特別活動の意義と正しい指導案について3 (3)...
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平成 27 年7月 23 日(水曜日)
千葉県栄養教諭・栄養職員研修会
青葉の森公園芸術文化ホール
福岡教育大学教職大学院 脇田哲郎
1 特別活動の意義
(1) 小学校・中学校・高等学校の目標
以下に示すのは,小学校,中学校,高等学校の特別活動の目標です。
① 小学校の目標
望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団の一員
としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,
自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養う。
② 中学校の目標
望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会
の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとと
もに,人間としての生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。
③ 高等学校の目標
望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の
一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるととも
に,人間としての在り方生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。
小,中,高等学校の特別活動の目標を見ると,内容的には大きな違いはありません。ただ,中学校,
高等学校では,集団の一員から社会の一員へと,所属する集団が学級や学校だけではなく,部活動
や地域のクラブチーム,文化サークル,地域社会で構成される集団など様々な集団においてより
よい生活や人間関係を築こうとする態度の育成が目標に示されています。
また,今回,道徳教育の充実の観点から示された,目標の後半部分は,小学校が「自己の生き方
についての考えを深め」,中学校が「人間としての生き方についての自覚を深め」,高等学校が
「人間としての在り方生き方についての自覚を深め」と,各学校段階での学習の成果を受けて人
間性や社会性の一層の育成を図り,社会的自立の基礎を築くことの必要性が示されています。
特別活動の意義と正しい指導案について
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(2) 望ましい集団活動について
特別活動の目標に示された,「望ましい集団活動」とは,特別活動の方法原理を示したもので
す。小学校学習指導要領解説特別活動編(以下小学校解説)9pには,望ましい集団活動の一般
的な条件が次のように示されています。
前述の条件に示されたアは「目標の共通理解」,イは「方法・手段の共通理解」,ウは「役割
分担の共通理解」という内容にあたります。学級で集会などを計画し実施するときには,この条
件に留意して取り組ませることが必要です。
具体的には「学級生活をもっと楽しくよりよいものにしたい」という目標を全員がもちます。
次に,その目標を達成するために「学級集会を開く」ことを話し合いで決めます。そして,その
集会を開くために,必要な係を決め全員で役割を分担します。このような条件を満たした活動が
望ましい集団活動であり,特別活動の特質(集団活動・自主的な活動・実践的な活動)を踏まえ
た活動になります。また,中学校解説8p,高等学校解説6pには,望ましい集団活動について次の
ように示しています。
中学校や高等学校では望ましい集団活動を「個が集団に埋没することなく,互いに認め合い,
集団の構成メンバーによる話し合いなどで目標や集団規範を決めたり互いに協力しあってよ
りよい生活を実現したりする活動である。」と説明しています。
ア 活動の目標を全員でつくり,その目標について全員が共通の理解をもっていること。
イ 活動の目標を達成するための方法や手段などを全員で考え,話し合い,それを協力して
実践できること。
ウ 一人一人が役割を分担し,その役割を全員が共通に理解し,自分の役割や責任を果たす
とともに,活動の目標について振り返り,生かすことができること。
エ 一人一人の自発的な思いや願いが尊重され,互いの心理的な結びつきが強いこと。
オ 成員相互の間に所属感や所属意識,連帯感や連帯意識があること。
カ 集団の中で,互いのよさを認め合うことができ,自由な意見交換や相互の関係が助長さ
れるようになっていること。
特別活動の目標に示されているような発達をすべての集団の各成員に促していくような
集団活動。
・集団の各成員が互いに人格を尊重し合い,個人を集団に埋
没させない活動
・それぞれの個性を認め合い,伸ばしていくような活動
・民主的な手続きを通して,集団の目指すべき目標や集団規
範を設定する活動
・互いに協力し合って望ましい人間関係を築き,充実した学
校生活を実現する活動
これに対して,少数が支配する集団活動,単なるなれ合いの集団活動などは,たとえそ
の集団内の結束が固く,一見協力的な集団活動が進められているようであっても,望まし
い集団活動であるとはいえない。
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(3) 特別活動の目標構造(小学校の目標から)
特別活動の目標に示された「望ましい集団活動を通して」は,「心身の調和のとれた発達と個
性の伸長を図り」という個人的な資質と,「集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こう
とする」という社会的な資質の育成に係る前半部分と,「自己の生き方についての考えを深め,
自己を生かす能力を養う」という後半部分の両方にかかります。
また,目標に示された「自主的,実践的な態度」とは,特別活動の中心的な目標であり,児童自身
が意識して個性の伸長を図ったり,よりよい生活や人間関係を築いたりする自主的,実践的な態
度を育てることを示しています。自主的,実践的な態度は,望ましい集団活動の条件を満たした
自主的,実践的な活動の積み重ねによって育成されます。
(4) 各活動・学校行事の目標
【各活動・学校行事の目標(小
学校)】
平成20年1月の中央教育審
議会の答申に示された特別活
動の課題を受け,特別活動の
改善の基本方針には,「特別活
動については,その課題を踏
まえ,特別活動と道徳,総合的
な学習の時間のそれぞれの役
割を明確にし,望ましい集団
活動や体験的な活動を通して,
豊かな学校生活を築くととも
に,公共の精神を養い,社会性の育成を図るという特別活動の特質を踏まえ,特に①よりよい人
間関係を築く力,②社
学級活動
学級活動を通して,①望ましい人間関係を形成し,
集団の一員として学級や学校におけるよりよい②生
活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする③自
主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。
児童会活動
児童会活動を通して,①望ましい人間関係を形成
し,集団の一員としてよりよい②学校生活づくりに
参画し,協力して諸問題を解決しようとする③自主
的,実践的な態度を育てる。
クラブ活動
クラブ活動を通して,①望ましい人間関係を形成
し,個性の伸長を図り,集団の一員としてよりよい
②クラブ活動づくりに参画しようとする③自主的,
実践的な態度を育てる。
学校行事
学校行事を通して,①望ましい人間関係を形成し,
集団への所属感や連帯感を深め,②公共の精神を養
い,協力してよりよい学校生活を築こうとする③自
主的,実践的な態度を育てる。
望ましい集団活動を通して
心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り
集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする
自己の生き方についての考えを深め
自己を生かす能力を養う
自主的,実践的な態度を育てる
とともに
※①〜③の番号は,筆者が挿入
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会に参画する力,③自治的能力の育成を重視する。また,道徳的実践の指導の充実を図る観点
から,目標や内容を見直す。」と示されました。そこで,特別活動の全体目標を受けて,各活
動・学校行事の目標に①〜③の内容が盛り込まれました。
各活動・学校行事の目標は,中学,高校とも内容的に大きな違いはありません。特別活動の
各内容のねらいと意義を明確にするために,各内容で育てたい態度や能力を特別活動の全体目
標を受けて設定しています。
2 特別活動の基本的な性格と教育的意義
(1) 特別活動の特質
平成 25 年 7 月に文部科学省
国立教育政策研究所から出され
た特別活動リーフレット及び同
じく平成26年7月に出された特
別活動指導資料には,特別活動
の特質が次のように示されてい
ます。
この,特別活動の特質につい
ては,小学校解説 21p,中学校
解説15p,高等学校解説 13pに
いずれも「集団活動」,「実践的
な活動」の二点から解説してあ
ります。前述のリーフレットや指導資料で「自主的な活動」という特質が表記されたのは,特
別活動の命とでもいうべき「自治的・自発的な活動」,「自主的・実践的な活動」という特質を
再認識してほしいとの考えからではないでしょうか。
(2) 特別活動の教育的意義
特別活動の教育的意義について,リーフレットや指導資料には次のように示されています。
また,小学校解説21p,中学校解説15p,高等学校解説13pには,表記の若干の違いはあり
ますが,ほぼ同じ内容で示されています。次に示すのは小学校解説に示された内容です。( )
の中は中高校の内容です。
集団活動であること
よりよい生活や人間関係を築くために,目標やその達成の方法
や手段などを決め,みんなで 役割を分担してその実現を目指す
協働的な集団活動です。
自主的な活動であること
自ら楽しく豊かな学級や学校の生活をつくりたいという課題意
識を持って,指示待ちではなく,自分たちで問題を見付けたり話
し合ったりして解決するなど,「児童による,児童のための活動」
です。
実践的な活動であること
楽しく豊かな学級や学校の生活づくりのための諸問題を話し合
ったり,話合いで決めたことに友達と協力して取り組み,反省を
次に生かしたりするなど具体的に実践する活動です。
○自分たちで生活の諸問題を解決しようとするたくましい子どもが育ちます。
○子ども相互,子どもと教師との人間的な触れ合いが深まります。
○友達と協力して,チームで活動しようとする子どもが育ち,いじめ問題等の未然防止に役立ちます。
○切磋琢磨できるよりよい人間関係が育ち,効果的に学力を向上するための土壌づくりになります。
○共生社会の担い手としての豊かな人間性や社会性を身に付けることができます。
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ア 集団(や社会)の一員として,なすことによって学ぶ活動を通して,自主的,実践的
な態度を身に付ける活動である。
イ 教師と児童(生徒)及び児童(生徒)相互の人間的な触れ合いを基盤とする活動であ
る。
ウ 児童(生徒)の個性や能力の伸長,協力の精神などの育成を図る活動である。
エ 各教科,道徳,外国語活動(中高は無し)及び総合的な学習の時間などの学習に対し
て,興味・(や)関心を高める活動である。また,逆に各教科等で培われた能力が総合・
発展される活動でもある。
オ 道徳的実践を効果的に展開できる重要な場や機会であることを積極的に生かして(中
高は表記無し),知・徳・体の調和のとれた豊かな人間性や社会性の育成を図る活動であ
る。
(3) 小・中学校のリーフレットに示された特別活動の意義
前述した特別活動のリーフレットは,小学校編が平成25年に,中学校編が平成26年に文部
科学省 国立教育政策研究所教育課程センターから示されました。それぞれのリーフレットに
は,以下の内容で特別活動の教育的な意義が述べられています。
① 小学校編リーフレットの内容から
小学校編には表紙に,「楽しく豊かな学
級・学校生活をつくる 特別活動」,「もっと
… 自主的に行動できる児童を育てたい!
仲良く協力できる学級をつくりたい! 全
校児童を生き生きさせたい! 学校を元気
にしたい!」という文と,「子どもの笑顔 保
護者の信頼 教師のやりがい」という言葉が
表記されています。
このことから,特別活動には,楽しく豊か
な学級や学校の生活をつくる機能があるこ
とがわかります。また,自主的な児童を育成
できることや仲良く協力し合える学級をつ
くる機能,児童を生き生きとさせる機能,学
校を元気にする機能があることも分かりま
す。さらに,そのような機能が十分に果たさ
れれば,「子どもの笑顔につながり,そのこ
とによって保護者の信頼も得られる。そのこ
とこそが教師のやりがいである。」という視点から特別活動の意義を説明しています。
そして,小学校編の最終ページには,特別活動の充実で学校がどう変わるの?という問いに
対して,「いじめの未然防止につながります」,「学力向上につながります」,「自己有用感をは
ぐくむことにつながります」という解が示されています。このことから,特別活動の充実は,
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いじめの未然防止や学力向上,自己有用間の育成につながるという教育的な意義があることが
わかります。
② 中学校編リーフレットの内容から
中学校編の表紙には,「学級・学校文化を
創る特別活動」という文が示されています。
学級文化について松平信久(1995年)は,『学
級内の人間関係の様相,そこから生み出され
る学級独自の行動様式や雰囲気であり,子ど
もたちに豊かな文化体験をさせたいとする
願いから,教師が本,音楽,絵画などを教室
に持ち込んで,教室の環境をより「文化的」
なものにする活動と,教師の指導のもとで,
学級のメンバーが中心となって主体的・意識
的に作り出す創造的・創作的な文化的活動と
その成果が内容である。』と述べています。
特別活動は,後者に当たると考えます。つま
り,学級や学校を構成する生徒が自主的,実
践的に取り組む学級活動や生徒会活動,学校
行事は,創造的・創作的な文化的活動を生み
出すと述べられているのだと考えます。
また,1ページには,「学校の基盤的な役割を果たします。」と表記され,続いて○人格的,
社会的な自立を培う○自主的,実践的な態度を育む特別活動○魅力ある学級・学校づくりを実
現する特別活動○学級経営や学業指導,進路指導としての特別活動○集団活動を通して個を鍛
える特別活動○中学生期の教育課題に向き合う特別活動○人間関係や豊かな人間性を育てる
特別活動○問題解決に関わる実践的な指導力を高める特別活動と特別活動の教育的に意義が
示されています。さらに,「教師に求められる教育観を磨きます。」という文章の後に,『我が
国の学校教育を特徴付ける教育活動としての「特別活動」』と表記されています。このことか
ら,特別活動には,人格の完成を目指して行われる教育の具体的な教育課程としての重要な位
置付けがあることがわかります。
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3 各学校の食育を推進するための基本的事項
(1) 食育の全体計画の作成
各学校の食育は,栄養教諭や学校栄養職員だけが孤軍奮闘しても,子供一人一人に望ましい
食習慣を形成することはできません。学校がチームとなって,全教職員の共通理解のもと推進
される時,その効果は子供達に具現化します。
そのためにも,ぜひ,各学校の食育全体計画が,全職員に読んでもらえる,活用してもらえ
る全体計画になっていることが大切です。
次のページの全体計画は,福岡県宗像市の小中一貫教育推進校(離島にある小規模校)の全
体計画です。この全体計画は,まず,「紙キュラム」からの脱却を図ろうと,文字数を減らし
ました。さらに,小学校1年生から中学校3年生(後期9年生)までの食に関する指導が系統
的に行われるように,前期(小学1年生〜4年生)に「基本的な食事のマナーの定着」,中期
(小学5年生〜中学1年生)に「豊かな食体験を通した郷土の食への理解」,そして後期(中
学2年生〜中学3年生)に「食の自己管理能力の育成」という指導目標を設定しました。
この各期の指導目標は,『衛生的で楽しい給食指導の徹底を図り,正しい食生活への関心・
実践力の育成に努める。また,食への感謝の念を豊かにする。』という,本年度の食に関する
指導の重点を受けて具体化されています。
ここに示されている学校の食に関する指導の重点は,学校によっては食に関する重点目標と
か,食に関する指導目標などとも呼ばれています。これらの目標は,食育担当者が勝手に設定
したものではなく,校長が示す学校経営構想に基づいて設定されたものです。下の「学校経営
の基軸モデル」に示された,経営系列の
❸「各分掌・事務運営構想」として作成
されるのが,各学校の食に関する全体構
想です。ここに示された経営系列の流れ
は,校長が示した学校の教育目標や重点
目標を受けて,教頭は「校務運営構想」
を作成します。それを受けて主幹教諭や
教務主任は「教務運営構想」を作成し,
それを受けて食育担当者は,栄養教諭や
学校栄養職員と協力して「食に関する全
体計画」を作成します。
そして,そこに示された食に関する指
導目標や,学年等への指導の重点を受け
て各担任は,❹学年経営構想や❺学級経
営構想に反映します。
このように,各学校の食に関する全体
計画は,学校でどのような子供達を育て
ようとしているのかを明らかにした「学校経営構想」に基づいて作成され,具体的に実施され
ていかなければならないのです。
※「学校経営15の方策」福岡県教育センター(2013年)より
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(2) 食に関する学級活動(2)の指導案
指導案は,指導すべき内容(題材)について子供達の意欲を高めたり,思考力や判断力,実
践力を高めたり,理解させたりするために,どのような教材を使ってどのような指導の流れで
授業を行えばいいのかを構想した企画書です。指導案は様々な様式で作成されています。
以下に示す指導案は,学級活動(2)の指導案の様式例です。この指導案について,説明を加え
たいと思います。
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① 題材について
教科によっては,「単元」とか「単元名」,「主題名」などと表記されますが,学級活動(2)
は「題材」を用います。ちなみに学級の諸問題を学級会と呼ばれることの多い協議の場で話
し合ったり,話合いで決まったことを友達と協力して実践したりする,学級活動(1)の指導案
は「議題」と表記します。この題材は,子供達が学習する内容を具体的にイメージできるよ
うに体言止めで表記します。例えば,「好き嫌いなく食べよう」ではなく「好き嫌いせずに食
べる」とか,「楽しく会食をしよう」ではなく「楽しい会食」のような表記です。
② 指導観について
指導観には,「題材設定の理由」,「子供の実態」,「本題材の指導」について表記します。
ア 題材設定の理由について
題材設定には,本題材で育てる望ましい食習慣と本題材を学習することの価値を書き,な
ぜ,本題材を学習するのかについて説明します。本題材で育てる望ましい食習慣とは,「食に
関する指導の手引き〜第一時改訂版〜」に示された食に関する指導の目標に照らして,本時
学習する内容を表記します。また,本題材を学習することの価値とは,本題材を学習するこ
とが,自校の食に関する指導の重点(目標)とどのように関連があるのかを表記します。
① 食事の重要性,食事の喜び,楽しさを理解する。(食事の重要性)
② 心身の成長や健康の保持増進の上で望ましい栄養や食事のとり方を理解し,自ら管理していく
能力を身に付ける。(心身の健康)
③ 正しい知識・情報に基づいて,食物の品質及び安全性等について自ら判断できる能力を身に付
ける。(食品を選択する能力)
④ 食物を大事にし,食物の生産等にかかわる人々へ感謝する心をもつ。(感謝の心)
⑤ 食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を身に付ける。(社会性)
⑥ 各地域の産物,食文化や食にかかわる歴史等を理解し,尊重する心をもつ。(食文化)
イ 子供の実態について
ここには,本学級の子供たちの実態を書きます。実態と言っても,なんでも書けばいいの
ではありません。学級活動(2)の学習は,健全な生活態度いわゆる自己指導能力の形成を目指
しますので,これまでの学級活動(2)の学習の積み重ねでどのくらい自己指導能力が育ってき
ているのか,また食習慣がどのくらい形成されてきているのかを表記します。
ウ 本題材の指導について
ここには,どのような流れで指導するのかを書きます。この時,小学校の特別活動リーフ
レットや指導資料に示された,「つかむ(問題の意識化・共通化)」→「さぐる(問題の原因
とその理由の把握)」→「見付ける(対処方法の追求)」→「決める(対処方法の自己選択,
自己決定)」という流れに沿って表記します。例えば,「つかむ」段階では,どのような手立
てでめあてをつかませるのか。「さぐる」段階では,どのようにして問題が発生する原因を把
握させるのか。「見付ける」段階では,どのようにして解決方法を集団思考(話合い)させる
のか。「決める」段階では,どのようにして解決方法を自己決定させるのか。また,自己決定
した内容をどの程度の期間実践させ,習慣化を図ろうとするのかについて表記します。
③ 目標について
この目標には,本題材の学習と自己決定した内容を,ある一定期間実践し続けることによ
って育成される資質・能力を「関心・意欲・態度」,「思考・判断・実践」,「知識・理解」の
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観点に照らして表記します。この時,低・中・高学年ごとに示された学級活動(2)の内容を参
考にしながら目標を設定します。例えば,〔第1学年及び第2学年〕の「…進んで取り組もう
とする態度」や〔第3学年及び第4学年〕の「…意欲的に取り組もうとする態度」,〔第5学
年及び第6学年〕の「…自主的に取り組もうとする態度」などを,題材に照らして具体化し
て表記することなどが考えられます。
④ 計画について
ここには,事前の活動,本時の活動,事後の活動で子どもたちがどのような学習活動をす
るのかを書きます。特に,事前の活動では,課題意識をつかむためにどのような活動をする
のか,本時の活動では,集団思考を通して自己決定するためにどのような活動をするのか,
事後の活動では,一定期間実践するためにどのような活動をするのかについて表記します。
小学校学習指導要領解説特別活動編の47ページに示された活動過程が参考になります。
⑤ 本時の目標について
本時目標については,本時学習で自己決定することについて書きます。また,本時学習で
重点的に育成する資質,能力について書きます。
⑥ 準備について
本時学習を行う際に活用する資料や教材等について書きます。
⑦ 展開について
展開は,学習活動と内容と指導上の留意点を表記するのが一般的です。学習活動と内容に
は,子供の学習活動とその活動をどのように行うのかを書きます。指導上の留意点は,学習
活動を行わせるための教師の手立てを書きます。現在,子供達に生きる力を育てることが求
められています。そのため,子供達が主体的に問題を解決する授業の展開が大切になります。
つまり,子供達が自分からめあてをつかんだり,問題が発生する原因を追求したり,課題解
決のためのより良い方法を見付けたり,自分にあった解決方法を自己決定したりするような
流れで学習を構成します。
前述したように「つかむ」→「さぐる」→「見付ける」→「決める」という流れで展開は
書いていますが,それぞれの段階には次のようなねらいがあります。
・「つかむ」段階:現状の問題に関する資料の提示などによって問題意識を高め,課題をつか
む段階です。
・「さぐる」段階:問題の原因について,話し合いながら追求する段階です。この段階は,
題材によって十分に時間をかける場合もあれば,軽く追求して,見付ける
段階の話し合いなどに時間をかける場合もあります。
・「見付ける」段階:解決方法を話し合って考える段階です。本段階に,栄養教諭や学校栄養
職員からの話や資料提示などの活動が入ることもあります。
・「決める」段階:見付けた解決方法に沿って,具体的な個人目標を自己決定する段階です。
また,展開の後には板書計画を掲載するようにすると,子供たちの思考の流れが見える構
造的な板書を作ることができます。
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