第85日本消化器内視鏡学会(高度肥満患者に対する内視鏡的胃内バルーン留置術)...
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高度肥満患者に対する内視鏡的胃内バルーン留置術高度肥満患者に対する内視鏡的胃内バルーン留置術
前川 智 1, 野村亮介 1, 村瀬貴之 1, 安 泰善 1, 麻植ホルム正之 1, 笠井英裕 2
1. 独立行政法人労働者健康福祉機構 新潟労災病院 消化器内科 , 2. 独立行政法人労働者健康福祉機構 新潟労災病院 循環器内科
当科では 2010 年 7 月より現在までに「ダイエット入院」という 1 週間の教育入院を含む低炭水化物食を中心とした内科的治療を 220 例に行い、 6 か月間で 11 ~ 12 %程度の体重減少効果を認めている。ただ、高度肥満者は食事療法のみではある程度で頭打ちとなり、理想体重に達しない症例もあり、内科的治療と外科的治療(手術)の中間に位置する内視鏡的胃内バルーン留置術を2012 年 10 月より導入した。
背景・目的背景・目的
[ 適応 ]6 ヵ月以上の十分な内科的治療に対し抵抗性を示す BMI27 以上の 20 ~ 79 歳の患者で、減量により高度肥満に伴う糖尿病や高血圧などの合併症の改善が期待できる症例を対象とした。
[ 方法 ]経鼻内視鏡で観察しながら、 BIB®(OrberaTM) System(Allergan 社, Santa Brbara, CA, USA) を胃内に留置した。
適応・方法適応・方法
期間: 2012 年 10 月~ 2013 年 4 月
症例: 6 例(男性 1 例、女性 5 例)
合併症(重複あり):糖尿病 2 例、高血圧 3 例、高脂血症 3 例、脂肪肝 4 例、変形性膝関節症 1 例
平均年齢: 47.2±20.2 歳平均体重: 97.4±32.2 Kg平均 BMI ( Kg/m2) : 36.3±7.0
対象対象
胃内バルーン留置胃内バルーン留置
項目
平均施行時間(秒) 646.2±106.8
平均バルーン量( ml ) 583.3±75.3
胃内バルーン留置時間・注入量胃内バルーン留置時間・注入量
副作用 人数 %
腹痛 3/6 50%
膨満感 5/6 83%
胸焼け 5/6 83%
口渇感 5/6 83%
吐気 6/6 100%
嘔吐 5/6 83%
副作用副作用
胃内バルーン抜去胃内バルーン抜去
体重・%体重・% EWLEWL (超過体重減少(超過体重減少率)の推移率)の推移
BMIBMI の推移の推移
臨床データの推移臨床データの推移
・約半年間で 6 例の胃内バルーン留置術を施行した。バルーン留置の平均施行時間は約 11 分で、術後 3 日間にほぼ全例で嘔気・嘔吐を認めたが、 1 週間程度で消失した。・バルーン留置後、全例で順調に体重 , BMI の減少を認めた。・ HbA1c が上昇している症例に関しては、バルーン留置により低下傾向を示した。・空腹時血糖 , 収縮期血圧 , HDL-C, LDL-C, TG に関しては、バルーン留置後も著変がなかった。
まとめまとめ
胃内バルーン留置術により体重減少効果、耐糖能異常の改善を認めた。今後症例を集積し、胃内バルーン留置術の有用性を検証していきたい。
結語結語