患者搬送

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患者搬送 この資料は説明用ではありません 搬送業者に依頼する場合は各業者に確認を 間違いがないように調べていますが,法医学は専門外です 2017.3 梶原 浩太郎

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Health & Medicine


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患者搬送

この資料は説明用ではありません

搬送業者に依頼する場合は各業者に確認を

間違いがないように調べていますが,法医学は専門外です 2017.3 梶原 浩太郎

患者搬送における問題

費用

医学的妥当性がなく,患者または家族の希望による

搬送の場合は患者の自己負担.

安全性

急変時の対応を決めておく.

移動中は騒音や振動のため,可能な診療や処置が限

られる.高所では低酸素血症が増悪する.

患者搬送における問題

御本人・御家族の理解と協力

搬送に付き添えるか・介護ができるか

リスクへの理解があるか

搬送先

受け入れ先の医療・介護体制が整っているか

高度専門医療のための搬送

病院の所有する救急車

(場合によっては消防署に搬送協力を依頼)

国内の遠方へ,坐位や臥位しかとれない患者の搬送

1) 搬送中に急変のリスクが少ない場合

a) 航空機 + 介護タクシー

b) 新幹線など他の公共交通機関と介護タクシー

概ね a)と同じだが,交通機関によって可能な対応が異なる.

条件 医師が搭乗許可の診断書を書き,航空会社が了承.

看護師や介護が可能な付き添いが必要.

搬送手順 病院から空港まで介護タクシー,空港では優先搭乗,航空機内では数

席分を使ってストレッチャーへ移送,空港から施設まで介護タクシー.

費用

介護タクシー料金,航空機ストレッチャー料金(付き添いも含めて数

席分の航空機費用),医療機材レンタル.

付き添い者の日当・移動費・宿泊費は,病院から出ることもあるが,

患者の負担となることもあり.

国内の遠方へ,坐位や臥位しかとれない患者の搬送

2) 搬送中に急変のリスクが高い場合

搬送中に急変した場合,同乗する多くの乗客に迷惑がかかるので,医師が

許可しなかったり,航空会社から拒否されることがある.そのため,公共

交通機関を使うことができない.

搬送中に急変した場合に対応するための医師や看護師の同乗が必要,もし

医師が同乗しておらずお亡くなりになった場合,検案・異状死にあたるか

どうかが問題となり,事件性の調査として警察が来て検案や行政解剖とな

りうる.

その他の介護のため,介護士または介護が可能な付き添いが必要.

救急搬送が必要な急患が出た際に対応できなくなるため,公共の救急車は

使用できない.

搬送中の心肺停止・原疾患死 「診療継続中の患者が受診後 24 時間以内に診療中の疾患で死亡した場合

については、異状がない限り、改めて死後診察しなくても、死亡診断書を

交付することを認めています。これは、 24 時間を超える場合には死体検

案書を交付しなければならないとする趣旨ではありません。診療継続中の

患者が、受診後 24 時間を超えている場合であっても、診療に係る傷病で

死亡したことが予期できる場合であれば、まず診察を行い、その上で生前

に診療していた傷病が死因と判定できれば、求めに応じて死亡診断書を発

行することができます。」(死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 平成27年度版

厚生労働省ホームページより)

医師の同乗

あり その場で診断書

なし 主治医が診断書を作成して送付(ただし往診に行くのが望ましい

か),または近くの病院の検案を受け検案書

搬送中の心肺停止・異状死

「診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの」「初

診患者が、受診後ごく短時間で死因となる傷病が診断できないまま死亡し

た場合。」「医療機関への受診歴があっても、その疾病により死亡したと

は診断できない」は異状死.(異状死ガイドラインより)

急変のリスクが高い場合は,疾病により死亡と判断し異状死とはならない

が,急変のリスクが少ない/予後が長いと推測されていた場合に異状死と

なり得る.

異状死であれば,同乗していた医師,あるいは搬送先の医師は警察へ24時

間以内(すぐに)連絡.

※「異状死」と「死亡診断書・検案書」とはまた別で,異状死だから検案

というわけではありません.

国内の遠方へ,坐位や臥位しかとれない患者の搬送

2) 搬送中に急変のリスクが高い場合

a) ヘリ + 民間救急車

条件

搬送時間を短くする必要があるとき(東京~大阪で3時間程度)

天候が良いとき.

昼間(夜間航行不能)

搬送手順 民間救急車でヘリポートまで,ヘリで搬送(およそ3時間以内は可

能),民間救急車でヘリポートから目的地まで移送.

費用 費用が数百万(東京~大阪で200~300万程度か)

国内の遠方へ,坐位や臥位しかとれない患者の搬送

2) 搬送中に急変のリスクが高い場合

b) 民間救急車

条件

業者が搬送可能な距離(遠距離では途中サービスエリアでの休憩

や,本人の介護が必要)

渋滞がない.

(酸素ボンベが必要な場合)酸素業者に途中経路での酸素ボンベ

の補充の手配.

搬送手順 民間救急車で搬送(およそ半日以内は可能)

費用

数十万.

医師や看護師が付き添う場合,付き添い者の日当・移動費・宿泊

費は,日当は病院から出る場合があるが,それ以外は患者の負担

となることもあり.

国内の近辺へ,坐位や臥位しかとれない患者の搬送

1) 搬送中に急変のリスクが低い場合

a) 介護タクシー

2) 搬送中に急変のリスクが高い場合

a) 民間救急車

条件

ほとんどの場所で可能.

離島は詳細不明.

(酸素ボンベが必要な場合)酸素業者に途中経路での酸素ボンベ

の補充の手配.

搬送手順 介護タクシー・民間救急車で搬送

費用 数万以内.

国内の遠方/近辺へ独歩可能な患者の搬送

急変のリスクが低い場合

介護タクシー・公共交通機関

急変のリスクが高い場合

坐位・臥位の場合に準じる

条件 ほとんどの場所で可能.

急変のリスクがある場合は,診療情報提供書を

搬送手順 (略)

費用 タクシー・公共交通機関に要する費用に近い