aiとリーガルテック 荒籾航輔...
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AIとリーガルテック
宮村頼光荒籾航輔
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AIと法律
1.AIとは
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AI(Artificial Intelligence)
・ 人工知能
・ 人間が持つ「知能」を人工的な手段で実現させたもの
・ 今日では,情報処理・機械制御の場面において,人間が具体的に指示しなくても,コンピュータが自ら学習し,その学習結果をもって出力・動作を行うシステムのことを表現することが多い。
機械学習・・・コンピュータのプログラムが,データから学習して判断や推論を行うためのアルゴリズム(計算方法)を作成する仕組み。さまざまな方法があるが,そのなかでもディープラーニングという方法が注目されている。
ディープラーニング(深層学習)・・・人間の脳の神経伝達メカニズムをモデルとしたネットワークを用いた機械学習の一種。画像認識の分野で強みを発揮する。
【機械学習・ディープラーニングとは?】
2.AIが登場する場面
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ビッグデータを活用する場面
・ 医療
・ 自動運転
・ 金融市場 など
日常に登場する場面
・ スマートスピーカー
・ Googleなどの検索エンジン など
3.AIと関連する法律
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AIと知的財産法
AIと民法
AIと刑法
• AI自体の知的財産権(著作権法・特許法等)
• AIの開発・利用による他人の知的財産権の侵害
• AIが生成した生成物の知的財産権
• AIの不法行為・・・AIの開発者や製造者に不法行為あるいは製造物責任?
AIの利用者の責任?
• AIの債務不履行責任・・・製造者・開発者と購入者との関係
• AIの行為が誰にも責任追及できない?
• AIが行った契約は?
• 自動運転による交通事故
運転者の刑事責任
自動車製造業者の刑事責任
4.最先端の分野なので・・・
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現状 法律がAIにおける問題に対応している最中
今もなお進歩している状況であり,進歩も早い
法の対応が追いつかない
(どうするか?)例:著作権法の対応
5.著作権法の対応(1)
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旧法の問題点
著作権法は,本年度の国会において改正法が成立し公布されました(平成30年法律第30号)。一部規定を除き,平成31年1月1日に施行されます。改正の趣旨のひとつとして,デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な規定の整備を行っています。
IoT・ビッグデータ・AIなどの技術は,著作物を含む大量の情報の集積・組み合わせ・解析を行い,新たな付加価値を生み出す
旧法・・・権利制限規定(著作者の許諾なく利用できる場合)を目的や場面ごとに規定
・類所行為でも条文上明記されていなければ,形式上違法になり,利用が萎縮する・新たな著作物の利用ニーズに対応できない
との指摘があった
6.著作権法の対応(2)
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新法の方針
「柔軟性のある権利制限規定」を整備し,環境変化に対応した著作物利用の円滑化を図る
立法を待たず新たな利用行為に対応できる
イノベーションの促進
予測可能性の低下
大半の企業は明確性を重視
明確性と柔軟性のバランスを備えた規定を組み合わせる
AIによる深層学習,情報解析サービスなど
メリット デメリット
7.著作権法の対応(3)
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概要 第1層 第2層 第3層
権利者の利益を通常害さないと評価できる行為類型
例:ディープラーニングの一部コンピュータ処理高速化のためのキャッシング等
権利者に及びうる不利益が軽微な行為類型
例:所在検索サービス情報解析サービス
著作物の市場と衝突する場合がるが,公益的政策実現等のために著作物の利用の促進が期待される行為類型
柔軟な権利制限規定を整備
第1層 第2層
新30条の4(著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない利用)新47条の4(電子計算機における著作物の利用に付随する利用等)
新47条の5(新たなる知見・情報を創出する電子計算機による情報処理の結果提供に付随する軽微利用等)
詳細は,文化庁ホームページ 著作権法の一部を改正する法律 概要説明資料(http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/pdf/r1406693_02.pdf)
8.まとめ
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AI(人工知能)は,社会生活に浸透しつつある
進歩が著しい
思いもよらない問題の発生
現行の法体系では対応できない
常に知識をアップデートする
迅速な法改正に対応する
正常な倫理観の形成
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参考文献
➢ 福岡真之介編著『AIの法律と論点』(商事法務,2018)
➢ 総務省「第1部第4章第2節 人工知能(AI)の現状と未来」平成28年版情報通信白書(2016)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n4200000.pdf
➢ 文化庁「著作権法の一部を改正する法律 概要説明資料」
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/pdf/r1406693_02.pdf
リーガルテックリーガルテック
なぜ最近いきなりAIが騒がれているのか
深層学習(ディープラーニング)の登場
深層学習(ディープラーニング)とは?
ディープラーニングは、コンピュータがデータから自動的にルールを獲得する機械学習の1手法である。具体的には、人の脳の動きを模した機械学習手法ニューラルネットワークの発展系であり、従来は主に3層、ニューロン数では数百個で計算していたものを、まさに人間の脳のように、層が数十層、ニューロン数で数百万個という深い(ディープな)ニューラルネットワークを実現したものがディープラーニングである。
従来の機械学習では、推論をする際に、判断基準(例えば顔であれば口・目などの配置や色、輪郭など)を人間が設計して与えていたが、ディープラーニングではその判断基準を学習により自ら生成し判断する。この仕組みが大きなパラダイムシフトであり、ディープラーニングを利用した画像認識や音声認識が断トツの精度を叩きだしたことで、ディープラーニングは一躍注目の技術となった。
出典(三菱総合研究所):http://easy.mri.co.jp/20160607.html
出典(首相官邸 知的財産戦略推進事務局) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2017/johozai/dai2/sankou1.pdf
米Facebookの人工知能(AI)ラボが、顔認識技術「DeepFace」に関する論文を公開。
ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるニューラルネットワーク技術を採用している。Facebookは2013年12月、人工知能研究ラボを立ち上げ、深層学習を研究するヤン・ルカン教授を所長に迎えた。
DeepFaceの2つの画像の顔の識別精度は97.25%で、人間(97.53%)とほぼ互角という。従来の顔認識技術より25%精度が上がったとしている。
実験には、公開されている画像データベースやFacebookにアップロードされている4030人の440万点の画像、米GoogleのYouTubeの動画内の顔データを集めたデータベースを利用した。
DeepFaceは画像内の顔から3Dモデリング技術で正面を向いた顔の画像を作り、これを1億2000万以上のパラメータを持つマルチレイヤーのデータにしてニューラルネットワークで共通ポイントを解析する。
具体的な学習方法
出典:It Meida News:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1403/19/news091.html
この「AI」を法律業界にも導入しようという動き
アメリカの動き米・法律事務所がロボット弁護士を採用...破産関連業務を担当米国のローファーム「ベーカー&ホステトラー(Baker&Hostetler)」が「AI弁護士」を採用した。
今回、シリコンバレースタートアップであるロス・インテリジェンス(ROSS Intelligence)が開発した人工知能「ロス」(ROSS)は、ベーカー&ホステトラーで人間の弁護士50人とともに、破産関連の業務を担当することになった。
ロスの役割は、マシンラーニング(machine learning)を通じて、数千件の関連判例を収集・分析した後、ベーカー&ホステトラーが担当する事件に役立つ内容を抽出すること。本来、この手の仕事は、大学を卒業したての経験の浅い弁護士が引き受けてきた。ロス・インテリジェンスCEOのアンドリュー・アルーダ(Andrew Arruda)氏は、ロスがIBMのAIプラットフォーム「ワトソン」をベースに製作された「世界初のAI弁護士」だと説明した。
出典(2016年5月18日):https://roboteer-tokyo.com/archives/4219
中国の動き天津のAI法律サービス、6人が30年かけて処理する業務をわずか2時間で
出典:人民網2018年4月18日:http://j.people.com.cn/n3/2018/0418/c95952-9451029.html
16万件以上の契約書を審査し、200万件以上の潜在的なリスクを識別するのに、実際にかかった時間はわずか2時間13分のみ。天津浜海新区が17日に発表した情報によると、同新区に入居する全民互聯科技(天津)有限公司が開発した人工知能(AI)法律サービスプラットフォーム「智合同」はリリースから3ヶ月経ち、非常に優秀な業績をあげている。これは熟練した法律専門家6人が30年間かけて処理する業務量に相当し、AIは再びその優れた能力を示している。
同社は3年間の研究開発を経て、今年1月に中国初のAIオンライン契約書審査サービス「智合同」を発表した。「3秒・1元で契約書を審査」をキャッチコピーに、中小・零細企業向けに低コスト・高効率の契約書審査サービスを提供し、リスク回避を促進した。リリースから3ヶ月に渡る実際の運営効果を見ると、16万件の契約書の審査を弁護士に依頼した場合にかかる費用は約2億4000万元(1元は約17円)で、AIの場合は約1500分の1の16万元のみ。これは人材の創造力の解放を促す。
出典(2018年8月18日):https://this.kiji.is/403434732186469473
出典(2018年8月18日):https://this.kiji.is/403434732186469473
中国重慶市渝北区の仙桃国際ビッグデータバレーで16日、法律サービス分野の「人と機械の対戦」が開催され、重慶市が開発した法律ロボット「大牛」が6人のベテラン弁護士に「完勝」した。基本的な法律相談などのサービス提供分野における人工知能(AI)の最新の成果を示した。 競技の主催団体である重慶市ロボット・スマート設備産業連合会の担当者によると、ロボット大牛は中国では初となる本当の「脳型」AI法律ロボットだという。このロボットは裁判官や弁護士の思考パターンを模倣し、質問を重ねて法的事実を明らかにすることができる。また法律や規定、演算ルールに基づき、相談意見書、民事訴訟の訴状、仲裁申請書、届出資料といった法律文書を作成することが可能だ。 対戦は午後1時半に開始した。競技組織委員会が会場でランダムに二つの裁判例を抽出したところ、選ばれたのは個人間貸借と労働争議の事例だった。これについて、法律ボランティアが6人のベテラン弁護士に法律相談を行った。弁護士が相談を受けて法律意見書を書き出して1時間余り経った15時、ロボット大牛は会場で数百人の観衆が見守る中、同じ2案件について相談に乗り始めた。大牛は二つの案件に要した時間がそれぞれ7分と8分で、法律相談意見書をすばやく完成したのである。(中略) この日の対戦ではAIの最新の成果を代表するロボット大牛が勝利したが、これが決してロボットは弁護士や裁判官の代役を務まることが可能だという意味するものではなく、ロボットが得意とする法的事実の精査や法律に関する問い合わせなどの基本的な法律サービス分野では、基本的に人間を上回るということだと説明している。
中国の動きAIロボットが法律相談でベテラン弁護士に「完勝」
日本では・・・?
リーガルテックとは?
最新のテクノロジーによって法律業界に関連する社会的な課題を解決すること
契約書の自動作成ホームズ(株式会社リグシー)
出典(2017年12月13日):https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_1213.html
ホームズで作成できる契約書類は多岐にわたります。不動産の売買や、業務の受発注、従業員の雇用や秘密保持など、内容に応じてWEB上で検索。AIがおよそ300種類の中から最適な「ひな型」を選び出します。
ひな型の空欄に、必要な事柄を入力していくだけで、5分ほどで契約書が作成できる仕組みです。売買したモノに欠陥が見つかった場合、売り主がどこまで責任を負うかという「瑕疵担保責任」のような複雑な条文もワンクリックで、表現を切り替えながら選ぶことができます。
契約書の誤りをAIで自動発見 IT(情報技術)を活用した法律関連サービスを手掛けるリーガルフォース(東京・中央、角田望社長)は4月下旬、人工知能(AI)を使って契約書の形式上の誤りなどを自動で見付けられるソフトウエアの提供を始める。法律事務所や企業の法務部などの業務効率化に役立てる。
Legal Force(株式会社Legal Force)
出典(2018年4月16日):https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29353130T10C18A4TCJ000/
契約書の有利不利の判定
出典(2018年4月17日)https://jp.techcrunch.com/2018/04/17/gva-tech-ai-con/
GVA TECHが提供するのは、AIとクラウドを活用して契約書のレビューを行う「AI-CON」だ。2018年4月16日に正式サービスを開始。4月17日には約30社のコワーキングスペースおよびランサーズと連携することを発表した。
AI-CONは、AIとクラウドを活用して、契約書のレビューを自動化するAI契約書レビューサービス。サービスにログインし、WordファイルやPDFファイルをアップロードすれば、1営業日以内に条文ごとのリスク評価や修正案などが提示される。現状はAIで判定した原稿について、弁護士による目視での最終チェックを実施している。
このAI-CONの最大の特徴となるのは、「契約書のリスク判定機能」だ。レビューする契約書は条文ごとに、「不利」「やや不利」「適切」「やや有利」「有利」の5段階で評価をする。不利な条文が会った場合は、有利な条文案の表示も可能だ。また、ユーザーと契約相手の力関係、契約時の立場などをあらかじめ設定して、状況に応じた評価ができるという。そのほか、通常含まれる条項がない場合にはアラートを出すなどして、法律に明るくないユーザーでも契約書のリスクについて理解しやすくしている。
AI-con(GVA TECH株式会社)
ノウハウの共有(契約書のオープンソース化)
COMMONS PAL(日本法務システム研究所株式会社)
出典:http://j-legal-system.com/pre/
スマートコントラクト(契約のペーパーレス化)
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
法務とテクノロジーを融合した「リーガルテック」の先駆者、弁護士ドットコムがこれまでの紙ベースの契約書を電子化するサービスを始める。これまで企業の法務担当者が手で管理していた過去の契約案件を、クラウドで一覧できるようになり、検索性も上がる。 弁護士ドットコムが提供するオンライン契約サービス「クラウドサイン」ブランドに、新たに「クラウドサインSCAN」として展開する。
出典(2018年3月30日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28786750Q8A330C1X11000/
民間企業が、AIを搭載した法律相談アプリを開発し、法律に関するアドバイスや契約書の自動作成サービスを提供することは許されるか?
弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
AIを活用したサービスと業法の問題
AI によって弁護士の仕事が奪われるのか(私見)
テクノロジーによる法律ノウハウの共有について(私見)
ご清聴ありがとうございました。