オープンダイアローグワークショップ体験:人間性心理学との異同
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OPEN DIALOGUE WORKSHOP体験 人間性心理学との異同
金子周平
JAKKO SEIKKULAとTOM ARNKILの人柄、様子
➤ 静かな、ゆっくりとした、丁寧な動き、話しぶり
➤ 相手をよく見て話を聞く
➤ 会場がヒステリックな笑いに包まれたときも、決してごまかし笑いをしない。つられて笑うこと(愛想笑い)がほとんどない
➤ デモンストレーションでは、話をきながら、時折うつむいては、また相手の方を見ることを繰り返している(2種類のポリフォニーへの交互の注目か?)
➤ あいづちを細かくうっている
魅力的だと思った考え(1)
➤ 水平的(horizontal)・垂直的(vertical)ポリフォニーJS:80年代のシステミックな家族療法(ミラノ派)がしていたことは、水平的(horizontal)ポリフォニーである。部屋にいるメンバー(家族たち)の間に何が起こっているかに注目する。垂直的(vertical)ポリフォニーへの注目とは、例えば亡くなった家族の内なる声に耳をかたむけること。
魅力的だと思った考え(2)
➤ Bakhtinの考えを取り入れたことポリフォニー(多声性)応答なきものはない
➤ Luhmannのシステム論を取り入れたことBureaucracies are sectored, Everyday life is not. It is comprehensive and relational. Crossing boundaries calls for dialogism.
魅力的だと思った考え(3)
➤ 対話を危機介入に応用したアイデアJS:危機があることは大切。それがあるから家族のドアが開いている。2、3日経つともう聞かれないようなエピソードも聞くことができることがある。そのドアが開いている期間は短い。
魅力的だと思った考え(4)
➤ 専門職としての自分と個人的な自分のバランスWSでの質疑Q:専門職としての自分を意識すべきか?A:専門職としての声もあり、個人的な声もある。
人間性心理学との類似点
➤ 用語の類似尊重、透明性、間主観性、愛
➤ 態度の類似決してアドバイスはしないクライエントの言うことをただ繰り返す(クライエントが)悲しいようにみえるとは言わず、私は悲しいと言う
人間性心理学との決定的な違い(1)
➤ 急性期に対応するシステム電話を受けてから24時間以内に対応同一チームによる継続的関わりTA(Tom Arnkil):Psychological Continuityが大切。
人間性心理学との決定的な違い(2)
➤ 家族療法をベースとするチームでの関わり方リフレクション(Andersen)システミック家族療法:ミラノ派WSでの質疑Q:構成員が別の人を攻撃した時は?A:よく話を聞く。批判が強い時は、本人にではなく、スタッフに向けて言ってもらう。別のスタッフが攻撃された人を擁護する。
まとめ
➤ オープンダイアローグ(OD)と人間性心理学はかなり遠縁の似た者同士
➤ エンカウンター・グループとODは、内容は類似しているが、構造は決定的に違う
➤ ODのオリジナリティは、対話を急性期の危機的な状況に持ち込んだこと
➤ ODは家族の「開いているドア」に入ることに成功した洗練された家族療法だろう