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33
平成 30 年度 福臨技臨床検査精度管理調査報告書 7.微生物検査 2018.10 一般社団法人 福島県臨床検査技師会

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平成 30年度

福臨技臨床検査精度管理調査報告書

7.微生物検査

2018.10

一般社団法人 福島県臨床検査技師会

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微生物検査精度管理報告書

(一社)福島県臨床検査技師会

精度管理委員 微生物検査

菊池 重寿

山田 裕輔

1.はじめに

今年度の微生物検査精度管理調査は、前年度同様に同定検査を 2 題(試料 31、32)と薬

剤感受性検査を 1 題(試料 32)およびフォトサーベイ 2 題(設問 1、2)を出題しました。

また、全施設を対象として微生物検査と感染管理の実態をアンケート調査しました。

本調査を各施設における精度の維持・向上に役立ていただければと思います。

2.送付内容

送付試料:輸送用培地 2 本(試料 31 および 32)

(フォトサーベイを含む微生物検査の手引きは日臨技臨床検査精度管理調査サイトに掲載)

3.出題内容

3-1.同定検査および薬剤感受性検査

【試料 31】

50 代、男性。腹痛と下痢を訴えて近医を受診した。問診により、前日に自分で釣った魚

を刺身にして食べていたとのこと。細菌検査として下痢便が提出された。

疑似検体として貴施設の日常検査法によって菌を分離し、同定検査を実施してください。

起因菌として最も可能性の高い菌について回答をしてください。

【試料 32】

糖尿病加療中の 60 代、女性。発熱、咳、痰、息切れを訴え外来を受診したが、肺炎が疑

われたため入院となった。本菌は入院時の血液培養より分離された。

貴施設の日常検査法によって菌を分離し、同定検査と以下の指定薬剤について薬剤感受

性検査を実施してください。

検査抗菌薬

ペニシリン G(PCG)、アンピシリン(ABPC)、セフトリアキソン(CTRX)、

メロペネム(MEPM)、バンコマイシン(VCM)

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3-2.フォトサーベイ

【設問 1】

患者背景

1 か月半前に左手背を鎌で切った。その後患部が腫れてきた為

近医を受診し抗菌薬軟膏を処方されるも軽快せず、当院皮膚科を受診。

当院受診時の患部は易出血性の肉芽腫性病変を呈していた。

真菌感染症が疑われ、病変部生検を施行し組織培養を行った。

微生物検査

組織培養にて発育した真菌を鑑別する為に、異なる条件で培養実施。

SDA(サブローデキストロース寒天培地) 27℃ 14 日間(フォト 1-A)

BHI(ブレインハートインフュージョン培地) 35℃ 14 日間(フォト 2-B)

に菌糸形発育と酵母形発育の異なるコロニー形態を示した。

さらに SDA 発育コロニーのスライドカルチャー(フォト 1-C)、BHI 発育コロニーの

生鮮標本(フォト 1-D)を鏡検し、それぞれ異なる形態が確認できた。

問 題

患者背景、微生物検査、フォト推定される微生物を

微生物菌名マスター一覧からコードを選択し回答してください。

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【設問 2】

患者背景

67歳 男性

東南アジア地域の旅行途中から倦怠感・咳嗽が認められ、帰国後に近医受診。

経口抗菌薬を含む各種薬が処方されたがその後も改善を認めず、咳嗽悪化による

呼吸苦と 39度台の発熱、悪寒を伴い当院呼吸器科受診、入院となった。

入院時に血液培養・喀痰培養が施行され、両材料から本菌が分離された。

微生物検査

喀痰と血液培養陽性ボトルから同一と思われるグラム陰性桿菌(フォト 2-A)が

確認できた。各種培養を行い血液寒天培地(フォト 2-B)、マッコンキー寒天培地

(フォト 2-C)クロモアガーmSuperCARBA培地(フォト 2-D)にコロニーを認めた。

コロニーに対し同定試験を実施。主な生化学的性状はフォト 2-Eの結果となった。

薬剤感受性試験(微量検体希釈法)の結果はフォト 2-Fの結果となった。

薬剤耐性菌が疑われ確認検査を実施。Modified Hodge test(フォト 2-G)、

mCIM法(フォト 2-H)、カルバペネマーゼ鑑別ディスク(フォト 2-I)、

ボロン酸阻害試験(フォト 2-J)はそれぞれの結果を示した。

問 題

患者背景、微生物検査、フォトから推定される微生物を

微生物菌名マスター一覧からコードを選択し回答してください。

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フォト 1-A フォト 1-B

コロニー(SDA、27℃、14日間) コロニー(BHI、35℃、14日間)

フォト 1-C スライドカルチャー フォト 1-D BHI 生鮮標本

フォト 2-A フォト 2-B

フォト 2-C フォト 2-D

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フォト 2-E フォト 2-F

フォト 2-G フォト 2-H

フォト 2-I フォト 2-J

生化学的性状

項目 判定

インドール産生 -

VP 産生 +

シモンズクエン酸塩利用能 +

硫化水素産生/TSI -

リジン脱炭酸 +

オルニチン脱炭酸 -

アルギニン加水分解 -

尿素分解 +

Dnase活性 -

運動性 -

ONPGテスト +

ガス産生 +

乳糖分解 +

白糖分解 +

薬剤感受性試験(微量検体希釈法)

薬剤 MIC値 判定

ABPC ≧32 R

PIPC ≧64 R

CEZ ≧64 R

CTM ≧64 R

CTX ≧64 R

CTRX ≧64 R

CAZ ≧64 R

CFPM ≧64 R

CMZ ≧64 R

IPM/CS ≧16 R

MEPM ≧16 R

AZT ≧64 R

ABPC/SBT ≧32 R

PIPC/TAZ ≧128 R

AMK <=4 S

LVFX ≧8 R

陰性コントロール

陽性コントロール 被検菌

被検菌 コントロール

MEPM

APB

IPM

APB

CMZ +

APB

B E

D CMZ MEPM IPM

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4.参加状況

4-1.微生物検査参加施設数:22 施設

・ 同定検査および薬剤感受性検査:17 施設

・ フォトサーベイ:22 施設

・ アンケート調査:35 施設(回答率 58.3%)

4-2.参加状況の推移

平成 26 年度

(第 22 回)

平成 27 年度

(第 23 回)

平成 28 年度

(第 24 回)

平成 29 年度

(第 25 回)

平成 30 年度

(第 26 回)

精度管理参加施設数 64 58 59 60 60

微生物検査参加施設数 28 28 25 23 22

参加率(%) 43.8 48.3 42.4 38.3 36.7

施設分類 病院 22 22 20 21 20

検査センター等 6 6 5 2 2

回答施設数 27 28 25 23 22

回収率(%) 96.4 100.0 100.0 100.0 100.0

実施内容

グラム染色 ○ ○

同定検査 ○ ○ ○ ○ ○

薬剤感受性検査 ○ ○ ○ ○ ○

フォトサーベイ ○ ○ ○ ○ ○

アンケート ○ ○

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5.評価方法

5-1. 同定検査および薬剤感受性検査(試料 31・32)

同定検査

A 正解

B

C

D 不正解

薬剤感受性検査

A すべての薬剤が精度管理限界値内である

B 1 薬剤または 2 薬剤が精度管理限界値から外れ

ている

C 3 薬剤または 4 薬剤が精度管理限界値から外れ

ている

D すべての薬剤が精度管理限界値から外れている

5-2.フォトサーベイ

フォトサーベイ

A 正解

B

C

D 不正解

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6.結果および解説

6-1.同定検査・薬剤感受性検査

1)試料31:Vibrio parahaemolyticus(臨床分離株)

<同定検査>

評価 同定菌名 回答数 %

A Vibrio parahaemolyticus 17 100.0

計 17 100.0

同定機器/方法別 回答数 %

バイテック 2 9 52.9

マイクロスキャン Walk Away 6 35.3

MALDI バイオタイパー 1 5.9

用手法 1 5.9

計 17 100.0

<解説>

試料31は、Vibrio parahaemolyticus (臨床分離株)および Enterococcus faecalis

(ATCC® 29212™)を混合した試料を疑似検体として出題した。昨年度と同様に、分離され

た菌から原因菌の可能性の高い菌種を1つ回答してもらう形式をとったが、全施設がVibrio

parahaemolyticus と解答し、正解率は100%であった。

腸炎ビブリオは感染性胃腸炎(5 類感染症定点把握疾患)の起因菌の 1 つである。汚染さ

れた生鮮魚介類とその加工品が食中毒の原因となる。

好塩性があり、3%食塩濃度で最もよく発育する。TCBS 寒天培地上のコロニーは青緑色

(白糖非分解)を示し、オキシダーゼ試験陽性である。BTB 乳糖加寒天培地、マッコンキ

ー寒天培地、SS 寒天培地には発育しない。生化学的性状は以下に示すとおりである。

Vibrio parahaemolyticus の生化学的性状

TSI 培地 LIM 培地 オルニチン

脱炭酸 斜面

/高層 ガス

H2S

産生

リジン

脱炭酸

インドール

産生 運動性

-/A - - + + + +

NaCl 加ペプトン水 発育試験

0% 3% 7% 10%

- + + -

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2)試料 32:Streptococcus pneumoniae (ATCC® 49619™)

<同定検査>

評価 同定菌名 回答数 %

A Streptococcus pneumoniae 15 88.2

Streptococcus pneumoniae(ムコイド型) 2 11.8

17 100.0

同定機器/方法別 回答数 %

バイテック 2 8 47.1

マイクロスキャン Walk Away 6 35.3

MALDI バイオタイパー 1 5.9

用手法 2 11.8

計 17 100.0

<薬剤感受性検査>

薬剤名 MIC

符号

MIC 値

(µg/mL) 回答数 計

精度管理

限界値 評価

PCG

= 0.25 6

17 0.25-1 A = 0.50 7

= 1.00 4

ABPC※

≦ 0.06 6

11 0.06-0.25 A =

0.12 2

≦ 2

≦ 2.00 1

CTRX

≦ 0.06 3

17 0.03-0.12 A = 0.12

4

≦ 10

MEPM

≦ 0.06 6

15 0.06-0.25 A ≦ 0.12 8

≦ 0.50 1

VCM

= 0.25

10

17 0.12-0.5 A ≦ 2

≦ 1.00 5

※ディスク拡散法(ABPC):1 施設あり

阻止円径:30 ㎜/精度管理限界値:30-36 ㎜/評価:A

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<追加試験およびコメント> 評価対象外

○薬剤耐性

PISP である 3

PISP の可能性がある 1

PRSP の可能性がある 1

PRSP や PISP ではない(PSSP である) 2

○感染対策

病院(院内)感染防止対策上、極めて重要な菌であると考えられる 4

病院(院内)感染防止対策上、特に問題となる菌ではないと考えられる 1

○感染症法

5 類感染症として取り扱う 7

<解説>

試料 32 には、Streptococcus pneumoniae (ATCC® 49619™)を使用した。

肺炎球菌はヒツジ血液寒天培地上(35~37℃、24 時間培養)ではα溶血をともなったコ

ロニーを形成し、時間が経過すると自己融解のため中心部が陥没した特徴的なコロニーを

形成する。莢膜が存在するため、露滴状のムコイド型コロニーを形成する場合もある。他

のα溶血性レンサ球菌と異なり、オプトヒン:感受性、胆汁溶解試験:陽性である。

ムコイド型と回答した施設もあったが、培養条件等により異なることも考えられるため

正解とした。同定検査は 100%の正解率であり、良好な結果であった。

本菌は CLSI の精度管理推奨株であり、精度管理限界値が設定されている。今回の薬剤感

受性検査はこの範囲内に入っているかどうかで評価を行った。いずれの施設も範囲内にあ

り、良好な結果であった。今回、SIR のカテゴリーは評価していないが、PCG の判定基準

は髄膜炎由来か、非髄膜炎由来かにより異なるため確認をしていただきたい。

また、感染症法において侵襲性肺炎球菌感染症は五類全数届出の対象である。その定義

は「Streptococcus pneumoniae による侵襲性感染症として、本菌が髄液又は血液などの無

菌部位から検出された感染症とする」とされている。

PCGのMICブレイクポイント

髄膜炎由来株 非髄膜炎由来株

S I R S I R

注射薬 ≦0.06 - ≧0.12 ≦2 4 ≧8

経口薬 - ≦0.06 0.12-1 ≧2

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【参考資料】

・堀井俊伸・大塚和久.「微生物検査ナビ 第 2 版」.栄研化学株式会社,2016.

・小栗豊子.「臨床微生物検査ハンドブック<第 5 版>」.株式会社三輪書店,2017.

・Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI).「抗菌薬感受性検査のための標準法

-第 22 版」.日本臨床微生物学会監修.日本臨床検査標準協議会(JCCLS),2012.

・国立感染症研究所ホームページ:

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/438-vibrio-enteritis.html

https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/1372-disease-based/ha/streptococcus-pneumoniae/ids

c/iasr-topic/8163-461t.html

・厚生労働省ホームページ:

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kan

senshou/kekkaku-kansenshou11/01.html

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6-2.フォトサーベイ

【設問 1】

<正解および正解率>

評価 推定菌名 回答数 正解率

正解

(評価 A)

Sporothrix schenckii 20 施設 91%

Sporothrix sp. 2 施設 9%

合 計 22 施設 100%

解 説

形 態(顕微鏡)

温度依存性二形成を示す。

①25~30℃

菌糸は直径 1~2μm と極めて細く、有隔性、分岐性で直角に立ち上がる華奢な先細

りの分生子柄が付いている。分生子柄の先端は少し膨らんでいる事が多く、涙滴形あ

るいはほぼ円形の、小さく、無色の分生子(2~3×2~6μm)が繊細な糸状の小歯状

突起上に多数付着し、若いコロニーではロゼット様の集簇を形成する。その後、分生

子(通常、褐色で壁が厚い)は、菌糸に沿って単独で生じるようになる。

②35~37℃

円形から卵円形および紡錘形を呈する様々な大きさ(1~3×3~10μm)の通常は葉

巻小体(cigerbody)と呼ばれる出芽細胞が認められる。

菌糸形から酵母様への変換は同定結果を確認するのに不可欠である。

培 養

温度依存性二形成を示す。

①25~30℃

コロニーは初め小さく、白色または淡いオレンジ色~オレンジ灰色であり、綿毛状

の気中菌糸は見られない。その後コロニーは、湿潤し皺がより、なめし皮状または、

ビロード状、色は褐色または黒色になり、辺縁は細い白色を呈する。最初から黒色に

なる分離株もある。保存株は、まったく着色しないままの事もある。暗色の表面を持

つコロニーの裏面は通常、中心部が暗色で、辺縁は明るい色である。

②30~37℃

クリーム色または黄褐色、表面が柔らかな酵母様である。

良好な酵母形を作るには、ブレーンハートインフュージョン寒天を用い、何代か継代

するのがよい。

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菌種鑑別の性状

菌種

CMA 寒天上

のコロニー

色調

菌糸の側面に

沿った暗褐色

の分生子

PDA 培地上

30℃、21 日間

培養後の

コロニー直径

PDA 上

37℃培養

発育

同化

スクロース

ラフィノース

S. schenckii 褐色 + <50mm + + +

S. brasiliensis 褐色 + <50mm + 0 0

S. globosa 褐色 + <50mm - + 0

S. mexicana 褐色 + >50mm +(±) + +

S. albicans 白色 - >50mm + + 0

CMA:コーンミール PDA:ポテトデキストロース

基本情報

スポロトリコーシス(sporotrichosis)と呼ばれる深部皮膚真菌症を引き起こすが、

輸入真菌ほど危険性は高くない。本菌は土壌や植物、材木等に生息する自然環境菌で

あり、南北アメリカ、アジア、オセアニア等の温暖多湿地域に分布する。

日本では関東、近畿、九州に比較的多く発生している。

本菌の感染は汚染植物材料による外傷を介して引き起こされる事が多く、皮下組織

または深部皮膚組織に慢性潰瘍性の病変を形成する。顔面、四肢に好発する。数週か

ら数か月後、感染局所に結節、潰瘍、浸潤等を伴う無痛性の肉芽種性病変を生じる(限

局型スポロトリコーシス)、菌がリンパ管を経由して周辺の皮膚表面に広がると、結節

状病巣をつくる(リンパ管型スポロトリコーシス)、エイズ患者など免疫能の低下した

患者では全身に播種し、深部臓器に拡大する事もある。

易感染症の人は、本菌の吸入後に原発性肺スポロトリコーシスを発症する事がある。

この感染症は、播種を起こして致命的になる事が稀にある。

感染症法上の分類

特になし

【参考資料】

D.H.ラローン 『医真菌 同定の手引き第 5 版』 栄研化学株式会社

2013.p166-168

吉田 眞一、柳 雄介、吉開 泰信『戸田細菌学 改訂 34 版』 南山堂

2013.p762

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<フォトサーベイ設問1 回答一覧>

受付

ID

No.1

コード 名称 評価

2 7411 Sporothrix schenckii A

3 7411 Sporothrix schenckii A

4 7411 Sporothrix schenckii A

6 7411 Sporothrix schenckii A

7 7411 Sporothrix schenckii A

8 7411 Sporothrix schenckii A

10 7410 Sporothrix sp. A

11 7411 Sporothrix schenckii A

17 7411 Sporothrix schenckii A

18 7411 Sporothrix schenckii A

19 7411 Sporothrix schenckii A

21 7411 Sporothrix schenckii A

23 7411 Sporothrix schenckii A

31 7411 Sporothrix schenckii A

32 7410 Sporothrix sp. A

34 7411 Sporothrix schenckii A

36 7411 Sporothrix schenckii A

37 7411 Sporothrix schenckii A

39 7411 Sporothrix schenckii A

48 7411 Sporothrix schenckii A

51 7411 Sporothrix schenckii A

55 7411 Sporothrix schenckii A

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【設問 2】

<正解および正解率>

評価 推定菌名 回答数 正解率

正解

評価 A Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae 22 施設 100%

付随コメント KPC 産生菌である。 12 施設

KPC 産生菌の可能性がある 10 施設

合 計 22 施設 100%

解 説

今回は Klebsiella pneumoniae KPC 産生株(総合南東北病院の臨床分離株)を出題

した。毎年、細菌検査室の無い複数のご施設にもフォトサーベイのみに参加頂いており、

本サーベイを通じてカルバぺネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)に対する理解を深めて頂

こうと出題しました。結果は、全参加施設正解と良好な成績が得られました。

形 態

0.3~1.5×0.6~6.0μm のグラム陰性桿菌。鞭毛は無い

Escherichia coli に比べ、やや大型の大きさを示す。

ムコイド株の場合、菌体周辺に莢膜が赤染するか、色が抜けて見える。

培 養

好気培養、嫌気培養、5~10%炭酸ガス培養のいずれの条件でも発育良好

●ヒツジ血液寒天培地

35~37℃、24 時間培養で粘稠性のあるムコイド状の大きなコロニーを形成する。

腸内細菌科細菌の中で最も大きく、正円、半円球で光沢があり著しく隆起したコロニ

ー。近年高い粘稠性を示す菌株が出現し、病原性の高い菌として注目されている。

(※基本情報に掲載)

●BTB 乳糖寒天培地

乳糖分解するので黄色のムコイド上のコロニーを形成する。

●マッコンキー培地

ピンク色のムコイド上のコロニーを形成する。

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同 定

生化学的性状

インドール

産生

VP

反応

シモンズクエ

ン酸塩利用能

H₂S産生

/TSI

リジン

脱炭酸

オルニチン

脱炭酸

アルギニン

加水分解

定 - + + - + - -

尿素

分解

Dnase

活性 運動性

ONPG

テスト

ガス

産生

乳糖

分解

白糖

分解

定 + - - + 強+ + +

Klebsiella oxytocaはインドール陽性が鑑別点となり、SerratiaやEnterobacterは、

運動性陽性、リジン脱炭酸陰性、オルニチン脱炭酸陽性が鑑別点となる。その他の

Klebsiella では VP 反応陰性が鑑別点となる。

耐性菌鑑別検査

今回は、掲載した薬剤の殆どに薬剤耐性が認められており、薬剤耐性菌の鑑別を要する。

関連する試験をフォトの掲載順に解説する。

①クロモアガーmSuperCARBA 培地 :関東化学株式会社

カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の選択培地として用いられる。

判 定(メーカー添付文書)

Klebsiella pneumoniae では KPC 産生型を含む CPE の場合はメタリック青のコロ

ニーを形成する。菌種が E. coli の場合は藤色、腸内細菌以外のグラム陰性菌では透明

や白色等のコロニーを形成する。ESBL 産生菌は抑制される。

②Modified Hodge Test (CLSI による検出法の 1 つ)

腸内細菌科細菌におけるカルバペネマーゼ産生性の有無を確認する方法。

判 定

E.coli ATCC25922 の発育阻止帯と被検菌株の発育画線とが交差する箇所で

E.coli の発育帯が中央のディスク方向に向かって拡張している場合を『陽性』とする。

NDM-1 産生株で偽陰性、AmpC 産生過剰産生株で偽陽性を示す事がある。

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③mCIM(modified Carbapenemase Inactivation Method )法

カルバペネマーゼ活性の有無を簡便に検出する方法。

カルバペネマーゼ活性が低い場合でも検出可能である。

被検菌株の懸濁液中にメロペネムディスクを浸漬させ、E.coli ATCC25922 を予め塗

布したミューラーヒントン寒天培地上に置き一夜培養。

判 定

阻止円は形成されない場合を『陽性』と判断する。

カルバペネマーゼの存在によりディスクに含有されるメロペネムが分解不活化され

阻止円が形成されない為である。

④カルバペネマーゼ鑑別ディスク plus :関東化学株式会社

カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌を耐性機構別に鑑別できる試薬。

被検菌株を McFarland0.5 濁度に調整した菌液をミューラーヒントン寒天培地等の

感受性試験様平板に塗布する。平板に各ディスクを阻止円が読み取れるよう十分な距

離を離して設置する。

ディスクの種類と含有薬剤

A ファロペネム 10μg

B ファロペネム 10μg+MBL 阻害剤

C ファロペネム 10μg+KPC 阻害剤

D ファロペネム 10μg+AmpC 阻害剤

E テモシリン 30μg+MBL 阻害剤

判 定

KPC の場合 Zc-ZA ≧ 5mm ZB-ZA 及び ZD-ZA <5mm

他、詳細はメーカー添付文書参照願います。

⑤ボロン酸酵素阻害試験

KPC 型カルバペネマーゼがボロン酸によって阻害される事を利用し、ボロン酸を用

いた酵素阻害試験を実施し、KPC 型カルバペネマーゼを確認する事が出来る。

CLSI ディスク拡散法の要領に従い、ミューラーヒントン寒天培地に被験菌液を塗

布し、3-アミノフェニルボロン酸溶液 10μL を添加したディスクと未添加のディスク

を用意し平板に設置する。37℃16~20 時間培養し阻止円を確認する。

判 定

ボロン酸添加ディスク - 未添加ディスク ≧ 5mm で『陽性』

※今回は CMZ、IPM、MEPM でディスクを用いているが、一般的には CAZ と MEPM

が用いられる。また AmpCβラクタマーゼ産生菌もボロン酸阻害を受ける為、鑑別

にクロキサシリンを用いた酵素阻害試験を並行して行う事が望ましい。

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基本情報

Klebsiella pneumoniae

呼吸器と尿路感染症の原因となる事が多い。

薬剤耐性菌株では院内感染を引き起こす事が多く、尿路感染が最も多いとされる。

近年高い粘稠性を示す菌株が出現し、組織侵襲性Klebsiella pneumoniaeと呼ばれ、

肝膿瘍や敗血症、髄膜炎、眼内炎等を惹起しやすい。血清型 K1、K2 株に多くみられ、

染色体性の magA とプラスミド性の rmpA の遺伝子が高い粘稠性に関係しているとさ

れている。組織侵襲性 Klebsiella pneumoniae の鑑別の簡易的方法 Stringtest が用い

られる。血液寒天培地上のコロニーに爪楊枝等で接した後、粘糸が 5mm 以上伸びれば

組織侵襲性 Klebsiella pneumoniae の可能性を示唆する陽性と判断する。

KPC(Klebsiella pneumoniae Carbapenemase)産生株

ピペラシリン/タゾバクタムを含む多くのβラクタム系抗菌薬に耐性。

Ambler 分類でクラス A 分類される。近年 KPC-2 産生株が世界に拡散しつつある。

感染症法上の分類

カルバぺネム腸内細菌科細菌感染症:5 類感染症

判断基準

検査方法 検査材料

分離・同定による腸内細菌科細菌の検出かつ

次のいずれかによるカルバぺネム系薬剤及び広域β-ラクタム剤に対する耐性の確認

ア メロペネムの MIC 値が 2μg/ml 以上であること、又はメロペネムの感受性ディスク

(KB)の阻止円の直径が 22mm 以下であること

イ 次のいずれにも該当することの確認

(ア)イミペネムの MIC が 2μg/ml 以上であること、又はイミペネムの感受性ディスク

(KB)の阻止円の直径が 22mm 以下であること

(イ)セフメタゾールの MIC 値が 64μg/ml 以上であること又はセフメタゾールの

感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が 12mm 以下であること

血液、腹水、胸水、

髄液その他の通常

無菌的であるべき検体

次のいずれにも該当することの確認

ア 分離・同定による腸内細菌科細菌の検出

イ 次のいずれかによるカルバぺネム系薬剤及び広域β-ラクタム剤に対する耐性の確認

(ア)メロペネムの MIC 値が 2μg/ml 以上であること、又はメロペネムの感受性

ディスク(KB)の阻止円の直径が 22mm 以下であること

(イ) 次のいずれにも該当することの確認

喀痰、膿、尿

その他の通常無菌的

ではない検体

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a イミペネムの MIC が 2μg/ml 以上であること、又はイミペネムの感受性ディスク

(KB)の阻止円の直径が 22mm 以下であること

b セフメタゾールのMIC値が64μg/ml以上であること又はセフメタゾールの感受性

ディスク(KB)の阻止円の 直径が 12mm 以下であること

ウ 分離菌が感染症の起因菌と判定されること

【参考資料】

堀井俊伸・大塚和久.『微生物検査ナビ 第 2 版』.栄研化学株式会社 2016.p226-227

日本臨床衛生検査技師会.『臨床微生物検査技術教本』.丸善出版

2017.p157-158、342-344

臨床検査増刊号.『微生物検査イエローページ』.医学書院 2014.p1296-1300

臨床検査学講座.『臨床微生物学』医歯薬出版株式会社.2018.p142-143

『カルバペネマーゼ鑑別ディスク plus』添付文書

『クロモアガーmSuperCARBA 培地』添付文書 いずれも関東化学株式会社

日本臨床微生物学会ホームページ

http://www.jscm.org

厚生労働省ホームページ

http://www.mhlw.go.jp

国立感染症研究所ホームページ

https://niid.go.jp

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<フォトサーベイ設問 2 回答一覧>

受付 ID No.2 No2 附加コメント(薬剤耐性)

コード 名称 評価 コード 名称

2 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

3 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

4 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

6 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

7 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

8 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

10 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

11 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

17 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

18 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

19 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

21 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

23 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

31 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

32 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

34 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 21 KPC 産生菌の可能性がある

36 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

37 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

39 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

48 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

51 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

55 2351 Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae A 20 KPC 産生菌である

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付加コメント一覧

受付

ID

付加コメント

(起因性)

付加コメント

病院感染対策

付加コメント

感染症法上

フリーコメント

2 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

3 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

4 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

6 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

保健所長を経由して

都道府県知事に届け出る

必要がある

7 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

8 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

10 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症の可能性が

あるが、院内で対応が

できないので検査を

外注する

11 特にコメントなし 病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

17 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

18 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

19 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

21 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

23 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

31 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

32 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

34 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

36 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

37 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

39 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

48 起炎菌の可能性がある 病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

血液培養検体(無菌検体等)より

CRE を検出した場合、

感染症法上 5 類感染症として

取り扱う。

51 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

55 起炎菌の可能性が

きわめて高いと考えられる

病院(院内)感染防止対策上、

極めて重要な菌であると考えられる

5 類感染症

として取り扱う

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7.評価一覧

受付 ID 試料 31

同定

試料 32

同定

試料 32

薬剤感受性

フォト

設問 1

フォト

設問 2

2 A A A A A

3 A A A A A

4 A A A A A

6 A A A A A

7 A A A A A

8 - - - A A

10 - - - A A

11 A A A A A

17 A A A A A

18 A A A A A

19 - - - A A

21 A A A A A

23 A A A A A

31 - - - A A

32 A A A A A

34 A A A A A

36 A A A A A

37 A A A A A

39 A A A A A

48 A A A A A

51 - - - A A

55 A A A A A

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8.微生物検査アンケート調査結果

今年度は県内全施設(微生物部門サーベイ不参加施設を含む)を対象に微生物検査及び

感染管理の状況についてアンケート調査をさせて頂きました。35 施設(内サーベイ参加施

設は 22 施設)から回答を得ました。

御協力頂きました施設に感謝申し上げます。

【業務形態】

設問1

微生物検査の体制を教えて下さい。 回答 35 施設

体制 施設数

自施設(一部外注委託を含む) 16

外注委託 18

その他( ) 1

設問2

検査室に勤務する全検査技師数を教えて下さい。 回答 31 施設

人数 回答施設数 人数 回答施設数 人数 回答施設数

0 3 9 3 23 1

2 3 10 1 24 2

2.5 1 11 2 26 1

3 3 12 1 51 1

4 2 14 1 75 1

5 1 18 1

8 1 22 2

設問3

微生物検査に従事する技師の人数と経験年数を教えて下さい。

従事技師数 回答 14 施設

技師数 回答施設数 技師数 回答施設数

1 3 5 3

2 4 6 1

4 3

従事技師は 1~6 名と差が見られ

ます。施設規模や人員数の違いに

より異なるものと思われます。

自施設実施が 16 施設。

外注委託が 18 施設という

結果となりました。

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他部門との兼務 回答 8 施設

兼務人数 回答施設数

1 2

2 2

3 2

4 2

経験年数 回答 20 施設

年数 回答施設数

① 1年以内 13

② 2~5年 5

③ 5~10年 1

④ 10年以上 1

設問4

1.で【外注委託】を選択した施設にお伺いします。

院内でグラム染色の塗抹・鏡検検査や血液培養は実施していますか。

① グラム染色の塗抹・鏡検検査 回答 17 施設

選択肢 回答施設数

はい 6

いいえ 11

② 血液培養 回答 17 施設

選択肢 回答施設数

はい 0

いいえ 17

少ない施設で 1 名、多い施設では 4 名の

技師が他部門と兼務しながら微生物検査

業務に従事していると回答がありました。

5~10 年が 1 名、10 年以上の方が 1 名、

経験年数 1 年以内が 13 名と経験の少ない

技師の割合が多い結果となりました。

17 施設から回答がありました。

外注委託のうち 6 施設がグラム染色を院内

で実施している結果となりました。

血液培養については全施設が

院内で未実施という結果が得られました。

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【精度管理】

設問1

本精度管理調査以外に微生物検査の外部精度管理調査に参加していますか。

参加していると回答された施設は差し支えなければ管理調査名をお答えください。

回答 32 施設

選択肢 回答施設数

参加していない 14

参加している 18

参加している精度管理調査名 回答 16 施設

精度管理調査名 回答施設名

日臨技 12

日臨技、日衛協 1

関東甲信越地区マイクロスキャン研究会 2

PCR感染症検査研究会 1

設問2

微生物検査の内部精度管理を実施していますか。

回答 29 施設

選択肢 回答施設名

はい 7

いいえ 22

設問3

2.で【はい】と答えた施設に質問します。

①各検査の実施内容と頻度を教えてください。

塗抹・鏡検検査

回答 3 施設

内容 回答施設数

標準菌株を使用しての標本を作成し目合わせ 2

臨床菌株を使用して染色確認 1

本精度管理以外に外部精度管理に参加している

施設は 18 施設でした。

※今年度 本サーベイ参加施設 22 施設

日臨技精度管理の参加割合が

多い結果でした。その他はメー

カーや研究会サーベイの回答が

見られました。

内部精度管理を実施しているのは 7 施設でした。

塗抹・鏡検検査が 3 施設(毎日・週 1)

培養・同定試験が 5 施設 週 1・月 1

薬剤感受性試験が 6 施設 LOT 変更時

ATCC 標準菌株を利用し行われています。

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塗抹・鏡検検査の実施頻度

回答 3施設

頻度 回答施設数

週一回 1

毎日 2

培養・同定検査

回答 5 施設

内容 回答施設数

標準菌株を使用しての同定検査 1

標準菌株を使用して自動機器による同定 1

標準菌株を使用して同定実施 1

標準菌株を使用して培養・同定実施 1

標準菌株を用いた VITEK同定カードの測定 1

培養・同定検査の実施頻度

回答 5 施設

頻度 回答施設数

1 ヶ月に 1回 1

月初め、ロット変更時 1

週 1回 3

薬剤感受性試験

回答 6 施設

内容 回答施設数

標準菌株を使用しての薬剤感受性試験 6

薬剤感受性試験の実施頻度

回答 6 施設

頻度 回答施設数

1 ヶ月に 1回 1

月初め、ロット変更時 1

週 1回 4

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② 精度管理に用いる菌株について教えて下さい。

回答 7 施設

菌株種類 回答施設数

ATCC標準菌株 7

臨床分離株 0

その他( ) 0

設問4

①今後、内部精度管理を実施する予定はありますか。

回答 20 施設

選択肢 回答施設数

はい 4

いいえ 16

② 現在、内部精度管理をしていない(今後もしない)理由があれば教えてください。

回答 4 施設

理由 回答施設数

ATCC株はあるが、なかなか時間が

無くできていないが、やった方がいいと感じている 1

外注委託だから 1

実施できる体制が大変 1

全外注であるため 1

内部精度管理の実施を予定する施設が

4 施設ありました。

実施しない理由としては業務体制の

影響や外注と回答がありました。

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【感染管理】

設問1

貴施設は感染防止対策加算を取得されていますか。

回答 30 施設

選択肢 回答施設数

加算Ⅰ 14

加算Ⅱ 10

取得していない 6

設問2

院内感染対策チーム(ICT)に所属していますか。所属人数も合わせて教えてください。

回答 30 施設

選択肢 回答施設数

はい 28

いいえ 2

所属人数 回答 26 施設

人数 回答施設数 人数 回答施設数

1.0 7 5.0 1

2.0 13 8.0 1

3.0 1 10.0 1

4.0 1 12.0 1

設問3

ICT としてどのような活動をされているか具体的な内容をお答えください。

回答 19 施設

内容 回答施設数

ICT ラウンド、血液培養陽性者カンファレンス、

アンチバイオグラムの作成など 1

ICTラウンド、薬剤耐性菌分離状況発信 1

ICT ラウンド参加 感染管理者として登録 1

ICT委員会幹事、アンチバイオグラムの作成、院内ラウンド、

感染症発生の対策立案 1

アンチバイオグラムの作成、ICT ラウンド、ミーティング、AST、

薬剤耐性菌分離状況の発信、 1

加算Ⅰ 14 施設

加算Ⅱ 10 施設

計 24 施設が取得しています。

加算取得施設数 24 施設よりも、ICT 所属数が

30 施設と上回り、感染管理への参画が進んで

いると思われます。

ICT に所属する技師は 1~2 名が多くを占めていま

した。8~12 名という施設もありましたが、全職種

を含めた所属人数を答えて下さった可能性があり、

質問の仕方に問題があったかもしれません。ICT 活

動はラウンドやアンチバイオグラム作成が多く見

られました。

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アンチバイオグラムの作成、薬剤耐性菌分離状況の発信

(病棟マップも用いて)、入院患者主要分離菌の統計報告、

入院患者検査材料別分離菌上位 5菌種の報告、結核菌患者の報告 1

アンチバイオグラム作成、薬剤耐性菌分離状況、

感染対策カンファランス、院内ラウンド等 1

アンチバイオグラム作成、薬剤耐性菌分離状況の発信、

ラウンド参加など 1

ラウンドの参加、POD解析、耐性菌を含めた検出菌情報の提供

及び環境菌の培養 1

院内ラウンド、手洗い講習会、感染防止に関する資料の配布等 1

院内ラウンドや職員に向けての学習会、マニュアル等文章の作成、

立案、薬剤耐性菌検出状況の報告、アンチバイオグラムの作成 1

院内感染対策ラウンド、手指衛生などの講習会 1

感染症調査、ICT ラウンド、研修会の開催、感染の拡大防止対策 1

感染対策ラウンド、薬剤耐性菌分離状況の発信、アンチバイオグラムの

作成 1

月 4回院内のラウンドを実施 1

入院患者の状態把握を月に一度の会議で実施

週に一度の耐性菌分離状況や、感染に関するニュース等の発信 1

毎週のラウンド・ミーティング。院内感染情報の発信。他院との合同カン

ファランスに参加。感染に関する各種勉強会への参加、アンチバイオグ

ラムの作成、等。 1

薬剤感受性分離状況の発信 1

薬剤耐性菌分離状況集計 1

設問4

感染対策ラウンドには参加されていますか?

回答 29 施設

選択肢 回答施設数

毎回参加 20

参加可能な時のみ 8

不参加 1

院内感染対策ラウンドは毎回参加が

多数を占め、頻度は週 1 回が多く月、年

単位で開催している施設もありました。

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開催頻度を合わせてお答えください。

回答 27 施設

頻度 回答施設数 頻度 回答施設数

月 1回 3 年 3回 1

週 1回 20 年 8回 1

週 2回 1 年に 2回 1

設問5

厚生労働省院内感染サーベイランス事業(JANIS)検査部門に参加していますか。

回答 30 施設

選択肢 回答施設数

はい 16

いいえ 14

設問6

ICT の活動を負担と感じますか。

回答 22 施設

選択肢 回答施設数

はい 9

いいえ 13

【はい】と回答する場合は具体的内容をお聞かせください。

回答 9 施設

内容 回答施設数

スキルがないのに病院全体を管理している。 1

ミーティングの拘束時間が長い。資料作成に時間がかかる。 1

院内感染ラウンドの回数。 1

検査技師不足にも関わらず人員補充ないため、負担となっています。 1

検査業務との兼任となるので負担である 1

検査業務を中断して活動する状況もあり、業務を圧迫している。 1

残業になる 1

責任及び業務量に対する人員の不足 1

毎週の ICT ラウンドと耐性菌検出状況の提出はきつい 1

JANIS の参加施設数は 16 施設と加算Ⅰを取得

している 14 施設を 2 施設上回り、加算Ⅰ取得

施設は全て JANIS 参加という取得要件を満た

していると考えます。

負担と感じていない施設が感じている施設を

上回り、活動への意識の高さが伺われました。

負担と感じる施設は、スキル、時間、人員の

不足を理由としていました。

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設問7

加算取得により得られた収益が、感染管理活動や検査室運営に反映されていますか。

回答 15 施設

選択肢 回答施設数

はい 5

いいえ 10

反映された具体的内容をお聞かせください。(例 感染制御システムの導入など)

回答 3 施設

内容 回答施設数

院内の感染防御に反映されている 1

感染制御システムの導入、PPEの購入費 1

職員のワクチン接種や感染症の検査項目・検査回数が増えた。 1

設問8

抗菌薬適正使用支援加算(AST:抗菌薬適正使用チーム加算)の取得はされていますか。

回答 26 施設

選択肢 回答施設数

はい 10

いいえ 16

設問9

設問6にて【はい】と答えた施設に質問します。

AST としてどのような活動をされているか具体的な内容をお答えください。

回答 8 施設

活動内容 回答施設数

アンチバイオグラム、血液培養複数セット採取率 クロストリジウム

検出数 1

医師、薬剤師、看護師と共に、血液培養提出者の抗菌薬が適切に

使用されているかの検討をしている 1

医師及び薬剤師が中心となり活動しており、検査技師としての活動

は今のところ無し 1

10 施設が反映されていないと回答し、本来、

感染管理に使用されるべき収益が活用され

ていないと考える施設が多くを占めました。

本年度より算定が開始された AST 支援加算について

10 施設がすでに取得しているとの事でした。技師も

チームの中で多様な活動をしている内容が確認で

きました。

Page 33: 7.微生物検査 - fukushima-amt.or.jpfukushima-amt.or.jp/wp2017-10/wp-content/uploads/... · さらにsda 発育コロニーのスライドカルチャー(フォト1-c)、

血液培養の複数セット採取率の算出など 1

血液培養の複数セット採取率算出、アンチバイオグラムの作成、血

液培養陽性者や TDM関与患者への介入 1

血液培養陽性患者のリストアップ。AST会議に参加(週 1回) 1

抗菌薬使用状況、耐性菌検出状況、血培陽性状況などから、抗菌

薬使用について検討、アドバイスなど 1

病棟ラウンド、血液培養採取率集計 1

AST と ICT の担当者の配置についてお答えください。

回答 10 施設

選択肢 回答施設数

両チーム兼務 9

各チームに別担当者 0

その他(詳細を記載してください) 1

その他の詳細

回答 1施設

内容 回答施設数

両チーム兼務の者と ASTのみの者もいる 1

設問9

設問6で【いいえ】と答えた施設に質問します。

① 今後抗菌薬適正使用支援加算を取得する予

定はありますか?

回答 13 施設

選択肢 回答施設数

はい 4

いいえ 9

② 現在、取得していない(できない)理由があればお教えください。

回答 2 施設

理由 回答施設数

チームの人員を確保が困難 1

小規模施設の為、薬剤師等人員的に無理である。 1

AST 加算取得 10 施設中、9 施設は担当者が

ICT と兼務しています。複数担当者がいる

施設は兼務と ASTのみと分けているようで

す。

今後 AST 加算の取得を予定している

施設が 4 施設ありました。

取得していない理由として、技師や他職種の

人員不足の問題が挙げられていました。