5月3日代表演説
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代表演説
2015 年 5 月 3 日(日) 14:00~
東京国際フォーラム ホール A
皆さん、こんにちは。
新憲法を考える有識者会議つばめ組代表の鳥越 克也です。
本日、憲法記念日という日に、ここ東京国際フォーラムにこれだけ多くの方に
足を運んでいただきまして、心から感謝申し上げます。
これから、皆さんに私たちつばめ組が考える、日本が進むべき未来のあり方、
新しい憲法のかたちをお伝えしていきたいと思います。
唐突ですが、皆さんは"憲法"と聞いて、何を想像するでしょうか。
難しい法律? 国の最高法規?
私たちの生活には関係のない、どこか遠い存在のように考えていないでしょうか?
憲法とは、私たちの国の土台であり、日本を形作る最も根本にあるものです。
新しい日本の未来像を考える時、土台である憲法を見直すことは不可欠なのです。
私たちは、新たな日本の未来を考えるために活動しています。
その為に、憲法を、従来のような改憲論ではなく、
“第三の道”をコンセプトに、新たな視点で、考え直すことを目的としている団体です。
現在の日本は、多くの人が衣・食・住に困ることなく、生活することができています。
世界でも最もくらしやすい国の一つだと言えるでしょう。
しかしその反面、日本は、様々な問題を抱えている国でもあるのです。
まず第一に、このままでは日本は徐々に、しかし確実に国力が衰退していくということです。
日本の経済を支え、働き手となる若者の数が減少することによって、
経済的な伸びしろのない頭打ち市場になりつつあるのです。
第二に、民意と政治の距離が離れていることです。
日本の政治について関心を持っている人がどれだけいるでしょうか?
またどれだけの国民の声を政府は聞き入れてきたのでしょうか?
現憲法は国民主権を謳っています。
にも関わらず、国民の声の大多数が国の中央まで届いていないのです。
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そしたまた、私達国民のなかにも、自分が政治の主権者であるということを
忘れかけている人が多くいることも事実です。
皆さんが感じている政治への不信感は、国と国民との距離が、
離れてしまったことが、原因なのではないでしょうか?
国際社会においても問題はあります。
日本をとりまく他の国々の力関係は、戦後から大きく変化しました。
経済発展を遂げて影響力を増した国々が増え、国際社会は多極化しています。
安全保障、経済、エネルギー、環境など、今まで以上に複雑になる国際情勢の中で、
日本は明確な立ち位置を決められていない状況です。
日本はいま、国内外ともに、これからどんな形で存続していくのか、
国際社会でどう立ち回っていくのか、その岐路に立っているのです。
憲法が制定されてからの 70年は、国家の成長の縮図ともいえるほど、激動の 70年でした。
敗戦を機に現憲法が作成された時と現在とでは、
国内外ともに情勢が大きく変わったのです。
そんな中、私たちが暮らす日本のあり方は、今のままでいいのでしょうか?
現在の憲法は、この変化していく世界の情勢に対応できているのでしょうか?
現在の憲法は、日本が今の情勢に合った新しいあり方に適応するうえでの
手かせ足かせになってはいないでしょうか。
GDPや軍事力などだけで国の豊かさを測る事は、限界を迎えつつあります。
そういった既存の尺度でほかの国と張り合おうとするよりも、
もっと日本にしかない魅力を伸ばす、
オンリーワンの国としての在り方を模索するべきなのではないでしょうか。
もともと資源も少なく、これから労働力も減少していく日本では
国民の皆さん一人ひとりの力が非常に重要です。
限られた環境のなかでより良い国をつくっていくためには、
国民一人ひとりが政治の主役となって知恵を集結し、議論を重ね、
民意を政治に反映しやすくする仕組みが不可欠なのです。
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また、国際社会においても、日本にしかない立ち位置があるはずです。
それは単に軍事力をあげるような短絡的なものではないでしょう。
PKOなどはもちろん、文化、技術など、世界にアピールすべき日本独自の力は
まだまだ潜在していると思います。
そういった日本の魅力を守り、世界へ存分に発信していくことは、
すなわちソフトパワーの強化です。
そのソフトパワーを十分活用するためには、ハードパワーをあわせ持つことが必要です。
したがって、9条も時代にあった形に変えていくべきだと考えます。
今までの改憲の議論では、9条を変えることを、
戦争に結びつけてしまうことが多かったでしょう。
しかし、大事なことは、私達の改正案は決してそうではない、ということです。
戦争のない平和な世の中を望んでいるのは、言うまでもなく皆同じでしょう。
私たちの憲法 9 条の改正は、より良い日本のあり方をつくるうえでの一つの手段であり、
これまでのような、タカ派なのかハト派なのかという二項対立の考えではありません。
私たちは、タカでもハトでもない、つばめです。
これまでとは違う、新しい“第三の道”を進んでいくために憲法の改正を唱えるのです!
そこで、私たちが考える新しい日本の visionとは、“知恵を輸出する国”です。
みなさん、日本の知恵とはなんのことだとおもいますか。
資源の少ないこの国で、私たちは昔から知恵を絞り、豊かな環境を作ってきました。
水がなければ海水から飲める水を生み出し、災害が起きるたびに対策を練ってきました。
そして戦後から今日までの 70年間、日本は本当に多くのことを経験してきました。
敗戦、そして焼野原から始まった復興。日本人は強く生きようと、そこから立ち上がり、
目覚ましいスピードで復興してきました。
高度経済成長と、その影にあった公害問題。バブル景気の経済過熱と、
その後の長い不況。そして震災を始めとする多くの災害。
このような国のバックグラウンドや経験から、日本は多くの“知恵”を得ています。
日本が持っている世界の中でも独自の部分は、
この“知恵”という部分ではないでしょうか!
経済力でもなく軍事力でもない、日本独自の魅力というのは、
日本が歩んできた道のりで得た知恵という財産なのです!
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日本の最大の資源はこの知恵であり、
国際社会で独自の存在感を示すための重要な要素なのです。
日本を滅ぼすものは何でしょうか。戦争?災害?少子高齢化?
いいえ違います。日本を滅ぼすのは、
私たちが、日本の未来のために考え、議論し、知恵を絞るのをやめることです。
日本がより良く続いていくためには、
皆さん一人ひとりの意見を結集し、
民意と政治がもっと近くなるような統治の仕組みが必要です。
皆さん一人ひとりの力がもっと発揮できる環境が必要です。
みなさん一人ひとりが生み出した日本の知恵を、
もっと世界に輸出するための体制が必要なのです。
そしてその為の手かせ足かせは、私達国民自身の手で外さなければなりません。
新しい日本のあり方を模索する上で障壁になっている現在の日本の仕組み、
日本の憲法を、考え直すべき時が来たのです。
みなさん、目を開くのは今です。
「とりあえず現状維持」という選択で済んでいた時代はもう終わりました。
現実を見据えて、理想とする日本、新しい日本の姿を考えてみませんか。
日本にしかできない国のあり方を、私達つばめ組と一緒に探してみませんか。
日本の未来をつくるのは、私達国民一人ひとりの知恵なのです。
日本を新しい視点から考え、従来の道のあいだで立ち往生するのではなく、
私たちと一緒に新しい“第三の道”を歩んでいこうではありませんか!
そして、日本独自の知恵を世界に輸出するという、
日本にしかできない国のあり方を目指して行こうではありませんか!
以上でつばめ組代表のスピーチを終わります。ご清聴ありがとうございました。
つばめ組代表 鳥越克也