バワ-アンプ - tok27...クオード型位相反転回路, ul接続 kt88プッシュプル...

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クオード型位相反転回路, UL接続 KT88プッシュプル バワ-アンプ 長真弓 ch。M。yumi スヴェトラ-ナのKT88を使いウルトラリニア接続 とした,簡単,安定を第一においたパワーアンプで ある, 12dBのNFBをかけると1V入力で最大出力 40W,自己バイアスのため調整箇所もなく,製作し やすい,ドライブ回路は, 5極曹6267を使用したク オード型位相反転回路を採用.クオードドライブ回 300Bをはじめ,信頼度の高さで ことです. i社. i社. 「光 MJ 路はNFBとPFBが複雑に絡んでいるが その周波 数特性は反転側・非反転側のバランスもよく,総合 歪率も低,中,高域の特性がきれいに揃っている. 方形波観測でもオーバーシュートやリンキングはほ とんどなく,負荷の条件を変えても安定して位相補 正などは不必要である, けて日本への登場が遅れていたよう すでにお馴染みのスヴェトラ-ナか 一世を風靡したあの米マッキント ですが,ようやく入手できるように ら,新しくKT88が発売になりまし ッシュが久々に真空管アンプに復帰,なりました. 三.スヴェトラ-ナは,ロシアの真 ミレニアムを記念した新製品"MC 形状,規格ともにオリジナルの 空曹工場にOEM生産をさせている 2000''を登場させましたが,品質, GEC製に準じていて,て 米国企業で品質管理も同社で行っ 信頼性にこたわる同社に純正採用さ 工作が施されています.ガラスはパ ています.同じくロシア製でもソヴ れたのかスヴェトラ-ナのKT88で イレックスに似た硬質なものが便わ テックとは生産会社も異なるという す.そして,この納入のあおりを受 れていて信頼感があり,姿かたちも ∴∴∴ 二∴∴ ) ∴∴ � � �

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Page 1: バワ-アンプ - TOK27...クオード型位相反転回路, UL接続 KT88プッシュプル バワ-アンプ 長真弓 ch。M。yumi スヴェトラ-ナのKT88を使いウルトラリニア接続

クオード型位相反転回路, UL接続

KT88プッシュプルバワ-アンプ

長真弓 ch。M。yumi

スヴェトラ-ナのKT88を使いウルトラリニア接続

とした,簡単,安定を第一においたパワーアンプで

ある, 12dBのNFBをかけると1V入力で最大出力

40W,自己バイアスのため調整箇所もなく,製作し

やすい,ドライブ回路は, 5極曹6267を使用したク

オード型位相反転回路を採用.クオードドライブ回

300Bをはじめ,信頼度の高さで ことです.

i社.

i社.

「光

MJ

路はNFBとPFBが複雑に絡んでいるが その周波

数特性は反転側・非反転側のバランスもよく,総合

歪率も低,中,高域の特性がきれいに揃っている.

方形波観測でもオーバーシュートやリンキングはほ

とんどなく,負荷の条件を変えても安定して位相補

正などは不必要である,

けて日本への登場が遅れていたよう

すでにお馴染みのスヴェトラ-ナか  一世を風靡したあの米マッキント ですが,ようやく入手できるように

ら,新しくKT88が発売になりまし ッシュが久々に真空管アンプに復帰,なりました.

三.スヴェトラ-ナは,ロシアの真 ミレニアムを記念した新製品"MC  形状,規格ともにオリジナルの

空曹工場にOEM生産をさせている 2000''を登場させましたが,品質, GEC製に準じていて,ていねいな

米国企業で品質管理も同社で行っ 信頼性にこたわる同社に純正採用さ 工作が施されています.ガラスはパ

ています.同じくロシア製でもソヴ れたのかスヴェトラ-ナのKT88で イレックスに似た硬質なものが便わ

テックとは生産会社も異なるという す.そして,この納入のあおりを受 れていて信頼感があり,姿かたちも

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胃冥1)シャシー正面にはミレニアムを意識して「2000」の切り文l写真2]背面には電源トランスを中心に左右に出力トランスかど

字を貼り付けた.中央にはLED付き波動型の電源スイッチ.上郡 っLilと乗り重厚である.シャシー後面はスピーカー用出力範子,

中央には前にチョークコイル2つ左右に真空管と対称に並び美しい 電源インlアウトレット,ヒューズ,入力範子が並ぶ

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KT88プッシュプルパワーアンプ

いる

給電

すが

MJ

反転側出力↓

① SG結合のあー1 50日

② 27knのみ -308

③ K結合のあ ー6dB

利得 425dB 出力差 OdB             利得 44dB 出力差 OdB

(A)クォート型           (B)自己平衡型(5極筈)

囲21位相反転トライブ回路

500Vというのは容易に入手できる

ケミコンの而距限界なので これよ

りも幾分低い電圧として製作するこ

とにしました.

表1では,プレートおよびスクリ

ーングリッド電圧は436Vとなって

'.・ます.これは対カソードの電圧な

つで,カソード自己バイアスの約

52Vを足すと488Vとなり,これに

電源のレギュレーションと出力トラ

ンスでの電圧降下を見込むと,必要

なB種圧は500Vということになる

でしょう.なお,基進に考える電圧

-ま前述した436Vです.

注意点としては,バイアス用のカ

ソード抵抗をプッシュプルの2管に

脅して個別に設けることとなってい

ます.また固定バイアスの場合にも,

個々にバイアス値を調節できるよう

にすることが指示されています.

つまり,プレート電流やスクリー

ングリッド電流のバラツキを考慮し

て,片方の真空管の特性に引きずら

れて反対側の真空管の電流がオーバーすることを防いでいるわけです.

グリッド・カソード間の抵抗,い

もゆるグリッドリーク抵抗の値にも

制限がありますが,損失が大きいと

きの制限を一層シビアに規定してい

ます.動作例と対照すると, 270kn

としなければならないようです.

クオード型位相反転ドライブ

出力段の見当かついたところで,

ドライブ回路に入ります.出力段が

要求するドライブ電圧は,グリッ

ド・グリッド間ピーク・ツー・ピー

クで104Vなので,カソードNFB方

式よりは軽いといえますが,それで

もかなり高い値です,最も楽に大き

な出力電圧を得ることができるのは,

プッシュプルの1本ごとに5極管を

割り当てる構成で,これに位相反転

を兼ねさせれば',全体の回路もシン

プルにまとまります.

回路としては差動型,自己平衡型,

そしてクオード型が候補にあげられ

るでしょう.

差動型は,抵抗器だけによるいわ

ゆるカソード結合型とすると,カソ

ード電圧分だけプレート電圧と交流

出力を損するので使いたくはありま

せん.カソードに定電流回路を入れ

ればこの欠点からは逃れられますが,

+350V

利得 295dB 出力差 05dB

(C)自己平衡型(3樟智接続)

マイナス電源を用意するのが面倒で

す.というわけで,自己平衡型とク

オード型を検討することにしました.

英アコーステイカルのQUAD-Ⅱ

アンプは, 5極管6267/EF86を2

本使用して,大きな入力電圧が要求

されるカソードNFB方式採用の

KT66出力段をドライブするという

構成です.位相反転ドライブ回路が

独特なものであるため,特にクオー

ド型と呼ばれているわけです.

図2(A)がその回路です. NFBと

pFBがからまっていて,はなはだわ

かりにくいのですか,考え抜かれた

緻密なと,とらえるべきなのか,ま

た逆に,辻棲合わせ的というべきな

のか,その構成には戸惑ってしまい

ます.

まず第一が, 「スクリーングリッ

ド結合型位相反転回路」とでも名付

けたくなる動作です.上段のスクリ

ーングリッドはバイパスされていな

いので,コントロールグリッドへの

入力信号に従ってスクリーングリッ

ド電圧も変化し,出力電圧を取り出

すことができます.

このスクリーングリッド電圧は

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KT88プッシュプルパワーアンプ

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47.′lF+ 450V_ 並列 0Vタップ間 ��428V 葺

// MS-450613V470ns旧

1回41全回路図

毒続換えをしてみた結果は,周波数

雛が図3(B)で高域では反転側

つほうがレスポンスが上がるという

高架になりました.

利得は44dBで,アンバランス分

・三ありません.反転側の出力インピ

ーダンスが100%のNFBによって

華反転側に比べて低くなり,これが

i:点となる場合もあるかもしれませ

書○言

この例では,反転側に5極管を使

ったため,利得は限りなく1に近く,

皇妃なバランスが得られたわけです.

ヨ電管の場合にはNFB量が減る分

士ランスが悪くなるはずなのでは,

二いうことで3極管接続(図2 (C))

こしてみた特性が図3(C)です.

これでもアンバランス分は0.5dB

ニすぎませんでした.周波数特性は,

三極管の場合とは逆に反転側のほう

ニi高域で落ちています.利得は

itl.5dBです.

いずれの場合にも周波数特性の差

は補正可能ですから,どの回路も実

用には充分に耐えられるといってよ

いでしょう.

クオード型がわかったところで,

これを本願に取り入れることにしま

した.オリジナルそのままでといき

たいところですが, KT88の最大定

格に,プレート+スクリーングリッ

ド損失が35W以上のときにはグリ

ッドリークは270km以下にせよと

の記載があるので,図2(A)の680k

mを270kmこ変更します.

この変更の結果は,反転側の出力

電圧が非反転側に比べて0.8dB大き

くなることがわかり,結合用の2.7k

oを1.8kJ自こ変えてバランスをとっ

ています.周波数特性はほとんど変

わらず,利得は38dBに低下しまし

た.このあたりは,微妙なバランス

の上に成り立っている回路だといえ

そうです.

全回路,部品,製作

位相反転ドライブ段と出力段が決

まれば,本機の構成はできたような

ものです.図4がその全回路です.

カソード自己バイアスなので,電源

はヒーターとB電源だけです.また

調整箇所もまったくなしと,まこと

にシンプルなアンプになりました.

表3に本機の部品表を示しますが,

電源トランスはタンゴのMS-450を

使用しました.ブリッジ整流方式で,

280Vから380Vまで20Vきざみで運

べるトランスです.ここでは380V

と20Vタップ間の360Vを整流して

直流475Vを得ています.スイッチ

ONから真空管が動作するまでの問

は,ケミコンの使用電圧500Vを少

し超えますが,これは許容範囲内で

す.しかし,電源の100Vが高めに

なる地域では,タップ間を340Vと

したほうが無難かもしれません.

i75

のド頭酸は推賞は

ー(ノ  ー

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弼軍国四国塾

弼顎園田開

聞弼田圃[写真71 80範子に抵抗8くら コンデンサーを負荷にした方形波応答

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出力(W〕

l図81歪率特性

コ型となりました.クオード型の特 ンキングはほとんど見られず,負荷

性に,出力トランスの特性が加わっ の条件を変えてもぎわめて安定して

たものですが,とにかくこのままで いて,位相補正などはまったく必要

12dBのNFBをかけた結果も,図7 としません.

のように,あばれの見えないきれい  高域で下降特性を示すときには,

な特性を示しています.     高域でのNFB量が減ることによっ

写真7(a)~(i)のように,方形 て歪率が悪くなる傾向が多いのです

波の観測でもオーバーシュートやり が,ドライブ段の特性がプッシュプ

ルの上下で揃っていることから,も

ともとの歪みが少ないこともあって

図8に示すように,低,中,高域の

歪率特性はきれいに揃って問題点は

兄い出せません.

30W以下では,歪率も1%以下と

なって低歪率です. 40Wを超えた

ところで波形の上下が同時にゲ)ッ

プを始めるという結果になりました.

プッシュプルのバランスもいいよう

です.

ダンピングファクターは5となっ

て,真空管アンプとしてはまあまあ

の値でしょう.残留雑音は左右チャ

ンネルとも0.2mV (測定条件のA特

性は含まず)ど,大変小さな値を示

しています.

6267の件を除けば,本棟の製作

はあっけないくらいに手がかからず

それでいて性能的にはかなりのレベ

ルを確保することができて,安定し

た動作を続けることができそうです.

音はどちらかというと少し丸いか

なといったところです.でも分離は

よく細部もよく見えて,渡ぼけた音

ではありません.楽器の見通しがよ

いのです.力感も十分.パワーに余

裕があるため変に神経質にならず.

聴き疲れせずに音楽に浸ることがで

きます.常用アンプとしての地位を

確保しそうな雰囲気です.

付け加えると,固定バイアス方式

にすれば70Wくらいの最大出力も

得られるはずですが,出力管のグリ

ッドリーク抵抗を100kOまで下げ

なければならないので,クオード型

で対応できるかどうかについては再

検討を必要とします.それにまた,

無調整でというわけにもいかないで

しょう.本機はあくまでも,簡単,

安定を第一においた1台なのです.

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