貧しいやもめの献金

多くの金持ちたちが多額の金を持参しては、それを見せ

つけながらささげた。

イエスは彼らを悲しげに見ておられたが、一人の貧しい

やもめ（未亡人）が、人に見られるのを恐れるかのように

おずおずと近寄ってくるのを見られたとき、イエスのお顔

は、たちまち明るくなった。

高慢な金持ちたちが、献金を箱に入れるために、風を

きって通り過ぎると、彼女はもう前へ進む気持ちもないか

のようにしりごみした。

それでも彼女は、自分の愛するみわざのために、どんな

に小さくても、何かをしたいと熱望した。

彼女は手に持っている献金を見た。

まわりの人たちの献金に比べれば、わずかなものであっ

たが、それは彼女の全財産であった。

機会を見て、彼女は急いで二枚の硬貨を投げ入れ、いそ

いで引き返そうとした。

しかしそうしている時に彼女はイエスの御目に留まり、

それは彼女の上にじっと注がれていた。

この時、イエスは弟子たちをみもとに呼んで、彼女を褒

められました。

「他の者はありあまる財産の中から投げ入れたが、あの

婦人はその乏しい中から、あらゆる持ち物、その生活費全

部を入れたからである」

自分の行為が理解され、認められたことを感じたとき、

彼女の目に涙が浮かんだ。

多くの者は、そんなわずかな収入は自分自身の用にとっ

ておきなさい、あの食物の満ち足りた祭司たちの手にささ

げても、庫に持ってこられる多くの高価なささげ物に混

じって見落とされてしまうと彼女に忠告しただろう。

しかしイエスは、彼女の動機を理解された。

彼女は宮の奉仕が神に定められたものであることを信じ

ていたので、それをささえるために全力をつくそうと願っ

た。彼

女は自分できることをした。

彼女の行為は、各時代を通じて彼女の思い出の記念とな

り、また永遠に渡って彼女の喜びとなるのであった。

彼女はささげ物と一緒に心をささげた。

そのささげ物の価値は貨幣の価値によってではなく、彼

女の行為の動機となった神への愛とそのみわざに対する関

心によって計られた。