№349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ...

35
№349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品 医療用具等安全性情報№193‥‥‥‥‥‥‥2 JAPIC CONTENTS から‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 財団法人 日本医薬情報センター Ⅲ 医薬関連情報から ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥28 財団法人 日本医薬情報センター 1 Phen ytoinとDia zepamの相互作用:1症例の報告 2 Dalt eparin による皮膚反応:Hepa rin誘発血小板減少症(HIT)抗体を有する1 症例の報告 3 Ison iazid誘発のアナフィラキシー:1症例の初めての報告 4 カルシウム強化オレンジジュースとの併用によるLevofl oxaci nの生物学的同等 性の欠如:健常志願者16例における無作為オープン・ラベル交差試験 5 Dios minの前投与によるMetr onidaz oleのバイオアベイラビリティへの影響:男 性健常志願者12例における非盲検試験 Ⅳ トピックス ‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・・・・‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥32 サリドマイドについて

Upload: others

Post on 11-Mar-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

№ 3 4 9

平成15年10月号 東京都医薬品情報

Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報№193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS から‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20

財団法人 日本医薬情報センター

Ⅲ 医薬関連情報から‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥28 財団法人 日本医薬情報センター

1 Phenytoin と Diazepam の相互作用:1 症例の報告

2 Dalteparin による皮膚反応:Heparin 誘発血小板減少症(HIT)抗体を有する 1

症例の報告

3 Isoniazid 誘発のアナフィラキシー:1 症例の初めての報告

4 カルシウム強化オレンジジュースとの併用によるLevofloxacinの生物学的同等

性の欠如:健常志願者 16 例における無作為オープン・ラベル交差試験

5 Diosminの前投与によるMetronidazoleのバイオアベイラビリティへの影響:男

性健常志願者12例における非盲検試験

Ⅳ トピックス‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥32 サリドマイドについて

Page 2: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

塩酸フェニルプロパノールアミン(以下「PPA」という。)は,鼻みず,鼻づまり等の症状の緩和を

目的として,一般用医薬品としては,鼻炎用内服薬,鎮咳去痰薬,かぜ薬に含有されている。また,医

療用医薬品としても,総合感冒剤に含有されている。

PPAについては,その服用と出血性脳卒中との発生リスクに関する大規模疫学調査が米国において実

施され,女性が食欲抑制剤として服用した場合にその関連性が有意に高いとの結果が得られた。これを

受けて,米国食品医薬品庁は,平成12年11月に,製薬企業に対し,PPAを含有する医薬品の米国内にお

ける自主的な販売中止を要請した。一方,我が国においては,PPA含有医薬品は食欲抑制剤として承認

されていないこと,及び1日最大用量が米国より低いこと等の理由により直ちに当該製品の販売を中止

する必要はないと判断されたものの,平成12年11月に,心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用し

ないよう注意喚起し,適正使用の徹底を行ってきた。

しかしながら,最近に至り,PPAを含有する一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が4例報告さ

れた。これらの症例を含め,平成12年11月の措置後,一般用医薬品で5例,医療用医薬品で2例の脳出

血等の副作用症例が収集されている。その多くが,用法・用量の範囲を超えた服用又は禁忌とされてい

る高血圧症患者への使用による症例である。

厚生労働省としては

①これらのPPAを含有する一般用医薬品による脳出血等の副作用症例の多くが不適正使用によるもので

あること

②これまで広範に使用されてきており,発現頻度は極めて低いと考えられること

から,PPAを含有する一般用医薬品の使用により,直ちに,消費者が不当な副作用のリスクにさらされ

成分名

販売名(会社名)

成分名 販売名

塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する一般用医薬品及び医療用医薬品

別表「塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する主要医薬品リスト」参照

薬 効 分 類 等鼻炎用内服薬,鎮咳去痰薬,かぜ薬(一般用医薬品)総合感冒剤(医療用医薬品)

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

1塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する医薬品による脳出血に係る安全対策について

Page 3: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

ていると判断されるものではないが,適正使用の推進のため,平成15年8月8日に関係企業に対し,使

用上の注意の改訂及び薬局等への情報提供を指示するとともに,日本薬剤師会等の関係団体に対し,当

該医薬品の使用上の注意を消費者に伝え,服薬指導等を徹底するよう指示を行った。また,関係企業に

対し,PPAを含有する医薬品から,プソイドエフェドリン(以下,「PSE」という。)を含有する医薬品

等への速やかな切り替えを行うよう指示した。更に,PSEを含有する医薬品等への切り替えを促進する

ため,PPAを含有する一般用医薬品の製造業者等に対し,可及的速やかな代替新規申請等を行うととも

に,当該医薬品の新たな製造を自粛するよう通知し,現在承認申請中のものを含め,平成16年2月末日

までに厚生労働大臣又は都道府県知事宛に承認申請を行ったPSEを含有する医薬品等については,迅速

に審査を行うこととした。

表1 症例の概要

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

2 女10代

鼻炎(なし)

50mg(2カプセル)約1ヵ月間

頭痛,悪心,クモ膜下出血投与開始日 鼻炎症状のため本剤の服用開始。3日に

1度程度服用していた。投与約1ヵ月後 突然の頭痛・嘔気で救急搬送。頭部CT上

クモ膜下出血(+)。中止1日後 脳血管撮影上,動脈瘤,AVM(脳動静脈

奇形)などの出血源不明。血管の異常所見(-)。

中止12日後 再度脳血管撮影施行。出血部と一致して血管攣縮を認めた。

中止13日後 神経学的異常なし,退院。

医療機関報告

併用薬:なし

(投与中止日)

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

1 女20代

鼻炎(なし)

75mg(3カプセル)1回

クモ膜下出血投与開始日 鼻炎症状のため,当該製品を内服。この際,

1回1カプセルのところ,1回量と1日量を間違えて1回3カプセルを服用。服用30分後くらいに激しい頭痛,意識障害出現したため,当該施設へ救急車にて搬送。血圧は従来100/~mmHgくらいであるが,160/~mmHgと上昇。脳出血を疑い,頭部CTを撮影したが,明らかな出血はみられず。経過観察,同時に入院。

中止1日後 入院後,痙攣発作。再度,頭部MRI検査をしたところ,クモ膜下出血と診断。臨床検査では,特に異常を認めなかった。その後,特に治療せず経過観察。

中止26日後 退院。

企業報告

併用薬:なし

(投与中止日)

2003年9月

Page 4: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

3 女20代

感冒(なし)

100mg(2カプセル)4日間

(約1年4ヵ月後)

100mg(2カプセル)2日間

脳内出血投与開始日 頭痛,発熱,感冒様症状あり,近医にて

本剤,クラリスロマイシン,セラペプターゼを処方。その後も頭痛があったが学校に通っていた。

投与4日目 この日まで本剤を服用した。

中止1日後 頭痛増強し,明け方当院受診。頭部CTにて左大脳に脳内出血を認め,入院。同日,脳血管撮影を行ったが特に異常なく,止血剤の点滴にて経過観察。この日,全身痙攣発作が1回あったため,抗痙攣薬も投与した。その後,徐々に頭痛は軽快。頭部CTでも出血の吸収を確認した。

中止27日後 独歩にて退院。中止約1年4ヵ月後 感冒症状あり,近医受診にて,本剤,ク

ラリスロマイシン,セラペプターゼの処方を受ける。

再投与2日目 夕方より頭痛増強。夜になり更に増強し,このとき自宅にて血圧測定したところ,180~190/120mmHg程度であったとのこと。

再投与中止1日後 頭痛が我慢できなくなり,嘔吐もあったため,明け方当院受診。頭痛,嘔吐あるため,乳酸リンゲル液+メトクロプラミド10mg(1A)の点滴で症状は徐々に改善した。約3時間後血圧92/56mmHg,症状も改善し,頭部CTでは新たな異常を認めなかったため,帰宅した。

企業報告

(投与中止日)

(再投与開始日)

(再投与中止日)

中止1日後(発現日)

中止25日後

再投与中止1日後

赤血球数 (×104/mm3) 506 450 -

血色素量 (g/dL) 14.4 13.5 -

ヘマトクリット (%) 44.6 39.7 -

血小板数 (×104/mm3) 19.7 29.2 -

白血球数 (/mm3) 5700 3300 -

CRP (mg/dL) 0.0 0.9 -

プロトロンビン時間 (秒) 11.3 - -

AST(GOT) (IU/L) 74 27 -

ALT(GPT) (IU/L) 27 17 -

Al-P (IU/L) 215 251 -

γ-GTP (IU/L) 7 39 -

LDH (IU/L) 1283 528 -

総ビリルビン (mg/dL) 0.8 0.2 -

BUN (mg/dL) 8.6 6.4 -

血清クレアチニン (mg/dL) 0.6 0.4 -

血清Na (mEq/L) 140 140 -

臨床検査値

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 5: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

表2 塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する主要医薬品リスト

一般用医薬品

鼻炎用内服薬

製品名 会社名(製造(輸入)元-販売元)

1 JPS鼻炎カプセル ジェーピーエス製薬

2 こどもストナリニ 佐藤製薬

3 こどもパブロン鼻炎液 大正製薬

4 さとう鼻炎カプセル 佐藤薬品工業‐佐藤薬品販売

5 アサヒ鼻炎カプセル 朝日製薬・富山

6 アスゲン鼻炎カプセル アスゲン製薬‐日邦薬品工業

7 アスゲン鼻炎シロップ「小児用」 アスゲン製薬‐日邦薬品工業

8 アスゲン鼻炎錠 アスゲン製薬‐日邦薬品工業

9 アナクール持続性鼻炎カプセル 日水製薬

10 アネトン鼻炎カプセル持続性 広貫堂‐ファイザー製薬

11 アラクス鼻炎スティック アラクス

12 アルガード鼻炎クールチュアブル ロート製薬

13 アルガード鼻炎ソフトカプセル ロート製薬

14 アルシン鼻炎カプセル 滋賀県製薬

15 エザック鼻炎L 小林薬学工業‐日本医薬品工業

16 エスタック「ニスキャップ」 エスエス製薬

17 エスタック大人用鼻炎内服液 明治薬品‐エスエス製薬

18 エスパイン鼻炎カプセル 福地製薬‐近江製薬

19 エスベナン鼻炎カプセル 滋賀県製薬‐白石薬品

20 エピシロン鼻炎カプセル 高市製薬

21 エピック鼻炎シロップ小児用 福地製薬

22 オートハッスP鼻炎カプセル 日本アルツ製薬

23 オールP鼻炎ソフトカプセル オール薬品工業

24 オフノーズ鼻炎カプセル 協和薬品工業

25 オムニン鼻炎ソフトカプセル オール薬品工業

26 オロトニン鼻炎カプセル 北宝薬品

27 カイゲンこども用鼻炎シロップ 大洋薬品工業・大阪‐カイゲン

28 カイゲン鼻炎カプセル 堺化学工業‐カイゲン

29 カイゲン鼻炎カプセル12 堺化学工業‐カイゲン

30 カイゲン鼻炎シロップ小児用 大洋薬品工業・大阪‐カイゲン

31 カイゲン鼻炎内服液10〈テン〉 大洋薬品工業・大阪‐カイゲン

32 ガノン鼻炎L ホーユー‐天野商事

33 クミアイ鼻炎カプセル 協同薬品工業‐全国農業協同組合連合会

34 クミアイ鼻炎カプセル 佐藤薬品工業‐北海道厚生農業協同組合連合会

35 コールトル「鼻炎」 米田薬品

36 コールトル「鼻炎」ソフトカプセル 米田薬品

37 コデジール鼻炎カプセル 日野薬品工業

38 コデジール鼻炎チュアブル 日野薬品工業

39 コデビタこども鼻炎シロップ 福地製薬

40 コフジス鼻炎カプセル 福地製薬‐東洋メディコ

41 コフジス鼻炎シロップ小児用 福地製薬

42 コフチール鼻炎シロップ小児用 福地製薬

43 コルゲンコーワ鼻炎ソフトカプセル小児用 興和‐興和新薬

併用薬:クラリスロマイシン,セラペプターゼ,バルプロ酸ナトリウム

血清K (mEq/L) 4.9 3.4 -

血清Cl (mEq/L) 100 100 -

総コレステロール (mg/dL) 245 - -

トリグリセライド (mg/dL) 56 - -

CK(CPK) (IU/L) 106 - -

空腹時血糖 (mg/dL) 104 81 -

血圧 (mmHg) 110/60 100/60 92/56

最高体温 (℃) 37.1 36.1 36.7

2003年9月

Page 6: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

製品名 会社名(製造(輸入)元-販売元)

44 コルダン〈鼻炎〉カプセル 近畿医薬品製造

45 コルベロン鼻炎用カプセル「持続性」 富山化学工業

46 コンタック600EX 住友製薬‐住友製薬ヘルスケア

47 コンタック600SR 住友製薬‐グラクソ・スミスクライン

48 コンタック鼻炎 住友製薬‐グラクソ・スミスクライン

49 サラリ800 内外薬品商会

50 サンテン鼻炎顆粒 参天製薬

51 サンテ鼻炎ソフトカプセル 東亜薬品‐参天製薬

52 ジェーピーエス鼻炎内服液 原沢製薬工業‐ジェーピーエス製薬

53 ジキナ鼻炎カプセル 富士薬品

54 ジキニン鼻炎顆粒A 全薬工業

55 スカイナー鼻炎用S エーザイ

56 スックル〈鼻炎用〉 佐藤薬品工業‐佐藤薬品工業,増田製薬,丸太中嶋製薬

57 スットワン鼻炎カプセル 至誠堂製薬

58 ストナリニ 佐藤製薬

59 ストナリニサット 佐藤製薬

60 ストナリニシロップ「小児用」 佐藤製薬

61 ストナリニ小児用 佐藤製薬

62 ストナ鼻炎カプセル 住友製薬‐佐藤製薬

63 スパーク鼻炎カプセル 滋賀県製薬

64 スパール鼻炎カプセル 渡辺薬品工業‐田原兄弟社

65 スルロン鼻炎L 協和薬品工業

66 セピー鼻炎ソフトクール 東洋カプセル‐ゼリア新薬工業

67 ゼネル鼻炎顆粒 ゼネル薬工粉河‐ゼネル薬品工業

68 タウロミン鼻炎ソフトカプセル 福井製薬‐日邦薬品工業

69 ダイシ鼻炎カプセル 大師製薬

70 ダン12 住友製薬‐住友製薬ヘルスケア

71 ダンリッチA 住友製薬‐オールジャパンドラッグ,住友製薬ヘルスケア

72 チミコデ鼻炎カプセル 福地製薬‐三菱ウェルファーマ

73 トピック鼻炎「カプセル」 日新薬品工業‐日新薬品工業,ヒグチ薬品

74 ドレーク鼻炎錠 吉田薬品工業

75 ノイセル鼻炎カプセル 中新薬業

76 ノスポールA鼻炎カプセル 協和薬品工業

77 ノスポール鼻炎カプセル 協和薬品工業

78 ノスポール鼻炎ゴールド 協和薬品工業

79 ノドミ鼻炎シロップA 三宝製薬‐オリエックス

80 ハイスックル〈鼻炎用〉 佐藤薬品工業

81 ハイドルミン鼻炎カプセル 日新製薬・滋賀

82 ハイビエンカプセル 明治製薬‐日本医薬,明星薬品

83 ハヤナ鼻炎カプセル 富士薬品

84 パーム鼻炎カプセル 滋賀県製薬‐ベンセドール

85 パイロンL24 塩野義製薬

86 パブロン鼻炎カプセルL 大正製薬

87 パブロン鼻炎カプセルL小児用 大正製薬

88 パプトン鼻炎カプセル 田村薬品工業

89 パミコール「鼻炎」 米田薬品

90 パミコール「鼻炎」ソフトカプセル 米田薬品

91 ヒーダ鼻炎カプセル 東宝製薬

92 ヒストミン鼻炎カプセルL 小林薬品工業

93 ヒスパノン鼻炎カプセル 松本製薬工業

94 ヒビリンSカプセル 渡辺薬品工業

95 ヒラミン鼻炎カプセル 松田薬品工業

96 ビエンリック 米田薬品

97 ビエンリックソフトカプセル 米田薬品

98 ビノック鼻炎内服液10 大洋薬品工業・大阪‐小林薬学工業

99 ビノック鼻炎用カプセル 日本医薬品工業‐小林薬学工業

100 ピタリワン鼻炎カプセル 至誠堂製薬‐仁寿薬品

101 ピラ鼻炎カプセル 東亜薬品

102 フジビトール鼻炎薬 湧永製薬

103 プラタギン鼻炎カプセル 三宝製薬

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 7: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

製品名 会社名(製造(輸入)元-販売元)

104 プロピン鼻炎カプセル 内外薬品商会

105 ヘルビック鼻炎用カプセル 大昭製薬‐明治製菓

106 ベナエス鼻炎カプセルL 第一薬品工業

107 ベリテN&T 帥治堂製薬‐ベリテ

108 ベルエムピ鼻炎カプセル カネボウ‐カネボウ薬品

109 ベルゲン「5」プラス 明治薬品

110 ベンザAL 武田薬品工業

111 ペトン鼻炎カプセル 佐藤薬品工業‐藤沢薬品工業

112 ペプチカ鼻炎カプセル 佐藤薬品工業‐オリエックス,藤沢薬品工業

113 マイゼロン鼻炎錠 ジャパンメディック

114 マッハリン鼻炎カプセル 共栄製薬

115 マピロン鼻炎カプセルL 大昭製薬‐大日本製薬

116 メナム 救心製薬‐救心商事

117 ヤクレミン〈鼻炎用〉 全国薬品工業

118 ユトラ鼻炎カプセル 廣昌堂‐ノーエチ薬品

119 ユトラ鼻炎内服液 松本製薬工業‐ノーエチ薬品

120 リココデS2 ゼネル薬工粉河‐ゼネル薬品工業

121 ルックエス鼻炎カプセル 常盤薬品工業

122 ルピット鼻炎カプセル 滋賀県製薬‐カネボウ薬品

123 ルフノン鼻炎ソフトクール 東洋カプセル‐ゼリア新薬工業

124 レイメル鼻炎内服液 中外医薬生産

125 ロート鼻炎ソフトカプセルユア ロート製薬

126 ロビン鼻炎カプセル キョクトウ

127 宇津こども鼻炎シロップ 東亜薬品‐宇津救命丸

128 宇津ジュニア鼻炎ソフトカプセル 東亜薬品‐宇津救命丸

129 救風鼻炎カプセル 常盤薬品工業

130 持続性フジサワ鼻炎薬 佐藤薬品工業‐藤沢薬品工業

131 持続性プレコール鼻炎薬 佐藤薬品工業‐藤沢薬品工業

132 小児用エスタック鼻炎シロップ エスエス製薬

133 小児用ヒラミン鼻炎シロップ 松田薬品工業

134 新コルゲンコーワ鼻炎ソフトカプセル 興和‐興和新薬

135 新スックル鼻炎カプセルLG 佐藤薬品工業‐サンドラッグ・グループ

136 新ノスポール鼻炎カプセル 協和薬品工業

137 新ノバポン鼻炎カプセル 田辺製薬

138 新マイフーロン鼻炎ソフトカプセル 日本製薬工業

139 浅田飴こども鼻炎チュアブル 日野薬品工業‐浅田飴

140 浅田飴鼻炎シロップ 日野薬品工業‐浅田飴

141 浅田飴鼻炎チュアブル 日野薬品工業‐浅田飴

142 中央クール鼻炎用カプセル 渡辺薬品工業‐大和中央製薬

143 鼻炎カプセル「キュキュ」A 広貫堂

144 鼻炎カプセル「ベラ」 中村薬品工業‐大佛堂製薬,中村薬品工業

145 鼻炎カプセルA 新新薬品工業‐新新薬品工業,布亀

146 鼻炎シロップダンカップ 牛津製薬‐日邦薬品工業

147 鼻炎ソフトカプセル「クニヒロ」 皇漢堂製薬

148 鼻炎ダンカップ 牛津製薬‐日邦薬品工業

149 鼻炎ノスウェイL 協和薬品工業

150 鼻炎ライザックN 渡辺薬品工業‐日参製薬保寿堂

151 鼻炎用ハイセーフー 大昭製薬

152 明治鼻炎カプセル 明治製薬

153 明生鼻炎カプセル 明生薬品工業

154 龍角散鼻炎ソフトカプセル 龍角散

155 龍角散鼻炎持続性カプセル 龍角散

156 六活鼻炎カプセル 福地製薬‐宮本製薬

157 喘妙鼻炎錠 アスゲン製薬

鎮咳去痰薬

158 コデブロン「液剤」S 松本製薬工業‐カイゲン,常盤薬品工業

159 コンタックせき止めSR 住友製薬‐グラクソ・スミスクライン

160 ストナコフキャプレット 佐藤製薬

161 ストナコフデキス液 佐藤製薬

162 大心せきどめ錠 喜多薬品工業

2003年9月

Page 8: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈一般用医薬品 塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する製剤〉

[してはいけないこと]

次の人は服用しないこと

本剤又は塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する内服薬(鼻炎用内服薬,かぜ薬,鎮咳去痰薬)

を服用した後に,頭痛,悪心・嘔吐,めまい,動悸等の症状や著しい血圧上昇があらわれたことの

ある人。

定められた用法・用量を厳守し,過量服用しないこと

(著しい血圧上昇や脳出血を起こすおそれがある。)

[相談すること]

次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること

服用後,次の症状があらわれた場合

循環器:著しい血圧上昇,動悸

その他:排尿困難,顔のほてり,異常なまぶしさ

まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。

脳出血:はげしい頭痛,それに伴う悪心・嘔吐,めまい,動悸,著しい血圧上昇等があらわれ

る。血圧の高くない人においても報告されている。また,その多くは若い女性で起きている。

〈参   考〉 企業報告,医療機関報告

〈ヨウ化イソプロパミド・塩酸フェニルプロパノールアミン・塩酸ジフェニルピラリン〉

[禁   忌]

脳出血:観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置

を行うこと。(高血圧の既往がない患者でも報告されている。また,その多くは若年

の女性である。)

[過 量 投 与] 過量投与により,著しい血圧上昇や脳出血を起こすおそれがある。

〈参   考〉 企業報告

[副作用(重大な副作用)]

高血圧症の患者〔脳出血を起こすおそれがある。〕

脳出血の既往歴のある患者〔脳出血を起こすおそれがある。〕

本剤又は塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する製剤の服用後に,頭痛,悪

心・嘔吐,めまい,動悸等の症状や著しい血圧上昇があらわれたことのある患者

〔脳出血を起こすおそれがある。〕

製品名 会社名(製造(輸入)元-販売元)

かぜ薬

163 ストナサイナス細粒 佐藤製薬

164 ストナジェルサイナス 佐藤製薬

165 ベンザブロック 武田薬品工業

166 ベンザブロックSP 武田薬品工業

167 ベンザブロックSPカプセル 武田薬品工業

168 ベンザブロックSP錠 武田薬品工業

169 ベンザブロック錠 武田薬品工業

医療用医薬品

総合感冒剤

170 ダン・リッチ 住友製薬

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 9: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.192)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副

作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたしま

す。

■1 インターフェロンガンマ-1a(遺伝子組換え)

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

糖尿病:糖尿病が増悪又は発症することがあるので,定期的に検査(血糖値,尿糖等)を行い,

異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

〈参   考〉 企業報告

症例の概要

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

1 男50代

腎癌(なし)

300万単位94日間↓

(6日間休薬)↓

500万単位127日間↓

(41日間休薬)

高血糖既往歴:緑内障投与311日前 糖尿病を指摘される。

食事療法でコントロール良好。投与255日前 放射線療法施行(総量60Gy,44日間)。投与12日前 左根治的腎摘出術施行。投与開始日 本剤300万単位投与開始。

食前血糖値148mg/dLHbA1c 5.8%

企業報告

[副作用(重大な副作用)]

販売名(会社名)イムノマックス-γ注50,同注100,同注300(塩野義製薬)ビオガンマ注射用200(第一サントリーファーマ)

薬 効 分 類 等 その他の生物学的製剤

効 能 効 果

(イムノマックス-γ注50,同注100の場合)1.腎癌2.慢性肉芽腫症に伴う重症感染の頻度と重篤度の軽減(イムノマックス-γ注300の場合)腎癌(ビオガンマ注射用200)菌状息肉症(内臓浸潤期を除く)

2003年9月

2重要な副作用等に関する情報

Page 10: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

2 男50代

腎細胞癌(高血圧,高脂血症,肝障害)

300万単位5日間↓

(1日間休薬)↓

600万単位4日間

高血糖既往歴:急性虫垂炎投与開始約4年前 人間ドックにて境界型糖尿病を指摘される。投与35日前 食後血糖値172mg/dL投与開始日 腎細胞癌に対し,本剤300万単位投与開始。投与2日目 食後血糖値157mg/dL投与4日目 朝食前血糖値210mg/dL投与5日目 本剤投与終了。

終了2日後 本剤600万単位投与開始。朝食前血糖値272mg/dL

再投与2日目 血糖値日内変動測定。朝食前283mg/dL,朝食2時間後408mg/dL昼食前385mg/dL,昼食2時間後390mg/dL夕食前556mg/dL,夕食2時間後571mg/dL夕食4時間後470mg/dL18:20 速効型ヒトインスリン(遺伝子組換え)8単位投与。20:15 速効型ヒトインスリン(遺伝子組換え)8単位投与。

再投与3日目 速効型ヒトインスリン(遺伝子組換え)22単位+中間型ヒトインスリン(遺伝子組換え)4単位投与開始。

企業報告

(投与終了日)

(再投与開始日)

↓100万単位43日間

投与94日目 本剤投与終了。

終了7日後 本剤500万単位投与開始。

再投与77日目 HbA1c 6.8%再投与123日目 運動したところ,全身倦怠感が強く出現した

ため,運動を途中で中止し,帰宅。再投与127日目 口渇,倦怠感が強いため,外来受診。

随時血糖748mg/dLと上昇し,同日入院。尿ケトン体陰性,負荷前血中インスリン2.6μU/mL,抗GAD抗体陰性。本剤投与中止。入院後,補液にて脱水補正し,インスリンも使用。

中止1日後 食前血糖値261mg/dLまで改善。HbA1c 9.3%1600kcalの食事療法開始。

中止42日後 血糖値が改善し,本剤100万単位を週1回の割合で開始(43日間)。インスリン アスパルト(遺伝子組換え)を各食前4単位又は6単位程度で投与し,食前血糖値130mg/dL前後と落ち着いた。

再々投与30日目 採血にて,血糖コントロール改善。食前血糖値122mg/dLHbA1c 7.8%

再々投与41日目 退院。

併用薬:なし

(再投与開始日)

(投与終了日)

(投与中止日)

(再々投与開始日)

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 11: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

■2 エポエチンアルファ(遺伝子組換え)

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈透析施行中の腎性貧血〉〈腎性貧血〉

抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれることがあるので,本剤使用中に貧血

の改善がない,あるいは悪化する場合等は同疾患を疑い,赤芽球癆と診断された場合には本剤

の投与を中止すること。また,他のエリスロポエチン製剤への切り替えは避け,適切な処置を

行うこと。

赤芽球癆:抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれることがあるので,その場

合は投与を中止し,適切な処置を行うこと。

〈参   考〉 企業報告

症例の概要

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

1 男80代

腎性貧血(高血圧,気管支喘息,過敏性腸症候群)

6000 IU(1回/週)

1年1ヵ月

赤芽球癆投与1年3ヵ月前 腎不全,腎性貧血と診断された。

ヘマトクリット21.0%

企業報告

投与1年2ヵ月15日前

[副作用(重大な副作用)]

[重要な基本的注意]

販売名(会社名)

エスポー注射液750,同1500,同3000,同750シリンジ,同1500シリンジ,同3000シリンジ(麒麟麦酒,三共)エスポー皮下用6000,同9000,同12000,同24000,同6000シリンジ,同9000シリンジ,同12000シリンジ,同24000シリンジ(麒麟麦酒,三共)

薬 効 分 類 等 他に分類されない代謝性医薬品

効 能 効 果

(エスポー注射液750,同1500,同3000,同750シリンジ,同1500シリンジ,同3000シリンジの場合)透析施行中の腎性貧血,未熟児貧血(エスポー皮下用6000,同9000,同12000,同24000,同6000シリンジ,同9000シリンジ,同12000シリンジ,同24000シリンジの場合)腎性貧血,貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血

血糖値253~412mg/dL再投与4日目 本剤投与中止。

中止2日後 血糖値270~355mg/dL中止4日後 血糖値コントロール不良にて,速効型ヒトイ

ンスリン(遺伝子組換え)22単位+中間型ヒトインスリン(遺伝子組換え)6単位に変更投与。

中止7日後 朝食前血糖値114mg/dL中止9日後 朝食前血糖値134mg/dL中止12日後 高血糖未回復。

併用薬:結核菌熱水抽出物,グルタチオン,肝臓加水分解物配合剤,塩酸ジルチアゼム,ベザフィブラート,カプトプリル

(投与中止日)

2003年9月

Page 12: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

エポエチンベータ(遺伝子組換え)6000 IUの皮下投与を開始(1回/週)した。

投与11ヵ月19日前 投与1年3日前の臨床検査値でヘマトクリット37.8%となり,エポエチンベータ(遺伝子組換え)の投与を中止した。

1年経過 この後,約1年間エリスロポエチン製剤の投与はなかった。

投与開始日 嘔気を主訴として入院した。本剤6000 IUの投与を開始(1回/週)した。ヘマトクリット25.5%(投与開始前日の検査値)

投与11日目 ヘマトクリット25.5%投与3ヵ月13日目 ヘマトクリット32.7%投与9ヵ月目 ヘマトクリット27.3%投与10ヵ月25日目 ヘマトクリット13.7%投与10ヵ月26日目 入院した。

人赤血球濃厚液1単位を3日間輸血した。投与11ヵ月4日目 人赤血球濃厚液1単位を3日間輸血した。投与11ヵ月11日目 人赤血球濃厚液2単位を3日間輸血した。投与11ヵ月20日目 退院した。投与12ヵ月14日目 人赤血球濃厚液2単位を3日間輸血した。投与12ヵ月17日目 直接クームス試験を実施し,陽性と判明した。

不規則抗体は陰性であった。投与12ヵ月20日目 ヘマトクリット23.9%投与1年1ヵ月目 本剤の最終投与を行った。

終了7日後 人赤血球濃厚液2単位を輸血した。ヘマトクリット19.0%

終了8日後 抗エリスロポエチン抗体陽性が判明した(投与終了日採取検体)。

終了9日後 同病院内で骨髄検査を実施し,赤芽球癆と診断された。人赤血球濃厚液2単位を輸血した。

終了14日後 プレドニゾロン20mgの連日経口投与が開始された。パルボウイルスB19(IgM)陰性。

併用薬:ポリカルボフィルカルシウム,ナフトピジル,モンテルカストナトリウム,マレイン酸トリメブチン,テオフィリン徐放剤,塩酸イミダプリル,カンデサルタンシレキセチル,塩酸プロカテロール

投与1年2ヵ月5日前

(投与終了日)

投与1年2ヵ月15日前

投与1年3日前

投与1日前

投与11日目

投与3ヵ月13日目

投与8ヵ月目

投与9ヵ月目

投与10ヵ月25日目

投与10ヵ月26日目

投与12ヵ月20日目

終了7日後

終了28日後

赤血球数(×104/mm3)

213 362 252 246 304 ― 264 140 ― 267 213 ―

ヘモグロビン(g/dL)

7.1 12.5 8.8 8.5 10.4 ― 9.1 4.3 ― 7.9 6.1 ―

血小板数(×104/mm3)

17.5 25.3 16.8 23.6 19.7 ― 17.1 12.0 ― 11.0 11.7 ―

白血球数(/mm3)

11200 7200 9200 6500 5200 ― 5700 4900 ― 4400 4200 ―

ヘマトクリット(%)

21.0 37.8 25.5 25.5 32.7 ― 27.3 13.7 ― 23.9 19.0 ―

尿素窒素(mg/dL)

19.9 36.2 33.5 22.3 32.6 ― 37.7 44.7 ― 29.0 ― ―

クレアチニン(mg/dL)

1.8 1.8 2.3 1.8 2.0 ― 2.0 2.2 ― 2.0 ― ―

網状赤血球(‰) ― ― ― ― ― 7 ― ― 3 ― ― 1

臨床検査値

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 13: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

■3 エポエチンベータ(遺伝子組換え)

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれることがあるので,本剤使用中に貧血

の改善がない,あるいは悪化する場合等は同疾患を疑い,赤芽球癆と診断された場合には本剤

の投与を中止すること。また,他のエリスロポエチン製剤への切り替えは避け,適切な処置を

行うこと。

赤芽球癆:抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれることがあるので,その場

合は投与を中止し,適切な処置を行うこと。

〈参   考〉 企業報告

症例の概要

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

1 男60代

腎性貧血(高血圧症,気管支喘息,消化管出血,2型糖尿病,高脂血症,蛋白尿,末梢神経炎,白内障)

6000 IU(1回/2週)9回

12000 IU(1回/2週)2回

6000 IU(1回/週)2回

9000 IU(1回/週)1回

赤血球無形成(赤芽球癆)投与1年3ヵ月前 急性心不全,肺水腫にてA病院に約1ヵ月間入

院,腎機能障害の指摘を受ける。投与9ヵ月前 肺炎発現。投与74日前 心不全にて,A病院に入院。投与70日前 CTにて肺のうっ血,胸膜浸出液,骨盤内腹水

を認める。投与開始日 腎機能悪化,腎性貧血にて本剤6000 IUの皮下

投与開始(1回/2週)。投与28日目 本剤投与終了。投与71日目 本剤6000 IUの皮下投与開始(1回/2週)。投与102日目 うっ血にて1週間入院。投与137日目 本剤投与終了。投与162日目 本剤6000 IU皮下投与。ヘモグロビン9.8g/dL

まで改善。投与175日目 ヘモグロビン8.5g/dLまで低下。本剤12000 IU

の皮下投与開始(1回/2週)投与203日目 ヘモグロビン5.4g/dLにて,人赤血球濃厚液1

単位4日間輸血。投与210日目 人赤血球濃厚液2単位2日間輸血。貧血改善

なし。投与219日目 本剤6000 IUの皮下投与開始(1回/週)。腎機

企業報告

[副作用(重大な副作用)]

[重要な基本的注意]

販売名(会社名)

①エポジン注シリンジ,同アンプル750(中外製薬)②エポジン注シリンジ,同アンプル1500・3000(中外製薬)③エポジン注シリンジ,同アンプル6000(中外製薬)④エポジン注シリンジ,同アンプル9000・12000(中外製薬)

薬 効 分 類 等 他に分類されない代謝性医薬品

効 能 効 果

①透析施行中の腎性貧血,透析導入前の腎性貧血②透析施行中の腎性貧血,透析導入前の腎性貧血,貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血③連続携行式腹膜灌流(CAPD)施行中の腎性貧血,透析導入前の腎性貧血,貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血④連続携行式腹膜灌流(CAPD)施行中の腎性貧血,透析導入前の腎性貧血

2003年9月

Page 14: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

能悪化。投与230日目 本剤投与終了。投与231日目 B病院に入院。ヘモグロビン5.7g/dL投与234日目 本剤6000 IU皮下投与。貧血改善なし。投与236日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。ヘモグロビン値

改善みられる。投与238日目 抗エリスロポエチン抗体検査実施(結果:陽

性,中和能あり)。投与240日目 骨髄生検実施。結果:cellularity(骨髄細胞密

度)約30%,骨髄系,巨核球の各成熟段階がみられたが,赤血球系が著明に減少(M/E=9.05)。免疫組織化学染色:Glycophorin C陽性赤血球系細胞減少。赤芽球癆と診断。

投与241日目 貧血の改善ないため,本剤9000 IU皮下投与するも改善せず。ヘモグロビン5.0g/dL

中止1日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。エリスロポエチン濃度測定:<1.0mIU/mL(基準値:2.8~17.2mIU/mL),パルボウイルスIgM測定:0.05(基準値:<0.8)

中止7日目 エポエチンアルファ12000IU皮下投与。以後,エリスロポエチン製剤投与中止。

中止11日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。抗エリスロポエチン抗体検査実施(結果:陽性,中和能あり)。ヘモグロビン4.5g/dL

中止15日目 C病院へ転院。中止19日目 骨髄検査により,hypocellular marrow(骨髄

低形成)(M/E=147),赤血球系の消失,赤芽球癆として再確認した。人赤血球濃厚液4単位輸血。

中止32日目 人赤血球濃厚液4単位輸血。C病院退院。中止36日目 C病院外来。抗エリスロポエチン抗体検査実施

(結果:陽性)。人赤血球濃厚液4単位輸血。中止45日目 C病院へ入院。ヘモグロビン5.8g/dL中止46日目 血液透析導入。中止60日目 人赤血球濃厚液4単位輸血。中止77日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。中止82日目 シクロスポリン200mg継続経口投与開始。人

赤血球濃厚液2単位輸血。中止97日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。中止104日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。中止113日目 人赤血球濃厚液2単位輸血。C病院退院。中止119日目 ヘモグロビンは6.5g/dLに上昇するも赤芽球癆

は未回復。

(投与中止日)

投与開始454日前

投与開始315日前

投与開始189日前

投与1日目

投与56日目

投与162日目

投与175日目

投与189日目

投与203日目

投与231日目

投与232日目

赤血球(×104/mm3) ― ― ― 273 318 321 273 216 178 199 189

ヘモグロビン(g/dL) 12.2 10.9 10.3 8.5 10.0 9.8 8.5 6.6 5.4 5.7 5.4

ヘマトクリット(%) ― ― ― 24.6 29.1 28.5 24.3 18.7 15.1 ― ―

BUN(mg/dL) 23 23 30 45 43 53 59 59 79 89 91

血清クレアチニン(mg/dL) 1.2 1.4 1.5 2.5 2.8 4.1 4.3 4.6 5.2 6.8 6.8

臨床検査値

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 15: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

■4 コルヒチン

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

腎障害のある患者

血液障害,腎障害,肝障害,横紋筋融解症,ミオパチー,末梢神経障害等があらわれることが

あるので,投与中はこれらの異常の有無を定期的な血液検査,生化学検査,尿検査等を施行し

て注意深く観察すること。

再生不良性貧血,顆粒球減少,白血球減少,血小板減少:これらの副作用があらわれることが

あるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止すること。

横紋筋融解症,ミオパチー:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン

上昇等を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には,直ちに

投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また,ミオパチーがあらわれることがあるので,

筋肉痛,筋力低下,CK(CPK)上昇等があらわれた場合には,直ちに投与を中止するなど適

切な処置を行うこと。

末梢神経障害:末梢神経障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症

状があらわれた場合には投与を中止すること。

〈参   考〉 企業報告

症例の概要

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

1 男70代

痛風発作( 慢 性 腎 不全,高血圧,便秘症)

1mg29日間

横紋筋融解症投与約6年前 慢性腎不全発症。近医にて加療。投与44日前 腎機能が急激に悪化したため,入院。高血圧

に対し,ベシル酸アムロジピン5mg投与開始。投与42日前 尿酸高値11.1mg/dLのためアロプリノール

200mg投与開始。

企業報告

[副作用(重大な副作用)]

[重要な基本的注意]

[慎 重 投 与]

販売名(会社名)コルヒチン錠(三菱ウェルファーマ)コルヒチン錠「シオノギ」(塩野義製薬)

薬 効 分 類 等 痛風治療剤

効 能 効 果 痛風発作の緩解及び予防

併用薬:塩酸ベニジピン,メシル酸ドキサゾシン,フロセミド,ブロチゾラム,メチルジゴキシン,塩酸テモカプリル,スピロノラクトン,ベシル酸アムロジピン,プラバスタチンナトリウム,モンテルカストナトリウム,ニフェジピン,バルサルタン,クエン酸第一鉄ナトリウム,ゾピクロン,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム

投与236日目

投与238日目

投与240日目(発現日)

中止1日後

中止6日後

中止11日後

中止45日後

中止60日後

中止74日後

中止89日後

中止119日後

赤血球(×104/mm3) 158 207 ― 177 186 158 197 169 202 238 223

ヘモグロビン(g/dL) 4.5 5.9 ― 5.0 5.4 4.5 5.8 5.0 6.0 7.1 6.5

ヘマトクリット(%) ― 17.3 ― ― ― ― 16.7 14.7 17.4 20.5 18.8

BUN(mg/dL) 81 ― 75 ― ― 75 96 71 61 53 77.2

血清クレアチニン(mg/dL) 6.4 ― 6.7 ― ― 6.7 7.5 10.1 9.1 6.9 10.74

2003年9月

Page 16: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

■5 ボグリボース

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

劇症肝炎,AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等を伴う重篤な肝機能障害,黄疸があらわれ

ることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置

を行うこと。

〈参   考〉 企業報告

[副作用(重大な副作用)]

販売名(会社名)ベイスン錠0.2,同錠0.3(武田薬品工業)

薬 効 分 類 等 糖尿病用剤

効 能 効 果糖尿病の食後過血糖の改善(ただし,食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合,又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)

痛風発作を数回繰り返す。投与38日前 便秘症に対し,センノシド24mg投与開始。投与24日前 蕁麻疹に対し,マレイン酸クロルフェニラミ

ン6mg投与開始。投与14日前 退院。投与開始日 退院後,初回外来受診。

痛風発作に対し,本剤1mg投与開始。投与22日目 下肢のだるさを自覚する。

CK(CPK)4312 IU/L投与28日目 近医にて肝機能障害指摘。

AST(GOT)300 IU/L,ALT(GPT)300 IU/L,LDH1700 IU/L

投与29日目 CK(CPK)1643 IU/L,肝機能障害のため入院。本剤,アロプリノール投与中止。補液(塩化ナトリウム,ブドウ糖剤)2000mL点滴開始(5日間)。

中止4日後 DLST施行:本剤陽性。中止6日後 下肢のだるさ軽快。

CK(CPK)336 IU/L中止10日後 CK(CPK)117 IU/L

併用薬:ベシル酸アムロジピン,アロプリノール,センノシド,マレイン酸クロルフェニラミン

投与24日前

投与開始日

投与22日目

投与28日目

投与中止日中止4日後

中止6日後

中止10日後

AST(GOT)(IU/L) 10 ― 259 300 ― 65 ― 51

ALT(GPT)(IU/L) 13 ― 173 300 ― 93 ― 66

LDH(IU/L) 407 ― 2166 1700 ― 1384 ― 566

BUN(mg/dL) 53.1 38.1 28.4 ― ― 25.3 ― 38.1

血清クレアチニン(mg/dL) 3.5 3.0 3.0 ― ― 2.3 ― 2.9

尿酸(mg/dL) 7.4 5.0 5.9 ― ― ― ― 7.9

CK(CPK)(IU/L) ― ― 4312 ― 1643 962 336 117

CK-MB(IU/L) ― ― 91 ― ― 22 ― ―

血清Na(mEq/L) 140 143 140 ― ― 140 ― 136

血清K(mEq/L) 4.2 4.5 3.7 ― ― 3.5 ― 4.8

尿潜血 (-) (-) (3+) ― ― (2+) ― (±)

臨床検査値

(投与中止日)

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 17: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

症例の概要

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

1 女30代

1型糖尿病(子宮筋腫,無月経,不妊)

0.9mg79日間

劇症肝炎14ヵ月前に1型糖尿病の診断の下,インスリン自己注射開始。8ヵ月前にアカルボース,2ヵ月前にエパルレスタットの投与を開始。投与開始日 アカルボースに替え,本剤の投与を開始。投与42日目 AST(GOT)及びALT(GPT)の上昇を認める。投与61日目 出産後無月経のため産婦人科にてジドロゲス

テロン5mg,結合型エストロゲン0.625mg投与。この頃より血糖コントロール悪くなり,全身倦怠,食思不振,腹部不快感が出現。

投与71日目 他院A外来受診し,インスリン用量を調節し,ファモチジンを投与。診察上は理学的に異常は認めなかった。

投与72日目 ジドロゲステロン,結合型エストロゲン投与中止。

投与79日目 症状悪化,皮膚の黄染に気付き他院A外来受診。AST(GOT)2703 IU/L,ALT(GPT)3770 IU/Lにて急性肝炎と診断。ウイルス検査実施:IgMHAAb(-),HBsAg(-),HBsAb:0.4,HCVAb(-)。本剤,エパルレスタット及びインスリンの投与を中止。

中止1日後 他院Bへ紹介入院。副腎皮質ステロイド投与。中止10日後 意識レベル低下(昏睡度Ⅲ~Ⅳ)。中止11日後 劇症肝炎と診断。アフェレーシス(血漿交換,

血液濾過透析)開始。中止13日後 意識改善なく,当院に連絡あり。他院Bにて肝

生検(針)を実施(病理報告:薬物起因性肝炎疑い)。人工呼吸管理開始。アフェレーシスは継続。

中止14日後 脳圧モニターを挿入(20mmHg)。DLST実施したところジドロゲステロンは陰性(結合型エストロゲンも陰性:実施日不明)。

中止15日後 当院転入院,ICU入室。入院後,持続的高置換量血液濾過透析施行等により意識レベルは改善。

中止19日後 抜管。中止24日後 上行結腸穿孔にて,右半結腸切除。回腸スト

ーマ造設。潰瘍穿孔の原因は不明。中止32日後 持続的高置換量血液濾過透析離脱。脳梗塞あ

るが保存的に経過観察。中止35日後 一般病床に移り肝臓は良好に推移。中止48日後 熱発あり,副腎皮質ステロイド使用。中止55日後 他院Bへ帰院。以後,副腎皮質ステロイドを中

止するとAST(GOT)/ALT(GPT)軽度上昇するため,プレドニゾロン5mgで継続。糖尿病コントロールはインスリン自己注射で良好。

中止97日後 退院。以後,当院外科外来にて経過観察となる。転帰:回復

企業報告

(投与中止日)

2003年9月

Page 18: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

No.

患者1日投与量投与期間

副作用

備考性・年齢

使用理由(合併症)

経過及び処置

2 女60代

糖尿病(なし)

0.6mg376日間

黄疸約9年前に糖尿病と診断され,3年前から食事療法及びグリベンクラミド内服にて,HbA1cは5%台にコントロールされていた。投与開始日 本剤投与開始(グリベンクラミドは約1ヵ月

前に投与中止)。投与341日目 エパルレスタット投与開始。投与371日目 全身に黄疸出現。投与376日目 黄疸悪化したため受診。肝障害(AST(GOT)

・ALT(GPT)・Al-P・LDH・γ-GTP・総ビリルビン上昇)を認めたが,腹部エコー,腹部CTでは異常所見認めず。本剤の投与を中止。

中止1日後 入院。急性肝炎のマーカーはHAV,HBV,HCVともに陰性。全身倦怠感も徐々に増強。グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤,肝臓エキス・フラビンアデニンジヌクレオチド,補液投与。

中止3日後 DLST実施:本剤(+),エパルレスタット(+)。

中止5日後 食欲回復しないため,IVHカテーテル挿入。中止6日後 自己免疫性肝炎疑い,プレドニゾロン60mg経

口投与開始したが改善せず。中止9日後 高カロリー輸液開始。中止20日後 水溶性プレドニゾロン60mg点滴静注に変更。

浮腫出現。速効型ヒトインスリン(遺伝子組換え)で血糖200mg/dL前後にコントロール。

中止24日後 低蛋白血症進行し,肝の蛋白合成能低下著明。浮腫に対してフロセミド,カンレノ酸カリウム連日静注。

中止40日後 アルブミン輸液開始。中止42日後 発熱38℃認めたため,塩酸セフォゾプラン投与。中止44日後 意識レベル低下し,傾眠傾向となる。中止48日後 アンモニア102mg/dL,コリンエステラーゼ

企業報告

(投与中止日)

併用薬:インスリンリスプロ(遺伝子組換え),エパルレスタット,結合型エストロゲン,ジドロゲステロン,ファモチジン

投与開始日 投与42日目投与79日目(投与中止日)

中止11日後 中止56日後

AST(GOT)(IU/L) 17 32 2703 144 79

ALT(GPT)(IU/L) 16 48 3770 486 92

LDH(IU/L) ― ― 1867 599 36

Al-P(IU/L) ― ― ― 180 857

γ-GTP(IU/L) ― ― 116 67 296

総ビリルビン(mg/dL) 1.6 1.8 10.6 23.3 4.4

直接ビリルビン(mg/dL) ― ― 6.7 16.9 3.1

白血球数(/mm3) ― ― 5660 8400 6700

赤血球数(×104/mm3) ― ― 477 387 277

血小板数(×104/mm3) ― ― 14.5 6.2 17.6

プロトロンビン時間(%) ― ― ― 33 61

臨床検査値

医薬品・医療用具等安全性情報 No.193

Page 19: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

27 IU/L,総蛋白4.2g/dLと著明低下。症状重症化し,死亡(死因:敗血症疑い,剖検:なし)。

併用薬:エパルレスタット

投与開始35日前

投与341日目

投与376日目(投与中止日)

中止3日後

中止6日後

中止24日後

中止38日後

中止45日後

AST(GOT)(IU/L) 21 35 1654 601 236 95 119 131

ALT(GPT)(IU/L) 13 41 1912 1204 635 121 90 90

LDH(IU/L) 399 412 1422 632 657 913 901 1145

Al-P(IU/L) 229 214 711 562 ― 474 714 865

γ-GTP(IU/L) 18 37 234 168 128 166 140 114

コリンエステラーゼ(IU/L) ― ― ― 116 116 66 53 27

総ビリルビン(mg/dL) 0.5 0.4 9.6 12.3 21.9 13.6 ― 18.1

直接ビリルビン(mg/dL) ― ― ― 9.9 14.8 10.5 ― 14.0

総蛋白(g/dL) ― ― ― 6.1 ― 4.4 ― 4.2

白血球数(/mm3) ― ― ― 4300 3500 10300 14700 16200

赤血球数(×104/mm3) ― ― ― 402 398 358 347 291

血小板数(×104/mm3) ― ― ― 14.6 19.6 6.1 6.2 6.3

プロトロンビン時間(秒) ― ― ― ― ― 14.2 14.8 18.7

ヘパプラスチンテスト(%) ― ― ― ― ― 58 ― 24

臨床検査値

2003年9月

Page 20: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

Ⅱ JAPIC「CONTENTS」から

財団法人 日本医薬情報センター

食品医薬品安全部では,財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)が毎週発刊する「CON

TENTS」及び毎月発刊する「医薬関連情報」等から情報を入手しています。 「CONTENTS」は国内医薬関係学術情報誌及びメーカー誌約 450 誌の「標題速読誌」で

あり,「医薬関連情報」はJAPICの機関紙で,内外のニュース・規制・副作用等の情報誌です。 つぎの「Ⅱ医薬文献ハイライト」は「CONTENTS」から,「Ⅲ副作用情報」は「医薬関連情

報」から主要な内容について編集会議において編集したものです。 なお、東京都健康局ホームページ(http://www.taims.metro.tokyo.jp/eisei/iyakuhin.nsf)では、主

に副作用情報についてデータベースとして利用していただけるよう掲載していますのでご利用下

さい。

Page 21: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

特集記事一覧JAPIC CONTENTS No.1570 (2003.9.1)

<配列は雑誌名のアルファベット順>

特 集 名 雑 誌 名 巻 (号)

JAPICDOC採択誌

分子標的治療薬の臨床評価 癌と化学療法 30(8)

脳血管障害の外科-最近の進歩 現代医療 35(増3)

物理化学的皮膚障害 皮膚科の臨床 45(8)

造影超音波診断の新しい展開 肝胆膵 47(2)

小耳症の再建-最近の進歩 形成外科 46(8)

外科領域におけるステント療法 日本外科学会雑誌 104(8)

小型肺癌 日本胸部臨床 62(8)

パーキンソン病と類縁疾患 日本内科学会雑誌 92(8)

前立腺をめぐって-前立腺肥大症と前立腺癌- Pharma Medica 21(8)

笑いとユーモアの精神医学 臨床精神医学 32(8)

多剤併用療法を考える-新世代薬剤の登場を受けて-Ⅱ 精神科治療学 18(8)

日常外来診療における小創傷への適切な対応 小児外科 35(8)

帝王切開とその周辺 周産期医学 33(8)

実地診療にすぐ役立つ 実践 抗生物質・抗菌薬療法ガイド-感染症別・原因菌別・薬剤別 個別診療のすべて- Medical Practice 20(臨)

e-Learning 薬学図書館 48(3)

機 関 誌 ・ 等

フサンの多彩な薬理作用を探る〔7〕-細胞接着- 医薬の門 43(4)

その他 (JAPICDOC非採択誌)

Page 22: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

特集記事一覧

JAPIC CONTENTS No.1571 (2003.9.8)

<配列は雑誌名のアルファベット順>

特 集 名 雑 誌 名 巻 (号)

小児気管支喘息のリモデリングとアーリーインターベンション アレルギーの臨床 23(10)

性感染症-若い世代に必要な実際的予防教育 治療学 37(8)

ステント療法の現状と展望-低侵襲性治療を支える新技術- カレントテラピー 21(9)

外科におけるランダム化比較試験(RCT)の問題点 外科 65(9)

糖尿病合併症の分子医学-基礎と臨床 現代医療 35(9)

新しい遺伝子検査法の進歩 医学のあゆみ 206(8)

自律神経と不整脈 循環器科 54(2)

カテーテル感染の予防・対策と治療 化学療法の領域 19(9)

肺高血圧症の最近の治療 呼吸と循環 51(9)

糖鎖の新たな機能と疾患へのかかわり Molecular Medicine 40(9)

白血病-最新の治療の動向と今後の展望- 内科 92(3)

ミニ移植-抗腫瘍機序と臨床- 日本臨牀 61(9)

ベーチェット病研究の最近の進歩 臨床眼科 57(8)

癌と紛らわしい各領域の諸病変 臨床外科 58(9)

排尿障害の治療とケア 臨牀と研究 80(8)

がんと性を科学する 産科と婦人科 70(9)

肝・消化器疾患 小児科臨床 56(9)

小児の疼痛コントロール 小児内科 35(8)

多彩な機能をもつオルガネラ:ミトコンドリア-アポトーシスや酸化ストレス、生殖細胞形成の制御から疾患解明の可能性まで-

実験医学 21(13)

いま求められる肝炎の知識JIM:Journal of Integrated Medicine

13(8)

慢性骨髄単球性白血病(CMML) 血液フロンティア 13(9)

その他 (JAPICDOC非採択誌)

JAPICDOC採択誌

Page 23: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

特集記事一覧

JAPIC CONTENTS No.1572 (2003.9.16)

<配列は雑誌名のアルファベット順>

特 集 名 雑 誌 名 巻 (号)

視神経疾患の新しい診方、考え方 あたらしい眼科 20(8)

知っておきたい小児疾患のキャリーオーバー-小児科医から患者を引き継ぐ際に聞いておきたいこと-

治療 85(9)

ここまできた炎症性腸疾患の治療 外科治療 89(3)

専門薬剤師の必要性を探る 月刊薬事 45(10)

高齢者の前立腺疾患 Geriatric Medicine 41(8)

にきびに似た皮膚病 皮膚病診療 25(9)

内分泌病理学最近の進歩 2003 ホルモンと臨床 51(増)

小児医療の最前線 医学のあゆみ 206(9)

高齢者の疾患と治療の進め方 医学と薬学 50(2)

腎と尿酸代謝異常 腎と透析 55(2)

呼吸器疾患と遺伝子 呼吸 22(8)

心身症-最近の進歩- 京都府立医科大学雑誌 112(8)

抗うつ薬-2 日本神経精神薬理学雑誌 23(4)

薬理学のQOLへの貢献 日本薬理学雑誌 122(3)

神経ブロック療法の限界を考える ペインクリニック 24(9)

Mismatch negativity 臨床脳波 45(9)

脳の老化・再考 老年精神医学雑誌 14(8)

肝疾患の分子生物学-治療への応用- 最新医学 58(9)

中高年女性と不定愁訴 産婦人科治療 87(3)

循環器疾患の非薬物治療-現状と今後の展望- 成人病と生活習慣病 33(8)

神経疾患治療の進歩 (2002年) 神経治療学 20(4)

非ヘルペス性辺縁系脳炎をめぐる最近の話題-そのII : 症例集 神経内科 59(2)

(Ⅰ)早期直腸癌 (Ⅱ)NASH(非アルコール性脂肪肝炎) 消化器科 37(2)

医薬品情報と薬剤疫学 薬局 54(9)

JAPICDOC採択誌

Page 24: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

特集記事一覧

JAPIC CONTENTS No.1573 (2003.9.22)

<配列は雑誌名のアルファベット順>

特 集 名 雑 誌 名 巻 (号)

心不全のあらたな治療戦略 医学のあゆみ 206(10)

心臓移植 移植 38(4)

リスクマネジメントにおける医薬品包装上の問題 医薬ジャーナル 39(9)

Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の基礎と臨床 血液・腫瘍科 47(2)

女性のヘルスケア-21世紀の新たなる展開- 日本医師会雑誌 130(5)

生活習慣から考える「がん」の予防 たばことがん 日本医師会雑誌 130(5)付

運動機能からみた食道疾患 日本消化器病学会雑誌 100(9)

頻尿・尿失禁の病態に応じた診断と治療の実際 Progress in Medicine 23(8)

思春期のヘルスケアとメンタルケア 臨床婦人科産科 57(9)

(Ⅰ)「バイオ・ゲノムの世紀」-再生医療実現への社会的基盤 (Ⅱ)改正薬事法と治験・臨床研究の実施体制

臨床評価 30(2・3)

(Ⅰ)樹状細胞の多様性 (Ⅱ)関節リウマチをめぐって 臨床免疫 40(2)

腫瘍マーカーの利用マニュアル-臨床応用のUpdate- 産婦人科の実際 52(9)

インターフェロン 綜合臨牀 52(9)

骨形成・骨吸収の最近のトピックスⅢ The Bone 17(5)

The Ubiquitin System The Journal of Biochemistry 134(2)

最新サプリメント・ガイド からだの科学 (増1)

医薬品の表示と包装 Pharm Tech Japan 19(10)

新薬開発一覧-薬効別主な国内開発状況- Pharm Tech Japan 19(10)付

新薬開発一覧-会社別主な国内開発状況- Pharm Tech Japan 19(10)付

変形性関節症の病態と治療-最近の進歩- リウマチ科 30(2)

一般・消化器外科医のための形成外科手術手技のコツ 手術 57(10)

JAPICDOC採択誌

その他 (JAPICDOC非採択誌)

Page 25: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

特集記事一覧

JAPIC CONTENTS No.1574 (2003.9.29)

<配列は雑誌名のアルファベット順>

特 集 名 雑 誌 名 巻 (号)

白内障の発症機序と臨床 眼科 45(9)

胃癌化療における新規抗癌剤(CPT-11,TS-1,Taxol,Taxotere) 癌の臨床 49(7)

グレリンの基礎と臨床 ホルモンと臨床 51(9)

Molecular mimicry(分子模倣)と疾患 医学のあゆみ 206(11)

外鼻欠損の再建 形成外科 46(9)

救急診療における胸腹部超音波による診断と応用 救急医学 27(9)

ウィルス感染症とマクロライド-インフルエンザウィルス、ライノウィルス- 日本胸部臨床 62(9)

大腸癌の診断と治療-最新の研究動向- 日本臨牀 61(増7)

シナプスと神経終末の形態学の進歩 脳の科学 25(9)

画像による治療効果予測・効果判定 臨床放射線 48(9)

血液疾患の患者を診たとき、受け持ったとき 臨床医 29(9)

精神医学卒後研修のありかたをめぐって 臨床精神医学 32(9)

子宮内膜病変の評価と対策 産婦人科の世界 55(9)

糖尿病トータルケアの実際 診断と治療 91(9)

β遮断薬 診療と新薬 40(7)

思春期慢性疾患児への対応 小児科 44(10)

糖尿病療養指導士の展開と糖尿病医療の変化 糖尿病 46(8)

SARSは21世紀の疫病か?-専門家の検証と予測- Bio Clinica 18(11)

小児の救急-これがminimumJIM : Journal of Integrated Medicine

13(9)

IPMT vs MCTJournal of Hepato-Biliary -Pancreatic Surgery

10(2)

JAPICDOC採択誌

その他 (JAPICDOC非採択誌)

Page 26: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

医薬文献ハイライトJAPIC CONTENTS No.1573(2003.9.22)から

-軽症うつ病治療薬の現状と周辺状況-

最近、一般新聞にも「うつ」の記事が多くなったように感じる。その裏には、昨年の自殺者数が 5

年連続で 3 万人を超え(その内 50 代の自殺者総数:7843 人、男性:6271 人)、中でも「うつ」によ

るものが増えてきたことがあるのかもしれない。「うつ病」は脳の疾患であるだけでなく、最近では「社

会的な疾患」であるとも言われている。うつ病の治療は精神障害の中では薬物による治癒率が高いと

されてきたが、「社会的な疾患」といわれるだけにそれだけでは不十分とも言われている。

一方、うつ病には難治性うつ、高齢者うつ病、軽症うつ病などがある。これまでは軽症うつ病は軽

視されがちであったが、基礎にある身体疾患に軽症うつ病が加わると病態は悪化するといわれ、軽視

できなくなった。例えば、気管支喘息に軽症うつ病が加わると喘息はより重症化、遷延化しやすく、

頻回受診、発作の繰り返しなどの原因になり、時には喘息死につながると言われている。(村上正人:

日大医学部教授)

このようなことを背景にここでは“軽症うつ病”の薬物療法の現状を紹介したい。

「Progress in Medicine」、Vol.23 No.6(2003)には特集“軽症うつ病の予防と治療―その現状

と問題点”、p1617-1621 のうち、下記論文をとりあげてみたい。

軽症うつ病の薬物療法の実際――芦原 睦(中部労災病院)

・軽症うつ病の治療は一般のうつ病と変わることなく、休養と薬物療法であり、中心は抗うつ薬であ

る。

・日本で使用されている抗うつ薬(2003 年、5 月現在)は下記のように発売年から大まかに4つの世

代に分類できる。

第一世代(1959-1971年):三環系(イミプラミン、アミトリプチリン、トリミプラミン、ノルトリ

プチリン)

第二世代(1973-1991年):三環系(クロミプラミン、アモキサピン、ロフェプラミ、ドスレピン)、

四環系(マプロチリン、ミアンセリン、セチプチリン)、その他(トラゾ

ドン)

第三世代(1999-2000 年):SSRI(フルボキサミン、パロキセチン)

第四世代(2000 年) :SNRI(ミルナシプラン)

・第一世代から第二世代にかけて用いられてきた三環系抗うつ薬は抗コリン作用、心毒性などの副作

用が問題視されてきた。

・近年、副作用の少ないものとして、第三世代の SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)

Page 27: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

が汎用されている。本邦でも 1999 年にフルボキサミンが、2000 年にパロキセチンが発売された。

・SSRI は長期にわたる維持療法にも適し、高齢者や循環器疾患の合併例にも使いやすい。

・SSRI は抗不安作用も有し、パニック障害に用いられるほか神経性過食症、強迫性障害、社会不安

障害などにも有効性が期待されている。

・副作用の少ないものとして、第四世代の SNRI(Serotonin Noradrenalin Reuptake Inhibitor )も

注目されている。ベンラファキシン、ミルナシプランおよびデュロキセチンの3剤が知られている

が、本邦ではミルナシプランのみが発売されている。

・ミルナシプランは SSRI 同等以上の抗うつ効果を示すと共に、チトクローム P450 の抑制効果が少

ないことから薬物相互作用が少ない点が特徴である。一方、嘔吐、嘔気のために絶対受け付けない

患者も存在する。

・SSRIおよびSNRIはともに本邦におけるうつ病治療を変えたという意味では画期的な薬剤である。

加えて、さまざまな未知の可能性を秘めており、新しい情報・知見の集積が期待される。

「精神科治療学」、Vol.18 No.8(2003)p887-898 には特集“多剤併用療法を考える――新世代薬

剤の登場を受けて”の二つの論文:気分障害でのコンビネーションセラピー(竹内 崇、本橋 伸高:

東京医科歯科大)およびパニック障害における薬物併用療法の実際(高塩 理:昭和大医学部)にも

前出特集号に関係した内容が記載されており、一読をお勧めしたい。

「日本神経精神薬理雑誌」、Vol.23 No.4 (2003)、p155-169 には“抗うつ薬―2” の特集が掲載

されている。次の二つの論文:気分障害の治療アルゴリズム(大嶋ら:館林厚生病院)および動物モ

デルを用いたうつ病感受性遺伝子群同定のアプローチ(中谷紀章、吉川武男:理化学研究所)にも前

出特集号に関連した内容が記載されているので参照されることを勧めたい。

先にも述べたように、最近では「うつ病」は社会的な疾患ともいわれるようになってきた。その対

策として家庭、企業、自治体、国としても「うつ対策」が強化されるようになってきた。例えば、医

師、臨床心理士、看護師、社会学者および心理学者らが協力してうつ病の解明と市民への情報発信を

試みる「日本うつ病研究会」(代表幹事:昭和大学精神科・上島国利教授)が発足し、活動がはじまっ

た。また、うつ病に関連して「公衆衛生」Vol.67 No.9(2003)に“自殺予防”が特集号のテーマと

してとりあげられるようにもなった。

さらにこのほど、厚生労働省・補償課は、労災保険における神経系統の機能・精神の障害に関する

障害等級認定基準を改正し、うつ病などの後遺障害は3段階に評価されることになった(「労働基準広

報」、2003.9.11)。このように「うつ病」は大きな社会問題となってきたことも付記しておきたい。

(松本和男)

Page 28: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

Ⅲ 医薬関連情報2003年8月号から

財団法人 日本医薬情報センター

副作用情報

1 Phenytoin と Diazepam の相互作用:1症例の報告

Murphy,A.(Queen Elizabeth Ⅱ Health Sciences Cen.,Halifax,Canada)ほか

Ann. Pharmacother. 37(5)659-663/(2003.5)

Diazepam(以下 D)併用療法に関連したと思われる phenytoin(以下 P)毒性の 1 症例を

報告する。患者(男,44 才)は,頭痛,眼振,複視,運動失調を訴えて救急部を受診し

た。長年のてんかんの他に,既往歴に目立つものはなかった。入院前の投薬は lamotrigine,

phenobarbital,および P(朝 300mg,夕食時 400mg)で,これらの療法はほぼ 5ヵ月間変

更なかった。最近のけいれん発作は入院する約 2週間前に起こった。唯一判明している P

の全血清濃度は,その発作が起こる少し前に家庭医により測定された 8μg/mlであった。

患者は膿性喀痰を伴う咳が 1 週間続き,入院する 2 日前に,家庭医により上気道感染と

みなされて amoxicillin を,不眠に対して D が処方された。救急部における薬剤師のイ

ンタビューに対し,患者は Dを処方当日の就寝時に 10mg 服用したと報告した。その翌日,

錯乱状態,記憶困難,不明瞭言語がみられた。その夜,患者は D を 5mg に減らした。翌

日(入院当日),眠気がして,気分がすぐれず,Dの服用を止めた。診察時,眼振を示し,

複視を訴えた。歩行は著しい運動失調を示した。入院時,Pの全血清濃度は 37μg/ml で

あった。Pと Dの両剤とも中止され,症状は回復した。神経学的異常は Dとの相互作用に

よって引き起こされた P 毒性によるものであった。Naranjo probability scale により,

観察された有害臨床作用と Pおよび Dの併用との相関は probable であった。Pは CYP2C,

CYP2D,CYP3A の基質である薬剤の代謝を誘導するが,P 自身の代謝が D のような CYP2C9

または CYP2C19 に影響を及ぼすような薬剤によって変更されることがある。酵素阻害剤

または誘導剤として作用しないが,その代わりに酵素結合部位の代替基質として作用す

る薬剤は,十分に確認されていない機序により臨床的に問題とされる薬物相互作用を生

じる可能性がある。

参照文献 16

phenytoin(INN),diazepam(INN),薬物相互作用

「医薬関連情報」速報 No.392 掲載

<参考>

phenytoin :アレビアチン(大日本)、フェニトインN(三晃)、ヒダントール(三共)

diazepam :セルシン(武田)、ホリゾン(山之内)

2 Dalteparin による皮膚反応:Heparin 誘発血小板減少症(HIT)抗体を有する 1症例

の報告

ayne,S. M.(Univ. Western Ontario,Ontario,Canada)ほか

Ann. Pharmacother. 37(5)655-658/(2003.5)

深部静脈血栓症(DVT)患者に対して低分子量 heparin(以下 LMWH)である dalteparin(以

下 D)を使用後,血小板減少の証拠を伴わなずに,heparin 誘発血小板減少症(以下 HIT)

Page 29: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

に対する血清検査陽性を示し,注射部位から遠位に D 誘発の皮膚病変を生じた 1 症例を

報告する。患者(男,59 才)は神経膠芽細胞腫の部分切除術を受け,化学療法(放射線

照射+calmustine)続発性の発熱性好中球減少および肺炎を発現した。入院後,肺炎に

対しlevofloxacinおよびmetronidazoleの静脈内投与を行い,2週間後に投与中止した。

さらに,入院 2日後に DVT 予防に未分画 heparin(以下 UFH)5000U を 1 回皮下投与した。

第 7 病日に末梢に中心静脈カテーテル(以下 PICC)ラインを右腕に挿入し,必要に応じ

て 500U の heparin フラッシュで維持した。PICC ライン挿入から 1週間後,両手に腫脹が

認められた。右腕の圧迫式ドプラー超音波検査で,尺側皮静脈の血栓症と,腋窩静脈お

よび鎖骨下静脈の完全閉塞が示された。D 26000U(200U/kg)/日の 6 日間皮下投与を

開始し,warfarin 療法を 10mg 経口投与で開始して,INR 2.0~3.0 を維持するように調

節した。皮膚病変の発現により,D投与は 5日後に中止された。抗凝固療法の前後で血小

板数が 22%減少した(356×103→276×103/mm3)。両手,両足に多発性紅斑が認められ

た。血小板第 4因子(PF4)酵素免疫測定法により heparin 依存性抗体が検出された。抗

凝固は warfarin により維持された。D 投与中止後 5 日以内に皮膚病変は顕著に回復して

おり,合併症はみられなかった。本症例は,観察された皮膚反応が注射部位から離れて

いたこと,血小板減少を伴わずに発現し,heparin 依存性抗体を検出したことで,ユニー

クであると思われる。皮膚反応は heparin 療法の合併症としてまれであるが,血小板数

が正常であるにもかかわらず,HIT の臨床的指標になり得る。皮膚病変を発現する患者は

heparin 療法を中止し,HIT の診断を精査すべきである。UFH と LMWH の交差反応により,

UFH による heparin 誘発皮膚反応の既往を有する患者には LMWH を使用すべきではない。

参照文献 18

dalteparin:dalteparin sodium (INN)

「医薬関連情報」速報 No.392 掲載

<参考>

dalteparin sodium :フラグミン(キッセイ)

3 Isoniazid 誘発のアナフィラキシー:1症例の初めての報告

Crook,M. J.(New York State Department Correctional Service,New York,USA)

J. Clin. Pharmacol. 43(5)545-546/(2003.5)

Isoniazid(以下 INH)投与によるアナフィラキシーの1症例を報告する。患者(男,40 才)

は精製ツベルクリン反応陽性のため,予防的に INH 900mg および pyridoxine 50mg の週 2

回 9ヵ月の投与が開始された。患者は他の薬剤を使用していなかった。INH を開始して1

ヵ月後,患者は胸部および頚部の疼痛と悪心を訴え刑務所の診察室を受診した。発熱は

なく,血圧 104/68mmHg,呼吸数 24,脈拍 70,酸素飽和度 94%であった。症状は INH を

服用して約1時間後に出現した。患者は地域の救急室に搬送され,nitroglycerin を舌下

投与されたが軽減せず,morphine sulfate,制酸剤および ranitidine を投与されて症状

は改善した。心電図,心筋酵素およびトロポニン値は正常であり,逆流性食道炎と推定

診断されて退院した。翌週,再び INH を服用して1時間後,今度は眩暈と腹痛を訴えた。

患者は無熱性,蒼白で,発汗があり,脈拍 110,呼吸数 24,血圧 78/45mmHg で酸素飽和

度は 89%であった。酸素投与を開始し,epinephrine,solumedrol および diphenhydramine

を静注し,病院の救急室に搬送した。ICU に入室後,輸液と dopamine 注入を 24 時間実施

し,血行動態は安定した。心臓精密検査は正常であった。患者は INH 誘発のアナフィラ

キシーと診断され,48 時間後に退院した。その後は rifampin 600mg/日と pyrazinimide

1500mg/日を週 5 日間,合計 60 回投与の予定で治療された。この事象から 14 ヵ月後,

患者は安定状態を維持し,後遺症や副作用は生じていない。著者らが知る限りでは,本

Page 30: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

症例は INH によるアナフィラキシーの初めての報告である。医師は INH により本反応が

起こる可能性を認識すべきである。

参照文献 5

isoniazid(INN)

「医薬関連情報」速報 No.390 掲載

<参考>

isoniazid :イスコチン(第1製薬)

4 カルシウム強化オレンジジュースとの併用による Levofloxacin の生物学的同等性の

欠如:健常志願者 16 例における無作為オープン・ラベル交差試験

allace,A. W.(Bassett Healthcare,Cooperstown,USA)ほか

J. Clin. Pharmacol. 43(5)539-544/(2003.5)

多価イオンを大量に含む薬物/サプリメントとフルオロキノロン類とのキレート形成に

よる相互作用はかなり以前から知られている。健常志願者 16 例(男 8 例,女 8 例,平均

37.9±8.6 才)を対象に,カルシウム(Ca)強化オレンジジュ-ス(Minute Maid)(以下 OJ)

と levofloxacin(Levaquin)(以下 L)との相互作用を研究する無作為化オープンラベル 3

交差試験を実施した。無作為の順序で,(1)L 500mg 錠1錠を水(12 オンス)とともに服用,

(2) L 500mg1錠を市販の OJ(12 オンス)とともに服用,または(3) L 500mg1錠を市販の

Ca 強化 OJ(12 オンス)とともに服用させた。それぞれ少なくとも7日間以上の休薬期間を

設けて交差させた。薬剤投与の前後に採血し,血中 L濃度を HPLC により測定した。その

結果,Lの Cmax は OJ または Ca 強化 OJ とともに服用すると,水と共に服用した場合に比

べてそれぞれ 14%(P=0.07)および 18%(P=0.035)低下し,L の tmax はそれぞれ 50%(P

=0.015)および 58%(P=0.005)遅延した。有害事象は一般に軽度であり,消化器系イベ

ントとして金属味/味覚異常(2),悪心(1),腹痛(1)および鼓腸(1),中枢神経系イベン

トとして頭痛(中等度1,重度1),集中困難(1)がみられた。L の全体的暴露に変化がな

かったことから,この相互作用はキレート形成によるものではなく,L と OJ 中の成分が

P-糖タンパクや OATP などの腸管トランスポート機序の競合によるものであると思われ

る。以上,本研究からカルシウム強化 OJ との併用により Lの生物学的同等性の欠如が示

される。また,カルシウム非強化 OJ との併用でも Lの薬物動態が有意に変化する可能性

が示される。

参照文献 14

levofloxacin(INN) (Levaquin),オレンジジュース(Minute Maid),カルシウム強化オ

レンジジュース(Minute Maid),薬物相互作用

「医薬関連情報」速報 No.390 掲載

<参考>

levofloxacin :クラビット(第1製薬)

5 Diosmin の前投与による Metronidazole のバイオアベイラビリティへの影響:男性健常

志願者 12 例における非盲検試験

Rajnarayana,K.(Kakatiya Univ.,Warangal,India)ほか

Eur. J. Clin. Pharmacol. 58(12)803-807/(2003.4)

Page 31: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

男性健常志願者 12 例を対象に,diosmin(以下 D)(Venex)のチトクロム P450 を介した

metronidazole(以下 M)(Flagyl)代謝阻害作用について研究した。12 時間絶食後, M 400mg

錠 2 錠を単独経口投与し,休薬期間を 4日間(M の半減期のおよそ 10 倍の期間)設けた後,D

500mg 錠を 1日 1回 9日間投与し,10 日目に M 400mg 錠 2 錠を経口投与した。M投与前後に

血液と尿を採取し,Mとその 2つの主要代謝物を逆相高速液体クロマトグラフィーにより測

定した。その結果,Dの前投与により Mの AUC0-∞および Cmax はそれぞれ 27%および 24%

増大した。tmax は有意な影響を受けなかった。M の半減期は 5.7 時間から 7.6 時間に延長

した。M 未変化体の尿中排泄は 0.67±0.20mole から 0.83±0.27mole に有意に増加(p<

0.002)したが,酸代謝物(p<0.005)および水酸基代謝物は有意に減少(P<0.001)した。以

上,Dの前投与により in vivo における Mの血漿中濃度は上昇し,これはチトクロ-ム P450

酵素 CYP3A4 および/または CYP2C9 の阻害によると思われる。生物学的同等性の判定基準

から判断してこの影響は臨床上重要である。

参照文献 18

metronidazole(INN)(Flagyl),diosmin(INN)(Venex),薬物相互作用

「医薬関連情報」速報 No.389 掲載

<参考>

metronidazole :フラジール錠(塩野義製薬)、アスゾール(富士製薬)

Page 32: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

Ⅳ トピックス

サリドマイドについて

「東京都医薬品情報」に掲載する情報は、原則として、国内承認薬に関する情報としているため、

国内未承認薬の情報は掲載していませんが、サリドマイドについては、去る9月19日に厚生労働

省から通知「サリドマイドの使用実態及び安全使用に関する調査研究報告について」(平成15年

9月19日薬食安発第 0919002 号、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が出されたところで

あり、安全な使用の推進に寄与するため、医薬関連情報7月号の副作用情報を掲載することとしま

した。

また、あわせて同通知を参考として掲載いたします。

副作用情報

多発性骨髄腫に対する Thalidomide 療法による可逆性痴呆:1症例の報告

Morgan,A. E.(Virginia Commonwealth Univ. Med. Cen.,Richmond,USA)ほか

N. Engl. J. Med. 348(18)1821-1822/(2003.5.1)

多発性骨髄腫と診断された冠動脈疾患の既往のある患者(男,66 才)において,thalidomide(以

下 T) 投与後に可逆性の痴呆を発現した。患者は経口 T(200mg/日)および経口 dexamethasone

(1~4 日目 40mg/日,4~12 日目,17~20 日目 20mg/日を毎月)投与を開始した。2 ヵ月後に患

者は忘れっぽくなり,そう状態となった。dexamethasone を中止し,risperidone 投与を開始し改

善した。1 ヵ月後記憶喪失が増進し,この時点で risperidone 投与を中止した。さらに 1 ヵ月後に

痴呆の程度を調べた結果,警戒をするが,人物,場所,時間に関する見当識がなかった。入院の 2

日後に安静時の振戦が記録された。Tを中止したところ,48時間以内に寛解した。以上,進行性の

見当識障害および行動不能を引き起こし,T 投与中止により急速に寛解したことから,医師は多発

性骨髄腫の患者において Tが可逆性の痴呆を引き起こす可能性について注意をする必要がある。

参照文献 3

thalidomide (INN)

「医薬関連情報」速報 No.387 掲載

Page 33: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

<参考>

通知

薬食安発第 0919002 号 平成15年9月19日

各都道府県衛生主管部(局)長殿

厚生労働省医薬食品局安全対策課長

サリドマイドの使用実態及び安全使用に関する調査研究報告について

サリドマイドは、わが国で薬事法上未承認であるものの、個人輸入により臨床使用されていま

す。

このような状況の下、平成14年度の厚生労働科学研究費補助金事業において「未承認薬の個

人輸入による使用実態及び適正使用のあり方に関する調査研究」として、サリドマイドの使用実態

を調査し、安全な使用のための方策について検討を行った結果、その報告書が別添のとおりまとめ

られたので送付します。

また、同報告書では、未承認薬(サリドマイド)の臨床使用については、他の治療方法では治

療効果が期待できない患者及び当該患者の担当医等により個別の医療を行う上で必要な選択肢とし

て使用の中断等が困難な状況において、別紙のとおり、安全な使用のためにとり得る方策について

提言がなされています。さらに、臨床使用にあたっては、薬事法(昭和35年法律第145号)第

80条の2に規定する治験として十分な管理の下で使用することが推奨されています。

ついては、貴職におかれては、本報告書における提言の趣旨を御了知の上、貴管内の関係医療

機関等及び医師に対して、保管管理面を含めた安全な使用の推進並びに患者等への説明等に関する

周知が図られるとともに、治験としての使用が推奨されるようご配慮方お願い申し上げます。

別紙

サリドマイドの安全な使用のための方策について(提言)

1.使用医師による情報収集及びその活用

患者への説明と理解、副作用への対処、誤飲・誤用の防止等に資するため、使用医師は、1

950年代から1960年代にかけて発生した副作用被害問題、サリドマイドの有効性や安全

性に関する情報収集等を行い、治療方針の策定等に役立てること。

2.使用医師による品質を考慮した輸入の推進

サリドマイドの輸入は患者自らによらず、サリドマイドを臨床使用する医師によって行われ

るべきであり、手続き上使用医師等であることの確認を行うこと。

また、使用医師は輸入にあたって、有効性及び安全性に関する情報のほか、品質情報につい

ても入手に努め、その内容を十分考慮すること。

3.患者への使用基準の設定及び施設内手続きの実行

サリドマイドの臨床使用にあたって使用医師は、サリドマイドの臨床使用及び管理にかかる

適切な使用基準を設けること。

また、施設内使用基準の適用にあたっては、使用の妥当性や倫理的配慮等の客観性を担保す

るため、施設内の治験審査委員会や倫理審査委員会等による手続きを実行すること。

Page 34: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

4.患者等への説明と理解及び同意取得の実施

患者及びその家族におけるサリドマイドの有効性、安全性等に関する知識の向上及びサリド

マイドの保管管理や飲み残し分の回収等の徹底を図るため、使用医師は、患者等に対して使用

目的や効果・副作用に関する説明のほか、胎児へのリスクの説明、避妊指導、居宅での保管管

理指導等を行うこと。

また、患者等からの同意は原則として文書で取得するよう努めること。

5.閉経・妊娠の有無等への注意の徹底

患者の性別にかかわらず、使用医師は、検査等の実施を通じて、患者又はそのパートナーに

おける閉経及び妊娠の可能性について最大限注意をはらうこと。

また、使用の際の患者側の希望にも配慮すること。

6.患者等による適正管理のための説明・理解及びその実行

患者及びその家族によるサリドマイドの居宅における管理の徹底を図るため、使用医師は、

薬袋への「サリドマイド」である旨及び「保管の方法」等の表示又は文書等による情報提供を

徹底すること。

また、治濾効果の向上のための服薬指苺を推進すること。

さらに、患者が使用しなくなった掲合の誤用のリスクや他の患者等への譲渡を回避するため、

使用医師は患者等への説明とその趣旨の理解の向上に努め、使用医師への速やかな回収がなさ

れるよう努めること。

7.取り違え防止のための保管管理の実施

使用医師は、施設内においてサリドマイドを他の処方薬と区別し、使用医師自らではない第

三者的な部門による保管管理を実施すること。

また、サリドマイドの交付時においては、処方等の指示の内容及び使用対象患者であること

等の確認を徹底すること。

なお、個人輸入にあたって使用医師は、必要量を見極めて必要最小限の輸入にとどめること。

8.副作用の発生に対応するための体制の整備

使用医師は、サリドマイドの使用による副作用の発生を防ぐことに努めるとともに、副作用

が発生した場合に対応するため、あらかじめ副作用の治療方法や施設内の報告システム等を整

備しておくこと。

9.情報の共有及び適正使用のための枠組みの構築

使用医師による情報の共有化を図り、サリドマイドに関する情報を効率的に利用するととも

に、サリドマイドの適正使用に関する協議を行うため、関係学会を中心として、使用医師、患

者団体、製薬業界及び行政が参画可能な枠組みを構築すること。

10.安全な使用のための行政対応の実行

行政は、本報告書に基づき、1~9の提言の実効をあげるため、使用医師等の関係者に対す

る指導を行うとともに、今後とも必要な対応をとること。

(※)別添の報告書につきましては、165ページに及ぶ冊子になっているため添付を省略します。

Page 35: №349 東京都医薬品情報349 平成15年10月号 東京都医薬品情報 Ⅰ 厚生労働省医薬品・医療用具等安全性情報 193‥‥‥‥‥‥‥2 Ⅱ JAPIC CONTENTS

東 京 都医薬 品 情報№ 3 49

(平成15年10月号) 平成15年9月19日編集 平成15年10月発行

編集委員 長岡 常雄(健康局技監) 木村 豊彦(健康局参事(安全対策担当))

小川 誠一(食品医薬品安全部副参事(安全情報担当)) 田部 光宏(薬事監視課長)

木内 智香子(府中病院) 小松 千枝子(梅ヶ丘病院) 阿部 奈保子(大久保病院) 小縣 正幸(大塚病院)

発 行 東京都健康局食品医薬品安全部 安全対策課 郵便番号163-8001 東京都新宿区西新宿2―8―1

電話(ダイヤルイン) 03(5320)4507