山の日(8/11 山の日日日((8/11111))) スタート -...

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ROUSANニュース (1) 日本勤労者山岳連盟 JapanWorkers AlpineFederation 〒162-0814 東京都新宿区新小川町5番24号 TEL03(3260)6331(代) FAX03(3235)4324(代) URL http://www.jwaf.jp お問い合わせ・情報は フリーダイヤル 0120 - 44 - 2742 (平日10時〜18時) E-mail:[email protected] 2016年 2月 1日 第31 号 2 2 016年 2016年 スタート スタート f f fffffffffffffffffffffffffffffffffffff 11 16 11 10 17 18 51 調 30 30 30 富士山クラブ・青木直子さんの講演 ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( 山の日(8/11 南アルプス・荒川三山にて 写真提供:山の会「かたつむり」(東京) 2 0 1 2 1 0 7 1 7 23 10 全国いっせいクリーンハイクのすい移 11

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Page 1: 山の日(8/11 山の日日日((8/11111))) スタート - JWAF山の日(8/11山の日日日((8/11111))) 南アルプス・荒川三山にて 写真提供:山の会「かたつむり」(東京)

R O U S A N ニ ュ ー ス(1)

日本勤労者山岳連盟JapanWorkers’AlpineFederation〒162-0814東京都新宿区新小川町5番24号TEL 03(3260)6331(代)FAX 03(3235)4324(代)URL http://www.jwaf.jp

お問い合わせ・情報は

フリーダイヤル0120-44-2742(平日10時〜18時)E-mail:[email protected]

2016年 2月 1日 第31号

22016年2016年 スタートスタート

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f

今年から、8月

日が

11

「山の日」として

番目

16

の国民の祝日となりま

す。こ

れは、日本の登山団

体共同の力で実現させた

ものです。労山もその一

翼を担い、2010年の

制定促進協議会結成に参

加しました。日本は島国

ですが、国土にくまなく

山があり、私たちの暮ら

しや文化に大きな影響を

日々及ぼしています。そ

の山の自然とふれあい、

大いなる恵みを保全しよ

うというのが「山の日」

の趣旨です。

運動は、登山団体から

急速に地方自治体や財

界、国会議員にひろが

り、祝日改正法が201

4年5月の国会で全会派

が賛成し成立しました。

それが、今年から施行さ

れます。

運動の中心となった

「山の日協議会」は、今

後も活動を継続し、「山

の日」の趣旨を普及する

ために各地で取組みを行

います。8月

日には上

11

高地や松本市内で記念行

事も行われます。登山団

体として、私たちもさら

にいっそう、登山の普及

と自然の保護にとりくみ

ましょう。

今後のクリーンハイクのあり方は

「全国いっせいクリー

ンハイクは、今後どうあ

るべきか」――昨年

月10

日に滋賀県竜王町

17

18

で開催された「自然保護

担当者会議」で論議され

たテーマです。この会議

は全国連盟が主催し、地

方連盟自然保護担当者を

集めて2年に1回開いて

いるもの。今回は滋賀県

連主管で、

名が参加し

51

ました。

「全国いっせいクリー

ンハイク」は1974年

に開始され(詳しくは3

面参照)、労山の代表的

な取り組みとして広く外

部にも知られています。

その成果が上がって年

々、登山道のゴミの量は

減少しており、今後の方

向性をどうするか、いま

さまざまな論議がおきて

います。

このため、最初の基調

講演は、浦添理事長が労

山のクリーンハイクの歴

史について報告しまし

た。つ

いで2番目の講演

は、富士山の環境保全に

取り組んでいるNPO法

人「富士山クラブ」事務

局長の青木直子さんでし

た。同クラブでは200

4年から富士山の清掃活

動を始め、一般ゴミだけ

でなく、通常のボランテ

ィア活動では法制約のあ

った不法投棄廃棄物撤去

事業まで実施していま

す。地元市町村、企業と

もタイアップした補助金

事業として取り組み、2

014年度は、参加者約

5千人。登山道近くだけ

でなく、周辺道路、林道

奥や樹海まで入って活動

し、一般ゴミ

トン、産

30

業廃棄物

トン(医療廃

30

棄物、家具、タイヤ、電

化製品など)と大量のゴ

ミを回収しました。この

一般ゴミ

トンというの

30

は、労山の全国いっせい

クリーンハイクによる年

間回収量の3倍以上にあ

たる量です。自治体や企

業との連携、不法投棄ゴ

ミにまでも手をひろげる

など幅広い活動は、今後

の労山のクリーンハイク

のあり方にも大いに示唆

を与えてくれました。

討論では、山のゴミが

少なくなっている現状で

も、ゴミを通して自然保

護を考え、その精神と行

動を日本と世界に広げて

いくことが重要だと論議

されました。

富士山クラブ・青木直子さんの講演

山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山山ののののののののののののののののののののののののののののののののの日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日日(((((((((((((((((((((((((((((((((888888888888888888888888888888888/////////////////////////////////111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111山の日(8/11))))))))))))))))))))))))))))))))))南アルプス・荒川三山にて 写真提供:山の会「かたつむり」(東京)

2015

クリーンハイク

結果まとまる

昨年2015年のいっ

せいクリーンハイク結果

がまとまりました。参加

者は全国で8874人、

回収ゴミ量は8・4トン

です。

最近十数年の結果を右

に掲載しました。参加者

がいちばん多かったのは

2012年の10、71

7人。ゴミが多かったの

は2006年の

・6ト

23

ンです。最近は減少して

おり、一人あたり(グラ

フの赤線)ではほぼ1㎏

で、

年前に比べて半減

10

しています。各地から、

「もう登山道にはゴミが

ない」との報告をいただ

いていますが、それが、

この数字からも裏付けら

れたといえるでしょう。

全国いっせいクリーンハイクのすい移

登山団体の運動で実現

8/

に上高地で記念行事

11

自然保護担当者会議で討論

Page 2: 山の日(8/11 山の日日日((8/11111))) スタート - JWAF山の日(8/11山の日日日((8/11111))) 南アルプス・荒川三山にて 写真提供:山の会「かたつむり」(東京)

R O U S A N ニ ュ ー ス (2)

3・

東日本大震災以降、

11

各県連盟中心に継続して宮

城県の復旧復興の為に支援

活動をいただき、心から御

礼申し上げます。5年が経

過し、復興は着実に進んで

いますが、まだまだ課題が

2016年 2月 1日 第31号

今年も3月11日を迎えます。忘れもしない

東日本大震災から満5年。しかし、復興はまだ

まだ緒についたばかり。特に、福島では放射能

汚染された土地にいつ復帰できるのかさえ、メ

ドが立ちません。こうしたなか、被災地はどう

なっているのか、労山被災3県連の理事長に

「被災地のいま」をお聞きしました。

県連も復興支援に取り組む

登山活動にも意欲

岩手県連盟

理事長

平井正

++

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

2011年3月

日の大

11

震災と津波によって、岩手

県連では

名の労山会員が

23

被災しました。幸い、安否

確認を兼ねての現地視察と

支援活動をスタートさせた

3月

日に、全員の無事が

26

確認できました。その後、

家業の再建のため奮闘して

いた釜石労山のKさんが5

日、過労のため帰らぬ

24人となりました。

岩手県連では全国の皆さ

んから寄せられた義援金を

届け、全国連盟をはじめ各

県の支援部隊と一緒に瓦礫

の片づけや清掃などの復興

支援活動に取り組んできま

した。登山活動にも早く復

帰していただくため、津波

で流された登山装備をスポ

ーツ洋品店を営業していた

釜石労山の会員から、義援

金を活用して購入していた

だきました。

5年目を迎えた現在、家

屋全壊で転居されたり、家

業に専念するため退会され

たりした会員もいますが、

被災しながら新加入された

会員もおられて、被災前と

変わらない山行活動を継続

しています。県連としては

今後とも全国の仲間と一緒

に復興のため支援を続けて

行きます。

今後も「語り部」として

全国の皆さんと交流したい

宮城県連盟

理事長

岡良一

山積しています。

現地及び全国からの震災

復興の支援要請がある限

り、今後も「語り部」とし

て現地コーディネートは続

けていくつもりです。震災

を契機に東北に足を運び、

被災地を見て、聞いていた

だくとともに、是非高山植

物の宝庫である『東北の山』

にも登っていただきたいと

思います。

要請があれば、震災支援

の御礼や交流会・交流登山

等も兼ね、是非参加させて

いただきたいと思います。

今後ともよろしくお願いい

たします。

まだ

万人が避難生活

10全国の仲間の支援に感謝

福島県連盟

理事長

佐藤一一

福島県では未だ

万人を

10

越える人が原発事故による

避難生活をしており、日常

を無くした生活は、生きて

いる価値観や人のつながり

まで大きく変化している現

状がまだまだ続く気配であ

ります。

福島県内の登山は、原発

事故当時は県内からの一般

登山者や学童登山は激減し

たものの、その後、全国の

多くの労山の仲間から復興

支援の為、県内各地に登山

のために足を運んで頂いて

おります。復興支援の登山

に来ていただいても、満足

なおもてなしも出来ず、こ

の場を借りてお礼を申し上

げます。

それぞれの山岳会が活発

に活動しておりますが、県

連としても年毎に会員の平

均年齢が上がる中、社会人

山岳会としての役割をしっ

かり果たしていきたいと思

っております。

あれから5年被災地はいま…

憲法違反の安保法制廃止へ

統一2千万人署名にご協力を

昨年から今年にかけて、

世界各地で無差別テロが頻

発し、多数の犠牲者を出し

ています。軍事的に対テロ

戦争を強化すればするほ

ど、世界はますます憎悪と

不安が拡大していくようで

す。

ところが日本では、そう

した果てしない紛争解決の

筋道づくりを追求するより

も、武力対決の一方に加担

するためとしか思えない法

制が作られました。昨年、

安倍政権のもとで強行され

た安保関連法制です。この

法制は大部分の憲法学者が

日本国憲法に違反している

と指摘しています。

これに対し、幅広い団体

や市民が集まって「総がか

り行動実行委員会」を結成

し、この法律(戦争法)の

廃止を求める統一署名運動

に取り組んでいます。目標

は2千万人の署名です。

私たち日本勤労者山岳連

盟理事会も昨年8月に「憲

法9条を守って戦争しない

日本を継続させ、登山文化

を守るための声明」を発表

し、登山者の立場からこの

法律に反対することを明ら

かにしました。いま取り組

まれている署名は、声明の

趣旨に合致するものであ

り、協力していきます。署

名用紙はすでに各地方連盟

に送付されていますが、

「総がかり行動実行委員

会」のホームページにも掲

載されています。署名は集

まり次第、地方の集約先

か、または同実行委員会へ

ご送付ください。ご協力を

お願いいたします。

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

MM

M

全国連盟に広域理事会制度をスタートさせます

2016年度

全国総会より

日本勤労者山岳連盟は、

全国各地から全国連盟の理

事を選出する「広域理事制

度」を導入します。これは、

2016年2月に開催され

る全国総会からの予定で

す。従

来は、全国連盟を運営

する役員(三役、理事など

—正副会長を除く)は、日

常的に全国連盟事務所に結

集することが可能な首都圏

から選出されることになっ

ていました。

しかし、最近の科学技術

の発達は、通信回線を通じ

ての音声や映像のやりと

り、文書の送付などを可能

にし、お互いに離れた場所

にいながら、相互の意思疎

通や、会議の開催を可能に

してきています。

このため、2015年の

全国評議会に報告された

「基本問題調査会」の答申

では、地方連盟の意見・要

望を理事会に反映し、全国

の多様な力を結集できるよ

う、広域理事会制度を導入

することを提言しました。

しかし、その実現には、

使いやすい通信手段確保が

不可欠です。これに関し

て、インターネット回線を

利用する無料のビデオ会話

ソフト=スカイプで、最大

地点を結ぶことができる

10ことがわかりました。

よって、当面、関東ブロ

ックを除く全国9地方ブロ

ックから各1名の広域理事

を選出していただくことと

しました。これらの方は、

スカイプ利用により、全国

理事会に参加いただくこと

になります。新しい方式へ

のチャレンジが始まりま

す。

環境省

トレラン大会

モニタリング手法検討会

労山が登山者代表し注文

最近、山道を歩いている

と、横を走り抜けるランナ

ーに遭遇することが多くな

っています。トレイル・ラ

ンの大会も増えています。

新しいスポーツが盛んにな

り、多くの人が自然のなか

で活動することはいいこと

ですが、登山者の安全確保

や、自然環境に与える影響

など、問題点もいろいろあ

ります。

このため、労山をはじめ

とする登山者からの要望を

受けて、環境省は昨年3

月、国立公園内で開くトレ

ラン大会に関する指針を公

表しました。それに基づ

き、影響評価の手法を議論

する第1回検討会が

月に

12

開かれ、労山の浦添理事長

が山岳団体自然環境連絡会

(労山、日山協、日本山岳

会、日本山岳ガイド協会な

ど7団体で構成)を代表し

て出席し、意見を述べまし

た。国

立公園内でのトレラン

大会は、2007年の

回20

から13年には

回へと急

52

増し、いろいろな問題が表

面化してきました。また、

大会時ではありませんが、

昨年4月には、登山者が重

傷を負う事故も発生してい

ます。埼玉県秩父の丸山

(標高960m)で、急傾

斜の細い登山道を下山途中

のハイカーが、後方から単

独で走ってきたランナーに

接触され、約

m転落して

10

顔面を強打し、右手首を骨

折しました。ランナーはそ

のまま走り去り、その人は

後からきた登山者に救助さ

れたとのことです。

こうしたことから、浦添

理事長は、モニタリングは

大会の主催者だけでなく、

「自然保護団体の代表者も

入れて実施すべき」「登山者

の安全を確保するため、大

会関係者と参加者に具体的

な指導を行う必要がある」

などと発言しました。

他の参加者からも大会の

コース設定について、「狭

い場所、自然破壊の影響が

ある場所は、排除すべき

だ」「コース設定は、地元や

山岳関係者とも相談して決

定することが必要」などの

発言が出されました。

今後も、登山者の立場か

ら発言していくことととも

に、登山者とランナーがど

う共生していくか、私たち

自身も考えていくことが求

められています。

統一2000万人署名の用紙

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Page 3: 山の日(8/11 山の日日日((8/11111))) スタート - JWAF山の日(8/11山の日日日((8/11111))) 南アルプス・荒川三山にて 写真提供:山の会「かたつむり」(東京)

R O U S A N ニ ュ ー ス(3) 2016年 2月 1日 第31号

新特別基金細則が何点か改定されました

昨年、新特別基金の細則が何点か改定されました。これについては、「登山時報」や全国連盟メールニュースなどでお知らせしていますが、全国の担当者の皆さまから問い合わせが多いため、改めて掲載いたします。

●新規申込時の月割額を1口1カ月につき100円に変更

新特別基金の有効期間は1年間で、寄付金は1口1000円、更新期限月は各地方連盟ごとに設定されています。新規に加入いただいた場合は、その期限月まで1年未満の月数が生じます。これについては、寄付金を月割でお願いしています。以前は、1口1カ月につき80円でした。しかし年間1000円を単純計算すると月84円で、新規の方の月割額が永年の加入者より安くなる逆転が起こっていました。これを解消し計算の煩雑さも避けて、本年(2016年)1月1日以降に加入された方から、1口1カ月につき100円に変更しました。なお、10カ月と11カ月の場合は1年間分(1000円)となりますので、よろしくお願いいたします。なお、有効期間の途中で口数を増し口(追加)する場合は、期限月までの残りの期間の長短にかかわらず1口1000円とし、月割り計算は行いません(従来どおりの扱い)。

●交付の特典(3倍交付)の5要件を明文化

初級者、ハイキング層に配慮した交付の特典制度について、これまで内規としてあった以下の5要件を、分かりやすいように細則として明文化しました。①一般登山道、②標高2000m以下、③標準コースタイム5時間以内、④日帰りの要件に該当するもの、⑤岩場、沢、雪山、海外は含まない。なお、従来より3倍交付する場合の上限を10口交付額相当としていますので、ご了承ください(たとえば、1~3口加入者は3倍交付されるが、5口加入者は2倍交付となる)。

●公開行事見舞金制度の該当条件を限定

山岳会やハイキングクラブが主催する公開行事で、基金加入者がリーダーとなり、会員外の参加者が山行中に事故にあった場合、その団体に見舞金を交付しています。一般公開の行事であることが必須条件ですが、それについての基準を明確化しました。①(その行事を)不特定多数に周知しことの証拠を示すこと、②企画内容が「交付の特典」の5要件(前項参照)を満たしていること、③企画・準備の段階で、通常必要な安全対策を講じた根拠を示せること。また、同一会が一般公開行事で何回も事故を起こし、交付申請することは問題が多いため、交付は年2回までの制限を設けました。

労山のルーツをたどる

自然保護運動の開始

シリーズ第5回

1960年に労山が創立

され、全国連盟の体制整備

もすすんだ1970年代か

らは、労山の各専門分野で

の取り組みも大きく発展し

ました。そのうち、労山活

動の重要な柱の一つに成長

したのが自然保護の活動で

す。日

本で、自然保護の運動

が幅広く大衆的に取り組ま

れるようになったのは19

50年代後半からだといわ

れます。

山岳地帯では、1970

年代に入って各地で山岳道

路計画が問題となりまし

た。長野県のビーナスライ

ン美ヶ原線、北海道の大雪

山縦貫道路、尾瀬自動車道

路構想などです。これら

は、貴重な自然を破壊する

ものとして、反対運動がい

っせいに起こりました。

こうしたなかで日本勤労

者山岳連盟も、1971年

の第8回総会で「全国の仲

間を総結集して美しい自然

を守ろう」というスローガ

ンを掲げ、山岳自然保護の

活動方針を明確にしまし

た。ビ

ーナスライン反対運動

では、労山長野県連がその

中心となり、広範な市民や

団体を組織して、

万筆の

12

署名を集め(うち労山4万

筆)大衆的な運動を展開し

ました。また北海道連盟

は、「大雪山の自然を守る

会」発足の原動力となり、

署名活動や現地調査、集会

などで中心的な役割を果た

しました。これらの大衆的

な自然保護運動の経験は、

労山の機関紙「全国通信」

山石灰石採掘反対」など、

全国各地で山岳自然を守る

運動が活発におこなわれた

のです。

このように、全国的に自

然保護運動が大きく盛り上

がるなかで、1971年に

は環境庁が設立され、初代

長官に大石武一氏が就任。

山岳地帯での道路開発中止

の裁断を下しました。ま

た、1972年には「自然

環境保全法」も公布されま

した。

兵庫県・氷の山の自然を守る大会(1976年5月)「山と仲間」1977年1月号より

で特集され、

全国で、登山

者による自然

保護活動・運

動が活発に取

り組まれるよ

うになりまし

た。そ

の後、兵

庫県連盟の

「氷の山大幹

線林道反対」

運動や東京都

連盟の「天祖

労山自然保護憲章

山にはゴミがいっぱいだった

初期のクリーンハイク

1970年代から

自然保護運動の高まり

清掃登山(クリーンハイク)

1974年から全国いっせいに

そのころ、山岳地帯での

ゴミ問題も深刻になってい

ました。尾瀬ヶ原には多く

のハイカー、登山者が訪

れ、休憩場所に設置された

ゴミ箱にはゴミがあふれ、

周辺に散らばっていまし

た。山小屋内にもゴミ箱が

設置されていて、そのゴミ

の処理に困った小屋は、そ

れを小屋の周辺に埋めると

いう状況でした。

1972年には、尾瀬ヶ

原のゴミ持ち帰り運動がは

じまり、翌年には、「環境週

間」が取り組まれ、尾瀬ヶ

原のゴミ箱は全部撤去され

ることになりました。

労山でも、清掃登山、今

日でいうクリーンハイクが

開始されました。その最初

の取り組みは、1971年

3月に、東京都連盟・三多

摩協議会が奥多摩の大岳山

で実施したものです。この

当時は今とちがって、登山

者が持ち込んだ大量の空き

缶や弁当ガラが放置されて

いました(右記参照)。

滋賀県では、会の例会山

行で「汚いなあ、いっぺん

掃除しようや」という登山

中の会話の中から清掃登山

がはじまったと記録されて

います。1973年には、

県連が年間行事として清掃

登山に取り組むようになり

ました。

こうしたなかで、労山全

国連盟に各専門部を設置

し、体制強化をはかる一環

として、1974年に自然

保護委員会も設置されまし

た。そして、同年

月に

10

「自然保護強化月間」が呼

びかけられ、

県で清掃登

16

山が実施されています。こ

れが、今日まで継続してい

る「全国いっせいクリーン

ハイク」の始まりです。こ

の運動は、翌1975年か

らは毎年6月実施となり

ました。

ところで、この取り組み

は当初、「清掃登山」と呼ば

れていました。「クリーン

ハイク」の名は、1982

年東京都連盟で、最初に使

われました。それが徐々に

全国に広まったものです。

その後労山は、数年間隔

で開催した「全国登山者自

然保護集会」を節目として

自然保護の取り組みを発展

させました。そして、20

03年からは、全国から選

出された

名の委員により

16

取り組みの指針となる「自

然保護憲章」がまとめられ、

2006年2月の全国総会

で制定されています。

東京都連盟・三多摩協議

会(4山岳会)では、19

71年3月

日に奥多摩・

28

大岳山へ5コースに分か

れ、集中ハイク及び清掃登

山を行いました。

名が参加

44し、空き缶だけ

でセメント袋に

袋も集めることができま

30した。このような山行は三

多摩協議会にとって初めて

の経験でしたが、山がいか

に汚れているか、あらため

て感じました。この経験を

生かし、全国の仲間、すべ

ての登山愛好者にも呼びか

けて、日本の美しい自然を

守っていきたい。

(1971・5・14労山

通信

第3号から)

(岡山県連の熊山清掃登山

1974年

日)

10

29

当日は天候にも恵まれ、

会内外から

名の参加があ

42

った。7コースに分かれて

集中登山し、約600㎏の

ゴミを集め下山。地元、備

前市のダンプカーへ積み込

んだ。

ゴミは空き缶が最も多

く、弁当ガラ、ビン類など

で、なかには

折りたたみベ

ッドの鉄製骨

組みがあったのには驚かさ

れた。

(1975・1・

全国

30

自然保護ニュース

第5

号から)

イギリスの経験に学び

登山者育成の基本となる

教育スタンダード化を労山でも

ハイキングスタンダード委員

●委員長 花村哲也(全国連盟副理事長)●委員(副会長、全国理事)洞井孝雄田上千俊池谷友夫●関東圏委員大越直樹(千葉)佐藤久子(埼玉)山村幸夫(茨城)●広域委員大塚三紀夫(福岡)大野茂(北海道道央)加治郷子(岡山)原水章行(兵庫)日高博(大阪)

まずはハイキングから

全国の知恵を結集し

2010年に行われた労

山創立

周年行事で、イギ

50

リスから招いたスティーブ

・ロング氏から、同国にお

ける登山者教育でスタンダ

ード化(標準化)が大きく

進んでいることが伝えられ

ました。これを機に、労山

でも登山者とリーダーを育

成するための基本となる教

育スタンダードの必要性が

指摘され、2014年の全

国総会で、まず「ハイキン

グ・スタンダード委員会」

の設置が決められました。

労山会員の大多数を占め

るハイキング層について、

技術のみならず、安全を考

え、仲間を育てるという労

山の蓄積を土台にし、登山

界全体に通用する共通のも

のとして、理念、計画、基

礎知識と技術、安全登山と

危機管理などをテキストに

まとめようというもので

す。こ

のため、まず関東圏で

2014年度から委員の推

せんをいただいて活動を開

始し、さらに2015年に

は全国の広域から委員を選

出していただき、広域委員

会も始まりました。委員会

は、2015年度に関東圏

委員会が9回、広域委員会

が2回開催されました。

まもなく、原案をまとめ

て、地方連盟の意見を求め

ていく予定です。

ハイキング・スタンダード

骨子案

1、ハイキングスタンダー

ドの概要と理念

2、山行計画

①安全対策と過失

②パーティーの管理

③登山計画

3、山行の基礎知識と実行

力(使いこなせること)

①読図とナビの扱い方

②装備と服装

③天候判断と管理

④自然保護と環境理解

⑤歩き方

⑥日頃のトレーニング

4,山行時の留意事項

5、危機管理

①危機管理全般

②病気、虫さされ予防と

対応

6、救命救急と搬出技術

Page 4: 山の日(8/11 山の日日日((8/11111))) スタート - JWAF山の日(8/11山の日日日((8/11111))) 南アルプス・荒川三山にて 写真提供:山の会「かたつむり」(東京)

R O U S A N ニ ュ ー ス (4)2016年 2月 1日 第31号

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★毎年、冬山で発生する雪

崩遭難。それを未然に防止

しようと始まった労山の

「雪崩事故を防ぐための講

習会」が、今年(2/12

~14中央アルプス・千畳

敷カールにて)で第30回

を迎えます。それを記念し

て、昨年12月5日には労

山全国連盟事務所で「第3

0回記念祝賀会」が開催さ

れ、筑波大学の上野健一准

★全国連盟がと

りくんだもう一

つの事業が、

「雪崩事故を防

ぐための講習

参加しました。

その後、1990年代中

ごろからは全国各ブロック

でも雪崩講習会が取り組ま

れるようになり、全国連盟

が実施するものは、そうし

た各地の講習会の講師養成

や講習テキスト・資料作成

を目的に行うものとして、

現在に至っています。

教授(日本雪氷学会)を迎

えての記念講演と、懇親会

が行われました。

★この講習会は、いまでは

全国連盟だけでなく、各地

方ブロックでも開催され、

労山外の参加者もあります

が、それが始まったきっか

けは、痛恨の雪崩事故があ

いついだことでした。

1984年末~85年始

に、北アルプスや北海道・

大雪山系で4件の雪崩によ

る連続遭難事故が発生し、

14名の労山会員が亡くな

りました。この遭難は大き

な衝撃を労山内に与え、事

故の再発を防止するため、

全国連盟は二つの取組みを

始めました。

★ひとつは、過去の資料か

ら雪崩発生地点をひろい出

し、地図上にマークする

「雪崩地図」の作成です。

全国連盟が文部省スポーツ

課や警察庁、各県警などに

問い合わせたところ、おお

まかな山岳遭難の資料はあ

るものの、雪崩発生地点に

ついての資料は皆無である

ことが判明しました。

このため、時間と足を使

って山岳関係書や新聞切抜

きなどから一つひとつ洗い

出して作成し、1986年

に発表したのが全国主要山

岳地帯「雪崩遭難発生地点

地図」です。これではっき

りしたのが、雪崩遭難は、

登山者が事前に調査・研究

を行い、現地で的確な判断

をしていれば未然に防げた

はずだ、ということでし

た。

会」です。事故を未然に防

止するためには科学的な知

識による学習と、それに基

づいたトレーニングが重要

です。このため、雪崩の専

門家である新田隆三先生の

助力も得て、第1回の雪崩

講習会が1987年3月に

北アルプス・五竜とおみ尾

根で開催され、140名が

登山届提出義務

登山届提出義務化化

この夏、7月1日から長

野県では、県知事が指定す

る登山道を登山するものは

知事あてに登山届を提出す

ることが義務化されます。

これは、昨年

月の県議

11

会で制定された条例に基づ

くもの。入山者は氏名、住

所、連絡先、コースなどを

届け出なければなりませ

ん。ただし、罰則はありま

せん。

また、直接、県知事あて

の届出だけでなく、登山口

での計画書提出や、日本山

岳ガイド協会が管理する登

山届システム「コンパス」

への届出でもOKとされて

います。

これは、多発する山岳遭

難をどう減少させるかとい

う観点から制定されたもの

です。加えて、一昨年の御

嶽山噴火の際に入山者数把

握に難航したことから、登

山届制度化の動きが加速し

ました。

すでに、岐阜県では槍・

穂高連峰と笠ヶ岳の一帯お

よび御嶽山で、一般登山道

も含め、登山届け提出が2

013年

月から義務化さ

12

れています。登山届は、岐

阜県のホームページからネ

ットで行うことができま

す。

一方で、これまでは各登

山ルートの難易度判定がガ

イドブックや登山地図まか

せで、公的な統一基準がな

かったことを反省し、公的

機関が山岳関係者と協議し

て、科学的な根拠に基づく

統一的グレーディングを明

示しようとする動きも広が

っています。

長野、新潟、山梨、静岡

4県では県内の主要山岳に

ついて、統一基準による

「山のグレーディング」が

ホームページで公表されて

います。また、環境省も北

海道の大雪山に関して「大

雪山グレード」を策定し「大

雪国立公園」ホームページ

に掲載しています。

これらの地域への登山を

計画するにあたっては、こ

うした情報をぜひ参考にし

ましょう。

バビシェ・マウンテンク

ラブは、2007年に発足

した、北海道内では新しい

山岳会です。活動内容は月

2回の例会に加え、月1回

の運営委員会、適宜の各部

会を実施。会員からの山行

案内はメーリングリストを

活用し、呼びかけを行って

います。

当初は、わずか十数名で

立ち上げたクラブも9年目

を迎える現在は105名と

なる会へ成長し、平均年齢

歳前後、年齢構成は

40

30

代が実に7割を占めて

40います。特に、発足から数

年間は毎年

名以上の若い

10

年代の会員を迎え急成長

し、現在もコンスタントに

例会見学者を受け入れてい

ます。

新入会員を増やすことが

できたのは、『山菜採りか

らヒマラヤまで』を活動方

針に掲げ、『誰でも山が楽

しめること』をホームペー

ジ等でうまく広報できた強

みと、発足時が山ガールブ

ームの台頭時期とも重なっ

たため、若い女性会員の入

会が相次いだからです。従

来の山岳会にない敷居の低

さと、新しいものを受け入

れる柔軟性が、若い世代に

うまくあったのだと思いま

す。

新聞社に編集協力して札幌

近郊の山のガイドブック

『はじめての

さっぽろ山

ガール』の発刊に至ります。

女性会員を中心にミーティ

ングを重ね、企画、撮影山

行、モデルと全てに携わ

り、ついに増版まで重ねる

ことができました。

山菜・キノコ採り山行も

あれば、シーズンをフリー

クライミングに集中する会

員もいる。冬のツアーはス

キーヤーとボーダーが混在

し山行を組む。道外・海外

への遠征も毎年組まれ、年

代を問わず自主山行は活発

であり、その他インドアで

のトレーニングや各種飲み

会、また他会との交流も垣

根なしに楽しんでいます。

高齢化や会員減少といっ

た問題は生じていません

が、中堅となるベテラン会

員が不足しており、次期リ

ーダー層の育成が課題とな

っています。クラブ員の志

向は多様化しているため、

『新しいものを受け入れな

がらも、正しい山の知識技

術を伝承すること』を心が

け、クラブ全体で取り組ん

でいます。来年は設立

周10

年を迎えますが、これから

も既存の形式にとらわれ

ず、大胆でかつ柔軟で愛情

あふれるクラブ運営を行っ

ていきたいと考えていま

す。

雪崩講習会のテキスト

労山事務所にての祝賀会

雪雪崩講習雪崩講習会会科学的知識を踏まえて

千畳敷カールでの講習会(2011年2月11日)

長野、静岡、山梨、新潟4県のホームページに載る「山のグレーディング」コースの難易度をA〜Eの5段階で、必要な体力度を1〜10の10段階で表示

仲間がいっぱい集まって楽しそうー懇親会にて

北海道道央連盟 バビシェ・マウンテンクラブ事務局 山崎雄一郎

従来の山岳会にない敷居の低さ

若若い女性の入会あいつ若い女性の入会あいつぐぐ

中部4県で山のグレーディング公表

長長野県でも今夏か

長野県でも今夏からら

書店に並んだ「さっぽろ山ガール」の本

こうしたクラブの勢いは

そのままひとつの成果とな

り、2011年には北海道

会員の7割が

代〜

30

40

新聞社と協力し

ガイドブックも