6.都市計画に関する当面の課題に対する方針 · 菅平高原は年間約109...

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47 6.都市計画に関する当面の課題に対する方針 6-1 都市計画区域の見直し 一体的かつ持続可能な都市づくりを進めるために、市全域の都市計画区域 の指定について検討を進めます。 平成 18 3 月に上田市、丸子町、真田町、武石村が合併したことにより、新上田市として、上田都市計画区域 と丸子都市計画区域をひとつの都市計画区域に統合しました。上田市が魅力ある住みやすい都市として、真田地 域及び武石地域を含め一体的かつ持続可能なまちづくりの方針を定める必要があります。 都市計画区域の指定状況 現在、本市の面積 552k㎡のうち、都市計画区域に指定しているのは約 233k㎡となっています。 【6-1-1 都市計画区域の指定状況】 上田都市計画区域 積 232.94k㎡ 当初決定 S2.4.1 最終変更 H26.3.24 真田地域 武石地域 (都市計画区域:無指定) (都市計画区域:無指定) 上田地域及び丸子地域

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6.都市計画に関する当面の課題に対する方針

6-1 都市計画区域の見直し

一体的かつ持続可能な都市づくりを進めるために、市全域の都市計画区域

の指定について検討を進めます。

平成 18年 3月に上田市、丸子町、真田町、武石村が合併したことにより、新上田市として、上田都市計画区域

と丸子都市計画区域をひとつの都市計画区域に統合しました。上田市が魅力ある住みやすい都市として、真田地

域及び武石地域を含め一体的かつ持続可能なまちづくりの方針を定める必要があります。

(1)都市計画区域の指定状況

現在、本市の面積 552k㎡のうち、都市計画区域に指定しているのは約 233k㎡となっています。

【6-1-1 都市計画区域の指定状況】

上田都市計画区域 面 積 232.94k㎡ 当初決定 S2.4.1 最終変更 H26.3.24

真田地域

武石地域

(都市計画区域:無指定)

(都市計画区域:無指定)

上田地域及び丸子地域

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(2)市の一体性に関する状況

市民生活における日常の移動の様子から、市

内の各地域間の結びつきは強いものと考えら

れます。

①通勤・通学の状況

市内の通勤、通学による人の移動状況は右

図のようになっています。

上田地域と丸子地域は、互いに往来が多く

なっています。

真田地域では、主に国道 144 号などにより

上田地域との往来がなされています。地域の

全就業者及び全就学者のうち 49.6%は真田

地域の外へ移動しています。このうち 73.7%

は市内の各地域へ移動しています。

武石地域では、主に国道 152 号などにより

丸子地域との往来がなされています。地域の

全就業者及び全就学者のうち 48.7%は武石

地域の外へ移動しています。このうち 67.1%

は市内の各地域へ移動しています。

こうした日常の通勤・通学の状況から、ひ

とつの生活圏の状況がみられます。

②商圏の状況

上田商圏の昭和 56 年(1981 年)から平成 24 年(2012 年)の推移は下図のようになっています。

丸子地域、真田地域、武石地域は第1次商圏であり、上田地域で買い物をすることが多くなっていること

がわかります。このことから各地域間の経済的な結びつきも強いといえます。

武石地域(地域外移動)

市内への移動比率 67.1%

市外への移動比率 32.9%

丸子地域(地域外移動)

市内への移動比率 61.2%

市外への移動比率 38.8%

上田地域(地域外移動)

市内への移動比率 27.4%

市外への移動比率 72.6%

真田地域(地域外移動)

市内への移動比率 73.7%

市外への移動比率 26.3%

地域内移動

1,274 人

(51.3%)

地域内移動

8,075 人

(60.2%)

地域内移動

54,210 人

(78.8%)

地域内移動

3,356 人

(50.4%)

市外へ 387

市外へ 2077

市外へ 870

市外へ 10626

【6-1-2 市内の通勤・通学の状況図】

【6-1-3 上田商圏の状況図】

上田市

上田地域 68,837 54,210 78.8% 14,627 21.2% 4,001 27.4% 10,626 72.6%

丸子地域 13,422 8,075 60.2% 5,347 39.8% 3,270 61.2% 2,077 38.8%

真田地域 6,660 3,356 50.4% 3,304 49.6% 2,435 73.7% 869 26.3%

武石地域 2,485 1,274 51.3% 1,211 48.7% 813 67.1% 398 32.9%

合計 91,404 66,915 73.2% 24,489 26.8% 10,519 43.0% 13,970 57.0%

区分

15歳以上

の従業・通学者総数

地域内での 地域外への移動者数移動者総数

市内への移動 市外への移動

資料:平成 17 年国勢調査

S56

1981 年

H5

1993 年

H18

2006 年

H24

2012 年

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(3)都市計画区域の指定がない地域の状況

①真田地域について

■上田菅平インターチェンジ周辺の道路整備により、これまでも宅地化や新築が増えてきましたが、今

後も本原地区及び長地区、傍陽地区などでは住宅の立地が高まる可能性があります。そのため、無秩

序な開発や周辺環境に悪影響を及ぼす施設の立地を抑制しながら、市街地近郊の良好な住環境を形成

していくための土地利用の規制・誘導が必要になります。

■菅平高原をはじめとする特色ある自然風景や、

真田氏館跡などの史跡群などがあり、多くの観

光客が訪れています。このため、道路整備や公

共交通などの交通環境の充実も大切です。また、

このような豊富な自然・景観は地球環境や低炭

素社会の実現に向けて、将来的に保全していく

必要があります。

■菅平高原は年間約 109 万人(※)の来訪者があり、自然豊かなスポーツ・リゾート地としてスポーツ施

設、宿泊施設、別荘地などを有しています。より多くの利用者にとって満足度の高い観光地となるた

めに、自然・景観の保全をはじめ地域内外を連携する道路や公共施設等の計画的な整備が求められます。

※平成 25年観光地利用者統計調査(長野県)より

【6-1-4 真田地域 本原付近】

真田地域自治センター■

(菅平高原)

(菅平高原)

真田地域自治センター■

【6-1-5 農地転用の状況図(真田地域付近)】※

【6-1-6 新築建物の状況図(真田地域付近)】※

菅平高原

真田氏館跡

※平成 18 年から 22 年までの 5 年間の状況

(平成 24 年上田市都市計画基礎調査より)

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■真田地域では、建築後 30 年以上経過している建物が 6 割を超える状況(平成 24 年都市計画基礎調査よ

り)となっています。また、地域内には緊急車両(消防・救急)活動に支障をきたしたり、車のすれ違

いが困難な狭あいな生活道路もみられることから、建物については構造や防火等の適切な性能を備える

とともに、大規模地震災害及び火災時等の避難や緊急車両の通行に対応できる幅員の確保が必要である

ため、敷地後退や接道の確保をはじめとした建築基準法に即した建替えが望まれます。

以下に、真田地域における地区ごとの建物年齢別現況を示します。

【6-1-7 建物年齢別現況グラフ】

3.0%5.1%

6.9%

8.6%

9.5%

10.0%

57.0%

0~4年

5~9年

10~14年

15~19年

20~24年

25~29年

30年以上

1.4%

3.6%6.0%

7.8%

9.4%

9.8%62.0%

0~4年

5~9年

10~14年

15~19年

20~24年

25~29年

30年以上

上田市全体 真田地域全体

平成 24 年上田市都市計画基礎調査より

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②武石地域について

■武石地域では、美ヶ原高原、練馬少年自然の家、番所ケ原スキー場、余里の一里花桃など、豊富な観

光地があり、多くの人が訪れます。また、農業体験などによる都市部との交流が活発に行なわれてい

ます。このため、幹線道路の整備や、いつまでも都会からの人々が訪れるような環境や自然を保全し

ていく必要があります。

【6-1-8 武石地域自治センター付近】

武石地域自治センター■

丸子地域自治センター■

丸子地域自治センター■

※平成 18 年から 22 年までの 5 年間の状況です。

(平成 24 年上田市都市計画基礎調査より)

【6-1-9 農地転用の状況図(武石地域付近)】※

【6-1-10 新築建物の状況図(武石地域付近)】※

武石地域自治センター■

美ヶ原高原 余里の一里花桃

■国道 152 号沿道は、今後、宅地化や開発によ

って様々な建物が立地する可能性がありま

す。そのため、周辺環境や景観に配慮して適

切な建物の規制・誘導を図るとともに、虫食

い的な開発を抑制していく必要があります。

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■武石地域では、建築後 30 年以上経過している建物が多くの地区で 6 割を超える状況(平成 23 年都市

計画基礎調査より)となっています。また、地域内には緊急車両(消防・救急)活動に支障をきた

したり、車のすれ違いが困難な狭あいな生活道路もみられることから、建物については構造や防火

等の適切な性能を備えるとともに、大規模地震災害及び火災時等の避難や緊急車両の通行に対応で

きる幅員の確保が必要であるため、敷地後退や接道の確保をはじめとした建築基準法に即した建替

えが望まれます。

【6-1-11 建物年齢別現況グラフ】

3.0%5.1%

6.9%

8.6%

9.5%

10.0%

57.0%

0~4年

5~9年

10~14年

15~19年

20~24年

25~29年

30年以上

1.3%

3.3%5.5%

6.9%

11.0%

6.0%66.0%

0~4年

5~9年

10~14年

15~19年

20~24年

25~29年

30年以上

上田市全体 武石地域全体

平成 24 年上田市都市計画基礎調査より

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(4)市全体にかかわる課題について

さまざまな土地利用形態がある上田市では、以下のような都市づくり上の課題があります。

【都市づくり上の課題】

上田市は市街地や農村、山林などが一体となって形成されており、これらの各地域の特色

を活かして、それらを市全体の魅力へと高めていく都市づくりを目指します。その前提とし

て、自然環境や歴史・文化など地域資源を保全し、市街地の拡散を抑制しながら良好な生活環

境を整えていくための、各地域にふさわしい都市計画によるルールづくりが必要です。

また、国の「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、低炭素のまちづくりに向け

た取組に加え、平成 26 年 8 月 1 日施行の改正都市再生特別措置法により、国が掲げる「多

極ネットワーク型コンパクトシティ」の形成に向けた検討が必要です。

市街地周辺では、住宅や大規

模施設等の増加を抑制し、生

活環境を保全するために、自

然環境と調和した適切な土地

利用の規制・誘導が必要です。

農業・集落地では、農業と調

和した住環境と美しい田園風

景を守っていく必要がありま

す。

山林・緑地では、市を取り囲

む山々などの良好な自然環境

を保全する必要があります。

自然公園では、雄大な自然を

守り、良好なレクリエーショ

ン空間を形成する必要があり

ます。

市街地

農業・集落地

山林・緑地

自然公園

自然公園

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(5)都市計画区域見直しの基本的な考え方

①見直しの観点

都市計画区域の見直しにあたっては、主に下記の観点から検討していきます。

②基本的な考え方

【観点1】一体的かつ持続可能な都市づくり

上田市は、商圏や通勤・通学などの動向から、ひとつの生活圏と

捉えることができます。市を構成する特色を持った地域の個性を活

かし、ひとつの市として道路や公園、下水道などの都市施設を効果

的に整備し、一体性を保ちながら市街地の拡散を抑え各地域の生活

拠点を中心とした拠点集約型都市構造を構築し、持続可能な都市を

目指します。

また、地球環境を見据え、市街地から森林地域までを一体として

保全し、各地域の連携を強化し、魅力を高めて暮らしやすいまちづ

くりを目指します。

【観点3】自然環境と調和した良好な住環境の保全・形成

上田市は都市機能が集積する中心市街地と、それを順に囲むよう

に農村地域、山間地域、高原地域が広がっており、多様な地域資源

を生む要因にもなっています。

また、それぞれの地域では良好な自然や歴史、文化のなかで生活

が営まれていますが、これらにふさわしくない用途の建物等の立地

を抑えるとともに、無秩序な開発から守り安全で自然環境と調和し

た良好な住環境を保全する必要があります。

【観点2】自然・歴史・文化の地域資源の保全

美ヶ原高原や菅平高原をはじめとする自然資源や、上田城跡、信

濃国分寺史跡、塩田平などの歴史・文化資源は市内の各地域に広が

っているとともに上田市の貴重な財産となっています。

また、里山や農村集落といった原風景や、地域住民から愛着を持

たれている文化財や史跡、歴史的なまちなみなどは、その周辺地域

の環境も含めながら保全をし、上田市の個性として活かせるよう有

効に活用していく必要があります。

市の一体性・公平性の確保と、市全域に広がる自然・歴史・文化資源やそれに囲

まれた良好な住環境を保全していくルールづくりが必要になります

各拠点の連携(ネットワーク)を強め、一体的かつ持続可能な集約型都市構造(コンパ

クトシティ)の構築を推進していくため、都市計画のルールづくりを進めたい。

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暮らしやすい快適な環境を保全するため、現在指定している用途地域の

見直しと市街地周辺部の良好な土地利用を推進します。

中心市街地内にある商業系及び工業系の用途地域内では、商業施設や工業施設が減少し、戸建住宅や集

合住宅などの増加が見られることから、より良い住環境を保全するために住居系の用途地域への見直しが必要で

す。

また、用途地域の周辺部においては近年建物の立地が増えており、宅地化による農地との混在や、郊外農地

への大規模商業施設の進出が見られます。このような区域では、良好な生活環境を保全・形成するために、都市

計画制度を活用して適切な土地利用の規制・誘導を行う必要があります。

【6-2-1 用途地域及び周辺部の土地利用】

6-2 用途地域の見直し

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(1) 良好な住環境を保全・形成するための用途地域の見直し(中心市街地)

上田地域の用途地域内の一部では、指定している用途地域と実際の土地利用状況が大きく異なる箇所が

あります。

特に中心市街地内にある商業系及び工業系の用途地域内では、近年集積していた商業施設や工業施設が

減少し、代わって戸建住宅や集合住宅などが増加している状況にあります。

このような箇所については、今後の土地利用の在り方を再検討し、中心市街地内へのまちなか居住推進

や良好な住環境の保全の観点から、より良い住環境を形成しやすい住居系の用途地域への見直しを進めま

す。

【6-2-2 用途地域見直し区域の現状・課題】

区域 現在の

用途地域

現状・課題

見直し区域①

木町、上紺屋

町、下紺屋町、

丸堀町、大手

町周辺

近隣商業

地域

○現在は商業地域(建ぺい率 80%、容積率 400%)もしくは近隣商業地域(建

ぺい率 80%、容積率 300%)に指定されていますが、住宅用途が多数を占

める状況となっています。(P57「用途地域見直し区域」参照)

○建物新築についても大半が住宅で、以前に比べ商業用途の減少がみられま

す。(P58「新築建物分布図」参照)

○低中層住宅が大多数を占め

るなかで、近年ではマンシ

ョン等の高層建築物の立地

が見られることから、今後

の住環境に対する影響が懸

念されます。

○このような状況から、低中層住宅を中心とした落ち着きのある住環境を保

全していく必要があります。

見直し区域②

上鍛冶町、鍛

冶町、上房山、

下房山、上川

原柳町、下川

原柳町、愛宕

町、田町、馬

場町周辺

近隣商業

地域及び

商業地域

見直し区域③

泉平周辺

工業地域 ○現在は工業地域(建ぺい率 60%、容積率 200%)に指定されていますが、

建物新築については大半が住宅のため、以前と比べて住宅用途が増加して

きています。(P57「用途地域見直し区域」、P59「新築建物分布図」参照)

○幅広い用途の立地が可能な用途地域であるため、大規模開発や用途の混在

などにより、住環境の悪化をもたらす可能性があります。

○このような状況から、住宅と現在ある工場とが調和し、千曲川沿いの景観

に配慮した、より良い住環境を保全していく必要があります。

見直し区域④

中常田周辺

【住宅の増加】

【高層建築物の立地による

住環境への影響】

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【6-2-3 用途地域見直し区域】

見直し区域①

現在の用途地域:「近隣商業地域」

⇒「第一種住居地域」への見直し

見直し区域②

現在の用途地域:「商業地域」及び「近隣商業地域」

⇒「第一種住居地域」への見直し

見直し区域③

現在の用途地域:「工業地域」

⇒住居系用途地域への見直し

見直し区域④

現在の用途地域:「工業地域」

⇒住居系用途地域への見直し

平成 24年上田市都市計画基礎調査より

上田橋

常田新橋

古舟橋

千曲川

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(1)-1.商業系用途地域における見直しの検討(見直し区域①、見直し区域②)

区域①及び区域②では、商業系の建物の立地が減少し、代わって戸建住宅や集合住宅の立地が多くな

っています。この区域は中心市街地にあり、公共施設や商店街などにも近く利便性が高いところである

ことから、これを活かした良好な住環境を形成し、まちなか居住を推進できる土地利用を行う必要があ

ります。

【6-2-4 新築建物分布図(平成 18~22年)】

【対応方策】

商業地域(建ぺい率 80%、容積率 400%)

近隣商業地域(建ぺい率 80%、容積率 300%)

から

第一種住居地域(建ぺい率 60~80%、容積率 200%)

への変更を検討します。

・用途地域変更に向けて建物の立地状況などを考慮し、良好な住環境

を誘導する特別用途地区及び地区計画制度などの活用について併せ

て検討します。

【期待される効果】

○将来にわたり、低中層住宅を中心と

した落ち着きのある良好な住環境を

保全することが可能となります。

現在の用途地域

⇒商業地域または近隣商業地域

【見直し区域②】

平成 24年上田市都市計画基礎調査より

【見直し区域①】

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(1)-2.工業系用途地域における見直しの検討(見直し区域③、見直し区域④)

①と同様、近年では新築建物の多くは住宅となっており、今後も同様の傾向が続く場合には、住民意

向や不適格建築物の状況も考慮しながら、より良い住環境の保全を図るための用途地域の変更を検討す

る必要があります。

【6-2-5 新築建物分布図(平成 18~22年)】

【対応方策】

○工業地域(建ぺい率 60%、容積率 200%)におい

ては、既存の工場などもあることから、当面

は、特別用途地区※の指定を図ります。

○将来的には、住居系用途地域への変更を検討

します。 ※特別用途地区とは、用途地域の制限に上乗せしてさらに建

築できる建物用途を制限することができるルールです。例

えば、大規模集客施設や工場など生活環境に影響を及ぼす

建物用途の制限が可能です。

【期待される効果】

○住居系用途地域は、商業系・工業系より

も建築規制が厳しくなるため、住宅化し

ている地域の乱開発や建物用途の混在を

防ぐことが可能となります。

○3,000㎡を超える店舗、事務所、工場等の

立地が規制されるため、住環境の保全が

期待されます。

【見直し区域④】

【見直し区域③】

現在の用途地域

⇒工業地域

現在の用途地域

⇒工業地域

平成 24年上田市都市計画基礎調査より

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(2)用途地域周辺部(川辺地区、神科地区、塩尻地区、神川地区)の土地利用規制・誘導

用途地域の周辺部においては、建物の立地が近年増えてきており、宅地化による農地との混在や、幹線

道路沿道等の商業施設や工場等の立地が進行している状況がみられます。

特に、川辺地区周辺の都市環状道路や国道 18 号上田バイパスの沿道等に建物の立地が進んでいくことが

懸念されます。

このような箇所については、農業的土地利用との調整を踏まえて、用途地域をはじめ特定用途制限地域

や地区計画制度などを活用し、将来のまちなみ形成を誘導していくため、特に重点的な土地利用の規制・

誘導が必要と考えられます。

【6-2-6 用途地域周辺の建物新築状況(平成 18~22 年)】

【6-2-7 用途地域周辺の農地転用状況(平成 18~22 年)】

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このような課題に対応して、無秩序な宅地化や住宅地域にふさわしくない建物を抑制するなど、自然環

境と調和した良好な生活環境を保全・形成するため、将来的なまちなみ形成を見据えて適切な土地利用の

規制・誘導を行っていく必要があります。

【6-2-8 用途地域周辺部における適切な土地利用規制・誘導イメージ】

【対応方策】

○無秩序な宅地化や用途混在を抑制し、地域の生活環境の向上を図るための適切な土地

利用の規制・誘導を行う。

※地域住民の意向を踏まえながら、適切な都市計画制度の活用を推進します。

【第1段階】

○生活環境の悪化を防ぐために、建物用途の制限を行う都市計画制度(特定用途制限地

域)を導入する。

【期待される効果】

○住宅地に相応しくない大規模な商業施設や工場などの建

物用途を制限できるため、生活環境を保全することが可能

となります。

○ゆとりある住環境を保全することが可能となります。

【第3段階】

○より適切な土地利用の規制・誘導を行うために、地域の実状に応じた用途地域の指定

を行います。

【期待される効果】

○用途地域に指定した場合、店舗、事務所、工場等の立地が

規制され、市街地の無秩序な拡大や用途混在に歯止めをか

けることが期待できます。

○特に建築規制の厳しい住居系用途地域(第一種低層住居専

用地域など)に指定した場合、ゆとりある住環境を確保す

ることが可能となります。

【第2段階】

○無秩序な宅地化を防ぎ、自然環境と調和した住環境の保全・形成をしていくために、

良好な建築(高さ、形態、色彩など)や土地利用(道路や公園等の位置)を誘導する

ルールを定める都市計画制度(地区計画)を導入する。

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(3)その他の用途地域見直しの検討

工業系用途地域を指定している箇所では、工場などの立地減少や郊外への移転などの現状があることか

ら、今後の土地利用動向を踏まえながら、望ましい用途地域へ見直しを図ります。

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都市計画制度を効果的に活用して、良好な都市環境の形成と拠点集約型

都市構造の形成を目指します。

雄大な高原をはじめ里山や農地などの緑、田園風景など美しく豊かな自然、また、上田城跡や真田氏史跡な

ど歴史・文化的な資源に恵まれた上田市にとって、このような多彩な地域資源を保全し、上田市景観計画に基づ

き、市の魅力をまちづくりに活かしていくことが必要です。

また、市街地の無秩序な郊外化・外延化を抑制し、自然環境を保全することをはじめ、人口減少、少子高齢社

会のなかで、まちなか居住など暮らしやすい生活空間を創出する必要があります。

こうした背景を踏まえて、市域を一体の都市として、効果的により良い空間をつくる都市計画制度の活用を進め

ていきます。

6-3 より良い空間をつくる都市計画制度の活用

【課題となる箇所①】

○農地転用等による住宅立地の増加に伴い、農地と住宅の混在

が進んでいます。

また、高層建築物による眺望、景観の阻害が懸念されます。

【より良い空間をつくるための考え方】

○田園風景など自然景観と調和した良好な環境を保全するた

めに、農地の無秩序な宅地化を抑制することに加え、上田市

景観計画に基づく景観形成を図るとともに、道路・公園の位

置や規模、最低敷地規模制限や建ぺい率・容積率の制限、生

け垣や緑化など、ゆとりと潤いある住環境形成を図るルール

づくりを検討します。

⇒【想定される制度】地区計画

対象地(例)

・神川地区

・上田城南地域

・神科・豊殿地域

・塩田地域

・西部地域

【課題となる箇所②】

○幹線道路等の沿道をはじめ、建物用途の混在や大規模開発に

よる環境の悪化が懸念されます。

【より良い空間をつくるための考え方】

○周辺の住環境や自然景観と調和した良好な環境を形成する

ため、農地の無秩序な宅地化を抑制するとともに、大規模開

発や生活環境の悪化につながるなど地域にふさわしくない

建物用途や形態等を制限するためのルールづくりを検討し

ます。

⇒【想定される制度】特定用途制限地域

対象地(例)

・神川地区

・上田城南地域

・神科・豊殿地域

・塩田地域

・西部地域

【上田菅平インターチェンジ周辺】

【染屋台周辺】

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このほか、別所温泉や丸子温泉郷、浦野宿周辺など数多くの地域資源を保全していくため、住民協定や保

全意識の啓発などを検討します。

対象地(例)

上田中心市街地等(用途地域)

【課題となる箇所③】

○マンション等の高層建築物の増加により、住環境の悪化を招

いている。また、上田城跡や太郎山系の山並みへの眺望、千

曲川沿いの景観を保全する必要があります。

【より良い空間をつくるための考え方】

○低中層を中心としたまちなみの地区では、高層建築物の立地

を抑制し、良好な都市の住環境保全と風格ある都市景観の保

全・形成を図るため、上田市景観計画に基づく景観形成を図

るとともに、都市計画法に基づいたまちづくりのルールを検

討します。

また、まちなか居住の推進と整合を図りながら、規制してい

く地域を検討していきます。

⇒【想定される制度】地区計画、高度地区

【課題となる箇所④】

○歴史的建築物のまちなみ、史跡等の周辺では、歴史の面影を

残す景観を保全する必要があります。

【より良い空間をつくるための考え方】

○建替え時にも歴史の面影を残したデザインを踏襲した形

態・意匠、生け垣等のルールを検討します。

○歴史を感じさせる空間との調和を図るため、周辺地域の建築

物について、高さ制限や形態・色彩等のルールを検討します。

⇒【想定される制度】景観計画における景観形成重点地区、

地区計画

対象地(例)

・柳町(旧北国街道沿い)

・上塩尻地区

・信濃国分寺公園周辺

・御屋敷公園周辺

【柳町】

【上田駅周辺】

【上田城跡】

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農地の無秩序な宅地化を抑制

するとともに、建物の形態等

の制限により、自然環境と調

和した住環境形成を図るルー

ルを検討します。

山並みへの眺望の保全と、歴

史を感じさせる空間との調和

を図るため、都市計画法に基

づいたまちづくりのルールを

検討します。

塩田平の田園風景など自

然景観と調和した良好な

住環境形成を図るルール

を検討します。

大規模開発や生活環境の悪化

につながる建物用途を制限す

るルールを検討します。

歴史を感じさせる空間との調

和を図るルールを検討しま

す。

農業環境と調和した良好な住環

境形成を図るルールを検討しま

す。

周囲の山並みや農地と調

和した集落環境の保全

と、ささらの湯周辺の景

観形成を図るルールを検

討します。

【6-3-1 都市計画制度の活用が想定される箇所】

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計画決定以降、長期間未着手となっている路線の見直しや新たな路線の決定

に取り組みます。

一体としたまちづくりや施設整備の選択と集中のため、都市計画道路の見直しを進める必要があります。

昭和初期に都市計画決定された道路もあり、社会構造の変革による交通軸の変化や代替路線の整備に伴い、

都市計画道路の存続または廃止について見直していく必要があります。

また、市の一体性、地域間の交流・連携を強化するため、新たな都市計画道路の位置づけに取り組む必要が

あります。

(1)見直しの視点

「都市計画道路見直し指針」(H18.3、長野県)に基づいて、見直し検討対象路線の区間別に「必要性の

検討」、「代替道路の検討」、「実現性の検討」の 3 つの視点により評価します。

【6-4-1 検討の視点と評価指標】

検討の視点 評価指標

必要性の検討 ◆都市環境機能 ◇道路の土地利用上の緩衝機能

◆防災機能 ◇消防活動困難区域の解消機能

◇指定緊急輸送路機能

◆収容空間機能 ◇収容空間機能

◇公共交通機関の空間確保機能

◆交通機能 ◇交通処理機能

◆市街地形成機能 ◇都市構造形成・土地利用の誘導機能

◇開発計画支援

代替道路の検討 ◆代替道路の検証 ◇対象道路の代替機能の有無

◆既存ストックの活用の

検証

◇現道活用の可能性

実現性の検討 ◆周辺環境保全性 ◇自然環境保全の観点からの実現性

◇歴史的環境保全の観点からの実現性

◆道路構造の不適合 ◇道路構造令への適合性

◇計画車線数の妥当性

◆事業の困難性 ◇事業実施の支障要因

見直しにあたって、以下の点を踏まえて具体的に取り組みます。

・社会構造の変革などに伴い、更に詳細な必要性を検討する区間

・代替道路が整備され、実現性を踏まえ変更を視野に入れた検討が必要な区間

・都市計画道路以外の計画道路を考慮する中で、路線集約が可能な区間

・計画幅員の変更を視野に入れた検討が必要な区間

・周辺道路の状況などから位置変更の検討が必要な区間

6-4 都市計画道路の見直し

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(2)見直しをする路線

以下に示す都市計画道路を見直します。

①幹線道路

②補助幹線道路

(3)新たに都市計画道路として整備を検討する路線

市の一体性、地域間の交流・連携を強化するため、新たな都市計画道路の位置づけによる整備を検討す

る必要があります。

このような観点から、新たに都市計画道路として整備することが効果的な路線について、今後、具体的

な検討を進めていきます。

・上田都市環状道路(国道 152 号丸子バイパス) ・上信自動車道

・国道 144 号(真田地域まで) ・国道 152 号(大屋橋)

・(仮称)川原柳常田線(上田合同庁舎西側道路) ・吉田富士山線(延伸)

【存続・廃止に関する見直しをする路線】

・上田駅川原柳線(一部) ・下塩尻半過線 ・下堀山口線(一部)

・北天神町緑が丘線(一部) ・大手町下郷線(一部) ・中常田新町線(一部)

・山口福田線 ・丸子停車場線 ・腰越石井線(一部)

・長瀬腰越線(一部) ・中之道川原線(一部)

【位置や幅員の変更に関する見直しをする路線】

・諏訪部伊勢山線(一部) ・生塚新田線(一部) ・上堀大屋線(一部)

・下堀山口線(一部) ・北天神町緑が丘線(一部) ・腰越石井線(一部)

【存続・廃止に関する見直しをする路線】

・東白欠線 ・せうぶ沢宮前線 ・沢田和子線 ・大塚塚田線 ・川原線(一部)

【位置や幅員の変更に関する見直しをする路線】

・沢田山岸線 ・川原線(一部)

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【6-5-2 都市計画道路見直し路線図】

上信自動車道

沢田山岸線