棄体個数)*1 (6.5)*1 (14.7)*1 (26.2)*1 (40.9)*1 (6.5)*1 (14.7)*1 (26.2)*1 (40.9)*1

500 Case

1-1

Case

1-2

Case

1-3

Case

1-4 深

度 (m) 1,000

Case

2-1

Case

2-2

Case

2-3

Case

2-4

*1:廃棄体占有面積をパッケージの断面積(1.2m×1.6m)で除した値

なお,表-2 において括弧書きで示した数値は,廃棄体占有面積をパッケージの断面積(1.2m×

1.6m)で除して求めた,廃棄体占有面積に対応するおおよその廃棄体パッケージ数である。

(2) 熱解析モデルの概要

処分坑道のモデル化の概略を図-2,図-3 に示す。廃棄体領域および緩衝材領域を円形断面とし

て簡略的にモデル化し,廃棄体領域の断面(直径)を増減させることにより,断面あたりの廃棄

体量を設定することとした。ここでは緩衝材の厚さは 1m に固定した。 また,処分坑道においては覆工及び構造躯体などのコンクリートが使用される部材が含まれる

が,これらの熱物性値は岩盤とほぼ同等であるため,処分坑道の温度上昇には大きな影響を与え

ないと考え,解析モデルには考慮しないものとした。

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4

図-2 処分坑道のモデル化の概略

図-3 解析ケース毎の処分坑道のモデル化の概略

廃棄体領域

(岩盤領域)

4~10m1m 1m

緩衝材領域:厚さ 1m 固定

1m 1m 4m

Case1-1,Case2-1

1m 1m 6m

Case1-2,Case2-2

1m 1m 8m

Case1-3,Case2-3

1m 1m 10m

廃棄体領域

Case1-4,Case2-4

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また解析メッシュの例を図-4,5 に示す。地表面から処分坑道中心までの距離は,解析ケース

に応じた距離とし,水平方向の領域幅,及び処分坑道中心からモデル下部境界までの距離は,境

界の影響が出ない十分な距離として 1,500mと設定した。なお試解析によって,解析モデルの側

部境界および下部境界付近において,解析前後の温度が同じであることを確認している。

図-4 解析メッシュ全体図の例(硬岩系岩盤,深度 1,000m)

1,500m

温度固定境界(90℃)

温度固定境界(15℃)

(断熱境界)

(固定境界)

処分 坑道

15℃

90℃

地温勾配

3℃/100m

1,000m

1,500m

2,500m

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図-5 処分坑道部の解析メッシュの例(Case1-2,2-2)

解析では,第1次 TRU レポートを参考に,廃棄体領域において廃棄体パッケージが均一に発熱

することとした。廃棄体パッケージは,発熱体である廃棄体グループ 2の廃棄体(キャニスタ)

の他,セメント系材料,パッケージ(鉄)との混合体であることから,前述の図-1 の発熱量の 33.7%

を廃棄体パッケージの発熱量として与えた。 (廃棄体パッケージの平均的な発熱率) =(廃棄体パッケージ中の廃棄体の体積)÷(廃棄体パッケージの体積)×100 =(π×0.432÷4×1.335×4)÷(1.2×1.2×1.6)×100 (図-6 参照) ≒ 33.7[%]

図-6 廃棄体パッケージ(グループ 2:キャニスタ)

1.2m

1.6m

1.2m φ0.43m

1.335m

緩衝材

廃棄体領域 1.0

単位(m) 3.0

4.0

1.0

6.0

1.0

8.0

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7

(4) 解析結果

各解析ケースの最高温度の一覧を表-3 に示す。また,解析結果の例を表-4 に示す。なお表-4

における温度分布図は,処分坑道内が最高温度に達した時点のものである。

表-3 解析結果の一覧

岩種 堆積岩系岩盤(SR-C) 結晶質岩系岩盤(HR) 坑道径(m) 6 8 10 12 6 8 10 12

廃棄体占有 面積(m2) 12.6 28.3 50.2 78.5 12.6 28.3 50.2 78.5

(廃棄体個数) (6.5)*1 (14.7)*1 (26.2)*1 (40.9)*1 (6.5)*1 (14.7)*1 (26.2)*1 (40.9)*1

Case

No. Case

1-1

Case

1-2

Case

1-3

Case

1-4 500

最高温度

(℃) 49.2 65.4 84.1 104.8

Case

No. Case

2-1

Case

2-2

Case

2-3

Case

2-4

深 度 (m)

1,000 最高温度

(℃)

62.8 77.6 94.9 114.2

*1:廃棄体占有面積をパッケージの断面積(1.2m×1.6m)で除した値

表–4 SR-C 500m の解析結果例

Case1-1(坑道径 6m) Case1-4(坑道径 12m)

温度分布図

温度履歴図

20

40

60

80

100

120

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

坑道壁面

20

40

60

80

100

120

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心

緩衝材内側

坑道壁面

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8

(5) 考察

線形補間による計算結果から,SR-C 深度 500m では廃棄体定置個数 24 個以上,HR 深度 1,000m

では,廃棄体定置個数 17 個以上で温度上限値 80℃を越える。ただし,実際の処分坑道形状は,

廃棄体領域形状が四角形となり,緩衝材が本解析よりも厚くなるため,温度上限値を越える廃棄

体個数は上記の推定結果よりも小さくなるものと考えられる。

4. 詳細モデルによる廃棄体発熱影響に関する検討

ここでは,3章で実施した廃棄体定置個数の検討を踏まえて,処分坑道内部を詳細にモデル化

し,発生温度の確認と坑道の離間距離の影響を把握することを目的に熱解析による検討を実施し

た。

(1) 解析ケース

ここで実施する熱的制約条件の検討対象ケース(岩盤条件と処分坑道の深度および断面形状の

組合せ)を表-5 及び表-6 に示す。 それぞれの検討対象ケースについて,まず単一坑道のモデルを用いて,処分坑道の断面規模を

パラメータとした熱解析を行い,処分坑道が上限温度 80℃を大幅に越えない最大の断面規模を求

めた。次に,求めた最大断面規模の処分坑道により連接坑道のモデルを作成し,処分坑道の離間

距離(処分坑道の中心間隔)をパラメータとした熱解析を実施した。これより,離間距離が処分

坑道の最高温度に及ぼす影響について整理,検討した。 表-7,表-8 にそれぞれの検討対象ケースについて実施した熱解析の解析ケースを示す。また,

解析パラメータとして用いた断面形状を図-7 及び図-8 に示す。

表-5 熱的制約条件の検討対象とするケース(軟岩系岩盤)

検討対象 ケース 深度 岩種 処分坑道形状 実施した熱解析の Case No.*1

1 SR-B Case1~Case6

2 SR-C Case7~Case12

3

300m

SR-D Case13~Case18

4 SR-B Case19~Case24

5 SR-C Case25~Case30

6

500m

SR-D

円形断面

Case31~Case36

*1:詳細は表-8 参照

表-6 熱的制約条件の検討対象とするケース(硬岩系岩盤)

検討対象 ケース 深度 岩種 処分坑道形状 実施した熱解析の Case No.*1

7 幌型断面 Case37~Case43

8 500m

円形断面 Case44~Case49

9 幌型断面 Case50~Case56

10 1,000m

HR

円形断面 Case57~Case62

*1:詳細は表-9 参照

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表-7 熱解析の解析ケース一覧(軟岩系岩盤)

岩種:SR-B 岩種:SR-C 岩種:SR-D

円形 円形 円形

単一坑道 (内径)

連設坑道

(中心間距離,D は内径*1)

単一坑道 (内径)

連設坑道

(中心間距離,D は内径*1)

単一坑道 (内径)

連設坑道

(中心間距離,D は内径*1)

深度 (m)

φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D

300 Case

1

Case

2

Case

3

Case

4

Case

5

Case

6

Case

7

Case

8

Case

9

Case

10

Case

11

Case

12

Case

13

Case

14

Case

15

Case

16

Case

17

Case

18

500 Case

19

Case

20

Case

21

Case

22

Case

23

Case

24

Case

25

Case

26

Case

27

Case

28

Case

29

Case

30

Case

31

Case

32

Case

33

Case

34

Case

35

Case

36

*1:連設坑道の解析に使用した坑道断面は,単一坑道解析結果により安全性が確認された最大規模の断面で行うものとした。

表-8 熱解析の解析ケース一覧(硬岩系岩盤)

岩種:HR

幌型 円形

単一坑道 (W:幅,H:高さ)

連設坑道 (中心間距離,W:幅*1)

単一坑道 (内径)

連設坑道 (中心間距離,Dは内径*1)

深度 (m)

W10.2m

×

H13.9m

W10.8m

×

H15.8m

W12m

×

H18m 2.5W 3W 4W 5W φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D

500 Case

37

Case

38

Case

39

Case

40

Case

41

Case

42

Case

43

Case

44

Case

45

Case

46

Case

47

Case

48

Case

49

1,000 Case

50

Case

51

Case

52

Case

53

Case

54

Case

55

Case

56

Case

57

Case

58

Case

59

Case

60

Case

61

Case

62

*1:連設坑道の解析に使用した坑道断面は,単一坑道解析結果により安全性が確認された最大規模の断面で行うものとした。

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(φ8m) (φ10m) (φ12m) 図-7 円形処分坑道*1の解析対象断面(軟岩系岩盤,硬岩系岩盤*1)

(W10.2m×H13.9m) (W10.8m×H15.8m) (W12m×H18m) 図-8 幌型処分坑道の解析対象断面(硬岩系岩盤)

*1:硬岩系岩盤で円形断面を対象とする場合は、上記断面から支保工を除いた断面をモデル化した。

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11

(2) 熱解析モデルの概要

単一坑道の熱解析モデルの例を図-9 及び図-10 に示す。単一坑道の熱解析モデルの領域は,3

章における解析同様,地表面から処分坑道中心までの距離は,解析ケースに応じた距離とし,水

平方向の領域幅,及び処分坑道中心からモデル下部境界までの距離は,境界の影響が出ない十分

な距離として 1,500m と設定した。なお試解析によって,解析モデルの側部境界および下部境界付

近において,解析前後の温度が同じであることを確認している。

また,連設坑道の熱解析モデルの例を図-11 及び図-12 に示す。連設坑道の熱解析モデルの領域

については,水平方向の領域は,解析ケースで決められた処分坑道の離間距離の半分を,処分坑

道中心から側部境界までの距離として設定した。一方,鉛直方向の領域については,単一坑道の

熱解析モデルと同様に,地表面から処分坑道中心までの距離は,解析ケースに応じた距離とし,

処分坑道中心からモデル下部境界までの距離は,境界の影響が出ない十分な距離として 1,500m

と設定した。 解析では,第1次 TRU レポートを参考に,円形断面の処分坑道においては廃棄体パッケージが

均一に発熱することとし,幌形断面の処分坑道では充填材も含めた構造躯体内部が均一に発熱す

ることとした。円形断面の処分坑道においては 3章と同様,前述の図-1 の発熱量の 33.7%を廃棄

体パッケージの発熱量として与え,幌形断面の処分坑道においてはさらに充填材の領域も考慮し,

前述の図-1 の発熱量の 28.1%を構造躯体内部の廃棄体混合体の発熱量として与えた。 (幌型断面における構造躯体内部の廃棄体混合体の平均的な発熱率) =(廃棄体パッケージ中の平均的な発熱率)

×(廃棄体パッケージ領域の断面積)÷(構造躯体内部の断面積) = 33.7×(6.0×8.0)÷(7.2×8.0) (図-9 の W12m×H18m*1参照)

≒ 28.1[%] *1:厳密には処分坑道の形状によって平均的な発熱率は異なるが,ここでは安全側の値と

して,最も発熱率が高くなる W12m×H18m の形状で算出した発熱率をすべての幌型断面

の解析ケースで使用した。

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12

図-9 単一坑道の熱解析モデルの例(Case3,9,15:軟岩系岩盤,φ12m 円形断面,深度 500m)

(処分坑道断面図)

緩衝材

インバート

廃棄体パッケージ

支保工

2.8

6.4

1.2

1.6

13.2

0.6

0.6

単位(m) 3.0 0.6

6.63.0

温度固定境界(75℃)

温度固定境界(15℃)

(断熱境界)

(固定境界)

処分 坑道

15℃

75℃

地温勾配

3℃/100m

500m

1,500m

2,000m

1,500m

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図-10 単一坑道の熱解析モデルの例(Case50:硬岩系岩盤,W10.2m×H13.9m 幌型断面,深度 1000m)

1,500m 温度固定境界(90℃)

温度固定境界(15℃)

(断熱境界)

(固定境界)

処分坑道

15℃

90℃

地温勾配

3℃/100m

1,000m

1,500m

2,500m

緩衝材

構造躯体

廃棄体混合体

埋戻し材

13.9

単位(m)

5.1

1.4

4.8

1.2

1.4

2.9 0.8 1.4

5.1

(処分坑道断面図)

Page 14: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

14

図-11 連設坑道の熱解析モデルの例

(Case24,30:軟岩系岩盤,φ12m 円形断面,深度 500m,離間距離 5D)

(処分坑道付近拡大図)

33m

(断熱境界)

(固定境界)

(断熱境界)

処分 坑道

500m

1500m

2000m

(固定境界)

15℃

75℃

地温勾配

3℃/100m

33m

(全体図)

温度固定境界(75℃)

温度固定境界(15℃)

(処分坑道断面図)

緩衝材

インバート

廃棄体パッケージ

支保工

2.8

6.4

1.2

1.6

13.2

0.6

0.6

単位(m) 3.0 0.6

6.6

3.0

Page 15: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

15

図-12 連設坑道の熱解析モデルの例

(Case56:硬岩系岩盤,W10.2m×H13.9m 幌型断面,深度 1000m,離間距離 5W)

(処分坑道付近拡大図)

25.5m

(断熱境界)

(固定境界)

(断熱境界)

処分 坑道

1000m

1500m

2500m

25.5m

温度固定境界(90℃)

(固定境界)

地温勾配

3℃/100m

15℃

90℃

温度固定境界(15℃)

(全体図)

緩衝材

構造躯体

廃棄体パッケージ

埋戻し材

13.9

単位(m)

5.1

1.4

4.8

1.2

1.4

2.9 0.8 1.4

5.1

(処分坑道断面図)

Page 16: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

16

(3) 解析結果

熱解析の解析結果として,表-9,表-10 に各ケースの廃棄体中心位置における最高温度の一覧

表を示す。また,表-11~表-15 に解析アウトプットの一例を示す。 さらに,図-14~図-18 に,単一坑道解析結果より坑道規模と最高温度の関係を整理した結果と,

連設坑道解析結果より坑道離間距離と最高温度の関係を整理した結果を示す。

(円形断面の場合) (幌型断面の場合) *1:硬岩系岩盤における円形断面の場合,支保工がないため支保工内側が坑道壁面となる。

図-13 温度履歴の計測位置

緩衝材

廃棄体中心

廃棄体

パッケージ

支保工

インバート

緩衝材内側

支保工内側

(結晶質岩系の場

合:坑道壁面*1)

支保工外側

坑道壁面 廃棄体中心

廃棄体

パッケージ

緩衝材

構造躯体 構造躯体内側

緩衝材内側

埋め戻し材

Page 17: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

17

表-9 熱解析の結果一覧(軟岩系岩盤)

SR-B(円形) SR-C(円形) SR-D(円形) 単一坑道 連設坑道 単一坑道 連設坑道 単一坑道 連設坑道 深

度 φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D

Case No.

Case

1

Case

2

Case

3

Case

4

Case

5

Case

6

Case

7

Case

8

Case

9

Case

10

Case

11

Case

12

Case

13

Case

14

Case

15

Case

16

Case

17

Case

18

(φ12m)*1 (φ12m)*1 (φ12m)*1 300

m 最高 温度 (℃)

43.7 57.5 73.4 74.3 73.6 73.4

44.1 58.2 74.5 75.3 74.7 74.5

44.7 59.3 76.0 76.6 76.1 76.0

Case No.

Case

19

Case

20

Case

21

Case

22

Case

23

Case

24

Case

25

Case

26

Case

27

Case

28

Case

29

Case

30

Case

31

Case

32

Case

33

Case

34

Case

35

Case

36

(φ12m)*1 (φ12m)*1 (φ10m)*1 500

m 最高 温度 (℃)

49.8 63.5 79.4 79.7 79.6 79.4

50.1 64.1 80.5 80.7 80.6 80.5

50.6 64.2 81.9 67.3 65.5 63.5

*1: 括弧内の数値は,連接坑道の解析で対象とした坑道断面の形状を示す。

表-10 熱解析の結果一覧(硬岩系岩盤)

HR(幌型) HR(円形) 単一坑道 連設坑道 単一坑道 連設坑道 深度 W10.2m

H13.9m W10.8mH15.8m

W12m H18m 2.5W 3W 4W 5W φ8m φ10m φ12m 3D 4D 5D

Case No.

Case

37

Case

38

Case

39

Case

40

Case

41

Case

42

Case

43

Case

44

Case

45

Case

46

Case

47

Case

48

Case

49

(W12m×H18m)*1 (φ12m)*1 500m

最高温度 (℃)

58.8 66.5 79.3 - 85.3 80.2 79.5

49.3 62.7 78.2 79.6 78.5 78.2

Case No.

Case

50

Case

51

Case

52

Case

53

Case

54

Case

55

Case

56

Case

57

Case

58

Case

59

Case

60

Case

61

Case

62

(W10.2m×H13.9m)*1 (φ10m)*1 1,000m

最高温度 (℃)

73.8 81.5 94.4 81.2 76.6 74.6 73.9

64.3 77.7 93.2 80.4 78.1 77.8

*1:括弧内の数値は,連接坑道の解析で対象とした坑道断面の形状を示す。

Page 18: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

18

表-11 熱解析のアウトプット例(軟岩系岩盤SR-B,円形断面) SR-B(円形断面)

単一坑道 連接坑道

温度分布図

Case3 Case4

300m

温度履歴

20

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

支保工内側支保工外側

20

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

支保工内側支保工外側

温度分布図

Case21 Case22

500m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心

緩衝材内側

支保工内側支保工外側

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

支保工内側支保工外側

Page 19: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

19

表-12 熱解析のアウトプット例(軟岩系岩盤SR-C,円形断面) SR-C(円形断面)

単一坑道 連接坑道

温度分布図

Case9 Case10

300m

温度履歴

20

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心

緩衝材内側支保工内側支保工外側

20

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心

緩衝材内側支保工内側支保工外側

温度分布図

Case27 Case28

500m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心緩衝材内側

支保工内側支保工外側

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心

緩衝材内側支保工内側支保工外側

Page 20: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

20

表-13 熱解析のアウトプット例(軟岩系岩盤SR-D,円形断面) SR-D(円形断面)

単一坑道 連接坑道

温度分布図

Case15 Case16

300m

温度履歴

20

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側支保工内側支保工外側

20

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側支保工内側支保工外側

温度分布図

Case32 Case34

500m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

支保工内側支保工外側

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

支保工内側支保工外側

Page 21: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

21

表-14 熱解析のアウトプット(硬岩系岩盤HR,幌型断面) HR(幌型断面)

単一坑道 連接坑道

温度分布図

Case39

Case42

500m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

構造躯体内側

緩衝材内側坑道壁面

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃)

廃棄体中心

構造躯体内側

緩衝材内側坑道壁面

温度分布図

Case50

Case54

1,000m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

構造躯体内側

緩衝材内側坑道壁面

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

構造躯体内側

緩衝材内側坑道壁面

Page 22: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

22

表-15 熱解析のアウトプット例(硬岩系岩盤HR,円形断面) HR(円形断面)

単一坑道 連接坑道

温度分布図

Case46 Case47

500m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

坑道壁面

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

坑道壁面

温度分布図

Case58 Case60

1,000m

温度履歴

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

坑道壁面

30

40

50

60

70

80

90

0 20 40 60 80 100

時間(year)

温度

(℃

廃棄体中心

緩衝材内側

坑道壁面

Page 23: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

23

20

40

60

80

100

6 8 10 12 14

空洞規模(幅:m)

最高

温度

(℃)

300m

500m

20

40

60

80

100

20 40 60 80

離間距離(m)

最高温

度(℃

)

φ12m,300m

φ12m,500m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

6 8 10 12 14

空洞規模(幅:m)

最高温

度(℃

)

300m

500m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

20 40 60 80

離間距離(m)

最高温

度(℃

)

φ12m,300m

φ12m,500m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

6 8 10 12 14

空洞規模(幅:m)

最高

温度

(℃)

300m

500m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

20 40 60 80

離間距離(m)

最高

温度

(℃)

φ12m,300m

φ10m,500m

制限温度80℃

(単一坑道) (連設坑道) 図-14 熱解析結果のまとめ(軟岩系岩盤SR-B,円形)

(単一坑道) (連設坑道) 図-15 熱解析結果のまとめ(軟岩系岩盤SR-C,円形)

(単一坑道) (連設坑道) 図-16 熱解析結果のまとめ(軟岩系岩盤SR-D,円形)

Page 24: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

24

(単一坑道) (連設坑道) 図-17 熱解析結果のまとめ(硬岩系岩盤HR,幌型)

(単一坑道) (連設坑道) 図-18 熱解析結果のまとめ(硬岩系岩盤HR,円形)

(4) 考察 熱解析の結果から,以下のことがわかる。 ①軟岩系岩盤について ・空洞規模と廃棄体中心温度にはほぼ直線的な比例関係がある。 ・軟岩系岩盤においては岩種(SR-B,SR-C,SR-D)の違いが,廃棄体中心温度(処分坑道の最

高温度)に与える影響は小さい。 ・離間距離(3D,4D,5D)の違いが,廃棄体中心温度へ与える影響は小さい。 ・深度(300m,500m)の違いが廃棄体中心温度に与える差は 6℃程度であった。これは,地温

勾配(3℃/100m)で算出される初期温度の差と一致する。 ②硬岩系岩盤について ・空洞規模と廃棄体中心温度はほぼ直線的な比例関係がある。 ・図-17のように幌型断面の場合,2.5Wおよび3Wといった処分坑道が接近した場合,廃棄体中

心温度が 5℃程度上昇し,円形断面よりも上昇幅が大きいことが確認された。これは,離間

20

40

60

80

100

9 10 11 12 13

空洞規模(幅:m)

最高

温度

(℃)

500m

1000m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

20 40 60 80

離間距離(m)

最高

温度

(℃)

幅12m×高さ18m,500m

幅10.2m×高さ13.9m,1000m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

6 8 10 12 14

空洞規模(幅:m)

最高温度

(℃)

500m

1000m

制限温度80℃

20

40

60

80

100

20 40 60 80

離間距離(m)

最高

温度(℃

)

φ12m,500m

φ10m,1000m

制限温度80℃

Page 25: 3-9 熱解析による処分坑道断面,離間距離に関する …...10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 35 解析時間(年) 発熱量(W/m 3) 使用発熱データ 表-1 各構成要素の熱物性データ

25

距離,廃棄体の定置個数といった要因の他,幌型断面の場合,熱伝導性の低い緩衝材の平均

的な厚さが円形断面よりも薄いため,処分坑道から岩盤部へ熱が放出されやすいことが影響

していると考えられる。 ・深度(500m,1,000m)の違いが廃棄体中心温度に与える差は15℃程度であった。これは,地

温勾配(3℃/100m)で算出される初期温度の差と一致する。 5. 結論

第2次TRUレポートにおいては,廃棄体グループ2に関する熱的制約の観点での坑道離間距離を設

定するための熱解析を示した。この根拠資料では,その予備的な検討として実施した,熱解析による

廃棄体定置数,処分坑道形状,離間距離に関する概略検討結果をまとめた。 まず簡略モデルを用いた熱解析によっておおよその廃棄体定置可能数の目処をたて,次にその結果

に基づき,詳細モデルを用いて廃棄体定置数,岩種,処分深度等をパラメータとした幅広い条件で解

析を実施し,各パラメータの感度等を確認した。その結果,設定した軟岩系岩盤の物性の範囲におい

ては廃棄体中心温度に与える岩種の影響は小さいことや,幌型断面の場合は熱伝導性の低い緩衝材の

平均的な厚さが円形断面よりも薄いため処分坑道から岩盤へ熱が放出しやすく,そのため離間距離の

感度が円形断面よりも高い等の知見を得た。

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26

参考文献

共同作業チーム(2000):TRU廃棄物処分概念検討書,JNC TY1400 2000-001,TRU-TR2000-01.

核燃料サイクル開発機構(1999):我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地

層処分研究開発第2次とりまとめ, JNC TN1400 99-020, 021, 022, 023.