[3 年生 unit 3] how we express ourselves「自己表現」...[3年生 unit 3] how we express...

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[3 年生 Unit 3] How We Express Ourselves「自己表現」 Unit 3 では、「人は、アートを通して個性を様々な方法で表現する。/ Through the arts people use different forms of expression to show their uniqueness.」という Central Idea をもとに、表現方法について探究しまし た。「自分の内面にあるものを、どのようにして見える形にできるのか。」という難しい課題へのチャレンジで した。 Week 1 Tuning In / 単元のイメージ作り「どのような表現方法があるのだろう?」 夏休み中に、美術館や個展、文化遺産や古い建物を見て、表現されているものを読み取る宿題に取り組んで いました。作者が、どのような表現で、何を材料にしているのかを知り、どんな工夫がされているのかをポス ターにまとめてくる宿題でした。学校で学習を深める前に自分の力だけで取り組む課題だったので、子どもた ちが何に興味を持っているのかを知ると共に、アート作品からどのようなことまで読み取ることができるの かを計ることも目標にしていました。立体物としてみることができる彫像や鋳造、歴史的建造物やモニュメン (記念碑や記念建物)への興味が高そうでしたが、美術館に行ったり特別展に足を運んだりしている子もいて 絵画も幅広い分野に分散して関心を持っていました。中には、着物の帯やタペストリーの絵柄に注目している 子ども達もいて、子ども達の好奇心に驚かされました。授業では、子ども達の作品をクラスでシェアして、自 分が調べたもの以外にもたくさんの表現方法があることを学びました。しかし、この段階では、作者が何を表 現したくてその作品の色や形、材質を選んでいるのかを読み取れている子が少なかったので、Week 2 ではそ こを重点的に押さえることとしました。 また、春学期には探究の道筋として Central Idea Key concepts が重要であることを身に付けていたの で、秋学期からは PYP Attitude の意識を高めることを目標にしていました。UOIE では、Central Idea に使 用されている言葉の意味を細かく分析し、Key concepts Function (機能)、Perspective (視点)、の 2 つで あることをポイントとして押さえた後、 PYP Attitude についての学習も深めました。 Unit 3 では、 Creativity (創造)と Enthusiasm(熱中)でした。勿論、これらはアート作品を作る上で最も発揮してもらいたい創造 性と、作品制作に熱意を持って集中して取り組むことを指していて、学習者として子ども達が特に意識してほ しい態度として取り組みました。 Week 23 Finding Out & Sorting Out / 情報収集「色、形状、材質で示せるものを学ぼう」 Week 1 で見えてきた課題を受けて、まず、色のもたらす 視覚的、心理的効果について学んでいきました。子ども達 に身の周りにある意味のある色について考えさせると、右 の写真のような発言が出ました。子どもの主観なので、や や認識のずれがあるものもありますが、子ども達なりに色 から感じられるものを考え、人の意見と対比することで随 分と色への認識が高まりました。色には暖色と寒色がある こと、同じ色でも濃淡で感じさせるものが変わること、反 対色(補色)を並べて使うと目立つことを、まとめとして学習 しました。 これらをもとにして、ゴッホの『ひまわり』とムンクの『叫び』の塗り絵を解説せずに配り、感じたまま に色塗りして、題名を付ける課題に取り組みました。子ども達は絵についてそれぞれ自分達で物語を考え、 色の意味を意識して色を付けていきました。同じ絵なのに、一つとして同じ物はなく、色によって伝わるも のが大きく変わることを体験することができました。

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  • [3年生 Unit 3] How We Express Ourselves「自己表現」

    Unit 3では、「人は、アートを通して個性を様々な方法で表現する。/ Through the arts people use different

    forms of expression to show their uniqueness.」という Central Ideaをもとに、表現方法について探究しました。「自分の内面にあるものを、どのようにして見える形にできるのか。」という難しい課題へのチャレンジで

    した。

    Week 1 Tuning In / 単元のイメージ作り「どのような表現方法があるのだろう?」 夏休み中に、美術館や個展、文化遺産や古い建物を見て、表現されているものを読み取る宿題に取り組んで

    いました。作者が、どのような表現で、何を材料にしているのかを知り、どんな工夫がされているのかをポス

    ターにまとめてくる宿題でした。学校で学習を深める前に自分の力だけで取り組む課題だったので、子どもた

    ちが何に興味を持っているのかを知ると共に、アート作品からどのようなことまで読み取ることができるの

    かを計ることも目標にしていました。立体物としてみることができる彫像や鋳造、歴史的建造物やモニュメン

    ト(記念碑や記念建物)への興味が高そうでしたが、美術館に行ったり特別展に足を運んだりしている子もいて絵画も幅広い分野に分散して関心を持っていました。中には、着物の帯やタペストリーの絵柄に注目している

    子ども達もいて、子ども達の好奇心に驚かされました。授業では、子ども達の作品をクラスでシェアして、自

    分が調べたもの以外にもたくさんの表現方法があることを学びました。しかし、この段階では、作者が何を表

    現したくてその作品の色や形、材質を選んでいるのかを読み取れている子が少なかったので、Week 2ではそこを重点的に押さえることとしました。 また、春学期には探究の道筋として Central Idea と Key concepts が重要であることを身に付けていたので、秋学期からは PYP Attitudeの意識を高めることを目標にしていました。UOIEでは、Central Ideaに使用されている言葉の意味を細かく分析し、Key conceptsが Function(機能)、Perspective(視点)、の 2つであることをポイントとして押さえた後、PYP Attitudeについての学習も深めました。Unit 3では、Creativity(創造)と Enthusiasm(熱中)でした。勿論、これらはアート作品を作る上で最も発揮してもらいたい創造性と、作品制作に熱意を持って集中して取り組むことを指していて、学習者として子ども達が特に意識してほ

    しい態度として取り組みました。 Week 2、3 Finding Out & Sorting Out / 情報収集「色、形状、材質で示せるものを学ぼう」 Week 1で見えてきた課題を受けて、まず、色のもたらす視覚的、心理的効果について学んでいきました。子ども達

    に身の周りにある意味のある色について考えさせると、右

    の写真のような発言が出ました。子どもの主観なので、や

    や認識のずれがあるものもありますが、子ども達なりに色

    から感じられるものを考え、人の意見と対比することで随

    分と色への認識が高まりました。色には暖色と寒色がある

    こと、同じ色でも濃淡で感じさせるものが変わること、反

    対色(補色)を並べて使うと目立つことを、まとめとして学習しました。 これらをもとにして、ゴッホの『ひまわり』とムンクの『叫び』の塗り絵を解説せずに配り、感じたまま

    に色塗りして、題名を付ける課題に取り組みました。子ども達は絵についてそれぞれ自分達で物語を考え、

    色の意味を意識して色を付けていきました。同じ絵なのに、一つとして同じ物はなく、色によって伝わるも

    のが大きく変わることを体験することができました。

  • 次に、形状や材質に着目して考えました。普段、何となく

    目にしているものからどのように感じるか聞くと、様々な意

    見が出されました。発表が終わる度に「ああ、確かにそう

    だ。」と、知らないうちにある程度決まった印象を受けるよ

    うになっている自分に気づき、紙に書ききれないほど、材質

    や形状についての感じ方が出されました。 UOIEや Englishでは、自分が個性といえること(好きなこと、頑張っていること、やってみたいこと等)について、文章でどのように書けるか考え、その中で過去形、現在形、

    未来形の文法事項を学びました。また、自分の名前のアルファベットを頭文字にして、自分自身の個性を示

    す英単語を探してポスターにしました。ここでも、字の形や色によって伝わるものが一つでも増えるよう

    に、子ども達は工夫していました。最終的に、モネの『睡蓮』を使った絵本で、どのような特徴があるの

    か、見る人にどのような印象を与えるのかを色や描かれた風景から考えて、みんなで話し合いを行いまし

    た。その際、自分の個性を考える時に身に付けた英語の表現方法や単語を利用した発表を、子ども達から聞

    くことができました。 Week 4 Going Further / 情報の整理「宿泊学習」 宿泊学習では、奈良県川上村にある『匠の聚(たくみのむら)』を訪れました。ここは、色々な方面で活躍されるアーティストの方々が住み込みで制作活動をされている所です。現地では、油絵、日本画と墨絵、木彫り、

    木工クラフト、陶芸、ストーンペイントに触れました。それぞれ扱っている材質の違いをどのように利用して

    表現しているのか、プロフェッショナルな考え方を子ども達に分かりやすく説明していただき、学校で学習し

    てきたことが実際にどのように使われているのかも確認でき、とても豊かな学びになりました。

  • Week 5、6 Going Further & Action / 課題への準備と取り組み「Summative Assessmentと Rubricの説明」 宿泊学習後のまとめをした後、次に Summative Assessment(サマティブアセスメント)に取り組みました。個人で取り組む課題で、学習してきた表現から自分で表現方法を選び、自己表現にチャレンジしました。 まず、自分自身のことを見つめ、『今の自分』と『未来の自分』の違いを明確にし、何を使ってどのように

    それらを表現するのかを決めてから制作をスタートしました。色の使い方、使う材質、デザインに注意し、全

    て自己表現するための意味があるようにしました。段ボール箱を切り開いた物を一人一つ配付し、開いた左側

    に『今の自分』、右側に『未来の自分』として自己表現していきました。箱の背景にあたる部分に絵や色によ

    る表現で心の状態を示し、その前の部分に立体的な作品を置く形式で全体を作っていきました。きれいに作る

    ことは基本ですが、表現の一つひとつに意味があることが最も重要で、意識を強く持つように注意しました。

    最後に、仕上がったら作品について主な説明を日本語と英語でカードに書いて作品にはりつけました。 Week 6 Reflection / 振り返り「自己表現をした作品の発表」 最後に、自分の作品についてプレゼンテ

    ーションを行いました。色が作り出す雰囲

    気や使った素材が示す自分の内面等、多く

    のことを含むことができた子もいました

    し、Rubric で示した項目をカバーできなかった子もいました。しかし、Unit1, Unit2を通して Summative Assessmentへの意識が随分高くなり、どのように課題に取り組んだら良いのか理解して活動している子どもが増えました。子ども達が Summative Assessmentを楽しみにしていて、意欲的に集中して取り組む時間になっているので、今後の成長に大きく期待が持てました。

    ★Unit 終了後★

    線だけでもおもしろい表現ができることに

    気づいた子が、クラスで発表してみんなの興味

    をかき立てました。授業で学んだことを、この

    ように自力で探究を深めていく活動につなが

    る 6週間となりました。