社会福祉協議会災害対応初動訓練プログラム

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社会福祉協議会災害時初動対応訓練 ~ 災害想定と情報収集・整理~ 宮﨑賢哉 社会福祉士・ボランティアコーディネーター Twitter @kenyamiyazaki Facebook Kenya.miyazaki

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社会福祉協議会災害時初動対応訓練

~災害想定と情報収集・整理~

宮﨑賢哉 社会福祉士・ボランティアコーディネーター

Twitter @kenyamiyazaki / Facebook Kenya.miyazaki

はじめに

• 本資料は社会福祉協議会の災害対応初動訓練で使用したものを公開用に修正したものです。

• 記載内容はサンプルですので、実施者の環境に合わせてください(社協だけでなく学校、企業、団体等にも応用できます)。

• PowerPointデータ、詳しい説明資料が必要な方は作者まで直接ご連絡ください。

発災状況●月●日(●)早朝4時、最大震度__の____を震源とする地震が発生した。

職員は自宅にて自身や家族、周囲の安全を確保した後、徒歩や自転車により出勤し、現在約___名の職員が出勤している。

管理職や他職員は出勤していないが、連絡がとれず出勤の状況は不明である。

訓練内容説明<1回目>・現在時刻は 午前8時 とします。

・社協施設に倒壊の危険はないと想定します。

・電気、ガス、水道はいずれも不通です。

・午前11時の時点で出勤している職員と管

理職による『第1回災害対策本部会議』が

開催されると想定します

訓練内容説明<1回目>・各班は「非常参集できた職員」として、災

害対策本部が設置されるまでの間、つまり

管理職等による指示命令がなく方針等も

決まっていない状態での「初動」について

検討します。

具体的な作業<1回目> ①発災4時間後(=午前8時)から

7時間後(=午前11時)まで

非常参集してから、災害対策本部会議が行われるまでの間にやるべきこと、確認すべきことを具体的に(何を、誰が、いつからいつまで、どうやって…)話し合い、ベースメモに書き出しておく。

具体的な作業<1回目> ②発災4時間後(=午前8時)から

7時間後(=午前11時)まで

①の作業を行いながら、ラジオや市職員、避難住民からの情報を確認し、災害対策本部に報告する情報として整理する。問い合わせがあれば回答を考えておく。

具体的な作業<1回目> ③①で話し合った活動項目と、②で整理した災害情報の概要を『第1回災害対策本部』で報告する資料をイメージしながら、模造紙に書き込む。

災害情報シート(開始)

(メモ)災害情報シートについて

災害情報シートは、ラジオや口頭での情報をイメージしていますので【30秒~60秒】程度で自動送りするよう設定します。または指導員が適当なタイミングで送ります。見逃し(聞き逃し)たら情報が記録できません。実際にラジオや災害ニュース録画を流す、講師がアドリブで伝えるのも効果的です。参加者は「災害対策本部設置に向けた初動対応を検討しつつ、災害情報を収集・対応・整理する」という行動を求められます。

午前4時頃、__で大きな地震が発生し、現在も余震が続いています。今後も大きな揺れが続く可能性があります。被災地の方は注意してください。

今朝未明に地震があった__ですが、現在の天気はくもり、午後にかけて気温が下がり、明日以降、雨や雪の可能性があります。

コミュニティラジオ「気象庁発表の情報によると、___市内では最大震度6強を観測した地域もあります。」

市民が役所に集まってるんですけど、職員が少なくて対応ができていません。庁舎の安全確認もしないといけないし…僕も状況が分からなくて….

コミュニティラジオ「市内各地で家屋倒壊が発生し、生き埋めになっている方も多いとのことです。隣近所で声をかけあい、助け

合ってください!」

___駅から中継でお伝えします。手元の温度計では気温は5度、風も強くかなり寒いです。JR私鉄各線は復旧の見込みが立たず、多くの人が不安そうにアナウンスに耳を傾けています。

コミュニティラジオ交通規制情報が入りました。________________________________などが緊急交通路、輸送路に指定されています。救急車や消防車、自衛隊などの車両の移動を妨げないよう、車で移動される方はご注意ください。

自宅が傾いて避難しましたが、避難所の仮設トイレは一杯では入れません。携帯トイレは持っていますし、補助はいりませんから、社協さんのトイレを使わせてください。

コミュニティラジオ市内各地で断水や停電が起きています。家屋倒壊によりガス漏れが発生している可能性があります。倒壊家屋の近くでは、ライターやマッチを使わないでください。

会社から____街道を歩いて帰るんです。途中の学校で救援物資をもらう列に並んだらとしたら後ろの人に”どこに住んでる?”と聞かれ、___だと答えたら、物資は市民の税金で買っている、あんたはもらう権利がないと言われました。そのまま並び続けることもできなくて…

____などでも揺れを感じる方が多く、ツイッターでは____の噴火に注意という情報が流れています。降灰に備えコンビニ等でマスクを買い求める人も多いようです。

___にある施設に人が集まっちゃって大変らしいわよ。隣の中学校は人がいっぱいで、お年寄りや障害をもった人が施設に入れて欲しいって。社協さんで何とかしてあげられないの?

気象庁「今後1週間程度は、同程度の地震が発生する可能性があります。」防災アドバイザー「次の地震で家が崩れる可能性もありますので注意が必要です。」

最寄りの小学校に行ったら、人がいっぱいで、若い人たちが先に並んで物資をいくつもらっていた。私のように足の悪い人やお年寄りは長い時間、列に並べない。市役所か社協になら何かあると思って来た。

今朝未明に___で起きた地震による死者は、総務省消防庁によりますと、今朝9時の時点で___名とのことです。現在も各地で救助活動が行われています。

若い女性や乳幼児を連れた母親、女性だけのグループなどを、安全な避難場所に連れていくといって車に連れ込む事件が起きている。注意を呼びかけてください。

____内のJR私鉄各線は全線運転を見合わせています。_____駅付近で線路トラブルがあり、復旧の見込みが立っていません。

市内の給水拠点で給水を行う予定だが人手が足りない。ボランティアで協力してくれそうな人がいたら、応急給水拠点に直接来て欲しい。

携帯大手3社は災害用伝言板の運用を開始していますが、市内を中心に各地で通信がつながりにくい、圏外になる状況が起きているようです。

市内に住む友人と2人でキャンプ道具や救助用具を車で積んできた。東日本や熊本でも活動したので、すぐに活動できる。

災害情報シート(終了)

項 目 状 況

死傷者等

死傷者 負傷が多い模様、市内病院でも対処中

終日

家屋崩壊等 半壊が多い模様だが全体像はまだ不明

道路・交通

道路幹線道路は1車線通行可能道路は随所遮断

交通機関電車・バスは、ごく一部区間のみ不定期運行

ライフライン

電気 社協建物、市庁舎、近隣は復旧

ガス 同上

上下水道 同上

情報テレビ・ラジオ 放送有

電話・ネット 回復終日

食料 店舗商品は品切れ、納品見込みもなく多くの店舗が休業状態にある

訓練内容説明<2回目>・発災2日目、災害対策本部が設置され、管

理職等も合流した後と想定します。

・各班はそれぞれ『総務班A』、『総務班B』、

『情報・渉外班』に分かれます。

・各班でマニュアル記載の分掌事務を具体的

にどう進めるかを検討します。

訓練内容説明<2回目>総務班A = 担当事務1~4

総務班B = 担当事務5~8

情報・渉外班 = 担当事務

それぞれについて「誰が、いつ、何を、どうやるのか」話し合い、結果(概略)をホワイトボードに記載してください。

(メモ)緊急対応班の編成等について

各社会福祉協議会が作成するマニュアルには「●●班」、「●●係」などの災害発生時に班や係が記載されていることが多いです。

マニュアルに従って訓練を行いますので、スライド32,33の内容は該当のマニュアルに従って編集してください。

なお本訓練はあくまで初動を想定するため、災害VC関係は個別の訓練をオススメします。

1回目の講評、アドバイスポイント

・災害情報は適切に整理されているか。・管理職がいない状態でも話し合いがスムーズかつ積極的に行われているか。

・災害対策本部設置に必要な情報、設備、環境などを洗い出せているか。 など

2回目の講評、アドバイスポイント

・マニュアルに記載された緊急対応班それぞれの役割を理解できているか。

・ひとりひとりが、班の役割を果たすために何をするべきか話し合えているか。

・第2回災害対策本部会議に対し、事実報告だけでなく、話し合った結果に基づく提案などもできているか(●●の状況なので、●●を優先してはどうか、など)。

・他班との対応活動のつながりを意識し、組織的な対応の重要性が認識できたか。等

訓練講評とまとめ講義【要点】• 社会福祉協議会の初動対応

– 災害対策本部(組織体制)の速やかな実施準備、指揮命令系統の確認(管理職や役員不在時を含む)、社協としての業務の優先順位の整理 など

• 災害情報の収集伝達と整理– “情報トリアージ”を意識する、事実と伝聞と意見を混同しない、定期的にミーティングを行うなどして情報共有を徹底、役員や管理職への報告

• 組織活動とリーダーシップ– リーダーとなる人物の特性(総合型・民主型・専制型・放任型)を理解する、フォロワーとリーダーの信頼関係をつくる、責任は組織全体で負う

社会福祉協議会災害時初動対応訓練

~災害想定と情報収集・整理~

宮﨑賢哉 社会福祉士・ボランティアコーディネーター

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