151108 ポートフォリオ さくら中核研修会

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Education

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Orangutan-Sepilok Rehabilitation Centre-Borneo

By Marco Abis

Koala

By Mario Granberri

JFスタンダードにおける

ポートフォリオの役割

シドニーとクアラルンプールでの実践を通して

黒田朋斎 ブカレスト大学

国際交流基金日本語専門家

本学日本語科でのポートフォリオ活用に向けて

シドニーとKLとの比較

KL日本文化センターでの実践

シドニー日本文化センターでの実践

JFSの理念とJFSにおけるポートフォリオの位置付け

本学日本語科でのポートフォリオ活用に向けて

シドニーとKLとの比較

KL日本文化センターでの実践

シドニー日本文化センターでの実践

JFSの理念とJFSにおけるポートフォリオの位置付け

国際交流基金の

日本語教育の理念

国際交流を通した

相互理解の実現

コミュニケーションの

ための日本語力

文化理解

日本語を使って何ができるか

=課題遂行能力

日本文化、自文化にとどまらないあらゆる文化への理解

JFスタンダード(JFS)は

「相互理解のための日本語」を理念とした日本語教育のためのツール

国際交流基金(2013)

JFSにおける

ポートフォリオの位置付け

JFSにおける

ポートフォリオの位置付け

学習成果・過程を

評価するためのツール

JFSにおける

ポートフォリオの位置付け

日本語の熟達度を評価する。 自分の言語的・文化的体験を記録する。

ポートフォリオの効果

ポートフォリオの効果

教師と学習者が学習目標と学習の過程を共有できる。

ポートフォリオの効果

教師と学習者が学習目標と学習の過程を共有できる。

自律的学習能力、

学習の動機づけを

高めることができる。

ポートフォリオの効果

学習者が教室内外で学んださまざまな知識・技能の学習成果の評価を行うことができる。

ポートフォリオの効果

学習者が他の教育機関に移動したときにこれまでの学習成果を正確に伝えられる。

JFSが考える

ポートフォリオの構成

1. 評価表

2. 言語的・文化的体験の記録

3. 学習の成果

1. 評価表

① 自己評価チェックリスト

② 各学習活動の評価基準や評価シート

2. 言語的・文化的体験の

記録

① 言語的・文化的体験と 学び

② 学習計画と振り返り

3. 学習の成果

• 作文・スピーチの原稿

• スピーチの音声資料 • テスト・プロジェクトの成果物

国際交流基金での

ポートフォリオの活用

日本語国際センター (日本語教師)

関西国際センター

(日本語学習者)

海外拠点の『まるごと』講座

国際交流基金での

ポートフォリオの活用

日本語国際センター (日本語教師)

関西国際センター

(日本語学習者)

海外拠点の『まるごと』講座

『まるごと』

JFSに基づいたコースブック

http://marugotonihongo.jp/introduction/

JFシドニーセンターでのポートフォリオの実践

Koala

By Mario Granberri

JFシドニーセンターでのポートフォリオの実践

教室内の学習と

教室外の学習をつなげる

• ポートフォリオは 成績のための評価対象外

ポートフォリオの目的

学習者の自律的な学習と

学習の自己管理を

促進するため。

ポートフォリオの構成物

1. 評価表

2. 言語的・文化的体験の記録

3. 学習の成果

2013年度の構成物

松井・西山(2015)より

中間週と最終週

20分程度の振り返り

記録シートの内容の共有

• 言語体験・文化体験

• 学習のためのリソース

2013年度の問題点

教室外の体験を継続的に記録するが難しい。

体験内容の偏り

和食

文字習得のためのアプリ

振り返り時の発言の減少

原因と考えられること

• 構成物の書式が多い

→受講生にとって負担

• 書式に制限がない

→何を書いたらいいかわからないので、教室活動につながらない。

2014年度の改善点

① 構成物の数を最小限に減らし、内容をシンプルに

② 構成物と学習項目に関連性を持たせる。→具体的・明確に指示

③ 教室活動と評価活動を連携させたコースデザイン

松井・西山(2015)より

松井・西山(2015)より

松井・西山(2015)より

松井・西山(2015)より

松井・西山(2015)より

Can-do チェックリスト

• コース各授業の学習目標をA4用紙1枚に。

• 学期開始時に全体を概観 • 授業開始時にその日の目標を確認

• 授業終了後に自己評価

• 学期末に自己評価

松井・西山(2015)より

学習の計画と振り返りシート

学習の計画

開始時のオリエンテーションで

受講生自身の目標を立てる

コースの学習目標から3つ

自分に合わせた目標

学習の計画と振り返りのシート

振り返り

学期末の振り返りの時間に書く

目標の達成度とその要因

日本語の熟達度と自己評価

次の目標

松井・西山(2015)より

日本語と日本文化体験の

記録シート

• トピックごとに記入 • 『まるごと』活動編との関連付け

• 課題の提出の管理

• 各自の体験を記録

• 自己目標との関連付け

松井・西山(2015)より

松井・西山(2015)より

タスクシート

『まるごと』活動編

「生活と文化」

に関連させたワークシート

知る→関心を持つ→行動する

過程を体験

タスクシート

1. 授業内容の理解確認タスク

2. 応用タスク • 自分の関心や学習環境に応じたタスク

• ウェブコンテンツや動画に関連付けたタスク

http://a1.marugotoweb.jp/can-do.php?cd=5#/renshu

https://www.erin.ne.jp/jp/lesson02/basic/index.html

• 2週間に1度

• 提出はそれぞれのペースで

記録シートで提出を自己管理

• ポートフォリオに入れる

• 教師からのフィードバック

評価活動

• 学期開始時

コースの目標の確認

自己目標の設定

• 学期中

Can-doチェックリスト(毎回)

小テスト(隔週)

評価活動

• 中間

振り返り

言語的・文化的体験の共有

評価活動

評価活動

• 学期末

口頭テスト/筆記テスト

Can-doチェック自己評価

学習の振り返り

来学期の目標設定

言語的・文化的体験の共有

成果

• 自己評価の習慣化

• 教室外の自律学習の促進

• 学習成果の管理

• 評価の機会の増加 • 教室外の学習活動・学習環境の可視化

JFクアラルンプールセンターでの

ポートフォリオの実践

Orangutan-Sepilok Rehabilitation Centre-Borneo

By Marco Abis

JFクアラルンプールセンターでの

ポートフォリオの実践

形式化された

ポートフォリオから

自分らしい自由な

ポートフォリオへ

• ポートフォリオは成績の評価対象

ポートフォリオの目的

「自律的」学習のツール

ポートフォリオの目的

「自律的」学習のツール

「自律的」とは? 学習者が自分の興味や関心から出発して自分の目標と方法で自分らしく学ぶこと

ポートフォリオの構成物 (2012,13年度)

• 評価シート

• 記録シート・成果物

• 振り返りシート

• ルーブリック最終評価

修了要件:ルーブリックでのポートフォリオの最終評価+試験の得点が60%以上

受講生のポートフォリオへの評価

「意味があった」

「とても意味があった」

80%以上

受講生のポートフォリオへの評価

• 時間がかかり負担が大きい

受講生のポートフォリオへの評価

• 時間がかかり負担が大きい

• 日本語学習の役に立たない

受講生のポートフォリオへの評価

• 時間がかかり負担が大きい

• 日本語学習の役に立たない

• 学習スタイルに合わない

2014年度から

形式:指定なし

内容:既定のシートなし

教室内外の「活動記録」を好きなスタイルで作る

日付、何をしたか、気づいたこと、発見したことを必ず記録

「関連資料」を保存する

自分らしく学ぶ

2014年度から

評価

評価の時期

2014年度から

評価 ポートフォリオを振返って自己評価レポートを提出

評価の時期

2014年度から

評価 ポートフォリオを振返って自己評価レポートを提出

評価の時期

中間試験と期末試験のあと

*自己評価レポート提出が修了要件

ポートフォリオの構成物

ポートフォリオの構成物

• 授業の資料

ポートフォリオの構成物

• 授業の資料

• 学習ツール 五十音表、文型をまとめたノート、漢字カード

ポートフォリオの構成物

• 授業の資料

• 学習ツール 五十音表、文型をまとめたノート、漢字カード

• 自分で行った日本の言葉と文化の体験に関する資料

ポートフォリオの構成物

• 授業の資料

• 学習ツール 五十音表、文型をまとめたノート、漢字カード

• 自分で行った日本の言葉と文化の体験に関する資料

• 活動の記録

ポートフォリオの形式

ポートフォリオの形式

• 情報端末(タブレット・PC)に保管

ポートフォリオの形式

• 情報端末(タブレット・PC)に保管

• クラスメイトと共同で取り組んだ「プロジェクトポートフォリオ」

ポートフォリオの形式

• 情報端末(タブレット・PC)に保管

• クラスメイトと共同で取り組んだ「プロジェクトポートフォリオ」

• 写真アルバムアプリを利用

評価活動

評価活動

自己評価レポートの事前タスク

評価活動

自己評価レポートの事前タスク

振り返りセッション

評価活動

自己評価レポートの事前タスク

振り返りセッション

自己評価レポートの作成

評価活動

自己評価レポートの事前タスク

「何を」

「どのように学んだか」

「成果はどうか」 「次にやってみたいことは何か」

を考える

評価活動

自己評価レポートの事前タスク

クラスメイトとシェアしたいことをポートフォリオから選び、メモや資料を準備する。

評価活動

振り返りセッション

評価活動

振り返りセッション

事前に準備したことをクラスメイトとシェアする。

評価活動

振り返りセッション

事前に準備したことをクラスメイトとシェアする。 気づいたこと・発見したことを記入して、「自己評価レポート」を完成させる。

自己評価レポートの内容

自己評価レポートの内容

• 振り返りセッションについて

90%以上

自己評価レポートの内容

• 振り返りセッションについて

90%以上

• ポートフォリオについての明示的な記述

0%~13.3%

自己評価のために

ポートフォリオは

有効なのか?

ポートフォリオの構成物に学習ツールが出現

ポートフォリオの構成物に学習ツールが出現

自律学習のための

学習ツールとして

活用できる?

Orangutan-Sepilok Rehabilitation Centre-Borneo

By Marco Abis

Koala

By Mario Granberri

シドニーでの実践と

KLでの実践の比較

• 教室外学習の促進効果

=自律学習につなげる

• ポートフォリオ作成に対する学習者の負担軽減

• シェアの重要性

• 教室外学習の促進効果 =自律学習につなげる

• ポートフォリオ作成に対する学習者の負担軽減

• シェアの重要性

シドニー

教室外の学習を促すため、記録シートのフォームを工夫 • 教室内の学習項目との関連付け • 課題提出の管理 頻繁かつ多様な評価活動

KL

形式と内容は自由 • 学習ツールを独自に作成、ファイルする受講生の出現

• タブレットやPC上でのポートフォリオの管理

• 写真アルバムアプリを使ったポートフォリオ

シドニー

• 教室外での学習の促進 • 自己評価の習慣化 フォームがあるおかげで、何を学べばいいか、何が学習になるのかへの気付きになっている。

KL

自分のスタイルに合った学習ツールの作成につながり、ポートフォリオがその保管場所となった。

• 教室外学習の促進効果 =自律学習につなげる

• ポートフォリオ作成に対する学習者の負担軽減

• シェアの重要性

シドニー

• 構成物を最小限にし、内容をシンプルにする。

• 具体的で明確な指示

KL 形式・内容とも受講生が自由なスタイルで作る。

• 教室外学習の促進効果 =自律学習につなげる

• ポートフォリオ作成に対する学習者の負担軽減

• シェアの重要性

シドニー

「振り返り」セッションでクラスメイトから情報や知識を得て、そこから自分自身の学習を知り、学習動機の維持につなげ、次の目標を見つけている。

KL

他の受講生の学習の過程や成果を見ることで新たな気付きや刺激が得られる。

JFシドニーの講師の印象

文化体験のスクラップブックと

しては、楽しくできているが、

学習記録の側面や学習効果と言

われると、まだまだ工夫が必要。

本学日本語科でのポートフォリオ活用に向けて

シドニーとKLとの比較

KL日本文化センターでの実践

シドニー日本文化センターでの実践

JFSの理念とJFSにおけるポートフォリオの位置付け

本学日本語科での

ポートフォリオ活用に向けて

• 学習を教室外活動につなげる カリキュラム・学習目標との関連性

他科目との関連性(文学・文化)

言語・文化体験の記録

本学日本語科での

ポートフォリオ活用に向けて

• ポートフォリオ作成への負担の軽減

• 学生間でのポートフォリオのシェア

参考文献

来嶋洋美・柴原智代・八田直美(2012)「JF 日本語教育スタンダード準拠 コースブックの開発」『国際交流基金日本語教育紀要』8 103-117

国際交流基金.

――――――――――――――(2014)「『まるごと 日本のことばと文

化』における海外の日本語教育のための試み」『国際交流基金日 本語教育紀要』10 115-129国際交流基金.

国際交流基金(2013)「1.4 ポートフォリオを理解する」『JF日本語教育スタ ンダード2010利用者ガイドブック[第二版]』22-34 国際交流基金.

西山恵子(2014)「ポートフォリオ活用実戦例―教室の内と外をつなぐタス クシートの試み―」『「JF 日本語教育スタンダード」準拠コース 事例集2014-JF 講座における実践-』149-159 国際交流基金.

松井玲子・西山恵子(2015)「成人学習者の学習を支えるポートフォリオ評 価の試み」『国際交流基金日本語教育紀要』11 127-140国際交流 基金.

丸谷しのぶ(2014)「ポートフォリオ評価のあり方を考える―ポートフォリ オに対する,(講座受講者、担当講師の認識を中心に―」『「JF 日本 語教育スタンダード」準拠コース事例集2014-JF 講座における実 践-』131-147 国際交流基金.

By jen collins

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