情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

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Page 1: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

(サイバー刑法)

コンプレックスネットワークテクノロジー

@kimtea

荒浪一城

Page 2: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

自己紹介

• 荒浪一城(アラナミカズキ)– 本名よりも、@kimteaの方が有名

– http://d.hatena.ne.jp/kazuki-aranami/

• 静岡県島田市出身(静岡空港があるところ)

• 1983年11月生まれ

• コンプレックスネットワークテクノロジー– 個人事業主

– http://complex-network-technology.jp/

• マイブーム:法律(社会保険労務士、行政書士)

Page 3: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

アジェンダ

• なぜ法律なのか?

• サイバー関係の法整備の概要

• 条文

• イカタコウイルス

• いわゆるサイバー刑法に関するQ&A

• まとめ

Page 4: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

なぜ法律なのか?

• 日本のお役所は、申請主義!

– 何か権利があったとしても、自らそれを認識し、管轄行政の窓口へ書類を提出しなければ権利は持っていないも同然(例:年金)

– お役所は、その人の持つ権利についてわざわざ教えてくれない

– 権利を持っていることを自ら主張する必要がある

– 法律の知識がないと、自己防衛ができない

Page 5: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

サイバー関係の法整備の概要

• 刑法の一部改正– いわゆるコンピューター・ウイルスの作成・供用等の罪の新設• 作成・提供・供用:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

• 取得・保管:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

– わいせつ物頒布等の罪の処罰対象の拡充• わいせつな電磁的記録の電気通信の送信による頒布行為を処罰する。

• 不特定又は多数の者に対し、わいせつなデータを電子メールで送信する行為などを処罰するもの。

– 電子計算機損壊等業務妨害未遂の処罰

Page 6: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

サイバー関係の法整備の概要

• 刑事訴訟法の一部改正– 接続サーバー保管の自己作成データ等の差し押さえ導入

– 記録命令付差押えの新設

– 電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備

– 電磁的記録に係る記録媒体の差押えを受ける者等への協力要請の規定の整備

– 電磁的記録の没収に関する規定の整備– これらの差し押さえには裁判官の令状が必要

• 不正アクセス禁止法の一部改正

Page 7: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

七 不正指令電磁的記録作成等

• 1 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、イ又はロに掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百六十八条の二第一項関係)– イ 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動

作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録

– ロ イに掲げるもののほか、イの不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

• 2 正当な理由がないのに、1イに掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、1と同様とすること。(第百六十八条の二第二項関係)

• 3 2の未遂は、罰するものとすること。(第百六十八条の二第三項関係)

Page 8: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

八 不正指令電磁的記録取得等

• 正当な理由がないのに、七1の目的で、七1イ又はロに掲げる電磁的記録その他の記

録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百六十八条の二第二項関係)

Page 9: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

イカタコウイルス

• 通称「イカタコウイルス」と称されるコンピューター・ウイルスを作成し、器物損壊罪に問われた被告の裁判が2011年7月20日午前、東京地方裁判所であり、懲役2年6月の実刑判決(求刑懲役3年)を言い渡した。

• ハードディスクそのものは壊れていないが、電磁的記録は破壊されている。このウイルスによる電磁的記録の破壊が、「損壊」にあたるかどうかが争点となった

• 裁判所は「確かにハードディスクは壊れてないが、実際の物が壊れていなくても、物が本来の効用を成さなければ器物損壊罪が成立するという最高裁判例がある」と弁護側の主張をほぼすべて退けた。

Page 10: 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

いわゆるサイバー刑法に関するQ&A

• Q4 コンピューター・ウイルスの作成・提供罪が新設されると、ウイルス対策ソフトの開発などの正当な目的でウイルスを作成した場合や、ウイルスを発見した人がそれを研究機関に提供した場合、あるいは、プログラマーがバグを生じさせた場合まで処罰されることになりませんか。

• A 本罪の構成要件は、①正当な理由がないのに、②無断で他人のコンピューターにおいて実行させる目的で、コンピューター・ウイルスを作成、提供した場合であり、故意犯である。

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まとめ

• 法律は、知っていて損はしない。自己防衛につながり、逆に権利の主張にも使える

• サイバー関係の法整備により、故意犯を処罰対象とし、捜査をスムーズに行えるように電磁的記録の差押えに関する規定が色々と盛り込まれた。ただし、裁判官の令状が必要。

• 施行日 罰則整備に係る部分については、一部を除き,平成23年7月14日

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参考文献

• 法務省 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

– http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html

• 東京地裁で「イカタコウイルス」作成者に懲役2年6月の実刑判決

– http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20110720/1033085/