ガス事業の規制緩和

1

ガス事業の規制緩和

平成１３年２月９日大阪ガス（株）

2

本日の内容１．ガス体エネルギー事業の概要２．一般ガス事業制度改革の概要　　（１）一般ガス事業法の改正（９４）　　（２）一般ガス事業法の改正（９９）　　（３）今後の制度改革４．その他のエネルギー事業制度改革の概要（１）簡易ガス事業の制度改革　　（２）ＬＰガス事業の制度改革５．海外の状況（１）長距離パイプラインの整備状況　　（２）北米の状況　　（３）ＥＵの状況

3

１．ガス体事業の概要ｴﾈﾙｷﾞｰ

4

都市ガスLP ｶﾞｽ一般ｶﾞｽ簡易ｶﾞｽ

需要家数　　２ , ５０７

（万戸）

　　１８８

（万戸）

　　２ , ５００

（万戸）

事業者数　　　　２３８

( 社 )

　　　１ ,８００

( 社 )

　　２９ ,０００

( 社 )日本での供給面積

５％ --- 　 --- 　

規制事業、料金、

保安事業、料金、

保安販売

（保安中心）

日本ガス協会「ガス事業便覧（Ｈ１１）」、石油通信社版「Ｈ１１石油資料」電気事業連合会「電気事業便覧（ H １１）」

１．ガス体事業の概要ｴﾈﾙｷﾞｰ＜ガス体エネルギーの分類とその概要＞

（参考）電力

　　７ , ７７４

（万戸）　　１０　

( 社 )

９９％事業、料金、

保安

5

１．ガス体事業の概要ｴﾈﾙｷﾞｰ＜LNG基地と都市ガス事業＞

6

１．ガス体事業の概要ｴﾈﾙｷﾞｰ＜一般ガス事業の製造・供給プロセス＞

7

簡易なガス発生設備によりガスを発生させ、導管によりガス供給をする事業で、一つの団地内の供給地点数が７０以上のもの

１．ガス体事業の概要ｴﾈﾙｷﾞｰ＜簡易ガス事業の製造・供給プロセス＞

8

１．ガス体事業の概要ｴﾈﾙｷﾞｰ＜LPガス事業の供給プロセス＞

9

２．一般ガス事業制度改革の概要

10


参入規制料金規制公平・透明性向上

94 年改正・独占の一部排除（大口供給制度の創設）

・規制料金は

　　総括原価主義・大口は自由料金

・自主的な情報公開

99 年改正・の一部ﾈｯﾄﾜｰｸ　ｵｰﾌﾟﾝｱｸｾｽ化（接続供給制度の創設）

・独占の排除拡大（大口供給範囲の拡大）

・接続供給料金の

　　　原価主義規制

・規制料金の

総括原価主義緩和　　（料金届出制の創設）

・説明責任の明確化

・規制のﾙｰﾙ　　明確化・公表化

今後の課題・自由化範囲の　　　　　更なる拡大

・料金ｲﾝｾﾝﾃｨﾌﾞ・運用の厳格化ﾙｰﾙ

＜規制理念の推移＞

11


（１）一般ガス事業法の改正（９４）

12

（１）一般ガス事業法の改正（９４）＜基本理念＞

国内産業の空洞化対策の一環として、低廉な公共料金の

実現（内外価格差の縮小の実現）が求めれれた

参入規制の緩和経営の効率化の促進料金制度の透明性の向上と適切な情報公開


13

自由化３６．５％

（１）一般ガス事業法の改正（９４）＜参入規制の緩和（大口供給制度の創設）＞

価格競争力の有る大口需要家需要家（年間契約使用量２００万ｍ３超）に対する、参入規制、料金規制を撤廃し、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自由化する大口供給制度の影響

大手都市ガス３社（大阪、東京、東邦ｶﾞｽｶﾞｽ）の９８年時点データよりｶﾞｽ


14

（１）一般ガス事業法の改正（９４）

＜インセンティブ規制の導入（経営効率化の促進）＞

事業条件の類似性を勘案して事業者をグルーピングし、グループ内で設備費、経費などを比較し、原価査定に格差をつけることで擬似競争を促進する方法

ヤードスティック方式の導入


15

（１）一般ガス事業法の改正（９４）＜料金制度の透明性の向上と適切な情報公開＞

ガス事業者の取り組み


規制当局の取り組み

• 経営効率化目標の公表• 経営効率化目標の達成度の公表• 定期的評価の結果の公表

• （の）内容の公ﾔｰﾄﾞｽﾃｨｯｸｸﾞﾙｰﾋﾟﾝｸﾞ表

• 査定結果の公表

16


（２）一般ガス事業法の改正（９９）

17

（２）一般ガス事業法の改正（９９）＜基本理念＞

•より開かれたガス市場の構築（ガス市場整備）•お客さま利益の増進・ガス供給者選択機会の拡大と競争原理の導

入•ガス供給者の経営自主性の尊重•行政関与・規制の必要最小限化・重点化

料金制度の見直し　　（企業活力、インセンティブ）

大口供給範囲の拡大と接続供給制度の導入　　　　　　　　　　　　　　　　　（大口市場での競争促進）

行政関与・規制の必要最小限化・重点化　　　　　　　　　　　　　（事後監視・ルール遵守型規制）


18

（２）一般ガス事業法の改正（９９）＜料金制度の見直し＞

選択約款１

選択約款３

選択約款２

供給約款

・供給約款．．．値下げ時は届出　　　　　　　　　　値上げ時は認可・選択約款．．．全て届出

　　　総括原価主義の緩和・供給約款．．．全ての顧客に適用される供給　料金・供給条件・選択約款．．．事業者の効率的な事業運営に　役立つ供給料金・供給条件であり、需要家が　供給約款との間で選択可能なもの

「事前規制、行政裁量型規制」から、「事後規制、ルール遵守型の規制」への転換


・事業の自主性尊重・お客さまの選択肢の拡大・迅速な手続き規制料金

19

自由化４０．５％

（２）一般ガス事業法の改正（９９）＜大口供給範囲の拡大と接続供給制度導入＞

参入規制、料金規制を撤廃し、自由化する範囲を年間契約使用量１００万ｍ３まで拡大すると共に、接続供給約款の作成・公表を義務化

大口供給制度見直しの影響

大手都市ガス３社（大阪、東京、東邦ｶﾞｽｶﾞｽ）の９８年時点データよりｶﾞｽ

（← ３６．５％）


20

＜接続供給（導管の化）＞ﾈｯﾄﾜｰｸｵｰﾌﾟﾝｱｸｾｽ大口ガス事業者

（新規参入者）指定一般ガス事業者

製造所

大口需要

（ガスの払出）

（ガスの受入）

一般ガス事業者による接続供給

小口需要

（２）一般ガス事業法の改正（９９）


ネットワークのオープンアクセス化

指定一般辞業者：ｶﾞｽ

東京・大阪・東邦西部･ｶﾞｽ

21

・ガス工作物 ( ガス発生設備やホルダー、輸送導

管など ) の軽微な変更は、従来の認可制から届出

制へ移行

＜行政手続きの簡素化＞

２．一般ガス事業制度改革の概要（２）一般ガス事業法の改正（９９）　　　　

　　

・供給約款値下げ時は届出、値上げ時は認･･･可選択約款すべて届出･･･

監督者による改善命令の発動

監督者が不適当であると判断した場合

22


（３）今後の制度改革

23

＜改正ガス事業法施行３年後のフォーローアップ＞

（３）今後の制度改革２．一般ガス事業制度改革の概要

総合エネルギー調査会（通産相の諮問機関）　　　　都市熱エネルギー部会報告書（ 99 年 2月）

改正ガス事業法の施行（ 99 年 11月 ) 後概ね３年を目途に

　① 新制度による成果等のフォローアップ

　② ガス事業のみならずガス体エネルギー産業全体の

　　制度改革構造改革に向けた更なるアプローチ･　　にて、更なる制度改革を実施

24

（３）今後の制度改革２．一般ガス事業制度改革の概要

ガス事業者の果たしている公益　　・安定供給（エネルギーセキュリティー）　　・信頼性の高いサービス提供、高度の保安確保　　・供給責任 ( ・ﾕﾆﾊﾞｰｻﾙｻｰﾋﾞｽﾗｽﾄﾘｿﾞｰﾄ )

効率の向上　　・参入規制緩和（自由化・オープンアクセス範囲拡大）

　　・料金規制緩和（インセンティブ料金）

透明性の向上

＜制度改革の視点（消費者保護と競争導入政策の視点）＞

25

（３）今後の制度改革（参考）２．一般ガス事業制度改革の概要

ガス市場整備基本問題研究会　　　（資源エネルギー庁電力・ガス事業部長と　　　　　　　　　　　同庁資源・燃料部長の私的研究会）

○一次エネルギーにおける天然ガスの役割の増大

○ガス体エネルギーに関する新たな技術開発の進展

○エネルギー間の垣根の低下、競争の活性化

○国際的な議論の進展とグローバル・ビジネスの展開

○政府の役割の変化

ガス体エネルギーを巡る環境の変化

26


ガス市場整備基本問題研究会

○大口分野における小売自由化、接続供給制度により、ガスを巡ってさまざまな企業活動が徐々に活性化

○高コスト構造の是正していく一層の努力が不可欠

○現行のガス市場のフレームワーク（ 1954 年制定）は、時代の変化と新たなニーズに十分対応できていないのではないか

現行のガス規制の状況と評価

27



○制度の抜本的検討を行い、 21 世紀のガス市場の基盤となる新たな制度を構築

○具体的には　①中期的なフレームワークを白地で描く　②そこに至る制度改革のステップを検討する

○ガス・チェーン（ガス貯蔵・気化、パイプライン輸送、ガス卸、小売等）の各段階での規制の在り方を検討

今後のガス市場構造改革の進め方

28



○改正ガス事業法施行　 1999 年 11月

　　→ 「３年後」　 2002年 11月

○石油審議会天然ガス小委員会での議論2000年 9 月～2001年初頭

　　→ ・天然ガスの位置付け　　・天然ガス政策の基本的な方向

○今後の検討 2001年初頭～

検討のスケジュール

29

３．その他ガス事業制度改革の概要

（１）簡易ガス事業の制度改革

30

（１）簡易ガス事業の制度改革　　一般ガス事業法の改正（９９）

•より開かれたガス市場の構築•お客さま利益の増進・ガス供給者選択機会の拡大

と競争原理の導入•ガス供給者の経営自主性の尊重•行政関与・規制の必要最小限化・重点化

料金制度の見直し特定ガス大口供給制度の導入（交渉力のある業務用

需要家に対して自由交渉が可能に）簡易ガス事業者による一般ガス事業者の　供給区域内への参入許可基準の明確化


31


（２） LP ガス事業の制度改革

32

•消費者が販売事業者を選択できる環境の整備•自主保安の向上を促す規制体系の構築

販売事業許可の登録制消費者保安を実施する保安機関制度の確立消費者への情報開示内容の明確化高度な保安基準達成へのインセンティブ付与一般消費者へのバルク供給ステムの解禁

（２） LP ガス事業の制度改革　　液化石油法の改正（９６）


33

（参考）バルク供給システム

（２） LP ガス事業の制度改革３．その他ガス事業制度改革の概要

http://www.sanin-sanso.co.jp/c_j_bulk_photo.htm

34

•LP ガス事業者間での価格競争原理が働かないケースがある

•料金情報の消費者への提供が不十分•配管、ガス器具等の所有権が不明確である•LP ガス料金を公共料金と誤認識しているユーザーがいる

料金情報提供の徹底配管、ガス器具の所有権の明確化と事業者変更時の費用負担の明示

石油情報センターによる全国 LP ガス小売価格調査の実施及びその結果提供の実施

（２） LP ガス事業の制度改革　　ＬＰガス料金問題検討会の提言（ 00）


35

４．海外の状況

（１）長距離整備状況ﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝ

（１）長距離整備状況ﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝ　＜アメリカ＞


（１）長距離整備状況ﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝ　＜ヨーロッパ＞


４．海外の状況（１）長距離整備状況ﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝ　＜アジア＞

39


（２）北米の状況

＜米国天然ガス産業の規制緩和の流れ（連邦規制）＞

1930 ～　長距離の建設ﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝ

1938 天然ガス法：井戸元価格規制 →井戸元価格を低価格に抑制　　　　　 →生産意欲の低下、需要増加

1973　　　オイルショック→石油価格の高騰→ガスへのシフト

1976　　　異常寒波→ガス供給不足→工場学校が閉鎖･

1978　　　天然ガス政策法：井戸元価格の段階的撤廃 (～1989)

　　　 →井戸元価格上昇→生産意欲増大

４．海外の状況（２）北米の状

況

＜米国天然ガス産業の規制緩和の流れ（連邦規制）＞

1980 ～ 81　供給過剰（ガスバブル）発生 →生産地に低価格ガス出現

　　　　　　　ガスの市場価格の高止まりへの不満、州際 PL 開放圧力への高まり　　　　 →大口顧客が生産者から直接購入開始

1985　　　 FERC（連邦規制委員会）ｵｰﾀﾞｰ 436：州際ﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝの無差別開放義務付け

1992　　　 FERC ｵｰﾀﾞｰ 636：州際の輸送とﾊﾟｲﾌﾟﾗｲﾝ販売の分離（）ｱﾝﾊﾞﾝﾄﾞﾘﾝｸﾞ


況

　＜米国天然ガス産業の概要＞　

天然ガスの市場規模

年間生産量：5,405億m3

年間消費量（含発電用）： 6,170億m3 （日本 746 億m3 ）

顧客数：家庭用 5,500万件、商業用 460万件、産業用18万件

出典： BP統計 2000、 Gas Facts 1999

配給会社

（輸送）

パイプライン会社（輸送のみ：約 300 社）

生産者

( 約 5,000社）

小口需要家

大口需要家

LDC

（販売）

販売会社 ( 約 200 社～ 250社）


況

　＜米国天然ガス産業の概要＞　


況

　＜進行州の取組例（米国　ｼﾞｮｰｼﾞｱ州）＞1997. 3　　州議会　小売自由化法制化ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾑ 9 　州公益事業委員会（ PSC）自由化過程

　　　　　　　に関する規制発表1998. 7 PSC AGL （地元会社ｶﾞｽ Atlanta Gas Light）社のﾏｰｹﾃｨﾝｸﾞ

　　　　　　　子会社に対して AGL名称の使用不許可登録締め切り（ﾏｰｹｯﾀｰ 21社登録） 11 自由化開始ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾑ 12～ 1 AGL 社新料金請求に基づく顧客間の混乱、不信が顕著化1998. 8 を選択しない顧客への無作為割り当て開始ﾏｰｹｯﾀｰ 10 ３位のｼｪｱﾏｰｹｯﾀｰ Peachtree社破産申請（ Shell社が引継ぎ）2000. 7 　ﾏｰｹｯﾀｰ Titan社破産申請（ Energy America社が引継ぎ）


況

　＜進行州の取組例（米国　ｼﾞｮｰｼﾞｱ州）＞

生産者

小口需要家

大口需要家

パイプライン会社

（輸送のみ）

LDC

（輸送のみ）

販売会社（マーケター）


況

　＜進行州の取組例（米国　ｼﾞｮｰｼﾞｱ州）＞


況自由化の評価　メリット　　・価格低下　　・供給者選択の自由　　・新たな料金サービスの提供　　・顧客サービスの向上　　・創造的商品群の提供

　デメリット　　・の料金請求業務の遅れによる混乱ﾏｰｹｯﾀｰ　　・スラミング問題　　・州の規制強化

　＜ストランデッド　コスト＞


況・カナダ　ケベック州では、トランスコ　カナダＰ／Ｌ

自由化の時、テイクオアペイにより、１０億ドルのコストが発生

・このコストは配給料金に付加して全顧客が負担


況　＜この冬の価格高騰＞・米国政府見込によれば、今年の冬の暖房費は前年比 70％上昇すると見込み

・ CA州のみならず、全米でもタイトな供給で強い需要、そして数年ぶりの寒い冬がそれに拍車をかけている

・暖房用の燃料を主に天然ガスに依存している中東部の顧客は、今冬暖房費に平均 927 ドルを支払う見込み（去年は平均 540 ドル）

・ EIA によると、今日全米の暖房市場の 55％は天然ガス


況　＜この冬の価格高騰＞

ＣＡでの事例（試算ベース）　・ Southern California Gas Company から 160 ｻｰﾑ

（約 440 ｍ３）のガスを家庭で購入した場合の支払い額（税抜き）

　・ 1999 年 1月　＄１０８　　　→ 2000 年 1月＄１７０（約６０％上昇）　

50


（３）ＥＵの状況

＜ＥＵガス指令＞　　ガス指令は 1988年 6月 22日に承認され、パイプラ

イン保有者にパイプラインへのアクセス（ＴＰＡ）を可能にするよう法整備とルール化を義務づけた。

４．海外の状況（３）ＥＵの状

況

・ 2000年 8月 10日までに、同一敷地内で年間2,500万 m3消費する需要家とガス焚き発電設備を対象とし、国内市場の 20%以上を開放する。

・ 2003年までに、その対象を 1,500万 m3 に引き下げ、市場の 28%以上を開放する。

・ 2008年までに、 500万 m3 以上を対象にし、市場の 33%以上を開放する。

＜ＥＵガス指令＞


況・加盟国は国内法を整備することを、義務づけられている・加盟国が競争を導入・規制する方法については規定してい

ない・加盟国は、「規制型ＴＰＡ」または「交渉型ＴＰＡ」を選択する

・特定の状況の下では、開放アクセス要件の適用を免れる ◆ 75%を上回るガス供給を外部からの単一供給元に依存している場合 ◆ 容量不足やアクセスを受け入れることで「公共サービス義務」が実施できなくなる場合

◆ テイクオアペイ契約を受け入れたために厳しい財政難に陥っている場合

・内部補助や需要家グループ間の差別を防ぐため、会計の分離を義務づけている。

2000

2002

2004

2006

2008

ＥＵ指令、フランスデンマークベルギーオランダ

スペインドイツ

イギリス0

20

40

60

80

100

年

小売自由化割合(%)

ＥＵガス市場開放度ＥＵ指令、フランスデンマーク

ベルギー

オランダ

スペイン

ドイツ

イギリス

＜ＥＵガス指令＞


況

市場開放国内法制定輸送部門分離 TPA制度互恵条項

ガス指令最低 20％

2000.8.10まで会計規制、交渉、混合可能性

オーストリア 49% 2000年 7月可決会計規制有りベルギー 47% 1999 年 4 月可決会計交渉有りデンマーク 30% 2000年 5月可決会計混合有りフィンランド 90% 2000年 5月可決会計混合無しフランス 20% 早くて 2000年末会計混合無しドイツ 100% 早くて 2000年末会計交渉有りアイルランド 75% 1995年可決会計規制無しイタリア 96% 2000年 5月可決法定分離規制有り

ルクセンブルク

51% 早くて 2000年 10月

会計規制有りオランダ 45% 2000年 7月可決会計混合有りスペイン 67% 1998年可決法定分離規制有り

スウェーデン 47% 2000年 7月可決会計規制有り英国 100% 1998年可決所有権規制無し

EU 78%


況＜ガス市場開放進捗状況（ 2000.8 ）＞

＜英国天然ガス産業の規制緩和の流れ＞

1948 年以前：市営・私営のガス会社が全国に約 1000 社

1948 年　　：中央ガス局の下に 12の地域ガス局 (Gas Board)

1960 年代：英国領北海で天然ガス発見。以後、ガス事業　　　　　　が飛躍的に拡大

1972 年　　：国営ﾌﾞﾘﾃｨｼｭｶﾞｽ (British Gas Corporation) 設立

　　　　　　規制機関ｶﾞｽ Ofgas(Office of Gas Supply) を設置

1986 年　　：の民営化、独立販売会社の誕生ﾌﾞﾘﾃｨｼｭｶﾞｽｶﾞｽ


況

＜英国天然ガス産業の規制緩和の流れ＞1995 年　　：｢ 95 年法でｶﾞｽ｣ BG の販売と輸送の完全分離を成文化

　　　　　　輸送事業、供給事業、ｶﾞｽﾗｲｾﾝｽｶﾞｽﾗｲｾﾝｽ導管使用 ( ｼｯﾊﾟｰﾗｲｾﾝｽ ) を義務付け

1996 年　　：家庭用市場自由化開始

1997 年　：、輸送会社ﾌﾞﾘﾃｨｼｭｶﾞｽｶﾞｽ BGplc と販売会社ｶﾞｽ　　　　　　 Centrica の 2社に分割 (demerger)

1998 年　　：全市場の自由化完了ｶﾞｽ


況

天然ガスの市場規模

年間生産量： 897 億m3

年間消費量（含発電用）： 916 億m3 （日本 746 億m3）

顧客数：家庭用 1,880万件、業務用 54 万件

生産会社

(約 30 社）

販売会社

(約 60 社）需要家

→ 輸送会社（ Transco 他）による託送 →

出典： BP統計 2000


＜英国天然ガス産業の概要＞（３）ＥＵの状

況

ガス事業の規制緩和

Documents