剣状突起切除術(xiphoidectomy)を施行した レク...

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剣状突起切除術(Xiphoidectomy)を施行した

レクリエーショナル・サーファーの一例 稲田邦匡1,2、松本悠市1、八亀康次2、有馬三郎1,2

1 医療法人社団南洲会 勝浦整形外科クリニック 2 (株)国際スポーツ医科学研究所(ISMI)

(医)南洲会勝浦整形外科クリニック (株)国際スポーツ医科学研究所

われわれは、2009年より競技スポーツとしてのサーフィンの医科学研究を開始し、日本プロサーフィン連盟(JPSA)の公式戦のサポートや、多くのプロならびにアマチュア選手の治療・コンディショニングなどを行い、本学会でもいくつかの研究発表を行ってきた。

そうした中で、サーフィン特有の障害の一つと考えられる、剣状突起痛(Xiphodynia)に悩むサーファーの症例を経験したので報告する。

52歳男性 (日系米国人) 身長 162.6cm 体重 78.7kg

現病歴

2年前にサーフィンのパドリング(サーフボードの上に腹這いになって、クロールの要領で水を搔く動作)の際に、突出した剣状突起部の疼痛が出現し、徐々にサーフィンが困難となった。さまざまな保存療法を試みたが、効果は無かった。

1.まれな剣状突起痛に対して、剣状突起切除術を施行したサーファーの一例を報告した。

2.剣状突起痛はサーフィンに特有の障害の一つと考えられた。

3.こうした症例に対し、剣状突起切除術は、低侵襲かつ有効な治療手段であることが示唆された。

結語

2011年7月28日、全身麻酔のもとに、剣状突起切除術(Xiphoidectomy)を施行した。(手術時間:34分、術中出血量:微量)

術前3D-CT像

術後経過

術後2週でポップアップ動作が可能となり、術後3週でサーフィンに部分復帰、術後5週でサーフィンに完全復帰した。

術後合併症:なし

術前 術後 術中写真 および 摘出標本

はじめに

n=9

n=3

n=13

考察

剣状突起の解剖

加齢により骨化する扁平な軟骨

付着する組織 外側:①腹直筋

内側:②横隔膜、③胸横筋

剣状突起痛(Xphodynia)の病態

剣状突起部の疼痛の原因が、心臓や腹部臓器の疾患であったとする報告が多い。

真の「剣状突起痛(Xiphodynia)」は、突出に伴う突起自体の疼痛であり、多くはself-limitingとされている。

突出の原因として、妊娠や外傷の報告がある。

“Xiphosternal angle” 健常者 172±15°vs 症例105,120,135°

(Maigne, et al. 2010) 自験例 169°

*自験例では、角度よりも長さが問題と考えられた。

スポーツでは、固いサーフボードの上に腹這いになるサーフィンやパドルボード

に特有の障害と言え、他の競技種目では多くは無症候性である可能性がある。

治療

①ステロイド局所注射:多くは局所注射にて疼痛コントロール可能とされる。

②剣状突起切除術(Xiphoidectomy):保存治療抵抗性の症例に対する根治術。

容易な手技で確実な効果。

症例

治療経過

参考文献

1.Maigne JY, et al. Xiphodynia and prominence of the xiphoid process.Value of xiphosternal angle measurement:Three case reports. Joint Bone Spine 2010;77:474-476.

2.Simpson JK, et al. Xiphodynia: A diagnostic conundrum. Chiropr Ostepat 2007;15:13.

3.Vazquez VL, et al. Xiphoidectomy. Gastric Cancer 2003; 6:127-129.

Xiphosternal angle

Xiphosternal angle:169°

自験例

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