a highest priority b second-highest priority c third …...前回のおさらい...

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前回のおさらい 4つの置換基に、ルールに従って 順位を付ける。 •a highest priority •b second-highest priority •c third-highest priority •d lowest priority 次に、優先順位の低い置換基を、自分から最も遠い位置に置く。 残り3つの置換基の配列、すなわち、abc が反時計回りか、時計回りか? 反時計回りなら、絶対配置は S と表記され、時計回りなら R と表記。 立体中心の表記法 R,S-順位則. 順位を付けるときのルールとは? ルール1 立体中心に直接結合している原子を比べる。 原子番号が大きいものが優先される。 ルール2 立体中心に直接結合しているふたつの原子が, 同じ場合には違いが生じるまで置換基の鎖をたどる。 ルール3 二重結合や三重結合は単結合と見なし, もう一方の原子で二重または三重に置換されているとみなす。 練習実験5-12 F CH 3 Cl H 3 C H CH 3 Cl H 3 C CH 3 Br 第5章 立体異性体 キラル分子 光学活性 絶対配置 Fischer投影式 ジアステレオマー メソ体 化学反応における立体化学 光学分割 Fischer 投影図 5-4 二次元的に書き表す方法 分子は十字形で表す テトラヘドラルな中心炭素は, 紙面上におく. 水平方向の結合は, 紙面から手前に向かっている. 垂直方向の結合は, 紙面の奥に向かっている. Fischer 投影式 に用いる型 -C- 2- ブ口モフ タンの (立体中心l こ対する )破線 くさび形表記法の Fischer 投影式への変換 H CH 3C C CH3 Fischeli 彰式 H CH 3C Hz- C - B I CH 3 1&H Br cCH 3 Fi schel投影式 H Br-C-CHz CH 3 CH 3 破線一くさび形表記法 (5) -2- プロモブタン (R )-2 ブロモブタン Fischer 投影図は, 分子を見る方向に応じて描ける。 m Br TH CH 3 - C-BI C HzCH 3 H C マプ→ CH 3 H-C-CH z CH 3 Br (R)-2-ブロモブタンのFischer投影図 Fischer投影式を回転させるとどうなるか? Fischer投影式を 紙面上で90° 回転すると, 置換基の空間的配置が入れ替わ , もとの分子のエナンチオマーになる. 180° 回転させると, 絶対配置は保たれる.

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前回のおさらい

4つの置換基に、ルールに従って順位を付ける。

• a highest priority

• b second-highest priority

• c third-highest priority

• d lowest priority

次に、優先順位の低い置換基を、自分から最も遠い位置に置く。

残り3つの置換基の配列、すなわち、a→b→c が反時計回りか、時計回りか?

反時計回りなら、絶対配置は S と表記され、時計回りなら R と表記。

立体中心の表記法 R,S-順位則.

順位を付けるときのルールとは?

ルール1  立体中心に直接結合している原子を比べる。    原子番号が大きいものが優先される。

ルール2  立体中心に直接結合しているふたつの原子が,            同じ場合には違いが生じるまで置換基の鎖をたどる。

ルール3  二重結合や三重結合は単結合と見なし,        もう一方の原子で二重または三重に置換されているとみなす。

練習実験5-12

F CH3

Cl

H3C

H CH3

Cl

H3C

CH3

Br

第5章 立体異性体

キラル分子 光学活性 絶対配置

Fischer投影式 ジアステレオマー

メソ体 化学反応における立体化学

光学分割

Fischer 投影図 5-4

二次元的に書き表す方法

分子は十字形で表す

• テトラヘドラルな中心炭素は, 紙面上におく.

• 水平方向の結合は, 紙面から手前に向かっている.

• 垂直方向の結合は, 紙面の奥に向かっている.

体性異体立立早'b 必官

今,“ヲム

Fischer投影式に用いる型

- C -

くさび形表記法にはほかの書き方もある. 下に示す (5)-2ーブロモブタンの構造式について考えてみよう これらは同じ分子を別の方向から見ただけである

(S )-2-フロモブタンの構造式の六通りの書き方H 81

/ H一一 C

"¥'ICH3 C H2C H3

.C 、8 r¥"i ¥ C H 2C H3 C H 3

H T

H 3C 111'''.. C ..""JI 81 i C H 2C H3

8r ¥ .C一一H

C H3C H iγ C H3

H

81・- C -咽 C H3C H 2C H3

81

C H3C H2 - C -唱 C H3

H

まとめ 立体異性体の絶対配置を決定するために,旋光度の符号を用いることはできない. その代わり ,X 線回折(または化学的変換による立体配置の関連づけ)を使わねばならない キラルな分子の絶対配置は,置換基を優先順位の高いものから順位づけする順位則を用いて,R または S と表記する 最も優先順位の低い基が紙面の背後に位置するように分子を動かすと 残りの置換基は時計まわり(R ) か反時計まわり (5)に並ぶことになる

5 -4 Fischer投影式Fischer投影式(Fischer projection,ハイライト 5-2参照)は四面体の炭素原子とその置換基を,二次元的に昔き表す簡単な方法である この方法では,分子は中心炭素が交点に位置する十字形で表される 水平の線は紙面から手前に向いている結合を,垂直の線は紙面の奥に向かう結合を表す 破線 くさび形表記法

,、J、,h2 式影投V且e LU e

s m

5-4

このような形に動かす必要があるを Fischer投影式に書き換えるには.

MODEL BUILDING

2-ブ口モフタンの(立体中心lこ対する)破線 くさび形表記法のFischer投影式への変換

H

C H同附3C仇C

C H3 Fischel投i彰式

H

C H 3C H z- C - B I 主C H 3

1&線

H

Brートc問C H 3

Fischel投影式

H

B r - C - C HzC H 3 C H 3

破線一くさび形表記法(5) -2-プロモブタン

破線 くさび形表記法を用いた場合にいくつかの方法で分子を図示することができたように,一つの立体中心に対する F ischer投影式にもいくつかの正しい書き方がある.

(R) -2 ブロモブタン

H十C比

(R )-2 フロモブタンのさらに二つの投影式

マプ→C H 3

H - C - C HzC H3 Br

m 十BrマT→H

C H 3- C - B I

C HzC H 3

頭の中で破線一くさび形表記法を Fischer投影式に間違いなく変換するには.以下のような方法がある. まず自分自身が分子レベルの大きさだと思って。下の図に示すように中心炭素に向かつて破線 くさび表記の置換基のどれか二つを両手でっかむ 下の図では置換基はたまたま αとC と表記されている 次にこのようにして分子をつかんだまま自分が紙面の上に| 峰りていくと想像すると, (立体中心の向こう側にある) 残りの二つの置換基は紙面の奥に沈みこんでいくように思えるだろうこのようにすれば,自分の左右の手はくさびで結合している二つの置換基を水平な位置に置くことになる。同時に破線で結合している残りの二つの置換基は, (それぞれ自分の頭と足の位置に並んでいて)垂直な位置に置かれる

簡単な頭の体操 :破線ーくさび形表記法の Fischer投影式への変換

d

十b

ーヴ+α・・ー-C -咽圃. c一び→ぷ¥ C

次に破線一くさび形表記法の Fischer投影式への変換法について学んだので,

Fischer 投影図は, 分子を見る方向に応じて描ける。

,、J、,h2 式影投V且e LU e

s m

5-4

このような形に動かす必要があるを Fischer投影式に書き換えるには.

MODEL BUILDING

2-ブ口モフタンの(立体中心lこ対する)破線 くさび形表記法のFischer投影式への変換

H

C H同附3C仇C

C H3 Fischel投i彰式

H

C H 3C H z- C - B I 主C H 3

1&線

H

Brートc問C H 3

Fischel投影式

H

B r - C - C HzC H 3 C H 3

破線一くさび形表記法(5) -2-プロモブタン

破線 くさび形表記法を用いた場合にいくつかの方法で分子を図示することができたように,一つの立体中心に対する F ischer投影式にもいくつかの正しい書き方がある.

(R) -2 ブロモブタン

H十C比

(R )-2 フロモブタンのさらに二つの投影式

マプ→C H 3

H - C - C HzC H3 Br

m 十BrマT→H

C H 3- C - B I

C HzC H 3

頭の中で破線一くさび形表記法を Fischer投影式に間違いなく変換するには.以下のような方法がある. まず自分自身が分子レベルの大きさだと思って。下の図に示すように中心炭素に向かつて破線 くさび表記の置換基のどれか二つを両手でっかむ 下の図では置換基はたまたま αとC と表記されている 次にこのようにして分子をつかんだまま自分が紙面の上に| 峰りていくと想像すると, (立体中心の向こう側にある) 残りの二つの置換基は紙面の奥に沈みこんでいくように思えるだろうこのようにすれば,自分の左右の手はくさびで結合している二つの置換基を水平な位置に置くことになる。同時に破線で結合している残りの二つの置換基は, (それぞれ自分の頭と足の位置に並んでいて)垂直な位置に置かれる

簡単な頭の体操 :破線ーくさび形表記法の Fischer投影式への変換

d

十b

ーヴ+α・・ー-C -咽圃. c一び→ぷ¥ C

次に破線一くさび形表記法の Fischer投影式への変換法について学んだので,

,、J、,h2 式影投V且e LU e

s m

5-4

このような形に動かす必要があるを Fischer投影式に書き換えるには.

MODEL BUILDING

2-ブ口モフタンの(立体中心lこ対する)破線 くさび形表記法のFischer投影式への変換

H

C H同附3C仇C

C H3 Fischel投i彰式

H

C H 3C H z- C - B I 主C H 3

1&線

H

Brートc問C H 3

Fischel投影式

H

B r - C - C HzC H 3 C H 3

破線一くさび形表記法(5) -2-プロモブタン

破線 くさび形表記法を用いた場合にいくつかの方法で分子を図示することができたように,一つの立体中心に対する F ischer投影式にもいくつかの正しい書き方がある.

(R) -2 ブロモブタン

H十C比

(R )-2 フロモブタンのさらに二つの投影式

マプ→C H 3

H - C - C HzC H3 Br

m 十BrマT→H

C H 3- C - B I

C HzC H 3

頭の中で破線一くさび形表記法を Fischer投影式に間違いなく変換するには.以下のような方法がある. まず自分自身が分子レベルの大きさだと思って。下の図に示すように中心炭素に向かつて破線 くさび表記の置換基のどれか二つを両手でっかむ 下の図では置換基はたまたま αとC と表記されている 次にこのようにして分子をつかんだまま自分が紙面の上に| 峰りていくと想像すると, (立体中心の向こう側にある) 残りの二つの置換基は紙面の奥に沈みこんでいくように思えるだろうこのようにすれば,自分の左右の手はくさびで結合している二つの置換基を水平な位置に置くことになる。同時に破線で結合している残りの二つの置換基は, (それぞれ自分の頭と足の位置に並んでいて)垂直な位置に置かれる

簡単な頭の体操 :破線ーくさび形表記法の Fischer投影式への変換

d

十b

ーヴ+α・・ー-C -咽圃. c一び→ぷ¥ C

次に破線一くさび形表記法の Fischer投影式への変換法について学んだので,

(R)-2-ブロモブタンのFischer投影図

Fischer投影式を回転させるとどうなるか? Fischer投影式を 紙面上で90° 回転すると, 置換基の空間的配置が入れ替わり, もとの分子のエナンチオマーになる.

180° 回転させると, 絶対配置は保たれる.

置換基を交換しても, 絶対配置が変わる. 与えられたふたつのFischer投影式が, 同じエナンチオマーをあらわしているかを見極める方法:

• 任意のふたつの置換基を交換する. これにより, 鏡像異性体が得られる.

• (残りの)2つの置換基をさらに交換する. これにより, もとのエナンチオマーに戻る.

• 一連の置換基の位置交換により, Fischer 投影式を他の投影式に変換したとき:

• 奇数回の入れ替えが必要なら, 与えられたFischer投影式は互いに鏡像の関係にある.

• 偶数回の入れ替えが必要なら, 与えられたFischer投影式は同じエナンチオマーである.

例えば…

Fischer 投影式から絶対配置を知る方法

• 不斉中心のFischer投影式を正しく描く.

• すべての置換基に順位をつける.

• 任意の2組の置換基を入れ替え, 次にのこり2つの置換基も入れ替え, グループ d を移動させる.

• a,b,c グループが時計回りならR体:反時計回りなら, S体.

練習問題 5-15

BrH D

CH3

BrH D

CH3

a

b

cdd

a bc

R

練習問題 5-16

CH3COOH

HH2N

CH3COOH

HH2Na b

c

d

da

cb

S

複数の立体中心を持つ分子: Diastereomers 5-5

2!ブロモブタンのラジカル的塩素化反応

を取り上げよう。

ここでは、2-ブロモ-3!クロロブタンに注目する。

2つ目の不斉中心が生成している。

5-5 複…中凶山

が存在することを容易に証明できる (下の区1,および図 5-7参照)

C H3 C H3 ト斗- B r Br---'!.ト H

+ H ーート- H H 一一←- HC H3 C H3

ラセミ体の2 ブロモブタン

C12,h ν 一一一一一一今- I1CI

C H3 C H 3 C H3 C H3 ト 斗- Br BI ー斗- H Hー斗- Br B r---'!.ト H

J + J + ..1 + _1 C Iーニト- H H ---'斗- CI H ---'斗ーCI C Iーニト- H

C H3 C H3 C H3 C H3 2 ブロモ 3-クロロフタンの四つの異性体

Fischer投影式の水平な線は どれも紙面の手前を向く結合を表しているので,Fischer投影式で、書かれた構造は,最も安定なアンチ形ではなく重なり形配座で表されることになる このことは, (2 5,3 5)-2 ブロモー3ークロロフ タンについて下の図に示されている (図 5-7 も参照すること )

(2 5,3 5)-2 ブロモー3ーク口口フタンの Fischer投影式における重なり形立体配座からアンチ形配座への変換。H,

H --.IトーBIClー斗- H

C H 3 Fischer投影式

C H3 H・-;-唱BrCI ・ー+-咽H

C H 3

CI C H、H今ーもBrH3C H

破線ーくさび形表記法によるアンチ形配座

C H3 H 、 A-.. ,C I

H ' ¥ I 'Br C H3

N 巴w m a n投影式

立体配置の帰属をするためには,おのおのの立体中心を別々に扱い,立体中心を含む基は単に一つの置換基とみなす(図 5-8)

もう一方の

C I C H, =:工:H己s sl 、C - C13 2¥"" B I H 3C H

鏡面C H 3 C H 3

もs--Hー斗ーC I

C H, ¥ / C H 3

=:工:l=H、C CI ¥ R C - c

sIツ2 3 ¥ H C H3

(2S,3S) -2ーブロモー3 クロロブタン ¥〆 (2 R,3R) -2 ブロモー3ークロロブタンジアステレオマー

? H1 / : ¥ ? H3 H ー斗- B r エナン行マー BI ー斗- H

| ←五一 l 一三一歩 J C Iー斗一一H

C H3 C H3

H、C H ¥ R SらC IC - c

BIヅ 2 3 ¥ H C H3 =:l工:C H3 H C H,

CI :.R sl H -;-- B I 、C一一c.13 2¥,," s r H - ¥ - C I

f-h C H C H3

(2S,3R)一2ープロモーシクロロブタン (2R,3S) -2-ブロモ-3-クロロブタン

図 5-7 2-フロモ 3ークロロブタンの四つの立体奥性体 おのおのの異性体は残りの三つのうちの(鏡像である)一つに対してエナンチオマーであり I 同時にそれ以外の二つに対してはジアステレオマーであるたとえば 2 R .3 R異性体は 25.35体のエナンチオマーであり ,2S.3R体と 2 R,35体の両方に対してはジアステレオマーである 立体中心が両方とも逆の配置であるときのみ,二つの構造がエナンチオマーになる点に注意しよう

ふたつの不斉中心があると四つの立体異性体ができる。

この反応をFischer投影式で表現する:

5-5 複…中凶山

が存在することを容易に証明できる (下の区1,および図 5-7参照)

C H3 C H3 ト斗- B r Br---'!.ト H

+ H ーート- H H 一一←- HC H3 C H3

ラセミ体の2 ブロモブタン

C12,h ν 一一一一一一今- I1CI

C H3 C H 3 C H3 C H3 ト 斗- Br BI ー斗- H Hー斗- Br B r---'!.ト H

J + J + ..1 + _1 C Iーニト- H H ---'斗- CI H ---'斗ーCI C Iーニト- H

C H3 C H3 C H3 C H3 2 ブロモ 3-クロロフタンの四つの異性体

Fischer投影式の水平な線は どれも紙面の手前を向く結合を表しているので,Fischer投影式で、書かれた構造は,最も安定なアンチ形ではなく重なり形配座で表されることになる このことは, (2 5,3 5)-2 ブロモー3ークロロフ タンについて下の図に示されている (図 5-7 も参照すること )

(2 5,3 5)-2 ブロモー3ーク口口フタンの Fischer投影式における重なり形立体配座からアンチ形配座への変換。H,

H --.IトーBIClー斗- H

C H 3 Fischer投影式

C H3 H・-;-唱BrCI ・ー+-咽H

C H 3

CI C H、H今ーもBrH3C H

破線ーくさび形表記法によるアンチ形配座

C H3 H 、 A-.. ,C I

H ' ¥ I 'Br C H3

N 巴w m a n投影式

立体配置の帰属をするためには,おのおのの立体中心を別々に扱い,立体中心を含む基は単に一つの置換基とみなす(図 5-8)

もう一方の

C I C H, =:工:H己s sl 、C - C13 2¥"" B I H 3C H

鏡面C H 3 C H 3

もs--Hー斗ーC I

C H, ¥ / C H 3

=:工:l=H、C CI ¥ R C - c

sIツ2 3 ¥ H C H3

(2S,3S) -2ーブロモー3 クロロブタン ¥〆 (2 R,3R) -2 ブロモー3ークロロブタンジアステレオマー

? H1 / : ¥ ? H3 H ー斗- B r エナン行マー BI ー斗- H

| ←五一 l 一三一歩 J C Iー斗一一H

C H3 C H3

H、C H ¥ R SらC IC - c

BIヅ 2 3 ¥ H C H3 =:l工:C H3 H C H,

CI :.R sl H -;-- B I 、C一一c.13 2¥,," s r H - ¥ - C I

f-h C H C H3

(2S,3R)一2ープロモーシクロロブタン (2R,3S) -2-ブロモ-3-クロロブタン

図 5-7 2-フロモ 3ークロロブタンの四つの立体奥性体 おのおのの異性体は残りの三つのうちの(鏡像である)一つに対してエナンチオマーであり I 同時にそれ以外の二つに対してはジアステレオマーであるたとえば 2 R .3 R異性体は 25.35体のエナンチオマーであり ,2S.3R体と 2 R,35体の両方に対してはジアステレオマーである 立体中心が両方とも逆の配置であるときのみ,二つの構造がエナンチオマーになる点に注意しよう

重なり形 → アンチ形

それぞれの立体中心は別々にその絶対配置を決定しよう。

S

ふたつの立体中心をもつ場合, 四つの立体異性体が存在しえる: RR, RS, SR, SS エナンチオマー           RR / SS           SR / RS

5-5 複…中凶山

が存在することを容易に証明できる (下の区1,および図 5-7参照)

C H3 C H3 ト斗- B r Br---'!.ト H

+ H ーート- H H 一一←- HC H3 C H3

ラセミ体の2 ブロモブタン

C12,h ν 一一一一一一今- I1CI

C H3 C H 3 C H3 C H3 ト 斗- Br BI ー斗- H Hー斗- Br B r---'!.ト H

J + J + ..1 + _1 C Iーニト- H H ---'斗- CI H ---'斗ーCI C Iーニト- H

C H3 C H3 C H3 C H3 2 ブロモ 3-クロロフタンの四つの異性体

Fischer投影式の水平な線は どれも紙面の手前を向く結合を表しているので,Fischer投影式で、書かれた構造は,最も安定なアンチ形ではなく重なり形配座で表されることになる このことは, (2 5,3 5)-2 ブロモー3ークロロフ タンについて下の図に示されている (図 5-7 も参照すること )

(2 5,3 5)-2 ブロモー3ーク口口フタンの Fischer投影式における重なり形立体配座からアンチ形配座への変換。H,

H --.IトーBIClー斗- H

C H 3 Fischer投影式

C H3 H・-;-唱BrCI ・ー+-咽H

C H 3

CI C H、H今ーもBrH3C H

破線ーくさび形表記法によるアンチ形配座

C H3 H 、 A-.. ,C I

H ' ¥ I 'Br C H3

N 巴w m a n投影式

立体配置の帰属をするためには,おのおのの立体中心を別々に扱い,立体中心を含む基は単に一つの置換基とみなす(図 5-8)

もう一方の

C I C H, =:工:H己s sl 、C - C13 2¥"" B I H 3C H

鏡面C H 3 C H 3

もs--Hー斗ーC I

C H, ¥ / C H 3

=:工:l=H、C CI ¥ R C - c

sIツ2 3 ¥ H C H3

(2S,3S) -2ーブロモー3 クロロブタン ¥〆 (2 R,3R) -2 ブロモー3ークロロブタンジアステレオマー

? H1 / : ¥ ? H3 H ー斗- B r エナン行マー BI ー斗- H

| ←五一 l 一三一歩 J C Iー斗一一H

C H3 C H3

H、C H ¥ R SらC IC - c

BIヅ 2 3 ¥ H C H3 =:l工:C H3 H C H,

CI :.R sl H -;-- B I 、C一一c.13 2¥,," s r H - ¥ - C I

f-h C H C H3

(2S,3R)一2ープロモーシクロロブタン (2R,3S) -2-ブロモ-3-クロロブタン

図 5-7 2-フロモ 3ークロロブタンの四つの立体奥性体 おのおのの異性体は残りの三つのうちの(鏡像である)一つに対してエナンチオマーであり I 同時にそれ以外の二つに対してはジアステレオマーであるたとえば 2 R .3 R異性体は 25.35体のエナンチオマーであり ,2S.3R体と 2 R,35体の両方に対してはジアステレオマーである 立体中心が両方とも逆の配置であるときのみ,二つの構造がエナンチオマーになる点に注意しよう

RR と RS, SS と SRの立体異性体はお互いに鏡像の関係にない。 鏡像の関係にない立体異性体:ジアステレオマー ジアステレオマーは, 立体中心の一部が逆になっている分子である。 エナンチオマーは, 立体中心のすべてが逆の立体配置をとる。 ジアステレオマーは, 物理化学的性質が異なる。分離可能。 融点、沸点、密度、旋光度も当然異なる。

5-5 複…中凶山

が存在することを容易に証明できる (下の区1,および図 5-7参照)

C H3 C H3 ト斗- B r Br---'!.ト H

+ H ーート- H H 一一←- HC H3 C H3

ラセミ体の2 ブロモブタン

C12,h ν 一一一一一一今- I1CI

C H3 C H 3 C H3 C H3 ト 斗- Br BI ー斗- H Hー斗- Br B r---'!.ト H

J + J + ..1 + _1 C Iーニト- H H ---'斗- CI H ---'斗ーCI C Iーニト- H

C H3 C H3 C H3 C H3 2 ブロモ 3-クロロフタンの四つの異性体

Fischer投影式の水平な線は どれも紙面の手前を向く結合を表しているので,Fischer投影式で、書かれた構造は,最も安定なアンチ形ではなく重なり形配座で表されることになる このことは, (2 5,3 5)-2 ブロモー3ークロロフ タンについて下の図に示されている (図 5-7 も参照すること )

(2 5,3 5)-2 ブロモー3ーク口口フタンの Fischer投影式における重なり形立体配座からアンチ形配座への変換。H,

H --.IトーBIClー斗- H

C H 3 Fischer投影式

C H3 H・-;-唱BrCI ・ー+-咽H

C H 3

CI C H、H今ーもBrH3C H

破線ーくさび形表記法によるアンチ形配座

C H3 H 、 A-.. ,C I

H ' ¥ I 'Br C H3

N 巴w m a n投影式

立体配置の帰属をするためには,おのおのの立体中心を別々に扱い,立体中心を含む基は単に一つの置換基とみなす(図 5-8)

もう一方の

C I C H, =:工:H己s sl 、C - C13 2¥"" B I H 3C H

鏡面C H 3 C H 3

もs--Hー斗ーC I

C H, ¥ / C H 3

=:工:l=H、C CI ¥ R C - c

sIツ2 3 ¥ H C H3

(2S,3S) -2ーブロモー3 クロロブタン ¥〆 (2 R,3R) -2 ブロモー3ークロロブタンジアステレオマー

? H1 / : ¥ ? H3 H ー斗- B r エナン行マー BI ー斗- H

| ←五一 l 一三一歩 J C Iー斗一一H

C H3 C H3

H、C H ¥ R SらC IC - c

BIヅ 2 3 ¥ H C H3 =:l工:C H3 H C H,

CI :.R sl H -;-- B I 、C一一c.13 2¥,," s r H - ¥ - C I

f-h C H C H3

(2S,3R)一2ープロモーシクロロブタン (2R,3S) -2-ブロモ-3-クロロブタン

図 5-7 2-フロモ 3ークロロブタンの四つの立体奥性体 おのおのの異性体は残りの三つのうちの(鏡像である)一つに対してエナンチオマーであり I 同時にそれ以外の二つに対してはジアステレオマーであるたとえば 2 R .3 R異性体は 25.35体のエナンチオマーであり ,2S.3R体と 2 R,35体の両方に対してはジアステレオマーである 立体中心が両方とも逆の配置であるときのみ,二つの構造がエナンチオマーになる点に注意しよう

体性異体守一立早"b qL 勾、dヲ&

世j兵器と見なすf 一一ー人ー一一一、C H BrCH 3 b

C I十H = 十 d

CI-I3 C

C H .l | 凶世換メ タンと

H 一一トー Br して令き直す

C I一一寸ー十一HとH ]¥ 問題 R か5 か

タ c1 トb置換器を 2 回入れ替える

a 5

答 :問題の立体中心は 5 である .

図 5-8 2 ブロモー3ークロロブタンの C3 の絶対配置の帰属 C2 の立体"1"心を含む基は,単に四つある置換基のうちの一つであると考える (色分けして示した) 優先順位は C I> C H B rC H 3 > C H3 > H なので中央の式のように表される 帰属を容易にするために。置換基の入れ替えを 2 回行って 優先順位の最も低い置換基である水素をFischer投i形式の上にも ってくる

C H 3 C I-I3 B r---.-B.ト- H 1-1ー斗- Br+ C Iー斗 -1-1 1-1ー斗- C I

C I-I3 C I-I3 2-7'ロモー3-クロロフ。タンR ,S/S,R 配置のラセミ体i91l点 31-33'(; (16 to汀)

C H 3 C H ] B r---.-B.ト-1-1J + J H-'三十一日 C Iー」十一HC I-I3 C H 3

2-フ.ロモー3-クロロフザタンR ,R/S,S 自己位のラセミ体液Il点 38-38.5'(; (16 torr)

四つの立体異性体の構造をよく見ると (図 5-7). 互いに関連する 2組の対,つまり R.R /S.Sの対と R .S/S .R の対があることに気がつく 個々の対をつく っている分子は,互いに鏡像なのでエナンチオマーである. 一方. ある対の個々の分子は他の対のどちらの分子とも鏡像にならないので,これらは互いにエナンチオマーの関係にはない 向かい合う鏡像の関係になく , したがって互いにエナンチオマーではないこのような立体異性体を ジアステレオマー (diastereomerdia,ギリシャ語の「交わってJ)とよぶ

国語蓮田2種類のアミノ酸,イソロイシンとアロイソロイシンのねじれ形配座を下に示す.両者を Fischer投影式に書き直せ(Fischer投影式は重なり形配座にある分子の図であることを忘れないこと) この二つの化合物はエナンチオマーか,ジアステレオマーか

H

mWH行一

Ht/Hm.ィ

メにロ

H印一ア

間/ hHW

Jつ

HVペc月

四向

上し

H

エナンチオマーとは異なり 1 ジアステレオマーは互いに鏡像の関係にはないので物理的性質や化学的性質の違う別の分子である( たとえばハイライト 5-3を参照) それらの立体的な相互作用やエネルギー含量も異なる それらは分別蒸留再結晶あるいはクロマ トグラフィーによって分離する ことができる 構造異性体と同様に,それらの融点, 沸点および密度は異なる。さらにその比旋光度も異なる。

E習霊重量園次の凹つの分子はどのような立体化学的関係にあるか( 同じものか,エナンチオマーか ジアステレオマーか). おのおのの立体中心の絶対配置を帰属せよー

同十十町

(2) (3) (4)

ペグミスpへど¥まずは, 重なり形に書き直して, 正しくFischer投影式を描く。

CH3H FH Et

CH3

1

CH3F HH Et

CH3

2

CH3F HEt H

CH3

3

CH3H FH Et

CH3

4

CH3H FH Et

CH3

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3

CH3H FH Et

CH3

4

CH3H FEt H

CH3

エナンチオマー

エナンチオマー

ジアステレオマー

シスとトランスの異性体は環状のジアステレオマー

この場合も, RR, SS, RS, SRの四つの立体異性体がある。

シス異性体, SR と RS, はエナンチオマーの関係。

トランス異性体, RR と SSはエナンチオマーの関係。

シス体とトランス体は, ジアステレオマーである。

一般に, n個の立体中心を持つ化合物には, 最大2のn乗個の立体異性体が存在し得る。

パクリタキセル(商品名 タキソール) 抗がん剤(乳がんなど)

不斉中心が11個 ~ 2048個の異性体が原理的に可能。 

『/今,“、,“式影投r e

LH

C

SJU F 4

Fb

絶対配置にまつわる歴史的な話X 線回折の技術が開発されるまでは,キラルな分子の

絶対配置はわからなかったところがおもしろいことに,l世紀以上 も昔にキラルな分子の三次構造に対する最初の帰属が糖化学者の Emil Fischer * によ って推測でなされた 彼は 1891年の論文において,ブドウ糖( グルコース) と他の糖との立体化学の複線な関係の記述を簡単にするために,そのような推測を行った. なお,糖の立体化学については下巻の 24章で学ぶことになる 彼は( 化学的な相関に基づいて),天然に存在する 2,3-ジヒドロキシプロパナール(グリセルアルデヒド) の右旋性エナンチオマーは句 Dーグリセルアルデヒドと表記されている三次元構造をもっという帰属を選択した. 百" という記号は平面偏光の旋光の符号を表すためではなく,↑丘換基の相対的な配置を表すためのものであったもう一方の異性体は Lーグリセルアルデヒドとよばれ

た 立体中心の立体配置を変えることなく, D- (+)一

実験室の Emil Fis cher教授

* Emil Fischer(1852 - 1919), ドイツ。 ベルリン大学教授,1902年度ノーベル化学賞・受賞t Johannes M . Bijvoet(l892 - 1980) オランダユトレヒト大学教授

H o I +8.7

H C''' / 、O HC H20 H

D- ( + ) -2,3-ジヒドロキシプロパナール[Dー( + ) ーグリセルアルデヒド〕

H I 0 / C ...,..II

H O' ¥ "'C H C H20 H

L- (一) -2,3-ジヒドロキシプロパナール[Lー( 一) ーグリセルアルデヒド〕

- 8.7

グリセルアルデヒドに誘導できるキラルな化合物はすべて D 配置,その*jl像は L 配置とそれぞれ帰1 m された

D 配置の化合物

3

HH oc

¥心-

HlICJ-H

iaFL

o--c H

H o I 11 ,,,,, C ¥

C H3C'" / 、O HC H3

L 配置の化合物H I 0 .....C .,.II

C H 30 〆 ¥ "'C HC H20 H

H I 0 .....c..,. 1I

H O' ¥ "'C O C H3 C H2S H

1951 年, オランダ人の結晶学者である JohannesBijvoet iは,ある j酉石酸の塩を使った X 線回折f去によ って これらの化合物の絶対配置を決定した その酒石酸塩 l丈化学的手法により 。F ischer が用いた糠頒やグ 1)セルアルデヒドと絶対配置が関係づけられていたものである Bijvoetが彼の論文の中で, i E mil Fischer の絶対配置に関する慣習は …・正解であることがわかった( 一部省略)Jと述べているように,幸運にも F ischer の推iJ!IJは正しかったのである.糖 (24章) やアミノ酸( 下巻 26章) には D . L 表記法がいまでも用いられる

替えると . あるエナンチオマーがその鋭像に変わる 二つの置換基を選んで 2 回入れ替えると (2 回目は 1 回目 と同じ置換基を選んでもちがう組合せにしてもよい),元の絶対配置に戻る。下に示すように? この 2 回の操作を行うことによ って別の方向から見た同じ分子になるだけである

グルコールなどの糖の立体化学を決定した。

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絶対配置にまつわる歴史的な話X 線回折の技術が開発されるまでは,キラルな分子の

絶対配置はわからなかったところがおもしろいことに,l世紀以上 も昔にキラルな分子の三次構造に対する最初の帰属が糖化学者の Emil Fischer * によ って推測でなされた 彼は 1891年の論文において,ブドウ糖( グルコース) と他の糖との立体化学の複線な関係の記述を簡単にするために,そのような推測を行った. なお,糖の立体化学については下巻の 24章で学ぶことになる 彼は( 化学的な相関に基づいて),天然に存在する 2,3-ジヒドロキシプロパナール(グリセルアルデヒド) の右旋性エナンチオマーは句 Dーグリセルアルデヒドと表記されている三次元構造をもっという帰属を選択した. 百" という記号は平面偏光の旋光の符号を表すためではなく,↑丘換基の相対的な配置を表すためのものであったもう一方の異性体は Lーグリセルアルデヒドとよばれ

た 立体中心の立体配置を変えることなく, D- (+)一

実験室の Emil Fis cher教授

* Emil Fischer(1852 - 1919), ドイツ。 ベルリン大学教授,1902年度ノーベル化学賞・受賞t Johannes M . Bijvoet(l892 - 1980) オランダユトレヒト大学教授

H o I +8.7

H C''' / 、O HC H20 H

D- ( + ) -2,3-ジヒドロキシプロパナール[Dー( + ) ーグリセルアルデヒド〕

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グリセルアルデヒドに誘導できるキラルな化合物はすべて D 配置,その*jl像は L 配置とそれぞれ帰1 m された

D 配置の化合物

3

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L 配置の化合物H I 0 .....C .,.II

C H 30 〆 ¥ "'C HC H20 H

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1951 年, オランダ人の結晶学者である JohannesBijvoet iは,ある j酉石酸の塩を使った X 線回折f去によ って これらの化合物の絶対配置を決定した その酒石酸塩 l丈化学的手法により 。F ischer が用いた糠頒やグ 1)セルアルデヒドと絶対配置が関係づけられていたものである Bijvoetが彼の論文の中で, i E mil Fischer の絶対配置に関する慣習は …・正解であることがわかった( 一部省略)Jと述べているように,幸運にも F ischer の推iJ!IJは正しかったのである.糖 (24章) やアミノ酸( 下巻 26章) には D . L 表記法がいまでも用いられる

替えると . あるエナンチオマーがその鋭像に変わる 二つの置換基を選んで 2 回入れ替えると (2 回目は 1 回目 と同じ置換基を選んでもちがう組合せにしてもよい),元の絶対配置に戻る。下に示すように? この 2 回の操作を行うことによ って別の方向から見た同じ分子になるだけである

右旋性のグリセルアルデヒドの絶対配置を図のように仮定した。(1891年)

1951年 J. Bijvoet X線解析法により, Fischerの仮定は正しかったことが判明した。

-事性異体寸-章5

,生2J

今,“

酒石酸の立体異性体

H O C O O H H 、三 /

、C - C/R R¥""'O H

H O OC H (+ )ー酒石酸

+12.0 170 "c

密度 (g m L -')d = 1万 98

H C O O H H O己 /

、C - C/S S¥'''''H

H O OC O H (ー)一酒石酸[α13= 一12.0

170 "c d = 1.7598

酒石酸( IU P A C名 2,3ージヒドロキシブタン二酸) は自然界に存在するジカルボン酸で,これには同じ置換基をもっ立体中心が二つあるー したがってこの化合物には, (物理的性質が同じで平面偏光を逆の方向に回転する)エナンチオマーの対と, (キラルなジアステレオマーとは物理的,化学的性質の異なる)アキラルなメソ化合物が存在する.酒石酸の右旋性のエナンチオマー

は自然界に広く分布している それは多くの果実の中に含まれ(果実酸),そのモノカリウム塩はプドウの絞り汁の発酵の際に生じる沈殿物である 純粋

Pasteurが用いた旋光計と( +)ーおよび(ー)ー酒石酸の結晶

H O C O O H H己 /' C -C .. /R S,'勺H

H O O C O H m eso一酒石酸

148 "c d = 1.666

はラセミ酸のナトリウムアンモニウム読を手に入れ,結晶には二つの形があることに気づいた. 一方の形はもう一方の鋭像の形をしていた. つまり結晶がキラルな形をしていたのであるPasteur はこの二つの形の結晶をより分け,それぞれを水に浴かして旋光度をiJ!IJ定することにより . 結晶の一方の形が(+ ) ー酒石酸の純粋な塩であり, もう一方が左旋性の酒石酸J主であることを見いだした 注目すべきは。このまれな実例においては,個々の分子のキラリティーから結晶のキラリティーという巨視的性質が生まれたことである 自らの観察に基づき,彼

な左旋性の酒石酸とメソ異性体はまれにしか存在しない は分子自体がキラルでなければならないと結論した こ酒石酸はラセミ体が二つのエナンチオマーに分離され れらおよび他のいくつかの発見をもとに,1874年にたli主初のキラルな化合物なので,歴史的に重要である van't H off とLe B el * 2がおのおの独自に. 飽和の炭素はそれは有機分子中の炭素が四面体構造をもっていると認 四面体の結合配置をとり . たとえば平面四方形ではない識されるよりもずっと以前の 1848年のことである ことをはじめて提唱した( なぜ炭素が平面形であるとい1848年までに天然の酒石酸は右旋性であることがわ う考えと立体中心の概念とは矛盾するのか)かつており,またラセミ体はブドウから単離されていた[1ラセミイ本Jあるいは「ラセミのJという言葉は,実際,ラセミ体の酒石酸に対する古い一般名であったラセミ酸

* 1 Louis Pasteur (1822 - 1895). フランス. ソルボンヌ大学教授* 2 Jacobus H. van't Hoff(1852 - 1911 ) . オランダアムステルダム大学教授. 1901年度ノーベル化学賞受賞]. A. Le BeJ博士(1847 - 1930).フランス,ソルボンヌ大学

(racernic acid : racemus. ラテン語の「ブドウの房J)に由来するものである〕 フランスの化学者 Louis Pasteur * I

まとめ 分子内に二つ以上の立体中心があるとジアステレオマーができる これらは向かい合った鋭像の関係にはない立体異性体である. エナンチオマーどうしはすべての立体中心が逆の配置をも っているのに対して,ジアステレオマーどうしではすべてが逆にはなっていない n個の立体中心がある分子には 2 の n釆個の立体異性体が存在しうる 環状化合物のシスと トランスの異性体はジアステレオマーのー干重である

ふたつのエナンチオマーが分離された最初の化合物

ラセミ体の結晶に、ふたつの形があることに気付いた。 結晶が鏡像の関係にあって、それぞれ旋光度の符号が逆だった。

分子自身がキラルでなければならない

炭素は、四面体の結合配置をとっているのでは?

メソ化合物 5-6

ふたつの立体中心に同じ置換基がついていると, 立体異性体は三つしかない。

例: 2-ブロモブタンのラジカル的ブロモ化

4つの立体異性体がありそう: RR, RS, SR, and SS.

エナンチオマーの対: RR | SS と RS | SR でよいのか。 SR と RS は重ね合わせることができる。同一分子。

複数の立体中心を持つにもかかわらず, 鏡像と重ね合わせられるものを

メソ化合物。  

5-6 メソ化合物2-ブロモ 3ークロロブタンには,異なるハロゲン置換基をもっ二つの別々の

立体中心がある ことを学んだ もし両方の立体中心が同じ置換基をもっていたならば. 立体異性体の数はいくつになるだろうか

戸、J93 吋,&物4日lvu

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ソメ且U5

二つの立体中心に同じ置換基がついていると立体異性体は三つしかない例として, 2ーブロモブタンのラジカル的臭素化によって得られる 2.3- ジブロ MODEL BUILDING

モブタンについて考えてみよう 2ーブロモー3ークロロブタンの場合と同様に,R配置と S配置の組合せによってできる凹つの構造について考えねばならない (図5-10)

H

C H 3C C H 2C H 3 B r

Br2.hν 一一一一一一今HBr

H Br 占 1 1.. H 3C - 2C 一一 C ::'"ーC H 31 1 Br H

立体中心 一つ 立体中心 二つ2,3 ジブロモブタン

立体異性体の初めの組は R ,R と5,5 の配置をも っており,エナンチオマーの対であるこ とがはっきり と認識できる ところが 2番目の組を よく見ると ,S,R 体とその鏡像である R .S 体は重ね合わせる ことができ, したがって同じ化合物である ことがわかる つまり2.3ージブロモブタンの S,R ジアステレオマーは,立体中心を二つもっているにもかかわらず,アキラルであり光学活性ではない二つの構造が同じであることは分子模型を使えばすぐに確かめる ことができる二つの (または以下に述べるよう に三つ以上の)立体中心をもちながら,鋭像と

重ね合わせる ことのできる化合物はメソ化合物 (m eso com pound : m esos. ギリシャ諾の「真中J)である メソ化合物の特徴は,分子の半分が残りの半分の鏡像 この猫の顔は完全なメソ体のよになるような。分子内の鋭面が存在するこ とである たとえば 2.3 ジブロモブ うに見える

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H 3C C H3 図 5-102,3ージブロモブタンの立体異性体問の関係下の対は同じ構造である(分子模型を組め)

メソ体は、分子内に鏡面を持っている。 

メソ化合物は、アキラルである。

他の例:

練習問題-22

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

Cl

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