20141003 生命医薬情報学連合大会清水

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医学部における遺伝教育と遺伝性疾患 患者ゲノム配列を用いたゲノム解析実習の実例 岩手医科大学 いわて東北メディカル・メガバンク機構 生体情報解析部門 部門長代理 特命教授 清水 厚志 平成261022日(金) 16:50- 生命医薬情報学連合大会

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IIBMP 2014 JSBi講習会 医学部における遺伝教育と遺伝性疾患 患者ゲノム配列を用いたゲノム解析実習の実例

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医学部における遺伝教育と遺伝性疾患患者ゲノム配列を用いたゲノム解析実習の実例

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構

生体情報解析部門部門長代理特命教授

清水厚志

平成26年10月22日(金)16:50-

生命医薬情報学連合大会

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中学校学習指導要領

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中学校学習指導要領授業時数

第1学年 第2学年 第3学年

各教科の授業時数

理科 105 140 140

技術・家庭 70 70 35

国語 140 140 140

外国語 140 140 140

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中学校理科

• 第1分野

– 化学、物理

• 第2分野

– 生物、地学1) 植物の生活と種類

2) 大地の成り立ちと変化

3) 動物の生活と生物の変遷

4) 気象とその変化

5) 生命の連続性

6) 地球と宇宙

7) 自然と人間

第1目標自然の事物・現象に進んでかかわり,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。

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中学校理科生物

• (3)-ア:生物と細胞– 生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと

• (5)-イ:遺伝の規則性と遺伝子– 遺伝の規則性と遺伝子:交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだすこと*。

1目標(1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,多様性や規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。(2) 生物や生物現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,生物の生活と種類,生命の連続性などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。

*分離の法則を扱うこと。また,遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることや遺伝子の本体がDNAであることにも触れること。

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中学校学習指導要領新旧対照表

旧 改定(平成24年4月施行)

第4節 理科 〔第2分野〕

(5 ) 生物の細胞と生殖 (5 ) 生命の連続性

イ 遺伝の規則性と遺伝子(ア) 遺伝の規則性と遺伝子

交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだすこと。

平成24年度より中学校新学習指導要領が全面実施され、変異を含む遺伝子の規則性の教育が加わった。

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中学校技術・家庭技術

第1目標生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技術の習得を通して,生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。

• 技術分野– 材料と加工に関する技術(木材加工・機械分野)

• 生活や産業の中で利用されている技術

• 材料と加工法

• 材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作

– エネルギー変換に関する技術 (機械分野・電気分野)• エネルギー変換機器の仕組みと保守点検(機械要素・機構学・内燃機関・電気)

• エネルギー変換に関する技術を活用した製作品の設計・製作

– 生物育成に関する技術(栽培分野)• 生物の生育環境と育成技術

• 生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育

– 情報に関する技術(情報分野)• 情報通信ネットワークと情報モラル

• ディジタル作品の設計・制作

• プログラムによる計測・制御

• 家庭分野

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中学校技術・家庭技術情報1目標ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して,材料と加工,エネルギー変換,生物育成及び情報に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め,技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。

• (1)情報通信ネットワークと情報モラル– コンピュータの構成と基本的な情報処理の仕組みを知ること。

– 情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを知ること。

– 著作権や発信した情報に対する責任を知り,情報モラルについて考えること。

– 情報に関する技術の適切な評価・活用について考えること。

• (3)プログラムによる計測・制御– コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。

– 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。

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高等学校学習指導要領

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高等学校学習指導要領理科新旧対照表

旧 改定(平成24年4月施行)

科目名 標準単位数 科目名 標準単位数

理科基礎 2 科学と人間生活 2

理科総合A 2 理科課題研究 1

理科総合B 2

物理Ⅰ 3 物理基礎 2

物理Ⅱ 3 物理 4

化学Ⅰ 3 化学基礎 2

化学Ⅱ 3 化学 4

生物Ⅰ 3 生物基礎 2

生物Ⅱ 3 生物 4

地学Ⅰ 3 地学基礎 2

地学Ⅱ 3 地学 4

・単位については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。2単位=70単位時間

・理科課題研究はスーパーサイエンスハイスクールやサイエンスパートナーシッププロジェクトなどの課題型教育の成果に基づいて設置

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高等学校理科

• 科学と人間生活 2単位• 高等学校物理

– 物理基礎 2単位– 物理 4単位

• 高等学校化学– 化学基礎 2単位– 化学 4単位

• 高等学校生物– 生物基礎 2単位– 生物 4単位

• 高等学校地学– 地学基礎 2単位– 地学 4単位

高等学校では「科学と人間生活」と他1科目もしくは、基礎系科目3科目が必修。

科学と人間生活

化学∨物理∨生物基礎4単位

化学基礎物理基礎生物基礎

6単位

OR

つまり

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高等学校理科科学と人間生活

1) 科学技術の発展

2) 人間生活の中の科学ア)光や熱の科学

イ)物質の科学

ウ)生命の科学((ア)(イ)のどちらか一方)(ア)生物と光:植物の生育,動物の行動及びヒトの視覚と光とのかかわりについて理解すること。

(イ)微生物とその利用:様々な微生物の存在と生態系での働き,微生物と人間生活とのかかわりについて理解すること。

エ)宇宙や地球の科学

3) これからの科学と人間生活

「科学と人間生活」は,中学校理科で学習した内容を基礎として,自然に対する理解や科学技術の発展がこれまで私たちの日常生活や社会にいかに影響を与え,どのような役割を果たしてきたかについて,身近な事物・現象に関する観察,実験などを中心にして学び,科学的な見方や考え方を養い,科学に対する興味・関心を高めていくという点に特色をもつ科目である。

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高等学校理科生物基礎

1) 生物と遺伝子

2) 生物の体内環境の維持

3) 生物の多様性*と生態系

「生物基礎」の内容は,中学校理科第2分野との関連を考慮するとともに,近年の生命科学の急速な進歩を反映した内容を取り入れ,「生物」と合わせて学習内容の再構築を行っている。具体的には,「(1)生物と遺伝子」,「(2)生物の体内環境の維持」及び「(3)生物の多様性と生態系」の3つの大項目から構成さ

れている。共通性の土台となるDNA,ヒトを中心とした動物の生理,生物の多様性に注目した生態系など,ミクロレベルからマクロレベルまでの領域を学ぶように構成している。

*ここでの多様性はヒトの遺伝子多型などではなく、植物を対象とした植生の違いなど。

大項目 階層 科学リテラシー

1) 細胞・分子レベル

現代生物学の基盤(DNA)

2) 個体レベル 健康

3) 生態系レベル 環境

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生物基礎生物と遺伝子

1) 生物の特徴

– 生物の共通性と多様性について

– 細胞とエネルギーについて

2) 遺伝子とその働き

– 遺伝情報とDNA*

– 遺伝情報の分配

– 遺伝情報とタンパク質の合成

3) 生物と遺伝子に関する探究活動

生物と遺伝子について観察,実験などを通して探究し,細胞の働き及びDNAの構造と機能の概要を理解させ,生物についての共通性と多様性の視点を身に付けさせる。

*分子的な視点も含めたセントラルドグマは「生物」の範囲になるため、ここでは概念的な理解のみ。

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高等学校学習指導要領生物新旧対照表

旧 改定(平成24年4月施行)

生物Ⅰ 生物基礎

(1) 生命の連続性 (1)生物と遺伝子

細胞,生殖と発生及び遺伝について観察,実験などを通して探究し,生物体の成り立ちと種族の維持の仕組みについて理解させ,生命の連続性についての見方や考え方を身に付けさせる。

生物と遺伝子について観察,実験などを通して探究し,細胞の働き及びDNAの構造と機能の概要を理解させ,生物についての共通性と多様性の視点を身に付けさせる

平成25年度より高等学校新学習指導要領が全面(数学、理科は24年度から)実施され、遺伝子とゲノムの関係や転写・翻訳について触れることの記載がなされた。

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入学試験科目(岩手医科大学)

医学部の学生は必ずしも高校で生物*

を習っていない。

*ここでの生物は教科としての「生物(旧生物

Ⅰ )」であり、biologyを指さない

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医学教育モデル・コア・カリキュラム

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医学教育モデル・コア・カリキュラム概要H13.3策定、H19.12、H23.3改定

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準備教育モデル・コア・カリキュラム

1. 物理現象と物質の科学1) 物質界の基本法則2) 力と運動3) 振動と波動4) 電気と磁気5) 物質の相互作用

2. 生命現象の科学1) 生命現象の物質的基礎2) 生命の最小単位ー細胞3) 生物の進化と多様性4) 生態と行動

3. 情報の科学1) 情報リテラシー2) 統計の基礎3) 統計手法の適用

4. 人の行動と心理

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医学部モデルコアカリキュラム

A. 基本事項

B. 医学・医療と社会

C. 医学一般

D. 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療

E. 全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療

F. 診療の基本

G.臨床実習

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C医学一般

1. 生命現象の科学

(2)生命の最小単位ー細胞

2. 個体の構成と機能

(6)遺伝と遺伝子

3. 個体の反応

4. 病因と病態

(1)遺伝子異常と疾患・発生発達異常

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C-1-(2) 生命の最小単位ー細胞

【遺伝子と染色体】

1) Mendelの法則を説明できる

2) 遺伝子型と表現型の関係を説明できる

3) 染色体を概説し、減数分裂における染色体の挙動を説明できる

4) 性染色体による性の決定と伴性遺伝を説明できる

【DNAとタンパク質】

1) DNAの複製過程と修復機構を説明できる

2) セントラルドグマを説明できる

3) 転写と翻訳の過程を説明できる

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C-2-(6) 遺伝と遺伝子

一般目標:

遺伝子からタンパク質への流れに基づいて生命現象を学び、遺伝子工学の手法と応用やヒトゲノムの解析を理解する。

1) 遺伝子と染色体の構造が説明できる

2) ゲノムと遺伝子の関係が説明できる

3) DNAの合成、複製と修復を説明できる

4) DNAからRNAを経てタンパク質合成に至る遺伝情報の変換過程を説明できる

5) プロモーター、転写因子等による遺伝子発現の調節を説明できる

6) PCRの原理とその方法を説明できる

7) ゲノム解析に基づくDNAレベルの個人差を説明できる

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C-4-(1) 遺伝子異常と疾患・発生発達異常

一般目標:遺伝子・染色体異常と発生発達異常や疾患の発生との関連

を理解する。

1) 胚<生殖>細胞と体細胞、それぞれにおける遺伝子異常が引き起こす疾患の相違点を説明できる

2) Mendel 遺伝の3つの様式を説明し、代表的な遺伝性疾患を列挙できる

3) 多因子遺伝が病因となる疾患を列挙し、その特徴を説明できる

4) 染色体異常による疾患の中で主なものを挙げ、概説できる

5) 個体の発達異常における遺伝因子と環境因子の関係を概説できる

6) ミトコンドリア遺伝子の変異による疾患を例示できる

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岩手医大における実例

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1年次初年度教育

• 教養科目–ベーシック生物 #高校生物未履修者対象

–アドバンスト生物 #高校生物履修者対象

–文化人類学 #DNAを対象に含めた人類学

• 専門科目–細胞生物学

• 講義:細胞、染色体、ゲノム、遺伝子、DNA

• 実習:細胞の観察、核酸抽出、制限酵素消化

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2年次分子生物学

一般目標:将来良き医師あるいは研究者として活躍するために、基本的な生化

学的知識、病態時の医化学的知識、更に新しい分子生物学的知識や、基本的な技能と真摯な態度を修得する。

1) ヒトゲノムの構造と特徴を説明できる2) 染色体の構造とその正確な維持の機構、さらにその分配機構に

ついて説明できる3) 遺伝子とゲノム、染色体について違いに注意して説明できる4) 遺伝情報の経世代的伝達方法について説明できる5) ゲノムDNAの複製、修復機構を説明できる6) 突然変異の生成原因について説明できる7) 遺伝情報の発現過程とその制御機構を説明できる8) 細胞周期とその調節機構を説明できる9) タンパク質の高次構造と機能について説明できる

責任者:分子医化学分野古山和道教授

*分子医科学、病理学総論ⅠなどでもDNAや遺伝について学び、PCRや大腸菌の形質転換なども実習で扱う。

昨年度から清水がヒトゲノム計画や次世代シークエンサーについても教えています

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3年次法医学

一般目標:医学・医療が関わる法的諸問題を理解し、医学的知識にもとづき的

確に将来実務的な案件処理ができる能力を習得する。

1) 法医学が果たすべき社会的義務について説明できる2) 生活反応、死後変化の原因・識別法を説明できる3) 各種損傷の成因および特徴的所見を説明できる4) 窒息死体の所見および死に至る機序を説明できる5) 異常環境における死について所見を説明できる6) 突然死、内因性急死の医学的・社会的問題について説明できる7) 異常死体の死因検索法、法的取り扱いについて説明できる8) 個人識別法および遺伝的多型につき、基本原理を説明できる9) 法医中毒学に対する基礎的知識を説明できる

責任者:法医学講座出羽厚二教授

*実習で採血、DNA抽出、多型解析を行う他、神経病学や内分泌・代謝学、小児科学などで遺伝性疾患や染色体異常について触れる

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3年次法医学実習

責任者:法医学講座出羽厚二教授

法医学において、学生個人が各自の血液を採取し、short tandem repeat (STR)

を解析する実習があり、多型の頻度、ハーディ・ワインバーグ平衡についても学ぶ。

実習の際にICを取っています。

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4年次臨床遺伝学

責任者:臨床遺伝学科福島明宗教授

一般目標:

医師として必要な遺伝医学の知識の習得および遺伝カウンセリングなど臨床への応用を身につける。

1) 遺伝医療の現状を理解し説明できる2) 基本的な家系図作成法を理解し実践できる3) 出生前診断の内容を理解し、説明できる

4) メンデル遺伝の様式を説明し、代表的な遺伝性疾患を列挙できる

5) ミトコンドリア病・先天代謝異常症を理解し説明できる6) 多因子遺伝病を理解し説明できる

7) 家族性腫瘍を含めた腫瘍遺伝学に関して理解し説明できる

8) 遺伝医療における倫理的配慮と遺伝カウンセリングについて概説できる

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遺伝性疾患については座学として、多型解析については実習形式でも学習する

ただし、疾患ゲノム解析などのバイオインフォマティクスの実習は行っていない

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慶應は?

SFCは荒川さん

医学部は?

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慶應医学部分子生物学・遺伝子医学実習

平成10年頃から平成21年まで分子生物学・遺伝子医学実習として蓑島(現浜松医大教授)と満山(現慶應医遺伝子医学助教)を中心にMutationView を用いた実習が行われた。MutationView はwebベースの単一遺伝性疾患の原因遺伝子の変異データを検索、表示、解析、入力できるシステムである。

写真提供 慶應医満山進先生

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慶應理工学部応用化学科での実習

平成18年から慶應理工学部応用化学科分子遺伝学の講義の中で佐々木(現慶應医皮膚科講師)と清水がヒトゲノム解析の実習を開始した。内容は右下のように公開DBと公開web toolを組み合わせて、遺伝子の同定と機能予測を行うものであった。

1. ゲノム配列の決定(Ensemblから配列をダウンロード)

2. GC contents, CpG contentsの計算

3. Repetitive elementsのmasking

4. GENSCANによるgene prediction

5. 相同性検索による遺伝子検索

6. 遺伝子の塩基配列の決定

7. 遺伝子のアミノ酸配列の決定

8. タンパク質のモチーフ/ドメイン検索

9. 機能の推定

10. まとめと課題

ゲノム解析

遺伝子の性状解析

今回の実習課題

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慶應医学部分子生物学・遺伝子医学実習

平成23年に入り、MutationView に変わる実習として、応用化学科で行っていたヒトゲノム解析を発展させて、医学部と理工学部で疾患ゲノム解析実習を開始した。

この実習では疾患ゲノム解析の実践をイメージし、• 基本的なDB、web toolの使用方法の習得(NCBI, BLAST, OMIMなど)• ワトソンのゲノム配列を用いた多型解析• 鎌形赤血球症の患者配列を用いた原因遺伝子、変異の同定

の練習課題の後に、応用課題として

• 学生ひとりひとりに別々の患者配列を与え、変異の同定と、その疾患について原因遺伝子の視点からの考察

• その変異による疾患の遺伝様式の確認、カウンセリングを視野に入れた次子への影響の考察

を行った。

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課題用疾患患者配列抜粋

謝辞 東大メディカルゲノム/理研脳科学的場奈々さん

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で、岩手医大は?

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岩手医大博士課程実習

今年度から、岩手医科大学に「ゲノムコホート研究・生体情報解析学」のコースを設置し、ヒトゲノム解析とオミックス解析、バイオインフォマティクスの講義を開始した。この講義では八谷によるRを中心とした統計解析の実習と清水によるゲノム解析実習を組み入れた。ゲノム解析実習では慶應医学部で行ってきたBLASTを用いた第一世代シークエ

ンサーを意識した解析と、bwa-GATK-ANNOVARを用いた次世代シークエンサーを意識した解析の2種類を行った。次世代解析では慶應SFC冨田教授のゲノムデータを疾患の原因となる変異を持つfastq データにアーティフィシャルに置換した。

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問題提起

• 医学部での遺伝教育は充分か

• 疾患ゲノム解析の知識、技術はそれぞれ医師が共通に習得すべきか