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ナノ粒子計測の課題と

新規ナノ粒子複合計測システム

COMS-NANO 中核モジュール開発プロジェクトサブリーダ㈱島津製作所 基盤技術研究所

西本尚弘

2015.9.2COMS-NANO活動報告セミナー

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動:1.1 ナノマテリアル計測の課題

Measurement range of nanomaterials:[EC(欧州委員会)による規制上のナノマテリアルの公式定義]

ECによる定義では、『「ナノマテリアル」とは、非結合状態、または強凝集体(アグリゲート)または弱凝集体(アグロメレート)であり、個数濃度のサイズ分布で50%以上の粒子について、一つ以上の外径が1 nmから100 nmのサイズ範囲である粒子を含む、自然の、または偶然にできた、または製造された材料(マテリアル)を意味する』とされている。

EC のナノ材料の定義

ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動:1.2 ナノ粒子計測のニーズ

ナノ材料規制対応

• ナノ材料の有害性が懸念されはじめ、規制の動きが始まっているフランス、デンマーク、ベルギーで登録制度が施行、公示されている

• ナノ材料とは、粒子径100nm以下の粒子の個数が50%以上の材料

ナノスケールでの正確な粒子径分布が必要

微細化による機能性向上

• 半導体ウェハ研磨剤(シリカ)半導体の微細化→ウェハの平滑度向上→研磨剤微細化

• UVカット化粧品等(酸化チタン)材料の微細化によるUVカット特性の向上

• 光触媒(酸化チタン)材料の微細化による表面積の拡大、性能向上

• 導電性インク(銀)金属ナノ粒子を分散させた導電性インクを印刷して電子デバイスや電子回路の配線を形成。配線高密度化→粒子微細化

ナノスケールでの計測、分析のニーズ

ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動:1.3 各国のナノ材料規制

各国のナノ材料規制(参考)

1.4 ナノ材料計測の課題

単一の計測法で、広範囲の粒子径分布に対応することは困難。複数の計測法の組み合わせで、補完・統合的に解析する。

実用上の問題 :

1.5 DLS (動的光散乱)

計算

試料: PSL,粒径70 nm と 178 nmの混合サンプル (1:1 in wt%)

粒子径分布自己相関関数

自己相関関数は単一指数減衰となる.⇒ 小径粒子 (70nm) の光散乱は、大径粒子(178nm)の光散乱に隠されてしまう.

粒径分布は単分散様を示す.⇒小径粒子の情報が失われる.

実用上の問題 :

1.6 SAXS (小角X線散乱)

Scattering dataParticle size distribution

Simulate

散乱データは単分散の性質を示すが、,大きい方の粒子のみを反映している.

粒径分布は、平均粒子径に相当する単分散プロファイルを示す。⇒混合物の中の小粒径分布を精確に導くことが困難。

試料: PSL, 20 nm と 200 nm 混合

実用上の問題:1.7 TEM (透過電子顕微鏡)

260 nm30 nm

ほとんどの小径粒子が、大径粒子に隠れ, 結果として粒径分布に誤った情報を与えてしまう。

試料: PSL,粒径30 nm と 260 nmの混合サンプル

実用上の問題:1.8 AFM(原子間力顕微鏡)

1.9 ナノ材料計測の課題

単一の計測法で、広範囲に対応できたとしても、粒径分布の精確性を確保するのは難しい。

粒子径

粒子径

粒子径

粒子比率の問題

分離能の問題

多分散系の計測における信頼性:

1.10 粒径分布計測の前に分級を行い、分画サンプルを計測する

それぞれの分画で得られた計測値を元に、元の粒径分布が再構成できる。

正しい粒径分布計測が困難Particle size

NPs Non-NPs

5 10 15 20 25

void

70 nm 178 nm

UV ab

s.

elution time (min)Flow FFF-UV フラクトグラムの例。( PSL: 70 , 178 nm混合物). それぞれの粒径に分離されている。

1.11 ナノ計測コンソの設立と活動ナノ粒子の分級計測のニーズ(COMS-NANO)

SeparationPre-fractionation

より精確に、元の粒径分布を再構成

Evaluation Evaluation Evaluation

1.12 COMS-NANOの設立

「ナノ材料の産業利用を支える計測ソリューション開発コンソーシアム」COMS-NANOConsortium for Measurement Solutions for Industrial Use of Nanomaterials

2013年6月1日に発足

産総研および分析機器メーカ5社島津製作所、日本電子、リガク、堀場製作所、

日立ハイテクノロジーズにより運営

ナノテクノロジーの進展に重要なナノ材料の評価手法・装置の開発をオールジャパン体制で推進

主な活動は

・規制に対応したナノ材料のサイズ評価手法・装置の開発とISO標準策定。

・国内の産業力強化に向けて、産業界からの要望に基づき、計測ソリューションの提供・標準化・認証に取り組む「ソリューションプラットフォーム」を構築。

COMS-NANOの取組1.13 プロジェクト: ナノ粒子計測システムの開発

●国際的な規制化を勘案して、最初の課題をナノ粒子計測システム(装置)の開発に設定分級技術を核に、個別メンバー企業の装置ポテンシャルを活かす分級を核にした計測手法の標準化に向けた新たな規格項目の提案を準備中装置間整合、国際整合を実現する標準物質の並行整備

分級装置

透過電子顕微鏡(TEM)/走査電子顕微鏡(SEM) 動的光散乱法粒子計測(DLS)

小角X線散乱法粒子計測(SAXS)原子力間顕微鏡(AFM)

Ensemble methods

Counting methods

Fractionation methods

DLS, SAXS, LD

TEM, SEM, STEM, AFM

FFF, DMA

・粒径分布のある試料の計測精度(i.e.大きな粒径試料に小さな粒径試料の散乱が消されてしまう)

・解析的手法による粒径分布評価精度と解析安定性・一次・二次粒子の判別不可、異なる材質混合の判別不可

・測定値のアンサンブル性・試料の調製・粒径分布のある試料の同一倍率での測定

・分級能・分級後の粒径分布値付け精度(粒子径換算または計測と濃度計測)・一次・二次粒子の判別不可、異なる材質混合の判別不可

1.14 分類された粒径・粒径分布計測法の個々の問題点

Ensemble methods

Counting methodsFractionation methods

・各測定法の弱点を互いに補完する:相互補完型複合計測システム

アンサンブル性の確保試料の調製

一次・二次粒子の判別

液中での二次粒子情報

解析的手法での信頼ある粒径計測

分級後の粒径分布値付け手法の提供

一次・二次粒子の判別

1.15 問題を解決するためのナノコンソーシアムの考え方

DLS, SAXS, LD

TEM, SEM, STEM, AFMFFF, DMA

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

2.1 FFF(Field Flow Fractionation)の原理

①試料導入

②リラクゼーション

Force

③分離

検出器へ

拡散

<分離セル断面>

2.2 CF3/AF4比較

dvF πη3= rdF 23 ρϖπ ∆∝

AF4(Asymmetric-Flow FFF) CF3(Centrifugal FFF)

分離モード流れ場 遠心力

分級レンジ 数nm~数μm(フローセルの使い分け)

数10nm~数10μm(同一セルで全領域)

条件パラメータ フローセル(形状、メンブレン)フロー条件(流量、バランス)

回転数メインフロー流量

装置構成 比較的簡単ポンプの組合せのみ 単純であるが、回転軸の液シールが必要

特徴

・市販装置としてはこの方式が主流・シングルナノからの分級が可能・インジェクション時のピーク拡散が抑制可能。(サンプルフォーカス機構を有する)

・同一セルで広い領域の分級が可能・条件検討が容易

2.3 CF3の分離原理 ①(Centrifugal Field Flow Fractionation)

①高速回転する円環状の流路(分離セル)に粒子を流入

オンライン検出器LD, UV, 屈折率等

送液ポンプ

遠心型FFF

試料注入装置

<分離セル>①

キャリア

<分離セル断面>

2.4 CF3の分離原理 ②(Centrifugal Field Flow Fractionation)

送液停止

② 大きな遠心力で粒子を沈降させる

Flow

遠心力

<分離セル断面>

高速回転

rdF 23 ρϖπ ∆∝

2.5 CF3の分離原理 ③(Centrifugal Field Flow Fractionation)

③小さい粒子は遠心力が小さく、拡散速度が速い。⇒中心の近くに分布。流路内の中心付近は流速が早い。⇒小さい粒子から早く流出する。

2.6 遠心型FFFの分級性能 ①

銀粒子の分析

粒子径10nm:分級が可能となった

遠心加速度/回転数2,300G/4,500rpm

遠心加速度/回転数:14,000G/11,250rpm

粒子径10nm:保持できず分級不可

10nmとそれ以下の粒子が分離できない

10nmの粒子の分級が可能になった

遠心加速度/回転数:14,000G/11,250rpm

遠心加速度/回転数:2,300G/4,500rpm

シリカ粒子の分析<粒子径20nm以上の粒子を分析>

2.7 遠心型FFFの分級性能 ②

粒子径32nm以下の分級が不十分

粒子径20nm:分級が可能となった

遠心加速度/回転数2,300G/4,500rpm

遠心加速度/回転数:14,000G/11,250rpm

粒子径20nm:保持できず分級不可

遠心加速度/回転数:14,000G/11,250rpm

遠心加速度/回転数:2,300G/4,500rpm

粒子径20nmの分級が可能

2.8 遠心型FFFの分級性能 ③

PSLの分析

粒子径60nmの分級が可能

粒子径80nm以下の分級が不十分

粒子径60nm:分級が可能となった

遠心加速度/回転数2,300G/4,500rpm

遠心加速度/回転数:13,000G/10,850rpm

粒子径80nm:保持できず分級不可

2300G/4500rpm既存装置の最大遠心加速度/最高回転数

遠心加速度/回転数:14,000G/11,250rpm

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

3.1 各測定法での粒径計測の検証

分級することで(分布が狭くなることで)の利点:計測法の選択に関わらず、ある程度計測される粒子径は同じになることを示したい。

材質3種類(PSL、シリカ、ナノ銀)、それぞれの材質について、3種類の粒子径、計9種類の試料についての比較測定を実施した。

具体的にはPSL(約50, 100, 150 nm)、シリカ(約30, 100, 300nm)、ナノ銀(約15, 50, 100 nm)の9検体を測定。分布幅は5%程度、銀の15nmのみ20%程度。

NMIJ CRM と同等の分散安定性試験を実施している粒子分散液試料を配布。(NMIJ:産総研計量標準総合センター CRM:認証標準物質)

3.2 ナノ粒子複合計測システム

分級装置(遠心型FFF)

分級サンプル

HPLC機器:送液ポンプ試料注入装置検出器フラクションコレクタ

FFF:Field Flow Fractionation(流動場分離法)

液相分級

気相分級

気相分級捕集システム

分級サンプル

透過型/走査型電子顕微鏡法(TEM/SEM)

動的光散乱法(DLS)

小角X線散乱法(SAXS)

原子間力顕微鏡法(AFM)

0

10

20

30

40

50

60

LDDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM30

60

90

120

LDDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM

120

150

180

LDDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM

① ②

分布幅の狭い試料ならば、計測法にかかわらず、不確かさの範囲内で計測粒径値は一致する。

3.3 PSL粒径測定の比較結果

AFM STEM DLS(Z) DLS(N)AFM STEM DLS(Z) DLS(N)

AFM STEM DLS(Z) DLS(N)

0

10

20

30

40

50

60

LDSAXSDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM60

90

120

150

LDSAXSDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM

270

300

330

LDSAXSDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM

① ②

3.4 シリカ粒径測定の比較結果

AFM STEM DLS(Z) DLS(N) SAXSAFM STEM DLS(Z) DLS(N) SAXS

AFM STEM DLS(Z) DLS(N) SAXS

分布幅の狭い試料ならば、計測法にかかわらず、不確かさの範囲内で計測粒径値は一致する。

0

10

20

30

LDSAXSDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM30

60

90

LDSAXSDLS(N)DLS(Z)AFM

d (n

m)

STEM

60

90

120

LDSAXSDLS(N)DLS(Z)AFM

d(n

m)

STEM

① ②

3.5 銀粒子粒径測定の比較結果

AFM STEM DLS(Z) DLS(N) SAXSAFM STEM DLS(Z) DLS(N) SAXS

AFM STEM DLS(Z) DLS(N) SAXS

分布幅の狭い試料ならば、計測法にかかわらず、不確かさの範囲内で計測粒径値は一致する。

3.6 各測定法での粒径計測の検証まとめ

• 分布の狭い試料ならば、材質や計測原理にかかわらず、不確かさの範囲内でほぼ一致する結果が得られた。

• このことは、分級を実施し、分布の狭い試料を用いることを想定すると、計測法にかかわらず類似した値を得ることができることを示唆している。

分布の広い場合はどうなるのか

粒径分布の違いで、各計測方法では、どのような違いが出るのか

対数正規分布を仮定したナノ粒子における、・光強度基準粒径分布(DLS)・体積基準粒径分布(SAXS、LD)・個数基準粒径分布(TEM、SEM、AFM)

それぞれが粒径分布の違いにより、どの程度計測値が変わるかのシミュレーション結果を示す。

分級し分布を狭くすることの必要性を示す。

シミュレーション:粒径分布の異なる粒子群における3.7 計測法に依存した平均粒径と粒径分布形状の変化

図. 対数正規分布を持つ数平均粒子径 dn=100 nm、σn :10 nmの粒子を計測した際の、各基準平均粒径ならびに粒径分布の違い。光強度基準はDLS測定、体積基準はSAXSならびにLD測定、個数基準はTEM、SEM、AFMの測定結果に該当する。

3.8 粒径分布が狭い粒子

各基準平均粒径・粒径分布の違い(シミュレーション)

図. 対数正規分布を持つ数平均粒子径 dn=100 nm、σn :20 nmの粒子を計測した際の、各基準平均粒径ならびに粒径分布の違い。光強度基準はDLS測定、体積基準はSAXSならびにLD測定、個数基準はTEM、SEM、AFMの測定結果に該当する。

各基準平均粒径・粒径分布の違い(シミュレーション)

3.9 粒径分布がやや広い粒子

図. 対数正規分布を持つ数平均粒子径 dn=100 nm、σn :40 nmの粒子を計測した際の、各基準平均粒径ならびに粒径分布の違い。光強度基準はDLS測定、体積基準はSAXSならびにLD測定、個数基準はTEM、SEM、AFMの測定結果に該当する。

各基準平均粒径・粒径分布の違い(シミュレーション)

3.10 粒径分布が広い粒子

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

4.1 実試料の測定例

• 液中分散性の高いシリカ粒子(市販試料)– カタログ値:70~100nm

図. UV吸収検出器(λ=200 nm)によるフラクトグラム。リラクゼーション5分、10000 rpmからt1=10 min、ta= -80、ttotal= 120 min、指数4でのフラクトグラム。UVフラクトグラムにフラクション番号を記載。

4.2 CF3によるシリカ分級結果例

データファイル名:150825_silicaZLconc_FRC.lcdサンプル名:silica(ZL_5mg/mL)サンプルID:6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 min

0.0

2.5

5.0

7.5

10.0

12.5

15.0

17.5

20.0

22.5

25.0

27.5

mAU

0.00

0.25

0.50

0.75

1.00

1.25

1.50

1.75

2.00

2.25

2.50

2.75

MPa

ロータ回転数 (CF3)ポンプA圧力200nm,4nm

01 2

3 4 5 6

7

8

9

10

11

1213

1415 16 17 18

UV吸

光度

時間

シリカ分級試料 比較(倍率150k)②⇒⑭へと粒子サイズが少しずつ大きくなっている。

分級試料② 分級試料③ 分級試料④ 分級試料⑤ 分級試料⑥

分級試料⑦ 分級試料⑧ 分級試料⑨ 分級試料⑩ 分級試料⑪

分級試料⑫ 分級試料⑬ 分級試料⑭

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 150

50

100

150

200

250

300

SEM DLS

d / n

m

fraction number

★ SEM測定の個数は数10個のため、精度が低いことに注意★ 不確かさの範囲でSEMとDLS(Z平均)の結果は一致する

4.3 各分画の試料測定結果

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

4.4 実試料の測定例(分級無しで、TEM観察した例)

視野内に粒径の異なる粒子・重なっている粒子が混在しており、正確な粒径計測が困難。

カタログ値:70~100nm

4.5 分級試料の詳細

●分級前試料のDLS測定結果:自己相関関数は単一指数減衰となる.

4.6 DLSの測定結果

0 1000 2000 3000 4000 5000

-4

-2

0

3: 77 nm 4: 84 nm 5: 109 nm 6: 142 nm 7: 185 nm 8: 241 nm 9: 290 nm raw: 151 nm

LN(G

1)

τ (msec)

●分級前+分級後試料のDLS測定結果

4.7 DLSの測定結果

4.8 DLSの測定結果

4.9 DLSの測定結果

4.10 AFM測定結果

4.11 SEM観察結果

12

4.12 各種計測法による分級試料測定結果

4.13 各種計測法による分級試料測定結果

14-1

★ AFM・SEMとDLS(Z平均)の結果は一致しない(不確かさの許容範囲外)★ 凝集度の影響が考えられる → SEMで再確認した

4.14 各試料評価結果

③⇒⑨へと粒子サイズが大きくなっている(×200,000)

16

4.15 SEM評価結果

分級試料③ 分級試料④ 分級試料⑤ 分級試料⑥

分級試料⑦ 分級試料⑧ 分級試料⑨

17

4.16 SEM評価結果(分画 ③)

18

4.17 SEM評価結果(分画 ④)

19

4.18 SEM評価結果(分画 ⑤)

20

4.19 SEM評価結果(分画 ⑥)

21

4.20 SEM評価結果(分画 ⑦)

22

4.21 SEM評価結果(分画 ⑧)

23

4.22 SEM評価結果(分画 ⑨)

分級試料 No. 粒径 nm(概略) 観察(単分散、凝集など)

分画 ③ 40 ~ 60 単独分散と凝集が混在

分画 ④ 50 ~ 80 単独分散と凝集が混在

分画 ⑤ 80 ~ 100 単独分散と凝集が混在

分画 ⑥ 100 ~ 120 半分の粒子には20nmクラスの粒子が吸着している

分画 ⑦ 130 ~ 150

殆どの粒子に20nmクラスの粒子が吸着している分画 ⑧ 180 ~ 220

分画 ⑨ 220 ~ 260

15

4.23 SEM評価結果

24

4.24 実試料測定の紹介(Section 4)まとめ

• 実試料の各分画成分に関し、DLS、SEM、AFMの測定結果を比較した結果、DLS計測値と他の2種の計測法の差が見られた。

• SEM、AFMのデータ処理においては、すべての粒子を分離した粒径評価をしているため、一次粒子径分布評価をしている。一方、DLS(Z)では二次粒子径が評価されていることから、凝集試料の場合、より大きな粒子径として評価されていることが考えられた。

• SEMやAFM画像からは各分画試料中に小さな粒径の混在が観測され、SEMデータから、液中での凝集度合いが確認できた(複合計測のメリット)。

65

1. ナノ計測コンソ(COMS-NANO)の設立と活動ナノ材料計測における課題

2. ナノ粒子の分級方法~FFF(Field Flow Fractionation)法

3. 複合計測システムと粒径計測の検証

4. 実試料測定の紹介① 液中分散性の高いシリカ粒子② 液中で凝集しているシリカ粒子

5. まとめ

24

5.1 まとめ

1. 分布の狭い試料ならば、材質や計測原理にかかわらず、不確かさの範囲内でほぼ一致する結果が得られた。

2. このことは分級を実施し、分布の狭い試料では計測法にかかわらず類似した値を得ることができることを示唆しており、分級後の実計測でもこれが確認できた。

3. 分布の広い試料や凝集した試料についても、分級後測定することで、粒径分布を計測することができた。

4. DLSデータの結果と分級後のSEMを総合的に判断することで、液中で凝集している試料についても正しいデータ解釈(元サンプルの粒径分布)を得ることができ、複合計測のメリットを示すことができた。

24

5.2 今後の進め方

• 実試料の測定を重ねることで、カウンティング法の標準偏差と、アンサンブル法の値から、凝集度あるいは球形からの乖離について評価できる知見を得る。

• カウンティング法で凝集度合いを確認し、アンサンブル法で得られた全体の粒径分布を、一次粒子の情報を使って修正することも検討中。

ご清聴ありがとうございました。

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