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Post on 06-Oct-2020

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国立がん研究センター がん対策情報センターがんサバイバーシップ支援研究部 高橋 都

miyataka@ncc.go.jp

がんサバイバーシップとは、がんの診断・治療の最中や、その後を生きていくプロセス全体のこと

がんサバイバーシップ研究とは、主としてがん体験の「間の時期」に焦点をあて、地域で社会生活を送る本人・とりまく人々が直面する困難を明らかにし状況をよりよくすることを目指す研究

診断

治療

人生の

しめくくりの

時期

治療終了

(再発治療)

時間経過

ここで何が起きている?

その後を生きるということ

からだ本人・家族のこころ

本人・家族の社会生活

診断・治療の「その後」を考える時代です

がんサバイバーシップとは診断や治療を受けた

その後を生きていくプロセスのこと

わたしたちが、治療が一段落した「それから」を生きる社会では、

がんはまだまだ珍しくて治りにくい病気だと思われているようです

日本人のがんイメージ調査2011Takahashi M. et al: Jpn J Clin Oncol , 2012

がんは、現実よりも「まれな病気」と思われている

生涯がん罹患率回答分布

58%

43%

身近にがん体験者を持つ回答者は、生存率、罹患率ともに高く回答している

一般市民のがんイメージは、個人的体験に左右される

日本人のがんイメージ調査2011Takahashi M. et al: Jpn J Clin Oncol , 2012

0

100

200

300

400

500

600精巣がんの5生率回答分布(人)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)0

100

200

300

400

500

600乳がんの5生率回答分布

(人)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%

がんは、現実よりも「直りにくい病気」と思われている

85.5%92.0%

長期的な合併症対策 効果的な経過観察のかたち 医師との人間関係(治療医、かかりつけ医)

人間関係(カップル・親子・友人など)

就学就労、経済的問題

健康づくり(酒たばこ・食事・運動)

リハビリテーション

ライフステージに関わる問題

(恋愛・結婚、妊娠・出産・育児・介護)

生きる意味 ・・・など

「これから」を生きるときのトピック

長期的な合併症対策 効果的な経過観察のかたち 医師との人間関係(治療医、かかりつけ医)

人間関係(カップル・親子・友人など)

就学就労、経済的問題

健康づくり(酒たばこ・食事・運動)

リハビリテーション

ライフステージに関わる問題

(恋愛・結婚、妊娠・出産・育児・介護)

生きる意味 ・・・など

「これから」を生きるときのテーマ

わたし

配偶者・パートナー

子ども(小さい・思春期・大人)

親(元気・不元気)

友人(親友・知り合い)

ご近所の人々

職場の上司・同僚・後輩

親戚

(近い・遠い)

医療者(信頼できる人・できない人)

義理の親・親戚

患者仲間

わたし

配偶者・パートナー

子ども(小さい・思春期・大人)

親(元気・不元気)

友人(親友・知り合い)

ご近所の人々

職場の上司・同僚・後輩

親戚

(近い・遠い)

医療者(信頼できる人・できない人)

義理の親・親戚

患者仲間

支えてくれる人 かえって悩みのタネになる人

本音がぶつけられる人 気を使わないと

いけない人

笑顔にしてくれる人

思い浮かべると眉間にしわがよる人

時と場合によって違うこともある

本人と家族のコンディションは

表裏一体

自分も家族も急には変われない

自分と家族の気分は、お互いに影響しあう

カップルや家族として、これまでの人生のピンチと同じように対応することが多い

時間経過

自分も家族も「いつもどおりでいる」・・って、むずかしい

それでも、結構しぶとく「慣れて」いくもんですね

あの人は、本当はどう思っているだろう?

先に泣かれると、こっちは何にも言えなくなる。(泣きたいのはこっちなんですけど!)

どこまでわかってもらえるんだろう?どこまで本音を言ってもいいんだろう?

病気になったときの夫/妻との関係

私の口からの不十分な説明で余計不安になっている部分があったかも。

気を使われると余計に負担になってしまう。

格好つけたがりの性格なので、弱い部分を見せたくないだけかも知れませんね。

妻にとっては「気を使う」ことで彼女自身を安心させている部分があるのかも。

自分だけ、家族だけで抱え込まない事が大切です。

<男性 診断時41 歳 胃がん>

病気になったときの夫/妻との関係

彼がこの状況をどう受け止めているのか、知りたくても真正面から聞く勇気もありませんでした。

何とか無事退院できたとき、彼がこれからの日々をどう過ごしたいのか、きちんと聞いておかなくては、と思いました。

思い切って聞いたことをきっかけにして「これからの話」が

タブーにならず、少しずつ冷静に話ができるようになったような気がします。

<女性 50代 家族>

乳がん体験者の夫の心身不調

関東地区A病院外来乳がん患者の夫137名(有効回答率60.7%)

平均年齢62.6±10.5歳平均結婚年数35年妻の術後経過 平均5年妻のステージ

0 0.7%1 45.3%2 42.3%3 9.5%4 2.2%

妻の病気と関連して自分の体調不良あり

125/137名 (91.2%)

富田、高橋他:緩和ケア 24:394-400, 2014

乳がん体験者の夫の心身不調

自分の不調を誰かに相談した75/125名(60.0%)

不調がありながら

誰にも相談しなかった39/125名 (31.2%)

「自分で何とかできた」

「自分で解決する問題ととらえていたから」「相談してもどうしようもない」「妻に心配かけたくない」「妻の病気のことは他人に話したくない」

富田、高橋他:緩和ケア 24:394-400, 2014

カップル関係全体は?性的関係は?

「パートナーとの関係は術前と比べてどう変化しましたか?」

改善

不変悪化

悪化

N=79 (術前に性生活があり、術後再開した人)

わからない

改善

不変

Takahashi M, et al: Psycho-Oncology, 2008

カップル関係に変化はあるのでしょうか?

ひょっとして・・・

「まわりに迷惑をかけて申しわけないとか

思っていませんか?

もし逆の立場だったら、どうしますか?

家族のために我慢していませんか?

自分の経験ではない以上、すべて理解したくても無理(かも)

人にすべてを理解してもらうことは無理(かも)

察するのではなく、聞こう

察してもらおうとしないで気持ちを伝えよう

小さいことでも実は嬉しい嬉しい。と、素直に言ってみる

一緒に考えてもらう

しぶとく、しぶとく・・・

言葉にして

ほしいとき

がある

言葉にでき

ないことも

ある

ひとりでほっとできる時間も大切にご本人も、ご家族も・・・

楽しく、無理なく、暮らすヒント?

あなたへ

• 少しずつ慣れていこう (仕事、家事など)• 「前と同じように」とこだわる必要ぜんぜんなし• 使えるものは、何でもかんでも、誰でも、使う

わかったようなことは言えませんが

かなりいい人なあなたへ

• 少し弱音をはいてもいい(心のヅラはずし)• ガスぬきはうしろめたくない•「ちょっと女王様」くらいで丁度いい

がんと仕事のQ&Aコラムから

• 家族とのコミュニケーション

• 堂々と説明すれば相手は受け止めてくれます(職場に打ち明けるとき)

• 家事の工夫

• 支えられ、生かされて今があります

• 仕事で挫折を味わったとき

体験者からのアドバイスの花束

人と比べないこと。

自分らしく生きることができればヨシ!

自分の力を信じてください。いいと思ったように、いいと思ったことを。

入院中は発症した不運を恨んだこともありますが(今も時々思います

が・・・)、「転んでもただでは起きない」「役に立つ患者になろう」「退院したらいろいろなことをやろう」と考えるようにしました。無理やりそう考えました。面白いもので、頭の中でそう唱えているうちに、本当にそういう気持ちになります。

多くの人が

物分かりがよすぎるかもしれません。もっとジタバタして往生際が悪くても大丈夫。

仕事のしかたは、人それぞれです。あなたのスタイルでOK!

今、これからを生きる皆さまへ

ご自身の心の声を聴きませんか

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