レジデントのための気管支喘息のキホン

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梶原 浩太郎 2016.3 レジデントのための 気管支喘息のキホン

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Page 1: レジデントのための気管支喘息のキホン

梶原 浩太郎

2016.3

レジデントのための

気管支喘息のキホン

Page 2: レジデントのための気管支喘息のキホン

アレルギー専門施設

非専門科

喘息予防・管理ガイドラインは,

かなり詳しく分厚いガイドライン

呼吸器内科

ガイドラインと医療水準

Page 3: レジデントのための気管支喘息のキホン

ゼイゼイ

しているけど

喘息だろうか?

ヒュー ヒュー

Page 4: レジデントのための気管支喘息のキホン

(本当に喘息かは分からないけど)

喘息の気がありますね

(喘息なんだ・・・!)

Page 5: レジデントのための気管支喘息のキホン

誰かが喘息と

言ったら喘息?

あながち間違いではないのが困る

Page 6: レジデントのための気管支喘息のキホン

成人喘息での診断の目安 1. 発作性の呼吸困難,喘鳴,咳(夜間,早朝に出現しやす

い)の反復

2. 可逆性気流制限:β2刺激薬吸入により1秒量が12%以上増

加かつ絶対量で200 mL以上増加

3. 気道過敏性の亢進:アセチルコリン,ヒスタミン,メサ

コリンによる気道収縮反応の亢進

4. アトピー素因:環境アレルゲンに対する特異的IgE抗体

5. 気道炎症の存在:喀痰中の好酸球数の増加,ECP高値,

クレオラ体,呼気NO上昇

6. 他疾患の除外

Page 7: レジデントのための気管支喘息のキホン

典型例の診断は 比較的容易

ただし診断基準がない

borderlineは意見が割れる

Page 8: レジデントのための気管支喘息のキホン

過大に診断

喘息で禁忌の薬剤が使えなくなる

過小に診断

気管のリモデリングが進む

適切な診断のバランスを

Page 9: レジデントのための気管支喘息のキホン

喘息疑いが初診に来たら

• 問診

• 採血,IgE,IgE RAST

• 胸部XP

• 呼気NO

• 喀痰好酸球

⇒ 出ないとき,生食吸入 ⇒ 10%NaClシリンジ吸入

• 気道可逆性試験

⇒ XPで肺炎像がないことを確認してから

ここまでは

総合外来でもやっておきたい

ここからは呼吸器科任せ

でも良いのでは

Page 10: レジデントのための気管支喘息のキホン

まず問診

Page 11: レジデントのための気管支喘息のキホン

喘息らしい?

増悪因子は?

誰に言われた?

アスピリン喘息?

Page 12: レジデントのための気管支喘息のキホン

以前の記録を見ても

風邪薬・鎮痛薬・湿布が

大丈夫か不明・・・

分からなければ

アスピリン喘息と考える

Page 13: レジデントのための気管支喘息のキホン

アスピリン喘息

• アスピリンやNSAIDsの内服,注射,外用薬の

使用で喘息発作を起こす.

• コハク酸エステル(ソルメドロール,ソルコー

テフ,水様性プレドニン)急速静注で喘息を増

悪させやすい.

• 30~40歳代に多い.

• 慢性鼻炎,慢性副鼻腔炎,嗅覚低下,鼻茸を合

併しやすい.

• ミント,歯磨き,カレーなどで咳が出やすい.

Page 14: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 成人喘息の10%.

• 非アトピー型の難治性喘息

アトピー型

(IgE依存型)

非アトピー型

(IgE非依存型)

• 小児に多い

• 環境アレルゲンへの特異的

IgE抗体陽性

• メディエーター遊離抑制薬や

H1受容体拮抗薬が有効.

• 成人に多い

アスピリン喘息

Page 15: レジデントのための気管支喘息のキホン

アスピリン喘息

OK NG

• リン酸エステル(リンデロ

ン)を点滴

• 経口PSL

• カロナール,ソランタール,

COX-2選択的阻害薬※

• コハク酸エステル(ソル

メドロール,ソルコーテ

フ,水様性プレドニン)

を1~2時間以上かけて

点滴

• アスピリン・NSAIDs内服,

注射,外用

※ アセトアミノフェン,塩基性NSAIDs,COX2阻害薬は添付文書で禁忌でも,ガイドラインでは使用可能.

Page 16: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 感度の高い順に,

皮内テスト

>プリックテスト

>CAP-RAST

>RAST

• 鳥居薬品の試薬を用いたプリックテストが

標準的だが,RASTは代替手段として有用.

アレルゲン検査

Page 17: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 陰性でも喘息は否定できない

• 喘息で,陽性ならアトピー型が疑わしい

• アレルギー体質を持っている

• 今,アレルギーが出ているかは分からない

• 抗原を避ける目安になる

IgE RAST陽性の意味すること

Page 18: レジデントのための気管支喘息のキホン

アレルゲン

室内アレルゲン

ハウスダスト,ダニ,ゴキブリ

動物(ネコ,イヌ,ハムスターなど)

真菌(ペニシリウム,アスペルギルス,アルテルナリア,

カンジダ,クラドスポリウム)

屋外アレルゲン

春 ハンノキ,スギ,ヒノキ、イチョウ,シラカンバ

晩春~夏 カモガヤ,ハルガヤ,イネ,オオアワガエリ

秋 ブタクサ,ヨモギ,カナムグラ

Page 19: レジデントのための気管支喘息のキホン

呼吸機能検査の前に

胸部XPで感染症をスクリーニング

Page 20: レジデントのための気管支喘息のキホン

呼気NO(FeNO)

• 喘息患者の呼気NO濃度は,健常人やCOPD患者

より有意に多い.

• 気道過敏性,呼吸機能の改善と相関

22-37 ppb 喘息の可能性あり

>37 ppb 喘息濃厚

(企業ホームページより画像引用)

Page 21: レジデントのための気管支喘息のキホン

気道可逆性試験

① 1~2日前より喘息の治療薬を中断

② 呼吸機能検査

③ メプチン0.3~0.6 ml吸入

④ 15~30分後に2回目の呼吸機能検査

⑤ 1秒量が200 ml以上かつ12%改善すれば

陽性

Page 22: レジデントのための気管支喘息のキホン

誘発喀痰

生食2ml+メプチン0.3mlをネブライザーで吸入

3~10%高張食塩水(10%Naclシリンジ)でも良い

(企業ホームページより画像引用)

Page 23: レジデントのための気管支喘息のキホン

治療

開始

Page 24: レジデントのための気管支喘息のキホン

気管支喘息の吸入薬

吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid:ICS)

発作の予防.治療の主体.

長時間作用性吸入β2刺激薬(Long Acting β2 Agonist:LABA)

安定期の気管支拡張.ICS/LABA合剤でさらに肺機能改善.

短時間作用性吸入β2刺激薬(Short Acting β2 Agonist:SABA)

発作時の気管支拡張.

長時間作用性抗コリン薬(Long Acting Muscarinic Antagonist:LAMA)

安定期の気管支拡張

短時間作用性抗コリン薬(Short Acting Muscarinic Antagonist:SAMA)

発作時の気管支拡張(エビデンスはSABA >> SAMA)

※ シムビコートはSABAの代わりに使うことも可能(SMART療法)

Page 25: レジデントのための気管支喘息のキホン

通常 SMART療法

定期

発作時

SMART療法 (Symbicort Maintenance and Reliever

Therapy)

• シムビコートを定期+発作時に屯用

• シムビコートのSABA(ホルモテロール)の作用時間は

1~5分

• エビデンスはあるが,薬価が高い

(製薬会社ホームページより画像引用)

Page 26: レジデントのための気管支喘息のキホン

吸入薬以外の治療

モノクローナル抗体

抗IgE抗体

商品名 ゾレア

対象 通年性アレルゲンに感作されていて血清 IgE 30 IU/ml~

1500 IU/ml.高容量のICSとLABAを併用してもコントロールが

不十分な場合

[副作用] 注射局所の疼痛,腫脹,アナフィラキシー

相互作用が多く血中濃度上昇に注意

Page 27: レジデントのための気管支喘息のキホン

吸入薬以外の治療

テオフィリン

[商品名]

テオドール,テオロング,ユニフィル,ネオフィリン,ネオ

フィリン(アミノフィリン)

[薬理]

気管支平滑筋弛緩,抗炎症作用

[副作用]

至適血中濃度は 5~15 μg/ml. 過量で頭痛,痙攣,動悸,嘔気,

下痢が出るため,投与量調節が必要.

相互作用が多く血中濃度上昇に注意

Page 28: レジデントのための気管支喘息のキホン

吸入薬以外の治療

抗アレルギー薬

商品名 ポララミン,アタラックスP

対象 (副作用が強くあまり使わない)

副作用 抗コリン作用,肝障害,眠気が出やすく運転しないよう説明する.

商品名 ザイザル,アレジオン,アレグラ,クラリチン

対象 軽症の気管支喘息安定期.特にアレルギー性鼻炎やアトピーを伴う場

合.くしゃみ・鼻漏型通年性アレルギー性鼻炎,花粉症.

効くまで2週間.

副作用 肝障害,眠気があり運転しないよう説明する.アレグラとクラリチン

は添付文書に運転注意の記載がない.

第1世代抗ヒスタミン薬

第2世代抗ヒスタミン薬

Page 29: レジデントのための気管支喘息のキホン

吸入薬以外の治療

抗アレルギー薬

商品名 インタール

対象 軽症の気管支喘息安定期.くしゃみ・鼻漏型通年性アレルギー性鼻炎,

軽症の花粉症.効くまで1~2週間.

副作用 胃腸障害や肝障害だが副作用は少ない

商品名 バイナス

対象 軽症の気管支喘息安定期,鼻閉型通年性アレルギー性鼻炎.鼻閉型

花粉症.効くまで1~2週.鼻閉へは第2世代抗ヒスタミン薬よりも優

れる.

副作用 出血傾向,肝炎,腹痛

プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2阻害薬

メディエーター遊離抑制薬

Page 30: レジデントのための気管支喘息のキホン

吸入薬以外の治療

抗アレルギー薬

商品名 オノン,キプレス,シングレア

対象 気管支拡張作用と気道炎症抑制作用

全ての気管支喘息安定期.特にアレルギー性鼻炎合併,運動誘発喘息

やアスピリン喘息に有効.

鼻閉型通年性アレルギー性鼻炎,鼻閉型花粉症.

効くまで1週間.

副作用 肝障害

商品名 アイピーディ

対象 中等症の気管支喘息安定期.鼻閉型通年性アレルギー性鼻炎,軽症

の花粉症.

副作用 消化器症状,肝障害

Th2サイトカイン阻害薬

ロイコトリエン拮抗薬

Page 31: レジデントのための気管支喘息のキホン

吸入薬以外の治療

抗IgE抗体

商品名 ゾレア

対象 通年性アレルゲンに感作されていて血清 IgE 30 IU/ml~1500

IU/ml.高容量のICSとLABAを併用してもコントロールが不十分な

場合.

副作用 注射局所の疼痛,腫脹,アナフィラキシー

非常に高価であり,医療費負担と費用対効果に注意

Page 32: レジデントのための気管支喘息のキホン

喘息ガイドラインに載っていない

喘息治療

メポリズマブ 抗IL-5モノクローナル抗体

免疫変調療法 ヒスタミン加免疫グロブリン(ヒスタグロビン),ワクシニアウイルス

接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン),金製剤(シオゾール)

減感作療法

気管支サーモプラスティ(BT:Bronchial

Thermoplasty)

Page 33: レジデントのための気管支喘息のキホン

未治療患者の治療ステップ

推奨される

治療 治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4

重症度 軽症間欠型 軽症持続型 中等症持続型 重症持続型

症状

週1回未満 症状が軽度で短い 夜間症状は月に2回未満

週1回以上だが毎日ではない

月1回以上日常生活や睡眠が妨げられる

夜間症状は月2

回以上

毎日

週1回以上日常生活や睡眠が妨げられる

しばしば増悪

夜間症状が週1

回以上

毎日

日常生活に制限

しばしば増悪 夜間症状がしばしば

PEF

FEV1

%FEV1,

%PEF 80%~ 80%~ 60%~80% ~60%

変動 20%未満 20~30% 30%~ 30%~

(日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン2015. 恒陽社; 2015:6.より作成)

症状を元に治療ステップを決める

Page 34: レジデントのための気管支喘息のキホン

大雑把な

未治療患者の治療ステップ

治療ステップ1 低用量のICSかLTRA.

できればICS.

治療ステップ

2・3

ICSを増量し,LTRA,LABA,テオフィリンを追加して

いく.

コンプライアンスと効果からICS/LABA合剤が良い.

治療ステップ4 高用量のICSでもコントロールできないと,高価な抗

IgE抗体や,副作用の多い経口ステロイドを使わざるを

得なくなってくる.

アトピー素因

あり

治療ステップにかかわらず抗アレルギー薬を併用.

Page 35: レジデントのための気管支喘息のキホン

治療ステップ 治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4

基本治療 ICS

(低用量)

ICS

(低~中用量)

ICS

(中~高用量)

ICS/LABA

(高用量)

ICSが使えない

場合に以下のい

ずれか

LTRA

テオフィリン

(症状が稀なら

必要なし)

ICSで不十分な

場合に以下のい

ずれか1剤を併

LABA(配合剤

の使用可)

LTRA

テオフィリン

ICSに以下のいず

れか1剤あるいは

複数を併用

LABA(配合剤の

使用可)

LTRA

テオフィリン

LAMA

ICSに以下の複

数を併用

LABA(配合剤の

使用可)

LTRA

テオフィリン

LAMA

抗IgE抗体

経口ステロイド

追加治療 抗アレルギー薬 抗アレルギー薬 抗アレルギー薬 抗アレルギー薬

発作治療 SABA SABA

SMART療法

SABA

SMART療法

SABA

(日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン. 恒陽社; 2015: 140.より作成)

Page 36: レジデントのための気管支喘息のキホン

現在の医療の限界

喘息は根治できない

誰でも簡単に使える吸入デバイスがない

毎日,吸入薬を使うことは大変

患者指導でカバーする

Page 37: レジデントのための気管支喘息のキホン

極端に言うと

吸入ステロイドは

吸えたらどれでも良い

臨床試験で差がある?

臨床的に有意な差がどれだけあるの? 利益相反どれだけあるの?

Page 38: レジデントのための気管支喘息のキホン

ただし

使えないモノは選んではいけない

問題 対策

pMDI タイミングが合わない(高齢者,認知症)

スペーサー

スペーサーでも吸入手技ができない

DPI、またはパルミコート懸濁液

握力不足(高齢女性,リウマチ患者)

補助具、またはDPI、またはパルミコート懸濁液

オルベスコ、キュバール

アルコール過敏・臭い DPI、またはアドエアエアー

DPI

口腔カンジダ・嗄声 pMDI(特にオルベスコ)

吸気速度不足(高齢者,認知症)

吸入指導、または pMDI、またはパルミコート懸濁液

操作できない(高齢者,認知症)

吸入指導、またはアズマネックス、またはpMDI、またはパルミコート懸濁液

Page 39: レジデントのための気管支喘息のキホン

「吸えたらどれでも良い」から

「患者さんに合った1本を選ぶ」への STEP UP

詳しくは別の機会に

Page 40: レジデントのための気管支喘息のキホン

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

発作が起きていないときでも,

気道に炎症がある

なので・・・

• 毎日吸入ステロイドが必要

• 治療不足だとリモデリングが起こる

(アストラゼネカ資料より引用)

Page 41: レジデントのための気管支喘息のキホン

シムビコート・フルティフォームを除いて

• 発作を起こさないように毎日使う吸入

ステロイド

• 発作時に気管支を拡げる気管支拡張剤

両方の使い分けが必要

(アストラゼネカ資料より引用)

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

Page 42: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 途中で喘息治療を中断すると

小児の4割、成人の9割は再燃する

• ガイドラインでは3ヶ月ごとに治療薬を漸減していく.

• 年単位で治療が必要.

(アストラゼネカ資料より引用)

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

Page 43: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 自覚症状がなくても,喘息による気道

狭窄が出ていることがある

• 症状が乏しい,気道狭窄に慣れてしまっている場合などは,

自己ピークフローモニタリングがお勧め

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

(アストラゼネカHPより引用)

Page 44: レジデントのための気管支喘息のキホン

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

(当院で作成し,無償配布している喘息日誌)

Page 45: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 発作時に,自分で発作を抑えられるよ

う,アクションプランを理解しておく

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

Page 46: レジデントのための気管支喘息のキホン

• 環境整備で喘息が改善することがある

• アレルギーで困っている人を標的にする商法があ

る.独立行政法人 環境保全機構など信頼できる情

報を.

患者教育

患者さんが知っておくと良いコト

(独立行政法人 環境保全機構 パンフレットより引用)

Page 47: レジデントのための気管支喘息のキホン

治療の

ゴールラインは?

Page 48: レジデントのための気管支喘息のキホン

喘息治療の目標

1.健常人と変わらない日常生活を送ることができる

2.非可逆的な気道リモデリングへの進展を防ぎ,正常に

近い呼吸機能を保つ

PEFが予測値の80%以上かつPEFの変動が予測値の

20%未満

3.夜間・早朝を含めた喘息発作の予防

4.喘息死の回避

5.治療薬による副作用発現の回避

(日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン. 恒陽社; 2015: 2より)

Page 49: レジデントのための気管支喘息のキホン

喘息治療の目標

• 治癒 が目標ではない 減感作療法や環境整備などでも,喘息治療薬

なしで気道炎症ゼロにすることは難しい

• 治療薬を使ってでも,健常な人と

同じ生活を目指す

Page 50: レジデントのための気管支喘息のキホン

再診

コントロールの評価

費用不要 • ピークフロー

• 喘息日誌

• Asthma Control

Questionnaire,Asthma

Control Test(ACT)

検査 • スパイロメトリー

• 喀痰中好酸球比率

• 呼気一酸化窒素濃度(FeNO)

• モストグラフ

(GlaxoSmithKline より引用)

Page 51: レジデントのための気管支喘息のキホン

再診

治療ステップの調整 現在の治療ステップ 1 2 3 4 方針

コントロールされた状態

・症状(夜間症状も)

なし

軽症

間欠型

軽症

持続型

中等症

持続型

重症

持続型

3~6ヵ月維持

されていれば

ステップダウ

ンを考慮

・症状が週1回未満

・症状は軽度で短い

・夜間症状が月2回未満

軽症

間欠型

軽症

持続型

中等症

持続型

重症

持続型

同一ステップ

内で治療強化

・症状が週1回以上だが毎日ではない

・月1回以上で日常生活や睡眠が妨げられ

・夜間症状が月2回以上

軽症

持続型

中等症

持続型

重症

持続型

重症

持続型

アドヒアラン

スの確認.

必要に応じて

ステップアッ

プ. ・症状が毎日

・SABAがほとんど毎日

・週1回以上日常生活や睡眠が妨げられる

・夜間症状が週1回以上

中等症

持続型

中等症

持続型

重症

持続型

最重症

持続型

・治療下でもしばしば増悪

・症状が毎日

・日常生活が制限される

・夜間症状がしばしば

重症

持続型

重症

持続型

重症

持続型

最重症

持続型

(日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン2015. 恒陽社; 2015: 141.より作成)

Page 52: レジデントのための気管支喘息のキホン

長期管理がうまくいかない場合に調べるコト

• 抗原に暴露され続けていないか,喫煙していないか

• 服薬コンプライアンスは良好か,吸入手技ができているか

• 好酸球性肺炎,アレルギ―性気管支肺アスペルギルス症

(IgE↑, アスペルギルス抗体陽性),アレルギ―性肉芽腫性

血管炎・EGPA(MPO-ANCA陽性),気管支瘻(痰が100

ml以上)など特殊な病態でないか

• β遮断薬,NSAIDsが入っていないか

• COPDや心不全の合併ないか

• 胃食道逆流の合併ないか

• 鼻炎の合併ないか

Page 53: レジデントのための気管支喘息のキホン

概要をつかんだら もっと詳しく読んでみて