6ca7 ulプッシュプル - tok23...広帯域特性と高出力により聴感のdレンジを拡大...

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広帯域特性と高出力により聴感のDレンジを拡大 6CA7 ULプッシュプル 初段の高域特性を制限する通常のスタガリング方式 に比べ出力段位相補正型パワーアンプは高域特 性の拡大により瑞々しい音質を得ることができる. 本機ではこの高域にバランスした低域特性を獲得す るために,出力段とドライブ段の段間時定数を大き くとり,最強吾郎にも崩れを見せない40W以上の アンプの出力サイズを決め,ま た音や外観に個性を添えるのはや はり出力管です.今回は, 20世紀 を飾るパワーアンプの名機マラン ツ8Bなどに用いられたEL34の米 国版, 6CA7を起用しました.也 力管はすべてシャシーフロントに 配置し,眺めても楽しいアンプ作 りを目指しました 出力管6CA7について eCA7はGTベースの大型5極 出力管で最大定格などは表lの とおり,シングルで11W プッ シュプルで35Wの大出力を誇る 大型管です.原型は欧州フィリッ プスで開発された[し34で 松下, マラードなどで製造されていまし た. EL34はスマートな,いかに も欧州ボーイという感じの球です が,大西洋を渡ってGEがeCA7/ EL34として作ると,ズングリし 40 出力を得ることとした.出力管6CA7は SG用独立 巻線を持つタンゴの特注トランスによるAB級UL動 作とし,スクリーングリッド損失を抑えると同時に DFの向上を図った.余裕ある電流容量と左右分離 のB電源系に支えられ,低域の量感と静寂な暗闇か ら楽音が立ち上がるような高SN比を誇っている. た「体は丈夫です」タイプに変わ るのは愉快です(写真l ). eCA7の特徴ですが,まず高い プレート耐圧が目につきます. 100W型学校用コンソールの出力 段などに,プレート電圧約800V のB級動作で活躍していた姿を記 憶しています.優秀を特性から各 社が生産しており,現在でもスヴ ェトラ-ナや中国製のものが適価 で入手できます. なせ40WIchアンプか 小生が日頃採用する出力段位相 補正型アンプでは,高域が80kHz 以上まで1申びているため,無理の ない高音部,瑞々しい-イエンド が音の印象となります.それだけ でもよいのですが,高音部が元気 になると低音部もバランスさせた いのが人情です.低域特性に決定 的な影響を与えるのはドライブ 段と出力段の間のカップリング時 定数で これを大きめに置くこと が第一歩となります. しかし,低音を出やすくするこ とにより新たな問題が現れます. それは所要出力の増大です.曲の 最強音部に集中するオルガンやク ラン・カッサなどの大合唱(低音 大振幅! )が低域特性の良さに 支えられて遠慮なく通過してくる のです.風が吹けば桶屋が儲かる 式の話のようですが,やはり余裕 ある出力が必要になってきます. 踏ん張って大出カアンプとする メリットは大きく,直ちに聴盛上 のダイナミックレンジの増大とな って現れます.つまりクライマッ クスが今まで以上に素直に表現さ れるのです.このような事情から, 今回は40W/ch以上という,真空 管アンプとしては大型のアンプと することにしまLft. MJ

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広帯域特性と高出力により聴感のDレンジを拡大

6CA7 ULプッシュプル

初段の高域特性を制限する通常のスタガリング方式

に比べ出力段位相補正型パワーアンプは高域特

性の拡大により瑞々しい音質を得ることができる.

本機ではこの高域にバランスした低域特性を獲得す

るために,出力段とドライブ段の段間時定数を大き

くとり,最強吾郎にも崩れを見せない40W以上の

アンプの出力サイズを決め,ま

た音や外観に個性を添えるのはや

はり出力管です.今回は, 20世紀

を飾るパワーアンプの名機マラン

ツ8Bなどに用いられたEL34の米

国版, 6CA7を起用しました.也

力管はすべてシャシーフロントに

配置し,眺めても楽しいアンプ作

りを目指しました

出力管6CA7について

eCA7はGTベースの大型5極

出力管で最大定格などは表lの

とおり,シングルで11W プッ

シュプルで35Wの大出力を誇る

大型管です.原型は欧州フィリッ

プスで開発された[し34で 松下,

マラードなどで製造されていまし

た. EL34はスマートな,いかに

も欧州ボーイという感じの球です

が,大西洋を渡ってGEがeCA7/

EL34として作ると,ズングリし

40

出力を得ることとした.出力管6CA7は SG用独立

巻線を持つタンゴの特注トランスによるAB級UL動

作とし,スクリーングリッド損失を抑えると同時に

DFの向上を図った.余裕ある電流容量と左右分離

のB電源系に支えられ,低域の量感と静寂な暗闇か

ら楽音が立ち上がるような高SN比を誇っている.

た「体は丈夫です」タイプに変わ

るのは愉快です(写真l ).

eCA7の特徴ですが,まず高い

プレート耐圧が目につきます.

100W型学校用コンソールの出力

段などに,プレート電圧約800V

のB級動作で活躍していた姿を記

憶しています.優秀を特性から各

社が生産しており,現在でもスヴ

ェトラ-ナや中国製のものが適価

で入手できます.

なせ40WIchアンプか

小生が日頃採用する出力段位相

補正型アンプでは,高域が80kHz

以上まで1申びているため,無理の

ない高音部,瑞々しい-イエンド

が音の印象となります.それだけ

でもよいのですが,高音部が元気

になると低音部もバランスさせた

いのが人情です.低域特性に決定

的な影響を与えるのはドライブ

段と出力段の間のカップリング時

定数で これを大きめに置くこと

が第一歩となります.

しかし,低音を出やすくするこ

とにより新たな問題が現れます.

それは所要出力の増大です.曲の

最強音部に集中するオルガンやク

ラン・カッサなどの大合唱(低音

大振幅! )が低域特性の良さに

支えられて遠慮なく通過してくる

のです.風が吹けば桶屋が儲かる

式の話のようですが,やはり余裕

ある出力が必要になってきます.

踏ん張って大出カアンプとする

メリットは大きく,直ちに聴盛上

のダイナミックレンジの増大とな

って現れます.つまりクライマッ

クスが今まで以上に素直に表現さ

れるのです.このような事情から,

今回は40W/ch以上という,真空

管アンプとしては大型のアンプと

することにしまLft.

MJ

vI E88cc V27119              V3 V46CA7

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14Vc2

[図1]増幅部の回路

アジャストしています. D5, D6

は7119のグリッド保護クリッパ

ーで 初段と同様lS955を用い

ます. 71 19のB電源電圧は正味

約260Vとやや高めで eCA7の

所要入力電圧に対し余裕ある動作

となっています.負荷抵抗は高域

を重視し5.6kQとします. VR3は

交流バランス用です.

6CA7は

固定バイアスで運用

eCA7はEb力暗いので固定バ

イアス運用のやや深いAB級動

作とします. eCA7は大型出力管

にもかかわらず,固定バイアス時

のRgが大きく取れるので設計が

楽です75・',さすがに上限の500km

を与える勇気はなく, 100kmと

保守的な値に止めました

C5とC7(C。とC8 )は合計でlFLF

Jl上取れれ(揃でもよいのですが,

同じ製品を重ねると共振周波数が

重複する場合があるので T-cap

42

電圧は対アース 電流は計算値

とEROを並列にしています.こ

れとR13(Rl。 )から成る時定数は

0.12秒と十分大きな値です.高

めのプレート電圧とUL接続の点

を考慮して, eCA7のロードも高

めの5kQとしました.

電源部の設計

電源部は図2のとおりです.

SG用別巻線付き出力トランスの

ため,プレート電源用に約430V,

SG電源用に約330Vの2種類のB

[写真2]初段E88cc(左)とドライブ段7119.いずれも双3極MT管

電源が必要です.また約-50V弱

のC電源も必要で 残念ですがカ

タログ製品にこの需要を満たすも

のは見あたりません.やむを得ず

平田電機製作所に2次側にAC330

VとAC260Vの2巻線を持つ電源

トランスを作っていただきました

電流容量は主B電源の直流出力が

330mA以上あり,将来の大型化

にも対応可能です.試作番号は

No. 11881です.

本磯では残脅雑音レベルを下げ

るため,電源トランスに電磁シー

ルドを施したほか,図2の電源回

路のD7-D18まで 逆回復時間が

35nsと極めて短く,原理的にパ

ルス陛放射が少なく済む3l DF6

を採用しました.このダイオード

は瞬間最大逆方向電圧が600Vな

ので AC330Vのブリッジ整流

は上限一杯という感じですが

100時間以上のランニングでもま

ったく異状ありません. AC電源

に時折パルスが来るなど電源にリ

MJ

6CA7 ULppパワーアンプ

T2タンゴNo i 1881         0日3H350mA

330V 任s�紕モ3ecC#ue##3S��#Ur�5r鼎#Ub�

SOC∨ 0.65A 0 ��08 � 調���劔剴�C#Ub�

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[図2]萄渡部の回路

スクがあるときは, 31DFeでは

耐圧に不安が残るので 2NU41

やUO7Nなどの耐圧1000V級の

ダイオードを使用します.

今回は巻線電圧に対する整流後

の電圧を高くする必要はないので,

平滑コンデンサーは100FLFと捏え

めにします.大容量を与えた場合

に比べて流通角が大きくなる(追

電時間が伸びる)ことから,力率

向上と残留雑音レベルの低下か見

込めます.

Bl, B2電源ともチョークによ

るn型フィルターを通しますが

その後さらに一段,チャンネルご

とにCR積分回路を設け,低域で

のセパレーション悪化を防止しま

す.さらに高圧側B電源出力に大

容量フイルムコンデンサー75/′F

630Vをおごり, B電源の高域イ

2000/3

ンピーダンスを下げ 万全の高域

特性が得られる工夫をしましな

C電源はこれもブリッジ整流の

後, 3段のn型フィルターを入れ

ます.整流直後のC3,が33llFでは

容量が少ないように見えます力〕

これは電圧のコントロールも兼ね

ているため,少なめになったもの

です.

整流用基板類の準備

4本1組のシリコンダイオード

などが入る整流回路は,ラグ板な

どで組み上げると空間利用率力無

いので3枚のガラスエポキシ基板

上に組み,その後にシャシーに持

ち込みます.図2の点線で囲まれ

た部分カサ寸象となります.

BlとCの整流回路が一緒に搭載

される基板を写真3 (a)~(C)に

示します. B2用基板は写真4 (a)

-(C)のとおりで完成後,電源

トランスの銘板を覆うように35

mmのサポートで設置します.

eCA7のバイアス調整用基板は,

写真5 (a)-(C)のようにVR。

-vR7もあらかじめガラスエポ

キシ根上に取り付けた形に製作し,

用意しておきます1).

シャシーの設計と製作

シャシーは写真6 (a)-(g)の

とおりです.幅390,奥行き270,

高さ65mmの鉄板製塗≧韻書みのも

のを三栄無線に特注して製作して

いただきましなeCA7を前面一

列に並べ,動作中に外観が楽しめ

る配置を取るとともに,サブシャシ

ーによる沈み込み構造で対流放熱

を促しています.電圧増幅部分は

出力トランスを挟んでシャシー反

対側に並べ カップリングコンデ

ンサーが両者を橋掛けする構造に

なります.

43

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出力〔W〕

[図3]無帰還時の仝雑音歪率特性

01 02  05 1 2   5 10 20

出力(W)

おり33kHzで0.25dBとわずかに

下がり始め,カットオフは89 2

kHzとなりました. Lchもよく似

た特性ですか やや伸びが良い印

象です. 30kHz程度からわずか

ずつ下がるのは,生成の特性に加

え,初段グリッドに入れた寄生発

振防止用のRl 1 kJlの影響と推定

されます.

(2)オーバーオールの負帰還を

かける

前述の基本性能を基盤に,ダン

ピングファクターの改善を指標と

して160端子からR22 4.3kQによ

り約10dBの負帰還をかけます.

裸利得は十分ですから,利得的に

は20dB程度まで対応可能ですが

位相補正技術が高度になることと,

経験的に大量の負帰還は音の躍動

感を損なう趣があるので このあ

50

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102 ���■ 鉄����"�����S ��ーOk2 尾イ�漢 鉄�イ�lOOk20 尾イ�i h:

[図4]周波数特性

520  50 100 200 500 1k 2k  5k 10k 20k  50k

周波数〔Hz〕

[図6]チャンネルセパレーション特性

50 [図5]負帰還後の全雑音歪率特性

たりに止めます.

10dBの負帰還により,ダンピ

ングファクターは約3.3まで改善

されます2).入出力特性は490

mVで最大出力の40W,頑張れば

538mV入力で45Wまで得られる

-イケイン・-イパワーアンプと

なりましな

周波数特性は,負帰還設定によ

り多少とも高域ピーク・ディップ

が生じますが これを馴らすため,

まず図1のC15, CleとR2。を挿入

し,前段と出力段の高域特性に段

差を設けます.出力トランス2次

側にC17とR21が入っていますが

目的は純容量性負荷に対する安定

性増大です.この定数ですとスピーカーによっては補正過剰になる

ので とくに後者はなくとも構い

ません 位相補正用CRの定数は

製作者の配線方法や癖で異なって

くるため, 10kHz/lV/80程度

の方形波を出力させ,オシロスコ

ープのl)ンキング波形の整形を目

安に,カットアンドトライで収束

させます.

Rchは, 680pF(実効340pF)ど

4.7km,および出力トランス2次

側の0.1FLFと120で,純容副生負

荷条件での観測がペストになりま

した.一方, Lchは方形波の落ち

着きが悪く, 1200pF+3.Oknと

0.1/IF+100まで必要となりまし

位相補正後のRchの周波数特性

も図4のとおりで カットオフは

194kHz 140kHzに0. 5dB程度

の小さなピークがあるようすです.

Lchはカットオフ167kHzでピー

ク・テリップなしの特性です.局

波数l副生から位相補正がきいてい

るようすが窺えます. Rchのピー

クは十分小さく,これで完了とL

MJ

0

 

 

 

0

 

 

0

 

 

 

0

5

1

-

-

-

 

T

T

〔8P)KヽモKJ

30Wでも傾向は変わりません力㌔

3次の両脇に- 50dB以下で2次と5

次が顔を覗かせ始めています. 40

Wでは- 40dB以下と低いレベル

ですが,奇数・偶数とも揃い始め

ており,そろそろ一杯か,という

印象です.

ノイズは図8のとおり1.25Hz

の1/fノイズと思われる雑音がド

ミナントで あとは50Hzの高調

波が,ペースに対し20dB程度上

に顕を出すようすのホワイトノイ

ズとなっています.雑音としては

コントロールできているほうだと

思います.

方形波観測は写真20, 21のと

おりです. lkHz/lV/80ではき

ちんとした方形波をベースに,左

肩に140kHz付近のコプの反映が

見えています. 10kHzはその抜

大と解釈でき, 50kHzの観測で

は500kHz以上はうまく落ちてい

ることがわかります.

容量性負荷安定性ですが 0. I

〟F並列では変化はわずかで同

純容量性負荷でも発振には至りま

せん.無負荷も安定で,オーバー

オール10dBの負帰還アンプとし

ては合格と思います.

考察と反省

昨年末 試聴会で音を聴いてい

ただきましたが 出力段位相補正

型アンプの特徴がよく出ているア

ンプというご評価をいただきまし

た. 3か月にわたる使用では,雑

音レベルが低いためか,曲のスタ

ートなど暗闇から音が出るという

[写真22]前面に体格のよいGE製6CA7をフィーチャーした粕障な面構え.

広帯域なf特と40W強の出力で,音楽のジャンルを問わない表現力を獲得

∴∴∴∴∴∴

・誇灘 ����

∴∴∴∴ ���ィ耳耳�やメ����h�������������������

[写真23]筆者初めての試みとして, OPTの背後に初段とドライブ段を

配置.電源トランスのサイズがそのパワーを象徴する

52

印象です.低域は量感を含め,大

きな問題はないように思います.

周波数特・址,負帰墓前の特性で

50Hz付近で0. 25dB程度下がる

傾向が観察されましたが これは

羞動回路のデかソブリング回路の

時定数力㌔ 正負双方ともやや小さ

い故かと考えます.

本機の初段差動回路では カソ

ードに定電流ダイオード3本が挿

入され,高い動作抵抗を示す能動

素子として働いています.この回

路は,必要な交流抵抗性にはまっ

たく問題ないのですが,若干の熱

慣性が観察されました.つまり全

体で22mAほど流すため,動作電

圧を約9Vに制限しているにもか

かbらず,素子の筐体温度が最終

的に20度ほど上昇するのです.そ

のためスイッチオン後,定電流特

性がゆるやかに移動し,安定まで

10分以上かかります.安定後は問

題ありませんbs-,比較的大電流を

流すには 別にTRやFETによる

専用の定電流回路を用意したほう

がよいと思います.

本機のような,電圧増幅段と出

力段力離れたシャシー配置は初め

ての試みでしたbS,意外に配線し

やすい印象を受けました カップ

リングコンデンサーに大型・大容

量の製品を持ち込めることもメリ

ットの一つです.今後は水平出力

管など-応用を抜けていきたいと

思っています.

【注】

1) -トメとガラスエポキシ板による電

源など,小型基板の製作については

小善『はじめての真空管アンフ1 (誠

文堂新光社)に詳説されています.

2)負J)髄によるダンピングファクター

の改善は通常の場合,負帰還量を大

きく上回ります.その成因は小善『現

代真空管アンプ25選』 (誠文堂新光社)

に詳説されています.

1"

51

M

MJ     2