接着剤無しでも フッ素樹脂が強力にくっつく! · 2019-03-27 ·...
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接着剤無しでも
大阪大学大学院 工学研究科
附属超精密科学研究センター/助教
大久保 雄司
2016/07/21(木) 13:00~13:25新技術説明会@JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
フッ素樹脂が強力にくっつく!
阪大-超精密 大久保雄司 1/32
( )C CFF
F F m
PTFE
( )C CFF
F F)C C
m n
ETFE
(H
H H
H
✔優れた特性を持つフッ素樹脂の用途拡大✔他の樹脂へも応用できる可能性:大
改善できれば
高周波用プリント配線板材料
( )C CFF
F F( )C C
FF
FOC3F7
m n
PFA
(
フッ素樹脂の特性
日本ピラー
プラズマを利用
〇:撥水撥油性が高い(汚れにくい)。〇:耐薬品性が高い(酸・アルカリに強い)。〇:摩擦係数が低い(滑り性が良い)。〇:融点が高い(耐熱性に優れている)。〇:比誘電率が低い(分極しにくい)。〇:誘電正接が低い(エネルギー損失が低い)。X :密着性が悪い(剥離しやすい)。
阪大-超精密 大久保雄司 3/32
ポイントとなるキーワード
1. 「表面グラフト化」
2. 「圧力」
3. 「熱」
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プラズマ技術 + α |キーワード
新技術の特徴・従来技術との比較
通常のプラズマ処理
現在広く用いられているNa薬液処理
密着性 コスト 簡便性 環境負荷 表面粗さ 変色 改質寿命
Na薬液処理 ◎ ◎ ◎ × × × ○従来のプラズマ処理 △ ○ ○ ◎ ◎ ◎ △熱アシストプラズマ処理 ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎
熱アシストプラズマ処理
阪大-超精密 大久保雄司 6/32
切削痕
くぼみ
8 μm 8 μm
プラズマ処理前 (未処理) 熱アシストプラズマ処理後
・ 熱アシストプラズマ処理すると、多数の切削痕が消失
・ 熱アシストプラズマ処理すると、くぼみのサイズが減少
SEM像
プラズマ技術 + α (熱の効果) 表面粗さ(SEM)
阪大-超精密 大久保雄司 10/32
これまでの研究成果|Ag膜/PTFE, Cu膜/PTFE, ゴム/PTFE
0.0
0.4
0.8
1.2
1.6
2.0
Ag膜
/PTF
E密
着強
度[N
/mm
]未処理 プラズマ処理
プラズマ処理
α+
密着性の悪いPTFEに対して実用的な密着強度を有する金属薄膜の形成が可能に!
90°剥離試験による測定(JIS K6854-1)金属化後のPTFE(処理なし)
金属化後のPTFE(処理あり)
Ag膜は剥離
Ag膜は剥離せず
Ag膜
テープ
テープ下地のPTFE
Ag膜
阪大-超精密 大久保雄司 20/32
これまでの研究成果|Ag膜/PTFE, Cu膜/PTFE, ゴム/PTFE
金属化後のPTFE(処理なし)
金属化後のPTFE(処理あり)
Ag膜は剥離
Ag膜は剥離せず
Ag膜
テープ
テープ下地のPTFE
Ag膜
ゴムの材料破壊
ゴム
PTFE処理なし 処理あり
界面剥離
0/100
Cuペースト PTFE
100/100
処理なし
処理あり
阪大-超精密 大久保雄司 21/32
これまでの研究成果|密着強度
T字型剥離試験 (ISO 11339)90°剥離試験 (JISK6854-1)
接着剤
走査
荷重測定
金属膜
ステンレス板
フッ素樹脂シート(PTFE, PFA)
荷重測定
フッ素樹脂シート(PTFE, PFA)
走査
ゴム
Cu膜/PTFE Ag膜/PTFE ゴム/PTFE
密着強度: 1.9 N/mm 密着強度: 1.6 N/mm 密着強度: 3.0 N/mm
阪大-超精密 大久保雄司 22/32
従来技術とその問題点
既に実用化されているものには、Naを使用したエッチング法があるが、
・ 人体に有害であり,悪臭を有する。
・ 廃液処理の問題がある(高環境負荷)。
・ 表面粗さを増加させてしまう(プリント配線板への応用は不可)。
・ Naが樹脂表面に残存してしまう。
等の問題があり、代替方法が強く望まれている。
代替方法として、UV処理・コロナ処理・プラズマ処理が試されているが
他の樹脂には効果があっても、フッ素樹脂への効果は極めて低い。
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新技術の特徴・従来技術との比較
従来技術の問題点であった、異臭問題を解消することに成功した。
従来法では廃液が生じてしまい環境負荷が大きかったが、本技術は
廃液を生じないエコフレンドリーな技術である。
従来法では密着強度を大幅に向上できるが、フッ素樹脂の表面を凸
凹にしてしまうため、高周波用プリント配線板へ応用することができな
かった。一方、本技術では表面を凸凹にすることなく強力接着できる
ため、高周波用プリント配線板への応用が可能となった。
通常のプラズマ処理よりも表面改質の寿命が非常に長く、実用化に
おいて極めて有用である。
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今後の展望 |プラズマ改質技術がもたらす未来
ミリ波対応プリント基板 プレフィルドシリンジ
ニプロ日本ピラー
ウェアラブル端末
Apple
×C
CCC
C
CC
C
脱フッ素化
過酸化物ラジカルの形成架橋反応+
PTFEの接着性が大幅に向上⇒実用化への道が開かれた!
ラジカル照射による プラズマ加熱による
C C CF O
O・
・
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Cuペースト膜のパターニング
Agインク膜のパターニング
今後の展望 |プラズマ改質技術がもたらす未来
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想定される用途
本技術の特徴を生かすためには、接着剤の混入が問題視される医療
分野(プレフィルドシリンジ等)や食品分野(餅類等のベルトコンベア)
に適用することで、接着剤を使用せずにフッ素樹脂とゴムを強力接合
できるというメリットが大いに生きると考えられる。
上記以外に、プリント配線板材料(フッ素樹脂基板と金属配線の接
着)に適用することで、表面を凸凹にせず密着性を向上できるというメ
リットが大いに生きると考えられる。
改質寿命が長い点に着目すると、実用化する上で非常に有用である
と思われる。
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実用化に向けた課題
既にフッ素樹脂と異種材料(未加硫ゴム・銀インク膜、銅ペースト膜、
無電解銅めっき膜)との強力接合に成功している。
現在、処理領域の大面積化に向けて、大型のプラズマ処理装置を開
発中(改造中)である。
今後は、さらなる装置簡素化および低コスト化のために、大気開放下
で同様の処理効果が得られる技術の開発にも着手する予定である。
現状では平坦な材料にしか適用できず、複雑な形状(立体的な形状
の材料)に対して処理できない。
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企業への期待
未解決の複雑な形状(立体的な形状の材料)に対する処理について
は、プラズマ発生方式の変更により克服できると考えている。
難接合材料(特にフッ素樹脂)の提案・提供を希望します。
「MTAまたは共同研究契約 → 技術開発 → 本技術の実用化」
(企業からの共同研究員派遣を望んでいます、学位取得も可)
医療・食品分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有
効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
発明の名称 :表面改質成型体の製造方法、及び該表面改質成型体
を用いた複合体の製造方法
出願番号 :特願2015-175199 (出願日:平成27年9月4日)
出願人 :大阪大学、兵庫県(兵庫県立工業技術センター)
発明者 :山村和也、大久保雄司、石原健人、他3名
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その他の関連特許出願特願2014-038876 (PCT/JP2015/55186)特願2014-181663 (PCT/JP2015/75272)特願2015-169648 特願2016-007202
産学連携の経歴
2004年-2012年 大学発ベンチャー企業 設立
2006年-2012年 大学発ベンチャー企業の代表取締役社長 就任
2013年-現在 積水化学工業株式会社社と共同研究実施
2015年-現在 日油株式会社社と共同研究実施
その他: 9社とMTAおよび共同研究
2016年- 2017年 H27年度JST外国出願支援制度に採択
2016年- 2017年 H27年度JSTマッチングプランナープログラムに採択
* MTA = Material Transfer Agreement = 試作サンプル供与契約
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お問い合わせ先
大阪大学 コーディネーター
産学連携教授/鍵谷 圭 (KAGIYA Kei)
TEL 06-6879-4206
FAX 06-6879-4208
e-mail contact@uic.osaka-u.ac.jp
大阪大学 大学院工学研究科 附属超精密科学研究センター
助教/大久保 雄司 (OHKUBO Yuji)
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