被災地実習報告 - university of the ryukyus...被災地実習報告 主な実習日程...

Post on 31-Dec-2019

3 Views

Category:

Documents

0 Downloads

Preview:

Click to see full reader

TRANSCRIPT

琉球大学医学科 地域枠1年

石川樹 喜屋武慶丸 久高将太 玉城浩平

玉城仁巳 照屋翔二郎 當間志野 濱川和音

新崎綾 本永葵

被災地実習報告

主な実習日程

9月18日

北秋田市民病院実習

秋田大学地域医療セミナー

9月20日

陸前高田病院仮設診療所実習

コミュニティセンター訪問

前陸前高田病院施設見学

森田先生のお話

北秋田市民病院実習

*病院関係者の話

「市町村合併後の地域医療体制構築」

*院内見学

・院内設備

・療養病棟

北秋田市について

平成17年3月22日

鷹巣町、合川町、森吉町、同仁町が合併し誕生。

医療供給体制

・4つの地区が各々に病床を抱えている。

・施設の老朽化

・経営難

3病院の入院機能の統合と外来機能の再配置

病院と診療所の役割分担を明確化し、

新たな地域医療供給体制を構築する

・新病院→地域の中核病院として専門、高度医療機器に

よる診断、治療を提供。

入院は急性期医療を中心に行う。

・診療所→地域のかかりつけ医として日常的な診療や

慢性期疾患全般に渡る医療を提供する。

・医師丌足が深刻!

医師 17/31人

ベッド 177/320床

→ 約45%の病床は休床したまま開院

・人口の高齢者率が増加の一途

医療資源の更なる集約化・療養病棟の設置

現状

一般病棟で未治療のまま、療養病棟に転棟

医師丌足

→21科を16人の医師で診ている

脳外科・産婦人科・小児科・眼科は各科1人

交通アクセスが悪い

何も入っていないナースステーション 精神科が入る予定だったが、診療科が開設できなかった

「環境はいいんだけど、アクセスが悪い」

郊外の緑豊かな公園の中に作られた病院についてそう語る平田先生

施設見学

患者さんが利用することを視野に入れていない

デザイン重視の設計 *硬い壁

→患者さんがぶつかったら危険

*奇妙な段差

→患者さんが転倒する危険

*大きな窓

→冬場に部屋が温まりにくい構造

季節ごとのイベントを大事にする

→院内でも時間の流れを持たせる

療養病棟 屈曲性対麻痺の方

何度も救急車で運ばれてきて入院

部分的にしか見ない診療

→本質的な治療につながらない

症例ベースの学習

前頭葉の衰退による赤ちゃん返り

バビンスキー反射

口腔ケアの重要性

地域に返すことを目標とした医療

口腔ケアをして口から食事を取る

病院内でも季節感のある生活を送る

地域の中に老人ホームや介護施設等の

高齢者を受け入れる施設が足りない

→約200人が受け入れ待ち

ポイント

①地域に返すことを目標とした医療を行う

②患者の体全体を診る

③症例ベース

北大東島研修と合わせて

秋田と沖縄(

同縮尺)

北大東島の研修と合わせて

求められる医師像は同じ

違いは?

→地形的なもの?

それだけではない

→土着の文化、歴史に基づいた

人の意識の違いが大きい

記念撮影 北秋田市民病院玄関口にて

左から平田副院長、新崎綾、神谷院長、濱川和音

秋田大学医学部 地域医療セミナー

*秋田大学

長谷川仁志先生

「日本医療再生のための地域基盤型教育」

*秋田往診クリニック

市原利晃先生

「在宅医療と地域連携」

長谷川仁志先生の講演

長谷川仁志先生 秋田大学医学部 総合地域医療推進講座寄附講座教授 医学部教務部 医学教育システムを研究されています 今回の東北研修の企画やコーディネートをして頂きました

被災地支援に行った時の話と、今研究されている医学教育についてお聞きすることができました。

今の日本医学教育は、 専門性に主眼が置かれすぎたため、

総合医としての知識と 技術やコミュニケーション能力の教育が

浅くなってしまっている。

医学的知識が浅い低学年の内は、 どの科に進んでも必要となる

基礎的な知識や コミュニケーション能力について

学ぶべき!

1年次の内から ・主要症状における鑑別診断ポイント ・コミュニケーション教育 ・早期地域医療実習 ・最新の医学教育理論 ・OSCE

よりよい医学教育の為に 長谷川先生がしている事

総合力

・総合医としての知識 ・コミュニケーション能力

・チーム医療を行うための人間力 ・etc….

専門医としての能力 ・内科 ・外科 ・etc…

市原利晃先生の講演

市原利晃先生 秋田市内で在宅医療専門の病院を 開業していらっしゃる方です。 市川先生が実践していらっしゃる在宅医療 についてご講演いただきました

医者とは、医学を利用して、 患者を主訴から解放する人のことである。 病名を付けるのが役目ではない。

秋田往診クリニックの紹介

・常勤医が3名、非常勤医が3名 ・訪問医療専門で外来の受付はしていない。 ・病院から車で30分圏内まで訪問可能 ・治療方針の決定は患者本人の意思を優先している。

↔患者の意思次第で化学療法や 栄養療法も在宅でできる。

在宅医療の重要性

⇒その人らしさを尊重し「よりよく生きる」ための医療

・在宅や福祉施設での看取りを進めることで 急性期病院を訪れる患者の数を少なくし その機能を高めることもできる。 →在宅死率は62.8%

・在宅医療はチーム医療であり 「治療一辺倒」ではなく「QOLを意識した医療」

県立高田病院 仮設診療所実習

バスで陸前高田の被災地見学

県立高田病院仮設診療所での実習

(石木先生のお話と仮設診療所内の見学)

前県立高田病院の建物内

バスから見た陸前高田の様子

県立高田病院仮設診療所実習

県立高田病院について

人口2万4000人の陸前高田市にある県立病院

基幹病院である大船渡病院を支える機能を果たす

具体的には・・・

高齢者に対する医療の充実

地域の2次救急機能としての役割

介護職との連携

地震発生時の様子 3月11日14時46分

今までに経験したことのない激しい揺れ 急いで人工呼吸器をしている患者さんのもとへ 揺れの中機器が外れないように押さえているが 先生自身も立っていられない状況 「津波が来る」という直感 地震直後、51名の入院患者に異状はなかった ものの病棟内はパニックに

津波が襲来するまで

地震直後、1階の対策本部では 津波情報を収集しようとするが、 テレビやラジオなどの機器は一切機能せず 15時20分ごろ市内の有線放送から 2.3mの津波が来るという情報が入る 対策本部を3階に移した直後、 津波が防波堤を越えやってくるのを目撃

津波が襲来するまで

4階病室では ・病室の対策を検討 人工呼吸器を装着した3人の患者を 1つの部屋で管理することに ・災害時の必要物品を準備 ・患者の点滴ラインの抜針 この時点では 津波が4階まで来るということは想定せず 個室の患者を大部屋に移動させようとしていた ところ津波が近くにやってきていることに気付く

津波襲来(病院4階より撮影)

15:27 15:28 15:28

15:29 15:29 15:36

津波襲来直後の状況

遺体の確認 散乱する病院内から何名かの遺体を確認

しかし一見しただけでは性別の区別さえ困難

ネームバンドも流されていた

→遺体の特徴から誰であるかを特定

遺体に名札を貼り、手を合わせながら4階の

ベッドに安置した。

この時点で死亡が確認された患者が12名であった。

さらに医師・看護師は全員無事であったが、放射線技師や事務長、栄養科スタッフの9名が行方丌明のままであった。

津波襲来直後の状況 屋上への避難

助かった39人の患者を、避難してきた市民や患者家族、職員で屋上まで移送

わずかに残ってた濡れてない病衣に患者を着替えさせ、また残っていた毛布や布団を屋上の機械部屋に敷き詰めてそこに寝てもらった。

それから日没に備え、とにかく使えそうなものを集め、なんとかその場をしのいだ。

しかし夜間のうちに3名の患者さんが亡くなる。

病院職員の活動開始 被災から翌朝、残った職員による作戦会議が開かれた

・瓦礫の撤去により通路を確保

・患者の世話

・遺体安置の部屋の設置

・一般市民の待機部屋の設置

これら4つをはじめの主な活動として、避難してきた人たちとともに本格的に医療活動を開始していった。

活動の流れ

コミュニティーセンターを

高田病院仮診療所として開設

各避難所を回る

救護所の立ち上げ

外来機能としての診療所の稼働

活動の中での問題点1 患者さんの情報をどう把握するか

交通手段・通信手段ともに一切遮断されているため

自力で動けない患者さんなどの情報が全く入ってこない

→自分達の足で患者さんを探すほかない

→保健士の活躍(看護師とは役割が違う)

保健士は患者の把握の他にも

避難所の人々の衛生状態や栄養状態の管理にも従事した。

直接津波の被害には遭っていないが救援物資が届かず、

さらにほかの被災者を受け入れたりするなどで

被災者同様厳しい状況に置かれている人たちもいた。

→そのような人たちを把握するためにも訪問診療は有効だった。

活動の中での問題点2 津波により流された患者の薬手帳やカルテにどう対応するか

日頃からどの地域にどんな患者さんがいるかを 医師自身がある程度把握していたことが役に立った。

薬の入手 地域の知り合いの薬の問屋のルートを駆使。 外部からサポートに入ってくる医師の方々の持ち込み。 医療機器の入手も人脈を駆使し、何とか手に入れた。 ちなみに、最も多く処方された薬が睡眠薬と便秘薬。 →避難所などでの集団生活からくる ストレスによる丌眠や便秘で苦しむ人が多い

活動の中での問題点3 職員たちも被災者であるということ

16日副院長が過労で倒れる →「我々も被災者」という言葉で、職員の休暇を決定 その間は、外部から協力に来た支援チームに引き継ぎを依頼 (しかし、事務・薬剤・検査部門のスタッフは休暇を適宜とりながらも仕事を続行)

病院職員も一般市民同様、家族や友人を亡くし、 過酷な環境の下1人でも多くの患者を救おうと 尽力しているという事実を忘れてはならない

最近の状況

6月中旬から7月に、

避難所の閉鎖とともに救護所の閉鎖

(支援チームも撤退を始める)

7月末には現在の仮設診療所が開設

外来機能は以前と同じか

それ以上の状態に

しかし入院機能はまだない。

今後の課題

入院病棟の確保

地域住民(病院職員も含め)の心のケア

市街地から離れた仮設住宅での孤独死の問題

病院をはじめとする公的施設の今後の再建場所

前県立高田病院の建物内見学

前高田病院1階

受付・会計等があった場所も、表示を見てやっとわかる程度だった。

前高田病院2階

建物内に木が流されていた。がれきでいっぱいだった。

前高田病院3階

2階同様がれきの山。

前高田病院4階

車いす、棚などが散乱していた。

前高田病院屋上 *外側から書かれたメッセージ*

とんでもなくさむくて。いっぱい いっぱい いーっぱい がんばったね。

もう ゆっくりしてね。ちゃんと ちゃんと 愛されてるから。愛したから。

まとめ 医師として日頃どれだけ地域医療に携わり地域のことを把握できているかが、非常時でも落ち着いて判断をすることができるかどうかに関わってくる

日ごろの人とのつながりを大切にすることは、

緊急時にも役立ってくる

医療従事者も被災者であるという認識

コミュニティセンター

仮設住宅などで 生活している方々との交流

コミュニティーセンター 被災者が集まって交流する場

(高齢者が中心)

被災者のためにボランティアの方が活動を行っている

健康増進を進めている

今回は市の企画で参加

内容

家でもできる筋トレ(約20分)

☆全体的に明るい雰囲気

☆中には一言も喋らない人もいた。

性格? 立ち直れていない?

被災者と座談会(約40分)

☆震災・津波の話が主

☆普通の談笑をしていても、

結局震災・津波の話になっていった

まとめ 被災者側の視点として、震災・津波で悲しいことはたくさんあったが、今回のように交流会を持てて良かった、という意見があった。

お金の支援だけでなく、人の支援も待ち望んでいることを実感した。

被災者の方々とコミュニケーションを取るのは難しいと実感した。

震災後の医療

宮城県気仙沼市

森田潔先生のお話

震災前

事前に気仙沼市の医師会で取り決めを作り、災害対策を行っていた。

1. 医師会の連絡網の作成

2. 衛星携帯や無線の用意

3. 診察可能な診療所を示す旗の作成

震災当日

当初、津波は診療所まで来ないはずだったが

実際には1階の1m60cmのところまで波が来た

海水で医療機器がほぼ全て使用丌能

事前対策の効果

1. 医師会の連絡網の作成

2. 衛星携帯や無線の用意

3. 診察可能な診療所を示す旗の作成

・・・固定電話・携帯電話が使用できなかった。

・・・機器が津波で流された。

震災後

翌日:診療再開・被災者受け入れ開始

二日後:医薬品の供給が再開(徒歩や自転車)

ご遺体の検案が開始

透析患者は秋田・山形・北海道で治療継続。

被災し、避難所にいた医師が避難所で診察を行う。

大きな避難所では避難所用のカルテを作成。

最初から慢性の患者への 対応が必要だった!!

陸前高田市との比較 陸前高田 保健師でチームを作り、

自宅が被災しなかった家を一戸ずつ訪問して状況と必要な支援を把握。

気仙沼 医師会に所属する医師が歩き回って、地域の病院の状況を伝え歩く。

自宅に残った被災者の状況把握に時間がかかり、支援物資や医薬品の配布が遅れた。

県や市町村、公立病院との連携が丌十分だった可能性がある。

教訓

災害時の医師の存在は非常に大きく、医療が提供されないと住民はとても丌安な気持ちになる

医師が災害時に医療を提供するときには、自分自身の安全をまず確保しないといけない

まとめ

テレビではうつせない

ラジオでも流せない

大切なものがそこにあるはずさ

おまけ♪

☆ご清聴ありがとうございました☆

top related