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旭化成グループ ワンチップパルスエンコーダ IC アプリケーションノート 2015/02/26

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旭化成グループ

ワンチップパルスエンコーダ IC アプリケーションノート

2015/02/26

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目次

1. ワンチップパルスエンコーダ IC の特長 .............................................................................................. 2 2. 従来式との比較 ..................................................................................................................................... 2 3. ワンチップパルスエンコーダ IC の配置の自由度 ................................................................................ 4 4. ワンチップパルスエンコーダ IC の用途 .............................................................................................. 4 5. ワンチップパルスエンコーダ IC の検出原理 ....................................................................................... 5

ワンチップパルスエンコーダ IC が検出する磁場(縦磁場・横磁場) .................................................. 5 回転方向と縦磁場・横磁場の位相関係 .................................................................................................... 6

6. ワンチップパルスエンコーダ IC の回路構成 ....................................................................................... 7 AK8775/AK8776 のブロック図と各ブロックの機能 ............................................................................ 7 AK8777B/AK8778B/AK8779A/AK8779B のブロック図と各ブロックの機能 ............................... 8

7. ワンチップパルスエンコーダ IC の磁界に対する動作 ........................................................................ 9 磁場に対する基本的な動作 ...................................................................................................................... 9 パルス/回転方向信号出力タイプの動作 .............................................................................................. 10 回転方向の判別方法 ............................................................................................................................... 11

8. ワンチップパルスエンコーダ IC の使い方......................................................................................... 12 パルスエンコーダの設計手順 ................................................................................................................. 12 センサの選び方 ....................................................................................................................................... 13 磁石の選び方 .......................................................................................................................................... 15

9. 出力信号の動作タイミング ................................................................................................................. 21 電源投入から IC が駆動するまで ........................................................................................................... 21 出力信号の更新タイミング .................................................................................................................... 21 AK8776/AK8778B/AK8779A の回転方向信号(出力 D)の変化タイミングについて ....................... 22

10. 端子説明 .......................................................................................................................................... 23 11. パッケージと推奨ランドパターン .................................................................................................. 25 12. 推奨動作回路 ................................................................................................................................... 25 13. 標準温度特性 ................................................................................................................................... 26

AK8775/AK8776 の温度特性 .............................................................................................................. 26 AK8777B/AK8778B の温度特性 ......................................................................................................... 27 AK8779A/AK8779B の温度特性 ......................................................................................................... 28

14. 使い方に関するよくあるご質問 ...................................................................................................... 29 15. 重要な注意事項 ................................................................................................................................ 32

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1. ワンチップパルスエンコーダ IC の特長

◆磁石と超小型ホール IC1 個でパルスエンコーダが実現可能

◆磁石に対するセンサの配置の自由度が飛躍的に向上

◆出力信号は着磁ピッチに依存しない理想的な信号

◆回転方向の誤検出が起こりにくい新しい検出原理

◆直交する 2 方向の磁束密度を検出する新原理を採用

◆実装面積は従来式の半分、消費電流も大幅低減可能

2. 従来式との比較 従来の磁気式パルスエンコーダは 2 個のホール IC

を使用し、これらの 2 相のパルス出力から回転量と

回転方向を検出しています。回転方向を正しく検出

するため、2 相のパルス位相差が電気角※90°にな

るように、ホール IC は N 極と S 極の境界(HIC A)と、

磁極の中央 (HIC B)にそれぞれに配置する必要が

あります。また、2 相のパルス位相差は磁石の着磁

ピッチに依存するため、ピッチ幅が小さいと配置が

困難な場合もあります。

一方で、ワンチップパルスエンコーダ IC は、従来

型のように磁石の着磁ピッチに合わせてホール IC

の実装位置を制限する必要はありません。もちろん、

2 相の出力の位相差は着磁ピッチにも依存すること

もありません。使用するホール IC が 1 個なので、実

装面積は従来式の約半分、消費電力も大幅に低減

されます。また、従来式と同様の 2 相のパルスを出

力するタイプの他に、これらの信号を IC の内部信号

として持ち、それらを信号処理して得られる、パルス

信号(1 磁極に 1 パルス)と回転方向信号を出力する

タイプもあります。

(b) AK8777B/AK8778B/AK8779A/AK8779B 0 1 2 3mm

(a) AK8775/AK8776

OUTA (HIC A)

HIC BHIC A

OUTB (HIC B)

【従来式】

着磁方向

OUTA(AK8775/AK8777B/AK8779B)

OUTB(AK8775/AK8777B/AK8779B)

パルス(AK8776/AK8778B/AK8779A)

【新方式】

回転方向(AK8776/AK8778B/AK8779A)

Direction change

図 1:ワンチップパルスエンコーダ IC の外観

図 2:パルスエンコーダの構成と出力

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※電気角と機械角(回転角)について

電気角とは信号が 1 周期を 360°とする位相角で、機械角とは回転体の軸に対する回転角度です。電気角と機

械角は必ずしも一致しません。例えば、6 極に着磁された磁石近傍の任意の点で、磁束密度がどう変化するか

を考えます。図 3(a)に示すように、黄色に塗られた観測点に印加される Y 方向の磁束密度は図 3(b)のオレン

ジ色の波形のように変化します。図 3(a)に示す初期状態(観測点に S 極と N 極の境界が対向)から、1 回転する

と回転角度で 360°、電気角では 1080°となります。電気角で 360°の時、回転角度は 120°になります。

ここで、 信号の 1 周期が電気角 360°ですから、電気角で位相差 90°というと 1/4 周期だけ位相がずれている

ことを意味します。オレンジ色の波形と電気角 90°の位相差を持つ波形を描くと、緑色で示す波形のようになりま

す。電気角と磁石の回転角度・磁石の極数には、次のような関係があります。

『電気角=回転角度×極数÷2』

図 3:電気角と機械角について

磁束密度電気角 360°

回転角度 360°

電気角 90°(1/4周期)

Y

X

着磁方向

電気角 360°

(a)6 極磁石と観測点 (b)電気角と回転角度に対する磁束密度の変化

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3. ワンチップパルスエンコーダ IC の配置の自由度

ワンチップパルスエンコーダ IC は、従来式と比較して、配置の自由度が飛躍的に向上しています。単に使用す

るセンサの数が 1 個になっただけではなく、ピッチ幅の狭い磁石でも位置ずれを気にする事なく、ご使用頂けま

す。また、図 4(b)に示すように、必ずしも、磁石の真下に実装する必要はなく、磁石に対して斜め下でも構いま

せん。更に、図 4(c)に示すように、磁石の真横に置く事も可能で、システムの小型化・薄型化・軽量化あるいは

製造工数の削減に適しています。

図 4:ワンチップパルスエンコーダ IC の磁石に対する配置

4. ワンチップパルスエンコーダ IC の用途 ・入力デバイス(回転量/回転方向検知)

…デジタルカメラ・携帯電話・リモコン・レバースイッチ・ステアリングスイッチ

・産業機器の回転量/回転速度/回転方向検出

…洗濯機の洗濯槽の回転速度検出、流量計、ガスメータ など

・車載機器の回転量/回転速度/回転方向検出

…パワーウインドウ・パワースライドドア・サンルーフの

モーター制御、ワイパー制御 など

図 5:パルスエンコーダの搭載可能な用途例

磁石の横にも配置可能。 モジュール全体の厚みを

減らしたい場合に最適。

磁石の真下に配置

しなくても OK

ピッチ幅の狭い磁石

でも IC の配置は簡単

スライド位置検出も

様々な配置が可能

(a) 狭小ピッチの磁石 (b) 磁石の真下に 置けない場合

(c) 磁石の横に置いた場合 (d) スライド位置検出の場合

(e)パワーウインドの制御

(d)流量計

(c)ガスメータ (b)シートの位置検出

(a)携帯電話やデジタルカメラ、

レバースイッチ等の入力デバイス

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5. ワンチップパルスエンコーダ IC の検出原理 ワンチップパルスエンコーダ IC が検出する磁場(縦磁場・横磁場) ワンチップパルスエンコーダ IC は、IC 印字面に垂直方向に入る”縦磁場”と、水平方向に入る”横磁場”を同時に

検出します。磁石回転時、縦磁場と横磁場のゼロクロス点は自然と電気角 90°の位相差で変化します。また、こ

の位相関係は着磁ピッチに依存しません。したがって、これらの磁場を検出すると、着磁ピッチに依らず、電気角

90°の位相差をもつ 2 相のパルス信号が得られます。縦磁場と横磁場の位相関係は回転方向に依存しており、

それらを検知した 2 相のパルス信号の変化の仕方をみて回転方向を判別しますが、回転方向が変化しない限り、

縦磁場と横磁場の位相関係が逆転する事は原理的に起こらず、回転方向を誤る恐れはありません。

※BopV, BrpV…縦磁場に対して出力が変化する閾値、BopH, BrpH…横磁場に対して出力が変化する閾値

詳細については「7. ワンチップパルスエンコーダ IC の磁界に対する動作」をご参照ください。

縦磁場:+Max横磁場:0

縦磁場:0横磁場:-Max

縦磁場:-Max横磁場:0

縦磁場:0横磁場:+Max縦磁場

横磁場

回転角度0° 回転角度30° 回転角度60° 回転角度90°

位相差は電気角90°

出力

電気角(°) 0 90 180 270

縦磁場検知出力

0 30 60

縦磁場 横磁場磁束密度

電気角(°) 0 90 180 270

回転角度(°) 90

横磁場検知出力

BopV, BopH※

BrpV, BrpH※

図 6:6 極着磁リング周辺の磁力線と回転時の縦・横磁場の変化

図 7:回転角度、電気角に対する縦・横磁場と出力の変化

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回転方向と縦磁場・横磁場の位相関係 ここでは、具体的に磁石が正転・反転した場合の縦磁場・横磁場の位相関係について説明します。図 8 は回転

角度 0°の初期状態から磁石が正転する場合、図 9 は反転する場合に、任意の観測点に印加される縦磁場と横

磁場の変化についてまとめたものです。正転時と反転時で、印加される縦磁場・横磁場の変化の順序が異なり

ます。正転時では、縦磁場:+Max, 横磁場:0 の状態から、縦磁場:0, 横磁場:-Max の状態に変化している

のに対し、反転時では、縦磁場:0, 横磁場+Max の状態へ変化しています。このように、縦磁場と横磁場の位

相関係は回転方向に依存しており、それらを検知した 2 相のパルス信号の変化の順序も、図 8, 図 9 に示すよ

うに回転方向に依存しているので、パルス信号の変化の順序から回転方向を判別することができます。

0 30

縦磁場磁束密度

0 90

出力

BopV, BopH

BrpV, BrpH

電気角(°) 0 90

回転角度(°)

電気角(°)

横磁場

縦磁場:+Max横磁場:0縦磁場

横磁場

回転角度0° 回転角度30°

縦磁場:0横磁場:+Max

縦磁場

横磁場

回転角度0° 回転角度30°

030

縦磁場磁束密度

0 90

出力

BopV, BopH

BrpV, BrpH

電気角(°) 0 90

横磁場

回転角度(°)

電気角(°)

縦磁場:+Max横磁場:0

縦磁場:0横磁場:-Max

図 8:6 極磁石回転時の縦・横磁場の変化 ≪正転時≫

図 9:6 極磁石回転時の縦・横磁場の変化 ≪反転時≫

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6. ワンチップパルスエンコーダ IC の回路構成 AK8775/AK8776 のブロック図と各ブロックの機能

図 10:AK8775/AK8776 のブロック図

表 1:各ブロックの機能(AK8775/AK8776)

バイアス回路 OSC

タイミング回路

ホール素子駆動及びホール素子バイアス回路

COMPCHOP_AMP

チョッパゲインアンプ ヒステリシスコンパレータ

ラッチ&論理出力回路

ホール素子

チョッパスイッチ

VDD

OUTA/F

OUTB/D

VSS

ブロック 機能

ホール素子 CMOSプロセスで構成された、ホール素子です。

チョッパスイッチホール素子駆動切り替えスイッチです。ホール素子のオフセット、ノイズを軽減

するため、内部クロックでチョッピングします。

チョッパゲインアンプ2個のホール素子出力を増幅します。また、2個のホール素子出力の演算を行

います。

ヒステリシスコンパレータ チョッパゲインアンプの出力を比較し、その結果を保持します。

バイアス回路 各回路に必要なバイアス電流を発生します。

ホール素子駆動及び

ホール素子バイアス回路

ホール素子の駆動電流を供給します。また、磁場の閾値を決める為のバイアス

電流を発生します。

OSC タイミングを制御するための発振回路です。

タイミング回路チョッパスイッチ、チョッパアンプ、ヒステリシスコンパレータの為のタイミングを

作ります。

ラッチ&論理出力回路 縦磁場及び横磁場動作によって変化する信号を出力します。CMOS出力です。

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AK8777B/AK8778B/AK8779A/AK8779B のブロック図と各ブロックの機能

図 11:AK8777B/AK8778B/AK8779A/AK8779B のブロック図

表 2:各ブロックの機能(AK8777B/AK8778B/AK8779A/AK8779B)

CH

OPPER_S

W

LA

TC

H &

LO

GIC

REGULATORBIAS

HE DRIVE

OSC

TIMING LOGIC

CHOP_AMP COMP

VREG

VDD

VSS

F

D

HALL SENSORS

0.1 µ

F

OUTA/F

OUTB/D

ブロック 機能

REGULATOR 内部動作電圧を生成します。

ホール素子CMOSプロセスで構成された、ホール素子です。

チョッパスイッチホール素子駆動切り替えスイッチです。ホール素子のオフセット、ノイズを軽減

するため、内部クロックでチョッピングします。

チョッパゲインアンプ2個のホール素子出力を増幅します。また、2個のホール素子出力の演算を行

います。

ヒステリシスコンパレータ チョッパゲインアンプの出力を比較し、その結果を保持します。

バイアス回路各回路に必要なバイアス電流を発生します。

ホール素子駆動及び

ホール素子バイアス回路

ホール素子の駆動電流を供給します。また、磁場の閾値を決める為のバイアス

電流を発生します。

OSCタイミングを制御するための発振回路です。

タイミング回路チョッパスイッチ、チョッパアンプ、ヒステリシスコンパレータの為のタイミングを

作ります。

ラッチ&論理出力回路縦磁場及び横磁場動作によって変化する信号の論理演算を行い、結果を出力

します。オープンドレイン出力です。

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7. ワンチップパルスエンコーダ IC の磁界に対する動作

磁場に対する基本的な動作 1 チップパルスエンコーダ IC は印加される縦磁場・横磁場の変化をそれぞれ交番検知し、各磁界検知信号(縦

磁場検知信号、横磁場検知信号) が変化します。AK8775/AK8777B/AK8779B は縦磁場・横磁場を交番検

知した信号を出力信号とし、AK8776/AK8778B/AK8779A はそれらの信号を IC の内部信号として持ち、そ

れらを信号処理して得られるパルス(1 磁極に 1 パルス)と回転方向信号を出力します。

図 12 のように、IC の印字面に S 極の縦磁場が印加され、その磁束密度が閾値 BopV(Operating Point /

Vertical)を超えると、縦磁場検知信号 OUTA(あるいは内部信号 A)は Low になります。縦磁場の N 極が印加さ

れ、その大きさが閾値 BrpV(Releasing Point / Vertical)を下回ると、OUTA(あるいは内部信号 A)は High になり

ます。

同様にして、図 14 のように、VSS 端子・OUTB 端子(あるいは F 端子)側のパッケージ側面に S 極の横磁場が

印加され、その磁束密度が BopH(Operating Point / Horizontal)を超えると、横磁場検知信号 OUTB(あるいは

内部信号 B)は Low に、N 極が印加される場合は、その磁束密度が BrpH(Releasing Point / Horizontal)を下回

ると、OUTB(あるいは内部信号 B)は High になります。

図 12:縦磁場の極性の定義 図 13:縦磁場磁束密度と検知信号の関係

図 14:横磁場の極性の定義 図 15:横磁場磁束密度と検知信号の関係

OUTA/内部信号 A

BopV BrpV BhV

S 極 0 N 極

OUTB/内部信号 B

BopH BrpH BhH

S 極 0 N 極

(a)AK8775/AK8776 の場合 (b)AK8777B/AK8778B/ AK8779A/AK8779B の場合

(a)AK8775/AK8776 の場合 (b)AK8777B/AK8778B/ AK8779A/AK8779B の場合

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パルス/回転方向信号出力タイプの動作 AK8776/AK8778B/AK8779A のパルス信号(出力 F)は、内部信号 A, B の排他的論理和(XOR)から生成さ

れます。また、回転方向信号(出力 D)は内部信号 A, B の出力の変化の順序を参照して、生成されます。

図 17 のタイミングチャートに示すように、回転方向転換後、最初のパルス信号 F の変化点で、回転方向信号 D

は変化します。

図 17:内部信号 A/B と出力 F/D のタイミングチャート

横磁場磁束密度

縦磁場磁束密度

BopH

BrpH

BopV

BrpV

←回転方向転換

内部信号A(縦磁場検出)

内部信号B(横磁場検出)

出力信号F(パルス)

出力信号D(回転方向)

0

0

表 3:真理値表

Internal signal B

Internal signal A

Output F (Pulse)

図 16:内部信号 A/B から出力 F が生成

されるまでの論理回路

XOR 回路

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回転方向の判別方法 ここでは、信号 A と信号 B の 2 相のパルス信号から、回転方向を導出する原理について詳しく説明します。

6ページの「回転方向と縦磁場・横磁場の位相関係」で述べたように、磁石の回転方向によって、信号Aと信号B

の 2 相のパルス信号の変化の順序は変わります。表 4, 表 4 に示すように、信号 A・B の状態の組合せは 4

通りあります。ここでは、それぞれの組合せを State I~IV と割り当てることにします。磁石が正転する際は、信

号 A・B は State I→II→III→IV という順序で変化するのに対し、反転時は信号 A・B が State I→VI→III→II の順

序で変化します。したがって、前の状態、例えば、State I から、State II か State IV のどちらの状態に遷移したか、

信号の変化の順序をみると、回転方向がわかります。State II か StateIV のどちらの状態に変移するかは、信号

が変化するタイミングで決まります。時計回りでは、信号 B の立上り時(0→1)に信号 A の状態は 0、つまり State

II へ遷移し、反時計回りでは、信号 A の立上り時(0→1)に信号 B の状態は 0、つまり State IV へ遷移していま

す。

図 18:信号 A・B の位相関係(正転時) 図 19:信号 A・B の位相関係(反転時)

表 4:信号 A・B の状態(正転時) 表 5:信号 A・B の状態(反転時)

信号 A・B が同期して変化した場合について(電気角 90°位相差離れていると、なぜ良いか?)

回転方向は、信号 A あるいは信号 B が変化するタイミングで判定されます。もし信号が図 20 のように同期して

変化すると、一方の信号の変化点でもう一方の信号も変化し、また、State I から State II または IV を経由するこ

となく State III に遷移してしまうことになり、回転方向を判定できな

くなります。したがって、信号 A と信号 B の変化点は離れている事

が好ましく、最も離れた状態、すなわち A 信号と B 信号が、“電気

角 90°の位相差”を持っていることが最も好ましいことになります。

図 20:内部信号 A・B が同期して変化する場合

State I II III IV

0 1 1 0

0 0 1 1信号A

信号B

State I IV III II

0 0 1 1

0 1 1 0信号A

信号B

0 1 1 0

0 1 1 0信号A

信号B

0? or 1? 0? or 1?

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8. ワンチップパルスエンコーダ IC の使い方

パルスエンコーダの設計手順 パルスエンコーダの設計の流れを、図 21 のフローチャートに示します。

図 21:パルスエンコーダの設計の流れ

必要な磁束密度が得られない場合は、磁石-センサ間距離や磁石材料などを見直す

⑥磁性体がある場合、検出に影響を及ぼすかどうかを確認する

磁束密度が足りている場合

磁束密度が不足している場合

磁性体から離す、非磁性の材料を使用する等して、影響を小さくする

磁性体の影響が大きい場合

①センサを決める

…動作電源電圧、動作温度範囲、最大応答周波数、出力信号よりセンサを決定

②磁石を選ぶ

…磁石とセンサの配置に応じて形状、着磁方向、材料を選択

④必要な磁束密度が得られるかどうかを確認する

③磁石-センサ間距離を決める

⑤磁石やセンサの近くに、磁性体は無いか確認する

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センサの選び方 動作電源電圧、動作温度範囲、最大応答周波数、出力信号でセンサを選択します。入力磁場の周波数が最大

応答周波数を超えないよう、センサをお選びください。

表 6:ワンチップパルスエンコーダ IC の製品ラインナップ

AK8775 AK8776

動作電源電圧 1.6~5.5 V

動作温度 -30~+85 ℃

最大応答周波数 62.5 Hz

消費電流 90μA (平均消費電流)

出力信号 A/B 相

CMOS 出力

パルス/回転方向

CMOS 出力

外形寸法

【単位:mm】

検知磁場の方向

縦磁場

横磁場

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表 7:ワンチップパルスエンコーダ IC の製品ラインナップ(車載対応品)

AK8777B AK8778B AK8779A AK8779B

動作電源電圧 4.0~24 V 3.8~24 V

動作温度 -40~+125 ℃ -40~+150 ℃

最大応答周波数 4 kHz 7.4 kHz

消費電流 3.0mA 3.5mA

出力信号 A/B 相

Open Drain 出力

パルス/回転方向

Open Drain 出力

パルス/回転方向

Open Drain 出力

A/B 相

Open Drain 出力

外形寸法

【単位:mm】

SOT23-6W

検知磁場の方向

縦磁場

横磁場

縦磁場

横磁場

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磁石の選び方 磁石の形状と着磁方向 はじめに、被検出体の形状・動作と IC の設置場所から、磁石の形状と着磁方向を決めます。例えば、IC を磁石

の下に置きたい場合、図 22(a)のように厚み方向に着磁された磁石を使用します。磁石の下に基板を置くことが

できない場合は、外周方向に着磁された磁石を使用すれば、図 22(b)のように IC を磁石の外周側に置くことも

できます。他にも、被検出体が回転運動ではなく平行運動する場合でも、図 22(c)のような棒型の多極磁石を用

いれば、1 チップパルスエンコーダで移動量と移動方向の検出が可能です。

(a) 厚み方向に着磁された磁石と IC の配置例 (c) 棒型磁石と IC の配置例

(b) 周方向に着磁された磁石と IC の配置例

図 22:磁石の選び方(磁石の形状と着磁方向)

次に、磁石の極数(着磁ピッチ)と材料を選びます。着磁ピッチを小さくする程、微小な回転動作を検出することが

できます。ただし、着磁ピッチを小さくすると、印加磁束密度が小さくなるため、磁石の厚みを厚くする、

磁石表面-センサ間の距離を狭くするなどして、センサの動作に必要な磁束密度が得られるよう、設計する必

要があります。

磁石の運動方向

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センサが動作するのに必要な磁束密度 表 7, 表 8 に 1 チップパルスエンコーダ IC の磁気特性を示しています。一般的に、磁石の磁化方向の磁束密

度は、磁極の中央で最大値(|Bmax|)をとります。対して、磁化方向に直交する磁場成分は、磁極と磁極の境界

で最大値(|Bmax|)をとります。どちらの磁場成分が縦磁場となるか、横磁場となるかは、センサの配置の仕方に

よります。弊社では目安として、この最大値(|Bmax|)が縦磁場・横磁場共に『Bop(Max)+4mT』以上である事を

推奨しております。すなわち、『|Bmax|≧8mT』であることを推奨しております。

表 8:ワンチップパルスエンコーダ IC の各磁気特性

AK8775/AK8776

Min. Typ. Max.

縦磁場動作磁束密度 BopV (mT) - 1.5 4.0

縦磁場復帰磁束密度 BrpV (mT) -4.0 -1.5 -

横磁場動作磁束密度 BopH (mT) - 1.5 4.0

横磁場復帰磁束密度 BrpH (mT) -4.0 -1.5 -

表 9:ワンチップパルスエンコーダ IC の各磁気特性(車載対応品)

AK8777B/AK8778B AK8779A/AK8779B

Min. Typ. Max. Min. Typ. Max.

縦磁場動作磁束密度 BopV (mT) 0.1 1.7 4.0 0.5 2.0 4.0

縦磁場復帰磁束密度 BrpV (mT) -4.0 -1.7 -0.1 -4.0 -2.0 -0.5

横磁場動作磁束密度 BopH (mT) 0.1 1.7 4.0 0.5 2.0 4.0

横磁場復帰磁束密度 BrpH (mT) -4.0 -1.7 -0.1 -4.0 -2.0 -0.5

図 23:磁石の選び方(必要な磁束密度の大きさ)

回転角度

磁束密度

横磁場の+Bmax縦磁場の+Bmax

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縦磁場と横磁場の大きさの関係

(1) 縦磁場・横磁場の波形は同じである必要はない

磁石から印加される縦磁場と横磁場のピークの大きさは、ほとんどの場合、一致しません。また、縦磁場と横磁

場の磁場波形は、特に磁石の極近傍では、正弦波状から大きくかけ離れた形状になることがあります。

ですが、1 チップパルスエンコーダ IC を使用する上で、縦磁場と横磁場のピーク大きさは一致している必要はな

く、また、磁場波形についても必ずしも綺麗な正弦波状である必要はありません。

図 24 に示すような、厚み方向に 8 極に磁化された外径 Φ18mm, 内径 13mm, 厚み 2.0mm のフェライト磁石

(以下、磁石 A と呼びます)の周辺の縦・横磁場磁束密度の回転角度に対する変化を、図 25 に示します。縦磁

場磁束密度の|Bmax|は約 80mT であるのに対し、横磁場磁束密度の|Bmax|は約 100mT と、1.3 倍程度の差

があります。ところで、1 チップパルスエンコーダ IC の動作磁束密度 Bop(を超えると、出力 High→Low)は 4.0

(Max)、復帰磁束密度 Brp(を下回ると、出力 Low→High)は-4.0mT(Max)です。つまり、動作点はゼロ磁界

の近傍であって、動作点から離れた磁束密度の最大値|Bmax|は出力信号に関係はありません。同様に、動作

点から離れた範囲での波形の形状も、出力には関係ありません。

図 25:磁石 A の縦磁場・横磁場の磁場波形

(R=7.75mm, gap=0.5mm で測定)

120100

80604020

0-20-40-60-80

-100-120

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 320 340 360

縦磁場(緑)横磁場(青)

磁束

密度

(mT)

回転角度 (°)

4.0mT

-4.0mT

図 24:磁石 A のサイズと着磁方向

Φ18 mm

Φ13 mm

2 mm

着磁方向

8 極面着磁

フェライト

観測点

gap=0.5 mm

r=7.75mm

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(2) 磁石からの距離、形状、着磁ピッチが変わると、縦磁場と横磁場はどう変わるか ここでは、磁石からの距離や形状、着磁ピッチなどで、縦磁場と横磁場の大きさや波形がどう変化するかについ

て説明します。

図 24 に示す、磁石 A の表面からの距離(gap)が 0.5mm の場所では、横磁場の振幅の方が縦磁場の振幅より

も大きくなります。gap を大きくしていくと、図 26 に示すように、gap=2.0mm では縦磁場の方が横磁場より大き

くなります。また、磁場波形は磁石表面から離れる程、正弦波状に近付くことがわかります。図 27, 図 28 に示

すのは、サイズ・着磁方向・磁石材料は磁石 A と同じで、極数が 16 極の磁石 B の場合の、gap と縦磁場・横磁

場磁束密度の関係です。8 極でも 16 極でも、縦磁場と横磁場の関係は、同じ傾向で変化しています。

図 26:磁石 A の表面からの距離(gap)と縦磁場・横磁場磁束密度の関係

図 28:磁石 B(16 極)の表面からの距離(gap)と縦磁場・横磁場磁束密度の関係

≪ gap=1.0mm ≫ ≪ gap=2.0mm ≫ ≪ gap=3.0mm ≫

図 27:磁石 B サイズと着磁方向

Φ18 mm

Φ13 mm

2 mm

着磁方向

16 極面着磁

観測点

gap=0.5~3.0 mm

r=7.75mm

≪ gap=0.5mm ≫ ≪ gap=2.0mm ≫ ≪ gap=3.0mm ≫

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次に、図 29, 図 31 に示すような着磁方向や形状の異なる 2 種類の磁石 C,D の場合で、縦磁場と横磁場につ

いて説明します。図 30, 図 32 に示すように、磁石 C,D の場合でも、縦磁場と横磁場磁束密度は磁石表面の

極近傍では横磁場の方が大きく、磁石表面から離れると縦磁場磁束密度の方が大きくなります。

図 30:磁石 C の表面からの距離(gap)と縦磁場・横磁場磁束密度の関係

図 32:磁石 D の表面からの距離(gap)と縦磁場・横磁場磁束密度の関係

≪ gap=0.5mm ≫ ≪ gap=1.5mm ≫ ≪ gap=3.0mm ≫

≪ gap=0.5mm ≫ ≪ gap=1.5mm ≫ ≪ gap=3.0mm ≫

Φ18 mm

Φ13 mm

着磁方向

8 極径方向着磁

フェライト

観測点

gap=0.5~3 mm

着磁方向

2 mm

15 mm

5 5

Φ7.5 mm

Φ2 mm

着磁方向

6極径方向着磁ネオジム

観測点

gap=0.5~3.0 mm7.5mm

図 29:磁石 C のサイズと着磁方向

図 31:磁石 D のサイズの着磁方向

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磁石設計の注意点 磁場波形が正弦波状でなくとも、Bop 以上または Brp 以下の磁場波形はどうであれ問題にはならない事は、先

に説明しました。ただ、磁石によっては、極端に異常な磁場波形になる場合があり、この場合でもセンサは正しく

応答しますが、結果として誤った回転検出をすることがあります。ここでは、その一例をご紹介します。

(( ピッチ幅が大きく、薄い片面着磁磁石の場合 )) ピッチ幅が大きく、且つ、薄い磁石で着磁が片面のみの磁石

では、着磁の際に、着磁面の裏面に、着磁された磁極と反対

の磁極が生じることがあるようです。特に磁石表面から近い距

離では、この影響を受けて、磁場波形が大きく歪む場合があ

ります。

図 33 に示す磁石 E の磁場波形を図 34 に示します。磁極の

ちょうど中央で(図 34 で黄色で囲んだ箇所)、縦磁場磁束密

度の波形はピークが裏返ったような形状をしています。横磁

場磁束密度の波形も正弦波状からは程遠く、印加される横磁

場の向きが入れ替わるポイントで 3 回ゼロクロスし、Bop, Brp

を超えています。

そのため、横磁場検知出力には余分なパルスが生じます。ただし、磁石表面から離れた場所では、磁場波形は

図 35 のように縦磁場・横磁場磁束密度共に、正弦波状に近づきます。従ってこのような異常な磁場波形を示す

ように着磁された磁石を使わざるを得ない場合は、磁石表面から離れた場所にセンサを置くことで問題を回避で

きることもあります。

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

回転角度 (°)

140

120

100

80

60

40

20

0

磁束

密度

(mT)

-20

-40

-60

-80

-100

-120

-1400 20 40 60 80 100 120 140 160 180

回転角度 (°)

140

120

100

80

60

40

20

0

磁束

密度

(mT)

-20

-40

-60

-80

-100

-120

-140

縦磁場(緑)横磁場(青)

縦磁場(緑)横磁場(青)

Gap=0.5mm Gap=1.5mm

4.0mT

-4.0mT

4.0mT

-4.0mT

Φ29 mm

Φ19 mm1.5 mm

着磁方向

8極面着磁

図39:磁場波形が歪みやすい磁石E図 33:磁場波形が歪みやすい磁石 E

図 35:磁石 E が回転した場合の 縦・横磁場磁束密度の変化 (Gap=0.5mm)

図 34:磁石 E が回転した場合の 縦・横磁場磁束密度の変化 (Gap=1.5mm)

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9. 出力信号の動作タイミング

電源投入から IC が駆動するまで 1 チップパルスエンコーダ IC は、電源電圧が仕様に定められた動作電源電圧の最小規定値、すなわち AK8775

/AK8776 の場合は電源電圧が 1.6V、AK8777B/AK8778B の場合は電源電圧が 4.0V、AK8779A/

AK8779B は電源電圧が 3.8V を超えてから、仕様に定められた動作となります。

出力信号の更新タイミング AK8775/AK8776 は最大 2.0ms 周期で間欠駆動しており、消費電流が High の区間で磁場のサンプリングと

信号処理を行い、Low に遷移するタイミングで出力信号を更新します。AK8777B/AK8778B/AK8779A/

AK8779B は、サンプリング・信号処理を連続的に行いますが、出力の更新は AK8777B/AK8778B で最大

30.5μs 周期、AK8779A/AK8779B で最大 16.7μs 周期で行われます。尚、実際に出力が変化するのは、印加

される磁束密度が動作磁束密度 Bop を超えている場合、あるいは復帰磁束密度 Brp を下回っている場合、

AK8775/AK8776 ではサンプリング・信号処理が終了してからの約 6.1μs後、AK8777B/AK8778B では約6μs

※後、そして AK8779A/AK8779B では約 4μs 後です。

図 36:磁場サンプリング周期と出力変化のタイミング

※プルアップ抵抗値 10kΩ、負荷容量 20pF において出力電圧が電源電圧の 50%になるまでの時間

AK8775/AK8776:Max.2.0ms

AK8777B/AK8778B:Max.30.5μs

AK8779A/AK8779B:Max.16.7μs

磁場サンプリング周期

縦磁場磁束密度

横磁場磁束密度

BopV

BrpV

BopH

BrpH

OUTA信号(縦磁場検知)

OUTB信号(横磁場検知)

Delay time Delay time

Delay time Delay time

0

0

0

0 t

t

t

t

t

磁場サンプリング周期

磁束密度Bop

Brp0

出力信号

磁場サンプリング周期

磁束密度Bop

Brp0

出力信号

t

t

t

t

t

t

AK8775/AK8776:6.1μs(Typ.) AK8777B/AK8778B:6μs(Typ.) AK8779A/AK8779B:4μs(Typ.)

AK8775/AK8776:6.1μs(Typ.) AK8777B/AK8778B:6μs(Typ.) AK8779A/AK8779B:4μs(Typ.)

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AK8776/AK8778B/AK8779A の回転方向信号(出力 D)の変化タイミングについて 回転方向信号 D は内部信号 A, B の出力の変化の順序を参照して生成される為に、回転方向信号は内部信号

A と B が共に磁場検知動作後確定した後、内部信号 A か B のどちらか一方が変化した時に、初めて確定されま

す。

図 37:電源投入後の内部信号 A/B と出力 F/D のタイミングチャート

横磁場磁束密度

縦磁場磁束密度

内部信号A(縦磁場検出)

内部信号B(横磁場検出)

出力信号F(パルス)

出力信号D(回転方向)

0

0

電源電圧VDD

駆動開始

磁石回転開始

印加磁束密度≧BopV

印加磁束密度≧BopH

BopH

BrpH

BopV

BrpV

←各ICの動作電源電圧の下限規定値

斜線部は不定区間(High or Low)

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10. 端子説明

表 10:AK8775 の各端子の名称とその端子機能

端子番号 端子名称 端子機能説明 記事 端子配置

1 VDD 電源端子

2 OUTA 出力端子(縦磁場検知出力) CMOS 出力

3 OUTB 出力端子(横磁場検知出力) CMOS 出力

4 VSS グラウンド端子

表 11:AK8776 の各端子の名称とその端子機能

端子番号 端子名称 端子機能説明 記事 端子配置

1 VDD 電源端子

2 F 出力端子(パルス) CMOS 出力

3 D 出力端子(回転方向) CMOS 出力

4 VSS グラウンド端子

表 12:AK8777B の各端子の名称とその端子機能

端子番号 端子名称 端子機能説明 記事 端子配置

1 VDD 電源端子

2 TAB (TAB ピン) ※

3 OUTA 出力端子(縦磁場検知出)力) オープンドレイン出力

4 OUTB 出力端子(横磁場検知出)力) オープンドレイン出力

5 TAB (TAB ピン) ※

6 VSS グラウンド端子

5:TAB 4:OUTB6:VSS

2:TAB 3:OUTA1:VDD

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表 13:AK8778B の各端子の名称とその端子機能

端子番号 端子名称 端子機能説明 記事 端子配置

1 VDD 電源端子

2 TAB (TAB ピン) ※

3 F 出力端子(パルス) オープンドレイン出力

4 D 出力端子(回転方向) オープンドレイン出力

5 TAB (TAB ピン) ※

6 VSS グランド端子

表 14:AK8779A の各端子の名称とその端子機能

端子番号 端子名称 端子機能説明 記事 端子配置

1 F 出力端子(パルス) オープンドレイン出力

2 TAB (TAB ピン) ※

3 D 出力端子(回転方向) オープンドレイン出力

4 VDD 電源端子

5 TAB (TAB ピン) ※

6 VSS グランド端子

表 15:AK8779B の各端子の名称とその端子機能

端子番号 端子名称 端子機能説明 記事 端子配置

1 OUTB 出力端子(横磁場検知出力) オープンドレイン出力

2 TAB (TAB ピン) ※

3 OUTA 出力端子(縦磁場検知出力) オープンドレイン出力

4 VDD 電源端子

5 TAB (TAB ピン) ※

6 VSS グランド端子

※TAB ピンは VSS に接続してください。

※TAB ピン(2,5 番ピン)は内部でリードフレームに短絡しています。

5:TAB 4:D6:VSS

2:TAB 3:F1:VDD

5:TAB 4:VDD6:VSS

2:TAB 3:D1:F

5:TAB 4:VDD6:VSS

2:TAB 3:OUTA1:OUTB

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11. パッケージと推奨ランドパターン

表 16:パッケージ外形寸法と推奨ランドパターン

AK8775/AK8776 AK8777B/AK8778B

AK8779A/AK8779B

外形寸法図 (単位: mm)

※センサ感磁部はマーキング面からの深さ

0.4mm(Typ.)に位置します。

※センサ感磁部はマーキング面からの深さ

0.71mm(Typ.)に位置します。

推奨ランド パターン

(単位: mm)

12. 推奨動作回路

表 17:推奨動作回路

AK8775/AK8776 AK8777B/AK8778B AK8779A/AK8779B

5 46

2 31

VDDGND

10kΩ10kΩ

0.1μF

0.50

1.30

0.90

1.90

0.70

0.95 0.95

1.10

2.10

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13. 標準温度特性

AK8775/AK8776 の温度特性

図 38:磁気特性の温度特性(AK8775/AK8776)

図 39:平均消費電流の温度特性(AK8775/AK8776)

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD=1.6V)

BopV

, B

rpV

[m

T]

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD=3.0V)

BopV

, B

rpV

[m

T]

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD=5.5V)

BopV

, B

rpV

[m

T]

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD=1.6V)

BopH

, B

rpH

[m

T]

BopH

BrpH

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD=3.0V)

BopH

, B

rpH

[m

T]

BopH

BrpH

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD=5.5V)

BopH

, B

rpH

[m

T]

BopH

BrpH

0

20

40

60

80

100

120

140

160

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Ambient temperature Ta [℃]

IDD vs. Ta (in various VDD)

I DD [

µA

]

0

20

40

60

80

100

120

140

160

1 2 3 4 5 6VDD [V]

IDD vs. VDD (in various Ta)

I DD [

µA

]

5.5V

3.0V

1.6V

-30℃

0℃

25℃

85℃

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AK8777B/AK8778B の温度特性

図 40:磁気特性の温度特性(AK8777B/AK8778B)

図 41:平均消費電流の温度特性(AK8777B/AK8778B)

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125

BopV

, B

rpV

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD= 4V)

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125

BopH

, B

rpH

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD= 4V)

BopH

BrpH

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125

BopV

, B

rpV

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD= 12V)

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125

BopH

, B

rpH

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD= 12V)

BopH

BrpH

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125

BopV

, B

rpV

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD= 24V)

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125

BopH

, B

rpH

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD= 24V)

BopH

BrpH

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

-50 -25 0 25 50 75 100 125

I DD

[mA

]

Ambient temperature Ta [℃]

IDD vs. Ta (in various VDD)

12V

18V

24V

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

I DD

[mA

]

VDD [V]

IDD vs. VDD (in various Ta)

-40℃

25℃50℃125℃

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AK8779A/AK8779B の温度特性

図 42:磁気特性の温度特性(AK8779A/AK8779B)

図 43:平均消費電流の温度特性(AK8779A/AK8779B)

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

BopV

, B

rpV

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD= 3.8V)

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

BopH

, B

rpH

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD= 3.8V)

BopH

BrpH

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

BopV

, B

rpV

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD= 12V)

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

BopV

, B

rpV

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopV, BrpV vs. Ta (VDD= 24V)

BopV

BrpV

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

BopH

, B

rpH

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD= 24V)

BopH

BrpH

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

BopH

, B

rpH

[m

T]

Ambient temperature Ta [℃]

BopH, BrpH vs. Ta (VDD= 12V)

BopH

BrpH

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

-50 -25 0 25 50 75 100 125 150

I DD

[mA

]

Ambient temperature Ta [℃]

IDD vs. Ta (in various VDD)

3.8V

12V

24V

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

I DD

[mA

]

VDD [V]IDD vs. VDD (in various Ta)

−40℃

25℃

50℃

150℃

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14. 使い方に関するよくあるご質問

・パルス駆動の OFF の間に動作磁束密度を超えた場合、出力信号はどうなるか?

⇒パルス駆動するのは AK8775/AK8776 のみです。パルス駆動の OFF の間は、出力信号は変化しません。

ON している区間で、印加されている磁束密度が動作磁束密度を超えている事を認識し、AK8775/AK8776 の

場合、消費電流のパルスの立下り後、約 6.1μs 後に出力信号が変化します。

※プルアップ抵抗値 10kΩ、負荷容量 20pF において、出力電圧が VDD の 50%になるまでの時間

・パルス/回転方向信号出力タイプのパルス信号と、A/B 相出力タイプの出力信号は何が違うのか?

⇒AK8776/AK8778B/AK8779A のパルス信号(F)は、A/B 相出力の排他的論理和(XOR)から生成されてお

り、A/B 相の倍のパルスで変化します。 AK8775/AK8777B/AK8779B が出力する縦磁場検知出力(OUTA)

や横磁場検知出力(OUTB)は 2 磁極(N 極と S 極の 1 ペア)の変化で 1 パルスの信号を出力するのに対して、

パルス信号(F)は 1 磁極の変化で 1 パルスの信号を出力します。したがって、パルス信号を用いれば、より高精

度に回転量を検出することができます。

・パルス/回転方向信号出力タイプで、パルス信号のみを使用する場合、回転方向出力端子はどうすればよい

か?

⇒使用しない出力端子はオープンまたはプルアップ/プルダウンとしてください。直接電源またはグラウンド電

位に接続すると、デバイスを破損することがあります。

・Bop と Brp の間で磁束密度が変化する場合は、信号はどうなるか?

⇒出力信号は変化しません。印加される磁束密度が変わっても、Bop あるいは Brp を超えない限り、出力信号

は変わりません。

・より微小な回転量を検出したい場合はどうすればよいか?

⇒磁石の着磁ピッチを小さくすれば、微小な回転量を検出する事ができます。ただし、着磁ピッチを小さくすると、

印加される磁束密度が小さくなります。必要な磁束密度が足りない場合は、磁石の材料を変更する、磁石の厚

みを厚くする、磁石表面からセンサまでの距離を狭くするなどすれば、着磁ピッチが小さくでも、センサに印加さ

れる磁束密度を大きくする事ができます。

・使用する磁石の着磁ピッチが IC パッケージより小さい場合や大きい場合、正常に動作するか?

⇒着磁ピッチの幅に依らず、縦磁場と横磁場のゼロクロスは 90°位相差で変化します。磁石から印加される磁束

密度が動作に必要な大きさを超えていれば、1 チップパルスエンコーダ IC は正常に回転量、回転方向を検出し

ます。

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・磁場シミュレーションを行う際に必要となる条件は?

⇒磁石からの磁束密度を計算する場合に、必要となる条件は下記の通りです、

① 磁石の特性(寸法、残留磁束密度、保持力、温度係数)

② 磁石とセンサの位置関係

③ 磁石とセンサの周辺に影響を受けそうな磁性体の有無

・どの位の高速回転まで追従するか?何 rpm まで追従するのか?

⇒表 6, 表 7 では、検出できる被検出体の回転速度を最大応答周波数という形で表記しました。被検出体の回

転速度で単純に表記できないのは、使用する磁石の極数によって入力磁場周波数が変わるためです。磁石の

極数を M(=2,4,6,8,…)とすると、表 18 のように、1 チップパルスエンコーダ IC の最大追従性を rpm 表記で表

す事ができます。

表 18:ワンチップエンコーダ IC の最大追従性(rpm)

AK8775・AK8776 AK8777B・AK8778B AK8779A・AK8779B

最大追従性 7500 / M 490000 / M 890000/ M

※表中の最大追従性は、印加磁場の最大値が磁気特性 Bop, Brp に対し十分に大きい場合(15 ページ参照)

・AK8777B/AK8778B で出力更新周期時間を決めている回路ブロックはどこか?

⇒出力更新周期は内部の Clock 周波数に依存します。図 11 の回路ブロックでは、OSC 部になります。

・縦磁場と横磁場の 2 方向の磁場成分を持つ磁石は、どのように着磁すればいいか?

⇒着磁方向は径方向あるいは面着磁など、いずれか 1 方向で構いません。普通に交番着磁を施せば、縦・横双

方の磁場を発生する磁石となります。径方向に着磁された磁石を例に考えます。図 44 のように、磁力線は隣合

う磁石の N 極から出て、S 極へ入ります。N 極から出て S 極に向かう際に、磁力線は曲げられます。つまり、着

磁方向が径方向の 1 方向でも、磁力線が曲がって着磁方向と垂直な成分(周方向)を自然と持ちます。尚、径方

向と周方向のどちらが縦磁場・横磁場になるかは、IC の配置に依ります。図 44 で、径方向着磁の磁石に対し

て、配置 A のように IC を置いた場合は径方向の磁場(実線)が横磁場で、周方向(破線)が縦磁場となり、配置 B

のように IC を置いた場合は周方向が横磁場、径方向が縦磁場となります。

図 44:径方向着磁磁石の持つ、径方向磁場成分と周方向磁場成分 図 45:IC 配置と縦・横磁場

実線:着磁方向(径方向)

破線:自然と生じる周方向の磁場成分

配置 A

配置 B

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・印加磁束密度が最大 500mT 程度になるが、壊れないか?

⇒壊れることはありません。印加前後で磁気特性(Bop,Brp 値)が、ごくわずかにずれる事があったとしても、印

加される磁界はN極、S極と交互に印加されるため、前の磁界の影響を加味しても出力信号が変わらないという

事はなく、正常に動作します。

・印加磁束密度が 1000mT 超えるが、検出に問題は起きないか?

⇒図 46 のように、ホール素子の出力電圧は印加磁束密度の大きさに比例して変化します。非常に強い磁界を

印加し出力電圧がある閾値を上回ると、ホール素子の出力を増幅するゲインアンプの出力は飽和領域に達しま

す。 ただし、1 チップパルスエンコーダ IC の場合、ゲインアンプの出力そのまま出力している訳ではなく、大きす

ぎる磁束密度が印加されても、交番磁界の検出に問題は起きません。1 チップパルスエンコーダ IC 内部のゲイ

ンアンプの出力電圧が、ある閾値 Vout(Bop)を超える磁束密度が印加されると、それ以上に大きな磁界を印加

しても、出力信号は Low のまま変化しません。仮に、印加磁束密度が非常に大きく、ゲインアンプの出力電圧が

飽和領域に達していたとしても、出力信号は変化なく Low のままで、その状態に Brp を十分に下回る磁束密度

が印加されれば出力信号は High に変化します。

図 46:印加磁束密度に対する IC 内部の現アンプの出力電圧と 1 チップパルスエンコーダ IC の出力信号

0印加磁束密度B

出力

BopBrp S極N極

0 印加磁束密度B

ゲインアンプの出力

BopBrpS極N極

Vout (Bop)

Vout (Brp)

飽和領域

飽和領域

B≧Bopでは飽和領域に依らず出力はLowのままBrp≦Bでは飽和領域に依らず

出力はHigh

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15. 重要な注意事項

0. 本書に記載された弊社製品(以下、「本製品」といいます。)、および、本製品の仕様につきましては、

本製品改善のために予告なく変更することがあります。従いまして、ご使用を検討の際には、本書に

掲載した情報が最新のものであることを弊社営業担当、あるいは弊社特約店営業担当にご確認くだ

さい。

1. 本書に記載された情報は、本製品の動作例、応用例を説明するものであり、その使用に際して弊社

および第三者の知的財産権その他の権利に対する保証または実施権の許諾を行うものではありま

せん。お客様の機器設計において当該情報を使用される場合は、お客様の責任において行って頂く

とともに、当該情報の使用に起因してお客様または第三者に生じた損害に対し、弊社はその責任を

負うものではありません。

2.本製品は、医療機器、航空宇宙用機器、輸送機器、交通信号機器、燃焼機器、原子力制御用機器、

各種安全装置など、その装置・機器の故障や動作不良が、直接または間接を問わず、生命、身体、

財産等へ重大な損害を及ぼすことが通常予想されるような極めて高い信頼性を要求される用途に

使用されることを意図しておらず、保証もされていません。そのため、別途弊社より書面で許諾され

た場合を除き、これらの用途に本製品を使用しないでください。万が一、これらの用途に本製品を使

用された場合、弊社は、当該使用から生ずる損害等の責任を一切負うものではありません。

3. 弊社は品質、信頼性の向上に努めておりますが、電子製品は一般に誤作動または故障する場合が

あります。本製品をご使用頂く場合は、本製品の誤作動や故障により、生命、身体、財産等が侵害

されることのないよう、お客様の責任において、本製品を搭載されるお客様の製品に必要な安全設

計を行うことをお願いします。

4. 本製品および本書記載の技術情報を、大量破壊兵器の開発等の目的、軍事利用の目的、あるいは

その他軍事用途の目的で使用しないでください。本製品および本書記載の技術情報を輸出または

非居住者に提供する場合は、「外国為替および外国貿易法」その他の適用ある輸出関連法令を遵

守し、必要な手続を行ってください。本製品および本書記載の技術情報を国内外の法令および規則

により製造、使用、販売を禁止されている機器・システムに使用しないでください。

5. 本製品の環境適合性等の詳細につきましては、製品個別に必ず弊社営業担当までお問合せくださ

い。本製品のご使用に際しては、特定の物質の含有・使用を規制する RoHS 指令等、適用される環

境関連法令を十分調査のうえ、かかる法令に適合するようにご使用ください。お客様がかかる法令

を遵守しないことにより生じた損害に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。

6. お客様の転売等によりこの注意事項に反して本製品が使用され、その使用から損害等が生じた場

合はお客様にて当該損害をご負担または補償して頂きますのでご了承ください。

7. 本書の全部または一部を、弊社の事前の書面による承諾なしに、転載または複製することを禁じま

す。