①2013年 ②2013年 9月 7日(土) 13時~15時 ③2013年10月26...

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1.開催日程 ①2013年 8月10日(土) 13時~15時 ②2013年 9月 7日(土) 13時~15時 ③2013年10月26日(土) 13時~15時 2.開催場所 ①愛媛県西予市 俵津公民館 ②愛媛県鬼北町 鬼北町公民館 ③愛媛県松山市 男女共同参画センター 3.参加者数 ①200名 ②150名 ③100名 計450名 4.講座内容 各会場とも ①医師による講演 ②演劇(在宅での看取りを経験した家族を含む市民劇団ならびに当法 人職員による「胃ろうと延命、終末期の生き方」について問う演劇) ③意見交換 5.所見 「病気や老衰で食べれなくなった時、胃ろうなどの延命治療をどうするか」などの 終末期の問題を、講演と演劇によって広く一般市民に提示し、「人生最後の時間を過ご す本人の生き方にどう向き合っていくか」と云った視点で、終末期のあり方や看取り のあり方についてより多くの市民の皆さんに考えてもらう機会になったと考える。 講演と演劇と云う、珍しい形態での市民講座の実施は、参加者にとても興味深く受 け入れられ、同時にとてもわかり易いという評判であったことから、身近でありなが ら、なかなか考えることのない終末期の問題を、それぞれの自身の問題として捉えて いただける機会を提供できたのではないかと思う。 松山会場は、他イベントと重なっていたことから、やや集客に苦労したが、他は概 ね大盛況であった。 今後も、このように、終末期や在宅医療のテーマや課題を、市民レベルで考えて頂 ける機会の創出に取り組んでいきたいと考える。 最後に、今大会への助成を頂いた公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団に心より 御礼を申し上げ、完了報告としたい。

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1.開催日程 ①2013年 8月10日(土) 13時~15時

②2013年 9月 7日(土) 13時~15時

③2013年10月26日(土) 13時~15時

2.開催場所 ①愛媛県西予市 俵津公民館

②愛媛県鬼北町 鬼北町公民館

③愛媛県松山市 男女共同参画センター

3.参加者数 ①200名

②150名

③100名

計450名

4.講座内容 各会場とも

①医師による講演

②演劇(在宅での看取りを経験した家族を含む市民劇団ならびに当法

人職員による「胃ろうと延命、終末期の生き方」について問う演劇)

③意見交換

5.所見

「病気や老衰で食べれなくなった時、胃ろうなどの延命治療をどうするか」などの

終末期の問題を、講演と演劇によって広く一般市民に提示し、「人生最後の時間を過ご

す本人の生き方にどう向き合っていくか」と云った視点で、終末期のあり方や看取り

のあり方についてより多くの市民の皆さんに考えてもらう機会になったと考える。

講演と演劇と云う、珍しい形態での市民講座の実施は、参加者にとても興味深く受

け入れられ、同時にとてもわかり易いという評判であったことから、身近でありなが

ら、なかなか考えることのない終末期の問題を、それぞれの自身の問題として捉えて

いただける機会を提供できたのではないかと思う。

松山会場は、他イベントと重なっていたことから、やや集客に苦労したが、他は概

ね大盛況であった。

今後も、このように、終末期や在宅医療のテーマや課題を、市民レベルで考えて頂

ける機会の創出に取り組んでいきたいと考える。

最後に、今大会への助成を頂いた公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団に心より

御礼を申し上げ、完了報告としたい。

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高齢化と胃瘻を巡る社会背景

13年12月25日水曜日

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日本の高齢化率は?

13年12月25日水曜日

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高齢化について

日本の高齢化率

高齢化社会

高齢社会

超高齢社会

>7%

>14%

>21%

24.1%(平成24年)25.1%(平成25年)

松山市の高齢化率 23.1%(平成25年)13年12月25日水曜日

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65歳以上人口の割合の推移の国際比較

日本

13年12月25日水曜日

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世界で最も病院で亡くなる人が多い国は?

13年12月25日水曜日

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看取りの場所の国際比較

注 :「 ナ ー シ ン グ ホ ー ム ・ ケ ア 付 き 住 宅 」 の中には、オランダとフランスは高齢者ホーム、日本は介護老人保健施設 が含まれる。●スウェーデン:Socialstyrelsen Dögen angår oss alla による1996年時点●オランダ:Centraal Bureau voor de Statistiek による1998年時点● フ ラ ン ス:Institut National des Études Demographic によ る1998年時点●日本: 厚生労働省大臣官房統計情報部『人 口 動 態 統 計 』に よ る 2 0 0 0 年 時 点出典:医療経済研究機構 『要介護高齢者の終末期における医療に 関 す る 研 究 報 告 書 』2 0 0 2年

スウェーデン

オランダ

フランス

日本

0 25 50 75 100

2.8

6.8

1.2

7

13.9

24.2

31

20

2.4

10.8

32.5

31

81

58.1

35.3

42

病院 ナーシングホーム・ケア付き住宅 自宅 その他

13年12月25日水曜日

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0

20

40

60

80

100

割合%

11.7 21.937.4

57.075.0 81.0 81.6

82.570.7

56.6

38.0

21.713.9

13.01951年1960年 1970年 1980年 1990年 2000年

2003年西暦

病院死と在宅死の割合病院・診療所 自宅

13年12月25日水曜日

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多死社会とは?

13年12月25日水曜日

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団塊の世代が後期高齢者となる死亡者数がピークに達する2025年以降をどうするか?

多死社会とは?2025年を見据えて何をしなければならないか?

9

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図表3-3-1 国民健康保険の加入者の職業別構成割合(本文P99)

○ 国民健康保険の加入者は、農林水産業者と自営業者が過半を占めていたが、現在では、被用者と無職者が過半を占めている。

7.6 7.6 5.7 6.5 9.5 9.2 9.2 10.76.1 7.8

21.2

35.945.4 46.5 47.1

36.2

5.9 4.5

3.6

2.4

2.5 2.3 2.5

5.4

18.029.0

30.7

28.7

26.2 26.3 25.831.0

23.5

29.5

26.8

19.512.5 12.3 12.1 13.7

38.9

21.612.0 7.0 3.8 3.4 3.4 3.0

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100(%)

1965 1975 1985 1995 2005 2006 2007 2008 (年)

・農林水産業者・自営業者

・被用者

・その他

・無職

・不明9.8

36.7

5.3

32.4

13.1 2.7

2009資料:厚生労働省保険局「国民健康保険実態調査報告」(注) 2007年から2008年にかけての加入者の構成割合の変化は、2008年から後期高齢者医療制度が施行されたこ

とに伴い、国民健康保険の加入者が75歳以下となったことが影響している。

図表3-3-3 年齢階級別に見た死亡者数の推移(本文P101)

○ 0~14歳、15~64歳の死亡が多かったが、現在では、65~79歳、80歳以上の死亡がほとんど。高齢化に伴い、人口当たり死亡率は上昇傾向。

死亡率80歳~

65~79歳

15~64歳0~14歳

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

0

20

40

60

80

100

120

1947 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010(年)

死亡率

死亡数

(万人) (人口千対)

資料: 厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」(注) 2010年は概数値である。

-22-

治す病気を治しても多くの人が亡くなる時代が多死社会

80才以下の死亡率は上昇しない

死亡率が上昇するのは80才以上のみ

治す病気は治せている

治そうとしても治せない病気や老化で亡くなる

いつか迎える老化や死にしっかりと向き合うことが必要 10

13年12月25日水曜日

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• 世界一の高齢化率と世界トップレベルの寿命

• 世界一の病院看取り率、歴史上最も高い病院看取り率

• 自宅で看取った経験のない者が多くなった地域社会

• 世界トップレベルの医療水準と素晴らしい国民皆保険制度(治す医療への依存)

• 高齢化に伴い認知症患者の急増

• まだまだ大病院・専門医志向で最期まで治し続ける”治す医療”が主体

• 在宅医療の選択肢も広がっておらず、地域によってムラがある

• 核家族化や高齢化により、介護力不足が露呈しつつある

• 世界一の胃瘻増設率で、胃瘻増設を決めるのは周囲の者で本人の意志は尊重されていない

• 少子高齢多死社会で社会を支える生産年齢人口が減少する

• 毎年1兆円ずつ医療費が増加し、社会保障費がGDPの30%を超えている

• 団塊の世代が80才以上となる多死社会で療養の場所や亡くなる場所がなくなる医療クライシス

• 地方都市での医師不足や看護師不足に起因する地域医療の疲弊

• 僻地での限界集落化と無医地区化 11

現在の日本の医療や社会保障を巡る課題

13年12月25日水曜日

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少子高齢多死社会   をどう生きるか?

13年12月25日水曜日

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あなたは亡くなる前に食事が十分に   摂れなくなったらどうしますか?

食べることは在宅医療にとって最大のテーマ

13年12月25日水曜日

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 末梢輸液:    手や足からのカロリーの少ない点滴 中心静脈栄養:

    心臓の近くの太い血管から行うカロリーの高い点滴 経管栄養:

    鼻からのチューブによる栄養 胃ろう栄養:

    胃にボタンをつけてそこから栄養剤を注入 自然に看る:

    点滴や注入をせずに口から食べれるだけ取って、    自然に看る

 栄養経路の選択肢

13年12月25日水曜日

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世界で最も胃瘻をする人が多い国は?

13年12月25日水曜日

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胃瘻栄養について

 日本での胃瘻の新規導入は年間約20万人

 日本で現在胃瘻を実施しているのは年間約40万人

 日本では本人や家族が望めば胃瘻ができ、むしろ  胃瘻をしない選択肢が提示されない事が多い。

 対象者全員が胃瘻を行う社会でよいのか?

 本人の生き方や価値観は議論されているのか?

13年12月25日水曜日

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あなた自身がアルツハイマー病で判断が出来なくなって、寝たきりとなり、飲み込みが出来なくなったら胃瘻を選択しますか?

13年12月25日水曜日

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胃瘻するかどうか決断するのは誰か?

13年12月25日水曜日

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19

四国の在宅療養支援診療所を運営する医師141人に行ったアンケートです。

在宅医に聞きました。もし、あなたがアルツハイマー病で末期の状態で寝たきりとなり口から食べることができなくなったらどうされますか。

わからない14%

胃瘻栄養をしたい6%

胃瘻栄養はせずに自然に最後を迎えたい80%

質問項目 人数(人)

胃瘻栄養はせずに自然に最後を迎えたい

胃瘻栄養をしたい

わからない

その他

111

9

19

0

平成23年10月四国の在宅療養支援診療所を運営する医師141人に行ったアンケートです。

平成23年実施看取りに関するアンケート

13年12月25日水曜日

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認知症症状の強さ

時間の流れ

薬物治療している場合

アルツハイマー型認知症

胃ろう

寝たきり

死亡

胃ろう

寝たきり

死亡

認知症患者の生き方に向き合う

先のばしの医療から本人の生き方に向き合う医療へ

13年12月25日水曜日

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 食べられるようになることは価値のあるこ とだが、食べられるようになったことを喜ぶ だけではなく、また食べられなくなった時に どうするかについてしっかりと家族、医療従 事者ともに向き合う事が必要

13年12月25日水曜日

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老化や死にしっかりと向き合う事が大切

  胃ろうをする選択

     胃ろうをしない選択

13年12月25日水曜日

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当院の経管栄養管理数患者数

鼻腔栄養 8胃瘻 54

経皮経食道胃管    (PTEG) 1         合計  63         合計  63

/約400

13年12月25日水曜日

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「うちの病院の医師は入院した時の点滴量や   注入量のままなくなるまで維持するので、  

最期まで吸引が頻回で大変」

ある老人病院の看護部長のことば

医師の方が死に向き合わず、    終末期医療がわかっていない

13年12月25日水曜日

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胃瘻をしても最期は注入量を絞る

13年12月25日水曜日

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独居の方を自宅で看取るための4つの条件

3.親戚や在宅サービスの援助者が亡くなるときに誰かがみてなくても良いことを理解していること

1. 本人が自宅での看取りを強く望んでいること

2. 周囲の親戚も本人の思いを尊重しようとしていること

4.点滴や胃瘻をせずに自然な看取りを行うこと        (関係しているすべての人がしっかりと死に向き合っていること)

13年12月25日水曜日

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長野県泰阜村の例• 介護保険の自己負担を10%から4%へ

• 村内の診療所への受診は自己負担1回500円

• 村内診療所では積極的な在宅医療

• 介護サービスの充実と生活支援在宅死80%

老人医療費・国保保険料ともほぼ半減

13年12月25日水曜日

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最期まで食べる!?

13年12月25日水曜日

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非癌の高齢者のターミナル期

•持続的に食べられなくなった時から始まる•終末期に必要な水分量やカロリーは少ない。

•痰が出るから飲み込めない•痰が出ない自然な状態にすれば最期まで食べることができる

13年12月25日水曜日

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「この病院で胃瘻造設して幸せになった人はいない」

ある病院のSTのことば

その病院ではほとんどが絶食でIVHか末梢輸液

選択肢や必要な情報が提示されていない

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「絶食にして、誤嚥しているから食事は再開できない」    とよく言われます。

亡くなるまでずっと絶食でいいのでしょうか?

反対に絶食にすることにこそ  エビデンスが必要なのでは?

最期まで食べて生きるのが人間のはず

食べたい人に食べるなという権利があるのか?

本人の食べる権利をもっと考えよう!

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83才女性 アルツハイマー型認知症で寝たきり状態

食事量低下し、るいそう著明となり、近医入院し、点滴受けるも食事量増えず、誤嚥性肺炎起こし、転医した。肺炎は良くなったが、持続点滴で吸引頻回。絶食状態。

家族は胃瘻栄養や延命治療はせず、自宅で看取りたいと希望される。ただ、退院前には家に帰って、すぐ点滴止めてしまうのもつらい。

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退院時カンファレンスで、500㎖程度の輸液を継続して、むくみや痰でしんどいようなら中止することを確認。

退院時に以前から本人が希望だったお墓参り後に帰宅した。

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初診時に水飲みテストで嚥下は困難であることは 主治医が確認した。

翌日、とろみつけた水とヨーグルト少量をおいしそうに食べ、もっと甘い物が欲しいと本人は意欲をしめした。

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退院後4日目に発熱と喀痰の増量有り、誤嚥性肺炎も疑われたが、入院は希望されず、抗生剤の点滴で様子見た。少量の経口摂取は継続。

喀痰増加し、点滴を中止。楽しみ程度の経口摂取は娘さんが継続。

点滴を中止すると痰は減り、吸引は必要なくなった。

退院後12日目にご家族に見守られながら永眠された。

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もう迷わん!86才男性誤嚥性肺炎で入院 入院後、中心静脈栄養肺炎軽快後も吸引頻回で、病院では

 まったく口からはたべていない状態元々自然な看取りが希望で 奥さんが相談にこられたいろいろと熟慮した末、「もう迷わん!」と

 奥さんが点滴を抜いて、自然に看取る決意をして 家につれて帰った。

 

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絶食指示をするのは簡単なこと

「本人が最期に後悔しない選択は  何か?」という視点で考えたい

安易に絶食にして食事を再開しないケースが多すぎると思います

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どうすれば最期まで食べれるのか?

絶食にするのはむしろ簡単

どうやって食べたい、   食べさせたい気持ちを尊重するか

輸液や注入を最小限にし、(それが自然!)  痰や唾液があふれないようにすることが大切

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最期まで食べる!      ~ 自然に看取るとは ~

• 96才女性

• 誤嚥性肺炎で入院

• 入院後、中心静脈栄養

• 肺炎軽快後も吸引頻回で、絶食の状態

• 元々自然な看取りが希望で娘さんが当院に相談にこられた

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永井先生へ 先日、開催されました講演会で永井先生の講演を聞かせていただきました。その中に、母の姿が写ったとき、うれしく思いました。在宅医療の意義あることを母を通して多くの人たちに知ってもらうことができる。母がお役に立てたと思い涙が出ました。永井先生と出会えなければ、母は今でも苦しい入院生活を続けていたかも知れません。在宅医療に移行したことは、母と私たち家族には「楽なように、やりたいように、後悔しないように」のそのものでした。退院して母は息づかいも楽になり、ほしい時にお茶やジュースを飲み、私たち家族は病院よりも、密度の高い接し方ができました。病気に苦しんでいる人を、どうか楽にしてあげてください。助けてあげてください。永井先生とスタッフの皆様が、ますます頑張っていかれますことを、心よりお祈りいたします。

娘さんからの手紙

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患者家族の幸せは余命だけではない

【余命】×【満足度】を最大にするのが医師の使命!

余命だけを長くすることが医師の使命ではなく、

患者の幸せではない。

【余命】×【満足度】=【患者の幸せ】鹿児島県五反田クリニック五反田先生提唱

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地域のレベルがあがれば、ニーズもあがる!

自然な看取りや独居での看取りを選択できる社会の創出

本人が望む後悔のない選択ができれば、 病院で最期を迎えても自宅で最期を迎えてもいい

気づき治すことに一生懸命で気づいていない医療従事者や一般の方々に気づいてもらうために様々なわかりやすい方法を用いて 伝えていくことが大切だと思っています。

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終末期の医療と介護に関する松山宣言

(1)住み慣れた自宅や施設で最期を自然に迎える選択肢があることを提案しよう。

(2)治すことができない病や死にゆく病に、本人や家族が向き合える医療と介護を

提供しよう。

(3)本人や家族が生き抜く道筋を自由に選び、自分らしく生きるために、苦しさを

緩和し、心地よさを維持できるよう、多面的な医療と介護を提供しよう。

(4)最期まで、本人が自分らしく生ききることができるよう適切な医療と介護を提

供し、本人や家族と共に歩んでいこう。

(5)周囲の意見だけで選択肢を決定せず、本人の生き方や希望にしっかりと向き

合って今後の方針を選択しよう。

「多死社会を迎え、避けられない死から目を背けず、     患者にとっての幸せや生き方に向き合う医療と介護を提供しよう」

平成25年3月31日第15回日本在宅医学会

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