道路交通網上でパケット配信を実現する交通量を考慮した距離ベクトルルーティング...
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道路交通網上でパケット配信を実現する交通量を考慮した距離ベクトルルーティング
2013/12/9 DPSWS 2013
○阪口紘生†1 吉廣卓哉†2 柴田直樹†1 伊藤実†1
0
†1奈良先端科学技術⼤学院⼤学†2和歌山⼤学システム工学部
研究概要• 路上にルータとなる基地局を設置し,⾞両を伝送媒体
とするネットワークにおいて動作する,交通量を考慮した距離ベクトルルーティング⼿法を提案する
2013/12/9 DPSWS 2013 1
宛先
16
宛先
16
宛先
16
⾞両からパケットを受信
⾞両からパケットを受信
関連研究(1/3)
• ジオメトリックルーティング⼿法– ノードがGPSなどから自身の位置情報を取得可能– Greedyルーティング⼿法
• 隣接ノードの位置情報を取得し,宛先ノードに最も近づくようにパケットを転送
2013/12/9 DPSWS 2013 2
関連研究(2/3)
• GPCR(Greedy Perimeter Coordinator Routing)
– ⾞⾞間通信で用いられるジオメトリックルーティング⼿法の一つ
• 建物が電波の遮蔽物になる点を考慮• 交差点にいる⾞両を優先し次ホップに選択することで道
路に沿ってパケット配送が可能
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Dに最も近い2でなく1に転送
⾞両密度が低い環境ではネットワークを構築できずパケットロスが発生
関連研究(3/3)• Carry and forward
− 近隣にパケットを転送可能なノードがなければ,転送可能なノードに遭遇するまでノードがパケットを保持
例 Vehicle-Assisted Data Delivery (VADD)
2013/12/9 DPSWS 2013 4
一様に⾞両密度が低ければパケット配送は困難宛先までのパケット到達率を保証できない
問題点
• 多くのVANETルーティングは極端な低⾞両密度の環境では使用できない– マルチホップ通信が可能なネットワークが構築で
きない– 宛先までの到達率を保証できない
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ITSの実現に向けて⾞両の密度を問わずに動作する信頼性の高い通信方式が望ましい
• 我々は路上に設置した無線基地局間で⾞両を伝送媒体とし通信を⾏う新たなネットワーク形態を提案– 主要道路の交差点を配置– ノード間をマルチホップ通信
• 距離ベクトル型ルーティング⼿法に基づく宛先までの⾞両数を最⼩化するルーティング⼿法を設計
先⾏研究[1]
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[1]阪口紘生,吉廣卓哉,柴田直樹,“道路交通網上でパケット配送を実現する距離ベクトルルーティング,”情報処理学会マルチメディア・協調・分散とモバイル DICOMO シンポジウム, pp. 2E-3, (2013).
前提条件
• 道路– 一般的な幹線道路
• 直進する⾞両が多い– 主要な交差点に一定密度で無線基地局を設置
• 必ずしも全ての交差点に設置する必要はない
• ⾞両-基地局間の通信– ⾞両-基地局間は互いに可能(最低でも数kByte)– 通信範囲が数十mから数百m
例 WiFi
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諸定義• ノード
– 路上に設置する固定基地局• 隣接
– ⾞両が他のノードを通過せず直接到可能なノード• ホップ
– ノードSからノードDに到達するまでに⾞両が通過するノードの数
• キャリー– あるノードから高確率で⾞両が
到達可能なノードの範囲
2013/12/9 DPSWS 2013 8
先⾏⼿法の概要
• 各ノードが高確率で1キャリーで到達可能なノードを発⾒– Helloメッセージ,Statisticメッセージ,1-Carryメッセー
ジ• 複数台の⾞両で到達可能な宛先ノードと,中継点となるノード,
キャリー数を把握– Multi-Carryメッセージ
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ノード1,5,9,14,15,16は1キャリー
ノード14,15,16は2キャリー中継点ノードは13
先⾏⼿法の概要
• 各ノードが高確率で1キャリーで到達可能なノードを発⾒– Helloメッセージ,Statisticメッセージ,1-Carryメッセー
ジ• 複数台の⾞両で到達可能な宛先ノードと,中継点となるノード,
キャリー数を把握– Multi-Carryメッセージ
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宛先16中継13
宛先16中継16
宛先16中継13
⾞両からパケットを受信
⾞両からパケットを受信
交通量の多い道路
先⾏⼿法の問題点
• 宛先までの⾞両数を最⼩とし経路を決定するため交通量の少ない経路が選ばれる問題
• 中継毎のパケット到達率のみを保証可能
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・交通量(帯域)を基に,メトリックを設計し,メトリックベースで最適路を決定
・宛先までのキャリー数を広告し,宛先までの到達率を保証する⼿法の導入
Helloメッセージ• 2ホップ前ノード,1ホップ前ノード,自身の組に対して,その
経路を通過した⾞両数を集計するため送信– ⾞両がノードに到達した時,生成ノードのアドレスを記載し,
2ホップ先のノードまで送信– 集計結果をHelloカウントテーブルで保持
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n3のHelloカウントテーブル2ホップ前 1ホップ前 台数
n1
n4
n5
n2
n2
n2
60
6
7
Helloメッセージ
n1
Helloメッセージ
n2
Statisticメッセージ• ある隣接ノードから来た⾞両が,次に各隣接ノードに到達する
確率を計算– HelloカウントテーブルをStatisticメッセージとして広告– 全隣接ノードからメッセージを受信すると通過した⾞両の台
数から次ホップノードに到達する確率が計算可能• 計算結果をStatisticテーブルで管理
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StatisticメッセージStatisticメッセージ
Statisticメッセージ
Statisticメッセージ
5台
5台
90台
Statisticメッセージ• ある隣接ノードから来た⾞両が,次に各隣接ノードに到達する
確率を計算– HelloカウントテーブルをStatisticメッセージとして広告– 全隣接ノードからメッセージを受信すると通過した⾞両の台
数から次ホップノードに到達する確率が計算可能• 計算結果をStatisticテーブルで管理
2013/12/9 DPSWS 2013 12
n2のStatisticテーブル1ホップ前 1ホップ先 確率
n1 n3 90%
n1 n4 5%
n1
:
n5
:
5%
:
5%
5%
90%
1-Carryメッセージ• 1キャリー以内に存在するノードへの到達確率を把握する
– 各ノードで⾞両進⾏方向の逆向きの確率を取得し,広告する– 到達確率が一定以上のノードを1キャリーノードとして採用
• 1キャリーノード:1キャリーでかつ一定以上の確率で到達可能なノード– 1-Carryテーブルで1キャリーノードを「前ホップ」「宛先」
「到達確率」「ホップ数」「距離(メトリック)」で管理
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n4から来た90% 90%
81%前ホッ前ホッ前ホッ前ホッ
ププププ
宛宛宛宛
先先先先
到達確率到達確率到達確率到達確率 ホップ数ホップ数ホップ数ホップ数
数数数数
距離距離距離距離
(メトリック)(メトリック)(メトリック)(メトリック)
n4 n2 90% 1 0.09
n4 n1 81% 2 0.081
: : : :
n3の1-Carryテーブル
距離(メトリック)• 各経路の帯域の逆数を距離(メトリック)とする
– インターネットのアナロジーを適用– 距離(メトリック)の和が最⼩となる経路を採用
• n3からn1の帯域はn3からn1へ到達する⾞両数に相当– n4からn3到達した⾞両数mn4→n3
とn3からn1までの到達確率p(n4,n3,n1)の積で表すことが可能
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距離(メトリック)(n3,n1) = ),,(
1
13434nnnpm nn ×
→
mn4→n3
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p(n4,n3,n1)
Multi-Carryメッセージ• 距離ベクトルルーティング⼿法に基づき,経路表を作
成するために送信– ⾞両複数台で到達可能な宛先ノードと,宛先ノードに到達す
るための中継点ノードを把握
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宛先 中継点 距離(メトリック)
nd n1 0.06
n1 n1 0.05
n2 n2 0.02
: : :
宛先 中継点 距離(メトリック)
nd nd 0.01
宛先 中継点 距離(メトリック)
nd n1 0.02
宛先 中継点 距離(メトリック)
nd n1 0.06
宛先 中継点 距離(メトリック)
nd n3 0.1
n3 n3 0.04
: : :
n1までの距離
(メトリック)は
0.01
n1までの距離
(メトリック)は
0.05
n2までの距離
(メトリック)は
0.01 n3までの距離
(メトリック)は
0.04
Multi-Carryメッセージ• 距離ベクトルルーティング⼿法に基づき,経路表を作
成するために送信– ⾞両複数台で到達可能な宛先ノードと,宛先ノードに到達す
るための中継点ノードを把握
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ならndまでの
距離は0.03
交通量小交通量小交通量小交通量小
距離距離距離距離0.1
交通量大交通量大交通量大交通量大
距離距離距離距離0.02
ならndまでの
距離は0.02
パケットの配送1.経路表から中継点ノードを検索2.中継点ノードに到達する確率が高い1ホップ前ノードを検索3.宛先まで一定以上の確率が得られるようパケットを複製4.⾞両が到達した時,Helloメッセージから1ホップ前ノードを識
別し,⾞両にパケットを渡す
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宛先
nd
中継点
はn3n3に行きやすい車は
n7から来る
中継点
はn1n1に行きやすい車は
n4から来る
宛先
nd
パケットの複製1.経路表から中継点ノードを検索2.中継点ノードに到達する確率が高い1ホップ前ノードを検索3.宛先まで一定以上の確率が得られるようパケットを複製4.⾞両が到達した時,Helloメッセージから1ホップ前ノードを識
別し,⾞両にパケットを渡す
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宛先ndまで
90%保証したい
宛先ndまでは
3キャリー
宛先
nd3キャリー
5つのパケットを送れば96.8%届く
宛先までの保証確率:Dprob宛先までのキャリー数:C
prob
C
prob DC ≥)(
中継点までの保証率:Cprob
C=3,Dprob=0.9ならCprob≒0.965n3には100%到達
n1には50%到達
宛先
nd3キャリー
◌&
シミュレーション評価• 目的
– ⼩規模な道路交通網において,先⾏⼿法に⽐べ、提案⼿法がどの程度性能を発揮するか評価
• 評価方法– C++により,シミュレータを自作
• 前提– レイヤー2(データリンク層),レイヤー1(物理
層)のシミュレーションは⾏わない• ⾞両-基地局間の通信は必ず成功すると仮定
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シナリオ• ⾞両
– ⾊の道路端で1.125秒に1台– ⽩⾊の道路端で10秒に1台– 50km/hで⾛⾏– 交差点では90%で直進5%で右左折– データバッファ2MByte
• パケット– 1パケット512KByte
– 内のノードでからランダムに送信元と宛先を決め,一定時間毎に発生
– 発生間隔を変動• ⾞両-ノードの通信
– 最⼤往復2MByteのデータが必ず通信可能• メッセージ搭載上限数
– 1-Carry 10個– Multi-Carry 30個
• 宛先までの期待到達率 Dprob
– 90%
• ノードキュー⻑:16MByte
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ք跰
評価指標
• 評価指標– 制御メッセージサイズ,パケット到達率,
送受信レート,平均遅延時間,パケット複製率
• 先⾏⼿法と提案⼿法を⽐較– 先⾏⼿法
• キャリー数が最⼩となるよう経路表を作成 + 本研究で提案した到達率保証⼿法
– 提案⼿法• 距離(メトリック)が最⼩となるよう経路表を作成+ +
本研究で提案した到達率保証⼿法
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制御メッセージサイズ• 提案⼿法で使用する制御メッセージがどの程度通信の
負荷となるかを調査– 先⾏⼿法:1パケットあたり約1700Byte(往復3400Byte)– 提案⼿法:1パケットあたり約2000Byte(往復4000Byte)
• 提案⼿法では距離(メトリック)フィールド分だけ増加• ⾞両に搭載する1-Carryメッセージ,Multi-Carry
メッセージの数を制限することで削減可能
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制御メッセージのサイズは現実的な範囲
փ뢐
パケット到達率
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• パケット到達率– 提案⼿法:送信レート4000kBps程度まで期待到達率を達成– 先⾏⼿法:送信レート1000kBps程度から到達率が下落
総受信レート
• 総受信レート– 飽和状態で提案⼿法は先⾏⼿法の1.5倍程度性能を発揮
• ネットワーク(道路交通網)内の交通量の多い経路を効率良く使用できる
– 総受信レートが線形に伸びなくなる(ネットワークが飽和してくる)と期待到達率を保証できなくなる
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ネットワークが飽和するまでは,
期待到達率Dprobを達成
쨐 ◌
平均遅延時間
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• 帯域が十分であっても100秒程度遅延− ⾞両の移動による遅延
• 提案⼿法では,帯域を優先するためキャリー数が増⼤− 交通量の多い選択し、キャリー数が増えても遅延は⼩さい
キャリー数増⼤による乗換コストを加味しても提案⼿法のほうが遅延は⼩さい
交通量の多い経路を効率的に利用できる
쨐 ◌
パケット複製率
• 先⾏⼿法:3.2倍程度• 提案⼿法:3.5倍程度
– 帯域を優先し,キャリー数が増⼤した結果
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受信率などの上昇を考慮すると許容範囲内ネットワークに対する負荷は⽐較的⼩さい
쨐 ◌
まとめ• 研究成果
– 道路交通網上に路上基地局を設置し,⾞両によってパケットを配送する交通量を考慮した距離ベクトルルーティング⼿法を提案した
– パケットの複製⼿法において,送信元-宛先間で到達率を保証可能な⼿法を提案した
– 自作シミュレータにより提案⼿法の評価を⾏った– 先⾏⼿法であるキャリー数最⼩化⼿法に対して,有効性が高
いことを示した• 今後の課題
– 現実的な道路交通網と移動モデルを用いた検証– 基地局から基地局までを⾞々間通信を用いてパケットを配送
• ⾞両密度が高い時,リアルタイム性の高い通信を実現
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