お金のギモン!とビットコイン
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2014年11月27・28日の斉藤賢爾 研究会「お金のギモン!とビットコイン」でのスライドです。「週刊金曜日」に斉藤が連載している内容にもとづいて、生活に密着した疑問を通してビットコインをはじめとするデジタル通貨にできること・できないこと・やった方がよいことを考えます。TRANSCRIPT
イラストレーション/相川美菜子
お金のギモン!とビットコイン斉藤賢爾研究会 2014.11 (2)
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.1/33
かんたんな自己紹介斉藤賢爾 (さいとうけんじ)慶應義塾大学 SFC研究所上席所員 (訪問)一般社団法人アカデミーキャンプ代表理事http://twitter.com/ks91020 http://www.facebook.com/ks91media
経歴1993年、コーネル大学大学院より M.Eng取得(コンピュータサイエンス)
2006年、慶應義塾大学より博士号取得 (政策・メディア)
インターネットと社会に関する研究・教育に従事慶應義塾大学 SFC村井研究室所属主な研究テーマ : 「人間のデジタル通貨」の開発と実用化
福島のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」を実施
つながってるね!
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.2/33
かんたんな自己紹介斉藤賢爾 (さいとうけんじ)慶應義塾大学 SFC研究所上席所員 (訪問)一般社団法人アカデミーキャンプ代表理事http://twitter.com/ks91020 http://www.facebook.com/ks91media
経歴1993年、コーネル大学大学院より M.Eng取得(コンピュータサイエンス)
2006年、慶應義塾大学より博士号取得 (政策・メディア)
インターネットと社会に関する研究・教育に従事慶應義塾大学 SFC村井研究室所属主な研究テーマ : 「人間のデジタル通貨」の開発と実用化
福島のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」を実施→ つながってるね!
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.2/33
主な著書 (1)
「不思議の国の NEO—未来を変えたお金の話」ジャンル:“SFお金ファンタジー”
お金を根本から変えるデジタル通貨技術の存在それにより生まれるドラマ
英語版はフリーで公開http://grsj.jp/neo.pdf(CC-BY-SA 3.0)
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主な著書 (2)
「これでわかったビットコイン[生きのこる通貨の条件]」
ジャンル:“ステマ”
ビットコインについての本であるようでいて . . .
それと 180度違う概念をさりげなく打ち出す
読めるタイプのトロイの木馬この研究会も実は . . .
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この回の目的と手段生活に密着した疑問を通して、デジタル通貨にできること・できないことを考えていきます基本、今のままのデジタル通貨では解決されませんではどうすれば?という議論へ
週刊金曜日に連載中の「お金のギモン!」から疑問を取り上げます
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その前に . . .
ビットコインについておさらいビットコインシステムの全体像ビーカーモデル
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ビットコインシステムの全体像
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ビーカーモデル《予告編》2,100万 cm
3 の、人類にとって無価値な液体の使いかた東京ドームの約 1
60,000(4tトラックに積める)
水なら 21tくらい (4tトラックに積んでは駄目)
cm3 は ccとも呼ばれますが、BTCと置き換えれば
そのままビットコインの話になります
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ビーカーモデルの世界 (1)
2,100万 cm3 の、人類にとっ
て無価値な液体があるタンクに入っている
1億分の 1cm3 まで計量できる
ビーカーを各自がいくつでも持てる平均 10分おきに選ばれた人だけが、自分のビーカーに今なら 25cm
3 くみ出せる特殊なくじ引きで選ぶ当たりくじは、各自の箱の中にあり、それぞれが全力でくじを引きまくる
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ビーカーモデルの世界 (2)
ビーカーの間で比較的自由に液体のやり取りができる先の「選ばれた人」は、やり取りを「監査」し、台帳に記録を残す「追記人」でもある
やり取りのおこぼれももらえる
ときどき、ビーカーを割ってしまう人がいる
そんな仕組みをデジタルでつくり、通貨と見なしてみた→ ビットコイン
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「通貨と見なしてみた」貨幣・通貨に、見なしを必要としない「ホンモノ」は存在しない通貨 =通用している貨幣 or貨幣の流通面
すべての貨幣・通貨は、それを「貨幣・通貨と見なす」ことにより存在する例 : 日本銀行が発行する券を通貨と見なしてみた→ 日本円
したがって、すべての通貨は仮想的な存在なので、「仮想通貨」という言葉は、ある意味ナンセンス
日本円は別に「実通貨」ではない
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.11/33
日本円のビーカーモデル (1)
無尽蔵に湧き出る、人類にとって無価値な液体がある
大小ふたつの泉がある大きい方を「日本銀行」が仕切る小さい方を「政府」が仕切る
日本銀行は液体をビーカーに入れて政府や「銀行」に貸し出す
液体の量は増やして返さなければならない(ご参考 : 米国債務危機における「1 兆ドル」プラチナコイン案)
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.12/33
日本円のビーカーモデル (2)
人々はビーカーをやり取りしたり、銀行に預けることができる銀行は、実際に預かっているよりも多くの液体を所持していると見せかけても良い
必要に応じてたくさん貸し出す帳簿上で正しく操作できれば OK
もちろん増やして返してもらう
そんな仕組みを通貨と見なしてみた→ 日本円
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.13/33
お金のギモン!「週刊金曜日」連載から
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お金のギモン!私の給料はどうして安いのでしょうかお金がないと生きていけません!買い物しすぎて、来月、カードの支払いが大変です国の借金返済も無理ゲーですか?消費税って、日本の借金を返すためのものなんですか?富って何ですか?今さら物々交換の時代には戻れないですよね?こどもからせがまれているおもちゃが、高価で . . .
新しい経済ってなんですか?狩猟採集の時代に戻る?(仮)
社会の檻って何?(仮) . . . . . .お金って結局何?(仮)
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私の給料はどうして安いのでしょうか私の回答あなたがお金のために働いている限り、会社としての合理的な判断は、あなたに十分な給料を払わないことなのかも知れません
デジタル通貨では?労働のモデルとビットコイン (労働階級にウケる)労働の報酬としての BTC
「ビットコインシステム =自動経営企業」という見方
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.16/33
お金がないと生きていけません!私の回答私もお金がないと生きていけないかも知れませんそして、それってちょっと恥ずかしいことかも知れないと思っています
デジタル通貨では?商品の王様としての貨幣の性質
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買い物しすぎて、来月、カードの支払いが大変です
私の回答私たちは、戦う相手をどんどん強力にしていくという、言わば無理ゲーを強いられています
デジタル通貨では?貨幣は希少、という罠
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国の借金返済も無理ゲーですか?私の回答私たちの負債自体は、社会の約束事にすぎませんしかし、それは単にお金の上での問題ではなく、無軌道に借り入れ、お金を生み、それを使うことで壊されていく、自然環境やこどもたちの未来にまで及んでいます
デジタル通貨では?国がデジタル通貨を発行し支出するということリアル「国民の信を問う」
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消費税って、日本の借金を返すためのものなんですか?
私の回答富を適切に再分配するという名目で貧しい人をさらに鞭打つくらいなら、「お金の単純所持」に税金をかけたらどうでしょうか
デジタル通貨では?垣根を下げる/踏み台となるデジタル化の真骨頂を通貨でもぜひ発揮を
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富って何ですか?私の回答フラーは、富は「人数×未来の時間」だと言い、主要な要素は「資源・エネルギー」と「知識」に分類できると言います富を再分配するためのツールとしてのお金は、デザインし直す時期に来ていると思います
デジタル通貨では?富のアカウンティング
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.21/33
今さら物々交換の時代には戻れないですよね?私の回答「物々交換の時代」はなかったかも . . .
インターネットの登場により、人類は初めて、物々交換を可能にするテクノロジーを手に入れたのでは?
デジタル通貨では?バーター通貨例:「Airbnbクーポン」(あるけど)を想像してみてください
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.22/33
こどもからせがまれているおもちゃが、高価で. . .
私の回答企業の活動は、新しい製品を買い求める大人たちによって支えられていますそしてその大人たちは、おもちゃ商法を通して、こどもの頃から従順な消費者としての訓練を受けてきました
デジタル通貨では?プロシューマ化?むしろ「専門分化」をどうする?
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.23/33
大事なことなので補足40年以上にわたって「変身」とは何かを考え続けてきた「仮面ライダー」では、最近、主人公がこんな台詞を喋りました「人は変わることができる。俺みたいなやつでさえ違った自分になれたんだ。変身だよ。今の自分が許せないなら、新しい自分に変わればいい」
—葛葉紘汰
今の経済が許せないなら、新しい経済に変わればよいのでは?変身です
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.24/33
新しい経済ってなんですか?私の回答新しい経済は、古い経済と似ていると思いますでも、古くささは全然感じないと思います変化の本流は、社会が専門分化する以前の生き方が再登場することだと思います大まかに捉えて、新しい経済では、農耕社会の発展以降息づいている社会の仕組みが衰退し、狩猟採集社会の方法が復活してくると思います
デジタル通貨は何を時代遅れにするのか?
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.25/33
ご参考 : テトラッド (tetrad)
メディア (人工物/人間の拡張) についての、4つでひと組の問いかけそれは何を強化し、強調するのか?それは何を廃れさせ、何に取って代わるのか?それはかつて廃れてしまった何を回復するのか?それは極限まで押し進められたとき何を生みだし、何に転じるのか?
–マクルーハン「メディアの法則」
あらゆるメディアについて質問できる問いそのメディアが人と社会にもたらす副作用は何か
気づいていないことを気づかせるための道具
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.26/33
例: 自動車のテトラッド
人間の移動プライバシー
渋滞交通事故
強化 反転回復 衰退
移動する自由個人的な空間
馬と馬車と関連産業都市の居住空間
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.27/33
活字のテトラッド
均質で大量な複製固定された視点
デジタルメディア
強化 反転回復 衰退
ルネサンス 写本聴覚メディアとしての書物
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.28/33
貨幣のテトラッド
交換・消費貯蓄・投資
貧者・自然・未来からの 搾取破産New Economic Order
強化 反転回復 衰退
プライバシー人間関係からの自由
物々交換贈与経済
貨幣というメディアによるマッサージを受けている私たちお金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.29/33
狩猟採集の時代に戻る?(仮)
私の回答ゴリラの「イシュマエル」は、人類の文化を大まかに「奪う者」(農耕民)と「残す者」(狩猟・採集民)に分けて考えています(ちなみに狩猟採集社会でも「栽培」はしています /「全体主義的農耕」が問題)
私たちは「奪う者」の一員です「奪う者」の母なる文化は、繰り返し、私たちの耳元で「正しいひとつの生き方がある」とささやき続けます「お金という『量』に対する支配の拡大を狙え」と
母なる文化はデジタル通貨の作者に何をささやいたか
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.30/33
社会の檻って何?(仮)
私の回答人々に我慢できない生活を続けさせる唯一の方法がありますそれは「食べ物を鍵をかけてしまっておくこと」です
お金があると、それで食料などの安全保障を入手できるので、お金は富を得る手段だと言えますそれは私たちが檻の中にいることの証明です檻の外にいるなら、お金など使わずに、そこにあるものを採って食べればよいからです
野性の回復としてのデジタル化
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.31/33
お金って結局何?(仮)
私の回答何なんでしょう?
デジタル通貨はお金であることを超えられますか?
お金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.32/33
イラストレーション/相川美菜子
ご質問や議論をお金のギモン!とビットコイン— 2014-11-28 – p.33/33