金融の規制強化・制度改革 ~アメリカ~
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2010年 6月 25日09BA390L 山村美帆
今回の金融危機を受けて、これまでの過度な規制緩和により金融が暴走し、リスクの適切な管理を怠ってきたことが直接的要因であるとして、規制強化を求める声が高まっていた。
2009年 8月 11日、オバマ政権は大恐慌以来 70年ぶりと言われる金融規制改革法案を議会に提出し、金融危機を教訓として行き過ぎた規制緩和の流れに終止符を打つ方針を明らかにした。
これまでの業態別に規制当局の分かれた米国の規制システムはシステミックリスクの認識、対処の点で十分でない。
今回の改革は、金融システムの安定性を脅かす恐れのある金融機関について一括して監督、規制しようとい
う考えのもと行われた。
○銀行だけでなく証券会社や保険会社もFRBの監督下に置く。○大規模投資銀行の監督権限を米証券取引委員会(SEC)からFRBに移管する。○大規模で、他の金融機関との相互関係が密接である金融機関の監督権限をFRBに集約することを目的とし、こうした金融機関の財務悪化が米国や世界全体の経済の安定性にとって脅威となる場合、FRBが当該金融会社を「ティア1金融持株会社」に指定し、FRBに一元的に監督権限を担わせる。
ティア1の判断基準・資産や負債の規模及び性質・他の主要金融機関との取引 および関係性
FRB権限拡大に関して、中央銀行であり、本来金融政策を扱うFRBが金融危機に対し適切に金融機関に対して強制力を発揮できるのかという疑問から批判の声も上がっている。
○金融システムの安定を脅かす要因を発見することを責務とする省庁横断型の機関。○FSOCを構成する当局及び、金融機関からも直接情報を入手する権限を持つ。○FRBがティア1金融持株会社に指定することに関して勧告を行うことができる。
FDICに対し今までの預金取扱機関の破綻に対応する機能と概ね同等の機能がノンバンクに対しても与えられる。
経営危機に陥った問題金融会社に対し、FDICが融資や資産・負債等の買い取りを行うことができる。
破綻した場合に金融システムを脅かすような金融機関に秩序ある破綻処理の枠組みを整備することを目的とし、今までセーフティネットの枠組みのなかったノンバンクや、ティア1などの破綻処理権限を FDIC(連邦預金保険公
社)に付与する。
格付機関規制
格付け機関は NRSRO(全国的に認知されている統計的格付機関)として SEC(証券取引委員会)に強制的に登録することを義務づける。
SECは NRSROに対し・・・内部統制、デューデリジェンス、格付け決定の手続きについての評価を行う。・格付けに利用するデータ、格付けのモニタリング の頻度などの情報開示を規定
証券化に関する規制
○ABS(資産担保証券)の証券化プロセスに関わる証券化業者に対し、第 3者に移転した資産に係る信用リスクの少なくとも5%を保有することを義務付ける。○ABSの発行者に対する情報開示を強化し、開示情報には少なくとも投資家が独自に適切な投資であるか調査を行えるよう、 ABSの裏付けとなる資産レベルのデータが含まれることになる。○ABSの品質に欠陥があれば投資家から買い戻しを求められるようにする。
証券化のプロセスに関わった機関に対して責任を負わせることで、危険性の高い証券化商品を無責任に発行するといった行動
を防ぐ。
金融消費者保護庁( CFPA)の設置 クレジットカードや住宅ローンなど消費者向け金融商品、サービスを規制する新たな機関。
消費者が、消費者向けの金融商品、サービスを判断するための情報を有しそれを理解すること、不正行為から消費者を守ることなどを目的とする。
○消費者保護関連の規則制定権
○商品設計への介入
○消費者向け金融商品サービスを扱う業者への健全性の調査、業務停止命令や罰金などを課せる
デリバティブ取引の市場の不透明さが危機を増幅させたという認識から
店頭デリバティブに対して標準化を求める
+全ての標準課されたデリバティブは中央清算機関で清算、取引
所で取引を行うこととする
証券取引委員会( SEC)と商品先物取引委員会( CFTC)に、取引所や清算機関に対し、店頭デリバティブ取引の記録と報告を義務付け
る権限を付与
中央決済機関で清算されていない取引についても、取引管理機関への報告を義務付ける
役員報酬規制の導入について
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