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温度差を必要としない熱-電力変換材料の薄膜化手法の開発
九州大学 大学院工学研究院寺西 亮
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電気
光エネルギー
位置エネルギー
運動エネルギー
熱エネルギー
電気炉暖房器具
火力発電
モーター
発電機
太陽光発電
照明
エレベーター
水力発電
電池(充電)
電池(放電)燃料電池
化学エネルギー
エネルギー
エネルギー変換効率
・火力発電・・・・・・・・・約50%・ガソリンエンジン・・・約30%・太陽電池・・・・・・・・・約30%・熱電発電・・・・・・・・・約15%
便利な「電気エネルギー」を効率良く得たい
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内燃機関
内部で燃料を燃焼して動力を得る。
・投入するエネルギーのうち使用されるのは3割程度。
・約7割近くは「熱」として放出。
未使用の排(廃)熱エネルギーを電気エネルギーとして利用したい
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熱電発電の原理
半導体や金属に温度勾配を与えると、熱起電力が生じる(ゼーベック効果)を利用した発電
高温
低温
n型
p型
-
・高熱起電力
(高ゼーベック係数)
・高電気伝導度
・低熱伝導度
熱電材料に求められる物性
+
-
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-
-
-
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+
+
+
熱電発電:温度差がある環境に材料を置いた場合に生じる熱起電力を取り出す技術。材料に温度勾配を与えると生じる熱起電力(ゼーベック効果)を利用する。
先行例
用途:工場、発電所、自動車、通信、防衛、医療、家庭、など
材料:SnSe、BiTe、ハーフホイスラ材Hf0.75Zr0.25CoSb0.975Sn0.025、スカッテルダイト材CoSb3 系、シリサイド材Mg2Si、など
従来技術とその問題点
・素子に温度差を与える必要がある
・高温部から低温部への熱流による
変換効率の低下が避けられない
・低温部の形成に冷却が必要であるため、
装置が複雑で、設置スペースも限られる
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従来のゼーベック効果による発電
新技術(新材料)の特徴
•素子に温度差を与える必要がない
•熱流による損失が発生しないため、変換効率の低下を抑えられる
•低温部の形成は不要のため、装置を簡易化でき、省スペース化できる
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Narrow Band Gap効果による発電
従来技術との比較(発電原理)
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Narrow Band Gap 効果を示す材料3)
3) 宗藤伸治、まてりあ, 第56巻第 3 号(2017) 195-198.
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従来技術とその問題点
•単位長さ当たりの組成傾斜度が小さい
•機能発現するには、数cm大のバルク体が必要である
• 素子小型化が難、用途が限定的、高材料費、作製に長時間
新技術の特徴
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•薄膜領域で組成傾斜させて発電性能を得る
•発電に必要なp-n接合部のみで素子を構成する
•「薄膜化」「積層化」などデバイス応用への可能性が示された(高特性化、量産化、低コスト化)
従来(バルク体)
数cm
新技術(薄膜)
数um(厚さ)
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従来技術との比較
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新技術の成果のまとめ
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新技術の成果のまとめ
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本発電材料の応用のイメージ
想定される用途
•本材料をモジュール化することができれば、現在広く普及するSi半導体ベースの電子回路や機器にて微小電力で駆動する小型のローカル電源として応用できる。
•従来の熱電発電素子とは異なり温度差を必要としないため、熱源があれば一つの発電ユニットとして利用できる。
•我々の生活空間中に存在するあらゆる熱源に本薄膜素子からなる発電モジュールを組み込むことによって、小規模から大規模までの発電が可能となる
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波及効果
2) 様々な薄膜プロセスが適用できる(気相法、液相法など)
1) 「積層化(厚膜化)」「配列化」「大面積化」で発電性能を増大できる
3) 様々な基材上に作製できる(導電性基材、フレキシブル、長尺テープ状でコイル化など)
積層化
電力Up!!
大面積化
配列化
実用化に向けた課題
•課題は、多セル化による起電力の増大である
•起電力増大には「薄膜化」と「積層化」が有用であり、今後の開発課題と考えている
(発電に必要なpn接続部のみから成る薄膜を積層化することができれば、幅広い分野へ普及できると期待される)
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企業への期待
•この新しい材料および手法を基盤に、中長期的な視野で技術推進に取り組みたいと考えている
•材料探索、薄膜化、積層化の分野で産学連携(共同研究など)を実施できることを願う
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本技術に関する知的財産権
発明の名称:半導体基体及びその製造方法、
基体並びに積層体
出 願 番 号:特願2017-114352
出 願 人:九州大学
発 明 者:寺西 亮、宗藤 伸治、古君 修
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お問い合わせ先
九州大学学術研究・産学官連携本部
知的財産グループ
TEL 092-832-2128
FAX 092-832-2147
e-mail transfer@airimaq.kyushu-u.ac.jp
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