平成31年度(2019年度) 経済産業関係税制改正に...

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平成31年度(2019年度) 経済産業関係 税制改正について 平成30年12月 経済産業省

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Page 1: 平成31年度(2019年度) 経済産業関係税制改正に …...(1-1)車体課税の抜本的見直しの概要(自動車税・環境性能割・自動車取得税・自動車重量税・軽自動車税)

平成31年度(2019年度)

経済産業関係 税制改正について

平成30年12月

経済産業省

Page 2: 平成31年度(2019年度) 経済産業関係税制改正に …...(1-1)車体課税の抜本的見直しの概要(自動車税・環境性能割・自動車取得税・自動車重量税・軽自動車税)

目 次

1

1.車体課税の抜本的見直 し ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2(1-1)車体課税 の 抜本的見直 し の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3( 1-2)自動車税 の税率引下 げ ( 恒久減税 ) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4( 1-3)環境性能割 の需 要平準化特例 ( 1 %軽減) の 実施及 び 税率適用区分 の 見直 し ・ ・ ・ ・ ・ 5(1-4) エ コ カ ー 減 税(自動車取得税 ・ 自 動 車重量税) の 見直 し ・ 延 長 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6(1-5) グ リ ー ン 化 特例(自動車税 ・ 軽自動車税) の見直 し ・ 延 長 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7

2.中小企業 ・ 小規模事業者の生産性向上 、地域経済の活性化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 12(2-1)個人版事業承継税制の創設 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3(2-2)中小機構出資 の事業承継 フ ァ ン ド か ら 出資 を受 け た 中小企業 に 対す る 特例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5(2-3)中小企業 の災害 に 対 す る 事前対策 の た め の 設備 投資 に 係 る 税制措置 の創設 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 6(2-4)中小企業 ・ 小 規 模事業者 の 設備投資 を 支 援 す る 税 制措置 の 延長 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 8(2-5)中小企業者等 の 法 人税率 の特例 の 延長 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 2(2-6)地域未来投資促進税制 の延長 ・ 強 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 3

3 . 生 産 性 革 命 の 実 現 に 向 け た イ ノ ベ ー シ ョ ン の 促 進 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 5(3-1)研究開発税制 の拡充 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 6(3-2) ス ト ッ ク オ プ シ ョ ン 税 制 の 適 用対象者 の 拡大 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 5

4.グローバル化に対応した競争環境の整備 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 37(4-1) B E P S を 踏 ま え た 国 内 の制度整備 に 係 る 配慮 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 8( 4 -2)外国子会社合算税制 ( C F C 税制) の 見 直 し ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 0(4-3)電気 ・ ガ ス 供 給業 に 係 る 法 人事業税 の課 税方式 の 変 更 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 1(4-4)減耗控除制度 の 延 長 ・ 認 定要 件 の 見直 し ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 3(4-5)事業再編 を 円滑化 す る た め の 組織再編税制 に お け る 適 格要件等 の 見 直 し ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 5(4-6)役員 の業績連動給与 に係 る損金算入手続 き の見直 し ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 7(4-7)国税関係帳簿書類 の保存 の 電子化 に 係 る 所要 の 整備 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 9(4-8)連結法人 に係 る異動届出書 の 簡素化等 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 2

5.その他 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 53(5-1) エ ネ ル ギ ー ・ 資 源 ・ 環 境 関連 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 4( 5 -2)地域経済 ・ 中 小 企 業支援関連 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 5(5-3)復興 ・ 防 災 関連 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 6(5-4) そ の他 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 7

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1.車体課税の抜本的見直し

2

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(1-1)車体課税の抜本的見直しの概要(自動車税・環境性能割・自動車取得税・自動車重量税・軽自動車税)

自動車取得税

自動車重量税

自動車税

軽自動車税

31年(2019年)10月

エコカー減税

30年(2018年)5月

31年(2019年)4月

31年(2019年)5月

消費税10%へ引上げ

エコカー減税 見直し・延長エコカー減税

エコカー減税見直し・ 延長

グリーン化特例

グリーン化特例

廃止

環境性能割導入

32年(2020年)4月

消費税引き上げによる需要平準化対策の実施

車体課税の抜本的見直し

今税制改正での措置事項 30年(2018年)4月

グリーン化特例 延長

3

自動車は、日本経済の牽引役であるとともに、重要な生活の足。「平成29年度与党税制改正大綱」や「経済財政運営と改革の基本方針2018」等に基づき、ユーザー負担の軽減等及び来年10月の消費税率引き上げによる需要を平準化する。

具体的には、約1,320億円規模の自動車税の税率引下げ(恒久減税)、環境性能割の特例の実施(2019年10月からの1年間に取得した自家用乗用車について1%軽減)及びエコカー減税及びグリーン化特例の延長等を行う。

環境性能割導入・税率区分の見直し

グリーン化特例 延長

自動車税の税率引き下げ(恒久減税)

2021年4月1日以降、見直し

2021年4月1日以降、見直し

拡充・延長

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(1-2)自動車税の税率引下げ(恒久減税)

29,500 34,500

39,500 45,000

51,000

58,000

66,500

76,500

88,000

111,000

25,000 30,500

36,000

43,500

50,000

57,000

65,500

75,500

87,000

110,000

10,800

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

110,000

120,000

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 5,500 6,000 6,500

税率

(円)

総排気量

(cc)

乗用車(自家用)

軽四輪(乗用・自家用)

自動車税軽自動車税

税率区分660cc超1,000cc

以下1,000cc超1,500cc

以下1,500超2,000cc

以下2,000cc超2,500cc

以下2,500cc超~

引下げ幅 ▲4,500 ▲4,000 ▲3,500 ▲1,500 ▲1,000

消費税率10%への引き上げにあわせ、ユーザー負担の軽減及び需要の平準化等のため、2019年10月1日以降に新車新規登録を受けた自家用乗用車(登録車)について、約1,320億円規模の自動車税率の引き下げ(恒久減税)を行う。

引下げにあたっては、多くの自動車ユーザーの負担を軽減すべく、販売の約9割を占める小型車(2,000㏄以下)を中心とし、これらの区分では最大4,500円~3,500円、現行税率から15~10%程度の大幅な恒久減税が実現。全排気量で自動車税が引き下げられるのは、制度創設以来初めて。

(自動車税) 拡充

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※電気自動車等:電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車、クリーンディーゼル車

消費税率引上げ時に駆け込み需要とその反動減を生じさせることがないよう、耐久消費財である自動車の需要の平準化を図るため、2019年10月からの1年間に購入された自家用自動車・軽自動車(中古を含む)について、臨時的特例措置として、環境性能割の税率1%分を軽減する。

環境性能割の税率適用区分については、環境インセンティブを強化するため、自家用乗用車(登録車)に係る税率の適用区分を見直す。ただし、軽自動車については現行維持とする。

(1-3)環境性能割の需要平準化特例(1%軽減)の実施及びの税率適用区分の見直し

2016年度税制改正で決定した基準

2019年10月1日~2021年3月31日

登録車 軽自動車 登録車 軽自動車

電気自動車等(※) 非課税 非課税 非課税 非課税

2020基準+20% 非課税 非課税 非課税 非課税

2020基準+10% 非課税 非課税 1% 非課税

2020基準達成 1% 1% 2% 1%

2015基準+10% 2% 2% 3% 2%

上記以外の自動車 3% 2% 3% 2%

2019年10月1日~2020年9月30日までの

間に取得した自家用乗用車については、本税率から▲1%軽減(例:税率3%→2%等)

5

消費税引き上げに係る需要平準化対策

新設

(環境性能割)

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(1-4)エコカー減税(自動車取得税・自動車重量税)の見直し・延長

※電気自動車等:電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車、クリーンディーゼル車

2018年4月1日~2019年3月31日

2019年4月1日~9月30日

電気自動車等(※)

非課税 非課税

2020基準+60% 非課税 非課税

2020基準+50% 非課税 非課税

2020基準+40% 非課税 非課税

2020基準+30% ▲80% ▲50%

2020基準+20% ▲60% ▲50%

2020基準+10% ▲40% ▲25%

2020基準達成 ▲20% ▲20%

自動車重量税のエコカー減税については、政策インセンティブを強化する観点から見直しを行う一方、来年10月の消費税率引上げ時の影響に十分配慮するため、減税及び免税対象は現状維持とした上で2年間延長する。

自動車取得税のエコカー減税については、自動車取得税が廃止される来年10月の消費税率引上げまで、6ヵ月間延長する。

自動車取得税

2018年5月1日~2019年4月30日

2019年5月1日~2021年4月30日

初回車検 2回目車検 初回車検 2回目車検

電気自動車等(※)

免税 免税 免税 免税

2020基準+90% 免税 免税 免税 免税

2020基準+50% 免税 免税 免税

2020基準+40% 免税 免税

2020基準+30% ▲75% ▲50%

2020基準+20% ▲75% ▲50%

2020基準+10% ▲50% ▲25%

2020基準達成 ▲25% ▲25%

2015基準+10% 本則税率 当分の間税率

自動車重量税

6

延長

(自動車取得税・自動車重量税)

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※電気自動車等:電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車、クリーンディーゼル車

グリーン化特例については、環境性能割が自動車税・軽自動車税に導入されることを契機に、適用対象を電気自動車等に限定する。

ただし、来年10月の消費税率引上げに十分配慮し、2021年4月1日以後に新車新規登録又は最初の新規検査を受けた自家用乗用車から適用することとし、それまでの間は現行制度を単純延長する。

(1-5)グリーン化特例(自動車税・軽自動車税)の見直し・延長(自動車税・軽自動車税)

2017年4月1日~2019年3月31日

2019年4月1日~2021年3月31日

2021年4月1日~2023年3月31日

登録車 軽自動車 登録車 軽自動車 登録車 軽自動車

電気自動車等(※)

▲75%

▲75%

▲75%

▲75% ▲75% ▲75%

2020基準+50%

▲50% ▲50%2020基準+40%

2020基準+30%

2020基準+20%▲50% ▲25% ▲50% ▲25%

2020基準+10%

7

延長

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【車体課税】(「検討事項」抜粋)

(参考1)平成31年度与党税制改正大綱

8

自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自

動車を取り巻く環境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり

等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提

に、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討を行う。

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【車体課税の見直し】(抜粋)

なお、消費税率10%への引上げの前後における駆け込み需要及び反動

減対策に万全を期す必要があり、自動車をめぐるグローバルな環境、自動

車に係る行政サービス等を踏まえ、簡素化、自動車ユーザーの負担の軽

減、グリーン化、登録車と軽自動車との課税のバランスを図る観点から、

平成31年度税制改正までに、安定的な財源を確保し、地方財政に影響を

与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合

的な検討を行い、必要な措置を講ずる。

(参考2)平成29年度与党税制改正大綱

9

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第3章 「経済・財政一体改革」の推進(抜粋)

2.2019年10月1日の消費税率引上げと需要変動の平準化

(4)耐久消費財対策

2014年4月の消費税率引上げ時に耐久消費財を中心に駆け込み需要と

その反動減が生じたことを踏まえ、2019 年10 月1日の消費税率引上げに

際し、税率引上げ後の自動車や住宅などの購入支援について、需要変動

を平準化するため、税制・予算による十分な対策を具体的に検討する。

(参考3)経済財政運営と改革の基本方針2018(平成30年6月15日閣議決定)

10

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取得段階

自動車税【都道府県税】

軽自動車税【市町村税】

登録車 軽自動車

保有段階

取得価額×3% 取得価額×2%

(定額/年)

10,800円

排気量に応じ(29,500円(1000㏄以下)~

111,000円(6500㏄以上))

(定額/年)2,500円 (エコカー/本則税率)

3,300円 (非エコカー)

(車体重量(0,5トン毎)に応じ/年)

2,500円(エコカー/本則税率)

4,100円(非エコカー)

5,700円(13年経過車)

6,300円(18年経過車)

※2015年4月に新車から増税 (7,200円⇒10,800円)※13年経過車(電気自動車除く)は概ね20%重課

※消費税10%引上げ時(2019年10月1日)に廃止→自動車税/軽自動車税に環境性能に応じて課税を行う環境性能割が導入予定

自動車取得税【都道府県税】

※11年経過のデーィーゼル車(ガソリン車、LPG車は13年経過)は概ね15%重課※自動車税の税率は2018年12月時点。2019年10月以降の新車より恒久減税(25,000~110,000円)

自動車重量税【国税】

購入時

新規登録時

+車検時

毎年

+エコカー減税

+エコカー減税

+グリーン化特例

当分の間税率当分の間税率

課税時期

(参考4)車体課税(自家用乗用車)の概要

①購入時(取得段階)と②毎年の保有状況(保有段階)に応じ、3つの車体課税(①自動車取得税、②自動車重量税、③自動車税or軽自動車税)あり。

登録車と軽自動車で税額や課税方法が異なる。

11

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2.中小企業・小規模事業者の生産性向上、地域経済の活性化

12

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④ 10年間の時限措置

③ 納税額の全額(100%)が納税猶予

② 相続税だけでなく贈与税も対象

【診療機器】

① 多様な事業用資産が対象

(2-1)個人版事業承継税制の創設(相続税・贈与税) 新設

改正概要

事業を行うために必要な多様な事業用資産が対象

○土地・建物(土地は400㎡、建物は800㎡まで)

○機械・器具備品

(例)工作機械・パワーショベル・診療機器 等

○車両・運搬具

○生物(乳牛等、果樹等)

○無形償却資産(特許権等)

【工作機械】

生前贈与による早期の事業承継準備を支援

平成31年1月1日~平成40年12月31日の間に行われる相続・贈与が対象

注1:制度を活用するためには、 ①経営承継円滑化法に基づく認定が必要②平成31年度から5年以内に、予め承継計画を提出することが必要

注2:既存の事業用小規模宅地特例との選択制

今年度、事業承継税制が抜本的に拡充されたことにより、法人向けの事業承継税制の認定申請件数は飛躍的に増加(※)。

個人事業者についても、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、個人事業者の事業承継を促進するため、10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」を創設する。

※拡充前の事業承継税制の平成29年度における認定件数は年間400件程度であったが、拡充後の事業承継税制の足元における申請件数は年間4000件に迫る勢い。

後継者の承継時の現金負担をゼロに

13

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(参考)中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の拡充

経営者年齢別の売上高(直近3年間)をみると、若い経営者層では、売上高が増加する傾向。

14.4%

21.8%

26.0%

33.8%

51.2%

38.9%

27.5%

44.7%

46.7%

44.7%

43.8%

37.1%

47.2%

44.3%

40.9%

31.5%

29.2%

22.4%

11.6%

13.9%

28.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

70歳以上

60歳以上70歳未満

50歳以上60歳未満

40歳以上50歳未満

30歳以上40歳未満

30歳未満

全体

増加 横ばい 減少

倒産件数は減少傾向にあるも、休廃業件数は横ばい。

(平成28年度 中小企業庁委託調査)

今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定。

(帝国データバンクの企業概要ファイルを再編加工)

中小企業の倒産件数 休廃業・解散件数

(出典)(株)東京商工リサーチ調べ ※休廃業・解散件数には大企業も含む 14

2025年に70歳以上となる個人事業者は、約150万人と推計される。

平成28年度総務省「個人企業経済調査」、平成28年度 (株)帝国データバンクの企業概要ファイルから推計

54%70歳以上(93万人)

46%70歳未満(79万人)

27%70歳未満(59万人)

73%70歳以上(150万人)

法人

個人事業者20年間で経営者年齢の山は47歳から66歳へ移動

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新設

法認定を受けた事業承継ファンド(中小機構から出資を受けることを認定要件とする)

A社(資本金1億円以下)

出資(40%)

出資(30%)

出資(30%)

出資(100%)

中小機構 他の大規模法人 その他

設備投資に係る中小企業税制を適用可能に

※資本金1億円以下の中小企業のうち、以下は大企業とみなすこととされている。①発行済み株式等の1/2以上を同一の大規模法人が所有②発行済み株式等の2/3以上を複数の大規模法人が所有

※従前は、中小機構も大規模法人に該当することから、上記の事例も②に該当し、A社は設備投資に係る中小企業税制を適用できなかった。

<対象となる中小企業税制>○中小企業経営強化税制○中小企業投資促進税制○商業・サービス業活性化税制○被災代替資産等の特別償却○中小企業防災・減災投資促進税制【新設】

【適用期限:各租特の適用期限に準ずる】改正概要

15

(2-2)中小機構出資の事業承継ファンドから出資を受けた中小企業に対する特例

将来的なM&Aに向けた磨き上げ支援等を行う事業承継ファンドは、中小企業の事業承継を促進するに当たり有効であり、近年その数は増加傾向。

他方、事業承継ファンドを通じた中小機構による出資割合が一定以上となる場合、出資を受けた中小企業は「大企業」とみなされ、設備投資に係る中小企業税制が適用されないという制約があり、事業承継に向けた設備投資が滞るおそれがある。

このため、事業承継ファンドを通じた事業承継を一層促進すべく、中小企業等経営強化法に基づく認定を受けた事業承継ファンドを通じて中小機構から出資を受けた場合には、中小機構出資分を大企業保有分と評価しないこととする措置を講ずる。

(法人税・法人住民税・事業税)

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(2-3)中小企業の災害に対する事前対策のための設備投資に係る税制措置の創設

自然災害が頻発する中、災害による影響を軽減するための事前対策の強化は喫緊の課題。

中小企業が災害への事前対策を強化するための設備投資を後押しするため、自家発電機、制震・免震装置等の防災・減災設備に対して、特別償却(20%)を講じる。

事業者が作成した事前対策のための計画を、経済産業大臣が認定。認定計画に含まれる設備の導入に対して、上記の税制措置を適用。

改正概要 【適用期限:平成32年度末まで】

税制の概要

【対象者】

事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けた中小企業・小規模事業者

【対象設備】

事前対策を強化するために必要な防災・減災設備

<対象設備>

機械装置(100万円以上):自家発電機、排水ポンプ 等

器具備品(30万円以上):制震・免震ラック、衛星電話 等

建物附属設備(60万円以上):止水板、防火シャッター、排煙設備 等

【税制措置の内容】

対象設備への投資に対する特別償却(20%)を講じる。

【税制措置のスキーム】

①「強化計画」(仮称)策定【対象事業者】・中小企業・小規模事業者【計画記載事項】・取組内容・実施期間・防災・減災設備の内容 等

②申請 ③認定

経済産業大臣

④税務申告⑤税制優遇

所轄の税務署

16

(法人税・所得税・事業税)

新設

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(参考)中小企業の災害に対する事前対策を強化する必要性について

本年度は地域の中小企業・小規模事業者に大きな影響を与える大規模災害が頻発し、新たな課題が顕在化。サプライチェーンや地域の雇用等を支える中小企業を念頭に、事前対策の策定・実践など、実効

性が高い事前対策の促進が不可欠。

平成30年度に発生した災害例

平成30年7月豪雨(本激) 台風第19~21号等(※1) 北海道胆振東部地震(局激※2)

中小企業被害額 4,738億円 99億円 42億円

【失敗例➀】

• 豪雨発生時に近隣の河川が氾濫、工場が浸水すると同時に大量の土砂が流入し、主要生産設備等が全て水没あるいは土砂に埋もれてしまい使用不能に。(旋盤加工業)

【失敗例②】

• 震災発生時のリスクに備えて、事前に工場内の生産設備などに免震・制震対策を施していなかったため、震度5の揺れが発生した際に、設備が転倒、損壊する被害が発生。(電気部品製造業)

【失敗例③】

• 災害による大規模停電により、冷凍・冷蔵の食材在庫を大量に廃棄した。(旅館業)

事前対策不足による失敗例 事前の設備投資による防災・減災対策例

【成功例➀】

• 災害の発生時の事業継続の対応指針、目標復旧時間などを予め策定。

• 通常操業の目標再開時期を実現するため、止水板、排水ポンプなどの設備を準備。(製造業)

【成功例②】

• サーバがダウンしないよう、制震ラックを導入するとともに、地震発生時においても、最低限不可欠な電力を確保するため、サーバが最低限稼働できる非常用発電機を導入。

• 東日本大震災においてもサーバなどには影響が生じず、翌日以降、被災状況の確認や災害復旧支援などを実施。(データセンタ)

(※1)農地・公共土木についてのみ局激 (※2)農地・公共土木については本激

17

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(2-4)中小企業・小規模事業者の設備投資を支援する税制措置の延長

中小企業・小規模事業者の「攻めの投資」を後押しするための税制として、中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制を措置しているところ、中小企業の積極的な設備投資を後押しし、「生産性革命」の実現を図る観点から、これらの措置の適用期限を2年間延長。

加えて、中小企業経営強化税制については、働き方改革の実現に向けた取組みを支援する観点から、対象設備を明確化するといった強化を行う。

※ を付した部分は、資本金3,000万円超1億円以下の法人の場合

設備の種類(価額要件)

機械装置(160万円以上)

ソフトウェア(70万円以上)

工具・器具備品(30万円以上)

建物附属設備(60万円以上)

支援措置

【中小企業投資促進税制】30%特別償却又は税額控除7%(※30%特別償却のみ適用)

⇒延長

【商業・サービス業活性化税制】30%特別償却又は税額控除7%(※30%特別償却のみ適用)

⇒延長

【中小企業経営強化税制】即時償却又は税額控除10%(※7%)

⇒延長・強化

生産性向上設備(A類型)

生産性が年平均1%以上向上

投資利益率5%以上のパッケージ投資

収益力強化設備(B類型)

延長・強化

【適用期限:平成32年度末まで】改正概要

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(法人税・所得税・法人住民税・事業税)

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(参考)中小企業投資促進税制(法人税・所得税・法人住民税・事業税)

中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、特別償却(30%)又は税額控除(7%)(※)の適用を認める措置。

引き続き、中小企業の設備投資を促すため、本税制措置の適用期限を2年間延長。

【適用期限:平成32年度末まで】※税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限る。

延長

改正概要

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(参考)商業・サービス業・農林水産業活性化税制(法人税・所得税・法人住民税・事業税)

商業・サービス業を営む中小企業者等が経営改善指導等に基づき、建物附属設備(1台60万円以上)又は器具・備品(1台30万円以上)を取得した場合に、特別償却(30%)又は税額控除(7%)(※)を認める措置。

消費税率の引上げを見据えつつ、商業・サービス業を営む中小企業者等の設備投資と経営改善を引き続き促進すべく、本税制措置の効果がより高まるよう適用要件に所要の見直しを行った上で、本税制措置の適用期限を2年間延長。

【適用期限:平成32年度末まで】 ※税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限る。

経営改善指導等に基づく設備投資

<飲食店の例>

<介護業の例>

【活性化に資する設備の例】

・「介護用浴槽」を導入し、大幅な効率化により生産性が向上。・介護従事者の負担も減少し、離職率も低下。

・「画像識別機能付きPOSレジ」を導入し、レジ精算の効率化、接客サービスの向上を実現。・POS連携により、売れ筋商品を把握し、売上の向上につながる。

税制措置(特別償却30%又は税

額控除7%)

②経営改善指導等に基づく設備投資

中小商業・サービス業等 経営改善指導等を行う機関①経営改善指導等

「経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類」において、

本税制措置を用いて行う設備投資と経営改善によって、年間2%以上の売上高又は営業利益の伸びが達成できると見込まれること

を予め明記した上で、アドバイス機関から、経営改善に係る指導・助言を受ける。

・都道府県中小企業団体中央会・商工会議所・商工会・商店街振興組合連合会・認定経営革新等支援機関 等

延長

改正概要

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(参考)中小企業経営強化税制(法人税・所得税・法人住民税・事業税)

中小企業経営強化税制は、中小企業の稼ぐ力を向上させる取組みを支援するため、中小企業等経営強化法による認定を受けた経営力向上計画に基づく設備投資について、即時償却及び税額控除(10%)(※)のいずれかの適用を認める措置。

中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた設備投資を後押しするため、本税制措置の適用期限を2年間延長。

また、働き方改革に資する設備(休憩室に設置される冷暖房設備や作業場に設置されるテレワーク用PC等)も本税制措置の適用対象であることをQ&A集等を通じて明確化。

【適用期限:平成32年度末まで】

※資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者等の税額控除率は7%。

延長・強化

働き方改革に資する設備の例

<建物附属設備>

<器具備品>

・工場等の休憩室等に設置される冷暖房設備等。

・作業場等に設置されるテレワーク用PC等。

※生産等活動の用に直接供される工場、店舗、作業場等に設置されるものに限る。

改正概要

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(2-5)中小企業者等の法人税率の特例の延長(法人税・法人住民税)延長

【本則:期限の定めなし】【租税特別措置法:適用期限 平成32年度末まで】

○中小企業者等の法人税率は、年800万円以下の所得金額について19%に軽減されている(本則)。○当該税率を、平成33年3月31日までの時限的な措置として、更に15%に軽減(租税特別措置)。

対象 本則税率 租特税率

大法人(資本金1億円超の法人)

所得区分なし 23.2% -

中小法人(資本金1億円以下の法人)

年800万円超の所得金額 23.2% -

年800万円以下の所得金額 19% 15%

中小企業者等の法人税率について、年間800万円以下の所得金額に対する税率は、19%から15%に軽減されている。

海外経済の不確実性や人手不足、労働生産性の伸び悩みや後継者難等を背景とした先行き不透明感が指摘される中、中小企業・小規模事業者の経営基盤を引き続き強化するため、本税制措置の適用期限を2年間延長。

22

改正概要

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(2-6)地域未来投資促進税制の延長・強化(法人税・所得税・法人住民税・事業税) 拡充・延長

制度概要 【適用期限:平成32年度末まで】

地域の成長発展の基盤強化のためには、地域の企業が取り組む地域経済を牽引する事業に対し、集中的な支援を行い、地域経済の更なる活性化を図ることが重要。

このため、地域の特性を生かしつつ、特に高い付加価値を創出しており、地域経済を牽引する企業の前向きな設備投資について、税額控除・特別償却の割合を引き上げ、地域未来投資促進税制を延長・強化。

※対象資産の取得価額の合計額は合計80億円を限度※税額控除は法人税額又は所得税額の20%までが上限

課税の特例の内容・対象地域経済牽引事業計画(都道府県の承認)

都道府県及び関係市町村が作成する基本計画に適合<地域経済牽引事業の要件>①地域の特性の活用②高い付加価値の創出③地域の事業者に対する経済的効果

課税の特例措置(国の確認)

<課税特例の要件>①先進性を有すること(生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域を除く(※))②総投資額が2,000万円以上であること③前事業年度の減価償却費の10%を超える投資額であること④対象事業の売上高伸び率(%)が、ゼロを上回り、かつ過去5事業年度の対象事業の市場の伸び率(%)+5%以上

<上乗せ要件>⑤直近事業年度の付加価値額増加率が8%以上

対象設備 特別償却 税額控除

機械装置・器具備品 40% 4%

建物・附属設備・構築物 20% 2%

23

対象設備 特別償却 税額控除

機械装置・器具備品 40% 4%

上乗せ要件を満たす場合

50% 5%

建物・附属設備・構築物 20% 2%

現行制度

改正内容

(※)特定非常災害発生日から3年以内に承認を受けた事業が対象(法施行前に発生した災害の場合は5年)

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(参考)地域未来投資促進法の施行状況

地域未来投資促進法を活用し、3年間で約2,000社程度の支援の実施を目指している。

平成29年7月31日の施行後、都道府県及び市町村が策定した基本計画に基づき、平成30年12月4日までに合計1,121件の地域経済牽引事業計画(計1,436事業者)が承認され、地域未来投資促進税制等を活用した具体的なプロジェクトが動き始めている。

課税特例の適用に関する主務大臣の確認件数557件(平成30年11月27日まで)

地域経済牽引事業計画の承認件数1,121件(計1,436事業者)(平成30年12月4日まで)

地域経済牽引事業・地域未来投資促進税制の状況

24

①地域未来投資促進税制:822計画(うち確認済:557件)②自治体による固定資産税の減免措置:449計画③ものづくり補助金との連携:125計画④地域中核企業・中小企業等連携支援事業との連携:93計画⑤地方創生推進交付金を活用した支援:77計画⑥サポイン補助金との連携:10計画 等

事業者が希望する支援措置(税制の活用ニーズが非常に多い)

(参考)未来投資戦略2018 ―「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革―平成30年6月15日閣議決定(抄)地域未来投資促進法を活用し3年間で2,000社程度の支援を目指す。(…)予算(地方創生推進交付金を含む。)、税制、金融、規制の特例などの支援策を重点投入するとともに、地域の支援機能の強化を含め、更なる施策の展開を図る。

(参考)地域未来投資促進税制の活用例

IoTを活用し、群馬特産の赤城和牛の生産拡大・品質向上を行い、東南アジア・EU・アメリカ向けの輸出拡大を目指す。肉牛生産段階において、10年以上に渡り4,000頭以上の管理・育成記録を蓄積し、食肉加工段階においても、個体別に重量や等級、肉質や脂質をデータ化しており、これらを活用して商品の高付加価値化に取り組んでいる。

有限会社鳥山牧場(群馬県)

輸送機器関連産業が集積する地域において、電気自動車等で大きな需要が見込まれる新型モータコイルを開発。従来工法では有効的に活用できていなかったスペースを最大限活用する高密度成形コイル技術を用い、小型EV向けコイルでは最高出力を300%向上する。同技術を活用し、産業用モーター等にも事業を展開している。

株式会社アスター(秋田県)

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3.生産性革命の実現に向けたイノベーションの促進

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(3-1)研究開発税制の拡充(所得税・法人税・法人住民税)

第4次産業革命を社会実装し、「Society 5.0」を実現するためには、企業の研究開発投資の「量」と「質」の向上により、イノベーションが自律的に生まれるエコシステムを構築することが喫緊の課題。

このため、研究開発投資の「量」を更に増加させていくため、控除上限を最大で法人税額の45%に引上げるなど、研究開発投資の増加インセンティブをより強く働くよう見直しを行うとともに、研究開発投資の「質」の向上に向け、オープンイノベーションや研究開発型ベンチャーの成長を促す措置を講じる。

拡充・延長

26

改正概要 控除率(総額型)

現行制度 改正後

10%に引上げ

法人税額の5%

(選択制)(時限措置)

(C)高水準型

(A’-1)控除上限上乗せ(※)

(A-1) 総額型

(A-2)中小企業技術基盤強化税制

(B)オープンイノベーション型

(A’-1)売上高試験研究費割合10%超の場合の控除上限上乗せ(※)

(A-1) 総額型

(A-2)中小企業技術基盤強化税制

(B)オープンイノベーション型

法人税額の25%

法人税額の10%

法人税額の10%

控除上限

高水準型を廃止A’-1を延長

2年間の時限措置

ベンチャーは40%に引上げ

最大で法人税の40% 控除上限 最大45%(ベンチャーの場合 最大60%)

(※)中小企業については、別途上乗せ措置あり

(控除率)

8%増加 約22%増加

9.9%

6%

25%減少

14%

増減なし

8.5%

(増減試験研究費割合)

約14%減少

現行制度

改正後

傾き0.3

傾き0.175

控除率10%超は2年間の時限措置

(注)売上高試験研究費割合10%超の場合、控除率を最大1.1倍に上乗せ(2年間の時限措置)

控除率(オープンイノベーション型)

相手方が大学・特別研究機関等の場合 : 30%相手方がその他(民間企業等)の場合 : 20%(委託研究の場合、大企業等は対象外)

現行制度

研究開発型ベンチャーとの共同研究等: 20%⇒25%大企業等への委託研究(※) : 対象外⇒20%

さらに、大学との共同研究に係る対象費用の適正化(URA人件費)

改正後

控除率の上乗せ、対象拡大

※基礎・応用研究又は知財利用を目的とした研究開発に限る。単なる外注等を除く。

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(参考1)各国の民間研究開発投資の潮流と日本の状況

各国の民間企業の研究開発投資は概ね増加傾向。米国は堅調、中国は急増。

世界の潮流の中にあって、我が国を「世界で最もイノベーションに適した国(※)」に変革するため、民間企業の研

究開発費をGDP比3%まで高めるというのが、政府・民間の一致した方針。(※第5期科学技術基本計画(2016年1月閣議決定))

未来投資戦略2017 (2017年6月 閣議決定)

民間研究開発投資の誘発等によって、民間企業の研究開発投資を対GDP比3%にすることを目指すことにより、官民合わせた研究開発投資の対GDP比4%以上とすることを目標とする。≪KPI≫2020年度までに、官民合わせた研究開発投資の対GDP

比を4%以上とする。

18兆円

対GDP比3.0%

13兆円

対GDP比2.47%

民間企業の研究開発費の目標

2016 ・・・ 2020

目標達成のためには2016~20の5年で年約8%で増加し続けることが必要

(出典)OECD「Main Science and Technology Indicators 」 ※購買力平価換算

各国の民間企業の研究開発投資の推移

(百万$)

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(参考2)オープンイノベーションの重要性

オープンイノベーションは、大企業がイノベーションのジレンマを克服するための手段として期待されており、欧米

では、ベンチャーと連携して、革新的な技術開発に取り組む大企業が多い。

他方、日本ではオープンイノベーションの実施率が低く、特に、ベンチャーとの連携が進んでいない。

オープン・イノベーション活動の実施率(欧米との比較)

ベンチャー企業による技術開発の例

強風や乱流でも安定的に発電可能な風力発電機の

開発

(注)2014年~2015年にかけて、日本企業101社、欧米企業121社について、比較可能な設問で調査を実施

(出典)米山、渡部、山内、真鍋、岩田「日米欧企業におけるオープン・イノベーション活動の比較研究」学習院大学経済論集第54巻第1号

78%

47%

欧米企業(n=121) 日本企業(n=101)

日本企業のオープンイノベーションの状況

(出典)「平成28年度産業技術調査事業(研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携促進に向けた調査)」の中で実施したアンケートより

28

バイオベンチャー

風力発電ベンチャー

生体信号とロボット技術の活用により、肉体的な制限のない世界を創造す

るための技術開発

身体拡張ベンチャー

脳内に効率的に薬剤を送達する技術を活用した創薬開発

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(参考3)控除上限の引上げ

現行制度(最大40%) 改正案(最大45%)

OI型控除上限5%引上げ

法人税額の25%

法人税額の5%

法人税額の10%(選択制)(時限措置)

【A’-1】

試験研究費割合10%超の場合の控除上限上乗せ (※1)

【A’-1】

試験研究費割合10%超の場合の控除上限上乗せ (※1)

法人税額の25%

法人税額の10%

法人税額の10%

控除上限

(※1)計算式は後述。なお、中小企業には別途上乗せ措置あり。 (※2)ベンチャー企業の場合には40%に引上げ。

研究開発投資の「質」と「量」を支援するため、控除上限(最大値)を、法人税額の40%から45%に引上げ。(オープンイノベーション型の控除上限の引上げ(5%→10%)・上乗せ措置の延長・統合等)

(新設)

高水準型を廃止A’-1を2年間延長

2年間の時限措置

(法人税額の何%まで控除できるか)

【A-2 中小企業技術基盤強化税制】

【A-1 総額型】

(※2)

【B オープンイノベーション型】

【C 高水準型】

【A-2 中小企業技術基盤強化税制】

【A-1 総額型】

「質」と「量」の支援

「量」の支援

【B オープンイノベーション型】

29

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(参考4)総額型の控除率のインセンティブの強化・時限措置の延長

控除率10%~14%部分(平成30年度末までの時限措置)を2年間延長。

試験研究費を増加させた場合の控除率を引き上げ、減少させた場合の控除率は引き下げることで、増加インセンティブを強化。

(控除率)

8%増加 約22%増加

9.9%

6%

25%減少

14%

増減なし

8.5%

(増減試験研究費割合)

約14%減少

現行制度

改正案

傾き0.3

傾き0.175

総額型控除率

(注)売上高試験研究費割合10%超の場合、控除率を別途上乗せ

控除率10%超(30年度末までの時限措置)は2年間延長

(試験研究費の何%分を税額控除できるか)

(新設)

試験研究費を増加させた場合の控除率を引き上げ

試験研究費を減少させた場合の控除率を引き下げ

30

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(参考5)オープンイノベーション型の支援対象の拡大・一部控除率引上げ

研究開発型ベンチャーと共同研究・委託研究を行う場合のOI型の控除率を引き上げ。

民間企業等への委託研究についてもOI型の対象として追加。

20%

対象となる相手先 <控除率>

中小企業者

公益法人・地公体の機関・地方独法等

特別研究機関等

特別研究機関等

大学等

その他の者(民間企業、民間研究所、

公設試験研究所等)

技術研究組合

大学等

中小企業者

30%

20%

30%

20%

共同試験研究

委託試験研究

知的財産権の使用料

※基礎・応用研究又は知財利用を目的とした研究開発に限る。単なる外注等を除く。

20%

対象となる相手先 <控除率>

中小企業者、公益法人・地公体の機関・地方独法等

特別研究機関等

特別研究機関等

大学等

その他の者(民間企業等)

技術研究組合

大学等

研究開発型ベンチャー※

30%

20%

30%

20%

共同試験研究

委託試験研究

知的財産権の使用料

研究開発型ベンチャー 25%

現行制度 改正案

中小企業者

その他の者(民間企業等) ※

25%

31さらに、大学との共同研究に係る対象費用の適正化を行う(URA人件費)

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(参考6)ベンチャー企業の研究開発の促進、事業会社とベンチャー企業との連携促進

初期投資の回収を待たずに、更なる成長のために積極的に研究開発投資を行うベンチャー企業を後押しするため、設立10年目までに限り、翌事業年度に繰越される欠損金があること等を要件に控除上限を引き上げる。

オープンイノベーション促進のため、ベンチャー企業と連携(共同・委託研究)する場合の控除率を引き上げる。

累積収支 単年度収支

利益

設立10年以内 単年度黒字が出たので、法人税を納める必要がある。

累積収支は未だ赤字 成長・発展のため更なる大規模な研究開発投資を行う。

ベンチャー企業については、控除上限を大幅に引き上げ。(法人税額の25%→40%)

ベンチャー企業による研究開発の促進 事業会社と研究開発型ベンチャーとの連携の促進

(対象となるベンチャー企業)産業競争力強化法による認定を受けているベンチャーファンド又は国立大学法人や国立研究開発法人から出資を受けているベンチャー企業で、一定の要件を満たすもの。

(対象となるベンチャー企業のイメージ)

事業年度

ベンチャー企業と連携(共同・委託研究)する場合の控除率を引き上げ。(特別試験研究費の20%→25%)

32

(認定)ベンチャーファンド

企業

出資・ハンズオン(経営・技術指導)

投資計画認定出資

ベンチャー企業

【参考】産業競争力強化法に基づくファンドの認定スキーム

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(参考7)売上高試験研究費割合に応じた控除率・控除上限の上乗せ

売上高試験研究費割合が10%を超える場合、控除率・控除上限を上乗せ。

控除率の上乗せ

控除率(※)= 通常の控除率 + {(売上高試験研究費割合-10%)×0.5} × 通常の控除率

【最大0.1】(※)最大14%

(中小企業の場合は17%)

控除上限の上乗せ(A’-1)

売上高に対する試験研究費の割合

控除上限

法人税額の25%

10% 15%

法人税額の35%

控除上限 = 25% + (売上高試験研究費割合-10%)×2

【最大10%】

(新設・2年間の時限措置)(2年間延長)

【控除率上乗せのイメージ(売上高試験研究費割合が20%の場合)】

(控除率)

8%増加 約22%増加

9.9%

6%

約14%減少

14%

増減なし

8.5%

(増減試験研究費割合)

33

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中小企業技術基盤強化税制は、試験研究費の12%に相当する額を法人税額から控除する制度(法人税額の25%が上限)。試験研究費を一定割合増加させた場合には、最大で試験研究費の17%、法人税額の35%まで控除可能となっており、この上乗せ措置を2年間延長する。

【適用期限:時限措置については平成32年度末まで】

17%

(増減試験研究費割合)8%増加

12%(控除率)

約25%増加

【控除率】

25%

10%

(3-1)研究開発税制の拡充(中小企業技術基盤強化税制の上乗せ措置の延長)

【控除上限】

上乗せ措置(時限措置)

本体(恒久措置)

試験研究費の増加に応じて12~17%を控除→控除率12%超の部分は時限措置

(大企業の場合は6~14%)※【新設】売上高試験研究費割合10%超の場合は、控除率を上乗せ(上限17%)(時限措置)

試験研究費増加割合が8%を超えた場合、控除上限を10%上乗せ(時限措置)

※控除率= 通常の控除率 + {(売上高試験研究費割合-10%)×0.5} × 通常の控除率

改正概要

34

延長

(所得税・法人税・法人住民税)

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(3-2)ストックオプション税制の適用対象者の拡大(特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の拡充)

35

ベンチャー企業が、兼業・副業等の多様な働き方で活躍する国内外の高度・専門人材を円滑に獲得できるよう、本制度の付与対象者を現行の取締役・従業員から、社外からでも企業に貢献する高度人材(外部協力者)にまで拡大し、ストックオプションを利用した柔軟なインセンティブ付与を実現する。

事業者は、外部協力者を活用して行う事業計画を作成し、主務大臣が認定。認定計画に従って事業に従事する外部協力者へのストックオプションの付与に関して、税制優遇措置を適用する。

拡充

●取締役、執行役及び使用人 ●取締役、執行役及び使用人

●一定の要件を満たす外部協力者(例)ベンチャー企業の成長に貢献する業務を担う

プログラマー・エンジニア、医師、弁護士等<参考:ストックオプション税制活用によるメリット>

中小企業等経営強化法に基づく事業計画認定制度について

主務大臣基本方針を策定

新規中小企業等計画を作成

認定、金融・税制支援

申請

株価

株式公開

税制の適用により、譲渡時まで課税繰延

権利行使時付与時 譲渡時

通常のストックオプションは権利行使時に課税

計画認定

<ストックオプションの付与対象者> <ストックオプションの付与対象者>改正概要現行制度

譲渡課税

(所得税・住民税)

【計画内容】①設立10年未満等の要件を満たしファンドからの出資を受ける企業が、②高度な知識及び技能を有する社外の人材を活用し、③新事業活動を行い、新たな事業分野の開拓を行うこと

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(参考)ベンチャー企業における外部協力者の必要性

ベンチャー企業が飛躍的な成長を実現するには、国内外から質の高い人材を獲得することが重要。また、ベンチャー企業では成長段階に応じ必要な人材が大きく変化することから、高度かつ専門的な人材を社外からも機動的に確保することが必要。

本拡充により、手許資金が貴重なベンチャー企業でも、ストックオプションを活用することで高度人材を円滑に獲得することが可能となる。

シード アーリー エクスパンション レーター

起業研究開発・製品化

資金調達

IPO準備

プログラマー

エンジニア

CTO

CFO

プロジェクトマネージャー

弁護士

公認会計士

弁理士

コンサルタント

グローバル人材

大企業人材

ベンチャー企業は成長段階に応じて必要な人材が大きく変化

36《KPI》企業価値又は時価総額が 10 億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)又は上場ベンチャー企業 を 2023 年までに 20 社創出

「未来投資戦略」(2018年6月15日閣議決定)

23.6%

24.9%

27.8%

31.4%

34.4%

47.1%

47.6%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

製品・商品・サービスの競争

力強化

事業や経営に必要な知識・

ノウハウの習得

自社の宣伝・PR

販路開拓・マーケティング

量的な労働力の確保

質の高い人材

資金調達

(出典)「中小企業白書2017」を元に、再編集。

ベンチャー企業を含む中小企業の経営上の課題

N=2636

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4.グローバル化に対応した競争環境の整備

37

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(4-1)BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)を踏まえた国内の制度整備に係る配慮①

38

過大支払利子税制について、BEPSプロジェクト(※)を踏まえた見直しを実施。その際には、借入による通常の事業活動に過度な影響が及ぶことがないよう、BEPSリスクが低い、受領者において課税対象となる支払利子(国内金融機関向けの利子等)を損金算入制限の対象外とする。

①対象とする利子 関連者純支払利子のみ(受領者において日本の課税に含まれる利子等は対象外)

第三者を含む純支払利子等ただし、利子等の受領者において日本の課税所得に含まれるもの(国内金融機関向けの利子等)を除く

純支払利子等の額が2000万円以下 国内企業グループ(持株割合50%超)の

合算純支払利子等の額が合算調整所得の20%以下

④適用除外基準 関連者純支払利子の額が1000万

円以下 関連者への支払い当の額が総支払

利子の額の50%以下

国内外の受取配当益金不算入額を加算しない

③基準値 50%

②調整所得 国内外の受取配当益金不算入額

を加算

20%

改正前 改正後

(法人税・所得税・個人住民税、法人住民税・事業税)その他

調整所得金額 損金算入限度額

損金算入

純支払利子等の額

その他

損金不算入

当期の課税所得金額

(税引前所得)

調整所得金額

×

20%

減価償却費 等

(国内外の受取配当益金不

算入額は含まれない)

受領者において日本の課

税所得に含まれる利子

等は除く

※一部の米国多国籍企業によるアグレッシブなタックスプランニングによる課税逃れが問題化したことを踏まえ、日本主導の下OECD+G20の枠組みにより、国際的な課税ルールを見直すべく「BEPS プロジェクト」が開始。2015年10月5日にOECD租税委員会から『BEPSプロジェクト最終報告書』が公表、同年11月のG20サミットにて報告された。

改正概要

改正イメージ 改正内容

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39

移転価格税制について、BEPSプロジェクトを踏まえ、一定の評価困難な無形資産取引において、独立企業間価格の事後的な調整措置を導入。適用にあたっては、企業が算定する予測収益等を用いた独立企業間価格が適切ではないと認められる場合等に限定する等、海外関連者との通常の無形資産取引に過度な影響が及ぶことがないよう配慮。

Y国

非関連者子会社親会社

X国(軽課税国)

日本

【無形資産】を譲渡

【取引価格1】

【無形資産】を利用した【製品】を販売

改正が想定する局面

【所得100】

②譲渡した無形資産を利用した製品が取引時点の予測とは大きく乖離する大きな利益を生み出したことが事後的に判明

国外関連者との評価困難な無形資産(予測収益等を用いて独立企業間価格を算定する等の要件を満たすもの)の取引

において、その予測と事後の結果が大きく乖離している場合には、納税者が取引時点で算定した独立企業間価格がその乖離

の原因を適切に勘案していないと認められるとき等に限り、税務当局が取引内容・結果及びその発生可能性や当事者が果た

す機能等を勘案して算定した独立企業間価格をもって調整することができる規定等を導入する。

①事前の予測では、譲渡する無形資産の価値を低く見積もり、子会社に廉価で無形資産を譲渡

改正概要

企業の事前の価格算定が適切でないと認められる場合等に限り、事後的に取引価格を修正

その他(4-1)BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)を踏まえた国内の制度整備に係る配慮②

(法人税・所得税・個人住民税・法人住民税・事業税)

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(4-2)外国子会社合算税制(CFC (Controlled Foreign Company)税制)の見直し

① 事業基準主たる事業が株式の保有、船舶・ 航空機リース等でないこと (一定の要件を満たす統括会社、航空機リース会社を除く)

② 実体基準

③ 管理支配基準

④ 所在地国基準(その他の業種)非関連者基準(卸売業など7業種)

すべて満たす

経済活動基準

いずれかを満たさない 租税負担割合

20%未満

ペーパーカンパニー/事実上のキャッシュボックス(※)

租税負担割合20%未満

※事実上のキャッシュボックス:収入の大半が配当、利子等の受動的所得で占められている会社

内国法人等が合計で50%超の

株式を保有する外国子会社

租税負担割合30%未満

会社単位の

合算課税

会社単位の租税負担割合判定

所得単位(※

)の

合算課税

会社単位の

租税負担割合判定

(※

)配当・利子等の受動的所得(少額免除あり)

その他

外国子会社合算税制について、米国等のビジネス実態を考慮し、現地で行われる実体のある事業を遂行するうえで欠くことのできない機能を果たす一定の外国関係会社を、ペーパー・カンパニーの範囲から除外する。

40

現行制度

(法人税・所得税・個人住民税・法人住民税・事業税)

国外でのビジネス実態等を考慮し、現地で行われる実体のある事業の遂行上欠くことのできない機能を果たす一定の外国関係会社(※)を、ペーパー・カンパニーの範囲から除外する。

※ペーパーカンパニーの範囲から除外される会社の類型・持株会社である一定の外国関係会社・資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社・不動産保有に係る一定の外国関係会社

※ その収入及び資産の大宗がこれらの業務に伴う一定のものである等の要件を満たすもの

改正概要

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(4-3)電気・ガス供給業に係る法人事業税の課税方式の変更(法人事業税) 継続検討

41

電気・ガス供給業は、法人事業税の課税標準として「収入金額」が適用されており、「一般の事業」とは異なる扱い。

平成31年度与党税制改正大綱に基づき、小売全面自由化され2020年に法的分離する電気供給業・ガス供給業の法人に対する課税の枠組みを見直すことについて、引き続き検討する。

現行制度 法人事業税の課税標準が収入金額とされ、一般の事業と課税方式が異なる。

(地域独占や料金規制・総括原価は撤廃され、既に収入金課税の根拠は失われており、公平性の観点から是正が必要。)

*昨年度、ガス供給業を営むガス中小法人のみ、一般の事業と同様の課税方式に見直し。

要望内容

①地域独占(垂直一貫体制)

→課税分を確実に消費者に転嫁可能。

②総括原価方式に基づく料金規制→確実な料金回収が見込める。

収入金課税の根拠(1949年~)

小売全面自由化(電気:2016年、ガス:2017年)

競争的な市場の整備競争環境の公平性がより重要に

【現行】収入金課税(税率約1.3%)

法人事業税収入割

約1.3%

※地方法人特別税を含む

付加価値割1.2%

資本割0.5%

法人事業税所得割

約3.6%

※地方法人特別税を含む

【改正後】一般の事業と同様に、所得課税+外形標準課税へ変更

税制改正

53所得基準 外形標準

①地域独占の撤廃→課税分の確実な消費者転嫁は不可能に。

②料金規制・総括原価の撤廃→経過措置を除き、自由な料金体系に。

①発送電分離の実施(2020年)

②経過措置の撤廃

段階的な自由化

更なる競争の進展

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(参考)平成31年度与党税制改正大綱

42

【第三 検討事項】(抜粋)

現在、電気供給業、ガス供給業及び保険業については、収入金額

による外形標準課税が行われている。今後、法人事業税における収

入金額課税全体としてのあり方を踏まえながら、小売全面自由化さ

れ2020年に法的分離する電気供給業及びガス供給業における新

規参入の状況とその見通し、行政サービスの受益に応じた負担の観

点、地方財政や個々の地方公共団体の税収に与える影響等を考慮

しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資

本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引

き続き検討する。

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(4-4)減耗控除制度の延長・認定要件の見直し(所得税・法人税・個人住民税・法人住民税・事業税)

石油・天然ガス、金属鉱物資源等の安定供給を確保するため、減耗控除制度を3年延長する。

また、海外の鉱山経営に係る議決権の50%以上を保有することによって実質的に鉱山経営を行い、我が国への資源確保に寄与する事業者を支援対象に追加する。

延長・拡充

改正概要

・海外探鉱準備金制度における国内鉱業者に準ずる法人等の認定要件のうち持分割合50%以上の要件等について、持分割合の判定を議決権割合(改正前:株数割合)とする。

・海外自主開発法人の認定要件のうち、採取鉱物の内国法人引取率を30%から40%に引き上げる。

A社(内国法人) B社 C社

鉱山保有会社

・40%出資・議決権比率60%

・20%出資・議決権比率0%

・40%出資・議決権比率40%

A社(内国法人) B社 C社

鉱山保有会社

改正前の制度(出資比率50%以上) 改正後の制度(議決権比率50%以上)

A社は出資比率50%未満のため、議決権比率の多寡に関わらず、海外探鉱準備金の積立が認められない

A社は議決権比率50%以上のため、海外探鉱準備金の積立が認められる

(注)今般の改正に関わらず、「国内鉱業者に準ずるもの」の認定を受けるためには、上記の持分割合50%以上に加え、鉱山保有会社への役員及び技術者の派遣が必要。また、準備金の積み立てに当たっては、採掘所得を算定する鉱山保有会社が「海外自主開発法人」の認定を受けることが必要。

・40%出資・議決権比率60%

・20%出資・議決権比率0%

・40%出資・議決権比率40%

【適用期限:平成33年度末まで(3年間)】

43

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(参考)減耗控除制度の概要

減耗控除制度は、採掘に伴い鉱物が減少・枯渇するという鉱業の特殊性に着目して、民間企業による継続的かつ安定的な探鉱活動を下支えし、持続的な鉱山経営を後押しすることにより、石油・天然ガス、金属鉱物資源等の安定供給確保を図るための制度。

鉱業を営む者が、採掘鉱物の販売収入又は採掘所得の一部を探鉱準備金として積み立て、実際に探鉱費用に充てた場合に、一定額の特別控除が認められる。

44

探鉱準備金の積立(損金算入)

5年以内の探鉱新しい鉱床の発見

坑内イメージ

鉱床

特別控除

探鉱実施

益金算入(課税)

5年経過

採掘とともに減少・枯渇(減耗)

継続的な生産活動の確保

鉱石の販売

販売収益の一部 製錬所等

資源開発税制全体の概念図

海外投資等損失準備金の積立(損金算入)

投資リスクの緩和

投資資金の一部

益金算入(課税)

5年経過※

探鉱・開発段階への投資

失敗時

資源開発企業等

※5年経過後、毎年1/5ずつ5年掛けて益金参入

【参考】海外投資等損失準備金制度

探鉱準備金又は海外探鉱準備金、新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除(減耗控除)制度

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(4-5)事業再編を円滑化するための組織再編税制における適格要件等の見直し①

組織再編税制における適格要件のうち、以下2つの組織再編について新たに適格組織再編の対象とするため、適格要件等の見直しを行う。

① 親会社が子会社を完全子会社化した後に行う逆さ合併

② 間接保有の完全親会社の株式を用いた組織再編

新設

45

【改正の概要】

現行では、株式会社が、株式交換等の組織再編により完全子会社化した後、当該完全子会社を存続法人とする逆さ合併

を行う場合には、完全子会社化を行うための組織再編は非適格とされていたところ、本税制改正により、逆さ合併を続けて行う

場合における完全子会社化のための組織再編についても適格組織再編の対象となる。

STEP2STEP1

• P1社がスクイーズアウトを実施し、一般株主は離脱。• P1社はS1社を完全子会社化

• S1社を存続会社とした会社合併(逆さ合併)となる場合にも適格組織再編の対象とする。

P1社

S1社

少数株主

P1社

S1社

【完全支配関係】

逆さ合併

詳細

スクイーズアウトの実施により、株主から離脱

① 親会社が子会社を完全子会社化した後に行う逆さ合併

(法人税・所得税・法人住民税・個人住民税・事業税)

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46

【改正の概要】

現状では、株式会社が、合併、株式交換、会社分割等の組織再編を行う場合において、親会社の株式を対価とする場合、

適格組織再編要件を満たすためには、直接完全支配関係にある親会社の株式に限定されているところ、本税制改正により、

間接保有の完全親会社の株式を組織再編の対価として交付する場合についても適格組織再編の対象となる。

② 間接保有の100%親会社の株式を用いた組織再編

(4-5)事業再編を円滑化するための組織再編税制における適格要件等の見直し② 新設

新S2社

P1社

一般株主 P2社

S1社

【完全支配関係】

S2社吸収合併

P1社株式

S3社

P2社

一般株主

P1社

S1社

【完全支配関係】

(間接保有の完全親会社の株式を用いて三角合併を行う事例)

詳細

再編前 再編後

• S2社がS3社を吸収合併する対価として、S2社株式を間接的に100%保有するP1社の株式をP2社に対して交付。

• S3社を吸収したS2社が存続会社として残り、一般株主に加え、P2社が新たにP1社の株主となる。

P1社株式

(法人税・所得税・法人住民税・個人住民税・事業税)

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(4-6)役員の業績連動給与に係る損金算入手続きの見直し(法人税・法人住民税・事業税) 制度整備

改正概要 【適用期間:平成31年4月1日以後に支給に係る決議をする給与について適用】

※平成32年3月31日までの間に支給に係る決議をする給与については現行の手続きによる損金算入可

平成30年6月の改訂後のコーポレートガバナンス・コード改訂では、監査役会設置会社や監査等委員会設置会社において報酬決定の手法としてより客観性・透明性の高い報酬諮問委員会の活用が原則化された。

コーポレートガバナンス改革の実質化を進めるため、報酬諮問委員会における審議を充実させ、各社が効果的に報酬諮問委員会の活用を進める観点から、報酬諮問委員会の構成の要件を独立社外役員を過半数とするなどの見直しを行う。

47

監査役会設置会社・

監査等委員会設置会社

指名委員会等設置会社

②報酬諮問委員会の諮問等を経た取締役会決議による決定※業務執行役員等が委員である場合は不可

①株主総会の決議による決定

報酬委員会による決定※業務執行役員等が委員である場合は不可

現 行 改 正 後

②独立社外役員が委員の過半数であることや委員の独立社外役員全員の賛成等に見直し※業務執行役員による委員就任可

独立社外役員が委員の過半数であることや委員の独立社外役員全員の賛成等に見直し※業務執行役員による委員就任可

見直し

見直し

①変更なし

③ー廃止

③監査役会設置会社における監査役の過半数の適正書面を得た上での取締役会決議による決定・監査等委員会設置会社において監査等委員である取締役の過半数が賛成をしている場合における取締役会の決議による決定

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48

(参考2)コーポレートガバナンス・コード改訂(2018年6月1日)

補充原則4-10①上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会を設置することにより、指名・報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきである。

改訂前は、「例えば、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の諮問委員会を設置することなど」と例示として示されていたが、改訂後は、指名委員会・報酬委員会の設置を原則化。

(参考1)報酬委員会を設置している企業の割合(全上場企業)

※法定・任意の双方を含む。(出典)東京証券取引所資料より、経済産業省作成

18.5%

22.3%

24.7%

17.0%

19.0%

21.0%

23.0%

25.0%

2016年 2017年 2018年

報酬委員会を設置している企業は3割にも満たない。

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(4-7)国税関係帳簿書類の保存の電子化に係る所要の整備(所得税・法人税・消費税その他の国税)

申告・納税等の税務手続の一層の電子化の推進等の観点から、企業等の事務負担軽減に資するよう、企業等の事務負担に直結する国税関係帳簿書類の保存の電子化について、以下のように見直す。

○ 電子帳簿等の保存に係る承認申請手続の簡素化

ソフトウェアの要件適合性の確認業務を行う公益社団法人の確認を受けたパッケージソフトウェアを利用する者が行う承認申

請書の提出手続の簡素化を行う。

また、受託開発されるシステム等については、電帳法上求められる要件の適合性を事前に国税当局に確認できる体制を構築す

る等の対応を行う。

改正概要

制度整備

○ 過去分の領収書等の重要書類のスキャナ保存の認容

スキャナ保存の承認を受けている者は、所轄税務署長への届出書の提出等一定の要件を満たした場合に、その承認以前に

作成又は受領した契約書・領収書等の重要書類について、スキャナ保存を行うことができることとする。

○ その他、解釈の柔軟化等

・ スキャナ保存の要件となっている「入力期間要件」の緩和(「原則3(7)日」 →「概ね3(7)営業日」等)

・ スキャナ保存の要件となっている「定期検査要件」の緩和(1年で全事業所を定期検査 →数年で全事業所を定期検査)

49

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(参考1)電子帳簿保存法の概要

文書保存の負担軽減を図る観点から、各税法で保存が義務付けられている帳簿書類(国税関係帳簿書類)は、税務署長の承認を受けた場合、一定の要件の下で、作成した電子データのまま保存したり、スキャナで読み取った電子データの形で保存することが可能。

電子帳簿保存法においては、承認申請を行うに当たり必要となる手続や、電子データ等で保存を行う上で求められる要件等について規定がなされている。

50

仕訳帳 総勘定元帳 補助元帳

損益計算書 契約書 請求書

領収書 決算書類

国税関係帳簿

国税関係書類

法人税法等で保存が義務付け

一定の要件の下、電子データのまま保存が可能に

自身でパソコンを使用して作成

取引先から収受(国税関係書類)

通常、紙媒体で保存が必要(例えば、法人税法上では、10年間の保存義務)

一定の要件の下、スキャナデータで保存が可能に

税務署長の承認を受けた場合・・・

「一定の要件」の例 訂正・削除を行った履歴の確認ができる 取引年月日や取引金額等で検索ができる 入力期間制限の遵守(スキャナ) タイムスタンプ付与(スキャナ) 一定水準以上の解像度で読み取る(スキャナ)

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(参考2)電子帳簿保存法の承認件数等

ビジネス環境改善の観点から、政府全体として行政手続きの電子化の徹底等への取組を進めているところであるが、スキャナ保存の承認件数は未だ約1,800件にとどまるなど、税務手続の電子化は道半ばであり、さらなる利便性の向上が期待されている。

電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況等

(出典) 国税庁 統計年報(平成29年度版)

<電子帳簿保存に関する事業者の声> 国税関係帳簿書類の保存を電子で行いた

いが、承認を受けるための事務負担が大きい

現状の規定に基づく要件を満たすためには、システム改修等が必要となる一方で、過去書類についてはスキャナ保存が認められないなど時間・金額の両面で多大なコストに見合うメリットがない

入力期限が事務処理上、厳しいことから、スキャナ保存を躊躇

帳簿書類の保存を電子で行うに当たり、運用面のコストが大きい

【経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告②(29.11.20 税制調査会) 抜粋】ICTは、生産性の高い経済社会を構築するとともに、国民の利便性や行政の効率性を高めるために重要なツー

ルであり、税務分野においてもその積極的な活用が必要である。具体的には、ICTの活用等を通じて納税者利便を更に高めながら、税務の情報が書面ではなくデータのまま活

用・円滑にやり取りできる姿を実現し、社会全体の効率化を図る観点から、税務手続を再度見直すことが必要である。

内 内 内 内 内 内

平成25年度6

2,12015

10,92918

12,88915

10,8452

2,037133

154,006

26 2 2,037 25 11,926 27 13,825 21 11,587 6 2,225 152 165,372

27 6 2,225 322 11,829 310 13,901 233 12,206 75 1,692 380 177,180

28 75 1,692 747 11,765 798 13,332 680 11,323 115 2,004 1,050 188,355

29115

2,004838

13,355937

15,188809

12,587127

2,5981,846

200,726

法人税・消費税

1121,839

7379,617

84011,350

7149,064

1262,284

1,465148,055

源泉所得税

1312

4183

4493

425-

2472

17,611

申告所得税・消

費税

2

37

99

1,723

94

1,699

92

1,651

1

47

309

21,407

間接諸税 - 1 - 2 - 3 - 3 - - - 332

酒 税 - 96 - 1,595 - 1,687 - 1,444 - 243 - 13,321

計 115 2,004 838 13,355 937 15,188 809 12,587 127 2,598 1,846 200,726

(注)1 内書は、スキャナ保存に係る件数である。

本年度未処理繰越件数

前年度未処理繰越件数

本年度要処理件数

本年度承認件数

区  分

本年度処理済件数

計本年度申請件数

年度末累計

承認件数

51

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(4-8)連結法人に係る異動届出書の簡素化等(法人税)

法人の納税地に移動があった場合については、①連結親法人の納税地の所轄税務署長及び➁連結子法人の異動前の本店等所在地の所轄税務署長に同内容の届出書を提出する必要があった。

この点、企業のコスト削減等を通じて円滑・適正な納税のための環境整備を図る観点から、以下のように見直し、更なる行政手続の簡素化を図る。

また、この他、連結子法人となる法人が、連結納税への加入時期の特例の適用を受けるための手続について、連結親法人又は連結親法人となる法人に一元化する。

連結親法人

連結子法人の異動前の所在地の所轄税務署

連結子法人の異動後の所在地の所轄税務署

30年度改正において措置

改正概要

連結子法人の異動前の所在地の所轄税務署 連結子法人

異動のあった連結子法人が、自身の異動前の所在地の所轄税務署に届出を提出。

31年度改正で連結子法人が届出主体となるよう見直し

連結親法人の納税地の所轄税務署長

制度整備

31年度改正で不要となるよう措置

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5.その他

53

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(5-1)エネルギー・資源・環境関連

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<拡充・制度整備>

原料用途免税の本則化 (揮発油税・地方揮発油税・石油石炭税)

電気事業者の分社化に伴い外部化するグループ会社間取引に係る法人事業税の控除 (事業税)

<延長>

低公害自動車に燃料を充てんするための設備に係る課税標準の特例措置の拡充及び延長 (固定資産税)

コージェネレーションに係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税)

電気供給業を行う法人の法人事業税の課税標準たる収入金額の算定に当たって、分社化に伴い、グループ会社となった電気事業者の間の取引に係る収入金額のうち、電気の安定供給の確保のためにやむを得ずグループ会社間で行わなければならない取引に係る収入金額を控除する措置について、5年間に限り講ずる。

原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

低公害自動車に燃料を充てんするための設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、所要の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。

コージェネレーション設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、所要の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。

既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除見直し(所得税)

省エネ断熱改修工事等を行った場合の所得控除額の算出方法について、最新の市場調査結果を踏まえてより適切な額が算出できるよう見直しを行う。

ガス供給業に係る法人事業税の課税標準たる収入金額の算定に当たって、ガスを供給するために必要な託送料金に相当する額を控除する措置について、その適用期限を3年延長する。

ガス供給業に係る託送料金を控除する収入割の特例措置の延長(事業税)

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(5-2)地域経済・中小企業支援関連

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<拡充・制度整備>

保険会社等の異常危険準備金の延長(法人税、法人住民税、事業税)

中小企業等の貸倒引当金の特例の廃止 (法人税、法人住民税、事業税)

有担保保証に係る中小企業者等の利用負担を軽減し、資金繰りの円滑化を図るため、信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の

税率の軽減措置について、その適用期限を2年延長する。

信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減の延長 (登録免許税)

火災等共済組合及び火災共済協同組合連合会が、今後の異常災害に対応できる財務基盤を確保するため、異常危険準備金の積立てに係る一定割合の損金算入を認める特例措置について、その適用期限を3年延長する。

特別貸付けに係る金銭消費貸借契約書における税制上の所要の整備(印紙税)

商工中金が激甚災害により被害を受けた者に対して行う国の制度によらない災害復旧資金の貸付けにおける金銭消費貸借契約書に係る印紙税については非課税とする。この改正は平成30年5月20日以後に発生した激甚災害に係る金銭消費貸借契約書について適用する。

<廃止>

貸倒引当金の割増特例は、適用期限の到来をもって廃止する。なお、平成35年3月31日までの間、現行の割増率10%に対して1年ごとに1/5ずつ減少した率による割増しを認める経過措置を講ずる。

新事業開拓事業者投資損失準備金の廃止 (法人税、法人住民税、事業税)

新事業開拓事業者投資損失準備金制度は、適用期限の到来をもって廃止する。

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(5-3)復興・防災関連

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<延長>

被災代替資産等に係る特例措置の延長 (法人税、所得税、法人住民税、固定資産税、自動車重量税、自動車取得税、

自動車税、軽自動車税)

避難解除区域等に係る特例措置の適用期間の延長等(法人税、所得税、個人住民税、法人住民税、事業税)

東日本大震災に起因して取得等した被災代替資産等に係る特例措置を2年延長する。

被災地域の復興を加速化するため、避難解除区域の一部における設備投資や雇用に係る税制優遇措置について、適用期間を、避難指示解除後7年間まで延長する。

防災・減災及び交通安全に資する道路の無電柱化の促進に係る課税標準の特例措置の拡充及び延長(固定資産税)

緊急輸送道路等における無電柱化のため、道路の地下に埋設するために新設した電線等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、要件を見直し・拡充した上で、その適用期限を3年延長する。

生産設備を含む事業用施設の耐震化の設備投資等を促進する国土強靱化税制(仮称)の創設

企業の生産力の強靱化を図るため、生産設備を含む事業用施設の耐震化の設備投資等を促進する税制の創設を検討する。

<検討事項>

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(5-4)その他

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<拡充・制度整備>

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成31年度新規補助事業を適用対象に追加する。

国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入、国庫補助金等の総収入金額不算入の拡充(所得税、法人税、個人住民税)

租税条約ネットワークの拡充

日本企業による取引や投資の実態、要望等を踏まえ、我が国の経済の活性化や我が国課税権の適切な確保に資するよう、租税条約ネットワークを迅速に拡充すべくその内容や交渉相手国の選定について具体的な検討を行う。

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度の適用に係る手続等の見直し(相続税、贈与税)

事業の継続・発展を通じた地域経済及び雇用の維持・活性化を図る観点から、中小企業経営者の事業承継をより一層後押しするため、非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度の適用に係る手続等について、所要の措置を講ずる。

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(5-4)その他

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<検討事項>

金融所得課税の一体化(所得税、個人住民税)

商品先物と上場株式等との損益通算を認める等、金融商品に対する個人からの投資環境を整備することで、市場機能を活性

化することによって、我が国企業の成長を支える産業金融システムを強化する。

<延長>

沖縄振興関連税制の延長(法人税、法人住民税、事業税、事業所税 等)

沖縄振興関連税制の延長を図る。

印紙税のあり方の検討 (印紙税)

近年の電子取引の増大等を踏まえ、印紙税の現代的意義を含め、そのあり方を抜本的に見直す。

事業所税のあり方の検討 (事業所税)

事業所税は、人口30万人以上の市において課税されており、法人事業税の外形標準課税と課税標準が重複しているなど、過剰な負担となっていることから、そのあり方を抜本的に見直す。

地方法人課税の見直し (法人住民税、事業税)

地方法人課税について、国・地方の法人税の改革において、住民税や固定資産税を含む地方税全体のあり方とその中での法人課税の位置づけを再検討することが必要とされたことを踏まえ、そのあり方を見直すことが必要。

税務手続等の電子化に関する制度及び運用に係る所要の整備 (法人住民税、事業税)

事業者の事務負担軽減等に資するよう、申告・納税等の税務手続について、一層の電子化の推進を図るべく所要の整備を行う。