国立がんセンター がん対策情報センター主催講義...2009/11/14 ·...
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愛
みんなで考える子宮頸がんにならないためにできること
-検診・予防・ワクチンについて-
国立がんセンターがん対策情報センター主催講義
国立がんセンターがん対策情報センター
我が国のがん対策を推進する中心的役割を果たす機関。
がんの罹患率と死亡率を減らし、がん患者や家族のQuality of lifeの向上を図ることを目標とする。
すべての国民が適切ながんにかかわる医療を受けることができる体制の構築に貢献する。
宮城悦子医師昭和63年横浜市立大学医学部卒業。平成2年臨床研修医を経て、横浜市立大学産婦人科入局。市立大学附属病院化学療法センター長を務める。
日本産科婦人科学会専門医、日本産婦人科医会幹事、日本臨床細胞学会評議員、細胞診専門医、日本癌治療学会倫理委員、日本婦人科腫瘍学会専門医、日本婦人科がん検診学会評議員
妊娠初期の子宮がん検診が行われていなかった時代に、新米産婦人科医師として衝撃を受け、検診のことを若い女性に知ってもらう活動をしていこうと心に誓った。
山本精一郎さん
1996年3月東京大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了後、同年4月から国立がんセンター研究員。
米国National Cancer Institute客員研究員を経て、現在国立センターがん対策情報センター室長。
現在、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本疫学会評議員、内閣府食品安全委員会新開発食品専門調査会専門委員。
専門分野は統計学であるが、がんの予防、診断、治療の各分野の研究者と多くの共同研究を行っている
Q1. 1990年と比べて20代で子宮頸がんになる人数が
激増している
子宮頸がんの罹患率の推移
子宮頸がんの罹患率について年齢別にみると、40歳以上ではすべての年代で減少傾向にあるのに、25~39歳までは大きく増加している傾向
子宮頸がんの死亡数
最新のデータ(2007年)では、1年で2441人が亡くなっており、1日あたり6.7人
若い女性に多く、初期は無症状
閉経期女性に多く、初期から不正出血
卵巣
卵管
Q2.性経験のある女性が子宮頸がんの原因ウイルスに感染したことがある割合は30%以下である?
子宮頸がんは、セックスで感染するHPV(ヒューマンパピローマウイルス)が原因。感染既往は性経験のある女性の50%以上とも80%とも言われている
子宮頸がんの99%はセックスで感染するHPV が原因です
子宮頸がんの99%はセックスで子宮頸がんの99%はセックスで感染する感染するHPV HPV が原因ですが原因です
しかし、感染しても、9割は自然に治り.持続感染の1~3割が前がん状態へ.さらにその1割以下が子宮頸がんへ
どうして若い女性に子宮頸がんが増えているのか?
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染機会の増加多くの若い女性が子宮を残す手術が可能な早期がんや前がん状態を発見できる検診を受けていない
その理由は・・・
言いかえれば、一度でもセックスの経験のある女性は、だれでも子宮頸がんに
なる可能性があるところが、
男性の性器での発がんはまれ。 Glaxosmithkline K.K.
Q3. 1日に約7人亡くなっている子宮頸がんだが、この死亡者をゼロにできる方法があるか?
死亡者をゼロにできるか?
子宮頸がんになっても治療でみんな治せれば亡くなる人はいません–難しい
子宮頸がんになる人をゼロにすれば子宮頸がんで亡くなる人はゼロにできる!–予防と早期発見
正常な細胞 HPVが感染した状態
異形成(癌になる前の状態)
癌細胞
この状態で見つければ、癌にならない
HPVワクチン【2009年10月日本でも認可】 HPVの感染予防
×
子宮頸がんは早期発見と予防が可能がん子宮頸がんは早期発見と予防が可能がん子宮頸がんは早期発見と予防が可能がん
(自治医大附属さいたま医療センター 今野良先生よりスライド供与)
検診とワクチンでほぼ100%の予防効果
子宮頸がん検診とは?
子宮頸がん検診の受診から結果の受領まで
Glaxosmithkline K.K.
本邦では、約7割の女性が未受診の惨状!
20歳代の受診率が特に低い!
一般女性の頸がん検診受診率について
先進国の子宮がん検診受診率
22%
0 20 40 60 80 100検診受診率(%)
オーストラリア
フィンランド
オランダ
デンマーク
ドイツ
フランス
イギリス
米国
日本
今野良:埼玉県産婦人科医会報.38, 58-61, 2006
感染性HPV‒ L1タンパクとL2タンパクで被殻を構成3‒ ウイルスDNAが内部に存在し増殖可能‒ 高リスク型は発癌性がある4
HPV ワクチン‒ タンパクのみで被殻が作成1‒ ウイルスDNAは存在しない2‒ 発癌性等病原性なし
HPV ワクチン(16、18型に対する子宮頸がん予防ワクチン)
HPV ワクチン(16、18型に対する子宮頸がん予防ワクチン)
1.Kirnbauer R. et al. Proc Natl Acad Sci USA. 1992; 89:12180-12184 2. Roy P. and Noad R. Human Vaccines. 2008; 4: 5-8 3. Frazer I. Virus Res. 2002; 89: 271-274 4. Schiffman M et al. Arch Pathol Lab Med. 2003;127:930‒934
遺伝子工学の技術を駆使して作られたハイテクワクチン
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ウイルス遺伝子
感染性HPV
非感染性HPV VLP
L1タンパク
L2タンパク
ワクチン接種が推奨されている年齢の国際比較
優先接種対象 キャッチアップ接種対象 HPV Today No.14, 2008
およそ8割の女性が生涯に一度は感染しても、9割は自然に治り.持続感染の1~3割が前がん状態へ.さらにその1割以下が子宮頸がんへ
進行には免疫力も関与(タバコは有意な危険因子!)
20歳代からの頸がん検診を.
普通の女性なら誰でもなる可能性があるがん
早期と進行がんの発見での治療後の生活の質が大きく違う
(まとめ)子宮頸がんの99%はセックスで感染するHPV が原因です(まとめ)子宮頸がんの99%は(まとめ)子宮頸がんの99%はセックスで感染するセックスで感染するHPV HPV が原因ですが原因です
子宮頸がんは唯一予防可能ながんなのに、学校では教えてくれない、お母さんも教えてくれない、政治もそれどころではない。そんな日本なら、
これからの人生を幸せに生きていくべき皆さんが、
いっしょに考えて、動いてみては?
この国の女性が子宮頸がんで大切な命を失わないために!
ほかにも子宮頸がんの原因はあるのでしょうか
子宮頸がんの原因• HPV感染
– HPV感染者がみな子宮頸がんになるわけではない
• 低年齢での初交– HPV感染および重症度を高めるため、子宮頸がんの間接的なリスクファクター
• たばこ–たばこを吸うと、吸わない人の2倍、子宮頸がんになりやすい
食事・肥満30%
たばこ
30%
運動不足 5%職業 5%
遺伝 5%
ウィルス・細菌 5%
周産期・生育 5%
生殖 3%
アルコール 3%
社会経済要因 3%環境汚染 2% 紫外線など 2%
医薬品・医療行為 1%
食品添加物・汚染物質 1%
がんの原因(米国)
ハーバード大学、1996年
喫煙率
32
20~30歳代女性は増加傾向,平成20年36.8%, 女性9.1% (平成19年男性39.4%, 女性11.0%)
喫煙習慣者の年次推移(性・年齢別)
厚生労働省「国民栄養の現状」(国民栄養調査結果)
女性全体で10%、
20代は18%
男性全体で40%、
20代は45%
大学生の喫煙• 大学時代にたばこを吸い始める人が男子で30%、女子で10%程度いる
• 若い頃から吸い始めるとがんのリスクが高い
• でも、習慣化する前のほうがたばこをやめやすい
大学時代に吸わないこと、大学のうちにやめるのが将来の健康にとって大きな利益!みなさん、だからたばこは吸わないように
しましょう!
国立がんセンターのホームページ見たことありますか?
がんにならないために、子宮頸がん検診を受けること、そして、たばこは吸わないように
しましょう